JP3648406B2 - ギヤポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに噛み合う一対のギヤの回転によりポンプ作用をなすギヤポンプに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来より、ギヤポンプは、簡単な構造を有する小型軽量のポンプとして種々の産業分野に用いられている。
この種のギヤポンプの構造としては、ハウジング内部の空洞に一対のサイドプレートを嵌め合わせてギヤ室を区画し、このギヤ室の内部に互いに噛み合う一対のギヤを収容して、各ギヤの支軸を各サイドプレートに形成した一対の支持孔によって嵌合支持すると共に、ギヤ室の内部に両ギヤの噛み合い位置を挟んで作動流体の吸込室および吐出室を形成している。
【0003】
上述のギヤ室は、噛み合う状態の一対のギヤの周囲を接近して取り囲むように、2つの円の一部同士が互いにつながる眼鏡形に形成されたハウジングの空洞の内面と、平面状のサイドプレートの側面とで区画されている。
この区画された内部に一対のギヤをサイドプレートを介して高精度に位置決めするために、ハウジングには、ギヤ室に隣接して嵌合孔が形成され、この嵌合孔にサイドプレートを嵌め込んでいる。嵌合孔は、例えば、眼鏡形に形成され、これに嵌まるようにサイドプレートの外形も同様な形状を有し、サイドプレートのほぼ全体について、その外形の形状や寸法は高精度に加工されている。しかしながら、全周にわたる高精度加工は、面倒であり、加工コストがかかる。
【0004】
また、吸込室および吐出室の間の連通を防止するべく、サイドプレートの側面とギヤの側面とは、隙間を抑制して接近して配置され、且つ、サイドプレートの側面とギヤの側面とが互いに全面で互いに接触して摺動することも許容するようになっている。このために、サイドプレートの側面には、ギヤ室内に臨むほぼ全領域で高精度な加工が施されている。例えば、ギヤ回転時の摩擦抵抗を抑制するための滑らかな表面と隙間を抑制するための高い平面度とを両立できるように加工される。しかしながら、上述のような高精度加工は面倒であるので、加工コストがかかる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、性能を同等以上に維持しつつ、サイドプレートの加工コストを低減できるギヤポンプを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明の態様は、ハウジング内部の空洞に一対のサイドプレートを間隔を開けて対向させることによりギヤ室を区画し、このギヤ室の内部に互いに噛み合う一対のギヤを収容し、ギヤ室の内部に両ギヤの噛み合い位置を挟んで作動流体の吸込室および吐出室を形成し、各サイドプレートの一対の支持孔に一対のギヤの支軸を嵌合支持しているギヤポンプにおいて、上記ハウジングの空洞は、各サイドプレートの周面に対向する内面を有しており、上記サイドプレートは、樹脂成形品であり、サイドプレートが吸込室と吐出室との間の差圧を受けたときに、上記サイドプレートの吸込室側の周面の一部に形成された位置決め部が上記空洞の内面に当接することにより、サイドプレートがハウジングに対して位置決めされるようにしてあり、上記サイドプレートが吸込室と吐出室との間の差圧を受けたときに、サイドプレートの周面の少なくとも吐出室側の部分と、ハウジングの空洞の内面との間に隙間が形成されることを特徴とするギヤポンプを提供する。
【0007】
この態様によれば、位置決め部は周面の一部だけにあるので、この一部の寸法や形状等を高精度とし、残りの部分を相対的に低精度で済ますことができる。その結果、周面の全部を高精度とする場合に比べて、サイドプレートの加工コストを低減することができる。
また、位置決め部が空洞の内面に作動流体による差圧を受けて当接するので、サイドプレートを確実に運転時に位置決めできる。
【0008】
また、上述の隙間を利用して、ハウジングの空洞にサイドプレートを組み込み易くすることができる。
【0009】
また、上述の隙間に起因して運転時のがたつきが生じることが懸念されるが、位置決め部が空洞の内面に当接するので、運転時のがたつきを防止できる。
請求項2に記載の発明の態様は、請求項1に記載のギヤポンプにおいて、上記サイドプレートのギヤ側側面は、ギヤの側面との摺接を回避する凹部からなる逃げ部を含み、この逃げ部は、ギヤ側側面において吐出室側の外周縁部に沿う略3字状をなすことを特徴とするギヤポンプを提供する。
【0010】
この態様によれば、逃げ部がギヤとの摺接を回避しているので、サイドプレートのギヤ側側面における逃げ部の残りの部分がギヤの側面と摺接するときの、ギヤの回転時の摩擦抵抗を少なくすることができる。
また、吸込室側と吐出室側との仕切りには、サイドプレートのギヤ側側面で逃げ部を除いた残りの部分で十分である。
【0011】
また、逃げ部ではギヤと摺接するための高精度な加工を省略できるので、サイドプレートのギヤ側側面の加工コストを低減することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかるギヤポンプの概略構成を示す正面断面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面側面図であり、ハッチングを省略してある。図3は、図1の III− III線に沿う断面側面図である。先ず、図1を参照する。
【0013】
本ギヤポンプは、その中央部を貫通する長円形断面の空洞を有する本体筒10の両側を、これの全面を覆う態様にねじ止めされた一対の蓋板11により塞いで構成されたハウジング1を備えている。このハウジング1の内部には、空洞に一対のサイドプレート12を間隔を開けて対向させることによりギヤ室14が区画されている。このギヤ室14内には、互いに対をなす駆動ギヤ3と従動ギヤ4とが配置されている。
【0014】
ハウジング1の空洞は、蓋板11と本体筒10との間に介在しているOリング19により密封され、このOリング19は蓋板11の環状溝に収容されている。また、空洞内では、その内面1cは円周面で形成され、各サイドプレート12の周面12cに対向し、蓋板11とこれに対向するサイドプレート12との間には、サイドプレート12の収容溝66(図5参照)に収容されたシール13が設けられている。
【0015】
駆動ギヤ3および従動ギヤ4の支軸30,40は、長円形断面を有するギヤ室14の両側の半円部の軸心上にそれぞれ位置し、互いに平行をなして架設されている。すなわち、支軸30,40は各サイドプレート12にそれぞれ一対形成された支持孔31,41により両持ち支持されている。
支軸30は、一対の支持孔31により支持され、一方の蓋板11を貫通して外部に延長され、この延長端に伝達される図示しないモータ等の動力源からの駆動力により回転駆動される駆動軸を構成している。また、支軸30には、ギヤ室14の内部において駆動ギヤ3が一体回転可能に装着されている。支軸30が蓋板11を貫通する部分にはオイルシール17が配置されている。
【0016】
また、支軸40は、一対の支持孔41によって支持され、各サイドプレート12の支持孔41内に軸端を有する従動軸を構成している。支軸40には、ギヤ室14の内部において従動ギヤ4が装着されている。従動ギヤ4の支軸40への装着では、軸回りの回転を拘束してもよいし軸回りの回転を許容してもよい。従動ギヤ4は、両支軸30,40の軸心を含む平面近傍範囲内において駆動ギヤ3と噛み合い、支軸30により駆動される駆動ギヤ3の回転に伴って、支軸40と共に(或いは支軸40の回転を伴わずに)従動回転するようにしてある。
【0017】
図2には、駆動ギヤ3およびこれに連動する従動ギヤ4の回転方向が矢符により示してあり、両ギヤ3,4の噛み合い位置を挟んだ両側には、回転方向側に吸込室5が、反回転方向側に吐出室6が形成されている。これら吸込室5および吐出室6は、本体筒10の対応位置に開口する吸込口15および吐出口16を介して、ハウジング1外の図示しない吸込先および吐出先にそれぞれ接続されるようにしてある。
【0018】
図3において、サイドプレート12のギヤ側側面12aには、両ギヤ3,4の噛み合い位置から吸込室5側へ延びる逃げ溝63および吐出室6側へ延びる逃げ溝64が形成されている。これらの逃げ溝63,64は、両ギヤ3,4の噛み合い位置で作動流体が各サイドプレート12と各噛み合いギヤ歯とで形成される閉塞領域に閉じ込められる、いわゆる閉じ込みの発生を防止するためのものである。両逃げ溝63,64は、両ギヤ3,4の噛み合い中心位置を避けるようにして設けられ、互いの間に所定の距離が確保されている。これは両逃げ溝63,64を連通させてしまうと、吸込室5と吐出室6とが連通されて、ポンプ機能を果たせなくなるので、これを防止するためである。また、ギヤ側側面12aには、各支持孔31,41と吸込室5とをそれぞれ連通する連通溝65が形成されている。
【0019】
一方、図1を参照して、サイドプレート12の反ギヤ側側面12bには、略W字形形状の収容溝66(図5参照)に上述のシール13を収容しており、このシール13を境界として、互いに対向するサイドプレート12と蓋板11との間の空間が、吸込室5に連通する低圧側空間と、吐出室6と連通する高圧側空間とに仕切られている。このように、サイドプレート12の背面である反ギヤ側側面12bには、シール13で仕切られた状態で、低圧の作動流体および高圧の作動流体が背圧として作用し、これが、サイドプレート12に吐出圧に応じて負荷されるので、サイドプレート12と両ギヤ3,4との間の隙間が高精度で維持される結果、高圧時のポンプ効率を高く維持できる。また、上述の反ギヤ側側面12bには、上述の低圧側空間において各支持孔31,41と吸込室5とをそれぞれ連通する連通溝65(図5参照)が形成されている。
【0020】
このような構成により、吸込口15を経て吸込室5に導入される作動流体は、吸込室5に臨む駆動ギヤ3および従動ギヤ4の歯間に受け入れられ、両ギヤ3,4の回転により、それぞれの歯間と本体筒10の内周面との間に封止された状態で搬送され、吐出室6に送り出される。吐出室6への送り出しを終えた駆動ギヤ3と従動ギヤ4とは、両ギヤ3,4の噛み合い位置を経て吸込室5側に向き、この吸込室5内の作動流体を再度受け入れて吐出室6側へ送り出す作用をなす。
【0021】
ところで、従来のギヤポンプでは、ハウジング1とサイドプレート12との間の位置決めを高精度にするために、ハウジング1の空洞の内面1cとサイドプレート12の周面12cとの間の嵌合隙間を全周にわたって小さくしていた。その結果、ハウジング1にサイドプレート12を嵌め込み難くなっていた。
本実施の形態では、ハウジング1の空洞の内面1cとサイドプレート12の周面12cとの間の嵌合隙間を、互いに嵌まり合う部分の一部である位置決め部73,74で小さくし、且つこれ以外の残りの部分で大きくしている。その結果、狭い嵌合隙間を全周に有して嵌め難い従来の場合に比べて、ハウジング1へサイドプレート12を嵌め込み易く、ギヤポンプを組み立て易くできる。
【0022】
一方で、位置決めに関与するのは位置決め部73,74だけであるので、嵌合面が全周にある従来のサイドプレートに比べて、例えば、運転時のがたつきが生じ易いことが懸念されるが、本実施の形態では、運転時の作動流体の差圧を利用して、位置決め部73,74をハウジング1の内面1cに当接させているので、がたつく虞はなく、従来と同様の位置決め精度を得られる。
【0023】
図4は、ギヤ側から見たサイドプレートの側面図である。図5は、反ギヤ側から見たサイドプレートの側面図である。図6は、図4のサイドプレートの横断面図である。以下、主に図4を参照しつつ、詳細に説明する。
サイドプレート12は、2つの円の一部の周縁がつながった眼鏡形形状の上述の一対の側面12a,12bを有し、ほぼ一定の厚みで形成されている。側面12a,12bの外周縁に沿ってこれらの各面に垂直に周面12cが形成されている。
【0024】
サイドプレート12は、樹脂成形品からなる。サイドプレート12の一対の側面12a,12bおよび周面12cの一部は、所要の高精度を得るべく研磨加工等の後加工を施されているが、高精度な後加工を施された一部を除いた残りの部分は、樹脂成形用の型で形成されたそのままの状態、または、低精度で簡素な後加工が施されている。
【0025】
サイドプレート12の材質は、繊維強化樹脂であり、例えば、母材となるフェノール樹脂に強化材としての炭素繊維および固体潤滑材としてのグラファイトを配合したものからなる。
サイドプレート12の周面12cは、上述したように眼鏡形形状に沿って延びている。サイドプレート12の周面12cには、ハウジング1の内面1cと当接して位置決めするための一対の位置決め部73,74(図4にその範囲を示した。)と、これらの位置決め部73,74を除く残りの部分となりハウジング1に対する位置決めに関与しない第1の部分71および第2の部分72とが設けられている。
【0026】
一対の位置決め部73,74は、ともにサイドプレート12の吸込室側(一対の支持孔31,41の中心軸線31c,41cを含む平面Pよりも吸込室側)にある。一方の位置決め部73は、支持孔31と同心の円周面からなり、他方の位置決め部74は、支持孔41と同心の円周面からなる。位置決め部73,74の円周面は、対向する内面1cの円周面とほぼ同径とされ、所要の精度に研磨加工等の後加工を施されている。
【0027】
各支持孔31,41に対応して設けられる位置決め部73,74は、サイドプレート12の吸込室側と吐出室側との境目近傍から吸込室側に向けて上述の溝65の近傍にまで至る周面12cの領域に形成されている。
位置決め部73は、上述の平面Pと直交し且つ対応する支持孔31の中心軸線31cを端縁として吐出室側へ延びる基準平面Dを、対応する支持孔31の中心軸線31cの回りに対応するギヤである駆動ギヤ3の反回転方向(図4で時計回り方向)に回転させたとき、その回転角度がK1〜K2の範囲(図4参照)に対応するサイドプレート12の周面12cの領域にある。
【0028】
同様に、位置決め部74は、上述の平面Pと直交し且つ支持孔41の中心軸線41cを端縁として吐出室側へ延びる基準平面Dを、支持孔41の中心軸線41cの回りに従動ギヤ4の反回転方向(図4で反時計回り方向)に回転させたとき、その回転角度がK1〜K2の範囲に対応するサイドプレート12の周面12cの領域にある。
【0029】
なお、上述の回転角度の範囲K1〜K2として、例えば、110度〜200度を例示することができるが、これに限定されるものではない。K1としては、90度を超えて且つ110度以下の角度に設定するのが好ましい。というのは、K1が90度以下の角度であれば、ハウジング1へのサイドプレート12の組み付け性が劣るからであり、シール13の端部の吐出室側部分に対応する角度となる110度以下の角度にK1を設定する場合には、シール13による封止を維持し易いからである。また、K2としては、連通溝65に対応する角度となる200度前後の角度が好ましい。というのは、連通溝65に対応する位置には、位置決め部73,74に当接する内面1cが形成されていないことから、K2には、連通溝65に対応する角度で十分だからである。ここで、200度前後の角度とは、例えば、200度±15度の範囲内の角度である。また、両位置決め部73,74の隣接する他端部同士が吸込室側で互いにつながるようにしてもよい。
【0030】
第1の部分71は、一対の位置決め部73,74の間となる吸込室側にある。第1の部分71は、一対の位置決め部73,74の円周面を連続してつなぐ凹湾曲面で形成されている。第1の部分71は、ハウジング1の内周1cと当接せず、樹脂成形されたままの状態とされている。
第2の部分72は、一対の位置決め部73,74の遠い側の端部と段差状につながり、これらの端部同士を、吐出室側を経てつないでいる。第2の部分72は、一対の支持孔31,41と同心の一対の円周面と、これらの一対の円周面同士を連続してつなぐ凹湾曲面とで構成されている。一対の円周面は、対向する内面1cの円周面よりも小径とされている。また、第2の部分72は、樹脂成形されたそのままの状態とされている。
【0031】
また、第2の部分72は、これと対向するハウジング1の内面1cとの間に隙間Sを開けられている。この隙間Sは、ハウジング1にサイドプレート12を組込み、位置決め部73,74をハウジング1の内面1cに当接させた状態で最も大きくなる。ここで、隙間Sを開けるには、第2の部分72を位置決め部73,74に対して小径に形成するのが好ましい。というのは、ハウジング1の内面1cがギヤ3,4の外周面に接近する円周面で形成されるからであり、樹脂成形であれば異径の円周面を周方向に並べて形成することも容易であるからであり、位置決め部73,74の後加工が容易になるからである。
【0032】
サイドプレート12のギヤ側側面12aには、両ギヤ3,4の側面3s,4sとの摺接を回避する凹部からなる逃げ部67と、上述の逃げ溝63,64と、上述の溝65と、上述の支持孔31,41とが窪み状に形成されている。これらの窪み状の部分を除いた残りとなる部分は、平面に形成され、ギヤ3,4の側面3s,4sと接近して配置されてこの側面3s,4sとの摺接を許容するようになっている。すなわち、上述の残りとなる部分は、かみ合い部の近傍部分と、支持孔の周縁部と、吸込室側の外周縁部とを含み、これら各部が互いにつながった滑らかな平面とされて、研磨加工により所要の精度で形成されている。上述の平面とギヤの側面とは、両面の間に所定の隙間を有して作動流体による潤滑状態、または両面が接触した状態で、互いに摺動することができる。
【0033】
逃げ部67は、ギヤ側側面12aにおいて吐出室側の外周縁部に沿う略3字状をなし、外周縁部に沿ってギヤの全歯たけにほぼ相当する幅で形成されている。逃げ部67の径方向の内側部分は、対応するギヤの歯底よりも径方向の内側に位置している。逃げ部67は、第2の部分72につながる位置にあり、その途中で、逃げ溝64とつながっている。この逃げ部67は、射出成形されたままの状態とされている。
【0034】
また、逃げ溝63,64および溝65も、射出成形されたままの状態とされている。収容溝66は、切削加工により形成され、両端部は位置決め部73,74に至っている。
支持孔31,41の内周面には、油溝31b,41bがそれぞれ形成されている。各油溝31b,41bは、ほぼ同様に構成されている。
【0035】
油溝31b,41bは、支持孔31,41の軸方向に平行に直線状に延び、支持孔31,41の内側から外側に凹む円周面で形成されている。油溝31b,41bは、支軸30,40の外周面に沿って所定の幅を有している。
油溝31b,41bは、支持孔31,41に支軸30,40からかかる圧力が少なくて、軸受にとっての無負荷側となる吐出室側の位置にある。周方向での油溝31b,41bの中心位置は、対応する上述の基準平面Dを上述と同様に回転させたとき、その回転角度K3(図4参照)に対応する支持孔31,41の内周面にある。角度K3としては、例えば、30度を例示できるが、262度〜360度および0度〜82度の範囲内にあればよい。
【0036】
この位置の油溝31b,41bでは、支軸30,40と支持孔31,41との隙間に作動流体を供給し易く、高い潤滑性能を得られる。また、軸方向に直線状の油溝31b,41bは、型を用いて樹脂成形し易い。
次に動作を説明する。
ギヤポンプの動作中、駆動ギヤ3および従動ギヤ4には、図2に黒塗り矢符で示す向きの押圧力が作用する。これにより、駆動ギヤ3および従動ギヤ4の支軸30,40は、吸込室5側において、支持孔31,41の内周面にそれぞれ押し付けられる。
【0037】
サイドプレート12が吸込室5と吐出室6との間の差圧を各支軸30,40を介して受けると、サイドプレート12は吸込室側に向けて押圧され、位置決め部73,74がハウジング1の空洞の内面1cに当接する。これにより、サイドプレート12がハウジング1に対して所定の位置に位置決めされて保持される。また、当接が円周面同士でなされるので、押圧される方向とともに、円周面の径方向についても位置決めされる。従って、サイドプレート12を介して、両ギヤ3,4もハウジング1に対して高精度に位置決めできる。
【0038】
このように本実施の形態によれば、サイドプレート12の位置決め部73,74は周面12cの一部だけにあるので、この一部の寸法や形状等を高精度とし、残りの部分を相対的に低精度で済ませることができる。その結果、周面12cのほぼ全周を高精度加工する従来場合に比べて、サイドプレート12の加工コストを低減することができる。
【0039】
また、サイドプレート12が吸込室5と吐出室6との間の差圧を受けたときに、位置決め部73,74とハウジング1の内面1cとが当接できるので、サイドプレート12をハウジング1に高精度に位置決めでき、しかも、位置決めは運転時に確実になされる。これとともに、第2の部分72とハウジング1の内面1cとの間に隙間Sが形成されるようにもしている。
【0040】
特に、隙間Sが形成される場合には、ハウジング1の空洞にサイドプレート12を組み込み易くすることができる。例えば、組込み時には、サイドプレート12の位置決め部73,74と、これに対向する内面1cとの間に隙間を設け、位置決め部73,74を傷つけないようにしつつ、隙間と反対側にある面同士を沿わせて組み付けてもよい。ここで、第2の部分72は、サイドプレート12の周面12cの少なくとも吐出室側の部分を含んでいればよい。ここで、隙間Sは、組み立て易さに寄与する大きさ、例えば、0.1mm以上が好ましい。
【0041】
一方で、上述の隙間Sが形成される場合には、サイドプレート12の運転時のがたつきが懸念されるが、本実施の形態では、作動流体による差圧を受けて、位置決め部73,74が内面1cに確実に運転時に当接できるので、運転時のがたつきを防止できる。
また、サイドプレート12のギヤ側側面12aでは、逃げ部67が各ギヤ3,4との摺接を回避しているので、逃げ部67等を除いた上述の残りとなる部分と各ギヤ3,4の側面3s,4sとが摺接するときの、ギヤの回転時の摩擦抵抗を少なくすることができる。
【0042】
また、略3字状をなす逃げ部67であれば、サイドプレート12のギヤ側側面12aにおいて逃げ部67等を除いた上述の残りとなる部分が連続してつながるので、吸込室側と吐出室側とを十分に仕切ることができる。
また、逃げ部67ではギヤ3,4と摺接するための高精度な加工を省略できるので、サイドプレート12のギヤ側側面12aの加工コストを低減することができる。
【0043】
また、樹脂製のサイドプレート12では、射出成形等の型を用いた成形方法を利用できるので、完成品に近い形状を容易に得られ、後加工を少なくできる。また、樹脂の型成形を利用する場合には、アルミニウム材料から切削加工でサイドプレート12を形成する従来の場合に比べて、加工コストを格段に安くすることができる。
【0044】
また、ギヤ側側面12aと各ギヤ3,4の側面3s,4sとの接触面積が、全面当たりする従来の場合に比べて小さくなる本実施の形態では、ギヤ側側面12aが摩耗し易くなることが懸念されるが、耐摩耗製に優れたフェノール樹脂を母材とする材料によってサイドプレート12を形成したので、問題ない。
また、サイドプレート12が、フェノール樹脂のように脆性により欠け易い材料で成形される場合には、第2の部分72による隙間を利用して組み付けが容易であるので、欠けを防止できて好ましい。
【0046】
また、サイドプレート12は、位置決め部73,74を設けて、逃げ部67を省略した構成としてもよく、この場合にも、位置決め部73,74による上述の作用効果を得ることができる。
【0047】
その他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0048】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、高精度の位置決め部を、サイドプレートの周面の一部だけとしたので、残りの部分を相対的に低精度で済ますことができる結果、周面の全部を高精度とする場合に比べて、サイドプレートの加工コストを低減することができる。
【0049】
また、位置決め部の当接に作動流体による差圧を利用するので、サイドプレートを確実に運転時に位置決めできる。また、運転時にハウジングとサイドプレートとの間に生じる隙間を利用して、組立時に組み込み易くすることができる。また、位置決め部と内面とは運転時に当接しているので、隙間に起因する運転時のがたつきを防止できる。
【0050】
請求項2に記載の発明によれば、サイドプレートの逃げ部がギヤとの摺接を回避しているので、ギヤの回転時の摩擦抵抗を少なくすることができる。また、吸込室側と吐出室側との仕切りを逃げ部を除いた残りの部分でできる。また、逃げ部は低精度で済ますことができるので、サイドプレートのギヤ側側面の加工コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のギヤポンプの断面正面図である。
【図2】図1のギヤポンプの断面側面図であり、図1のII─II線に沿う断面図であってハッチングを省略してある。
【図3】図1のギヤポンプの断面側面図であり、図1の III− III線に沿う断面図である。
【図4】サイドプレートの右側面図である。
【図5】サイドプレートの左側面図である。
【図6】サイドプレートの断面平面図であり、図4のA−A断面を示す。
【符号の説明】
1 ハウジング
1c 内面
3 駆動ギヤ
3s 側面
4 従動ギヤ
4s 側面
5 吸込室
6 吐出室
12 サイドプレート
12a ギヤ側側面
12c 周面
14 ギヤ室
30,40 支軸
31,41 支持孔
67 逃げ部
72 第2の部分(周面の吐出室側の部分)
73,74 位置決め部
S 隙間
Claims (2)
- ハウジング内部の空洞に一対のサイドプレートを間隔を開けて対向させることによりギヤ室を区画し、このギヤ室の内部に互いに噛み合う一対のギヤを収容し、ギヤ室の内部に両ギヤの噛み合い位置を挟んで作動流体の吸込室および吐出室を形成し、各サイドプレートの一対の支持孔に一対のギヤの支軸を嵌合支持しているギヤポンプにおいて、
上記ハウジングの空洞は、各サイドプレートの周面に対向する内面を有しており、
上記サイドプレートは、樹脂成形品であり、
サイドプレートが吸込室と吐出室との間の差圧を受けたときに、上記サイドプレートの吸込室側の周面の一部に形成された位置決め部が上記空洞の内面に当接することにより、サイドプレートがハウジングに対して位置決めされるようにしてあり、
上記サイドプレートが吸込室と吐出室との間の差圧を受けたときに、サイドプレートの周面の少なくとも吐出室側の部分と、ハウジングの空洞の内面との間に隙間が形成されることを特徴とするギヤポンプ。 - 請求項1に記載のギヤポンプにおいて、
上記サイドプレートのギヤ側側面は、ギヤの側面との摺接を回避する凹部からなる逃げ部を含み、
この逃げ部は、ギヤ側側面において吐出室側の外周縁部に沿う略3字状をなすことを特徴とするギヤポンプ。
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