JP3677942B2 - 像担持体ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真技術を用いて画像を形成するプリンター、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に用いられる像担持体ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子写真技術を用いた画像形成装置は、外周面に感光層を有する感光体と、この感光体の外周面を一様に帯電させる帯電手段と、この帯電手段により一様に帯電させられた外周面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段と、この露光手段により形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像手段と、この現像手段により現像されたトナー像を用紙等の転写媒体に転写させる転写手段とを有している。
【0003】
感光体としては、外周面に感光層が形成された硬質の感光体ドラムと、表面に感光層が形成された可撓性を有する感光体ベルトとが一般に知られている。
【0004】
また、帯電手段、現像手段、および転写手段としては、それぞれ、前記感光体の表面に接触させるローラ状のものが知られており、そのローラとしては、硬質のものと軟質ゴムからなるものとが知られている。
【0005】
感光体として硬質の感光体ドラムを用い、またこれに接触させるローラとしても硬質のものを用いる場合には、感光体ドラムおよび硬質ローラを高精度に製造するには自ずと限界があり、必ず誤差が生ずるから、両者を均一に接触させることは困難である。両者が均一に接触しないと、局部的に隙間が生じて帯電むら、現像むら、転写むらが生じたり、必要以上に強く圧接されて感光ドラムや硬質ローラに傷がついたりするという問題が生ずる。
【0006】
したがって、感光体とこれに接触させるローラとを両者とも硬質のもので構成するということは通常行なわれておらず、感光体として硬質の感光体ドラムを用いる場合には、ローラを軟質ゴムで構成する、ローラとして硬質のものを用いる場合には、感光体として可撓性を有する感光体ベルトを用いる、ということが行なわれている。
【0007】
しかしながら、感光体の表面に接触させるローラを軟質ゴムで構成した場合には、次のような問題があった。
【0008】
感光体の表面に接触させる帯電ローラ等をゴムローラで構成する場合には、これに導電性を付与するために、カーボン等の導電性粒子を分散させるということが行なわれるが、カーボン分散度のムラやバラツキでゴム硬度が変化し、ローラ表面における硬度がばらつくために、感光体に対する良好な密着状態が得られなくなるという問題があった。
【0009】
逆に、感光体に対する良好な密着状態を得るべく、カーボンの分散量を小さくすると、導電性にバラツキが生じ、帯電むらの原因になるという問題があった。
【0010】
また、柔軟性を高めるために、配合剤として可塑剤を加えたものを用いると、長期間の使用や使用環境によって、可塑剤が表面に滲み出してくる場合があり、この可塑剤が感光体の表面に付着して感光体中の光導電材料が変性したり、ローラに感光体が張り付いて感光体表面が剥がれてしまうという問題があった。
【0011】
このような問題は、ローラとして硬質のものを用い、感光体として可撓性を有する感光体ベルトを用いることにより解決することができる。
【0012】
しかしながら、感光体として感光体ベルトを用いた場合には、これを支持するために少なくとも2本の支持ローラが必要なために、構造が複雑になるばかりでなく装置が大型化してしまうという問題があった。
【0013】
したがって、このような問題を同時に解決することが望まれている。
【0014】
このような要望に応えようとしたものとしては、従来、特開平4−188164号公報記載の感光体駆動装置が知られている。
【0015】
図10は、その感光体駆動装置を示す図で、(a)は側面図、(b)は斜視図である。
【0016】
この感光体駆動装置は、筒状の薄膜シートとして形成された感光体ベルト20と、この感光体ベルト20の内径周長よりも短い外径周長を有し、感光体ベルト20の内側にあって回転駆動する駆動ローラ21と、前記感光体ベルト20との摩擦係数が駆動ローラ21と感光体ベルト20の摩擦係数より小さく設定されており、駆動ローラ21の円周方向の所定範囲内で駆動ローラ21に感光体ベルト20を密着させながら、感光体ベルト20を摺動自在に押圧する押圧部材22とを備えている。なお、図10において、24は帯電器、25は露光装置、26は現像ローラ、27は転写帯電器、28はクリーニングローラである。
【0017】
このような感光体駆動装置によれば、感光体ベルト20は、押圧部材22により駆動ローラ21の表面に部分的に密着された状態で駆動され、押圧部材22が無い部分では、駆動ローラ21との周長差によって、たわみ23が形成される。
【0018】
このため、感光体ベルト20は、押圧部材22による密着部分においては、その硬度が駆動ローラ21の硬度によって疑似されることから、硬質材として使用することができ、押圧部材22が無い部分においては、たわみ23が形成されることから、弾性体として使用することができる。
【0019】
したがって、この装置によれば、感光体ベルト20の押圧部分22との密着部分においては、弾性体からなるクリーニングローラ28を接触させることができ、たわみ23部分においては、硬質材からなる現像ローラ26を接触させることができる。
【0020】
そして、この現像ローラ26の接触は、たわみ23が弾性体として作用することから、現像ローラ26が硬質材からなる場合でも、充分なニップ幅をもって、かつ非常に低圧接力で安定的に行なわれる。
【0021】
すなわち、この装置によれば、硬質の現像ローラを用いても、感光体や現像ローラに傷がつくということがなく、また、装置の大型化も防止することができる。
【0022】
なお、この装置と同様の装置は、特開平6−27859号公報、特開平6−258989号公報等にも開示されている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開平4−188164号公報記載の感光体駆動装置では、感光体ベルト20の周縁部に部分的に設けられた押圧部材22によって感光体ベルト20が案内される構成となっていたため、感光体ベルト20が押圧部材22に進入する際、その入り口部分22aにおいて、感光体ベルト22の周縁部(端縁部)に曲げ応力が生じやすく、これによって感光体ベルト20の端縁部に、折れや割れ、あるいは感光層の剥がれが発生しやすい(耐久性に劣る)という問題がある。これにより、感光体ベルト20が端縁部から破壊する、もしくは破壊までは至らないが重大な画像欠陥を引き起こすおそれがあるという問題がある。
【0024】
また、感光体ベルト20は、図10に示したような状態で装置に組み込まれるまでは、それ単体で取り扱われなければならない。しかしながら、感光体ベルト20は、上述したように筒状の薄膜シートとして形成されており、充分な剛性を有していないから、これを取り扱うのが困難であるという問題がある。
【0025】
さらに、上記装置では、感光体ベルト20の両端部を押圧する押圧部材22が無い部分においてたわみ23が形成される構成となっていたため、このたわみ23が形成される部分においては、その両端部において、感光体ベルト20と駆動ローラ21との間に開口29が形成される。
【0026】
このため、装置内で浮遊しているトナー、トナーの外添剤、紙粉等の異物が上記開口29,29から感光体ベルト20と駆動ローラ21との間に入りやすく、これら異物の侵入によって、感光体ベルト20と駆動ローラ21との摩擦力が低下し、感光体ベルト20が駆動されなくなるおそれがあるという問題がある。
【0027】
本発明は、以上のような種々の問題を解決しようとするものであり、その目的は、当接部材との確実で安定した接触状態を得ることが可能で、耐久性および取扱い性に優れ、確実に駆動することのできる像担持体ユニットを提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の像担持体ユニットは、それ自身では回転しない軸と、
この軸に対して回転可能に取り付けられた一対の円板状部材と、
これら一対の円板状部材によって両端部が支持固定され円板状部材とともに回転する可撓性を有する薄肉円筒状の像担持体と、
この像担持体に対してその外方から当接する複数の当接部材と,
前記像担持体の内方において前記軸に取り付けられ、像担持体に対してその外方から当接部材が当接されるそれぞれの当接位置において像担持体を内方から支持する複数のバックアップ部材と、
れらバックアップ部材を前記支持方向に向けて個別に付勢する複数の付勢手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0029】
請求項2記載の像担持体ユニットは、請求項1記載の像担持体ユニットにおいて、前記当接部材のうちの1つが、前記像担持体の外周面に残存した現像剤を除去するクリーニング部材であることを特徴とする。
【0030】
請求項3記載の像担持体ユニットは、請求項1または2記載の像担持体ユニットにおいて、前記バックアップ部材は、回転可能なローラであることを特徴とする。
【0031】
【作用効果】
請求項1記載の像担持体ユニットによれば、次のような作用効果が得られる。(a)薄肉円筒状の像担持体の両端部が、軸に対して回転可能に取り付けられた一対の円板状部材によって支持固定されているので、円板状部材が回転駆動されると、像担持体が確実に回転駆動されることとなる。
【0032】
また、像担持体の両端部が、一対の円板状部材によって支持固定された構成となっているので、耐久性にも優れている。
【0033】
(b)像担持体は、可撓性を有する薄肉円筒状であり、その両端部が円板状部材によって支持された構成となっているので、像担持体は、円板状部材によって支持されていない中央部分が内方に変形可能である。
【0034】
したがって、この像担持体の中央部分のうち、バックアップ部材が設けられていない部分は、いわば疑似軟質材として利用することが可能であるため、これに当接させる部材が硬質ローラ等であっても、確実で安定した接触状態を得ることができ、確実に像担持体に像を形成し、あるいは像を担持させることができる。
【0035】
一方、像担持体に対しては、その外周面に、いわゆるプロセス部材(帯電部材、クリーニング部材等)等の当接部材が当接されるが、その当接位置においては、像担持体がバックアップ部材によって内方から支持されているので、当接部材を確実に当接させることができる。
【0036】
しかも、仮にこのバックアップ部材がない状態で当接部材を像担持体に当接させたとすると、薄肉円筒状である像担持体がクリープ変形するおそれがあるが、請求項1記載の像担持体ユニットによれば、このようなおそれもなくなる。
【0037】
さらに、バックアップ部材は、付勢手段によって付勢された状態で像担持体を内方から支持することとなるので、像担持体とバックアップ部材との位置精度が向上する。
【0038】
(c)軸に対して回転可能に取り付けられた一対の円板状部材によって像担持体の両端部が支持固定されているとともに、像担持体の内方においてバックアップ部材が軸に取り付けられていることによってユニット化されているので、取扱いが容易になる。
【0039】
以上のように、この請求項1記載の像担持体ユニットによれば、当接部材との確実で安定した接触状態を得ることが可能で、耐久性および取扱い性に優れ、確実に駆動することができるという作用効果が得られる。
【0040】
請求項2記載の像担持体ユニットによれば、請求項1記載の像担持体ユニットにおいて、前記当接部材が、前記像担持体の外周面に残存した現像剤を除去するクリーニング部材であるので、クリーニング部材を確実に当接させて、像担持体の外周面に残存した現像剤(例えばトナー)を確実に除去することができる。
【0041】
請求項3記載の像担持体ユニットによれば、請求項1または2記載の像担持体ユニットにおいて、前記バックアップ部材は、回転可能なローラで構成されているので、像担持体に対する負荷を小さくすることができ、したがって、像担持体の駆動トルクを低減させることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0043】
<第1の実施の形態>
図1は本発明に係る像担持体ユニットの第1の実施の形態を主として示す正断面図(図3におけるI−I断面に相当する図)、図2は左側面図、図3は上記像担持体ユニットを画像形成装置に組み込んだ状態を示す部分側面図である。
【0044】
これらの図に示すように、この像担持体ユニット100は、それ自身では回転しない軸110と、この軸110に対して回転可能に取り付けられた一対の円板状部材120,130と、これら一対の円板状部材120,130によって両端部が支持固定され円板状部材120,130とともに回転する可撓性を有する薄肉円筒状の像担持体140と、この像担持体140の内方において軸110に取り付けられ、像担持体140に対してその外方から当接部材としてのクリーニング部材210(図3参照)、帯電ローラ220(図3参照)、転写ローラ230(図3参照)が当接されるその当接位置において像担持体140を内方から支持する第1、第2、第3のバックアップ部材としての第1バックアップローラ151、第2バックアップローラ152、第3バックアップローラ153と、これらのバックアップローラを前記支持方向(半径方向外方)に向けて付勢する付勢手段160とを備えている。
【0045】
なお、この実施の形態においては、バックアップ部材として、第1、第2、第3のバックアップローラ151,152,153を設けたが、バックアップ部材は、必要な箇所に少なくとも1つ設ける構成としてもよい。この場合、クリーニング部材210が当接されるその当接位置に設けることが望ましい。
【0046】
図1に示すように、軸110は、像担持体140の内方に配置される大径部111と、この大径部111の両端から突設され、円板状部材120,130を貫通する小径部112,113とを備えている。小径部112,113には、この像担持体ユニット100を画像形成装置のフレームF(一部のみ図示)に取り付けるための側板181,182が取り付けられている。これら側板181,182と軸110との円周方向の位置決めは、それぞれピン183で行なわれている。また、一方の小径部112には、リング状の凹溝112aが形成されており、像担持体ユニット100を画像形成装置に組み込む際には、この凹溝112aが画像形成装置のフレームFと係合することによって、フレームFに対する位置決めがなされるようになっている。
【0047】
一対の円板状部材120,130は、いずれもベアリング114を介して軸110に回転可能に設けられている。これら一対の円板状部材120,130およびベアリング114は、止め輪115,116によって軸110の軸線方向におけるスライドが規制されている。左方のベアリング114と側板182との間には、ガタ防止用の圧縮コイルバネ117が設けられている。
【0048】
一対の円板状部材120,130には、その内側面に短い円筒状の支持部121,131が形成されており、この支持部121,131によって像担持体140の両端部141が支持されている。像担持体140の両端部141は適宜の手段、例えば接着等によって支持部121,131に固定することも可能であるが、この実施の形態では、次のような固定構造を採用している。
【0049】
図4はその固定構造を示す図であり、図1の部分拡大図である。この固定構造は、左右対称であるから、左方の円板状部材130側について説明するが、対応する右側の部材については括弧書きでその符号を記す。
【0050】
図1および図4に示すように、この固定構造は、円板状部材130(120)の内側において前記支持部131(121)の外周側に配置されたリング状部材133(123)と、このリング状部材133(123)と前記支持部131(121)との間に配置されたゴム等の弾性体からなる弾性リング134(124)と、リング状部材133(123)と前記支持部131(121)との間に配置されたリング状スライダ135(125)と、このリング状スライダ135(125)をスライドさせるネジ136(126)とを備えている。
【0051】
図4に示すように、リング状部材133は、筒状部133aと、これと一体のフランジ133bと、筒状部133aの先端において内側にリング状に一体的に形成されたストッパ部133cとを有しており、フランジ133bが図示しない適宜の固定手段(例えばネジ)によって円板状部材130に固定されている。
【0052】
弾性リング134は、ストッパ部133cの内側に配置され、リング状スライダ135を後述するように矢印X2方向にスライドさせる前の状態にあっては、図4に実線で示すように、その内周面134aと前記支持部131の外周面131aとの間に隙間Cが形成される。したがって、この状態においては、像担持体140の端部141を隙間Cに挿入することができる。
【0053】
リング状スライダ135は、弾性リング134と円板状部材130との間に配置されている。
【0054】
ネジ136は円板状部材130に螺合しており、その先端136aがリング状スライダ135に当接可能である。なお、ネジ136は円周方向に等間隔で複数本(この実施の形態では図2に示すように6本)設けられている。
【0055】
したがって、このような構造において、ネジ136を回転させると、その先端136aがリング状スライダ135に当接して、これを矢印X2方向にスライドさせることとなる。
【0056】
リング状スライダ135が矢印X2方向にスライドすると、そのリング状の先端面135aがリング状部材133のストッパ部133cとの間で弾性リング134を押圧する。
【0057】
押圧された弾性リング134の内周面134aは、図4に仮想線で示すように、内方に向かって膨出しようとするが(なおこの状態は概念的に描いてある)、実際には、この膨出は支持部131および像担持体140の端部141によって阻害されるので、結果として、像担持体の端部141は支持部131と弾性リングの内周面134aとで挟圧された状態となる。
【0058】
すなわち、この固定構造によれば、ネジ136を回転させてリング状スライダ135をスライドさせることによって、膨出する弾性リング134の内周面134aと支持部131とで像担持体140の端部141を挟圧してこれを支持部131に固定することができる。
【0059】
図1に示すように、他方の円板状部材120には、その外側面に駆動用のギア122が固定されている。
【0060】
像担持体140は、この実施の形態では感光体として構成されており、可撓性を有する基材の表面(外周面)に感光層を形成することにより構成されている。基材としては、例えば、電鋳法にて作製したニッケルシームレス管を用いることができる。感光層は、いわゆるOPC(有機感光体)をディッピング法で形成することができる。このような感光体140の可撓性すなわち柔軟さは、基材の厚みと径とを調整することにより決定することが可能であるから、使用される画像形成装置に応じて適宜設定することが可能である。例えば、基材厚み20〜200μm、基材直径10〜300mmの範囲で適宜設定する。なお、OPCは主として樹脂からなるので、可撓性の面では優れるが、基材との密着性を確保し、レーザー光の干渉対策を施すために、基材とOPCとの間に下引き層を形成することが望ましい。下引き層としては、酸化亜鉛、酸化チタン等のレーザー光を吸収可能な粒子をナイロン樹脂等の樹脂に分散させた層が好適である。
【0061】
バックアップローラ151,152,153は、図1、図3、および図5に示すように、一対の取付板170,170、および付勢手段160を介して軸110に取り付けられている。バックアップローラ151,152,153の取付構造は、基本的に同じ構造であるので、バックアップローラ151を代表させて説明する。
【0062】
軸110には、その大径部111の両側にフランジ175,175が固定されており、このフランジ175に取付板170が固定される。
【0063】
図5に示すように、取付板170の中央部には、軸110の小径部112または113の挿通孔171が設けられており、この挿通孔171に、軸の小径部が挿通され、上記フランジ175に対して、図示しないネジ等で取付板170が固定される。取付板170には、付勢手段160の取付空所172が形成されている。
【0064】
付勢手段160は、バックアップローラ151の軸端151aを回転可能に支持する軸受部材161,161と、この軸受部材161,161を軸110の半径方向外方に向けて付勢する圧縮バネ162,162とを備えている。
【0065】
軸受部材161の両側部には、ガイド溝161a,161aが設けられており、これらガイド溝161a,161aに、取付板170の取付空所172をなす側縁部172a,172aが図6(a)に示すように係合していることによって、軸受部材161は軸110の半径方向(図6(b)の矢印Y方向)にスライド可能に取付板170に取り付けられる。
【0066】
圧縮バネ162は、軸受部材161と前記フランジ175の筒状部176との間に設けられている。
【0067】
以上のようなバックアップローラ151,152,153は、前記圧縮バネ162を収縮させるようにして像担持体140内部に配置され、配置された状態では、図1、図3に示すように、圧縮バネ162の付勢力でもって像担持体140を内方から支持することとなる。
【0068】
そして、以上のような像担持体ユニット100は、図3に示すように、画像形成装置に組み込まれ、駆動用のギア122に画像形成装置本体の駆動ギア(図示せず)が噛み合うことによって、その像担持体(感光体)140が矢印a方向に回転駆動される。
【0069】
図3において、220は前述した帯電ローラ、Lは感光体140表面を選択的に露光するレーザー光、300(Y,M,C,K)は現像ローラ、230は前述した転写ローラ、210は前述したクリーニング部材である。
【0070】
帯電ローラ220は、感光体140の外周面に当接して外周面を一様に帯電させるようになっている。
【0071】
レーザー光Lは、図示しない露光手段から発せられ、感光体140の表面を選択的に露光して感光体140の表面に静電潜像を形成するようになっている。
【0072】
各現像ローラ300(Y,M,C,K)は、それぞれ感光体140に対して接離可能に構成されており、いずれか1つの現像ローラのみが感光体140に当接し得るようになっている。現像ローラ300(Y)はイエロートナーを、300(M)はマゼンタトナーを、300(C)はシアントナーを、300(K)はブラックトナーを感光体140上に供給する。これらの現像ローラは、表面を粗面化した金属ローラ、または、硬質の樹脂ローラで構成されている。
【0073】
転写ローラ230と感光体140との間には中間転写ベルト400が循環駆動されるようになっており、この中間転写ベルト400に対しては、図示しない2次転写ローラが対向配置されている。中間転写ベルト400が循環駆動される過程で、転写ローラ230(1次転写ローラ)と感光体140との間において、感光体140上のトナー像が中間転写ベルト400上に転写され、中間転写ベルト400上に転写されたトナー像が、2次転写ローラとの間に供給される用紙等の記録媒体に転写されるようになっている。
【0074】
クリーニング部材210は、クリーニングブレードで構成されている。このクリーニングブレード210、および帯電ローラ220は、サブケース240に組み込まれている。このサブケース240は、前述した側板181,182(図1参照)を利用して像担持体ユニット100と組み合わせて単一のユニットとすることができる。
【0075】
この画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーを用いてフルカラー画像を形成することのできる装置であり、その作動は次の通りである。
【0076】
(i)図示しないホストコンピュータ(パーソナルコンピュータ等)からの印字指令信号(画像形成信号)が入力されると、感光体140および中間転写ベルト400が回転駆動される。
【0077】
(ii)感光体140の外周面が帯電ローラ220によって一様に帯電される。
【0078】
(iii)一様に帯電した感光体140の外周面に、図示しない露光手段によって第1色目(例えばイエロー)の画像情報に応じた選択的な露光Lがなされ、イエロー用の静電潜像が形成される。
【0079】
(iv)感光体140には、第1色目(例えばイエロー)用の現像ローラ300Yのみが接触し、これによって上記静電潜像が現像され、第1色目(例えばイエロー)のトナー像が感光体140上に形成される。
【0080】
(v)感光体140上に形成されたトナー像が、1次転写部すなわち、感光体140と1次転写ローラ230との間において中間転写ベルト400上に転写される。このとき、2次転写ローラは中間転写ベルト400から離間している。
【0081】
(vi)感光体140上に残留しているトナーがクリーニング部材210によって除去された後、除電手段(図示せず)によって感光体140が除電される。
【0082】
(vii)上記(ii)〜(vi)の動作が必要に応じて繰り返される。すなわち、上記印字指令信号の内容に応じて、第2色目、第3色目、第4色目、と繰り返され、上記印字指令信号の内容に応じたトナー像が中間転写ベルト400上において重ね合わされて中間転写ベルト400上に形成される。
【0083】
(viii)所定のタイミングで2次転写部(中間転写ベルト400と2次転写ローラとの接触部)に用紙等の記録媒体が供給され、中間転写ベルト400上のトナー像(基本的にはフルカラー画像)が記録媒体上に転写される。
【0084】
以上のような像担持体ユニット100によれば、次のような作用効果が得られる。
【0085】
(a)薄肉円筒状の像担持体140の両端部141が、軸110に対して回転可能に取り付けられた一対の円板状部材120,130によって支持固定されているので、円板状部材120,130が回転駆動するされると、像担持体140が確実に回転駆動されることとなる。
【0086】
また、像担持体140の両端部141が、一対の円板状部材120,130によって支持固定された構成となっているので、耐久性にも優れている。
【0087】
(b)像担持体140は、可撓性を有する薄肉円筒状であり、その両端部141が円板状部材120,130によって支持された構成となっているので、像担持体140は、円板状部材120,130によって支持されていない中央部分142(図1参照)が内方に変形可能である。
【0088】
したがって、この像担持体140の中央部分142のうち、バックアップ部材151,152,153が設けられていない部分は、いわば疑似軟質材として利用することが可能であるため、これに当接させる部材が上記現像ローラ300等の硬質ローラ等であっても、確実で安定した接触状態を得ることができ、確実に像担持体140に像を形成し、あるいは像を担持させることができる。
【0089】
一方、像担持体140に対しては、その外周面に、当接部材としてのクリーニング部材210、帯電ローラ220、転写ローラ230が当接されるが、その当接位置においては、像担持体140がバックアップ部材151,152,153によって内方から支持されているので、これら当接部材を確実に当接させることができる。
【0090】
すなわち、クリーニング部材210および帯電ローラ220を像担持体140に確実に当接させて、像担持体140の外周面に残存したトナーを確実に除去し、また確実に帯電させることができる。また、転写位置においても、転写ローラ230部分における中間転写ベルト400に対して像担持体140を確実に当接させることができる。
【0091】
しかも、仮にこれらのバックアップ部材151等がない状態でクリーニング部材210等を像担持体140に当接させたとすると、薄肉円筒状である像担持体140がクリープ変形するおそれがあるが、この実施の形態の像担持体ユニット100によれば、このようなおそれもなくなる。
【0092】
さらに、バックアップ部材151等は、付勢手段160によって付勢された状態で像担持体140を内方から支持することとなるので、像担持体140とバックアップ部材151等との位置精度が向上する。
【0093】
(c)軸110に対して回転可能に取り付けられた一対の円板状部材120,130によって像担持体140の両端部141が支持固定されているとともに、像担持体140の内方においてバックアップ部材151等が軸110に取り付けられていることによってユニット化されているので、取扱いが容易になる。
【0094】
以上のように、この実施の形態の像担持体ユニット100によれば、当接部材との確実で安定した接触状態を得ることが可能で、耐久性および取扱い性に優れ、確実に駆動することができるという作用効果が得られる。
【0095】
さらに、
(d)バックアップ部材151,152,153は、回転可能なローラで構成されているので、像担持体140に対する負荷を小さくすることができ、したがって、像担持体140の駆動トルクを低減することができる。
【0096】
<第2の実施の形態>
図7は本発明に係る像担持体ユニットの第2の実施の形態を主として示す正断面図(図3におけるI−I断面に相当する図)である。この図において、図1に示したものと同様の部分については同じ符号を付してその説明は省略する。
【0097】
この第2の実施の形態が、上述した第1の実施の形態と異なる点は、バックアップローラ151,152,153(図では151のみ図示)の軸端151a,151aに位置決め用のローラ163,163を設け、このローラ163,163を、円板状部材120,130の支持部121,131の内周面121b,131bに当接させることによって、バックアップローラ151,152,153の位置決めを行なうようにした点にあり、その他の点に変わりはない。
【0098】
このような構成によると、上述した(a)(b)(c)(d)の作用効果に加え、さらに次のような作用効果(e)が得られる。
【0099】
(e)ローラ163,163が、円板状部材120,130の支持部121,131の内周面121b,131bに当接することによって、バックアップローラ151,152,153の位置決めがなされる、すなわち、圧縮バネ162の付勢力が支持部121,131によって受けられることとなるので、像担持体140に不要な力が作用することを防止することができる。したがって、像担持体140内面の摩耗を低減することができる。また、支持部121,131に対する像担持体140の固定強度を過大にする必要がなくなり、低コスト化も図ることができる。
【0100】
<第3の実施の形態>
図8は本発明に係る像担持体ユニットの第3の実施の形態を主として示す正断面図(図3におけるI−I断面に相当する図)である。この図において、図1に示したものと同様の部分については同じ符号を付してその説明は省略する。
【0101】
この第3の実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる点は、円板状部材120’,130’の支持部121’,131’の軸線方向長さを比較的長く形成し、その内周面121’b,131’bに、バックアップローラ151,152,153(図では151のみ図示)の両端部分を像担持体140を介して当接させることによって、バックアップローラ151,152,153の位置決めを行なうようにした点にある。
【0102】
また、これにともない、像担持体140の両端部141を支持部121’,131’に固定するための、リング状部材133’(123’)、弾性リング134(124)、およびリング状スライダ135(125)を支持部121’,131’の内方に配置した点にある。
【0103】
したがって、この実施の形態においては、リング状部材133’のフランジ133’bは内側に、ストッパ部133’cは外側に形成されており、ネジ136を回転させてリング状スライダ135をスライドさせると、弾性リング134の外周面134bが外方に膨出して、この外周面134bと支持部131’の内周面131’bとの間に像担持体140の端部141が挟圧されて固定されることとなる。
【0104】
なお、図8において、123dはリング状部材123’(133’)を円板状部材120’(130’)に固定するネジのためのネジ穴である。
【0105】
このような構成によると、上述した(a)(b)(c)(d)(e)の作用効果に加え、さらに次のような作用効果(f)(g)が得られる。
【0106】
(f)バックアップローラ151,152,153が円板状部材120’,130’の支持部121’,131’の内周面121’b,131’bによって位置決めされるとともに、この内周面によって像担持体140も位置決めされるので、結果としてバックアップローラ151,152,153と像担持体140との位置決め精度が一層向上する。
【0107】
(g)弾性リング134の外周面134bが外方に膨出することによって像担持体140が固定されるので、固定時に像担持体の140の端部に皺がよる等の事態を比較的容易に防止することができる。
【0108】
【実施例】
バックアップ部材の半径方向の位置精度は、±100μm程度とすることが望ましい。また、円周方向(像担持体140の回転方向)の位置精度は、±1゜以内程度とする事が望ましい。
【0109】
像担持体140に対する、帯電ローラ220、現像ローラ310、転写ローラ230の当接量(像担持体140の凹み量)は0.5mm以下とすることが望ましい。
【0110】
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0111】
例えば、
▲1▼付勢手段の構成は適宜採用することができ、例えば、図9に示すように、取付板170’の取付空所172’に軸受部材161をスライド可能に取り付けるとともに、レバー177を軸177aで揺動可能に取り付け、その一端177bを軸受部材161に連結し、他端177cと取付板のバネ掛け部178との間に引っ張りバネ179を設けてバックアップローラ151,152,153がそれぞれ半径方向外方に付勢されるようにしても良い。
【0112】
▲2▼上記実施の形態では像担持体ユニットを感光体ユニットとして説明したが、本発明の像担持体ユニットは、これに限らず、中間転写媒体ユニットとしても構成することができる。この場合、像担持体は薄肉円筒状の中間転写媒体となる。
【0113】
【発明の効果】
請求項1〜3記載のいずれの像担持体ユニットによっても、当接部材との確実で安定した接触状態を得ることが可能で、耐久性および取扱い性に優れ、確実に駆動することができるという効果が得られる。
【0114】
しかも、薄肉円筒状である像担持体がクリープ変形するおそれもなくなり、像担持体とバックアップ部材との位置精度も向上する。
【0115】
さらに、
請求項2記載の像担持体ユニットによれば、クリーニング部材を確実に当接させて、像担持体の外周面に残存した現像剤を確実に除去することができる。
【0116】
請求項3記載の像担持体ユニットによれば、像担持体の駆動トルクを低減することができる。
【0117】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る像担持体ユニットの第1の実施の形態を主として示す正断面図(図3におけるI−I断面に相当する図)。
【図2】上記像担持体ユニットの左側面図。
【図3】上記像担持体ユニットを画像形成装置に組み込んだ状態を示す部分側面図。
【図4】像担持体端部の固定構造を示す図で、図1の部分拡大図。
【図5】バックアップローラの取付構造を示す図で、(a)は分解部分正面図、(b)は側面図。
【図6】バックアップローラの取付構造を示す図で、(a)は横断面図(図(b)におけるa−a断面図、(b)は部分側面図。
【図7】本発明に係る像担持体ユニットの第2の実施の形態を主として示す正断面図(図3におけるI−I断面に相当する図)。
【図8】本発明に係る像担持体ユニットの第3の実施の形態を主として示す正断面図(図3におけるI−I断面に相当する図)。
【図9】付勢手段の変形例を示す側面図。
【図10】(a)(b)は従来技術の説明図。
【符号の説明】
100 像担持体ユニット
110 軸
120 円板状部材
130 円板状部材
140 像担持体
151〜153 バックアップローラ(バックアップ部材)
160 付勢手段
210 クリーニング部材
300 現像ローラ

Claims (3)

  1. それ自身では回転しない軸と、
    この軸に対して回転可能に取り付けられた一対の円板状部材と、
    これら一対の円板状部材によって両端部が支持固定され円板状部材とともに回転する可撓性を有する薄肉円筒状の像担持体と、
    この像担持体に対してその外方から当接する複数の当接部材と,
    前記像担持体の内方において前記軸に取り付けられ、像担持体に対してその外方から当接部材が当接されるそれぞれの当接位置において像担持体を内方から支持する複数のバックアップ部材と、
    れらバックアップ部材を前記支持方向に向けて個別に付勢する複数の付勢手段と、
    を備えたことを特徴とする像担持体ユニット。
  2. 前記当接部材のうちの1つが、前記像担持体の外周面に残存した現像剤を除去するクリーニング部材であることを特徴とする請求項1記載の像担持体ユニット。
  3. 前記バックアップ部材は、回転可能なローラであることを特徴とする請求項1または2記載の像担持体ユニット。
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