JP3648884B2 - プリンタ - Google Patents

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JP3648884B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層された用紙(普通紙、コート紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)用シート、光沢紙、光沢フィルム等のカットシート)を、その最上位のものから1枚づつ給送して印字するプリンタに関する。特に、用紙の給送および搬送技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プリンタにおける給紙装置としては、爪分離方式によるものとパッド分離方式によるものとが知られている。
【0003】
爪分離方式は、周知のように、積層された用紙の先端角部を爪に係止させておき、この爪部よりも後方(給紙方向下流側)に給紙ローラを配置し、給紙ローラを回転させることによってこの給紙ローラと前記爪部との間で最上位の用紙を撓ませ、この撓みが限界に達して弾かれることを利用して最上位の用紙を次位の用紙から分離させて最上位の用紙のみを給送する方式である。
【0004】
一方、パッド分離方式は、これも周知であるように、給紙ローラと用紙との間の摩擦係数をμ1、分離パッドと用紙との間の摩擦係数をμ2、用紙相互間の摩擦係数をμ3とした場合に、μ1>μ2>μ3なる関係が成立するように給紙ローラと分離パッドとを構成し、回転する給紙ローラとこれに圧接される分離パッドとで用紙を挟圧することによって最上位の用紙と次位の用紙とを分離し、最上位の用紙のみを給送する方式である。
【0005】
これらの方式では、いずれも、回転する給紙ローラに最上位の用紙の表面が接触して最上位の用紙が移動する際、その接触部の他面側において最上位の用紙の裏面と次位の用紙の表面とが摺接することとなるため、次位の用紙の表面に、摺接による薄い傷が付き、用紙が例えば光沢紙や光沢フィルムであると、この薄傷が多少目立つ。
【0006】
そして、爪分離方式であると、前記摺接部(すなわち薄傷部分)が、爪部後方すなわち最上位の用紙に撓み付けを行なうことができるほどの後方となるため、用紙の印字領域に位置してしまい、好ましくない。
【0007】
他方、パッド分離方式であると、摺接による薄傷は付くものの、この薄傷部は、次位の用紙の表面先端部に付くだけであるから、通常、印字領域には位置しない。
【0008】
したがって、上記薄傷の観点からすると、パッド分離方式の方が優れている。
【0009】
しかしながら、パッド分離方式には、次のような難点がある。
【0010】
例えば、図27に示すように、パッド分離方式を用いた給紙装置1をプリンタに用いた場合、給送された用紙P1は、搬送ローラ2,3によって挟圧されながら搬送され、印字手段4によって印字されることとなるが、搬送ローラ2,3による用紙P1の搬送が開始された時点では、通常、用紙P1は給紙装置から完全に脱した状態とはならない。
【0011】
一方、パッド分離方式では、上述したμ1>μ2>μ3なる関係、すなわち、給紙ローラと用紙との間の摩擦力をf1、用紙と分離パッドとの間の摩擦力をf2、用紙と用紙との間の摩擦力をf3とすると、f1>f2>f3なる関係が成立するように給紙ローラと分離パッドとを圧接させなければならないから、搬送ローラ2,3による用紙P1の搬送が開始された時点で給紙ローラと分離パッドとが圧接されていると、用紙P1は、その後部が給紙ローラと分離パッドとで挟圧された状態となる。
【0012】
したがって、用紙P1は、その後端が給紙ローラと分離パッドとの挟圧部を通過するまでは、この挟圧部による負荷を受けた状態(後方に引っ張られた状態)で、搬送ローラ2,3によって搬送されることとなる。
【0013】
このような負荷(すなわちバックテンション)が大きいと、搬送ローラ2,3による用紙の送り精度が低下し、印字品質も低下することとなるため、この負荷すなわち給紙ローラと分離パッドとの圧接力は、できるだけ小さくすることが望ましい。しかしながら、圧接力が小さいと、給紙動作を繰り返す度に次位の用紙が給紙ローラと分離パッドとの圧接部に徐々に進入してきて、用紙の分離ができなくなってしまうという難点がある。
【0014】
このような難点を解決したものとして、特開平7−53062号公報記載のシート媒体整列機構がある。
【0015】
図28(a)〜(e)は、この機構の構造および作動を示した図である。
【0016】
同図において、18は給紙ローラ、24は分離パッド、22はレバーである。
【0017】
レバー22は、図(c)に示すように枢軸Aで回動可能に支持されており、その腕22cを押圧する片持ち梁バネ26によって時計方向に付勢されている。
【0018】
この機構によれば、図(b)〜(e)に示すように給紙ローラ18が時計方向に回転すると、給紙ローラ18と分離パッド24との圧接部で最上位のシートS1が次位のシートS2と分離され、図(d)に示すように最上位のシートS1のみが給送される。この際、レバー22は図(c)(d)に示すようにシートS1に押されて逃げる。そして、次位のシートS2(およびさらに次のシートS3)が、給紙ローラ18と分離パッド24との圧接部に進入しあるいは進入しようとしていても、先のシートS1の後端がレバー22の上端を通過すると、レバー22が片持ち梁バネ26の付勢力によって時計方向に回動し、次位のシートS2(およびさらに次のシートS3)が、図(e)に示すように押し戻されることとなる。
【0019】
従って、この機構によれば、上記難点すなわち次位の用紙が給紙ローラと分離パッドとの圧接部に徐々に進入してきて、用紙の分離ができなくなってしまうという難点は一応解消される。
【0020】
ところが、上述したような給紙ローラ18、すなわち円形の給紙ローラであると、これが常に分離パッドに圧接されている状態となるため、摩耗し易いという難点がある。
【0021】
そこで、この難点を解消すべく、給紙ローラを側面視D形にした給紙装置が知られている。
【0022】
その一例として、図29に、実公平8−3396号公報記載の給紙装置を示す。
【0023】
同図において、40は側面視略D形の給紙ローラであり、円弧部40aと直線部40bとを有している。
【0024】
41はガイドブロックであり、このガイドブロック41に給紙ローラ40の軸40cが支持されている。
【0025】
42はカセットであり、内部に積載板42aが設けられている。この積載板42aの上に複数枚の用紙Pが積層状態でセットされる。42cはスプリングであり、このスプリング42cによって用紙Pは給紙ローラ40に向けて付勢されている。
【0026】
43は分離パッドであり、ブラケット43a上に取り付けられている。分離パッド43は、給紙ローラ40の円弧部40aの回転軌道中に位置しており、スプリング44により、ガイド45に沿って給紙ローラ軸40cの方向に付勢されている。
【0027】
46はガイドブロック41に回転可能に取り付けられたアイドルローラ、47はガイドブロック41の長溝41aに軸47aが移動可能に取り付けられた可動アイドルローラである。可動アイドルローラ47は、スプリング48により分離パッド43に向けて付勢され、分離パッド43に当接している。
【0028】
このスプリング48の付勢力F2は、分離パッド43のスプリング44の付勢力F1よりも小さく設定されている(すなわちF1>F2である)。
【0029】
以上のような給紙装置は、次のように作動する。
【0030】
待機時には、図29に示すように、給紙ローラ40の直線部40bが用紙Pと対向した状態となっており、給紙ローラ40は用紙Pとは接触していない。また、可動アイドルローラ47のスプリング48の付勢力F2は、分離パッド43のスプリング44の付勢力F1よりも小さく設定されているので、可動アイドルローラ47は分離パッド43によって押し上げられ、その軸47aが長溝41aの上端に当接した状態となっている。
【0031】
給紙動作時には、給紙ローラ40が矢印方向に回転し、その円弧部40aが用紙Pのうちの最上位の用紙P1と接触することによって、この用紙P1が分離パッド43に向けて送られる。この際、用紙P1に対して次位の用紙P2が静電気の作用で吸着していることにより、あるいは用紙P1と用紙P2との間に摩擦力が作用することによって、用紙P2が用紙P1とともに送られることがある。
【0032】
しかしながら、用紙P2は、次のようにして分離パッド43によって用紙P1から分離され、最上位の用紙P1のみが給送されることとなる。
【0033】
すなわち、用紙P2は、その先端が分離パッド43に突き当たることによって、その移動が阻害され、一次的に用紙P1から分離され得る。
【0034】
また、給紙ローラ40の円弧部40aと用紙P1との間の摩擦力をf1、用紙P2と分離パッド43との間の摩擦力をf2、用紙P1と用紙P2との間の摩擦力をf3とすると、f1>f2>f3なる関係が成立するように給紙ローラ40および分離パッド43が構成されているため、給紙ローラ40の回転につれて用紙P1と用紙P2とがともに給紙ローラの円弧部40aと分離パッド43とで挟圧された状態になると、用紙P2は分離パッド43との間の摩擦力によってその移動が阻害され、二次的に用紙P1から分離されて、用紙P1のみが給送されることとなる。なお、分離パッド43は、給紙ローラ40の円弧部40aの回転軌道中に位置しているため、円弧部40aが回転することにより円弧部40aによって押し下げられることとなるが、可動アイドルローラ47はスプリング48により分離パッド43に向けて付勢されているので、分離パッド43が押し下げられてもこれに当接し、この当接によっても用紙の分離動作がなされることとなる。
【0035】
給紙ローラ40が丁度一回転して待機状態(図29に示した状態)に戻る。
【0036】
以上のようにして、最上位の用紙P1のみが給送されることとなる。
【0037】
このような給紙装置によれば、給紙ローラ40が常に分離パッド43に圧接されているわけではないので、摩耗が低減される。
【0038】
また、可動アイドルローラ47がスプリング48により分離パッド43に圧接されているので、次位の用紙が最上位の用紙につれて圧接部に進入することも、ある程度は防止される。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
上述した分離パッド方式の給紙装置は、一般に、その用紙が略水平状態に保持されるようになっていた。例えば、図28、図29に示した装置においても、その用紙は略水平状態に保持されている。
【0040】
このため、分離パッド方式の給紙装置を用いた従来のプリンタは、その設置面積が大きいという問題があった。
【0041】
この問題は、用紙を傾斜させた状態で保持する構造とすることによって解決することができる。例えば、用紙を45゜傾斜させた状態で保持する構造とすれば、用紙によって占められる設置面積は半減される。
【0042】
しかしながら、分離パッド方式を用いたものにおいて、用紙を傾斜させた状態で保持する構造とすることは従来困難であった。
【0043】
例えば、図28に示したものを傾斜させた(例えば45゜程度傾斜させた)状態を考えてみれば明らかなように、用紙を傾斜させた状態で保持する構造とすると、用紙はその自重によって滑降し得る状態となるため、次位の用紙(S2)あるいはさらにその次の用紙(S3)等がいわば雪崩現象を起こして、給紙ローラ18と分離パッド24との圧接部に極めて進入しやすくなる。
【0044】
このため、図28に示したようなレバー22を設けたとしても、最上位の用紙(S1)の後端がレバー22の先端を通過した際には、すでに次位の用紙(S2)の先端がレバー22の先端を通過してしまっているという状態が生じるおそれがあり、結果として、確実な分離動作が得られなくなるおそれがある。
【0045】
また、図29に示したものを傾斜させた場合にも、同様に次位の用紙あるいはさらにその次の用紙等が雪崩現象を起こして、給紙ローラ40と分離パッド43との圧接部に極めて進入しやすくなるため、給紙動作を繰り返す度に次位の用紙が給紙ローラと分離パッドとの圧接部に徐々に(累積的に)進入して、用紙の分離ができなくなってしまう。
【0046】
さらに、いずれの装置においても、複数枚の用紙が雪崩現象を起こして、給紙ローラと分離パッドとの間あるいはアイドルローラと分離パッドとの間に同時に進入しようとした場合には、これら複数枚の用紙が一体となって楔状となり、最上位の用紙が給送される過程でロックされてしまうおそれもある。
【0047】
このような問題は、給紙ローラと分離パッドとの圧接力(図29のものにあっては給紙ローラと分離パッドとの圧接力および可撓アイドルローラ47と分離パッドとの圧接力)を極めて大きくすることによって解決することが可能であるとも考えられる。
【0048】
しかしながら、この圧接力を大きくすると、給紙ローラの駆動力を大きくする必要があると同時に、前述した用紙搬送時の負荷(バックテンション)が極めて大きくなるため、この負荷に十分に打ち勝つだけの搬送力を得るべく、搬送ローラ(図27の2,3)等による用紙の挟圧力を大きくする必要がある。したがって、搬送ローラ等を駆動するための大きな駆動力も必要となり、装置が大型化したり消費電力が増大してしまうという問題が生じる。また、給紙ローラ、搬送ローラ等が摩耗し易くなるという問題も生じる。
【0049】
すなわち、種々のローラの駆動力およびバックテンション(負荷)を増大させることなく、用紙を傾斜状態で積層保持し、これを一枚づつ給送して搬送することは、図28に示した従来技術によっても、図29に示した従来技術によっても不可能であった。
【0050】
本発明の目的は、以上のような問題を解決し、傾斜状態で積層保持された用紙を、分離パッド方式を用いて上記駆動力および負荷を増大させることなく確実に一枚づつ給送して搬送することのできるプリンタを提供することにある。
【0051】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載のプリンタは、円弧部と直線部とを有し、給紙動作時に1回転正転する側面視略D形の給紙ローラと、
この給紙ローラの前記円弧部と接触して給送されるべき用紙が傾斜状態で複数枚積層され、給紙ローラの正転時に給紙ローラに向けて用紙を圧接させるホッパと、
このホッパ上に積層されている用紙の先端を支持する支持面と、
前記給紙ローラの円弧部の回転軌道中に位置し、パッド付勢手段により給紙ローラに向けて付勢されていて前記円弧部との間で用紙を挟圧することにより、給紙ローラにより送られるべき前記用紙を次位の用紙から分離する分離パッドと、
この分離パッドが給紙ローラの円弧部との間で用紙を挟圧しないときに、分離パッドと当接するアイドルローラと、
前記給紙ローラにより給送された用紙を搬送する搬送ローラとを備え、
この搬送ローラは、用紙の先端を、この用紙の,前記給紙ローラにより給送される給送経路における前記支持面から前記分離パッドとアイドルローラとの当接部までの長さ以上搬送した後、一旦逆転して、少なくとも前記分離パッドとアイドルローラとの当接部から前記支持面までの長さ分用紙を逆送することを特徴とする。
【0052】
請求項2記載のプリンタは、請求項1記載のプリンタにおいて、次位の用紙を後方に向けて押し戻す用紙戻しレバーであって,前記給紙ローラにより給送された用紙の後端が当該用紙戻しレバーを通過した後、後方に回動して次位の用紙の先端が前記アイドルローラと前記分離パッドとの当接部よりも後方に位置するように次位の用紙を後方に向けて押し戻す用紙戻しレバーを備えていることを特徴とする。
【0053】
請求項3記載のプリンタは、請求項2記載のプリンタにおいて、前記用紙戻しレバーが後方に回動して次位の用紙を後方に向けて押し戻す際、前記分離パッドを前記アイドルローラから離間させる離間機構を備えていることを特徴とする。
【0054】
請求項4記載のプリンタは、請求項2または3記載のプリンタにおいて、前記用紙戻しレバーは、次位の用紙の先端が前記支持面後方に達するように次位の用紙を押し戻すことを特徴とする。
【0055】
請求項5記載のプリンタは、請求項1,2,3,または4記載のプリンタにおいて、前記ホッパに積層されている用紙を、ホッパの用紙支持面に向けて付勢している付勢部材を備えていることを特徴とする。
【0056】
請求項6記載のプリンタは、請求項2,3,4,または5記載のプリンタにおいて、前記給紙ローラは、最初の給紙動作の前にも一旦逆転し、この逆転によって前記用紙戻しレバーが後方に回動することを特徴とする。
【0057】
請求項7記載のプリンタは、請求項1,2,3,4,5,または6記載のプリンタにおいて、前記給送されるべき用紙の先端が分離パッドとアイドルローラとの間を通過する際にアイドルローラを分離パッドから離間させ、前記用紙の先端が分離パッドとアイドルローラとの間を通過した後、前記給紙ローラの円弧部と分離パッドとの用紙を介した当接が解除される前にアイドルローラを分離パッドに当接させるアイドルローラ退避機構を備えたことを特徴とする。
【0058】
請求項8記載のプリンタは、請求項7記載のプリンタにおいて、前記アイドルローラ退避機構は、前記給紙ローラの軸に設けられ、この軸とともに回転するカムによって作動することを特徴とする。
【0059】
【作用効果】
請求項1記載のプリンタによれば、円弧部と直線部とを有し、給紙動作時に1回転正転する側面視略D形の給紙ローラと、この給紙ローラの前記円弧部と接触して給送されるべき用紙が傾斜状態で複数枚積層され、給紙ローラの正転時に給紙ローラに向けて用紙を圧接させるホッパと、前記給紙ローラの円弧部の回転軌道中に位置し、パッド付勢手段により給紙ローラに向けて付勢されていて前記円弧部との間で用紙を挟圧することにより、給紙ローラにより送られるべき前記用紙を次位の用紙から分離する分離パッドと、前記給紙ローラにより給送された用紙を搬送する搬送ローラとを備えているので、給紙動作時には、最上位の用紙のみが給送され、給送された用紙は搬送ローラで搬送される。
【0060】
前記ホッパには、用紙が傾斜状態で積層されるので、このプリンタによれば、設置面積が低減される。
【0061】
ホッパには、用紙が傾斜状態で積層されているため、最上位の用紙が給送される際、次位の用紙も給紙ローラに向けて下降することとなるが、給紙ローラの円弧部と分離パッドとが圧接されているときには、この圧接部によって次位の用紙の下降は阻害される。
【0062】
給紙ローラは、円弧部と直線部とを有する側面視略D形であるから、給紙ローラが1回転する過程で円弧部と分離パッドとの圧接が解除され、直線部が分離パッドと対向する状態になる、すなわち上記圧接部がなくなると、次位の用紙が下降しようとするが、このときにはアイドルローラが分離パッドと当接しているので、この当接部によって次位の用紙の下降が阻害される。
【0063】
そして、このプリンタは、前記ホッパ上に積層されている用紙の先端を支持する支持面を備えているとともに、前記搬送ローラは、用紙(最上位の用紙)の先端を、この用紙の前記給送経路における前記支持面から前記分離パッドとアイドルローラとの当接部までの長さ以上搬送した後、一旦逆転して、少なくとも前記分離パッドとアイドルローラとの当接部から前記支持面までの長さ分用紙を逆送するので、前記給送動作が終了した時点で、複数枚の用紙がアイドルローラと分離パッドとの当接部に楔状に進入しようとしていても、上記最上位の用紙の逆送によって、前記複数枚の用紙が押し戻されることとなる。すなわち、上記楔状部分における逆送される用紙と次位の用紙との間の摩擦力、さらにホッパが傾斜しており、かつ用紙が逆送されることによって生じる用紙の湾曲形状のその湾曲形状部分における押し戻し力および摩擦力によって次位の用紙(複数枚の用紙)が押し戻されることとなる。
【0064】
そしてこの押し戻し量、すなわち最上位の用紙の逆送量は、少なくとも分離パッドとアイドルローラとの当接部から前記支持面までの長さ分であるから、当接部に進入しようとしていた複数枚の用紙のうち、少なくともその一部は、その先端が上記支持面に落ち込むまで押し戻されることとなる。
【0065】
したがって、その後再び、搬送ローラが正転して最上位の用紙が搬送されても、上述したと同じ枚数の用紙が同時に分離パッドとアイドルローラとの当接部に楔状に進入するということがなくなる。
【0066】
したがって、また、このプリンタによれば、必要以上に分離パッドと給紙ローラあるいはアイドルローラとの圧接力を増大させる必要がなくなる。
【0067】
すなわち、このプリンタによれば、給紙ローラがD形のローラであり、かつ用紙が傾斜状態で積層されているにも拘らず、次位の用紙が給紙ローラと分離パッドとの圧接部に楔状に進入して、用紙の分離ができなくなるという事態が生じなくなる。
【0068】
以上説明したように、この請求項1記載のプリンタによれば、傾斜状態で積層保持された用紙を、分離パッド方式を用いて駆動力および負荷(バックテンション)を増大させることなく確実に一枚づつ給送し搬送することが可能となる。
【0069】
請求項2記載のプリンタによれば、請求項1記載のプリンタにおいて、前記給紙ローラにより給送された用紙の後端が通過した後、後方に回動して次位の用紙の先端が前記アイドルローラと前記分離パッドとの当接部よりも後方に位置するように次位の用紙を後方に向けて押し戻す用紙戻しレバーを備えているので、上記押し戻し動作によって完全には押し戻されなかった用紙が仮にあるとしても、給紙ローラにより給送された最上位の用紙の後端が通過した後に、この用紙戻しレバーが後方に回動することにより、次位の用紙の先端が前記アイドルローラと前記分離パッドとの当接部よりも後方に位置するように次位の用紙が後方に向けて押し戻されることとなる。
【0070】
したがって、次位の用紙が給紙ローラと分離パッドとの圧接部に進入して、用紙の分離ができなくなるという事態が一層確実に防止される。
【0071】
請求項3記載のプリンタによれば、請求項2記載のプリンタにおいて、前記用紙戻しレバーが後方に回動して次位の用紙を後方に向けて押し戻す際、前記分離パッドを前記アイドルローラから離間させる離間機構を備えているので、次位の用紙を円滑に押し戻すことができる。
【0072】
請求項4記載のプリンタによれば、請求項2または3記載のプリンタにおいて、前記用紙戻しレバーは、次位の用紙の先端が前記支持面後方に達するように次位の用紙を押し戻す構成となっているので、押し戻された次位の用紙の先端は、支持面で支持されることとなる。
【0073】
したがって、次位の用紙の前述した進入がより一層確実に防止される。
【0074】
請求項5記載のプリンタによれば、請求項1,2,3,または4記載のプリンタにおいて、前記ホッパに積層されている用紙を、ホッパの用紙支持面に向けて付勢している付勢部材を備えているので、前述した、用紙が逆送されることによって生じる用紙の湾曲形状のその湾曲形状部分における摩擦力が増大し、次位の用紙(複数枚の用紙)が押し戻され易くなる。
【0075】
しかも、押し戻された次位の用紙は、付勢部材によってホッパ上に落とし込まれることとなるので、押し戻された次位の用紙の先端は、確実に支持面で支持されることとなる。
【0076】
したがって、次位の用紙の前述した進入がより一層確実に防止される。
【0077】
請求項6記載のプリンタによれば、請求項2,3,4,または5記載のプリンタにおいて、前記給紙ローラは、最初の給紙動作の前にも一旦逆転し、この逆転によって前記用紙戻しレバーが後方に回動する構成となっているので、給紙動作が開始される前に何らかの理由で用紙が給紙ローラと分離パッドとの間に入り込んでいたとしても、これを確実に一旦戻すことができる。
【0078】
したがって、何らかの理由で用紙が給紙ローラと分離パッドとの間に入り込んでいる状態でそのまま給紙動作がなされたならば生じるであろう不具合(例えば用紙の頭出し不良)を未然に防止することができる。
【0079】
請求項7記載のプリンタによれば、請求項1,2,3,4,5,または6記載のプリンタにおいて、前記給送されるべき用紙の先端が分離パッドとアイドルローラとの間を通過する際にアイドルローラを分離パッドから離間させ、前記用紙の先端が分離パッドとアイドルローラとの間を通過した後、前記給紙ローラの円弧部と分離パッドとの用紙を介した当接が解除される前にアイドルローラを分離パッドに当接させるアイドルローラ退避機構を備えているので、次のような作用効果が得られる。
【0080】
すなわち、給紙動作時に給紙ローラが回転して最上位の用紙が送られ、この用紙の先端が給紙ローラの円弧部と分離パッドとの当接部を通過しようとする際、アイドルローラが分離パッドに向けて付勢されて分離パッドに当接していると、このアイドルローラが通過しようとする用紙に対して抵抗となる。
【0081】
これに対し、請求項7記載のプリンタによれば、給送されるべき用紙の先端が分離パッドとアイドルローラとの間を通過する際にアイドルローラを分離パッドから離間させる退避機構が設けられているので、通過しようとする用紙に対してアイドルローラが抵抗になるということがない。
【0082】
また、退避機構は、前記用紙の先端が分離パッドとアイドルローラとの間を通過した後、前記給紙ローラの円弧部と分離パッドとの用紙を介した当接が解除される前にアイドルローラを分離パッドに当接させるから、給紙ローラの円弧部と分離パッドとの用紙を介した当接が解除された後に、最上位の用紙とともに次位の用紙が送られてしまうということもない。
【0083】
請求項8記載のプリンタによれば、請求項7記載のプリンタにおいて、前記アイドルローラ退避機構は、前記給紙ローラの軸に設けられ、この軸とともに回転するカムによって作動する構成となっているので、構造の簡素化を図ることができる。例えば、ソレノイド等によって作動させるような構成にした場合に比べて簡単な構造とすることができる。
【0084】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0085】
図1は本発明に係るプリンタの一実施の形態における給紙装置を示す斜視図、図2は本発明に係るプリンタの一実施の形態の要部を示す概略図で、一部を透視した部分省略側面図である。
【0086】
図1に示すように、このプリンタにおける給紙装置SFは、フレーム100と、このフレームに回転可能に支持された給紙ローラ軸110と、この給紙ローラ軸110に取り付けられた一対の給紙ローラユニット120,120’と、フレーム100に対して回動可能に取り付けられたホッパ130とを有している。
【0087】
ホッパ130には、用紙幅方向にスライド可能なエッジガイド131が取り付けられている。一対の給紙ローラユニット120,120’のうち、一方の給紙ローラユニット120’は、エッジガイド131と連結されており、エッジガイド131と共に、給紙ローラ軸110に沿ってスライド可能になっている。
【0088】
このような給紙装置SFは、図2に示すようにプリンタに組み込まれる。
【0089】
図2において、2,3は用紙を搬送する搬送ローラ対、4は用紙に印字する印字ヘッド、5,6は印字済の用紙を排出する排紙ローラ対、8a,8bは用紙ガイドである。搬送ローラ対2,3のうち、ローラ2が駆動ローラ、ローラ3が従動ローラである。従動ローラ3は、図20に示すように上の用紙ガイド8aの先端に回動可能に取り付けられている。また、排紙ローラ対5,6のうちローラ5が駆動ローラ、ローラ6が従動ローラである。従動ローラ6はスターホイルで構成されている。
【0090】
ホッパ130は、図示のように傾斜しており、この上に複数枚の用紙P(図2)が積層状態でセットされる。
【0091】
図1に示したエッジガイド131は、ユーザによりセットされる用紙の幅に合わせてスライド操作され、給送される用紙の一側縁を案内する。他側縁は、フレーム100の側壁101によって案内される。従って、他方の給紙ローラユニット120は給紙ローラ軸110上をスライドしない。
【0092】
一対の給紙ローラユニット120,120’は、左右対称に構成されており、スライドするかしないかだけが異なっているに過ぎないので、以下、給紙ローラユニットに関しては、一方の給紙ローラユニット120についてのみ説明する。
【0093】
図3は給紙装置の要部すなわち主として給紙ローラユニットを示す一部切断側面図、図4は図3におけるIV−IV断面図、図5は主として給紙ローラおよびホッパ等を示す断面図、図6は図5の部分省略平面図である。
【0094】
これらの図において、121は給紙ローラであり、円弧部121aと直線部121bとを有する側面視略D形に構成されており、少なくとも円弧部121aの表面および直線部121bの表面が高摩擦材料(例えばゴム)で形成されている。この給紙ローラ121は、主として図4に示すようにブッシュ122を介して給紙ローラ軸110に固定されている。すなわち、給紙ローラ121およびブッシュ122は給紙ローラ軸110に対して回転不能である。給紙ローラ軸110は、その軸端に固定された歯車111(図1参照)を介し、図示しない駆動手段によって、給紙動作時に丁度1回転だけ回転駆動されるようになっている。
【0095】
ホッパ130は、図5に示すように軸132によってフレーム100に対して回動可能に取り付けられている。なお、137は給紙トレイであり、プリンタに取り付けられている。これらホッパ130および給紙トレイ137上に、複数枚の用紙Pが積層状態でセットされる。セットされた用紙Pは、その先端Paが、後述する分離パッドホルダ151の背面(支持面)152に当接することによって支持され揃えられる。
【0096】
140は給紙ローラユニット120のフレーム(以下、サブフレームという)であり、このサブフレーム140とホッパ130の先端部との間にはホッパバネ(圧縮バネ)133が設けられている。したがって、ホッパ130は、ホッパバネ133により、図5において時計方向すなわち用紙Pを給紙ローラ121に当接させる方向に向けて常時付勢されているが、図3および図6に示すように、ホッパ130の両端にはカムフォロア134が形成されており、このカムフォロア134が、給紙ローラ軸110に固定されたホッパカム135(図1参照)と当接することによって、その回動が規制されている。なお、図5、図6に示すように、ホッパ130の先端部上面には、後述する分離パッドと同様のパッド136が設けられている。
【0097】
150は分離パッドであり、分離パッドホルダ151に固定されている。分離パッド150は、用紙Pに対する摩擦係数が、給紙ローラ121の摩擦係数よりも小さな材料(例えばコルク等の材料)で構成されている。また、いずれの摩擦係数も用紙相互間の摩擦係数よりも大きな摩擦係数の材料で構成されている。すなわち、給紙ローラ121と用紙との間の摩擦係数をμ1、分離パッド150と用紙との間の摩擦係数をμ2、用紙相互間の摩擦係数をμ3とすると、μ1>μ2>μ3となっている。
【0098】
分離パッドホルダ151は、図7、図8に示すように、分離パッド150が固定されるパッド支持部153と、これと一体の前述した用紙先端の支持面(背面)152部分と、これと一体に形成されたアーム部154とを有しており、アーム部154の後端両側に設けられた軸155がサブフレーム140のトラック穴140aと嵌合することによって、サブフレーム140に回動可能に取り付けられている。
【0099】
パッド支持部153の下面とサブフレーム140との間には、パッド付勢手段としてのパッドバネ(圧縮バネ)156が設けられている。したがって、分離パッドホルダ151は、パッドバネ156により、図5において時計方向すなわち分離パッド150を給紙ローラ121に当接させる方向に向けて常時付勢されているが、分離パッドホルダ151の一側には突部157(図7,図8参照)が形成されており、この突部157が、図4に示すようにサブフレーム140に設けられた、パッド規制手段をなすピン141(図8参照)と当接することによって、その回動が規制されている。突部157がピン141と当接している状態で、分離パッド150は、給紙ローラ121の円弧部121aの回転軌道中に位置している。
【0100】
図3〜図5、および図9において、160はアイドルローラ、161はアイドルローラホルダである。なお、170は給紙ローラ121のカバーであり、サブフレーム140に取り付けられている。
【0101】
アイドルローラホルダ161は、その中心に穴161aを有する略リング状をなしている。アイドルローラホルダ161の一側面下方には、軸163が設けられており、この軸163にアイドルローラ160が回転可能に支持されている。なお、図9において163aは、抜け止めのフックである。
【0102】
アイドルローラホルダ161には、図9に示すように一対の爪161b,161bが形成されており、これら爪161b,161bが、サブフレーム140に設けられた長穴142,142と軽く嵌まり合うことによって、アイドルローラホルダ161はサブフレーム140に取り付けられている。また、アイドルローラホルダ161の他側面上下には図4,図5に示すように一対のピン161c,161cが設けられており、このピン161c,161cが、図4、図9に示すようにサブフレーム140に形成されたトラック穴143,143に対してスライド可能に嵌まり込んでいる。さらに、アイドルローラホルダ161の穴161aには、図4に示すように給紙ローラ軸110およびブッシュ122が挿通されているが、穴161aの径はブッシュ122の対応する部分122aの外径よりも大きく形成されている。
【0103】
したがって、アイドルローラホルダ161は、そのピン161c,161cがトラック穴143,143に案内されることにより、図5において矢印a1,a2方向にスライド可能であり、したがってまた、アイドルローラ160も矢印a1,a2方向にスライド可能である。
【0104】
図3,図4,および図9に示すように、アイドルローラホルダ161の上部にはバネ受け部164が設けられており、このバネ受け部164を跨ぐようにしてローラ付勢手段としてのローラバネ(引っ張りコイルバネ)165が設けられている。このローラバネ165は、その両端が、サブフレーム140の内面に形成された掛け止め部144,144(図9参照)に係止されることによって、サブフレーム140に取り付けられている。したがって、アイドルローラホルダ161は、ローラバネ165により、図5矢印a1方向に向けて常時付勢されているが、アイドルローラ160が分離パッド150と当接することによって(または、後述するカムフォロア166がブッシュ122に形成されたカム123と当接することによって)その移動が規制されている。ローラバネ165の付勢力は、パッドバネ156の付勢力よりも小さく設定されている。したがって、アイドルローラ160が分離パッド150を押し下げてしまうということはない。
【0105】
一方、アイドルローラホルダ161の一側面上方にはカムフォロア166が形成されており、このカムフォロア166が、前述したブッシュ122に形成されたカム123(図3から図5参照)と接離することによって、アイドルローラホルダ161が矢印a1またはa2方向に移動し、したがってまた、アイドルローラ160も矢印a1またはa2方向に移動するようになっている。すなわち、この実施の形態において、アイドルローラ退避機構は、アイドルローラホルダ161およびカム123で構成されており、カム123の作動によって、後述するように、給送されるべき用紙の先端が分離パッド150とアイドルローラ160との間を通過する際にアイドルローラ160を分離パッド150から離間させ、用紙の先端が分離パッド150とアイドルローラ160との間を通過した後、給紙ローラ121の円弧部121aと分離パッド150との用紙を介した当接が解除される前に、アイドルローラ160を分離パッド150に当接させるように、前記カム123の形状が構成されている。
【0106】
図3、図4、図9、および図10において、180は用紙戻しレバーである。
【0107】
この用紙戻しレバー180は、その基部181が断面C字形の筒状に形成されており、その弾性を利用してこの筒状基部181を、サブフレーム140に形成された軸145a,145bに嵌め合わせることによって、サブフレーム140に回動可能に取り付けられている。筒状基部181には、小径部181aが形成されており、この小径部181aに対してねじりバネ182が装着されている(小径部181aがねじりバネ182のコイル部182aに挿入されている)。ねじりバネ182の一方の腕182bは用紙戻しレバー180に形成された穴183に挿入されてレバー180に係止され、他方の腕182cは、サブフレーム140に形成された受け溝146,146に両端が支持されると共に中央部がフック147に掛け止めされることによってサブフレーム140に係止される。したがって、レバー180は、これに外力が作用しないときには、図3および図9に示す中立位置にあるが、外力(ブッシュ122の後述する円板124または給送される用紙による外力)が作用するとバネ182の付勢力に抗して図3において時計方向または反時計方向に回動し、外力が作用しなくなると、バネ182の付勢力によって前記中立位置に復帰するようになっている。
【0108】
図4に示すように、ブッシュ122には、上記用紙戻しレバー180に対応する位置に円板124が一体的に形成されている。この円板124には、図3および図11に示すように、凹所124aが設けられており、この凹所124a内に、前述した中立位置にある用紙戻しレバー180が入り込むようになっている。したがって、ブッシュ122が回転すると(給紙ローラ軸110が回転すると)、円板124の角部124bまたは124cがレバー180に当接し、これによってレバー180が図3において時計方向または反時計方向に回動する。時計方向に回動したとき、後述するように用紙が押し戻されるようになっており、この際、次に説明する離間機構によって、前述した分離パッド150がアイドルローラ160から離間させられるようになっている。
【0109】
離間機構は、主として上記用紙戻しレバー180と、分離パッドホルダ151におけるパッド支持部153の下面に組み込まれた離間レバー190(図12参照)とによって構成されている。
【0110】
図12(a)(b)は、離間レバー190の分離パッドホルダ151への組み込み状態を示す斜視図である。なお、この図では、組み込み状態を分かりやすくするために、天地を逆にして描いてある。
【0111】
離間レバー190は、軸191と、バネ受け部192と、突片193とを有している。
【0112】
一方、分離パッドホルダ151には、軸受け穴151aおよび軸受け溝151bと、窓151cと、バネ受け穴151d,151dとが形成されている。
【0113】
離間レバー190は、その突片193を窓151cに挿通するようにして、軸191を軸受け穴151aおよび軸受け溝151bに嵌め合わせることによって、分離パッドホルダ151に対し、軸191回りに回動可能に取り付けられている。
【0114】
図(b)において、194はコイルバネであり、部分的に巻径を大きくすることによって段部194aが形成されている。
【0115】
コイルバネ194は、その両端をバネ受け穴151d,151dに係合させることによって分離パッドホルダ151に取り付けられ、離間レバー190のバネ受け部192を図(b)において下方に押圧するようになっている。したがって、離間レバー190はコイルバネ194で付勢され、通常は、その突片193が分離パッドホルダ151の窓151cの下縁151f(図8参照)に当接している(図3、図4参照)が、突片193が窓151c内を移動し得る範囲で回動可能である。なお、151eは、段部194aと係合してコイルバネ194の抜けを防止する突起である。
【0116】
一方、前述した用紙戻しレバー180には、図10に示すように、突起カム184が形成されており、図3、図4、および図9に示すように分離パッドホルダ151がサブフレーム140に組み込まれたときに、離間レバー190の突片193が前記突起カム184の回動軌道中に位置するようになっている。したがって、後述するように用紙戻しレバー180が図3において時計方向に回動すると、突起カム184が突片193を押し下げ、これによって分離パッドホルダ151すなわち分離パッド150が押し下げられてアイドルローラ160から離間することとなる。
【0117】
図1および図3において、200は付勢部材としての合成樹脂製のシートである。このシート200は、その上端201が、給紙ローラのカバー170に固着されたガイド171に固定されている。このシート200は、自由状態では、図3に二点鎖線で示すように直線状態をなすものであるが、その下端201がホッパ130上の用紙Pの上面Pcと当接することによって実線で示すように撓むようになっている。逆にいえば、このシート200は、ホッパ130に積層されている用紙Pを、ホッパ130の用紙支持面130aに向けて付勢している。
【0118】
この実施の形態の給紙装置は、前述したホッパカム135(図1参照)の他にも、ホッパ130の回動を規制するホッパ保持機構を備えている。
【0119】
ホッパ保持機構は、主として保持レバー210(図3、図13参照)によって構成されている。
【0120】
図3において、102はフレーム100の側壁101(図1参照)に突設されたピンであり、保持レバー210は、このピン102によって側壁101に回動可能に取り付けられている。保持レバー210の後端211と側壁101との間に図示しない引っ張りバネが設けられており、この引っ張りバネによって保持レバー210は図3において時計方向に常時付勢されているが、その先端212がホッパカム135の回転軌道中に位置しているので、図3に示すように先端212がホッパカム135に当接したときには反時計方向に回動した状態となる。保持レバー210の中間には突起213が形成されており、この突起213が、ホッパ130の側部先端に形成された凹部138と係脱可能である。すなわち、保持レバー210が時計方向に回動すると、突起213が凹部138に係合して(入り込んで)ホッパ130の上動(図3において時計方向への回動)が規制され、保持レバー210が反時計方向に回動すると、突起213が凹部138から脱してホッパ130の上動が可能となる。なお、このホッパ保持機構はホッパ130の両側に設けられている。
【0121】
次に、以上のようなプリンタの作動について説明する。
【0122】
先ず、待機時の状態について説明する。
【0123】
待機時には、図3に示すように、ホッパカム135に、ホッパ130のカムフォロア134が当接していることにより、ホッパ130が押し下げられた状態となっている(図5参照)。
【0124】
給紙ローラ121は、その直線部121bが用紙Pと対向した状態となっており、給紙ローラ121は用紙Pとは接触していない。
【0125】
したがって、この状態においては、ホッパ130上に容易に用紙Pをセットすることができる。
【0126】
分離パッドホルダ151(すなわち分離パッド150)は、パッドバネ156(図5参照)により、図3において時計方向に付勢されているが、図4に示すように突部157がピン141と当接することによって、その回動が規制され、図3、図5に示す位置に停止している。したがって、パッドバネ156の付勢力はアイドルローラ160には作用していない。また、このとき、分離パッド150は、給紙ローラの円弧部121aの回転軌道中に位置している。
【0127】
ブッシュ122のカム123とアイドルローラホルダ161のカムフォロア166とは接触しておらず、したがって、アイドルローラ160はローラバネ165の付勢力によって分離パッド150に当接している。
【0128】
用紙戻しレバー180は中立位置にあって、ブッシュ122の凹所124a内に入り込んでいる。
【0129】
用紙戻しレバー180の突起カム184と、離間レバー190の突片193とは、接触していないかあるいは微かに接触している。
【0130】
離間レバー190の突片193は分離パッドホルダ151の窓151cの下縁151fに当接している。
【0131】
ホッパ保持機構の保持レバー210は、その先端212がホッパカム135に当接しており、したがって、保持レバー210の突起213はホッパ130の凹部138から脱した状態となっている。
【0132】
次に、用紙戻し動作、給紙動作、および用紙搬送動作(用紙押し戻し動作を含む)について説明する。
【0133】
(i)この実施の形態においては、先ず用紙戻し動作を行なう。
【0134】
しかしながら、説明の便宜上、この用紙戻し動作については、次の(ii)以降で説明する給紙動作および用紙搬送動作がなされた後に説明した方が分かりやすいので、後で説明する。
【0135】
(ii)図3において、給紙ローラ軸110が時計方向への回転を開始する。したがって、給紙ローラ121、ブッシュ122、およびホッパカム135も回転を開始する。なお、このとき、搬送ローラ対2,3も用紙搬送方向(正転方向)に回転を開始するが、以降、説明の煩雑を避けるため、特に必要がない限り搬送ローラ対2,3については言及しない。
【0136】
(iii)図14に示すように、給紙ローラ軸110とともに給紙ローラ121、ブッシュ122、およびホッパカム135が所定角度回転してホッパカム135とホッパ130のカムフォロア134との当接が解除されると、ホッパバネ133(図5参照)によってホッパ130が瞬間的に押し上げられ、用紙Pも押し上げられてその最上位の用紙P1が給紙ローラ121の円弧部121aに押し付けられる。ホッパ130および用紙Pは瞬間的に押し上げられるので、上部の用紙が支持面152から外れてもほとんど下降せず、図示のようにホッパ130と給紙ローラ121とで挟まれた状態となる。
【0137】
なお、分離パッドホルダ151(すなわち分離パッド150)は、上述した待機状態と同じ状態にある。ブッシュ122のカム123とアイドルローラホルダ161のカムフォロア166とは未だ接触しておらず、アイドルローラ160はローラバネ165の付勢力によって分離パッド150に当接している。用紙戻しレバー180は、ブッシュ122の回転により、円板124の角部124c(図3参照)に押されて反時計方向に回動し凹所124aから脱してその先端が円板124の周面124dに沿う状態となる。したがって用紙戻しレバー180の突起カム184は、離間レバー190の突片193と完全に離間する。離間レバー190および保持レバー210は待機状態と同じ状態のままである。
【0138】
(iv)さらに給紙ローラ軸110が回転し続けることにより、図15に示すように、給紙ローラ121の円弧部121aと最上位の用紙P1とが接触していることによって、この用紙P1が分離パッド150に向けて送られる。この際、用紙P1に対して次位の用紙P2が静電気の作用で吸着していることにより、あるいは用紙P1と用紙P2との間に摩擦力が作用することによって、用紙P2が用紙P1とともに送られることもあるが、用紙P2は、その先端P2aが分離パッド150に突き当たることによって、その移動が阻害され、一次的に用紙P1から分離され得る。同様に、さらに下位の用紙P3等が送られようとしても同様にして分離され得る。なお、これからも分かるように、「次位の用紙」には、さらに下位の用紙P3等も含まれるが、説明が煩雑化するのを避けるために、特に必要がない限り「さらに下位の用紙P3等」も含めて単に「次位の用紙」ということにする。
【0139】
この時点(図15に示す時点)で、ブッシュ122のカム23の斜面123aがアイドルローラホルダ161のカムフォロア166に当接するが、最上位の用紙P1の先端P1aは未だアイドルローラ160と分離パッド150との当接部Tには達していない。なお、この当接部Tは、給紙ローラ121の円弧部121aと分離パッド150との当接部と一致している(図18参照)。
【0140】
なお、その他の部材は、上述した(iii)の状態と同じ状態のままである。
【0141】
(v)さらに給紙ローラ軸110が回転し続けることにより、図16に示すように、給紙ローラ121の円弧部121aが最上位の用紙P1を介して分離パッド150を押圧する。これによって、分離パッド150はパッドバネ156の付勢力に抗して矢印b1方向に押し下げられると同時に、パッドバネ156の付勢力によって給紙ローラ121の円弧部121aとの間で最上位の用紙P1を挟圧する。すなわち、用紙P1は給紙ローラ121と分離パッド150との間で挟圧された状態で送られることとなる。この際、上述したように、次位の用紙P2が用紙P1とともに送られそうになることもあるが、前述したように給紙ローラ121と用紙との間の摩擦係数をμ1、分離パッド150と用紙との間の摩擦係数をμ2、用紙相互間の摩擦係数をμ3とすると、μ1>μ2>μ3となっているので、給紙ローラ121の回転につれて用紙P1と用紙P2とがともに給紙ローラの円弧部121aと分離パッド150とで挟圧された状態になると、用紙P2は分離パッド150との間の摩擦力によってその移動が阻害され、二次的に用紙P1から分離されて、用紙P1のみが給送されることとなる。
【0142】
また、この時点(図16に示す時点)で、アイドルローラホルダ161のカムフォロア166は、カム123の斜面123aによって押し上げられてカム123の円弧面123bに乗り上げた状態となる。これによって、アイドルローラ160は矢印a2方向に移動し、分離パッド150から離間した状態となるが、最上位の用紙P1の先端P1aは未だアイドルローラ160と分離パッド150との当接部T(図15参照)には達していない。
【0143】
すなわち、給送されるべき用紙P1の先端P1aが分離パッド150とアイドルローラ160との間を通過する際には、すでにアイドルローラ160は分離パッド150から離間した状態となっていることとなる。
【0144】
なお、その他の部材は、上述した(iii)の状態と同じ状態のままである。
【0145】
(vi)さらに給紙ローラ軸110が回転し続けることにより、図17に示すように、用紙P1が給紙ローラ121と分離パッド150とで挟圧された状態でさらに送られる。なお、用紙P1は用紙戻しレバー180を反時計方向に回動させて送られ、用紙戻しレバー180は用紙P1の後端が通過するまで用紙P1にしたがって反時計方向に回動した状態となる。
【0146】
この時点(図17に示す時点)で、アイドルローラホルダ161のカムフォロア166は、カム123の円弧面123bの終端部近くに位置する。
【0147】
また、この時点では、給紙ローラ軸110が1回転近く回転しており、ホッパカム135が、図17に示す位置まできているので、ホッパ保持機構の保持レバー210は、その先端212がホッパカム135から外れ、したがって、図3において時計方向に回動しようとするが、その突起213がホッパ130の前面139に当接することによって、時計方向への回動が規制された状態となっている(図17仮想線参照)。
【0148】
なお、その他の部材は、上述した(iii)の状態と同じ状態のままである。
【0149】
(vii)さらに給紙ローラ軸110が回転し続けることにより、図18に示すように、用紙P1が給紙ローラ121と分離パッド150とで挟圧された状態でさらに送られる。
【0150】
この時点(図18に示す時点)で、アイドルローラホルダ161のカムフォロア166は、カム123のもう一方の傾斜面123cを滑り落ち、したがってローラバネ165の付勢力によってアイドルローラ160が分離パッド150に当接する。しかし、この時点では未だ、給紙ローラ121の円弧部121aが用紙P1を介して分離パッド150を押圧した状態となっている。
【0151】
すなわち、給紙ローラ121の円弧部121aと分離パッド150との用紙P1を介した当接が解除される前にアイドルローラ160が分離パッド150に当接することとなる。
【0152】
また、この時点で、用紙P1の先端は、搬送ローラ対2,3の挟圧部N(図2参照)に達し、この挟圧部Nを僅かに通過した状態となる。
【0153】
そこで、この実施の形態では、この時点で一旦給紙ローラ121を停止させるとともに、上記(ii)の時点から正転し続けていた搬送ローラ対2,3を一旦逆転させることによって用紙P1の先端を挟圧部Nの手前(給紙ローラ121側)まで逆送し、給紙ローラ121が停止していることによって生じる用紙の弛みの復元力で用紙の先端P1を搬送ローラ対2,3の挟圧部Nに沿わせ、用紙P1が斜めに給送されている場合にはこれを矯正する。
【0154】
なお、その他の部材は、上述した(vi)の状態と同じ状態のままであるが、ホッパ130はホッパカム135で押し下げられた状態となる。
【0155】
(viii)搬送ローラ対2,3が正転するとともに、給紙ローラ121も正転する。
【0156】
その後、図19に示すように、給紙ローラ軸110が丁度一回転すると、これが停止し、給紙装置SFは待機状態(図3に示した状態)に戻る。なお、ホッパ130は押し下げられた状態となる。
【0157】
一方、搬送ローラ対2,3は正転し続ける。
【0158】
この時点で、用紙P1は給紙装置SFから完全に脱した状態とはなっていないから、用紙P1は、その後端が分離パッド150とアイドルローラ160との当接部Tを通過するまでは、この当接部Tにおける負荷を受けた状態(後方に引っ張られた状態)で、図2に示した搬送ローラ2,3によって搬送されることとなる。
【0159】
この場合、アイドルローラ160が分離パッド150に向けてローラバネ165で付勢され、分離パッド150との間で用紙P1を挟圧しているので、すでに一旦用紙P1から分離された次位の用紙P2が、その自重で下降しようとしたり、または用紙P1に対して静電気の作用で吸着しあるいは用紙P1との間の摩擦力によって用紙P1とともに送られようとしても、これが防止される。
【0160】
しかしながら、用紙が比較的滑り易いシートであるような場合、複数枚の用紙が積層状態でホッパ130上に傾斜状態で保持されているが故に、給紙ローラ121が回転する過程(図14に示す状態から図19に示す状態に至る過程)で、例えば、図20に示すように、次位の用紙P2〜P5がいわば雪崩現象を起こして、アイドルローラ160と分離パッド150との間に進入し、あるいは進入しようとする状態になることがある。
【0161】
このような状態で、最上位の用紙P1の搬送が続けられると、次位の用紙P2〜P5があたかも一体となるようにして楔状Wとなり、最上位の用紙P1が搬送される過程でロックされてしまうおそれがある。また、ロックされずに最上位の用紙P1が搬送されても、このような状態のまま、その後再び用紙を給送しようとすると(この場合用紙P2を給送しようとすると)、次位の用紙(この場合P3以降の用紙)も共に送られてしまい易くなる(すなわち重層され易くなる)。
【0162】
そこで、この実施の形態では、図21に示すように、搬送ローラ2,3で、用紙P1の先端P1aを、この用紙の前記給送経路における前記支持面152から分離パッド150とアイドルローラ160との当接部Tまでの長さL以上の長さL1だけ搬送した後、図22に示すように、搬送ローラ2,3を一旦逆転させて、長さL2だけ用紙P1を逆送する。なお、この実施の形態では、逆送する長さL2を前記長さLよりも大きくしたが、等しくしてもかまわない。すなわち、上記各長さの関係は、L1≧L2≧Lであればよい。
【0163】
このように、用紙P1を逆送すると、図22および図23(図23は図22の部分拡大図である)に示すように、最上位の用紙P1によって、次位の用紙P2〜P5が押し戻されることとなる。
【0164】
すなわち、図20に示した楔状部分Wにおける逆送される用紙P1と次位の用紙P2との間(あるいはP2とP3の間等)の摩擦力Fw、さらにホッパ130が傾斜しており、かつ用紙P1が逆送されることによって生じる用紙P1の湾曲形状のその湾曲形状部分における押し戻し力および摩擦力(これら押し戻し力および摩擦力をFpで示す)によって次位の用紙P2〜P5が押し戻されることとなる。この際、シート200が、ホッパ130に積層されている用紙Pを、ホッパ130の用紙支持面130aに向けて付勢しているので、上記湾曲形状部分における押し戻し力および摩擦力Fpが増大し、次位の用紙P2〜P5が押し戻され易くなる。
【0165】
そしてこの押し戻し量、すなわち最上位の用紙P1の逆送量L2は、前記当接部Tから前記支持面152までの長さ分Lに等しいかそれ以上であるから、当接部Tに進入しようとしていた複数枚の用紙P2〜P5のうち、少なくともその一部(図27ではP3〜P5)は、その先端が上記支持面152に落ち込むまで押し戻されることとなる。
【0166】
したがって、その後再び、搬送ローラ2,3が正転して最上位の用紙P1が搬送されても、上述したと同じ枚数の用紙が同時に分離パッド150とアイドルローラ160との当接部Tに楔状に進入するということがなくなる。
【0167】
搬送ローラ2,3は、上記逆転動作を行なった後、正転して用紙P1を搬送する。
【0168】
このようにして搬送される用紙P1に、ヘッド4で印字がなされ、印字済の用紙は排出ローラ対5,6で機外に排出される。
【0169】
(ix)以上のようにして給送され、搬送される用紙P1の後端が給紙装置SFから脱した後、必要に応じて再び給紙動作が行なわれることとなるが、この給紙装置はホッパ130が傾斜しており、この上に複数枚の用紙Pが積層状態でセットされているので、一旦給紙動作がなされると、上記(x)で説明した配送ローラ2,3による用紙押し戻し動作がなされたとしても、図23に示すように、完全には押し戻されなかった次位の用紙P2の先端P2aが分離パッド150とアイドルローラ160との当接部Tの近くに位置するまで下降した状態となっていることがある。また、用紙が滑り易いフィルム等であると、その先端P2aが前記当接部Tを通過するということもないとはいえない。従って、この状態のまま給紙動作を繰り返すと、さらに次の用紙P3等が給紙ローラ121と分離パッド150との間に進入し、さらにまた次の用紙P4が進入しというようにして、用紙の進入が累積し、結果として、アイドルローラ160を設け、かつ上述した搬送ローラ2,3による用紙押し戻し動作を行なったとしても、本来送られるべきではない次位の用紙がアイドルローラ160と分離パッド150との当接部Tを通過してしまい、これが最上位の用紙と共に送られてしまう(重送されてしまう)という事態も生じ得る。
【0170】
そこでこの実施の形態のプリンタでは、給紙動作を行なう前に、前述したように(i)で、先ず用紙戻し動作を行なう。すなわち、この用紙戻し動作は、前述した上記(ii)の動作に先立って次のようにして行なわれる。
【0171】
用紙戻し動作は、次の通りである。
【0172】
(i−1)前述した待機の状態(図3および図19参照)から、給紙ローラ軸110が反時計方向への回転(逆転)を開始する。したがって、給紙ローラ121、ブッシュ122、およびホッパカム135も逆転を開始する。
【0173】
図24に示すように、給紙ローラ軸110とともに給紙ローラ121、ブッシュ122、およびホッパカム135が所定角度逆転すると、用紙戻しレバー180が、その後縁185で用紙の先端P2aを押し戻すべく、ブッシュ122の円板124の角部124bに押されて時計方向に回動し、その突起カム184が離間レバー190の突片193と当接してこれを押し下げる。突片193は、分離パッドホルダ151の窓151cの下縁151fに当接しているから、結果として分離パッド150も押し下げられ、図示のように分離パッド150が給紙ローラ121およびアイドルローラ160から離間することとなる。このように、分離パッド150を給紙ローラ121およびアイドルローラ160から離間させるのは、前述したように用紙が滑り易いフィルム等である場合には、その先端P2aが前記当接部Tを通過してしまっているということも有り得、このような場合に、分離パッド150と給紙ローラ121およびアイドルローラ160とを離間させることなく、用紙P2を用紙戻しレバー180で押し戻そうとしても、円滑に押し戻すことはできないからである。
【0174】
なお、アイドルローラ160の下動は、アイドルローラホルダ161のカムフォロア166が、カム123に当接していることによって規制される。
【0175】
この時点(図24に示す時点)で、ホッパ130は、そのカムフォロア134がホッパカム135と当接していることにより、押し下げられた状態となっているが、ホッパ保持機構の保持レバー210は、その先端212がホッパカム135から外れて時計方向に回動し、その突起213がホッパ130の凹部138に入り込んだ状態となる。
【0176】
(i−2)さらに給紙ローラ軸110が逆転し続けることにより、図25に示すように、用紙戻しレバー180がさらに時計方向に回動し、その後縁185で用紙P2を押し戻す。用紙戻しレバー180の突起カム184は離間レバー190の突片193と当接してこれを押し下げたままであり、したがって、分離パッド150は給紙ローラ121およびアイドルローラ160から離間したままである。
【0177】
なお、ホッパ130は、そのカムフォロア134がホッパカム135と当接していることにより、押し下げられた状態のままであり、保持レバー210の突起213もホッパ130の凹部138に入り込んだ状態のままである。
【0178】
(i−3)さらに給紙ローラ軸110が逆転し続けることにより、図26に示すように、用紙戻しレバー180がさらに時計方向に回動し、その後縁185で用紙P2を完全に押し戻す。すなわち、用紙戻しレバー180は、用紙P2の先端P2aが支持面152の後方に達するように用紙P2を押し戻す。これによって、用紙P2は、その自重により、また、シート200が用紙P(すなわち用紙P2)をホッパ130の用紙支持面130aに向けて付勢していることによって、ホッパ130上に完全に戻される(落とし込まれる)こととなる。
【0179】
この時点に至る過程で、ホッパカム135はホッパ130のカムフォロア134から外れ、ホッパ130は上動しようとするが、保持レバー210の突起213がホッパ130の凹部138に入り込んでいるため、ホッパ130は上動せず、下動した状態(図26に示す状態)のままである。したがって、上記用紙の落とし込みは確実になされる。なお、このようなホッパ130の保持動作は、ホッパカム135の形状を変える、すなわち、給紙ローラ軸110が図26に示すように逆転しても、依然としてカムフォロア134と当接するような形状(仮想線135’で示す形状)とすることによっても可能ではある。しかしながら、このような形状とすると、前述した給紙動作時に、ホッパ130が早く押し下げられてしまい(図17に示した状態に達する前に下動してしまい)、ホッパ130の押し上げ力による用紙と給紙ローラ121との当接期間が不十分になって給紙動作自体が確実には行なわれなくなってしまうおそれがあるので、あまり望ましくはない。
【0180】
用紙戻しレバー180が完全に時計方向に回動することにより、その突起カム184は離間レバー190の突片193から外れた状態となる。したがって、分離パッド150は上動し得る状態となるが、この時点では給紙ローラ121と当接することによってその上動は規制されている。
【0181】
なお、この実施の形態では、上述したように、用紙P2をホッパ130上に完全に戻すようにしたが、少なくとも次位の用紙P2の先端P2aがアイドルローラ160と分離パッド150との当接部Tよりも後方に位置するように押し戻せば、前述した累積的な進入は防止される。
【0182】
以上のような用紙戻し動作がなされた後、給紙ローラ軸110が正転し、前述した待機状態を経て(ii)以降の給紙動作がなされる。なお、用紙戻し動作がなされた後、給紙ローラ軸110が正転すると、用紙戻しレバー180は、ねじりバネ182の付勢力により、また、ブッシュ122の円板124の角部124cで押されることにより反時計方向に回動することとなるが、この際、用紙戻しレバー180の突起カム184は、離間レバー190の突片193の下面と当接してこれを押し上げて(離間レバー190を反時計方向に回動させて)通過するだけである。
【0183】
以上のようなプリンタによれば、次のような作用効果が得られる。
【0184】
(a)円弧部121aと直線部121bとを有し、給紙動作時に1回転正転する側面視略D形の給紙ローラ121と、この給紙ローラ121の円弧部121aと接触して給送されるべき用紙Pが傾斜状態で複数枚積層され、給紙ローラ121の正転時に給紙ローラ121に向けて用紙を圧接させるホッパ130と、給紙ローラ121の円弧部121aの回転軌道中に位置し、パッド付勢手段156により給紙ローラ121に向けて付勢されていて円弧部121aとの間で用紙を挟圧することにより、給紙ローラ121により送られるべき用紙P1を次位の用紙P2から分離する分離パッド150と、給紙ローラ121により給送された用紙P1を搬送する搬送ローラ2,3とを備えているので、給紙動作時には、最上位の用紙P1のみが給送され、給送された用紙P1は搬送ローラ2,3で搬送される。
【0185】
(b)ホッパ130には、用紙Pが傾斜状態で積層されるので、このプリンタによれば、設置面積が低減される。
【0186】
ホッパ130には、用紙Pが傾斜状態で積層されているため、最上位の用紙P1が給送される際、次位の用紙P2も給紙ローラ121に向けて下降することとなるが、給紙ローラ121の円弧部121aと分離パッド150とが圧接されているときには、この圧接部によって次位の用紙P2の下降は阻害される(図15等参照)。
【0187】
給紙ローラ121は、円弧部121aと直線部121bとを有する側面視略D形であるから、給紙ローラ121が1回転する過程で円弧部121aと分離パッド150との圧接が解除され、直線部121bが分離パッド150と対向する状態になる、すなわち上記圧接部がなくなると、次位の用紙P2が下降しようとするが、このときはアイドルローラ160が分離パッド150と当接して、次位の用紙P2の下降を阻止するので、次位の用紙P2の下降が防止される(図19参照)。
【0188】
そして、このプリンタは、ホッパ130上に積層されている用紙Pの先端Paを支持する支持面152を備えているとともに、搬送ローラ2,3は、用紙P1の先端P1aを、この用紙の給送経路における支持面152から分離パッド150とアイドルローラ160との当接部Tまでの長さL以上搬送した後、一旦逆転して、少なくとも分離パッド150とアイドルローラ160との当接部Tから支持面152までの長さL分用紙を逆送するので、給送動作が終了した時点で、複数枚の用紙(P2〜P5)がアイドルローラ160と分離パッド150との当接部Tに楔状に進入しようとしていても、上記最上位の用紙P1の逆送によって、前記複数枚の用紙(P2〜P5)が押し戻されることとなる。すなわち、上記楔状部分における逆送される用紙P1と次位の用紙P2等との間の摩擦力Fw、さらにホッパ130が傾斜しており、かつ用紙P1が逆送されることによって生じる用紙の湾曲形状のその湾曲形状部分における押し戻し力および摩擦力Fpによって次位の用紙(複数枚の用紙)が押し戻されることとなる。
【0189】
そしてこの押し戻し量、すなわち最上位の用紙の逆送量は、少なくとも分離パッド150とアイドルローラ160との当接部Tから前記支持面152までの長さ分であるから(L2≧Lであるから)、当接部Tに進入しようとしていた複数枚の用紙のうち、少なくともその一部は、その先端が上記支持面152に落ち込むまで押し戻されることとなる。
【0190】
したがって、その後再び、搬送ローラ2,3が正転して最上位の用紙P1が搬送されても、上述したと同じ枚数の用紙が同時に分離パッド150とアイドルローラ160との当接部Tに楔状に進入するということがなくなる。
【0191】
したがって、また、このプリンタによれば、必要以上に分離パッド150と給紙ローラ121あるいはアイドルローラ160との圧接力を増大させる必要がなくなる。
【0192】
すなわち、このプリンタによれば、給紙ローラ121がD形のローラであり、かつ用紙Pが傾斜状態で積層されているにも拘らず、次位の用紙P2が給紙ローラ121と分離パッド150との圧接部Tに楔状に進入して、用紙の分離ができなくなるという事態が生じなくなる。
【0193】
以上説明したように、この実施の形態のプリンタによれば、傾斜状態で積層保持された用紙Pを、分離パッド方式を用いて駆動力および負荷(バックテンション)を増大させることなく確実に一枚づつ給送し搬送することが可能となる。
【0194】
(c)しかも、このプリンタによれば、分離パッド150が給紙ローラ121の円弧部121aとの間で用紙を挟圧しないときに、給紙ローラ121に向かう分離パッド150の移動を規制する、前記アイドルローラ160とは別のパッド規制手段としてのピン141を備えているので、パッド付勢手段156による付勢力は、このパッド規制手段141によって受けられることとなる。
【0195】
したがって、アイドルローラ160と分離パッド150との当接力はローラ付勢手段165によって得られることとなり、このローラ付勢手段165による付勢力はパッド付勢手段156による付勢力よりも小さいから、用紙の挟圧力は従来の装置に比べてより一層小さくすることが可能である。
【0196】
詳しく説明すると、図29に示した従来の給紙装置では、前述したように、給紙動作時に給紙ローラ40が1回転して図29に示した状態(円弧部40aが分離パッド43を押圧しない状態)となると、可動アイドルローラ47のスプリング48の付勢力F2よりも、分離パッド43のスプリング44の付勢力F1の方が大きく設定されているので、分離パッド43は、可動アイドルローラ47をその軸47aが長溝41aの上端に当接するまで押し上げた状態で停止した状態となる。
【0197】
すなわち、従来の給紙装置では、用紙P1は、その後部が分離パッド43のスプリング44の付勢力F1によって分離パッド43と可動アイドルローラ47との間に挟圧された状態で、例えば図27に示した搬送ローラ2,3により搬送されるようになっていた。
【0198】
分離パッド43は、前述したように給紙ローラ40の円弧部40aとの間で用紙を挟圧することにより、用紙が2枚以上送られようとした場合にこれを防止するためのものであるから、その付勢力F1は比較的大きく(少なくとも上述したように可動アイドルローラ47の付勢力F2より大きく)設定する必要がある。
【0199】
従来の給紙装置では、この比較的大きな付勢力F1によって用紙P1の後部が挟圧される構造となっていたため、この挟圧部における負荷が大きかった。しかも、可撓アイドルローラ47によって次位の用紙の前述した累積的な進入を阻止しようとすれば、可動アイドルローラ47の付勢力F2も大きくせざるを得なかった。
【0200】
これに対し、この実施の形態の給紙装置SFによれば、分離パッド150が給紙ローラ121の円弧部121aとの間で用紙P1を挟圧しないときに、給紙ローラ121に向かう分離パッド150の移動を規制する、アイドルローラ160とは別のパッド規制手段141を備えているので、パッド付勢手段156による付勢力は、このパッド規制手段141によって受けられることとなる。
【0201】
したがって、アイドルローラ160と分離パッド150との当接力はローラ付勢手段165によって得られることとなり、このローラ付勢手段165による付勢力はパッド付勢手段156による付勢力よりも小さい、すなわち、次位の用紙P2が用紙戻しレバー180の回動によって押し戻すことができなくなる位置にまで達しないように次位の用紙P2の移動を阻止し得る程度の比較的小さな付勢力とすることができるから、このアイドルローラ160と分離パッド150とによる用紙の挟圧力は従来の装置に比べて小さくすることが可能であり、結果として、最上位の用紙P1を給送した後にこの用紙P1に作用する負荷をより一層小さくすることができる。
【0202】
(d) 給紙ローラ121により給送された用紙P1の後端が通過した後、後方に回動して次位の用紙P2の先端P2aがアイドルローラ160と分離パッド150との当接部Tよりも後方に位置するように次位の用紙P2を後方に向けて押し戻す用紙戻しレバー180を備えているので、上記搬送ローラ2,3による押し戻し動作によって完全には押し戻されなかった用紙が仮にあるとしても、給紙ローラ121により給送された最上位の用紙P1の後端が通過した後に、この用紙戻しレバー180が後方に回動することにより、次位の用紙P2の先端P2aがアイドルローラ160と分離パッド150との当接部Tよりも後方に位置するように次位の用紙P2が後方に向けて押し戻されることとなる。
【0203】
したがって、次位の用紙P2が給紙ローラ121と分離パッド150との圧接部に進入して、用紙の分離ができなくなるという事態が一層確実に防止される。
【0204】
(e) このプリンタによれば、用紙戻しレバー180が後方に回動して次位の用紙P2を後方に向けて押し戻す際、分離パッド150をアイドルローラ160から離間させる離間機構を備えているので、次位の用紙P2を円滑に押し戻すことができる。
【0205】
(f) 用紙戻しレバー180は、次位の用紙P2の先端P2aが支持面152後方に達するように次位の用紙P2を押し戻す構成となっているので、押し戻された次位の用紙P2の先端P2aは、支持面152で支持されることとなる。
【0206】
したがって、次位の用紙P2の前述した進入がより一層確実に防止される。
【0207】
(g) ホッパ130に積層されている用紙を、ホッパ130の用紙支持面130aに向けて付勢している付勢部材200を備えているので、前述した、用紙P1が逆送されることによって生じる用紙の湾曲形状のその湾曲形状部分における摩擦力Fpが増大し、次位の用紙(複数枚の用紙)が押し戻され易くなる。
【0208】
しかも、次位の用紙P2が完全に押し戻された場合、押し戻された次位の用紙は、付勢部材200によってホッパ130上に落とし込まれることとなるので、押し戻された次位の用紙の先端P2aは、確実に支持面152で支持されることとなる。
【0209】
したがって、次位の用紙P2の前述した進入がより一層確実に防止される。
【0210】
(h) 給紙ローラ121は、1回転する前に一旦逆転し、この逆転によって用紙戻しレバー180が後方に回動する構成となっているので、給紙動作が開始される前に何らかの理由で用紙が給紙ローラ121と分離パッド150との間に入り込んでいたとしても、これを確実に一旦戻すことができる。
【0211】
したがって、何らかの理由で用紙が給紙ローラ121と分離パッド150との間に入り込んでいる状態でそのまま給紙動作がなされたならば生じるであろう不具合(例えば用紙の頭出し不良)を未然に防止することができる。
【0212】
(i) 給送されるべき用紙P1の先端が分離パッド150とアイドルローラ160との間を通過する際にアイドルローラ160を分離パッド150から離間させ(図16参照)、用紙P1の先端が分離パッド150とアイドルローラ160との間を通過した後、給紙ローラ121の円弧部121aと分離パッド150との用紙を介した当接が解除される前にアイドルローラ160を分離パッド150に当接させる(図18参照)アイドルローラ退避機構を備えているので、次のような作用効果が得られる。
【0213】
すなわち、給紙動作時に給紙ローラ121が回転して最上位の用紙P1が送られ、この用紙P1の先端が給紙ローラ121の円弧部121aと分離パッド150との当接部を通過しようとする際、アイドルローラ160が分離パッド150に向けて付勢されて分離パッド150に当接していると、このアイドルローラ160が通過しようとする用紙P1に対して抵抗となる。
【0214】
これに対し、この実施の形態のプリンタによれば、給送されるべき用紙P1の先端P1aが分離パッド150とアイドルローラ160との間を通過する際にアイドルローラ160を分離パッド150から離間させる退避機構が設けられているので、通過しようとする用紙に対してアイドルローラ160が抵抗になるということがない。
【0215】
また、退避機構は、用紙P1の先端が分離パッド150とアイドルローラ160との間を通過した後、給紙ローラ121の円弧部121aと分離パッド150との用紙を介した当接が解除される前にアイドルローラ160を分離パッド150に当接させるから、給紙ローラ121の円弧部121aと分離パッド150との用紙を介した当接が解除された後に、最上位の用紙P1とともに次位の用紙P2が送られてしまうということもない。
【0216】
(j) アイドルローラ退避機構が、給紙ローラの軸110に設けられ、この軸110とともに回転するカム123によって作動する構成となっているので、構造の簡素化を図ることができる。例えば、ソレノイド等によって作動させるような構成にした場合に比べて簡単な構造とすることができる。
【0217】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【0218】
【発明の効果】
請求項1〜8記載のいずれのプリンタによっても、傾斜状態で積層保持された用紙を、分離パッド方式を用いて駆動力および負荷(バックテンション)を増大させることなく確実に一枚づつ給送することができる。
【0219】
さらに、
請求項2記載のプリンタによれば、次位の用紙が給紙ローラと分離パッドとの圧接部に進入して、用紙の分離ができなくなるという事態が一層確実に防止される。
【0220】
請求項3記載のプリンタによれば、次位の用紙を円滑に押し戻すことができる。
【0221】
請求項4記載のプリンタによれば、次位の用紙の前述した進入がより一層確実に防止される。
【0222】
請求項5記載のプリンタによれば、次位の用紙の前述した進入がさらにより一層確実に防止される。
【0223】
請求項6記載のプリンタによれば、何らかの理由で用紙が給紙ローラと分離パッドとの間に入り込んでいる状態でそのまま給紙動作がなされたならば生じるであろう不具合(例えば用紙の頭出し不良)を未然に防止することができる。
【0224】
請求項7記載のプリンタによれば、通過しようとする用紙に対してアイドルローラが抵抗になるということがなくなる。
【0225】
請求項8記載のプリンタによれば、構造の簡素化を図ることができる。
【0226】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリンタの一実施の形態における給紙装置を示す斜視図。
【図2】本発明に係るプリンタの一実施の形態の要部を示す概略図で、一部を透視した部分省略側面図。
【図3】給紙装置の要部すなわち主として給紙ローラユニットを示す一部切断側面図。
【図4】図3におけるIV−IV断面図。
【図5】主として給紙ローラおよびホッパ等を示す断面図。
【図6】図5の部分省略平面図。
【図7】分離パッド150および分離パッドホルダ151の斜視図。
【図8】分離パッドホルダ151およびサブフレーム140の斜視図。
【図9】主としてアイドルローラホルダ161およびサブフレーム140を示す斜視図。
【図10】主として用紙戻しレバー180およびサブフレーム140を示す斜視図。
【図11】ブッシュ122の円板124を示す側面図。
【図12】(a)(b)は離間レバー190の取付状態を示す斜視図。
【図13】保持レバー210の側面図。
【図14】作動説明図。
【図15】作動説明図。
【図16】作動説明図。
【図17】作動説明図。
【図18】作動説明図。
【図19】作動説明図。
【図20】作動説明図。
【図21】作動説明図。
【図22】作動説明図。
【図23】作動説明図。
【図24】作動説明図。
【図25】作動説明図。
【図26】作動説明図。
【図27】従来技術の説明図。
【図28】(a)から(e)は従来技術の説明図。
【図29】従来技術の説明図。
【符号の説明】
P 用紙
P1 最上位の用紙
P2 次位の用紙
2,3 搬送ローラ
121 給紙ローラ
121a 円弧部
121b 直線部
123 カム
130 ホッパ
140 サブフレーム
141 ピン
150 分離パッド
152 支持面
156 パッドバネ
160 アイドルローラ
161 アイドルローラホルダ
165 ローラバネ
166 カムフォロア
180 用紙戻しレバー
190 離間レバー
200 シート

Claims (8)

  1. 円弧部と直線部とを有し、給紙動作時に1回転正転する側面視略D形の給紙ローラと、
    この給紙ローラの前記円弧部と接触して給送されるべき用紙が傾斜状態で複数枚積層され、給紙ローラの正転時に給紙ローラに向けて用紙を圧接させるホッパと、
    このホッパ上に積層されている用紙の先端を支持する支持面と、
    前記給紙ローラの円弧部の回転軌道中に位置し、パッド付勢手段により給紙ローラに向けて付勢されていて前記円弧部との間で用紙を挟圧することにより、給紙ローラにより送られるべき前記用紙を次位の用紙から分離する分離パッドと、
    この分離パッドが給紙ローラの円弧部との間で用紙を挟圧しないときに、分離パッドと当接するアイドルローラと、
    前記給紙ローラにより給送された用紙を搬送する搬送ローラとを備え、
    この搬送ローラは、用紙の先端を、この用紙の,前記給紙ローラにより給送される給送経路における前記支持面から前記分離パッドとアイドルローラとの当接部までの長さ以上搬送した後、一旦逆転して、少なくとも前記分離パッドとアイドルローラとの当接部から前記支持面までの長さ分用紙を逆送することを特徴とするプリンタ。
  2. 次位の用紙を後方に向けて押し戻す用紙戻しレバーであって,前記給紙ローラにより給送された用紙の後端が当該用紙戻しレバーを通過した後、後方に回動して次位の用紙の先端が前記アイドルローラと前記分離パッドとの当接部よりも後方に位置するように次位の用紙を後方に向けて押し戻す用紙戻しレバーを備えていることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
  3. 前記用紙戻しレバーが後方に回動して次位の用紙を後方に向けて押し戻す際、前記分離パッドを前記アイドルローラから離間させる離間機構を備えていることを特徴とする請求項2記載のプリンタ。
  4. 前記用紙戻しレバーは、次位の用紙の先端が前記支持面後方に達するように次位の用紙を押し戻すことを特徴とする請求項2または3記載のプリンタ。
  5. 前記ホッパに積層されている用紙を、ホッパの用紙支持面に向けて付勢している付勢部材を備えていることを特徴とする請求項1,2,3,または4記載のプリンタ。
  6. 前記給紙ローラは、最初の給紙動作の前にも一旦逆転し、この逆転によって前記用紙戻しレバーが後方に回動することを特徴とする請求項2,3,4,または5記載のプリンタ。
  7. 前記給送されるべき用紙の先端が分離パッドとアイドルローラとの間を通過する際にアイドルローラを分離パッドから離間させ、前記用紙の先端が分離パッドとアイドルローラとの間を通過した後、前記給紙ローラの円弧部と分離パッドとの用紙を介した当接が解除される前にアイドルローラを分離パッドに当接させるアイドルローラ退避機構を備えたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,または6記載のプリンタ。
  8. 前記アイドルローラ退避機構は、前記給紙ローラの軸に設けられ、この軸とともに回転するカムによって作動することを特徴とする請求項7記載のプリンタ。
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