JP3876678B2 - 自動車のドアシール構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のドアフレームまわりのシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のドアフレームまわりのシール構造として、ドアフレームとドアガラスの周縁との間はドアフレームの内周に沿って装着したガラスランでシールし、ドアフレームと車体のドア開口縁との間は、ドアフレームの車内面をドア開口縁に装着したオープニングウエザストリップに圧接させてシールする構造が一般にとられている。
【0003】
図4はかかる構造の、図3のA−A線に沿う位置でのフロントドア側の断面を示すもので、ドアフレーム1のアウタパネル1aおよびインナパネル1bの内周側の端部間には断面ほぼコ字形のチャンネル2が取付けられ、チャンネル2にはガラスラン3が嵌着されており、ガラスラン3の相対向するシールリップ31a,31bでドアガラス6の周縁をその両面から挟んでシールしている。ドアフレーム1のインナパネル1bには、車内方向へ膨出状に張り出す張り出し部11が形成してある。チャンネル2の車内側の側壁21とインナパネル1bの内周側の端部とが重合するフランジ22には断面ほぼU字形のトリム4が、その車外側の側面をガラスラン3の側面に重ねるようにして嵌着してある。
【0004】
一方、車内のドア開口縁には、車体のアウタパネル7aとインナパネル7bの端縁を重合溶接して形成したフランジ71にオープニングウエザストリップ8が装着してある。オープニングウエザストリップ8は、フランジ71に覆嵌したトリム部81と、トリム部81の車外側の側面から膨出する中空シール部82を備えている。そしてドア閉時、ドアフレーム1の張り出し部11がオープニングウエザストリップ8の中空シール部82に圧接して、車体のドア開口縁とドアフレーム1の間がシールされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記のようなドアフレームまわりのシール構造においては、トリム4とオープニングウエザストリップ8の間を通して車室内からドアインアパネル1bの張り出し部11が露見される。ドア、例えばプレスドア等は車体と一体に塗装されるから、特に塗装色が白色系、黄色系など、トリム4やオープニングウエザストリップ8を構成するゴム等の黒色と反対色の場合は、ドアフレームまわりの色合いに違和感が生じ、車室の外観品質を悪くする。
【0006】
チャンネル2の車内側のフランジ22に覆嵌するトリム4として、図4に示すように、車内側の側面部の端部に先端がドアフレーム1の張り出し部11に押付られるリップ41を形成したものもあるが(特開平10−230740号)、リップ41の長さを張り出し部11の外面側の全幅を覆う長さにすると、ドアが閉じられるときや、ドア閉状態で車体が振動するとオープニングウエザストリップ8の中空シール部82と擦れ合い、一般にスポンジ材で形成されている中空シール部82が摩耗するので好ましくない。このためリップ41の長さは短かく設定され、リップ41の先端とオープニングウエザストリップ8の間から張り出し部11が露見されることとなる。
【0007】
また、ドアフレーム1の張り出し部11をかくすために、図5に示すようにトリム4の外端からオープニングウエザストリップ8に向けてカバーリップ5Aを延設することも考えられるが、長いカバーリップ5Aには経時により波打ち状の変形が生じ、却って車室内の見栄えを悪くしてしまう。またドアを開いたときに、カバーリップ5Aの先端が浮いて見えて、ドアフレーム1まわりの見栄えも悪くなる。
【0008】
そこで本発明は、ドアフレーム側からオープニングウエザストリップに向けて延出するカバーリップで車室からドアインナパネルが露見するのを防止し、かつカバーリップの形状安定性を向上せしめ、もってドアフレームまわりの車室外観の品質を向上せしめることを課題としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自動車ドアのドアフレームの内周にはチャンネルを設けてガラスランを保持せしめるとともに、チャンネルの車内側の側壁とドアフレームのインナパネルの内周端部とを接合したフランジをトリムで覆い、上記インナパネルに形成されて車内方向へ膨出状に張り出す張り出し部の突出端が、ドア閉時に、車体のドア開口縁に設けたオープニングウエザストリップの中空シール部に圧接するようになした自動車のドアシール構造において、上記トリムに、その外端から上記オープニングウエザストリップの中空シール部の外端部に向けて延出して上記張り出し部の側面を覆い、先端末が上記外端部と非接触で近接対向する第1のリップと、第1のリップよりも上記張り出し部の側面寄りの位置で上記トリムから延出して先端末が上記張り出し部の側面に当接する第2のリップと、上記第1および第2のリップの先端部間を上記中空シール部に沿う湾曲形状でつないで上記中空シール部とは非接触のブリッジ部とからなる中空状のカバーリップを形成した。
【0010】
カバーリップにより、ドア閉時にガラスランとオープニングウエザストリップの間を遮蔽し、ドアフレームのインナパネルの露見を防止するとともに、第1のリップ、第2のリップおよびブリッジ部とからなるカバーリップはトリムとで閉断面を形成するから形状が安定である。更に、第1のリップ張り出し部との間の隙間開口はブリッジ部で閉じられているから、ドア開状態でのドアフレームまわりの見栄えもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態を示すもので、従来構造との相違点を中心に説明する。ドアフレーム1のアウタパネル1aおよびインナパネル1bの内周側の端部間に設けたチャンネル2にはガラスラン3が嵌着されてその相対向するシールリップ31a.31bがドアガラス6の周縁を両面から挟み、チャンネル2の車内側の側壁21とドアフレーム1のインナパネル1bの端縁とが接合されたフランジ22には断面ほぼU字形で芯材43が埋設され、保持リップ44でフランジ22を挟むトリム4が嵌着されている。インナパネル1bには、チャンネル2の底部位置から車内側に向けて断面ほぼU字状に張り出す張り出し部11が形成してある。
【0012】
車体のドア開口縁には車体のアウタパネル7aとインナパネル7bの端縁を溶接したフランジ71が形成してあり、これにオープニングウエザストリップ8の断面ほぼU字形のトリム部81が覆嵌してあり、トリム部81の車外側の側面から中空シール部82が膨出しており、ドア閉時、ドアフレーム1の上記張り出し部11の突出端が上記中空シール部82に圧接される。以上の構造は、先に述べた従来構造と実質的に同じである。
【0013】
トリム4は、ガラスラン3およびオープニングウエザストリップ8と同じくゴムの押出成形体で、カバーリップ5を一体に備えている。カバーリップ5は、トリム4の外端からオープニングウエザストリップ8の中空シール部82の側面外端に向けて延出して張り出し部11の側面を覆うメインリップたる第1のリップ51と、第1のリップ51よりも、上記張り出し部11の側面寄りの位置で、トリム4の車内側の側壁42の内端から車内方向へ延出して先端が上記張り出し部11の側面に当接するサブリップたる第2のリップ52と、第1のリップ51と第2のリップ52との間を架け渡すようにして両リップ51,52を連結するブリッジ部53とからなる。
【0014】
第1のリップ51および第2のリップ52の先端末は、ドア閉時に、オープニングウエザストリップ8の中空シール部82に接触しない限度でこれに近接する位置としてある。ブリッジ部53の両端は、第1および第2のリップ51,52の先端部に接続し、両先端部を上記中空シール部82に沿う湾曲形状でつないで中空シール部82とは非接触としてある。これによりカバーリップ5はトリム4の側壁42とでほぼ四角形の閉断面をなす中空状に形成してある。なお、ブリッジ部53の両端は、第1および第2のリップ51,52の先端部に接続すればよく、必ずしも先端末に接続する必要はない。
【0015】
ドアフレーム1の張り出し部11の側面を覆う第2のリップ52の先端末の位置は張り出し部11の突出端よりも若干後退した位置に設定する。これは、ドアが強閉されて張り出し部11の突出端が中空シール部82に強く押し込まれると、中空シール部82のシール壁が上記突出端まわりを包み込む状態となり、このときシール壁に第2のリップ52が接触しないようにするためである。接触すると、上記シール壁は一般にスポンジ材で構成されているから、ゴム同士の接触により摩耗する。
【0016】
第1のリップ51はオープニングウエザストリップ8の中空シール部82の側面外端に向けて延設することで、トリム4の外端から第1のリップ51を介してオープニングウエザストリップ8へ至る部分に面一感を与える。
【0017】
カバーリップ5を上記のように形成することで、トリム4とオープニングウエザストリップ8の中空シール部82の間は、先端末が中空シール部82に近接する第1のリップ51とともに第2のリップ52で二重に覆われているから、たとえ第1のリップ51の先端末とオープニングウエザストリップ8の中空シール部82との隙間を通して斜め方向から覗き見されても張り出し部11が見えることはほとんどない。またカバーリップ5は閉断面としてあるから、これを薄肉としても形状が安定であり、かつ経時により第1のリップ51に波打ち状の変形は生じない。またドアが開かれた時に第1のリップ51の内側はブリッヂ部53で遮断されて見えないからドアフレーム1まわりの見栄えがよい。
【0018】
図2は、本発明の他の実施形態を示すものである。この実施形態はカバーリップを備えたトリムがガラスランと一体成形されている点において先の実施形態と相違する。
【0019】
トリム4Aは、ガラスラン3の車内側の側壁32と一連に断面ほぼU字形に形成されており、その外端から延出する第1のリップ51と、車内側の側壁42の内端から延出する第2のリップ52と両リップ51.52をつなぐブリッヂ部53でカバーリップ5を形成している。U字形のトリム4Aは、その内奥部を広く形成し、車内側の側壁42の内端をガラスラン3の車内側の側壁32に向けて突出させて開口側を狭くすることで、フランジ22への取付け作業性と取付け安定性を良好にしている。
【0020】
他の構造は先の実施形態と同じであって、対応部分は同一符号で示す。本実施形態も、先の実施形態と実質的に同一の作用効果を奏する。
【0021】
なお図1および図2はセンタピラーに沿うドアシール構造を示したが、ルーフサイドに沿うドアシール構造も実質的に同じである。本発明は、フロントドアおよびリヤドアのいずれにも適用され得る。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、ドア閉時にドアフレームのガラスランと車体のオープニングウエザストリップとの間をこれらとほぼ面一状に閉じるカバーリップを設けたから、車室内からドアフレームのインナパネルが見られず車室内のドアフレームまわりの外観品質を向上させる。特にドアフレームの塗装色がガラスランやオープニングウエザストリップの色と著しく異なる場合に効果がある。またカバーリップを閉断面構造としたからこれを薄肉としても形状が安定であり、かつドアが開かれた状態でも、ドアフレームまわりの見栄えがよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドアシール構造の実施形態の図3のA−A線に沿う位置でのフロントドア側の断面図である。
【図2】本発明のドアシール構造の他の実施形態の図3のA−A線に沿う位置でのフロントドア側の断面図である。
【図3】自動車の側面図である。
【図4】従来のドアシール構造の図1対応図である。
【図5】従来の他のシール構造の図1対応図である。
【符号の説明】
1 ドアフレーム
1a アウタパネル
1b インナパネル
11 張り出し部
2 チャンネル
22 フランジ
3 ガラスラン
4,4A トリム
5 カバーリップ
51 第1のリップ
52 第2のリップ
53 ブリッジ部
6 ドアガラス
8 オープニングウエザストリップ
82 中空シール部

Claims (1)

  1. 自動車のドアフレーム(1)の内周にはチャンネル(2)を設けてガラスラン(3)を保持せしめるとともに、チャンネル(2)の車内側の側壁とドアフレーム(1)のインナパネル(1b)の内周端部とを接合したフランジ(22)をトリム(4)で覆い、上記インナパネル(1b)に形成されて車内方向へ膨出状に張り出す張り出し部(11)の突出端が、ドア閉時に、車体のドア開口縁に設けたオープニングウエザストリップ(8)の中空シール部(82)に圧接するようになした自動車のドアシール構造において、上記トリム(4)に、その外端から上記オープニングウエザストリップ(8)の中空シール部(82)の外端部に向けて延出して上記張り出し部(11)の側面を覆い、先端末が上記外端部と非接触で近接対向する第1のリップ(51)と、第1のリップ(51)よりも上記張り出し部(11)の側面寄りの位置で上記トリム(4)から延出して先端末が上記張り出し部(11)の側面に当接する第2のリップ(52)と、上記第1および第2のリップ(51,52)の先端部間を上記中空シール部(82)に沿う湾曲形状でつないで上記中空シール部(82)とは非接触のブリッジ部(53)とからなる中空状のカバーリップ(5)を形成したことを特徴とする自動車のドアシール構造。
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