JP3551730B2 - オープニングトリム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のサイドドア、ハッチバックドア、トランク等の開口縁に取り付けられ、サイドドアパネル、ハッチバックドアパネル、トランクパネル等の開閉パネルの当接を受けて該開閉パネルとの隙間をシールするオープニングトリムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5〜図7に示すように、車体1のドア開口縁のフランジ2にはオープニングトリム51が取り付けられ、ドアパネル3の当接を受けてドアパネル3との隙間をシールするようになっている。オープニングトリム51の型成形部を除く主要部は、ゴム押出成形品52で構成されている。ゴム押出成形品52は、ソリッドゴム製の取付部53及びリップ部55と、スポンジゴム製の中空状のシール部54とが共押出成形されてなる。取付部53には断面略U字状に形成された金属製の補強用インサート56が埋設されている。取付部53のシール部54との境界からリップ部55の先端縁の裏側にかけては、布、合成樹脂シート、着色樹脂の押出材等による表面装飾のためのカバー層61が設けられている。
【0003】
ゴム押出成形品52のコーナ部52aにはドアパネル3の角部形状に合致するよう、湾曲形成され、取付部53の外周輪郭線よりも外周側へ張り出す張出部を備えた型成形部57が設けられている。この型成形部57を成形するには、まず、コーナ部52aにおいて、ゴム押出成形品52を湾曲させたときに内周側となる内周部分54aと外周側となる外周部分54bとを残してシール部54が切除される。そして、ドアパネル3の角部に合致するように湾曲された状態でゴム押出成形品52が金型にセットされて、前記切除部分にスポンジゴムを注入して型成形部57が成形される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図8(a)に示すように型成形部57を成形した後、金型からゴム押出成形品52を離型すると、それまで湾曲されていたコーナ部52aがインサート56等の復元力によって図8(b)に示すようにほぼ直線状に復元してしまう。このため、車両への組付け時には、コーナ部52aがドアパネル3の角部形状に合致するように作業者が手作業で湾曲し直さなければならず、面倒であった。
【0005】
また、コーナ部52aが直線状に復元すると、図8(b)に示すように型成形部57の張出部は両側の裾部57aが弛んで波打ち状に変形する。この変形状態のまま長時間が経過すると、張出部に波打ち状のくせがついてしまい、張出部においてシール性や外観が低下してしまうという問題があった。
【0006】
また、型成形部57はスポンジゴムで成形するため、その金型には加硫のために加熱金型が使用される。この加熱金型の熱でカバー層61の表面が溶けるのを防止するために、型成形部57が型接続されるシール部54の内周部分54aを広めに残しておき、この内周部分54aを断熱材として、金型の熱がカバー層61の表面へ伝達し難くしておく必要があった。このため、内周部分54aと型成形部57との型接続の境界51aが外部から見え易い位置になってしまい、外観を低下させていた。
【0007】
さらに、型成形部57の張出部の先端縁は自由端となっていたため、ドアパネルの開閉や経年変化により、めくれたりふらついたりして、シール性及び外観を低下させることがあった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決し、コーナ部における湾曲形成のもどり変形を防止して、車両への組付け性、シール性及び外観を向上させることができるオープニングトリムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のオープニングトリムは、車体の開口縁に取り付けられる取付部と、開閉パネルとの隙間をシールするシール部とを備え、湾曲されたコーナ部で前記シール部が切除され、該切除部分に湾曲形成された型成形部が成形されたオープニングトリムにおいて、前記型成形部を軟質熱可塑性エラストマー(以下、TPEという。)で成形するとともに、湾曲された前記コーナ部の前記取付部に前記コーナ部の周方向に延びる湾曲形状の湾曲復元防止部を硬質樹脂材の射出成形によって形成させたことを特徴とする。
【0010】
前記型成形部は、前記取付部の外周輪郭線よりも外周側へ張り出す張出部を備え、該張出部の外周縁部と前記取付部との間を結ぶ帯状のブリッジ部を備えることが好ましい。
【0011】
ここで、前記取付部に前記湾曲復元防止部を配設する区域は、特に限定されないが、前記湾曲復元防止部が前記取付部の側壁と平行な幅部分を備えるように形成させると、湾曲された前記コーナ部の復元防止効果が大きい。例えば断面U字状の取付部であれば、該U字の内側面又は外側面(前記シール部が切除されることによって現れる部分を含む。)に配設することを例示できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図5に示すように、車体1の前側のサイドドアのドア開口縁に取り付けられ、前側のドアパネル3の当接を受けてドアパネル3との隙間をシールするオープニングトリムに実施した形態例について、図面に基づき説明する。
【0013】
図1〜図3は本実施形態のオープニングトリム11を示しており、このオープニングトリム11の型成形部を除く主要部は、ゴム押出成形品12で構成されている。ゴム押出成形品12は、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン共重合体)ソリッドゴム製のU字形の取付部(トリム部)13及びリップ部15と、EPDMスポンジゴム製の中空状のシール部14とが、共押出成形されてなる。取付部13には断面略U字状補強用インサート25が埋設されている。取付部13のシール部14との境界からリップ部15の先端縁の裏側にかけては、着色のTPEの押出材によって表面装飾のためのカバー層24が設けられている。取付部13はドア開口縁のフランジ2に取り付けられ、シール部14はドアパネル3との隙間をシールし、リップ部15はシール部14の反対側で車室内に配設されたガーニッシュ等の内装材の端縁を覆って、その隙間をシールする。
【0014】
ドア開口縁に沿って湾曲すべきゴム押出成形品12のコーナ部12a(横方向直線部と縦方向直線部との間の湾曲部)には張出部を備えた型成形部17が形成されている。この型成形部17を形成するには、まず、コーナ部12aにおいて、ゴム押出成形品12を湾曲させたときに内周側となる内周部分14aと外周側となる外周部分14bとを残してシール部14を例えば長さ50〜100mmにわたって切除する。そして、ゴム押出成形品12のコーナ部12aを湾曲させ、分割型やコア等から構成される加熱されていない金型(この金型は、型成形部17形成用のキャビティと、湾曲復元防止部23形成用のキャビティとを備えたものである。)にセットする。この金型に軟質TPE材料を注入して、切除したシール部14の切除部分に置き代わる湾曲形成された型成形部17を成形するとともに、残しておいたシール部14の内周部分14aに接続させる。これと同時に、型成形部17における前記取付部13の外周輪郭線よりも外周側へ張り出す張出部の角張った外周縁部の先端側と取付部13との間に帯状のブリッジ部22を形成する。ブリッジ部22の各端部はそれぞれ前記先端側と取付部13とに接続されている。
【0015】
この型成形部17の断面形状は、端部では切除したシール部14の外周部分14bと略一致しているが、中央部では張出部としてドア開口縁のコーナ形状に合うように外周側が角張っている。その角張った部分の裏側では、ブリッジ部22の両側が取付部13より離れて開口している。
【0016】
また、型成形部17の成形の後で、湾曲されたコーナ部12aのリップ部15の裏側に面した取付部13の表面にコーナ部12aの周方向に延びる湾曲形状の湾曲復元防止部23をPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等のオレフィン系の硬質樹脂材の射出成形により形成させる。
【0017】
ここで、取付部13に湾曲復元防止部23を形成させる区域は、特に限定されないが、湾曲復元防止部23が取付部13の側壁と平行な幅部分を備えるように形成されると、湾曲されたコーナ部12aの復元防止効果が大きい。例えば、図4に示すように取付部13のU字の内側面に設けることもできる。この場合は、主として取付部13の側壁と平行な幅部分による効果が大きく、取付部13の両側壁を連結する連結壁と平行な幅部分の効果は小さい。また、図4において二点鎖線で示すように、シール部14が切除されることによって現れた外側面に別に成形された湾曲復元防止部を付着させて形成してもよい。
【0018】
このように構成されたオープニングトリム11によれば、湾曲復元防止部23を設けたので、湾曲されたインサート25等の復元力によって湾曲されたコーナ部12aが直線状に復元することを防止できる。従って、従来のように車両への組付け時に作業者が手作業で湾曲し直す必要はなく、容易に作業することができる。
【0019】
同じく湾曲復元防止部23を設けたので、コーナ部12aが直線状に復元することによる型成形部17の変形等を防止でき、もって、型成形部17のシール性及び外観を向上させることができる。
【0020】
また、型成形部17の材料として、加硫のために加熱が必要なゴム材料ではなく、TPE材料を使用したため、成形に加熱の必要がない一般の樹脂成形用金型を使用できる。従って、型成形部17の成形とほとんど同時に、硬質樹脂製の湾曲復元防止部23を射出成形することができ、湾曲復元防止部23を設けても大幅に製造工程を増加させなくて済む。
【0021】
そして、型成形部17の成形に加熱されていない金型を使用できるため、カバー層24の表面が溶けるという従来の問題は一切発生しない。従って、シール部14の残しておく内周部分14aの幅を極力小さくできるため、内周部分14aと型成形部17との型接続の境界11aを外部から見え難い位置にでき、もって外観を向上させることができる。
【0022】
さらに、ブリッジ部22を設けたので、型成形部17の張出部がブリッジ部22にサポートされ、ドアパネル3の開閉や経年変化による張出部のめくれやふらつきを抑制でき、シール性及び外観を向上させることができる。
【0023】
なお、本発明は前記実施形態の構成に限定されず、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)オープニングトリムの前記実施形態例とは異なるコーナ部に前記加工を行なうこと。
(2)本発明を自動車のエンジンフード、トランク等に装着されるオープニングトリムに適用すること。そして、取付部及びシール部の具体的形状を、前記装着場所に応じて変更すること。
(3)カバー層のTPE被覆を布による被覆に変更すること。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明に係るオープニングトリムによれば、コーナ部における湾曲形成のもどり変形を防止して、車両への組付け性、シール性及び外観を向上させることができる。
【0025】
上記効果に加え、請求項2の発明に係るオープニングトリムによれば、ドアパネルの開閉や経年変化による型成形部の張出部のめくれやふらつきを抑制でき、シール性及び外観をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係るオープニングトリムを示し、図5のA部の正面図である。
【図2】同オープニングトリムを背面から見た斜視図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】同オープニングトリムの変更例を示す図3と同様の図である。
【図5】オープニングトリムを取り付けた自動車の側面図である。
【図6】従来のオープニングトリムの正面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】同オープニングトリムの湾曲されたコーナ部が直線状に復元する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 車体
2 フランジ
3 ドアパネル
11 オープニングトリム
12a コーナ部
13 取付部
14 シール部
17 型成形部
22 ブリッジ部
23 湾曲復元防止部
Claims (2)
- 車体の開口縁に取り付けられる取付部(13)と、開閉パネルとの隙間をシールするシール部(14)とを備え、湾曲されたコーナ部(12a)で前記シール部(14)が切除され、該切除部分に湾曲形成された型成形部(17)が成形されたオープニングトリム(11)において、前記型成形部(17)を軟質熱可塑性エラストマーで成形するとともに、湾曲された前記コーナ部(12a)の前記取付部(13)に前記コーナ部(12a)の周方向に延びる湾曲形状の湾曲復元防止部(23)を硬質樹脂材の射出成形によって形成させたことを特徴とするオープニングトリム。
- 前記型成形部(17)は、前記取付部(13)の外周輪郭線よりも外周側へ張り出す張出部を備え、該張出部の外周縁部と前記取付部との間を結ぶ帯状のブリッジ部(22)を備えた請求項1記載のオープニングトリム。
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