JP3651315B2 - サッシュレスドアのウエストシール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はサッシュレスドアのウエストシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のサッシュレスドアのウエストシール構造としては、例えば特開平8−34233号公報に示されているものが知られている。
【0003】
これは、ドアウェザーストリップの上端部に設けられてドアインナパネルの前後方向端部のウエスト部分を被覆するウエストカバー部に、上方から見て略コ字形の袋状に成形されてドアウィンドウパネルの前後方向の端末部を内包してシールする袋状シールリップを形成してあると共に、車外側の側壁の上端部が袋状シールリップに連続したシールリップ部として形成されて、該車外側の側壁と車室側の側壁との間にドアフイニッシャの上端末部を収容する凹溝部を形成した構造としたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この従来の構造ではドアウィンドウパネルが車幅方向の車室側に振れて上昇すると、該ドアウィンドウパネルの前後方向の端末部が凹溝部の底壁に当って、該凹溝部を全体的に持ち上げるように作用し、凹溝部の車外側の側壁のシールリップ部が撓み変形してドアウィンドウパネル面との間に隙間が発生し、見栄えを損なってしまうと共にこの撓み変形に連動して袋状シールリップも撓み変形してシール性を損なってしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明はドアウィンドウパネルの上昇時にその前後方向端末部がウエストカバー部の凹溝部底壁に干渉することがなく、凹溝部の全体的な持ち上がりによる見栄えおよびシール性の悪化を回避することができるサッシュレスドアのウエストシール構造を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、ドアインナパネルの底面から前面および後面に廻り込んでドアウェザーストリップを装着し、該ドアウェザーストリップの上端部にドアインナパネルの前面又は後面に沿う端壁と、該端壁に連設されてドアインナパネルの車室側の側面に沿う側壁とで略L字状断面に形成されて、ドアインナパネルの前後方向端部のウエスト部分を被覆するウエストカバー部を設け、
該ウエストカバー部の上端部の端壁と側壁との連設部分に、アウタリップ部とインナリップ部とが連設されて上方から見て略コ字形の袋状に成形されて、昇降可能なドアウィンドウパネルの前後方向の端末部を内包してシールする袋状シールリップを形成すると共に、
該ウエストカバー部の側壁の上縁部に連なって、ドアインナパネルの車室側の側面を被覆するドアフイニッシャの上端末部を収容し、車外側の側壁の上端部が前記袋状シールリップのインナリップ部に連続したシールリップ部として形成された凹溝部を形成したサッシュレスドアのウエストシール構造において、
前記凹溝部の底壁を、ドアウィンドウパネルの昇降軌跡線上から車室側へオフセットした位置に設定し、該凹溝部の車外側の側壁を前記底壁の車外側基端から車外側へ向けて傾斜する傾斜壁として形成すると共に、シールリップ部をこの傾斜壁の上側から車室側に向けてくの字状に曲折して形成したことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載のウエストカバー部の側壁と、凹溝部の車室側の側壁との間には、ドアインナパネルのウエストフランジ部が嵌合するフランジ嵌合溝が設けられ、ウエストフランジ部の前後方向端末部には車外側に向けてL字状に曲折した延設部が設けられている一方、フランジ嵌合溝にはこの延設部に対応して車外側に向けてL字状に曲折した延設部を設けたことを特徴としている。
【0008】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、凹溝部の底壁をドアウィンドウパネルの昇降軌跡線上から車室側へオフセットした位置に設定してあるため、ドアウィンドウパネルが車室側に振れて上昇してきても底壁が該ドアウィンドウパネルに当って凹溝部が全体的に持ち上げられて、つまり、突き上げられてシールリップ部が撓み変形することがなく、従って、見栄えを向上できると共にシール性を向上することができる。
【0009】
また、前述のようにドアウィンドウパネルが車室側に振れて上昇してくると、該ドアウィンドウパネルを凹溝部の車外側の傾斜壁の傾斜によって適正位置へ案内することができると共に、シールリップ部はこの傾斜壁の上側から車室側に向けてくの字状に曲折して形成してあるので、該シールリップ部は傾斜壁の傾斜角度にかかわらず、従来と変わりなく袋状シールリップのインナリップ部と直線状にすることができて、シール性を確保することができる。
【0010】
更に、このように凹溝部のシールリップ部を袋状シールリップのインナリップ部と直線状にすることができて、該凹溝部の上側開口の大きさが従来と変わらないため、ドアフイニッシャの上端末部の挿入性に些かも影響を及ぼすことはない。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、フランジ嵌合溝およびウエストフランジ部の延設部相互の嵌合により、ウエストカバー部の取付時にその前後方向の位置決めも行えるので取付作業性を向上できると共に、ドアウィンドウパネルが前後方向に斜めに上昇して行く際に、ウエストカバー部に作用する入力をウエストフランジ部の延設部で受け持つことができて、該ウエストカバー部の取付安定性を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0013】
図1は、一例としてサッシュレスのフロントドアの後側のウエスト部分を示しており、ドアインナパネル1の底面から前面および後面2(底面および前面は何れも図示省略)に廻り込んでドアウェザーストリップ5を装着してある。
【0014】
このドアウェザーストリップ5の上端部には、ドアインナパネル1の前後方向端部のウエスト部分を被覆するウエストカバー部6(図1では後側のウエストカバー部6Rを示している)を一体成形してある。
【0015】
このウエストカバー部6Rはドアインナパネル1の後面2に沿う端壁7と、該端壁7に連設されてドアインナパネル1の車室側の側面3に沿う側壁8とで略L字状断面に形成してあって、端壁7と側壁8とをそれぞれ対応するドアインナパネル1の後面2と車室側の側面3とにクリップ19によって止着してある。
【0016】
ウエストカバー部6Rの上端部の端壁7と側壁8との連設部分には、アウタリップ部10とインナリップ部11とが連設されて上方から見て略コ字形の袋状に成形された袋状シールリップ9を一体成形してあり、該袋状シールリップ9によって、昇降可能なドアウィンドウパネル21の後側端末部を内包してシールするようにしてある。
【0017】
また、このウエストカバー部6Rの側壁8の上縁部に連なって凹溝部12を一体成形し、ドアインナパネル1の車室側の側面3を被覆するドアフイニッシャ22の上端末部を、この凹溝部12に収容して端末処理を行うようにしている。
【0018】
この凹溝部12は図2に示すように、前記ウエストカバー部6Rの側壁8の上縁部に連なる車室側の側壁13と、該車室側の側壁13の下端に連設した底壁14と、該底壁14の車外側基端に連設した車外側の側壁15とで略チャンネル形に形成してあり、該車外側の側壁15の上端部は前記袋状シールリップ9のインナリップ部11に連続したシールリップ部16として形成してある。
【0019】
ここで、前記凹溝部12の底壁14は図3に示すように、ドアウィンドウパネル21の昇降軌跡線L上から符号dで示す所要の寸法で車室側へオフセットした位置に設定してあり、車外側の側壁13はこの底壁14の車外側基端から車外側へ向けて傾斜する傾斜壁として形成すると共に、シールリップ部16をこの傾斜壁13の上側から車室側に向けてくの字状に曲折して形成して、前記袋状シールリップ9のインナリップ部11と直線状に連続するようにしてある。
【0020】
また、凹溝部12の車室側の側壁13は前述のようにウエストカバー部6Rの側壁8の上縁部に連なって形成して、これら側壁8,13の間にフランジ嵌合溝17を形成し、ドアインナパネル1のウエストフランジ部18と該フランジ嵌合溝17の相互を嵌合するようにしてある。
【0021】
ウエストフランジ部18の後側の端末部には図4に示すように、車外側に向けてL字状に曲折した延設部18aを設けてある一方、フランジ嵌合溝17にはこの延設部18aに対応して車外側に向けてL字状に曲折した延設部17aを設けて、これら延設部17a,18a相互を嵌合するようにしてある。
【0022】
図中、20はドアアウタパネルを示す。
【0023】
以上の実施形態の構成によれば、ウエストカバー部6Rの凹溝部12の底壁14は、ドアウィンドウパネル21の昇降軌跡線Lからオフセット量dで車室側へオフセットした位置に設定してあるため、ドアウィンドウパネル21が車室側に振れて上昇してきても、底壁14がドアウィンドウパネル21に当って凹溝部12が全体的に持ち上げられて、つまり、突き上げられてシールリップ部16が撓み変形してドアウィンドウパネル21との間に隙間を発生するようなことはなく、従って、見栄えを向上できると共にシール性を向上することができる。
【0024】
また、この凹溝部12の車外側の側壁15は車外側へ傾斜した傾斜壁としてあるため、前述のようにドアウィンドウパネル21が車室側に振れて上昇してくると、該ドアウィンドウパネル21をこの傾斜壁15によって適正位置へ案内することができると共に、シールリップ部16は該傾斜壁15の上側から車室側に向けてくの字状に曲折して形成してあるので、該シールリップ部16は傾斜壁15の傾斜角度にかかわらず、従来と変わりなく袋状シールリップ9のインナリップ部11と直線状に連続して形成することができて、シール性を確保することができる。
【0025】
更に、このように凹溝部12のシールリップ部16を袋状シールリップ9のインナリップ部11と直線状にすることができるため、該凹溝部12の上側開口の大きさが従来と変わることがなく、ドアフイニッシャ22の上端末部の挿入性に些かも影響を及ぼすことはない。
【0026】
また、本実施形態ではウエストカバー部6Rの側壁8と凹溝部12の車室側の側壁13との間のフランジ嵌合溝17と、該フランジ嵌合溝17に嵌合したドアインナパネル1のウエストフランジ部18の後側端末部には、それぞれ車外側に向けてL字状に曲折して相互に嵌合した延設部17a,18aを設けてあるので、これら延設部17a,18aの嵌合によりウエストカバー部6Rの取付時にその前後方向の位置決めも行えて取付作業性を向上できると共に、ドアウィンドウパネル20が前後方向に斜めに上昇して行く際に、ウエストカバー部6Rに作用する入力をウエストフランジ部18の延設部18aで受け持つことができて、該ウエストカバー部6Rの取付安定性を高めることができる。
【0027】
前記実施形態では本発明をサッシュレスのフロントドア後端部分に適用した例を示したが、サッシュレスのリヤドア前端部分に適用して前述と同様の効果を奏することができ、また、場合によってフロントドア7の前端部分あるいはリヤドアの後端部分に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1のA矢視方向から見た分解斜視図。
【図3】図2のB−B線に沿う断面説明図。
【図4】図3のC−C線に沿う断面説明図。
【符号の説明】
1 ドアインナパネル
2 後面
3 車室側の側面
5 ドアウェザーストリップ
6,6R ウエストカバー部
7 端壁
8 側壁
9 袋状シールリップ
10 アウタリップ部
11 インナリップ部
12 凹溝部
13 車室側の側壁
14 底壁
15 車外側の側壁(傾斜壁)
16 シールリップ部
17 フランジ嵌合溝
17a,18a 延設部
18 ウエストフランジ部
21 ドアウィンドウパネル
22 ドアフイニッシャ
L 昇降軌跡線
d オフセット量
Claims (2)
- ドアインナパネルの底面から前面および後面に廻り込んでドアウェザーストリップを装着し、該ドアウェザーストリップの上端部にドアインナパネルの前面又は後面に沿う端壁と、該端壁に連設されてドアインナパネルの車室側の側面に沿う側壁とで略L字状断面に形成されて、ドアインナパネルの前後方向端部のウエスト部分を被覆するウエストカバー部を設け、
該ウエストカバー部の上端部の端壁と側壁との連設部分に、アウタリップ部とインナリップ部とが連設されて上方から見て略コ字形の袋状に成形されて、昇降可能なドアウィンドウパネルの前後方向の端末部を内包してシールする袋状シールリップを形成すると共に、
該ウエストカバー部の側壁の上縁部に連なって、ドアインナパネルの車室側の側面を被覆するドアフイニッシャの上端末部を収容し、車外側の側壁の上端部が前記袋状シールリップのインナリップ部に連続したシールリップ部として形成された凹溝部を形成したサッシュレスドアのウエストシール構造において、
前記凹溝部の底壁を、ドアウィンドウパネルの昇降軌跡線上から車室側へオフセットした位置に設定し、該凹溝部の車外側の側壁を前記底壁の車外側基端から車外側へ向けて傾斜する傾斜壁として形成すると共に、シールリップ部をこの傾斜壁の上側から車室側に向けてくの字状に曲折して形成したことを特徴とするサッシュレスドアのウエストシール構造。 - ウエストカバー部の側壁と、凹溝部の車室側の側壁との間には、ドアインナパネルのウエストフランジ部が嵌合するフランジ嵌合溝が設けられ、ウエストフランジ部の前後方向端末部には車外側に向けてL字状に曲折した延設部が設けられている一方、フランジ嵌合溝にはこの延設部に対応して車外側に向けてL字状に曲折した延設部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のサッシュレスドアのウエストシール構造。
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