JP3648296B2 - スナップファスナー取付け機の安全装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雄型又は雌型の嵌合部材とリベット部材とのうち、一方の部材を受座に支持させ、他方の部材を前記受座に対して昇降駆動される打込具に支持させ、受座と打込具間に、衣服の生地や包装用ビニール袋の開口縁部等、スナップファスナーの取付け対象であるところの可撓性シートを介装した状態で、前記打込具をペダルにて入り操作される一回転クラッチを介して昇降駆動することにより、前記リベット部材と前記嵌合部材とを互いにカシメ止めするようにしたスナップファスナー取付機の安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のスナップファスナー取付機においては、一回転クラッチの操作を足で行うため、両手を自由に使え、可撓性シートを両手で緊張させた状態でペダルを踏むことにより、可撓性シートに皺のない良好なスナップファスナーの取付け状態が得られるという利点がある反面、一回転クラッチの操作を足で行うが故に、何等かの安全装置を付加しないと、他に気をとられてペダル踏みのタイミングを誤ったり、あるいは、周囲の人がうっかりと作業者にぶつかる等、不測の出来事によってペダルに載せた足に力が入ったりした場合に、手指が打込具と受座に挟まれて、重大な事故を招く虞れがある。そのため、従来より、様々な安全装置が開発され、実用化されている。
【0003】
その一つは、打込具の周囲に、ペダルの踏込みにより、打込具に先行して昇降動作する手指感知枠体を設け、手指感知枠体が下降して手指に当接した場合には、手指感知枠体の下降が手指によって妨げられて、それ以上、ペダルを踏み込めないので、一回転クラッチを入り操作できないように構成した安全装置である。
【0004】
この安全装置は、安全性能においては非常に優れているが、打込具の周囲に、手指感知枠体が位置するため、両手で可撓性シートを受座と打込具間に差し入れた際、手指感知枠体が視覚的にも物理的にも障害物になって、スナップファスナーを正確な位置に取り付けることが難しく、精度の高い取付け作業には、かなりの熟練を要するという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の安全装置における上記の問題点を解決し、誰にでも、スナップファスナーを正確な位置に取り付けることができるようにした使い勝手の良いスナップファスナー取付機の安全装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、本発明の特徴は、冒頭に述べたスナップファスナー取付け機において、前記ペダルを踏み込むことにより、前記打込具が人力によって適当な位置まで下降し、打込具と受座との間に作業者の手指が挿入されている場合には、打込具と受座とで手指が挟まれて、それ以上、打込具を下降できないので、一回転クラッチが入り操作されず、打込具と受座との間に作業者の手指が挿入されていなければ、打込具がさらに所定位置まで下降して、一回転クラッチが入り操作されるので、一回転クラッチを介して打込具が昇降ストローク下端まで昇降駆動されて、前記リベット部材と前記嵌合部材とのカシメ止めが行われ、さらに、電源を切った後、ペダルを踏み込んだために、一回転クラッチが入り操作された状態に保たれていることがあっても、次に電源を入れた際、一回転クラッチが回転動作するたけで、その出力が打込具に伝わらないように構成した点にある。
【0007】
より具体的に説明すると、本発明の特徴は、請求項1に記載のとおり、雄型又は雌型の嵌合部材とリベット部材とのうち、一方の部材を受座に支持させ、他方の部材を前記受座に対して昇降駆動される打込具に支持させ、受座と打込具間に可撓性シートを介装した状態で、前記打込具をペダルにて入り操作される一回転クラッチを介して昇降駆動することにより、前記リベット部材と前記嵌合部材とを互いにカシメ止めするようにしたスナップファスナー取付け機において、前記ペダル10と前記打込具4との間に、横軸16を介して回転自在に枢支されたアーム15、当該アーム15の一端と打込具4の上部に連設された昇降ロッド6の上端とに枢支連結されたリンク17、回転自在に支持された横軸20の一端側に当該横軸20と一体に回転することが可能な状態に取り付けられ、且つ、前記アーム15に連動連結された回転リンク21、横軸27を介して枢支され、且つ、前記回転リンク21と前記ペダル10にロッド28,29により枢支連結されたリンク26等で構成された第1の操作力伝達機構Aを設けて、ペダル10を踏み込むことにより、前記打込具4が、当該打込具4を昇降ストロークHの最上端P 1 に上昇付勢するスプリング12に抗して当該打込具4の昇降ストロークHにおける最上端P 1 から、打込具4と受座3との間隔が作業者の手指を挿入できない大きさに設定された中間位置P 2 まで下降するように構成する一方、ペダル10と一回転クラッチ7の操作片14との間には、前記横軸20の他端側に当該横軸20と一体に回転することが可能な状態に取り付けられ、且つ、前記操作片14に、長さ調整可能に構成されたロッド31と、ロッド31に形成された長孔32と、前記長孔32にスライド自在に挿入されたピン33とを介して連動連結されたリンク 30等で構成された第2の操作力伝達機構Bを設けて、前記ペダル10から一回転クラッチ7の操作片14とへと操作力を伝達するように構成すると共に、前記長孔32とピン33とで、前記ペダル10を前記打込具4が前記中間位置P 2 まで下降するように踏み込むまで、ペダル10の操作力が一回転クラッチ7の操作片14に伝達されないようにする遊び部分Cを構成し、一回転クラッチ7の出力軸8に偏芯カム9を設け、前記第1の操作力伝達機構Aには、前記アーム15の他端に、前記打込具4が前記中間位置P 2 にあるときのみ前記偏芯カム9の回転軌跡内に位置し当該偏芯カム9で押圧駆動されることが可能なカムフォロー13を設けて、前記打込具4が前記中間位置P 2 にあるときのみ、前記偏芯カム9が前記カムフォロー13を押圧して、前記打込具4が前記中間位置P 2 から昇降ストロークHの最下端P 3 まで昇降駆動されるように構成した点にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を例示図に基づいて説明する。図1は、安全装置を備えたスナップファスナー取付け機を示し、図2〜図7は、安全装置の詳細を示す。
【0009】
図1において、1はスタンドであり、その上部には、駆動ケースを兼ねたフレーム2が連設されている。フレーム2の前部側は、前方と左右両側方に開放した作業スペースSを形成するように上フレーム2aと下フレーム2bとに分かれており、下フレーム2bには受座3が設けられ、上フレーム2aには受座3に対して昇降自在の打込具4が設けられている。そして、図2に示すように、スナップファスナー構成部材である雄型(あるいは雌型)の嵌合部材aを前記打込具4に支持させ、且つ、他のスナップファスナー構成部材であるリベット部材bを前記受座3に支持させ、嵌合部材aとリベット部材bとの間に、衣服の生地等の可撓性シートcを介装させた状態で、打込具4が昇降ストロークH(P1 〜P3 )の最下端P3 まで下降することにより、嵌合部材aとリベット部材bとのカシメ止めが行われるようになっている。5は、打込具4の上部に連設された昇降ロッド6を上下方向スライド自在に保持する筒状の昇降ガイドである。Mは一回転クラッチ7を介して前記打込具4を昇降駆動するモーターである。8は一回転クラッチ7の出力軸であり、偏芯カム9が固着されている。スタンド1の下部には、前記一回転クラッチ7を入り操作するためのペダル10が設けられている。11はペダル10の復帰用バネ、12は打込具4を昇降ストロークHの最上端P1 に上昇付勢するスプリングである。
【0010】
ペダル10と打込具4との間には、第1の操作力伝達機構Aが設けられており、ペダル10を踏み込むことにより、前記打込具4が、当該打込具4の昇降ストロークHにおける最上端P1 から、打込具4と受座3との間隔が作業者の手指を挿入できない大きさ(例えば、数ミリメートル)に設定された中間位置P2 まで下降するように構成してある。第1の操作力伝達機構Aには、前記打込具4が前記中間位置P2 にあるときのみ、前記偏芯カム9の回転軌跡内に位置し当該偏芯カム9で押圧駆動されることが可能なローラ状のカムフォロワー13が設けられている。
【0011】
また、ペダル10と一回転クラッチ7の操作片14との間には、前記ペダル10から一回転クラッチ7の操作片14へと操作力を伝達する第2の操作力伝達機構Bが設けられている。第2の操作力伝達機構Bの途中には、前記ペダル10を前記打込具4が前記中間位置P2 まで下降するように踏み込むまで、ペダル10の操作力によって一回転クラッチ7が入り操作されないようにするための遊び部分Cが設けられており、前記打込具4が前記中間位置P2 まで下降することによって一回転クラッチ7が入り操作され、前記打込具4が、前記偏芯カム9と、その回転軌跡内に移行した前記カムフォロワー13とを介して、昇降ストロークHにおける最下端P3 まで下降し、前記嵌合部材aと前記リベット部材bのカシメ止めが行われるようになっている。
【0012】
第1の操作力伝達機構Aの具体的な構成は、次のとおりである。即ち、15は、フレーム2に横軸16を介して回転自在に枢支されたアームであり、アーム15の一端と、前記昇降ロッド6の上端とはリンク17とピン18,19により枢支連結されている。20はフレーム2に回転自在に支持された横軸であり、横軸20の一端側には、回転リンク21が当該横軸20と一体に回転することが可能な状態に取り付けられている。回転リンク21と前記アーム15とは、アーム15の他端近傍部にピン22で枢支したリンク23と、当該リンク23に形成した長孔24に一定範囲でスライド自在に挿入されたピン25を介して連動連結されている。26はフレーム2に横軸27を介して枢支されたリンクである。リンク26と前記回転リンク21とはロッド28により枢支連結されており、リンク26と前記ペダル10とはロッド29により枢支連結されている。
【0013】
これらの部材15〜29により前記第1の操作力伝達機構Aが構成されており、ペダル10を踏み込むことにより、ロッド29,28が下方に引かれ、回転リンク21を横軸20軸芯周りに図1で反時針方向に回転させるので、アーム15がリンク23で突き上げられ、前記スプリング12による付勢力に抗して横軸16周りに回転し、リンク17を介して昇降ロッド6を押し下げるので、打込具4が前記中間位置P2 まで下降するようになっている。
【0014】
第2の操作力伝達機構Bの具体的な構成は、次のとおりである。即ち、前記横軸20の他端側に、リンク30が当該横軸20と一体に回転することが可能な状態に取り付けられている。前記リンク30と、フレーム2に支軸34を介して揺動自在に支持された前記操作片14とは、ねじ機構により長さ調整可能に構成されたロッド31と、ロッド31に形成された長孔32と、リンク30の先端に突設されて前記長孔32にスライド自在に挿入されたピン33とを介して連動連結されている。
【0015】
これらの部材20、30、31、32、33等で第2の操作力伝達機構Bが構成され、前記長孔32とピン33とで上述した遊び部分Cが構成されている。そして、ペダル10を前記打込具4が前記中間位置P2 まで下降するように踏み込むことにより、リンク30先端のピン33が長孔32の上端を押し上げ、ロッド31が操作片14を支軸34周りに回転させるので、操作片14の爪14aと一回転クラッチ7の段差部7aとの係合が解かれて、一回転クラッチ7が入り、出力軸が一回転することよって、段差部7aが操作片14の爪14aに係合し、一回転クラッチ7が切れるようになっている。図3に示す35a,35bはストッパーである。
【0016】
上記の構成によれば、図2に示すように、スナップファスナー構成部材である雄型(あるいは雌型)の嵌合部材aを前記打込具4に支持させ、且つ、他のスナップファスナー構成部材であるリベット部材bを前記受座3に支持させ、嵌合部材aとリベット部材bとの間に、衣服の生地等の可撓性シートcを介装させた状態で、ペダル10を踏み込むと、その操作力により、第1の操作力伝達機構Aを介して、打込具4が昇降ストロークHの最上端P1 から中間位置P2 まで下降する。
【0017】
打込具4が中間位置P2 まで下降すると、第2の操作力伝達機構Bの遊び部分Cが無くなり、リンク30先端のピン33が長孔32の上端を押し上げるので、一回転クラッチ7が入り、モーターMの出力によって、打込具4が昇降ストロークHの中間位置P2 から最下端P3 まで下降し、嵌合部材aとリベット部材bのカシメ止めが行われる。つまり、リベット部材bの先鋭な突起が可撓性シートcを貫いて、嵌合部材aの中央貫通孔に挿通され、突起の突出先端が打込具4の中央に装備されたハンマーにより打撃され、拡径変形して、嵌合部材aの中央貫通孔の縁部に係合することになる。
【0018】
この場合、打込具4と受座3の間に手指が挿入されていると、うっかりペダル10を踏み込んで、打込具4を下降させても、手指が打込具4と受座3に挟まれて、打込具4を中間位置P2 まで下降できないので、一回転クラッチ7が入らない。つまり、打込具4の最上端P 1 から中間位置P 2 までの下降はペダル10を踏み込む力(人力)で行われるので、手指が打込具4と受座3に挟まれると、手指に痛みを感じてそれ以上にペダル10を踏めず、打込具4を中間位置P 2 まで下降できないので、一回転クラッチ7が入らない。従って、モーター出力による打込具4の下降(一回転クラッチ7が入って、出力軸8が回転し、偏芯カム9がカムフォロワー13を押圧駆動して、アーム15が横軸16周りに反時計方向に回転し、リンク17を介して昇降ロッド6を押し下げるという一連のカシメ止め動作)が行われず、安全が確保されることになる。
【0019】
また、スナップファスナー取付け作業が終了し、電源を切った後で、ペダル10が踏み込まれた場合、操作片14の爪14aと一回転クラッチ7の段差部7aとの係合が解かれて、一回転クラッチ7が入り操作された状態となり、次のスナップファスナー取付け作業に際して、電源を入れたとき、一回転クラッチ7の出力軸が一回転することがあるが、この場合には、打込具4がスプリング12の付勢力によって昇降ストロークHの最上端P1 にあり、ペダル10も復帰バネ11の付勢力によって上昇位置にあり、アーム15先端のカムフォロワー13が偏芯カム9の回転軌跡外にあるので、偏芯カム9が回転動作しても、その動作がカムフォロワー13に伝わらないので、打込具4は下降しない。
【0020】
従って、安全を確保できるのであり、しかも、打込具4自体が手指の存在を感知する役目を果たし、打込具4の周囲に、別の手指感知枠体を配置していないので、可撓性シートを受座3と打込具4間に差し入れた際、視覚的にも物理的にも障害物が無く、誰にでも、容易にスナップファスナーを正確な位置に取り付けることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、安全を確保できるのみならず、打込具の周囲に視覚的・物理的な障害物が無いので、誰にでも、容易に、スナップファスナーを正確な位置に取り付けることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スナップファスナー取付け機の全体側面図である。
【図2】 要部の縦断側面図である。
【図3】 スナップファスナー取付け機の安全装置の構成説明図である。
【図4】 スナップファスナー取付け機の安全装置の動作説明図である。
【図5】 スナップファスナー取付け機の安全装置の動作説明図である。
【図6】 スナップファスナー取付け機の安全装置の動作説明図である。
【図7】 スナップファスナー取付け機の安全装置の作用説明図である。
【符号の説明】
A…第1の操作力伝達機構、B…第2の操作力伝達機構、C…遊び部分、H…昇降ストローク、P2 …中間位置、3…受座、4…打込具、8…一回転クラッチの出力軸、9…偏芯カム、13…カムフォロワー。

Claims (1)

  1. 雄型又は雌型の嵌合部材とリベット部材とのうち、一方の部材を受座に支持させ、他方の部材を前記受座に対して昇降駆動される打込具に支持させ、受座と打込具間に可撓性シートを介装した状態で、前記打込具をペダルにて入り操作される一回転クラッチを介して昇降駆動することにより、前記リベット部材と前記嵌合部材とを互いにカシメ止めするようにした足踏み式スナップファスナー取付け機において、前記ペダル10と前記打込具4との間に、横軸16を介して回転自在に枢支されたアーム15、当該アーム15の一端と打込具4の上部に連設された昇降ロッド6の上端とに枢支連結されたリンク17、回転自在に支持された横軸20の一端側に当該横軸20と一体に回転することが可能な状態に取り付けられ、且つ、前記アーム15に連動連結された回転リンク21、横軸27を介して枢支され、且つ、前記回転リンク21と前記ペダル10にロッド28,29により枢支連結されたリンク26等で構成された第1の操作力伝達機構Aを設けて、ペダル10を踏み込むことにより、前記打込具4が、当該打込具4を昇降ストロークHの最上端P 1 に上昇付勢するスプリング12に抗して当該打込具4の昇降ストロークHにおける最上端P 1 から、打込具4と受座3との間隔が作業者の手指を挿入できない大きさに設定された中間位置P 2 まで下降するように構成する一方、ペダル10と一回転クラッチ7の操作片14との間には、前記横軸20の他端側に当該横軸20と一体に回転することが可能な状態に取り付けられ、且つ、前記操作片14に、長さ調整可能に構成されたロッド31と、ロッド31に形成された長孔32と、前記長孔32にスライド自在に挿入されたピン33とを介して連動連結されたリンク30等で構成された第2の操作力伝達機構Bを設けて、前記ペダル10から一回転クラッチ7の操作片14とへと操作力を伝達するように構成すると共に、前記長孔32とピン33とで、前記ペダル10を前記打込具4が前記中間位置P 2 まで下降するように踏み込むまで、ペダル10の操作力が一回転クラッチ7の操作片14に伝達されないようにする遊び部分Cを構成し、一回転クラッチ7の出力軸8に偏芯カム9を設け、前記第1の操作力伝達機構Aには、前記アーム15の他端に、前記打込具4が前記中間位置P 2 にあるときのみ前記偏芯カム9の回転軌跡内に位置し当該偏芯カム9で押圧駆動されることが可能なカムフォロー13を設けて、前記打込具4が前記中間位置P 2 にあるときのみ、前記偏芯カム9が前記カムフォロー13を押圧して、前記打込具4が前記中間位置P 2 から昇降ストロークHの最下端P 3 まで昇降駆動されるように構成してあることを特徴とするスナップファスナー取付け機の安全装置。
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