JP3647765B2 - パンチ処理手段 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば画像形成後の記録材にパンチ処理を行うためのパンチ処理手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
パンチ処理手段として、複写機,プリンタなどの画像形成装置によって画像形成された後の記録材に、1枚ずつ穴明け加工を施すものが知られている。
【0003】
図10にこのようなパンチ処理手段のガイド部材1を示す。
【0004】
ガイド部材1は、ほぼ円筒状に形成されており、中央には上下方向に、パンチ部材の昇降をガイドするガイド穴2が設けられている。ガイド穴2の内周面には、その下部側に上部のガイド部3よりも大径の逃がし部4が設けられている。これにより、下端に刃部を有するパンチ部材がガイド部3にガイドされて下降する際、その刃部が内周面にかじり付くことを防止している。なお、逃げ部4の下端の周縁部5には、一般的な0.5C程度の面取りが施されている。
【0005】
画像形成後の記録材P、例えば加熱、加圧によって表面にトナー像が定着された記録材Pが、矢印K方向に搬送路6に搬入されると搬送路6中にストッパ7が突出され、このストッパ7によって記録材Pの先端P1が瞬間的に停止される。このタイミングに合わせて、ガイド穴2にガイドされたパンチ部材が下降し、これにより、記録材Pの先端P1近傍にパンチ穴Hが穿孔される。パンチ穴Hの穿孔後、パンチ部材が上昇し、ストッパ7が搬送路6から退避した後、記録材Pは矢印K方向に搬出される。
【0006】
以上の動作を繰り返すことにより、パンチ処理手段は、画像形成後の記録材Pに1枚ずつパンチ穴Hを穿孔していく。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来技術によると、例えば、長期使用などによって刃部が劣化したパンチ部材が使用された場合、穿孔時にパンチ穴Hの周縁部にバリH1が発生し、またパンチ部材が上昇する際に記録材Pもいっしょに上昇する。そして、ガイド部材1の下端面8に記録材Pが当接してパンチ部材がパンチ穴Hから引き抜かれることになるが、このとき、上述のバリH1が図示のように上方に反り返り、パンチ部材の上昇に引きずられてパンチ部材の外周とガイド部材1の逃げ部4との間のわずかな間隙に入り込み、記録材Pの円滑な搬送の障害となることがあった。また、極端な場合には、パンチ穴Hが破損することにもなる。
【0008】
また、例えば、2穴又は3穴のパンチ穴を穿孔し得るパンチ処理手段では、2穴と3穴とでは、パンチ穴間の距離が異なるため、5個のガイド部材1と5本のパンチ部材とを配設して、これらを選択的に使い分けるようにしている。したがって、記録材Pの通紙幅(搬送方向に直交する左右方向の幅)によっては、その左右の端部の位置が、ガイド部材1のガイド穴2にちょうど一致する場合がある。このような場合、搬送路6中を上向きにカールした記録材Pが搬入されてくると、その記録材Pは、搬送路6の上ガイド板6aと下ガイド板6bとによってカールを抑えられた状態で搬入される。このため、記録材Pは、先端の左右の端部(以下「コーナー」という。)がガイド穴2に到達すると、そのコーナーがガイド穴2内に入り込み、逃げ部4に衝突して円滑な搬送が妨げられることになる。
【0009】
そこで、本発明は、記録材の円滑な搬送の障害とならないようなガイド部材を備えたパンチ処理手段を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、搬送路の搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって搬送される記録材に、前記搬送路の途中で順次に搬入されてくる前記記録材に対して1枚ずつ穴明け加工するようになっており、前記記録材にパンチ穴を穿孔する円柱状のパンチ部材と、前記パンチ部材の軸方向の移動をガイドするガイド部材と、を備えたパンチ処理手段に関するものである。このうち、前記パンチ部材は、前記記録材にパンチ穴を穿孔するための刃部に一対の山部とその一対の山部間の谷部とを有し、前記一対の山部が前記記録材の搬送方向に対して直交する方向に配置されている。また、前記ガイド部材は、前記パンチ部材の移動をガイドする円筒状のガイド穴と、前記ガイド穴の入口の周縁部を斜めに切り欠いて環状に形成された傾斜部と、を備えている。そして、前記ガイド部材の前記傾斜部は、前記ガイド穴の軸方向に沿った方向の長さを傾斜深さ、また前記ガイド穴の径方向に沿った方向の長さを傾斜幅としたときに、前記傾斜幅が前記傾斜深さよりも大きくなるように形成されている。
【0011】
請求項2の発明に係るパンチ処理手段は、請求項1の発明の傾斜部に特徴を有するものである。すなわち、前記傾斜部は、傾斜深さが1mm以上に設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明に係るパンチ処理手段は、請求項1又は2の発明の傾斜部に特徴を有するものである。すなわち、前記記録材の搬送方向を基準としたときに、前記傾斜部の前記搬送方向下流側に位置する部分は、前記傾斜部の前記搬送方向上流側に位置する部分よりも、前記傾斜幅が大きく設定されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明に係るパンチ処理手段は、請求項3の発明の傾斜部に特徴を有するものである。すなわち、前記傾斜部は、前記傾斜部の前記搬送方向上流側に位置する部分から前記傾斜部の前記搬送方向下流側に位置する部分に向かうに従って前記傾斜幅が漸増することを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0016】
図1に、本発明に係るパンチ処理手段が適用される画像形成装置の一例を示す。同図は、画像形成装置の概略構成を模式的に示す縦断面である。同図に示す画像形成装置10は、画像形成装置本体11と、記録材後処理装置12とによって構成されている。なお、本実施の形態においては、画像形成装置10として電子写真方式のものについて、また記録材後処理装置12としてパンチ処理手段とステイプラとを有するフィニッシャについてそれぞれ説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
以下、画像形成装置本体11の構成及び動作、つづいて記録材後処理装置12の構成及び動作、パンチ処理手段及びカール矯正手段の構成及び動作、ガイド部材の構成及び作用、の順に説明する。
【0018】
<画像形成装置本体の構成及び動作>
図1に例示する画像形成装置本体11は、電子写真方式の画像形成装置であって、画像形成部13と、記録材Pの給搬送部14と、定着部15とが設けられている。
【0019】
このうち画像形成部13は、矢印a方向に回転駆動される感光体ドラム16と、その周囲に回転方向に沿ってほぼ順に配設された、一次帯電器17、露光器18、現像器20、転写帯電器21、クリーニング器22などを備えている。感光体ドラム16は、ドラム状の導電性の基体の外周面に、例えばOPC(有機光半導体)の感光層を設けて形成されており、駆動手段(図示せず)によって矢印a方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。一次帯電器17は、感光体ドラム表面に接触配置された帯電ローラ(図示せず)と、この帯電ローラに帯電バイアスを印加して感光体ドラム16表面を所定の極性・電位に一様に帯電する帯電バイアス印加電源(図示せず)とを有している。露光器18は、帯電後の感光体ドラム表面を、画像情報に応じて露光し、露光部分の電荷を除去して静電潜像を形成するものであり、レーザスキャナ、ポリゴンミラー、レンズ、反射ミラー(いずれも図示せず)などを有している。現像器20は、現像剤(トナー)を収納した現像容器(図示せず)と、この現像容器内のトナーを表面に担持して現像部に搬送する現像ローラ(図示せず)と、この現像ローラに現像バイアスを印加して感光体ドラム16上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像バイアス印加電源(図示せず)と、を有している。転写帯電器21は、上述の感光体ドラム16に対向するように配置されて感光体ドラム16との間に転写部を形成している。後述の給搬送部14から転写部に供給された紙等の記録材Pには、転写バイアス印加電源(図示せず)によって転写帯電器21に転写バイアスが印加されることにより、感光体ドラム16上のトナー像が静電的に転写されるようになっている。クリーニング器22は、転写時に記録材Pに転写されないで感光体ドラム16表面に残ったトナー(残留トナー)を除去するためのクリーニングブレード(図示せず)を有している。
【0020】
給搬送部14は、記録材Pの搬送経路における、記録材Pの搬送方向上流側から順に、給紙カセット23、給紙ローラ24、搬送ローラ対25、レジストローラ対26、排紙ローラ対27を有している。給紙カセット23は、トナー像が形成される記録材Pを多数収納している。給紙ローラ24は、給紙カセット23内の記録材Pを1枚ずつ給紙するものであり、また搬送ローラ対25は、給紙された記録材Pをレジストローラ対26に向けて搬送するものである。レジストローラ対26は、搬送ローラ対25によって搬送されてきた記録材Pを一時的に停止させ、その後、上述の感光体ドラム16上のトナー像とタイミングを合わせるようにして、記録材Pを転写部に供給するものである。排紙ローラ対27は、画像形成装置本体11の左側壁(一側面)11aの上部に配設されており、後述の定着部15によって表面にトナー像が定着された記録材Pを、画像形成装置本体11の外部に左方に向けて排出するものである。
【0021】
定着部15は、内側にヒータが内蔵された定着ローラ28と、この定着ローラ28に押圧されて定着ニップ部を形成する加圧ローラ30とを有している。上述の画像形成部13において、表面にトナー像が転写された記録材Pは、定着ニップ部によって挟持搬送されながら、加熱され、加圧されて表面にトナー像が溶融固着されて定着されるようになっている。
【0022】
このような構成の画像形成装置本体11、すなわち上述のような画像形成部13、給搬送部14、及び定着部15が設けられている画像形成装置本体11にあっては、画像形成部13における一次帯電、露光、現像によって感光体ドラム16表面にトナー像を形成する。一方、給紙カセット23から給紙ローラ24、搬送ローラ対25、レジストローラ対26によって、記録材Pを上述の感光体ドラム16上のトナー像に同期させて転写部に供給する。そして、転写帯電器21により感光体ドラム16上のトナー像を、供給された記録材Pに転写する。トナー像転写後の記録材Pは、定着部15によって表面にトナー像が定着され、その後、排紙ローラ対27によって画像形成装置本体11の外部に排出される。これにより画像形成装置本体11による画像形成が終了する。
【0023】
なお、本実施の形態においては、排紙ローラ対27によって画像形成装置本体11の外部に排出された記録材Pは、後述のように記録材後処理装置12に供給されるようになっている。
【0024】
上述の画像形成装置本体11は、その外形が直方体状に形成されていて、全体は4本の脚部31(ただし図1では2本のみを図示)によって支持されている。4本の脚部31は、画像形成装置本体11の本体フレームの底面(下面)32の4箇所の隅部にそれぞれ取り付けられている。これら脚部31は、例えば、本体フレームに下方からねじ込まれたねじ部材31a(図2参照)とこのねじ部材31aをロックするロック部材31bとを有しており、ねじ部材31aのねじ込み量、つまり底面32からの突出量を適宜に調整した状態でロック部材31bによりロックすることで、画像形成装置本体11全体の水平が保持されるようになっている。
【0025】
<記録材後処理装置の構成及び動作>
図1に示す記録材後処理装置12は、記録材Pに対してパンチ処理(穴明け加工)又はステイプル処理を行うものであり、上述の画像形成装置本体11によって画像(トナー像)が形成された後に記録材Pに対してこれらの処理を施す、いわゆるフィニッシャである。以下では、記録材後処理装置12という代わりにフィニッシャ12というものとする。
【0026】
図2(図1におけるフィニッシャ12の拡大図)に示すように、フィニッシャ12は、直方体状のハウジング33を備えている。ハウジング33における右側壁(画像形成装置本体11の左側壁11aに対面する対向面)33aにおける上部には、画像形成装置本体11側の排紙ローラ対27に対応する位置に記録材Pの搬入口34が設けられている。なお、右側壁33aは、上部の搬入口34を有する部分が右方に突出されていて、この突出部分の下方には空間Rが形成されている。搬入口34は、上下2枚の案内板対によって形成されており、この案内板対は、入口側が広く、下流側(記録材搬送方向に沿っての下流側)ほど狭くなるように配置されている。搬入口34の下流側には、記録材Pに穴明け加工を行うためのパンチ処理手段(後処理手段)35が配設されている。さらに、パンチ処理手段35の下流側には、記録材Pのカール(湾曲)を矯正するための2対のカール取りローラ対36,37からなるカール矯正手段(デカーラユニット)38が配設されている。
【0027】
カール矯正手段38の下流側には、搬送ローラ対40が配設されている。この搬送ローラ対40のすぐ下流側には、分岐部が設けてあり、この分岐部において上方に延びる第1の搬送路41と下方に延びる第2の搬送路42とが分岐している。分岐部には、ソレノイド(図示せず)によって切り換えられるフラッパ43が配設されている。このフラッパ43は、ソレノイドのオン/オフに対応して、記録材Pを第1の搬送路41側に導く第1の位置と、第2の搬送路42側に導く第2の位置との間で切り換えられるようになっている。
【0028】
上述の第1の搬送路41は、分岐部から斜め上方に延びるように形成されており、その最下流側には、排紙ローラ対44が配設されている。そして、排紙ローラ対44の下流側には、排紙ローラ対44から排出された記録材Pを下方から支持する第1の排紙トレイ45が配設されている。なお、この第1の排紙トレイ45上には、画像形成後に、上述のパンチ処理手段35によって穴明け加工がなされた記録材Pと、穴明け加工がなされない記録材Pとの双方が排出されることになる。つまり穴明け加工の有無にかかわらず、ステイプル処理されない記録材Pが排出される。以上説明した各ローラ、すなわちカール取りローラ対36,37、搬送ローラ対40、排紙ローラ対44は、少なくとも一方のローラが駆動手段(図示せず)によって回転駆動されるようになっている。
【0029】
上述の第1の搬送路41に対して第2の搬送路42は、分岐部から下方に分岐した後、記録材受け台46に沿うように延設されている。第2の搬送路42には、上流側から順に(上方から順に)4個の搬入ローラ対47a,47b,47c,47dが配設され、さらにこれらの間に揺動可能な3個のフラッパ48a,48b,48cが配設されている。これらは画像形成に使用される記録材Pの搬送方向長さに応じて適宜に選択される。ここで、各フラッパ48a,48b,48cの位置について、それぞれのフラッパよりもさらに第2の搬送路42の下流側に記録材Pを搬送する位置を開位置(図2の実線の位置)、これに対しそれぞれのフラッパにより記録材Pを記録材受け台46に搬入する位置を閉位置(図2の破線の位置)と決める。また、画像形成に使用する記録材Pとしてそれぞれ搬送方向長さが異なる4種類の記録材P1〜P4を使用する。記録材P1とはJISにおけるA3サイズの横通し(搬送方向長さ420mm)であり、記録材P2とは同じくB4サイズの横通し(搬送方向長さ362mm)であり、記録材P3とは同じくA4サイズの横通し(搬送方向長さ297mm)であり、記録材P4とは同じくA4サイズの縦通し(搬送方向長さ210mm)であるものとする。つまり、搬送方向長さ(以下適宜「長さ」という。)としては、P1>P2>P3>P4となる。
【0030】
第2の搬送路42に搬送されてきた記録材Pが、長さの1番長い記録材P1である場合には、最上流側(最上部)のフラッパ48aを閉位置に配置し、搬入ローラ対47aを回転駆動してその記録材P1をフラッパ48aによって記録材受け台46上に導く。同じく長さが2番目に長い記録材P2の場合には、フラッパ48aを開位置、フラッパ48bを閉位置に配置し、搬入ローラ対47a,47bを回転駆動してその記録材P2をフラッパ48bによって記録材受け台46上に導く。同じく長さが3番目に長い記録材P3の場合には、フラッパ48a,48bを開位置、フラッパ48cを閉位置に配置し、搬入ローラ対47a,47b,47cを回転駆動してその記録材P3をフラッパ48cによって記録材受け台46上に導く。そして、同じく長さが4番目に長い(1番短い)記録材P4の場合には、フラッパ48a,48b,48cのすべてを開位置に配置し、すべての搬入ローラ対47a,47b,47c,48dを回転駆動してその記録材P4を第2の搬送路42に沿って記録材受け台46上に導く。このように、搬送方向長さの異なる4種の記録材P1〜P4に対して、それぞれに適宜なフラッパによって第2の搬送路42から記録材受け台46上に搬入することにより、搬入される記録材Pが、既に記録材受け台46上に載置されている記録材Pの下に入り込む不具合、いわゆるもぐり込みを有効に防止することができる。
【0031】
記録材受け台46は、下方向に傾斜して配設された平板状の部材であり、第2の搬送路42を介して順次に搬入されてきた記録材Pを所定の枚数だけ記録材束として一時的にストックするものである。記録材受け台46の下端部近傍には、記録材受け台46によってストックされる記録材Pの端部を下方から受け止めるフック状の受止部材50が配設されている。この受止部材50は、記録材受け台46の上端部近傍に配置した駆動プーリ51と、記録材受け台46の下端部近傍に配置した従動プーリ52とに掛け渡された無端ベルト53に固定されている。受止部材50は、駆動プーリ52の正転に伴う無端ベルト53の図2中の反時計回りの回転により、記録材受け台46に沿って上方に移動し、これにより、記録材受け台46上にストックされていた記録材束を上方に移動させることができるようになっている。なお、受止部材50は、駆動プーリ51の逆転に伴う無端ベルト53の図2中の時計回りの回転により、同図に示すホームポジションに復帰するようになっている。
【0032】
記録材受け台46の裏面側には、記録材Pの整合手段54が配設されている。整合手段54は、記録材受け台46にストックされる記録材Pの幅方向(搬送方向と直角な方向)に適宜な間隔を介して対面する一対の幅寄せ板55と、幅寄せ板55を記録材Pの左右の端部近傍において記録材Pの幅方向に往復移動させる幅寄せ機構56とを備えている。幅寄せ機構56は、記録材Pの幅に応じて、幅寄せ板55の往復移動量を変更することができるようになっている。これにより、記録材受け台46上にストックされた幅の異なる記録材Pの左右の端部に幅寄せ板55を当接させて整合させることができる。
【0033】
記録材受け台46の下端部近傍には、ステイプラ57が配設されている。ステイプラ57は、上述の受止部材50によって端部を下方から受け止められて記録材受け台46上にストックされ、さらに上述の整合手段54によって整合された記録材束をステイプル処理するものである。
【0034】
記録材受け台46の最上部の上方には、斜め上方に延びる記録材Pの排出路58が配設されており、この排出路58の最下流側には、排紙ローラ対60が配設されている。この排紙ローラ対60は、上述の受止部材50によって排出路58に搬入された記録材束を下流側の排紙トレイ61の積載面61a上に排出するものである。
【0035】
排出トレイ61は、昇降手段62によって、ハウジング33の左側壁(画像形成装置本体11から遠い側の面)33bに沿って昇降可能に配設されている。昇降手段62は、左側壁33bの上端部と下端部にそれぞれ配設された駆動プーリ63と従動プーリ64と、これらに掛け渡されたトレイ昇降用ベルト65と、駆動プーリ63を正逆回転させる電動モータ66とを備えている。排出トレイ61は、トレイ昇降用ベルト65に取り付けられている。排出トレイ61は、電動モータ66の正転に伴う、駆動プーリ63及びトレイ昇降用ベルト65の同図中の反時計回りに伴って下降し、逆に電動モータ66の逆転に伴う、駆動プーリ63及びトレイ昇降用ベルト65の同図中の時計回りに伴って上昇するようになっている。なお、同図中の排紙トレイ61の記録材積載面61aの近傍には、記録材束検出センサ(図示せず)が配置されている。この記録材束検出センサは、記録材束が積載されていない状態における排紙トレイ61の記録材積載面61aの高さ位置、又は記録材束が積載された状態におけるその記録材束の最上位の高さ位置を検出するものである。つまり、記録材束センサの検出結果に基づいて上述の電動モータ66がオン/オフされ、これにより、上述の記録材積載面61aの高さ位置、又は記録材束の最上位の高さ位置を一定に維持し、排紙ローラ対60から排出された記録材束の落下高さを常に一定にして、記録材束を記録材積載面61上、又は既に積載されている記録材束上に良好な姿勢で受け止められるようにしている。
【0036】
このような構成のフィニッシャ12は、上述の画像形成装置本体11で画像形成された記録材Pに対して、以下のように、パンチ処理手段35によるパンチ処理(穴明け加工)の有無、及びステイプラ57によるステイプル処理の有無を必要に応じて適宜に選択することができる。
【0037】
画像形成装置本体11によって画像形成された記録材Pは、左側壁11a上部の排紙ローラ対27からフィニッシャ12に向けて横方向(左方向)に排出される。排出された記録材Pは、まず、フィニッシャ12の右側壁33a上部の搬入口34に搬入される。次に、パンチ処理が必要な記録材Pは、一旦停止されてパンチ処理手段35によるパンチ処理が行われる。パンチ処理後の記録材Pは、カール矯正手段38のカール取りローラ対36,37によって下方及び上方のカールが矯正される。一方、パンチ処理が不要な記録材Pは、一旦停止されることなく、直接、カール矯正手段38に搬送され、同様に下方及び上方のカールが矯正される。
【0038】
こうしてカールが矯正された記録材Pは、搬送ローラ対40によって分岐部に搬送される。ここでステイプル処理が不要な記録材Pは、フラッパ43が記録材Pの進路を上方の第1の搬送路41側に切り換えることにより、第1の搬送路41に沿って搬送され、排紙ローラ対44によって排紙トレイ45上に排出される。一方、ステイプル処理が必要な記録材Pは、フラッパ43が記録材Pの進路を下方の第2の搬送路42側に切り換える。これにより、記録材Pは、第2の搬送路42に沿って搬送され、第2の搬送路42から記録材受け台46上に搬入され、一方の端部を受止部材50によって受け止められ、さらに整合手段54によって整合されて、記録材受け台46上で一時的にストックされる。なお、記録材Pが第2の搬送路42から記録材受け台46上に搬入されるときに使用される搬入ローラ対及びフラッパは、記録材Pの搬送方向長さに応じて、つまり記録材Pが記録材P1〜P4のうちのどれであるかに応じて、搬入ローラ47a,47b,47c,47d及びフラッパ48a,48b,48cの中から前述したような適宜なものが選択される。上述の記録材受け台46による記録材Pのストックを、記録材Pの枚数がステイプル処理すべき所定枚数に達するまでつづけられる。
【0039】
記録材受け台46上の記録材Pが所定枚数に達して、所望の記録材束が形成されたら、ステイプラ57によってステイプル処理を行う。
【0040】
ステイプル処理後の記録材束は、駆動プーリ51を反時計回りに回転駆動し、無端ベルト53を同方向に回転させることにより、無端ベルト53と一体の受止部材50を記録材受け台46に沿って上昇させることによって、上方に移動され、排出路58に導かれる。こうして排出路58に沿って移動された記録材束は、排紙ローラ対60によって、排紙トレイ61の積載面61a上に排出される。
【0041】
以上で、フィニッシャ12による、記録材Pに対する後処理を終了する。
【0042】
なお、フィニッシャ12内の、カール矯正手段35を含む記録材搬送系による記録材搬送速度は、画像形成装置本体11内の。排紙ローラ対27を含む記録材搬送系による記録材搬送速度よりも速く設定されている。
【0043】
<パンチ処理手段及びカール矯正手段の構成及び動作>
図3に、フィニッシャ12における搬入口34、パンチ処理手段35、カール矯正手段38近傍の拡大図を示す。
【0044】
搬入口34は、上案内板34aと下案内板34bとによって構成されている。上案内板34aは、記録材Pの搬送方向(矢印K方向)に沿っての下流側が下方に傾斜するように、また下案内板34bは、同じく下流側が上方に傾斜するように配置されている。すなわち搬入口34は、画像形成装置本体11の排紙ローラ対27に対面する上流側ほど上下方向の幅が広く、そして下流側にいくほど幅が狭くなるように構成されている。画像形成装置本体11の排紙ローラ対27から左方に排出された記録材Pは、搬入口34の上案内板34a、下案内板34bに導かれて、下流側のパンチ処理手段に搬入されるようになっている。
【0045】
パンチ処理手段35は、上述の搬送口34のすぐ下流側に配設されており、ストッパと、パンチと、ガイド部材と、パンチ受けと、駆動機構(いずれも図示せず)とを備えている。ストッパは、パンチ処理手段35における下流側に配置され、記録材Pの搬送路に出没可能に支持されている。ストッパは、パンチ処理に際して、搬送路中に突出されて記録材Pの先端を一時的に停止させ、また、パンチ処理後には、搬送路から退避して記録材Pの搬送を許容するものである。パンチは刃部を下方に向けた姿勢で昇降可能に支持されており、上述のストッパによって一時的に停止された記録材Pに対して上方側(表面側)から下降して記録材Pの先端部近傍にパンチ穴を穿孔するものである。パンチ穴穿孔後には直ちに上方に退避する。パンチ受けは、搬送路の下方、すなわち搬入されてきた記録材Pの裏面側に配設されていて、穿孔時にパンチの刃部を受けるものである。そして、駆動機構は、上述のストッパを出没させ、また上述のパンチを昇降させるものである。駆動機構は、フィニッシャ12の記録材搬送系を駆動する駆動源からクラッチを介して動力の伝達が行われ、例えばカムによって、ストッパ及びパンチを作動させる。なお、これらストッパとパンチとはカムを介して連動され、まずストッパが搬送路中に突出されて、記録材Pの先端を停止させ、その後、直ちにパンチが下降して記録材Pの先端部近傍にパンチ穴を穿孔する。ストッパ及びパンチの退避するタイミングについては、同時であってもよい。
【0046】
カール矯正手段38は、上述のパンチ処理手段35のすぐ下流側に配設されている。カール矯正手段38は、上流側と下流側とに配設された2対のカール取りローラ対36,37と、これらによるカール取り量を調整する調整機構39A,39Bとを備えている。このうちカール取りローラ対36は、従動ローラ(第1のローラ)36aと駆動ローラ(第2のローラ)36bとにより、またカール取りローラ対37は、従動ローラ(第1のローラ)37aと駆動ローラ(第2のローラ)37bとによって構成されている。これら従動ローラ36a,37aは、駆動ローラ36b,37bと比べて、直径が小さく、また硬度の高い材質、例えば、金属や合成樹脂で形成されている。一方、駆動ローラ36b,37bは、従動ローラ36a,37bよりも、直径が大きく、また硬度の低い材質、例えば合成ゴムで形成されている。また従動ローラ36a,37aは位置が不動であり、一方、駆動ローラ36b,37bはほぼ上下方向移動可能に支持されている。
【0047】
上流側のカール取りローラ対36にあっては、従動ローラ36aは、記録材搬送路の上側に配置され、記録材搬送路の下側に配置された駆動ローラ36bが調整機構39Aにより押し上げられて従動ローラ36aに下方から当接されている。このとき硬度の高い従動ローラ36aが硬度の低い駆動ローラ36bに食い込んでいる。後述の調整機構39Aは、このときの食い込み量を調整することで、カール取り量を調整するものである。一方、下流側のカール取りローラ対37にあっては、上流側のカール取りローラ対36とは逆に、従動ローラ37aが記録材搬送路の下側に配置され、記録材搬送路の上側に配置された駆動ローラ37bが調整機構39Bにより押し下げられて従動ローラ36aに上方から当接されている。このとき硬度の高い従動ローラ37aが硬度の低い駆動ローラ37bに食い込んでいる。後述の調整機構39Bは、このときの食い込み量を調整することで、カール取り量を調整するものである。このように、上流側のカール取りローラ対36では、下方に配置された駆動ローラ36bに従動ローラ36bが上方から食い込んでいるのでこの当接部を通過する記録材Pは、上方に湾曲した(下方に向かって凸状の)カール付けがなされ、下流側のカール取りローラ対37では逆に下方に湾曲した(上方に向かって凸状の)カール付けがなされる。したがって、カール取り手段38に搬入される前に、下方にカールしている記録材Pは、上流側のカール取りローラ対36でカールが矯正され、また、搬入前に、上方にカールしている記録材Pは、下流側のカール取りローラ対37でカールが補正されることになる。
【0048】
図3、及び図3中の調整機構を同図の右方から見た図である図4(a),(b)に示すように、調整機構39Aは、上述の駆動ローラ36bの軸(図示せず)に平行に配設された軸71と、軸71の前端部71aに固定されたブラケット72,73と、ブラケット72に固定されたカム部材74と、ブラケット73に前側から係合されたつまみ(操作手段)75と、つまみ75と一体のピン76と、ブラケット73に固定されたねじ部材77と、つまみ75をブラケット73に向けて付勢する圧縮ばね78とを備えている。以上の軸71から圧縮ばね78までの各部材は、後述するように、全体が一体となって回転することができるようになっている。
【0049】
このうち、軸71は、その前端部71がハウジング33の前側壁33cによって、また後端部(図示せず)が後側壁(図示せず)によって回動自在に支持されている。ブラケット72は、軸71の前端部71aの一部を切り欠いて平らにした切欠部72bのうちの、前側壁33cの内側の部分に固定されたL字形の部材である。一方、ブラケット73は、切欠部72bのうちの前側壁33の外側の部分に固定された部材であり、前端部73aの前方視形状が長方形に形成されている。
【0050】
カム部材74は、前側壁33cの裏面側に沿うようにしてブラケット72に固定された板状の部材である。カム部材74は、図3に示すように、その外周面がカム面となっている。このカム面のうち、ほぼ円弧状に形成されている部分、つまりaから右回りにb、c……とfまでつづく面が調整面74aとなる。この調整面74aは、例えば、駆動ローラ36bの軸受(図示せず)に当接して駆動ローラ36bを上方の従動ローラ36aに押し付けるものである。調整面74aは、aからb、c……と右方向に回るに従って半径が漸減するようになっている。したがって、カム部材74は、調整面74aのうちのaの部分によって駆動ローラ36bを押し上げたときが、駆動ローラ36bに対する従動ローラ36aの食い込む量が最も多くなり、このときカール取り量が最大となる。このカール取り量は、駆動ローラ36bを押し上げる部分がb、c……と移動するのに伴って減少し、fで最小となる。なお、カム部材74のカム面のうち、上述の調整面74aを除いた部分、つまりfから右回りにgまでいたる部分が軸受に対応した場合は、従動ローラ36aに対する駆動ローラ36bの押圧が解除されるようになっている。この押圧の解除は、例えば記録材Pが従動ローラ36aと駆動ローラ36bとの間で挟持された状態でジャムが発生した場合に、この記録材Pを除去する際に利用される。
【0051】
つまみ75は、その後半部(図4中の右半部)が上述のブラケット73の前端部73aに対して前後方向(軸71に沿った方向)に移動可能で、かつ回転方向に移動不能に係合されている。つまみ75の前後方向の中間部には、仕切り75aが設けてある。この仕切り75aには透孔が穿孔されている。この透孔には、ねじ部材77が前方から貫通され、このねじ部材77の先端は、上述のブラケット73に固定されている。ねじ部材77の頭部77aとつまみ75の仕切り75aとの間には、圧縮ばね78が介装されており、この圧縮ばね78により、つまみ75はブラケット73に向けて付勢されている。また、つまみ75には、先端を前側壁33cに向けたピン76が固定されている。なお、上述のカム部材74には、このピン76の先端が挿脱可能な透孔(図示せず)が設けてある。また、前側壁33cには、ピン76が挿脱可能なピン穴(図示せず)が、軸71の中心を基準とした円周上に、複数穿設されている。例えばこのピン穴を45度間隔で設けておけば、カム部材74を45度ずつ回転させて位置決め固定することができる。なお、図4(a),(b)では図示していないが、軸71の後端側にも、カム部材74と同様のカム部材が固定されている。なお、本実施の形態では、ピン76とこのピン76が挿入されるピン穴によってロック機構を構成している。
【0052】
このような構成の調整機構39Aは、つまみ75がハウジング33の前側壁33cから前方に突出されているので、ユーザは、フィニッシャ12の正面からつまみ75を介して操作することができる。すなわち、ユーザが手でつまみ75を握って圧縮ばね78のばね力に抗して手前に引くと、ピン76の先端がカム部材74の透孔及び前側壁33cのピン穴から抜けて図4(b)に示す状態となる。この状態を維持しつつ、つまみ75を例えば左回りに少し回転させる。ここでユーザがつまみ77から手を離すとピン76がピン穴からずれているので、ピン77の先端が、前側壁33cの表面に軽く当接する。再びつまみ77を握り、左回りに回転させる。すると、ピン77の先端が次にピン穴と一致したときに、圧縮ばね78によりピン76の先端がそのピン穴及びカム部材74の透孔に挿入される。これにより、カム部材74が左回りに45度回転されて、駆動ローラ36bに対する従動ローラ36aの食い込み量が減少し、したがって、カール取り量が減少する。この逆に、つまみ75を右回りに45度回転させてピン76を次にピン穴に挿入した場合には、カール取り量を増加させることができる。なお、相互に隣接するピン穴間の角度を、45度よりももっと小さく設定するときには、カール取り量をさらに細かく増減させることが可能となる。なお、下流側のカール取りローラ対37のカール取り量を調整する調整機構39Bも上述の調整機構39Aと同様の構成及び動作であるのでその説明は省略するものとする。
【0053】
このように、調整機構39Aは、フィニッシャ12の手前側から、つまみ75を手前に引いて回転させるだけの簡単な操作で、カール取り量を適宜に設定することができる。
【0054】
前述のように、フィニッシャ12における搬入口34のすぐ下流側にパンチ処理手段35を配設し、このパンチ処理手段35のすぐ下流側にカール矯正手段38を配設したことにより、以下のような作用・効果を奏することができる。
【0055】
・パンチ処理手段35に搬入されてくる記録材Pの搬送速度が、画像形成装置本体11側の記録材の搬送速度であって遅いので、パンチ処理手段35におけるストッパやパンチのタイミングをとりやすく、したがって、パンチ穴の位置精度を高めることができる。
【0056】
・また、同じ理由で、記録材Pがストッパにより一時停止されたときに形成されるループが小さいので、パンチ処理後の記録材Pの搬送を円滑に行うことができる。
【0057】
・パンチ処理によってパンチ穴の周縁部に返りが発生した場合に、下流側に配設されたカール矯正手段38によってこの返りも除去することができる。特に、パンチの長期使用に伴うパンチの切れの低下によって大きな返りが発生する場合に有効である。
【0058】
・カール矯正手段38をパンチ処理手段35の上流側に配設したときは、パンチ処理手段35に搬入する記録材Pの搬送速度をカール矯正手段38によって減速することが必要となるが、この場合には、減速するための機構や制御手段が必要となり、その分構成が複雑となる。本実施の形態によれば、このような機構や制御手段が不要である。
【0059】
・フィニッシャ12側の、カール矯正手段38を含む記録材搬送系による記録材搬送速度を一定とすることができるので、フィニッシャ21は同一の使用で、種々の画像形成装置本体11に対応することが可能である。つまりフィニッシャ12の汎用性を増すことができる。
【0060】
<ガイド部材の構成及び作用>
図5に本発明に係るガイド部材80の上面図を、また図6に図5のX−X線矢視拡大図を示す。さらに、図7にパンチ部材100の一例を示す。
【0061】
これらの図に示すように、ガイド部材80は、ほぼ円筒状のボス部81と、フランジ部82とを備えている。このうちボス部81には、円柱状のパンチ部材100の軸方向の移動(昇降)をガイドする円筒状のガイド穴83が、上下方向に形成されている。このガイド穴83は、上部側に、パンチ部材100の外径よりもわずかに大きい内径のガイド部84を有し、また下部側には、ガイド部84よりも少し大径の逃げ部85を有している。このような逃げ部85が形成されているのは、パンチ部材100が下降する際の、その下端の刃部101が内周面にかじり付いて削ってしまうことを防止するためである。なお、このようなかじり付きを防止するには、実質的にパンチ部材100をガイドすることになるガイド部83の軸方向の長さを長く設定することが有効であり、例えば、ガイド部83の直径に対して、軸方向長さを1.5〜2倍以上に設定すると効果がある。
【0062】
ガイド部85の下端には、傾斜部86が設けてある。傾斜部86は、ガイド穴82の入口(下端)の周縁部をその全周にわたって斜めに切り欠いて環状に形成したものである。この傾斜部86は、ガイド穴83の軸方向に沿った方向の長さを傾斜深さD、またガイド穴83の径方向に沿った方向の長さを傾斜幅Wとしたときに、傾斜幅Wが前記傾斜深さDよりも大きくなるように形成されている(W/D>1)。つまり、図6中のθを傾斜角とすると、この傾斜角θが45度未満となるように形成されている。なお、傾斜角θは、本実施の形態においては38度であるが、これに限定されるものではない。また、傾斜深さDを1mm以上、さらに好ましくは2mm以上に設定している。なお、この数値は、固定的なものではなく、例えば、図10に示す、上ガイド板6aと下ガイド板6bとの間の距離に対応させて設定するとよい。例えば、この距離が1mmのときは、傾斜深さDを1mmに、またこの距離が2mmのときは、傾斜深さDを2mmに設定すればよい。
【0063】
フランジ部81は、図5に示すように、上方視においてほぼ菱形状に形成されており、ボス部81から突出された部分には、ボルト穴87,88が形成されていて、このボルト穴87,88に貫通させた取り付けボルト(図示せず)によって、ガイド部材80全体をフィニッシャ12のハウジング33に固定するようにしている。
【0064】
上述構成のガイド部材80によってガイドされるパンチ部材100が図7に示すように、刃部に一対の山部101aとその間の谷部101bとを有するものである場合には、これら2つの山部101aが記録材Pの搬送方向と直交する方向(記録材Pの通紙幅方向)に並ぶように配置するとよい。これにより、パンチ処理後の記録材Pがパンチ部材100に引っかかりにくくすることができる。
【0065】
ガイド部材80は、例えば、含油された銅系の焼結部材によって形成することができる。
【0066】
傾斜部86を上述のように構成することで、前述の不具合、すなわちパンチ穴HのバリH1(図10参照)が、ガイド部材81の逃げ部85とパンチ部材100の外周部との間に入り込むことにより発生する、記録材Pの搬送不良や記録材の損傷、また記録材Pのコーナーが逃げ部に引っかかることに起因する搬送不良などを有効に防止することができる。
【0067】
上述の傾斜角θの一例として、38度程度に設定するとよい。この傾斜角θが大きすぎる場合には、上述の記録材Pを円滑に搬送する、という効果が薄れ、逆に傾斜角θが小さすぎる場合には、必要な傾斜深さDを確保しようとすると傾斜幅Wが大きくなってその分、ガイド部材80が大きくなる、といった問題が発生する。これらの点を勘案すると、上述の38度程度が好適である。
【0068】
傾斜部のそれぞれ異なる他の実施の形態を図8、図9に示す。
【0069】
図8に示すものは、記録材Pの搬送方向(矢印K方向)を基準としたときに、傾斜部90における下流側に位置する部分90aは、上流側に位置する部分90よりも、傾斜幅が大きくなるように(W1>W2)設定されている。これにより、記録材Pの搬送が一層、円滑なものとなる。
【0070】
図9に示すものは、図8に示すものに、さらに、傾斜部91は、上流側に位置する部分から下流側に位置する部分に向かうに従って傾斜幅Dが漸増する、という条件を付加したものである。これによると、図8のものよりもさらに、記録材Pの搬送が円滑となる。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るパンチ処理手段によれば、ガイド穴における傾斜部の傾斜幅を傾斜深さよりも大きくなるように形成することにより、パンチ穴のバリがガイド穴とパンチ部材との間に入り込むことによって発生する、記録材の搬送不良や記録材の損傷、また記録材のコーナーがガイド穴に引っかかることに起因する搬送不良などを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係るフィニッシャの概略構成図である。
【図3】図1における搬入口、パンチ処理手段、カール矯正手段近傍の拡大図である。
【図4】(a)、(b)はカール取り量を調整するための調整機構の動作を説明する図である。
【図5】ガイド部材の上面図である。
【図6】図5のX−X線矢視図である。
【図7】パンチ部材の形状を示す正面図である。
【図8】傾斜部の他の実施の形態を示す図である。
【図9】傾斜部のさらに別の実施の形態を示す図である。
【図10】従来のガイド部材を説明する図である。
【符号の説明】
10……画像形成装置、11……画像形成装置本体、12……フィニッシャ(記録材後処理装置)、33……ハウジング(記録材後処理装置本体)、35……パンチ処理手段、80……ガイド部材、83……ガイド穴、86,90,91……傾斜部、100……パンチ部材、D……傾斜深さ、H……パンチ穴、K……記録材搬送方向、P……記録材、W……傾斜幅

Claims (4)

  1. 搬送路の搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって搬送される記録材に、前記搬送路の途中で順次に搬入されてくる前記記録材に対して1枚ずつ穴明け加工するようになっており、
    前記記録材にパンチ穴を穿孔する円柱状のパンチ部材と、
    前記パンチ部材の軸方向の移動をガイドするガイド部材と、
    を備えたパンチ処理手段において、
    前記パンチ部材は、前記記録材にパンチ穴を穿孔するための刃部に一対の山部とその一対の山部間の谷部とを有し、前記一対の山部が前記記録材の搬送方向に対して直交する方向に配置され、
    前記ガイド部材は、前記パンチ部材の移動をガイドする円筒状のガイド穴と、前記ガイド穴の入口の周縁部を斜めに切り欠いて環状に形成された傾斜部と、を備えており、
    前記ガイド部材の前記傾斜部は、前記ガイド穴の軸方向に沿った方向の長さを傾斜深さ、また前記ガイド穴の径方向に沿った方向の長さを傾斜幅としたときに、前記傾斜幅が前記傾斜深さよりも大きくなるように形成されていることを特徴とするパンチ処理手段。
  2. 前記傾斜部は、前記傾斜深さが1mm以上に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のパンチ処理手段
  3. 前記記録材の搬送方向を基準としたときに、前記傾斜部の前記搬送方向下流側に位置する部分は、前記傾斜部の前記搬送方向上流側に位置する部分よりも、前記傾斜幅が大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパンチ処理手段
  4. 前記傾斜部は、前記傾斜部の前記搬送方向上流側に位置する部分から前記傾斜部の前記搬送方向下流側に位置する部分に向かうに従って前記傾斜幅が漸増することを特徴とする請求項3に記載のパンチ処理手段
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