JP3651494B2 - 液体封入式マウント - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば自動車のエンジンマウントとして用いられ、振動減衰に、オリフィス内での液体の流動抵抗を利用した液体封入式マウントに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンを防振支持するマウントには、アイドリング時や走行中の継続的な機関振動の伝達に対する絶縁性のほか、エンジン始動時の低周波大振幅の振動や走行中の車体のバウンド等による衝撃振動を速やかに減衰させるための優れた制振性が要求されている。そしてこのような機能を実現するものとしては、典型的には実開平2−103542号公報に開示された液体封入式マウントがある。この液体封入式マウントは、振動入力に伴う弾性体の変形によって容積変化を受ける複数の室が円周方向に延びる流路を介して互いに連絡されており、前記複数の室間で液体が前記流路を通じて流通する時の流動抵抗によって、入力振動に対する減衰力を得るものである。特に、前記上下2段のオリフィスを互いに連通した構造とすることによって、その流路長を長くし、大きな減衰を得るようにしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の液体封入式マウントにおいては、上下2段のオリフィスを形成するための複数の部材の形状が複雑で、その製作にはダイキャストで複雑な分割形状の型を使用しなければならず、製造コストが高くなってしまう問題がある。したがって本発明が解決しようとする技術的課題は、継続的な機関振動の入力に対する優れた振動絶縁性及び大振幅の振動入力に対する優れた制振性を備えた液体封入式マウントを安価に提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するため、本発明に係る液体封入式マウントは、弾性体側の第一液室及びダイアフラム側の第二液室の間を仕切る隔壁の外周部に複数の張り出し部が形成され、ケースにおける弾性体との接合端に形成された円周溝部と前記第一液室側の張り出し部との間及び前記ケースと前記複数の張り出し部との間にそれぞれ円周方向に延びるオリフィスが形成され、この複数のオリフィスはその間に介在する張り出し部に開設された連通孔を介して互いに連続した流路をなすと共に、前記複数のオリフィスの断面面積が互いに同一であり、この流路の一端が前記円周溝部に形成された開口部を介して前記第一液室に開放され、他端が前記第二液室側の張り出し部に形成された開口部を介して前記第二液室に開放され、前記ケースは、一端に前記円周溝部を設けるとともに他端に部品組付用のカシメ部を設けた外筒を有し、前記隔壁は、前記第一液室及び第二液室を仕切るとともに前記張り出し部を設けた仕切板と、前記仕切板に嵌合されるとともに前記張り出し部を設けた金属環とを有し、前記外筒、仕切板および金属環にて複数段の前記オリフィスが形成されているものである。あるいは、前記連通孔を介して互いに連続した流路をなす前記複数のオリフィスのうち一部のオリフィスはそれぞれ、円周上時計回りに封入液体が流れる部分と反時計回りに封入液体が流れる部分とに分岐されると共に、その断面面積を他のオリフィスの断面面積の50〜75%としたものである。
【0005】
【作用】
上記構成の液体封入式マウントによれば、機関振動等による小振幅の高周波振動に対しては、振動変位の入力に伴う第一液室の容積(液圧)変化をエラストマからなる弾性体の拡張弾性により吸収して振動絶縁作用を発揮する。また、大振幅の低周波振動に対しては、弾性体が大きく変形されることによる第一液室の容積(液圧)変化に伴って、第二液室との間を連通する流路を封入液体が強制的に流通され、この時の流動抵抗による振動減衰力を得る。前記流路は、ケースにおける円周溝部と、隔壁における複数の張り出し部とによって円周方向に形成された複数のオリフィスを互いに連続させて流路長を長くしたことによって、大きな減衰力を得る。
【0006】
【実施例】
第一実施例・・・
図1は本発明に係る液体封入式マウントの第一の実施例を軸心を通る平面で切断した断面図、図2は図1のA−A’線で切断した断面図、図3は同B−B’線で切断した断面図、図4は同C−C’線で切断した断面図である。これらの図において、参照符号1は、外筒11及びその下側のカップ部材12がカシメにより互いに連結された金属製のケースであり、カップ部材12が取付ボルト13を介して例えば車体フレーム(図示省略)側に連結される。2はケース1の外筒11の上方に同心的に配置された金属製のセンターボスであり、上面に突出された取付ボルト21を介して例えばエンジン(図示省略)側に連結される。センターボス2と、ケース1の外筒11の上部接合端との間には、傘状の厚肉エラストマからなる弾性体3が加硫接着されている。ケース1における外筒11とカップ部材12のカシメ部1aには、エラストマからなるダイアフラム4とその上側の隔壁5が一体にカシメ固定されている。カップ部材12には、その内周空間を外部に開放してダイアフラム4の作動が阻害されないようにするための通気孔12aが開設されている。
【0007】
隔壁5は、弾性体3とダイアフラム4との間であって封入液体Lが充填される空間を、弾性体3側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とに仕切るように設けられており、外筒11の内周面に弾性体3の一部が回り込んで形成された弾性膜31と全周密接された第一の張り出し部51aを有する金属環51と、その下側にあって外筒11とカップ部材12とのカシメ部に固定された第二の張り出し部52aを有する皿状の金属製仕切板52からなる。金属環51は、その第一の張り出し部51aの内周側に形成された筒状部51bが、仕切板52における第二の張り出し部52aの内周側に形成された環状段差部52bに密接嵌合され、これによって仕切板52と一体化されている。
【0008】
第一液室6と第二液室7は、ケース1の外筒11の内周に沿って円周方向に延びる上下2段のオリフィス81,82からなる流路8を介して互いに連通されている。前記外筒11は、弾性体3との接合端が一旦上方へ延びて更に下側かつ内周側へ折り返されることによって円周溝部11aを有し、上側の1段目のオリフィス81は、弾性体3の一部が回り込んで被着されたこの円周溝部11aと、隔壁5における第一の張り出し部51aとの間を、図2に示すように、円周方向に略C字状に周回するように形成されている。また、その下側の2段目のオリフィス82は、隔壁5における前記第一の張り出し部51aと第二の張り出し部52aとの間を、図3に示すように、環状に連続するように形成されている。
【0009】
図2に示す1段目のオリフィス81の円周方向一端81aは、円周溝部11aに形成された開口部11bを通じて第一液室6に開放されており、円周方向他端81bは、図3に示す2段目のオリフィス82との間に介在する第一の張り出し部51aに形成された切欠からなる連通孔51cを通じて、この2段目のオリフィス82と互いに連通している。2段目のオリフィス82は、前記連通孔51cから円周方向に180°異なる位置で、図4に示す隔壁5の第二の張り出し部52aに形成された開口部52cを通じて第二液室7に開放されている。
【0010】
次に、この液体封入式マウントの作動について説明すると、エンジンの高速回転による高周波数域の継続的な機関振動が入力された場合、このような振動は振幅が極めて小さいため、第一液室6の液圧変化は弾性体3の僅かな拡張弾性変形の範囲で十分に吸収される程度のものである。したがって、封入液体Lは流路8を殆ど流通せず、動ばね定数が低く維持されて優れた振動絶縁性を発揮する。また、車体のバウンドによる衝撃等のように、弾性体3の拡張弾性変形による液圧吸収能力を超えるような、第一液室6の大きな液圧変化を発生させる大振幅の振動が入力された場合は、封入液体Lがオリフィス81,82からなる流路8を通じて第一液室6と第二液室7の間を流通し、この時の流動抵抗によって、衝撃入力に対する良好な緩衝性を得ると共に、その振動を短時間で制止する。このとき2段目のオリフィス82内では、封入液体Lの流れは、1段目のオリフィス81への連通孔51cと第二液室7への開口部52cとの間で、図3における時計方向と反時計方向とに分岐される。したがって、図1に示す断面における2段目のオリフィス82の断面面積は、1段目のオリフィス81の断面面積の50〜75%としてある。
【0011】
この実施例の液体封入式マウントによれば、第一液室6と第二液室7とを仕切る隔壁5が、金属板のプレス成形品である金属環51と仕切板52を互いに嵌合した簡素な構造であり、上下2段のオリフィス81,82は、ケース1における外筒11及びカップ部材12と、隔壁5と、ダイアフラム4とを互いにカシメ一体化することによって、外筒11の円周溝部11aと隔壁5における第一の張り出し部51aとの間及び前記第一の張り出し部51aと第二の張り出し部52aとの間に形成されたものである。しかも、小振幅の高周波振動は、従来のような可動仕切板によらず、弾性体3の拡張弾性を利用して吸収するようにしたため、部品数が少なく、安価に製作することができる。
【0012】
尚、この第一実施例に係る液体封入式マウントは、その構成を換言すると、一方の取付部2および他方の取付部1をゴム状弾性材製の弾性体3を介して接続するとともに前記他方の取付部1にダイアフラム4を接続して気密空間を設け、前記気密空間に仕切部5を設けて前記気密空間を一方の取付部2側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とに仕切り、前記仕切部5に前記両室6,7を連通するオリフィス81,82を設けるとともに前記両室6,7に作動液Lを封入した液体封入式マウントにおいて、前記他方の取付部2が、円周溝部11aを備えた外筒11を有し、前記仕切部5が、前記外筒11の内周側に固定されるとともに互いに嵌合された金属環51および仕切板52を有し、前記金属環51が第一の張り出し部51aを備えるとともに前記仕切板52が第二の張り出し部52aを備え、前記オリフィス81,82が、前記円周溝部11aおよび第一の張り出し部51aの間に形成された第一のオリフィス81と、前記第一の張り出し部51aおよび第二の張り出し部52aの間に形成された第二のオリフィス82との二段構造からなることを特徴とするものである。
【0013】
第二実施例・・・
図5は本発明に係る液体封入式マウントの第二の実施例を軸心を通る平面で切断した断面図、図6は図5のD−D’線で切断した断面図、図7は同E−E’線で切断した断面図、図8は図7のF−F’線で切断した断面図、図9は図5のG−G’線で切断した断面図、図10は金属環51の平面図、図11は図10のH−O−H線で切断した断面図、図12は図10のI方向矢視図である。これらの図において、参照符号1は、外筒11及びその下側のカップ部材12がカシメにより互いに連結された金属製のケースであり、カップ部材12が取付ボルト13を介して例えば車体フレーム(図示省略)側に連結される。2はケース1の外筒11の上方に同心的に配置された金属製のセンターボスであり、上面に突出された取付ボルト21を介して例えばエンジン(図示省略)側に連結される。センターボス2と、ケース1の外筒11の上部接合端との間には、傘状の厚肉エラストマからなる弾性体3が加硫接着されている。ケース1における外筒11とカップ部材12のカシメ部1aには、エラストマからなるダイアフラム4とその上側の隔壁5が一体にカシメ固定されている。カップ部材12には、その内周空間を外部に開放してダイアフラム4の作動が阻害されないようにするための通気孔12aが開設されている。
【0014】
隔壁5は、弾性体3とダイアフラム4との間であって封入液体Lが充填される空間を、弾性体3側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とに仕切るように設けられており、外筒11の内周面に弾性体3の一部が回り込んで形成された弾性膜31と全周密接された第一の張り出し部51aを有する金属環51と、その下側にあって外筒11とカップ部材12とのカシメ部に固定された第二の張り出し部52aを有する皿状の金属製仕切板52からなる。金属環51は、その第一の張り出し部51aの内周側に形成された筒状部51bが、仕切板52における第二の張り出し部52aの内周側に形成された環状段差部52bに密接嵌合(圧入)され、これによって仕切板52と一体化されている。
【0015】
第一液室6と第二液室7は、ケース1の外筒11の内周に沿って円周方向に延びる上下2段のオリフィス81,82からなる流路8を介して互いに連通されている。前記外筒11は、弾性体3との接合端が一旦上方へ延びて更に下側かつ内周側へ折り返されることによって円周溝部11aを有し、上側の1段目のオリフィス81は、弾性体3の一部が回り込んで被着されたこの円周溝部11aと、隔壁5における第一の張り出し部51aとの間を、図6に示すように、円周方向に略C字状に周回するように形成されている。また、その下側の2段目のオリフィス82は、隔壁5における前記第一の張り出し部51aと第二の張り出し部52aとの間を、図7に示すように、円周方向に略C字状に周回するように形成されている。この下側の2段目のオリフィス82が、上記した第一実施例のように環状ではなく平面的に略C字状を成しているのは、金属環51の張り出し部51aおよび筒状部51bに、図12に最も良く示されているような、I方向((図10参照)から見て略U字状を呈する流路分断部61が一体に設けられているからである。この流路分断部61の下面62は、図8に示すように、仕切板52の第二の張り出し部52aの上面に接触しており、またその先端面63はU字の全体が弾性膜31に接触している。またこの下側の2段目のオリフィス82の断面面積は、上記第一実施例の場合と異なって、上側の1段目のオリフィス81の断面面積と同じに設定されている(流れが分岐されないため)。
【0016】
図6に示す1段目のオリフィス81の円周方向一端81aは、円周溝部11aに形成された開口部11bを通じて第一液室6に開放されており、円周方向他端81bは、図7に示す2段目のオリフィス82との間に介在する第一の張り出し部51aに形成された切欠からなる連通孔51cを通じて、この2段目のオリフィス82と互いに連通している。2段目のオリフィス82は、前記連通孔51cから円周方向に180°異なる位置で、図9に示す隔壁5の第二の張り出し部52aに形成された開口部52cを通じて第二液室7に開放されている。
【0017】
次に、この液体封入式マウントの作動について説明すると、エンジンの高速回転による高周波数域の継続的な機関振動が入力された場合、このような振動は振幅が極めて小さいため、第一液室6の液圧変化は弾性体3の僅かな拡張弾性変形の範囲で十分に吸収される程度のものである。したがって、封入液体Lは流路8を殆ど流通せず、動ばね定数が低く維持されて優れた振動絶縁性を発揮する。また、車体のバウンドによる衝撃等のように、弾性体3の拡張弾性変形による液圧吸収能力を超えるような、第一液室6の大きな液圧変化を発生させる大振幅の振動が入力された場合は、封入液体Lがオリフィス81,82からなる流路8を通じて第一液室6と第二液室7の間を流通し、この時の流動抵抗によって、衝撃入力に対する良好な緩衝性を得ると共に、その振動を短時間で制止する。
【0018】
この実施例の液体封入式マウントによれば、第一液室6と第二液室7とを仕切る隔壁5が、金属板のプレス成形品である金属環51と仕切板52を互いに嵌合した簡素な構造であり、上下2段のオリフィス81,82は、ケース1における外筒11及びカップ部材12と、隔壁5と、ダイアフラム4とを互いにカシメ一体化することによって、外筒11の円周溝部11aと隔壁5における第一の張り出し部51aとの間及び前記第一の張り出し部51aと第二の張り出し部52aとの間に形成されたものである。しかも、小振幅の高周波振動は、従来のような可動仕切板によらず、弾性体3の拡張弾性を利用して吸収するようにしたため、部品数が少なく、安価に製作することができる。また開口部52bの開口位置を変更することによって簡単に下側の2段目のオリフィス82の流路長さを変更することができ、これにより簡単にこのオリフィス82の特性を変更することができる。
【0019】
尚、この第二実施例に係る液体封入式マウントは、その構成を換言すると、一方の取付部2および他方の取付部1をゴム状弾性材製の弾性体3を介して接続するとともに前記他方の取付部1にダイアフラム4を接続して気密空間を設け、前記気密空間に仕切部5を設けて前記気密空間を一方の取付部2側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とに仕切り、前記仕切部5に前記両室6,7を連通するオリフィス81,82を設けるとともに前記両室6,7に作動液Lを封入した液体封入式マウントにおいて、前記他方の取付部2が、円周溝部11aを備えた外筒11を有し、前記仕切部5が、前記外筒11の内周側に固定されるとともに互いに嵌合された金属環51および仕切板52を有し、前記金属環51が第一の張り出し部51aを備えるとともに前記仕切板52が第二の張り出し部52aを備え、前記オリフィス81,82が、前記円周溝部11aおよび第一の張り出し部51aの間に形成された第一のオリフィス81と、前記第一の張り出し部51aおよび第二の張り出し部52aの間に形成された第二のオリフィス82との二段構造からなり、前記第一の張り出し部51aに、前記第二のオリフィス82の流路形状を平面略C字状に特定する流路分断部61が設けられていることを特徴とするものである。
【0020】
第三実施例・・・
図13は本発明に係る液体封入式マウントの第三の実施例を軸心を通る平面で切断した断面図、図14は図13のJ−J’線で切断した断面図、図15は同K−K’線で切断した断面図である。この実施例の液体封入式マウントは、隔壁5が、ケース1の外筒11の内周面に弾性体3の一部が回り込んで形成された弾性膜31と全周密接された第一及び第二の張り出し部53a,53bを有する断面略コ字形の金属環53と、外筒11とカップ部材12とのカシメ部1aに固定された第三の張り出し部54aを有する伏皿状の金属製仕切板54からなる。金属環53は、その内周面が、仕切板54に形成された環状段差部54bに密接嵌合され、これによって仕切板54と一体化されている。
【0021】
上側の1段目のオリフィス91は、ケース1における外筒11の接合端に屈曲形成されると共に弾性体3の一部が回り込んで被着された円周溝部11aと、隔壁5における第一の張り出し部53aとの間を、図2に示す第一の実施例における1段目のオリフィス81と同様に、円周方向に略C字状に周回するように形成されている。その下側の2段目のオリフィス92は、金属環53における第一の張り出し部53aと第二の張り出し部53bとの間を、図14に示すように、環状に連続するように形成されている。そして更にその下側の3段目のオリフィス93は、金属環53における第二の張り出し部53bと、仕切板54における第三の張り出し部54aとの間に環状に連続するように形成されている。
【0022】
外筒11の内周に沿ってC字状に周回する1段目のオリフィス91の円周方向一端は、開口部11bを通じて第一液室6に開放されており、円周方向他端は、図14に示す2段目のオリフィス92との間に介在する第一の張り出し部53aに形成された切欠からなる連通孔53cを通じて、この2段目のオリフィス92と互いに連通している。2段目のオリフィス92は、前記連通孔53cに対して円周方向に180°異なる位置で、図15に示す第二の張り出し部53bに形成された切欠からなる連通孔53dを通じて3段目のオリフィス93と互いに連通している。更にこの3段目のオリフィス93は、前記連通孔53dに対して円周方向に180°異なる位置で、仕切板54に開設された開口部54cを通じて第二液室7に開放されている。
【0023】
上述以外の部分は、先の第一の実施例とほぼ同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0024】
この第三の実施例の液体封入式マウントによれば、弾性体3側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とを互いに連絡する流路9が、上下3段のオリフィス91〜93からなるため、先の第一の実施例における流路8が上下2段のオリフィス81,82を連続させたものであるのに比較して、流路長をより長くでき、大振幅の入力振動に対する一層優れた緩衝性及び制振性を得ることができる。しかも、第一の実施例との比較から明らかなように、隔壁5を構成する金属環と仕切板の形状変更によって、部品数の増加や、構造の複雑化を来すことなく流路長の増大による機能向上を実現させているものである。
【0025】
この第三の実施例においては、2段目のオリフィス92内では、封入液体Lの流れは、1段目のオリフィス91への連通孔53cと3段目のオリフィス93への連通孔53dとの間で、図14における時計方向と反時計方向とに分岐され、3段目のオリフィス93内では、封入液体Lの流れは、2段目のオリフィス92への連通孔53dと第二液室7への開口部54cとの間で、図15における時計方向と反時計方向とに分岐される。したがって、図13に示す断面における2段目及び3段目のオリフィス92,93の断面面積は、1段目のオリフィス91の断面面積の50〜75%としてある。
【0026】
尚、この第三実施例に係る液体封入式マウントは、その構成を換言すると、一方の取付部2および他方の取付部1をゴム状弾性材製の弾性体3を介して接続するとともに前記他方の取付部1にダイアフラム4を接続して気密空間を設け、前記気密空間に仕切部5を設けて前記気密空間を一方の取付部2側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とに仕切り、前記仕切部5に前記両室6,7を連通するオリフィス91,92,93を設けるとともに前記両室6,7に作動液Lを封入した液体封入式マウントにおいて、前記他方の取付部2が、円周溝部11aを備えた外筒11を有し、前記仕切部5が、前記外筒11の内周側に固定されるとともに互いに嵌合された金属環53および仕切板54を有し、前記金属環53が第一の張り出し部53aおよび第二の張り出し部53bを備えるとともに前記仕切板54が第三の張り出し部54aを備え、前記オリフィス91,92,93が、前記円周溝部11aおよび第一の張り出し部53aの間に形成された第一のオリフィス91と、前記第一の張り出し部53aおよび第二の張り出し部53bの間に形成された第二のオリフィス92と、前記第二の張り出し部53bおよび第三の張り出し部54aの間に形成された第三のオリフィス93との三段構造からなることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明は、上述の各実施例の構成に限定されるものではない。例えば、2段目のオリフィスあるいは3段目のオリフィスも、1段目のオリフィスと同様に、C字形に周回する形状としても良い。この場合は、2段目のオリフィスあるいは3段目のオリフィスは、断面面積を1段目のオリフィスと同一とする。
【0028】
【発明の効果】
本発明の液体封入式マウントによれば、大振幅の振動に対する減衰力を得るため、複数のオリフィスを連続させることによって流路長を増大させたものであって、これら複数のオリフィスがケースと隔壁によって形成されており、複雑な部品を用いないので、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体封入式マウントの第一の実施例を軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図2】図1におけるA−A’線上で切断した断面図である。
【図3】図1におけるB−B’線上で切断した断面図である。
【図4】図1におけるC−C’線上で切断した断面図である。
【図5】本発明に係る液体封入式マウントの第二の実施例を軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図6】図5におけるD−D’線上で切断した断面図である。
【図7】図5におけるE−E’線上で切断した断面図である。
【図8】図7におけるF−F’線上で切断した断面図である。
【図9】図5におけるG−G’線上で切断した断面図である。
【図10】金属環の平面図である。
【図11】図10におけるH−O−H線上で切断した断面図である。
【図12】図10におけるI方向矢視図である。
【図13】本発明に係る液体封入式マウントの第三の実施例を軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図14】図13におけるJ−J’線上で切断した断面図である。
【図15】図13におけるK−K’線上で切断した断面図である。
【符号の説明】
1 ケース
11 外筒
11a 円周溝部
11b,52c,54c 開口部
12 カップ部材
12a 通気孔
13,21 取付ボルト
2 センターボス
3 弾性体
31 弾性膜
4 ダイアフラム
5 隔壁
51,53 金属環
51a,53a 第一の張り出し部
51b 筒状部
51c,53c,53d 連通孔
52,54 仕切板
52a,53b 第二の張り出し部
52b,54b 環状段差部
54a 第三の張り出し部
6 第一液室
7 第二液室
8,9 流路
61 流路分断部
62 下面
63 先端面
81,82,91,92,93 オリフィス
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば自動車のエンジンマウントとして用いられ、振動減衰に、オリフィス内での液体の流動抵抗を利用した液体封入式マウントに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンを防振支持するマウントには、アイドリング時や走行中の継続的な機関振動の伝達に対する絶縁性のほか、エンジン始動時の低周波大振幅の振動や走行中の車体のバウンド等による衝撃振動を速やかに減衰させるための優れた制振性が要求されている。そしてこのような機能を実現するものとしては、典型的には実開平2−103542号公報に開示された液体封入式マウントがある。この液体封入式マウントは、振動入力に伴う弾性体の変形によって容積変化を受ける複数の室が円周方向に延びる流路を介して互いに連絡されており、前記複数の室間で液体が前記流路を通じて流通する時の流動抵抗によって、入力振動に対する減衰力を得るものである。特に、前記上下2段のオリフィスを互いに連通した構造とすることによって、その流路長を長くし、大きな減衰を得るようにしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の液体封入式マウントにおいては、上下2段のオリフィスを形成するための複数の部材の形状が複雑で、その製作にはダイキャストで複雑な分割形状の型を使用しなければならず、製造コストが高くなってしまう問題がある。したがって本発明が解決しようとする技術的課題は、継続的な機関振動の入力に対する優れた振動絶縁性及び大振幅の振動入力に対する優れた制振性を備えた液体封入式マウントを安価に提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するため、本発明に係る液体封入式マウントは、弾性体側の第一液室及びダイアフラム側の第二液室の間を仕切る隔壁の外周部に複数の張り出し部が形成され、ケースにおける弾性体との接合端に形成された円周溝部と前記第一液室側の張り出し部との間及び前記ケースと前記複数の張り出し部との間にそれぞれ円周方向に延びるオリフィスが形成され、この複数のオリフィスはその間に介在する張り出し部に開設された連通孔を介して互いに連続した流路をなすと共に、前記複数のオリフィスの断面面積が互いに同一であり、この流路の一端が前記円周溝部に形成された開口部を介して前記第一液室に開放され、他端が前記第二液室側の張り出し部に形成された開口部を介して前記第二液室に開放され、前記ケースは、一端に前記円周溝部を設けるとともに他端に部品組付用のカシメ部を設けた外筒を有し、前記隔壁は、前記第一液室及び第二液室を仕切るとともに前記張り出し部を設けた仕切板と、前記仕切板に嵌合されるとともに前記張り出し部を設けた金属環とを有し、前記外筒、仕切板および金属環にて複数段の前記オリフィスが形成されているものである。あるいは、前記連通孔を介して互いに連続した流路をなす前記複数のオリフィスのうち一部のオリフィスはそれぞれ、円周上時計回りに封入液体が流れる部分と反時計回りに封入液体が流れる部分とに分岐されると共に、その断面面積を他のオリフィスの断面面積の50〜75%としたものである。
【0005】
【作用】
上記構成の液体封入式マウントによれば、機関振動等による小振幅の高周波振動に対しては、振動変位の入力に伴う第一液室の容積(液圧)変化をエラストマからなる弾性体の拡張弾性により吸収して振動絶縁作用を発揮する。また、大振幅の低周波振動に対しては、弾性体が大きく変形されることによる第一液室の容積(液圧)変化に伴って、第二液室との間を連通する流路を封入液体が強制的に流通され、この時の流動抵抗による振動減衰力を得る。前記流路は、ケースにおける円周溝部と、隔壁における複数の張り出し部とによって円周方向に形成された複数のオリフィスを互いに連続させて流路長を長くしたことによって、大きな減衰力を得る。
【0006】
【実施例】
第一実施例・・・
図1は本発明に係る液体封入式マウントの第一の実施例を軸心を通る平面で切断した断面図、図2は図1のA−A’線で切断した断面図、図3は同B−B’線で切断した断面図、図4は同C−C’線で切断した断面図である。これらの図において、参照符号1は、外筒11及びその下側のカップ部材12がカシメにより互いに連結された金属製のケースであり、カップ部材12が取付ボルト13を介して例えば車体フレーム(図示省略)側に連結される。2はケース1の外筒11の上方に同心的に配置された金属製のセンターボスであり、上面に突出された取付ボルト21を介して例えばエンジン(図示省略)側に連結される。センターボス2と、ケース1の外筒11の上部接合端との間には、傘状の厚肉エラストマからなる弾性体3が加硫接着されている。ケース1における外筒11とカップ部材12のカシメ部1aには、エラストマからなるダイアフラム4とその上側の隔壁5が一体にカシメ固定されている。カップ部材12には、その内周空間を外部に開放してダイアフラム4の作動が阻害されないようにするための通気孔12aが開設されている。
【0007】
隔壁5は、弾性体3とダイアフラム4との間であって封入液体Lが充填される空間を、弾性体3側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とに仕切るように設けられており、外筒11の内周面に弾性体3の一部が回り込んで形成された弾性膜31と全周密接された第一の張り出し部51aを有する金属環51と、その下側にあって外筒11とカップ部材12とのカシメ部に固定された第二の張り出し部52aを有する皿状の金属製仕切板52からなる。金属環51は、その第一の張り出し部51aの内周側に形成された筒状部51bが、仕切板52における第二の張り出し部52aの内周側に形成された環状段差部52bに密接嵌合され、これによって仕切板52と一体化されている。
【0008】
第一液室6と第二液室7は、ケース1の外筒11の内周に沿って円周方向に延びる上下2段のオリフィス81,82からなる流路8を介して互いに連通されている。前記外筒11は、弾性体3との接合端が一旦上方へ延びて更に下側かつ内周側へ折り返されることによって円周溝部11aを有し、上側の1段目のオリフィス81は、弾性体3の一部が回り込んで被着されたこの円周溝部11aと、隔壁5における第一の張り出し部51aとの間を、図2に示すように、円周方向に略C字状に周回するように形成されている。また、その下側の2段目のオリフィス82は、隔壁5における前記第一の張り出し部51aと第二の張り出し部52aとの間を、図3に示すように、環状に連続するように形成されている。
【0009】
図2に示す1段目のオリフィス81の円周方向一端81aは、円周溝部11aに形成された開口部11bを通じて第一液室6に開放されており、円周方向他端81bは、図3に示す2段目のオリフィス82との間に介在する第一の張り出し部51aに形成された切欠からなる連通孔51cを通じて、この2段目のオリフィス82と互いに連通している。2段目のオリフィス82は、前記連通孔51cから円周方向に180°異なる位置で、図4に示す隔壁5の第二の張り出し部52aに形成された開口部52cを通じて第二液室7に開放されている。
【0010】
次に、この液体封入式マウントの作動について説明すると、エンジンの高速回転による高周波数域の継続的な機関振動が入力された場合、このような振動は振幅が極めて小さいため、第一液室6の液圧変化は弾性体3の僅かな拡張弾性変形の範囲で十分に吸収される程度のものである。したがって、封入液体Lは流路8を殆ど流通せず、動ばね定数が低く維持されて優れた振動絶縁性を発揮する。また、車体のバウンドによる衝撃等のように、弾性体3の拡張弾性変形による液圧吸収能力を超えるような、第一液室6の大きな液圧変化を発生させる大振幅の振動が入力された場合は、封入液体Lがオリフィス81,82からなる流路8を通じて第一液室6と第二液室7の間を流通し、この時の流動抵抗によって、衝撃入力に対する良好な緩衝性を得ると共に、その振動を短時間で制止する。このとき2段目のオリフィス82内では、封入液体Lの流れは、1段目のオリフィス81への連通孔51cと第二液室7への開口部52cとの間で、図3における時計方向と反時計方向とに分岐される。したがって、図1に示す断面における2段目のオリフィス82の断面面積は、1段目のオリフィス81の断面面積の50〜75%としてある。
【0011】
この実施例の液体封入式マウントによれば、第一液室6と第二液室7とを仕切る隔壁5が、金属板のプレス成形品である金属環51と仕切板52を互いに嵌合した簡素な構造であり、上下2段のオリフィス81,82は、ケース1における外筒11及びカップ部材12と、隔壁5と、ダイアフラム4とを互いにカシメ一体化することによって、外筒11の円周溝部11aと隔壁5における第一の張り出し部51aとの間及び前記第一の張り出し部51aと第二の張り出し部52aとの間に形成されたものである。しかも、小振幅の高周波振動は、従来のような可動仕切板によらず、弾性体3の拡張弾性を利用して吸収するようにしたため、部品数が少なく、安価に製作することができる。
【0012】
尚、この第一実施例に係る液体封入式マウントは、その構成を換言すると、一方の取付部2および他方の取付部1をゴム状弾性材製の弾性体3を介して接続するとともに前記他方の取付部1にダイアフラム4を接続して気密空間を設け、前記気密空間に仕切部5を設けて前記気密空間を一方の取付部2側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とに仕切り、前記仕切部5に前記両室6,7を連通するオリフィス81,82を設けるとともに前記両室6,7に作動液Lを封入した液体封入式マウントにおいて、前記他方の取付部2が、円周溝部11aを備えた外筒11を有し、前記仕切部5が、前記外筒11の内周側に固定されるとともに互いに嵌合された金属環51および仕切板52を有し、前記金属環51が第一の張り出し部51aを備えるとともに前記仕切板52が第二の張り出し部52aを備え、前記オリフィス81,82が、前記円周溝部11aおよび第一の張り出し部51aの間に形成された第一のオリフィス81と、前記第一の張り出し部51aおよび第二の張り出し部52aの間に形成された第二のオリフィス82との二段構造からなることを特徴とするものである。
【0013】
第二実施例・・・
図5は本発明に係る液体封入式マウントの第二の実施例を軸心を通る平面で切断した断面図、図6は図5のD−D’線で切断した断面図、図7は同E−E’線で切断した断面図、図8は図7のF−F’線で切断した断面図、図9は図5のG−G’線で切断した断面図、図10は金属環51の平面図、図11は図10のH−O−H線で切断した断面図、図12は図10のI方向矢視図である。これらの図において、参照符号1は、外筒11及びその下側のカップ部材12がカシメにより互いに連結された金属製のケースであり、カップ部材12が取付ボルト13を介して例えば車体フレーム(図示省略)側に連結される。2はケース1の外筒11の上方に同心的に配置された金属製のセンターボスであり、上面に突出された取付ボルト21を介して例えばエンジン(図示省略)側に連結される。センターボス2と、ケース1の外筒11の上部接合端との間には、傘状の厚肉エラストマからなる弾性体3が加硫接着されている。ケース1における外筒11とカップ部材12のカシメ部1aには、エラストマからなるダイアフラム4とその上側の隔壁5が一体にカシメ固定されている。カップ部材12には、その内周空間を外部に開放してダイアフラム4の作動が阻害されないようにするための通気孔12aが開設されている。
【0014】
隔壁5は、弾性体3とダイアフラム4との間であって封入液体Lが充填される空間を、弾性体3側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とに仕切るように設けられており、外筒11の内周面に弾性体3の一部が回り込んで形成された弾性膜31と全周密接された第一の張り出し部51aを有する金属環51と、その下側にあって外筒11とカップ部材12とのカシメ部に固定された第二の張り出し部52aを有する皿状の金属製仕切板52からなる。金属環51は、その第一の張り出し部51aの内周側に形成された筒状部51bが、仕切板52における第二の張り出し部52aの内周側に形成された環状段差部52bに密接嵌合(圧入)され、これによって仕切板52と一体化されている。
【0015】
第一液室6と第二液室7は、ケース1の外筒11の内周に沿って円周方向に延びる上下2段のオリフィス81,82からなる流路8を介して互いに連通されている。前記外筒11は、弾性体3との接合端が一旦上方へ延びて更に下側かつ内周側へ折り返されることによって円周溝部11aを有し、上側の1段目のオリフィス81は、弾性体3の一部が回り込んで被着されたこの円周溝部11aと、隔壁5における第一の張り出し部51aとの間を、図6に示すように、円周方向に略C字状に周回するように形成されている。また、その下側の2段目のオリフィス82は、隔壁5における前記第一の張り出し部51aと第二の張り出し部52aとの間を、図7に示すように、円周方向に略C字状に周回するように形成されている。この下側の2段目のオリフィス82が、上記した第一実施例のように環状ではなく平面的に略C字状を成しているのは、金属環51の張り出し部51aおよび筒状部51bに、図12に最も良く示されているような、I方向((図10参照)から見て略U字状を呈する流路分断部61が一体に設けられているからである。この流路分断部61の下面62は、図8に示すように、仕切板52の第二の張り出し部52aの上面に接触しており、またその先端面63はU字の全体が弾性膜31に接触している。またこの下側の2段目のオリフィス82の断面面積は、上記第一実施例の場合と異なって、上側の1段目のオリフィス81の断面面積と同じに設定されている(流れが分岐されないため)。
【0016】
図6に示す1段目のオリフィス81の円周方向一端81aは、円周溝部11aに形成された開口部11bを通じて第一液室6に開放されており、円周方向他端81bは、図7に示す2段目のオリフィス82との間に介在する第一の張り出し部51aに形成された切欠からなる連通孔51cを通じて、この2段目のオリフィス82と互いに連通している。2段目のオリフィス82は、前記連通孔51cから円周方向に180°異なる位置で、図9に示す隔壁5の第二の張り出し部52aに形成された開口部52cを通じて第二液室7に開放されている。
【0017】
次に、この液体封入式マウントの作動について説明すると、エンジンの高速回転による高周波数域の継続的な機関振動が入力された場合、このような振動は振幅が極めて小さいため、第一液室6の液圧変化は弾性体3の僅かな拡張弾性変形の範囲で十分に吸収される程度のものである。したがって、封入液体Lは流路8を殆ど流通せず、動ばね定数が低く維持されて優れた振動絶縁性を発揮する。また、車体のバウンドによる衝撃等のように、弾性体3の拡張弾性変形による液圧吸収能力を超えるような、第一液室6の大きな液圧変化を発生させる大振幅の振動が入力された場合は、封入液体Lがオリフィス81,82からなる流路8を通じて第一液室6と第二液室7の間を流通し、この時の流動抵抗によって、衝撃入力に対する良好な緩衝性を得ると共に、その振動を短時間で制止する。
【0018】
この実施例の液体封入式マウントによれば、第一液室6と第二液室7とを仕切る隔壁5が、金属板のプレス成形品である金属環51と仕切板52を互いに嵌合した簡素な構造であり、上下2段のオリフィス81,82は、ケース1における外筒11及びカップ部材12と、隔壁5と、ダイアフラム4とを互いにカシメ一体化することによって、外筒11の円周溝部11aと隔壁5における第一の張り出し部51aとの間及び前記第一の張り出し部51aと第二の張り出し部52aとの間に形成されたものである。しかも、小振幅の高周波振動は、従来のような可動仕切板によらず、弾性体3の拡張弾性を利用して吸収するようにしたため、部品数が少なく、安価に製作することができる。また開口部52bの開口位置を変更することによって簡単に下側の2段目のオリフィス82の流路長さを変更することができ、これにより簡単にこのオリフィス82の特性を変更することができる。
【0019】
尚、この第二実施例に係る液体封入式マウントは、その構成を換言すると、一方の取付部2および他方の取付部1をゴム状弾性材製の弾性体3を介して接続するとともに前記他方の取付部1にダイアフラム4を接続して気密空間を設け、前記気密空間に仕切部5を設けて前記気密空間を一方の取付部2側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とに仕切り、前記仕切部5に前記両室6,7を連通するオリフィス81,82を設けるとともに前記両室6,7に作動液Lを封入した液体封入式マウントにおいて、前記他方の取付部2が、円周溝部11aを備えた外筒11を有し、前記仕切部5が、前記外筒11の内周側に固定されるとともに互いに嵌合された金属環51および仕切板52を有し、前記金属環51が第一の張り出し部51aを備えるとともに前記仕切板52が第二の張り出し部52aを備え、前記オリフィス81,82が、前記円周溝部11aおよび第一の張り出し部51aの間に形成された第一のオリフィス81と、前記第一の張り出し部51aおよび第二の張り出し部52aの間に形成された第二のオリフィス82との二段構造からなり、前記第一の張り出し部51aに、前記第二のオリフィス82の流路形状を平面略C字状に特定する流路分断部61が設けられていることを特徴とするものである。
【0020】
第三実施例・・・
図13は本発明に係る液体封入式マウントの第三の実施例を軸心を通る平面で切断した断面図、図14は図13のJ−J’線で切断した断面図、図15は同K−K’線で切断した断面図である。この実施例の液体封入式マウントは、隔壁5が、ケース1の外筒11の内周面に弾性体3の一部が回り込んで形成された弾性膜31と全周密接された第一及び第二の張り出し部53a,53bを有する断面略コ字形の金属環53と、外筒11とカップ部材12とのカシメ部1aに固定された第三の張り出し部54aを有する伏皿状の金属製仕切板54からなる。金属環53は、その内周面が、仕切板54に形成された環状段差部54bに密接嵌合され、これによって仕切板54と一体化されている。
【0021】
上側の1段目のオリフィス91は、ケース1における外筒11の接合端に屈曲形成されると共に弾性体3の一部が回り込んで被着された円周溝部11aと、隔壁5における第一の張り出し部53aとの間を、図2に示す第一の実施例における1段目のオリフィス81と同様に、円周方向に略C字状に周回するように形成されている。その下側の2段目のオリフィス92は、金属環53における第一の張り出し部53aと第二の張り出し部53bとの間を、図14に示すように、環状に連続するように形成されている。そして更にその下側の3段目のオリフィス93は、金属環53における第二の張り出し部53bと、仕切板54における第三の張り出し部54aとの間に環状に連続するように形成されている。
【0022】
外筒11の内周に沿ってC字状に周回する1段目のオリフィス91の円周方向一端は、開口部11bを通じて第一液室6に開放されており、円周方向他端は、図14に示す2段目のオリフィス92との間に介在する第一の張り出し部53aに形成された切欠からなる連通孔53cを通じて、この2段目のオリフィス92と互いに連通している。2段目のオリフィス92は、前記連通孔53cに対して円周方向に180°異なる位置で、図15に示す第二の張り出し部53bに形成された切欠からなる連通孔53dを通じて3段目のオリフィス93と互いに連通している。更にこの3段目のオリフィス93は、前記連通孔53dに対して円周方向に180°異なる位置で、仕切板54に開設された開口部54cを通じて第二液室7に開放されている。
【0023】
上述以外の部分は、先の第一の実施例とほぼ同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0024】
この第三の実施例の液体封入式マウントによれば、弾性体3側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とを互いに連絡する流路9が、上下3段のオリフィス91〜93からなるため、先の第一の実施例における流路8が上下2段のオリフィス81,82を連続させたものであるのに比較して、流路長をより長くでき、大振幅の入力振動に対する一層優れた緩衝性及び制振性を得ることができる。しかも、第一の実施例との比較から明らかなように、隔壁5を構成する金属環と仕切板の形状変更によって、部品数の増加や、構造の複雑化を来すことなく流路長の増大による機能向上を実現させているものである。
【0025】
この第三の実施例においては、2段目のオリフィス92内では、封入液体Lの流れは、1段目のオリフィス91への連通孔53cと3段目のオリフィス93への連通孔53dとの間で、図14における時計方向と反時計方向とに分岐され、3段目のオリフィス93内では、封入液体Lの流れは、2段目のオリフィス92への連通孔53dと第二液室7への開口部54cとの間で、図15における時計方向と反時計方向とに分岐される。したがって、図13に示す断面における2段目及び3段目のオリフィス92,93の断面面積は、1段目のオリフィス91の断面面積の50〜75%としてある。
【0026】
尚、この第三実施例に係る液体封入式マウントは、その構成を換言すると、一方の取付部2および他方の取付部1をゴム状弾性材製の弾性体3を介して接続するとともに前記他方の取付部1にダイアフラム4を接続して気密空間を設け、前記気密空間に仕切部5を設けて前記気密空間を一方の取付部2側の第一液室6とダイアフラム4側の第二液室7とに仕切り、前記仕切部5に前記両室6,7を連通するオリフィス91,92,93を設けるとともに前記両室6,7に作動液Lを封入した液体封入式マウントにおいて、前記他方の取付部2が、円周溝部11aを備えた外筒11を有し、前記仕切部5が、前記外筒11の内周側に固定されるとともに互いに嵌合された金属環53および仕切板54を有し、前記金属環53が第一の張り出し部53aおよび第二の張り出し部53bを備えるとともに前記仕切板54が第三の張り出し部54aを備え、前記オリフィス91,92,93が、前記円周溝部11aおよび第一の張り出し部53aの間に形成された第一のオリフィス91と、前記第一の張り出し部53aおよび第二の張り出し部53bの間に形成された第二のオリフィス92と、前記第二の張り出し部53bおよび第三の張り出し部54aの間に形成された第三のオリフィス93との三段構造からなることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明は、上述の各実施例の構成に限定されるものではない。例えば、2段目のオリフィスあるいは3段目のオリフィスも、1段目のオリフィスと同様に、C字形に周回する形状としても良い。この場合は、2段目のオリフィスあるいは3段目のオリフィスは、断面面積を1段目のオリフィスと同一とする。
【0028】
【発明の効果】
本発明の液体封入式マウントによれば、大振幅の振動に対する減衰力を得るため、複数のオリフィスを連続させることによって流路長を増大させたものであって、これら複数のオリフィスがケースと隔壁によって形成されており、複雑な部品を用いないので、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体封入式マウントの第一の実施例を軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図2】図1におけるA−A’線上で切断した断面図である。
【図3】図1におけるB−B’線上で切断した断面図である。
【図4】図1におけるC−C’線上で切断した断面図である。
【図5】本発明に係る液体封入式マウントの第二の実施例を軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図6】図5におけるD−D’線上で切断した断面図である。
【図7】図5におけるE−E’線上で切断した断面図である。
【図8】図7におけるF−F’線上で切断した断面図である。
【図9】図5におけるG−G’線上で切断した断面図である。
【図10】金属環の平面図である。
【図11】図10におけるH−O−H線上で切断した断面図である。
【図12】図10におけるI方向矢視図である。
【図13】本発明に係る液体封入式マウントの第三の実施例を軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図14】図13におけるJ−J’線上で切断した断面図である。
【図15】図13におけるK−K’線上で切断した断面図である。
【符号の説明】
1 ケース
11 外筒
11a 円周溝部
11b,52c,54c 開口部
12 カップ部材
12a 通気孔
13,21 取付ボルト
2 センターボス
3 弾性体
31 弾性膜
4 ダイアフラム
5 隔壁
51,53 金属環
51a,53a 第一の張り出し部
51b 筒状部
51c,53c,53d 連通孔
52,54 仕切板
52a,53b 第二の張り出し部
52b,54b 環状段差部
54a 第三の張り出し部
6 第一液室
7 第二液室
8,9 流路
61 流路分断部
62 下面
63 先端面
81,82,91,92,93 オリフィス
Claims (2)
- ケース(1)とセンターボス(2)との間に一体的に設けられ円周方向に連続したエラストマからなる弾性体(3)と、
前記ケース(1)の内周に変位自在に封着されたダイアフラム(4)と、
前記ケース(1)の内周に固定されて前記弾性体(3)側の第一液室(6)及び前記ダイアフラム(4)側の第二液室(7)の間を仕切る隔壁(5)と、
を備え、
前記隔壁(5)の外周部には複数の張り出し部(51a,52a)が形成され、
前記ケース(1)における前記弾性体(3)との接合端に形成された円周溝部(11a)と前記第一液室(6)側の張り出し部(51a)との間及び前記ケース(1)と前記複数の張り出し部(51a,52a)との間にそれぞれ円周方向に延びるオリフィス(81,82)が形成され、
この複数のオリフィス(81,82)はその間に介在する張り出し部(51a)に開設された連通孔(51c)を介して互いに連続した流路(8)をなすと共に、前記複数のオリフィス(81,82)の断面面積が互いに同一であり、
この流路(8)の一端が前記円周溝部(11a)に形成された開口部(11b)を介して前記第一液室(6)に開放され、他端が前記第二液室(7)側の張り出し部(52a)に形成された開口部(52c)を介して前記第二液室(7)に開放され、
前記ケース(1)は、一端に前記円周溝部(11a)を設けるとともに他端に部品組付用のカシメ部(1a)を設けた外筒(11)を有し、
前記隔壁(5)は、前記第一液室(6)及び第二液室(7)を仕切るとともに前記張り出し部(52a)を設けた仕切板(52)と、前記仕切板(52)に嵌合されるとともに前記張り出し部(51a)を設けた金属環(51)とを有し、
前記外筒(11)、仕切板(52)および金属環(51)にて複数段の前記オリフィス(81,82)が形成されていることを特徴とする液体封入式マウント。 - ケース(1)とセンターボス(2)との間に一体的に設けられ円周方向に連続したエラストマからなる弾性体(3)と、
前記ケース(1)の内周に変位自在に封着されたダイアフラム(4)と、
前記ケース(1)の内周に固定されて前記弾性体(3)側の第一液室(6)及び前記ダイアフラム(4)側の第二液室(7)の間を仕切る隔壁(5)と、
を備え、
前記隔壁(5)の外周部には複数の張り出し部(51a,52a,53a,53b,54a)が形成され、
前記ケース(1)における前記弾性体(3)との接合端に形成された円周溝部(11a)と前記第一液室(6)側の張り出し部(51a,53a)との間及び前記ケース(1)と前記複数の張り出し部(51a,52a,53a,53b,54a)との間にそれぞれ円周方向に延びるオリフィス(81,82,91,92,93)が形成され、
この複数のオリフィス(81,82,91,92,93)はその間に介在する張り出し部(51a,53a,53b)に開設された連通孔(51c,53c,53d)を介して互いに連続した流路(8,9)をなし、このうち一部のオリフィス(82,92,93)はそれぞれ、円周上時計回りに封入液体(L)が流れる部分と反時計回りに封入液体(L)が流れる部分とに分岐されると共に、その断面面積が他のオリフィス(81,91)の断面面積の50〜75%であり、
この流路(8,9)の一端が前記円周溝部(11a)に形成された開口部(11b)を介して前記第一液室(6)に開放され、他端が前記第二液室(7)側の張り出し部(52a,54a)に形成された開口部(52c,54c)を介して前記第二液室(7)に開放され、
前記ケース(1)は、一端に前記円周溝部(11a)を設けるとともに他端に部品組付用のカシメ部(1a)を設けた外筒(11)を有し、
前記隔壁(5)は、前記第一液室(6)及び第二液室(7)を仕切るとともに前記張り 出し部(52a,54a)を設けた仕切板(52,54)と、前記仕切板(52,54)に嵌合されるとともに前記張り出し部(51a,53a,53b)を設けた金属環(51,53)とを有し、
前記外筒(11)、仕切板(52,54)および金属環(51,53)にて複数段の前記オリフィス(81,82,91,92,93)が形成されていることを特徴とする液体封入式マウント。
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