本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に設けられるシート排出装置に関する。
プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置には、画像形成後のシートをユーザが受け取れるように排出して積載するシート排出装置として、備え付けの排出トレイの他に複数の排出トレイから成るシート排出装置を備えるものがある。
このようなシート排出装置においては、ユーザは自らの操作によってシートが排出される排出トレイを選択的に切換可能であるものが多い。ユーザの操作とは、パーソナルコンピュータ(PC)からの出力信号や操作パネルでのボタン操作、ID(Identification)認証等である。
これにより、ユーザに応じて、もしくはシートの種類等に応じて排出トレイを選択することで、ユーザは他人のジョブと混載されずに自分のジョブを容易に受け取ることが可能となる。
このようなシート排出装置においては、排出されるシートを積載する排出トレイの他に、LGL(Legal;リーガル)サイズ(215.9mm×355.6mm)等の長尺のシートに対応して積載領域を広げる排出延長トレイが設けられているものがある。例えば、特許文献1では、シートの種類(シートの剛度)によらず良好な積載性を保つためにシートの種類に応じて排出延長トレイの設置角度を変更する構成が開示されている。このような構成を適用することで、シートのサイズや硬さによらず安定した排出積載を行うことが可能となる。
しかしながら、特許文献1のように、排出延長トレイの設置角度を変更すると、排出トレイ上のシートを受け取る際のアクセスが難しくなる場合がある。また、排出延長トレイの設置角度を変更可能とするために排出口を広げると、装置サイズが大きくなるという課題があった。
上記の課題に対して、シートのサイズに応じて排出延長トレイを排出トレイと略平行に引き出し、且つ排出されるシートの落下防止のためにシートの先端規制部が設けられているシート排出装置がある。このようなシート排出装置の比較例の構成について、図6〜図8を用いて説明する。
図6は比較例の画像形成装置100及びシート排出装置200の構成を示す断面説明図である。図6において、10〜12はシート排出装置200における複数設けられた各段の排出延長トレイである。20〜22はシート排出装置200における複数設けられた各段の排出トレイである。30〜32はシート排出装置200における複数設けられた各段のシートSの先端規制部である。
図6に示すように、画像形成装置100で画像形成後のシートSは切換手段となるフラッパ141によって上方に設けられたシート排出装置200へと搬送される。更に、切換手段となるフラッパ204,205により複数の排出トレイ20〜22の中から選択的に切り換えられて排出される。
このように排出されるシートSのサイズと、排出延長トレイ10〜12、シートSの先端規制部30〜32の関係を図7(a),(b)に示す。図7(a),(b)は複数の排出トレイ20〜22を備えるシート排出装置200のうち、下方の二段の排出トレイ20,21の付近を拡大した部分斜視図である。図7(a)は排出トレイ20,21上にシートSが積載されていない状態を示す。図7(b)は排出トレイ20,21上にシートSが積載されている状態を示す。
図7(a),(b)において、30c,31cは、排出延長トレイ10,11に対してそれぞれ回動可能に設けられたシートSの先端規制部30,31の回動軸である。図7(a),(b)に示す先端規制部30,31の各々の回動軸30c,31cには、図示しない捩りコイルバネがそれぞれ嵌装されている。
ユーザが該捩りコイルバネの付勢力に抗して各先端規制部30,31を各々の回動軸30c,31cを中心に図7(b)の矢印C方向に回動する。そして、各排出トレイ20,21及び排出延長トレイ10,11上にそれぞれ積載されているシートSを受け取る。その後、該捩りコイルバネの付勢力により各先端規制部30,31は各々の回動軸30c,31cを中心に図7(b)の矢印C方向とは反対方向に回動して排出延長トレイ10,11に対して略垂直に起立したホームポジションに戻る。
図7(b)の矢印A方向はシート排出方向である。図7(a)の矢印B方向は排出延長トレイ10,11の延長方向である。図7(b)の矢印C方向はシートSの先端規制部30,31を排出延長トレイ10,11の延長線上に倒す回動方向を示す。
図7(a)において、最下段の排出トレイ20は、排出延長トレイ10が引き出されていない状態を示す。中段の排出トレイ21は、排出延長トレイ11が図7(a)の矢印B方向に引き出されている状態を示す。排出延長トレイ10,11は、排出トレイ20,21に対して、それぞれユーザが使用するシートSのサイズに合わせて延長可能に構成されている。
このようなシート排出装置200において、図6に示す排出ローラ201,202によりそれぞれ挟持搬送されてシートSが排出トレイ20,21上に図7(b)の矢印A方向に排出される。すると、図7(b)に示すように、シートSが排出トレイ20,21及び排出延長トレイ10,11上に積載される。
図7(b)において、最下段の排出トレイ20上には、A4サイズ(210mm×297mm)等の一般的な長さのシートStが積載されている様子を示す。中段の排出トレイ21及び排出延長トレイ11上には、LGL(Legal;リーガル)サイズ(215.9mm×355.6mm)等の長尺のシートSlが積載されている様子を示す。
このように、ユーザが使用するシートSのサイズに合わせて排出延長トレイ10,11を伸縮可能にすることで長尺のシートSlにも対応した構成となっている。
シート排出装置200の一例として長尺のシートSlに対応できるように予め積載面積が大きな排出トレイ150を有するものもある。画像形成装置100本体のサイズ及び排出トレイ150上のシートSの取り出し易さを考慮して、省スペース化のために図6〜図8に示すように、排出トレイ20〜22から排出延長トレイ10〜12をそれぞれ引き出して延長するものが多い。
また、排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にそれぞれ積載されたシートSの先端部Seは、該排出延長トレイ10〜12に対して略垂直にそれぞれ起立させた先端規制部30〜32に突き当たることにより規制される。
画像形成装置100本体から排出ローラ201〜203によりそれぞれ挟持搬送されて各排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にそれぞれシートSが排出される。排出されたシートSが、所定の位置よりも図7(b)の矢印A方向で示すシート排出方向下流側へ排出されてしまう場合がある。
或いは、排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にそれぞれ積載されているシートSが、後続して排出されてくるシートSとの間の静電吸着や摩擦により図7(b)の矢印A方向で示すシート排出方向下流側へ押し出されてしまう場合がある。
排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にそれぞれ排出されるシートSの先端部Seの位置を先端規制部30〜32にそれぞれ付き当てて規制する。これにより排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上に排出されたシートSが該排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12から外に落下することを防止している。
図7(a),(b)に示す先端規制部30,31は、排出延長トレイ10,11と回動軸30c,31cを介して回動可能に連結されている。ユーザが使用するシートSのサイズに合わせて排出トレイ20,21から排出延長トレイ10,11を引き出して延長する。そして、回動軸30c,31cを中心に先端規制部30,31が回動して起立する。これによりシートSのサイズに合わせて先端規制部30,31によりシートSの先端部Seの位置を規制することができる。
また、図7(a),(b)に示す先端規制部30,31は、各々の回動軸30c,31cを中心に図7(b)の矢印C方向に回動可能である。ユーザが各排出トレイ20,21及び排出延長トレイ10,11上にそれぞれ積載されているシートSを受け取る。その際に、各先端規制部30,31を捩りコイルバネの付勢力に抗して各々の回動軸30c,31cを中心に図7(b)の矢印C方向に回動して排出延長トレイ10,11の延長線上に押し倒してシート排出装置200の外側に退避させる。
これにより各排出トレイ20,21及び排出延長トレイ10,11上にそれぞれ積載されているシートSにアクセスし易い構成となっている。尚、図6に示すシート排出装置200の最上段の排出トレイ22、排出延長トレイ12及び先端規制部32についても同様に構成される。
図6〜図8に示す比較例では、使用するシートSのサイズに合わせてユーザが排出延長トレイ10〜12を引き出すことにより適正な位置に設定する。図8(a),(b)に示すように、ユーザが排出延長トレイ10を引き出さずにLGL(Legal;リーガル)サイズ(215.9mm×355.6mm)等の長尺のシートSlが排出トレイ20上に排出される場合を考慮する。
すると、図8(a),(b)に示すように、シートSの先端部Seが排出延長トレイ10に対して略垂直に起立した先端規制部30の回動軸30cの近傍の根元部に引っかかり、シートSlのジャムや丸まり、更には、シートSlの損傷が発生する虞がある。
したがって、ユーザが排出延長トレイ10を引き出さずにLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出トレイ20上に排出した場合であってもシートSlのジャムや丸まり、更には、シートSlの損傷等が発生しないシート排出装置200が求められている。尚、図6に示すシート排出装置200の中段及び最上段の排出トレイ21,22、排出延長トレイ11,12及び先端規制部31,32についても同様である。
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、排出延長トレイの設定位置や排出するシートのサイズによらずシートのジャムや丸まり、或いは、シートの損傷等が発生しないシート排出装置を提供するものである。
前記目的を達成するための本発明に係るシート排出装置の代表的な構成は、排出されるシートが積載される排出トレイと、前記排出トレイに対してシート排出方向に伸縮可能な排出延長トレイと、前記排出延長トレイのシート排出方向の下流側に該排出延長トレイと連結して設けられ、該排出延長トレイとの連結部近傍を回動中心として回動可能な先端規制部と、を有し、所定のサイズよりも長いシートが排出される際に、該シートの先端部が前記先端規制部の回動中心から離れる方向にガイドするシート案内部を有することを特徴とする。
上記構成によれば、排出延長トレイの設定位置や排出するシートのサイズによらずシートのジャムや丸まり、或いは、シートの損傷等の発生を低減することが出来る。
本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の第1実施形態の構成を示す断面説明図である。
(a)は第1実施形態のシート排出装置の構成を示す斜視説明図である。(b)は第1実施形態のシート排出装置の構成を示す断面説明図である。
(a)は第1実施形態のシート排出装置において、排出延長トレイを引き出していない状態で長尺のシートを排出した様子を示す断面説明図である。(b)は第1実施形態のシート排出装置において、排出延長トレイを引き出していない状態でA4サイズのシートを排出した様子を示す断面説明図である。(c)は第1実施形態のシート排出装置において、排出延長トレイを引き出した状態で長尺のシートを排出した様子を示す断面説明図である。
(a)は第2実施形態のシート排出装置の構成を示す斜視説明図である。(b)は第2実施形態のシート排出装置の構成を示す断面説明図である。
(a)は第3実施形態のシート排出装置の構成を示す斜視説明図である。(b)は第3実施形態のシート排出装置の構成を示す断面説明図である。
比較例のシート排出装置を備えた画像形成装置の構成を示す断面説明図である。
(a)は比較例のシート排出装置の構成を示す斜視説明図である。(b)は比較例のシート排出装置において、排出延長トレイを引き出した状態で長尺のシートを排出し、排出延長トレイを引き出していない状態でA4サイズのシートを排出した様子を示す斜視説明図である。
(a)は比較例のシート排出装置において、排出延長トレイを引き出していない状態で長尺のシートを排出した様子を示す斜視説明図である。(b)は比較例のシート排出装置において、排出延長トレイを引き出していない状態で長尺のシートを排出した様子を示す断面説明図である。
図により本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
[第1実施形態]
先ず、図1〜図3を用いて本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
<画像形成装置>
先ず、図1を用いて本実施形態のシート排出装置200を備えた画像形成装置100における画像形成動作及びシート搬送動作について説明する。図1は本実施形態のシート排出装置200を備えた画像形成装置100の構成を示す断面説明図である。図1において、101は像担持体となる感光ドラムである。感光ドラム101は、黒色の現像剤(トナー)を備えた画像形成手段となるプロセスカートリッジ102に対して回転可能に長手方向の両端部が支持されている。
感光ドラム101は、図示しない駆動モータ及び駆動伝達手段により長手方向の一端部側から回転駆動力が伝達されて図1の時計回り方向に回転駆動される。感光ドラム101の表面には有機光導電体層が塗布されている。帯電手段となる帯電ローラ103に帯電バイアス電圧を印加することにより感光ドラム101の表面が一様に帯電される。
帯電ローラ103により一様に帯電された感光ドラム101の表面には、像露光手段となるレーザスキャナユニット104から画像情報に応じたレーザ光105が照射されて静電潜像が形成される。感光ドラム101の表面に形成された静電潜像に対して現像手段となる現像ローラ106により現像剤が供給されてトナー像として現像される。
第一給送部110は、給送ローラ111、分離パッド112、給送トレイ113、シート幅規制板114等を有して構成される。給送トレイ113上にはシートSが積載されている。シートSは、図示しない駆動モータ及び駆動伝達手段により所定のタイミングで駆動される給送ローラ111により給送される。
それと同時に分離パッド112の摩擦力により捌かれて一枚のシートSのみがレジストローラ132に給送される。その後、シートSは、レジストローラ132によって感光ドラム101と、転写手段となる転写ローラ133とが当接する転写ニップ部N1に搬送される。転写ニップ部N1では、所定の転写バイアス電圧が印加された転写ローラ133により感光ドラム101の表面上に形成されたトナー像(画像)がシートSに転写される。
トナー像が転写されたシートSは、定着手段となる定着ローラ134aと加圧ローラ134bとが当接する定着ニップ部N2に搬送される。定着ニップ部N2では、加熱及び加圧によりトナー像がシートS上に溶融固着されることにより定着される。
定着ローラ134aと加圧ローラ134bとにより挟持搬送されたシートSは、排出ローラ135により挟持搬送される。その後、切換手段となるフラッパ141により排出ローラ136へと搬送され、該排出ローラ136により挟持搬送されて排出トレイ150上に排出積載される。
図1に示す画像形成装置100の下部には第二給送部120が設けられている。第二給送部120は、給送ローラ121、分離パッド122及び給送カセット123等を有して構成される。給送カセット123には、昇降可能な図示しない載置台上にシートSが積載されている。
シートSは図示しない駆動モータ及び駆動伝達手段により所定のタイミングで駆動される給送ローラ121により給送される。同時に分離パッド122の摩擦力により捌かれて一枚のシートSのみが搬送ローラ131に給送される。その後、シートSは搬送ローラ131により挟持搬送されてレジストローラ132に搬送される。
その後、シートSは、レジストローラ132によって感光ドラム101と転写ローラ133とが当接する転写ニップ部N1に搬送される。その後、シートSは、第一給送部110から給送されたシートSと同様に搬送されて排出トレイ150上に排出積載される。
シートSの両面に印刷する場合には、排出ローラ136により挟持搬送されるシートSの後端部がフラッパ141を通過したタイミングで該排出ローラ136を逆回転させて該シートSを反転パス1に搬送する。そして、搬送ローラ137〜139により挟持搬送されて再度、レジストローラ132に搬送される。その後の動作は、前述した片面印刷の動作と同様である。
<シート排出装置>
次に図1〜図3を用いて画像形成装置100の上部に設けられたシート排出装置200におけるシート排出動作について説明する。図1に示すシート排出装置200へシートSを搬送する際には、前述したように感光ドラム101の表面に形成されたトナー像が転写ニップ部N1においてシートSに転写される。その後、定着ニップ部N2においてトナー像がシートSに定着された後、切換手段となるフラッパ141により搬送ローラ140へと搬送される。
搬送ローラ140により挟持搬送されるシートSは、切換手段となるフラッパ204,205により適宜、搬送パスを切り換えられる。その後、シート排出手段であって排出回転体となる排出ローラ201〜203の何れかにより挟持搬送されて排出されるシートSを積載する排出トレイ20〜22の何れかに選択的に排出積載される。
各排出トレイ20〜22には、図示しないスライド手段により各排出トレイ20〜22に対してシート排出方向に伸縮可能な各排出延長トレイ10〜12が図3(c)の矢印B方向に引き出し可能に支持されている。使用するシートSのサイズに応じてユーザが各排出延長トレイ10〜12を図3(c)の矢印B方向に引き出すことができる。
各排出延長トレイ10〜12の先端部(シート排出方向の下流側)には、各々の回動軸30c〜32cを中心に図3(a)の矢印C方向に回動可能な先端規制部30〜32がそれぞれ連結されている。各先端規制部30〜32は、各排出延長トレイ10〜12との連結部となる回動軸30c〜32c(連結部近傍)を回動中心として回動可能に設けられている。
各先端規制部30〜32の回動軸30c〜32cには、図示しない捩りコイルバネがそれぞれ嵌装されている。ユーザが該捩りコイルバネの付勢力に抗して各先端規制部30〜32を各々の回動軸30c〜32cを中心に図3(a)の矢印C方向に回動して各排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にそれぞれ積載されているシートSを受け取る。
その後、該捩りコイルバネの付勢力により各先端規制部30〜32は各々の回動軸30c〜32cを中心に図3(a)の矢印C方向とは反対方向に回動して各排出延長トレイ10〜12に対して略垂直に起立したホームポジションに戻る。
使用するシートSのサイズに合わせてユーザが排出延長トレイ10〜12を図3(c)の矢印B方向に引き出す。これにより排出ローラ201〜203によりそれぞれ挟持搬送されて各排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にシートSが排出される。排出されたシートSの先端部Seの位置を排出延長トレイ10〜12に対して略垂直に起立した各先端規制部30〜32により付き当てることで規制する。これにより排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12の外へシートSが落下するのを防止することができる。
各先端規制部30〜32は、ユーザが図示しない捩りコイルバネの付勢力に抗して各々の回動軸30c,31cを中心にシート排出装置200の外側となる図3(a)の矢印C方向に押し倒すことで回動可能である。これによりユーザが排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上に排出積載されたシートSを受け取る際に各先端規制部30〜32をシート排出装置200の外側に退避させることでシートSを受け取り易い。
ユーザが各排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にそれぞれ積載されているシートSを受け取る。その後、該捩りコイルバネの付勢力により各先端規制部30〜32は各々の回動軸30c〜32cを中心に図3(a)の矢印C方向とは反対方向に回動して各排出延長トレイ10〜12に対して略垂直に起立したホームポジションに戻る。
<本実施形態の技術的特徴>
図2(a)に示すように、各排出トレイ20〜22のシート排出方向下流側端部には、コ字形状の切り欠き部20b〜22bが設けられている。各排出延長トレイ10〜12上で、該排出延長トレイ10〜12にそれぞれ回動可能に設けられる各先端規制部30〜32の各回動軸30c〜32cの近傍には、三つの略三角形状のリブ10a〜12aが突出して設けられている。リブ10a〜12aは各回動軸30c〜32cの方向に沿って並設される。
シート案内部となるリブ10a〜12aの各傾斜面10e〜12eは、各排出延長トレイ10〜12のシート排出方向を基準として傾斜が大きくなるリブ形状を有する。
図2(a)に示すように、各排出延長トレイ10〜12を各排出トレイ20〜22の下部に完全に収納した状態で、三つのリブ10aが各排出トレイ20〜22の切り欠き部20b〜22bから露出するようになっている。
図1〜図3に示すように、各排出延長トレイ10〜12のシート排出方向下流側には、シート案内部となる傾斜面10e〜12eを有する複数のリブ10a〜12aが設けられている。傾斜面10e〜12eは、該排出延長トレイ10〜12のシートガイド面10d〜12dに対してシート排出方向下流側に向かって上方に傾斜している。
図2(b)に示すように、各排出トレイ20〜22のシートガイド面20a〜22a、或いは、各排出延長トレイ10〜12のシートガイド面10d〜12dと、各リブ10a〜12aの傾斜面10e〜12eとは、以下の通りである。鈍角(90度よりも大きな角度)の角度θ1を有して連続的に接続されている。
図1に示す各排出ローラ201〜203によりそれぞれ挟持搬送されて各排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にシートSが排出される。排出されたシートSの先端部Seは、各排出トレイ20〜22のシートガイド面20a〜22a、或いは、各排出延長トレイ10〜12のシートガイド面10d〜12dから各リブ10a〜12aの傾斜面10e〜12eに円滑にガイドされる。
図3(a)に示すように、排出延長トレイ10の引き出し位置よりもシート排出方向に長いシートSlが排出ローラ201により挟持搬送されて排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に排出される。その場合、該シートSlの先端部Seが該排出延長トレイ10に対して略垂直に起立した先端規制部30に接触する前にリブ10aの傾斜面10eに沿って図3(a)の上方向に持ち上がるように排出される。
図3(a)に示す排出延長トレイ10の引き出し位置は、所定のサイズとしてA4サイズ(210mm×297mm)のシートStの長手方向の長さとなる297mmに対応する位置に設定されている。
そして、所定のサイズとなるA4サイズよりも長いシートSlが排出される際に、シート案内部となる傾斜面10eにより該シートSlの先端部Seが先端規制部30の回動中心となる回動軸30cから離れる方向にガイドする。
図3(b)の矢印A方向で示すシート排出方向において、排出延長トレイ10のシートガイド面10dと、リブ10aの傾斜面10eとの角度変化(シート案内部が形成される角度変化)の基点10fは以下の通り設定される。図3(b)に示すA4サイズのシートStが排出トレイ20上に排出積載される際の該シートStの先端部Seよりもシート排出方向下流側(図3(b)の右側)に位置するように設定されている。
図3(a)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずに該排出延長トレイ10上にLGL(Legal;リーガル)サイズ(215.9mm×355.6mm)等の長尺のシートSlを排出する。すると、シートSlが図3(a)の矢印A方向で示すシート排出方向に排出される。その際に、該シートSlの先端部Seが該排出延長トレイ10に対して略垂直に起立した先端規制部30に接触する前にリブ10aの傾斜面10eに沿って図3(a)の上方向に持ち上がるように排出される。
その後、シートSlの先端部Seは、先端規制部30の回動軸30cの近傍の根元部に衝突して引っ掛かることがない。そして、該回動軸30cよりもリブ10aの高さに対応する上部位置で、排出延長トレイ10に対して略垂直に起立した先端規制部30の規制面30aに沿って鋭角(90度よりも小さな角度)の角度θ2で進入する。
排出ローラ201により挟持搬送されるシートSlの先端部Seが先端規制部30の規制面30aに摺動しつつ図3(a)の矢印A方向に排出される。その際に、該シートSlの腰の強さにより図示しない捩りコイルバネの付勢力に抗して該先端規制部30が回動軸30cを中心に図3(a)の矢印C方向に押し倒されて回動し、シート排出装置200の外側に退避する。
これにより排出ローラ201により挟持搬送されるシートSlは、先端部Seが先端規制部30の根元部に引っ掛かることがない。そして、該先端規制部30をシート排出装置200の外側に退避させる。これにより排出トレイ20上でのシートSlのジャムや丸まり、或いは、シートSlの損傷を回避することができる。
また、リブ10aの傾斜面10eは、排出延長トレイ10のシートガイド面10dに対して鈍角(90度よりも大きな角度)の角度θ1を有して連続的に接続されている。これにより排出トレイ20のシートガイド面20a、或いは、排出延長トレイ10のシートガイド面10dに沿って排出されるシートSlの先端部Seがリブ10aの傾斜面10eに接触する際の搬送抵抗を小さくすることが出来る。
尚、A4サイズ等の一般的な長さのシートSt、或いは、それよりも短い長さのシートSを排出する際には、図3(b)に示すように、シートStの先端部Seがリブ10aの傾斜面10eに到達することなく排出トレイ20上に積載される。これによりA4サイズ等の一般的な長さのシートSt、或いは、それよりも短い長さのシートSを排出トレイ20上に排出積載する際にリブ10aがシートStの積載性や整列性に影響を及ぼすことはない。
更に、図3(c)に示すように、所定のサイズとなるA4サイズ等の一般的な長さのシートStよりも長いLGLサイズ等の長尺のシートSlに対応して、ユーザが排出延長トレイ10を適正な位置に引き出して延長する。
その状態において、排出延長トレイ10のシートガイド面10dと、リブ10aの傾斜面10eとの角度変化(シート案内部が形成される角度変化)の基点10fは以下の通り設定される。排出延長トレイ10上に排出される所定のサイズとなるA4サイズ等の一般的な長さのシートStよりも長いLGLサイズ等の長尺のシートSlの先端部Seよりもシート排出方向の下流側に位置する。
これによりユーザが排出延長トレイ10を適正な位置に引き出してからLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出する際にも該シートSlの先端部Seがリブ10aの傾斜面10eに到達することなく排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に排出積載される。
このためLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に排出積載する際にリブ10aがシートSlの積載性や整列性に影響を及ぼすことはない。尚、図1に示すシート排出装置200の中段及び最上段の排出トレイ21,22、排出延長トレイ11,12及び先端規制部31,32についても同様に構成される。
本実施形態では、排出延長トレイ10〜12の設定位置や排出するシートSのサイズによらず該シートSのジャムや丸まり、或いは、シートSの損傷等の発生を低減することが出来る。
図3(a)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずに所定のサイズよりも長いシートSlを排出した場合がある。その場合であっても該シートSlの先端部Seが先端規制部30の根元部に引っ掛かることなくリブ10aの傾斜面10eに沿って図3(a)の上方へと持ち上げることができる。
また、図3(b)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずに所定のサイズ以下のシートStを排出した場合は、該シートStの先端部Seはリブ10aの傾斜面10eに到達しない。このため排出トレイ20上のシートStの積載性や整列性に影響を及ぼすことはない。
[第2実施形態]
次に、図4を用いて本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
前記第1実施形態では、図2(a)に示すように、各排出延長トレイ10〜12上に略三角形状のリブ10aを突出して設けた。本実施形態では、図4(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10〜12のシート排出方向下流側の端部中央に排出トレイ20〜22の切り欠き部20b〜22bの幅に対応する幅を有する斜面板10b〜12bを設けたものである。図4(a),(b)に示すように、各排出延長トレイ10〜12を各排出トレイ20〜22の下部に完全に収納した状態で各斜面板10b〜12bが各排出トレイ20〜22の切り欠き部20b〜22bから露出するようになっている。
本実施形態の各斜面板10b〜12bは、各排出延長トレイ10〜12の一部を切り欠いたものである。そして、図4(a),(b)の上方に各排出延長トレイ10〜12のシートガイド面10d〜12dに対してそれぞれ鈍角(90度よりも大きな角度)の角度θ1を有して折曲して連続的に接続されている。
本実施形態の各先端規制部30〜32のそれぞれの回動軸30c〜32cは、各排出延長トレイ10〜12の各斜面板10b〜12bを切り欠いた壁面部に支持されている。
本実施形態のシート案内部となる各斜面板10b〜12bの傾斜面10e〜12eは、各排出延長トレイ10〜12のシート排出方向を基準として傾斜が大きくなる方向に該排出延長トレイ10〜12の角度を変更した面形状で構成している。
これにより図3(a)に示した前記第1実施形態と同様に、所定のサイズよりも長いシートSlの先端部Seが先端規制部30に接触する前に各斜面板10b〜12bの傾斜面10e〜12eに沿って図4(a),(b)の上方向に持ち上がるように排出される。
本実施形態における所定のシートSの長さとは、A4サイズ(210mm×297mm)のシートStの長手方向の長さとなる297mmとする。また、図4(b)の矢印A方向で示すシート排出方向において、排出延長トレイ10のシートガイド面10dから傾斜面10eへの角度変化の基点10fは以下の通り設定される。所定のサイズであるA4サイズのシートStが排出トレイ20上に排出積載される際の該シートStの先端部Seよりもシート排出方向下流側(図4(b)の右側)に位置するように設定されている。
図4(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずにLGL(Legal;リーガル)サイズ(215.9mm×355.6mm)等の長尺のシートSlを排出する。すると、該シートSlが図4(b)の矢印A方向で示すシート排出方向に排出される際に、先端部Seが先端規制部30に到達する前に排出延長トレイ10の傾斜面10eに沿って摺動し、先端部Seが図4(b)の上方向に持ち上がるように搬送される。
その後のシートSl及び先端規制部30の挙動は、図3(a)に示した前記第1実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。尚、図1に示すシート排出装置200の中段及び最上段の排出トレイ21,22、排出延長トレイ11,12及び先端規制部31,32についても同様に構成される。
これにより、図4(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずにLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出した場合であっても排出トレイ20上でのシートSlのジャムや丸まり、或いは、シートSlの損傷を回避することができる。
尚、A4サイズ等の一般的な長さのシートStやそれ以下の長さのシートSを排出する際には、図3(b)に示した前記第1実施形態と同様にシートStの先端部Seが排出延長トレイ10の傾斜面10eに到達することなく排出トレイ20上に積載される。このため排出延長トレイ10の傾斜面10eが排出トレイ20上に積載されるシートStの積載性や整列性に影響することはない。
更に、ユーザが適正な位置に排出延長トレイ10を引き出してからLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出する。その際にも図3(c)に示した前記第1実施形態と同様にシートSlの先端部Seが排出延長トレイ10の傾斜面10eに到達することなく排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に積載される。
このため排出延長トレイ10の傾斜面10eが排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に積載されるシートSlの積載性や整列性に影響することはない。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
[第3実施形態]
次に、図5を用いて本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の第3実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
本実施形態では、図5(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10〜12のシート排出方向下流側の端部中央で排出トレイ20〜22の切り欠き部20b〜22bの内周面に対応する位置に一対の軸受部10c〜12cを設けたものである。一対の軸受部10c〜12cは、シート案内部となる湾曲面10g〜12gを有する。
本実施形態のシート案内部となる湾曲面10g〜12gは、各排出延長トレイ10〜12の各先端規制部30〜32との連結部となる各回動軸30c〜32cの軸受部10c〜12cに設けられた湾曲形状で構成される。
本実施形態の各先端規制部30〜32のそれぞれの回動軸30c〜32cは、各排出延長トレイ10〜12の一対の軸受部10c〜12cにより軸支されている。
図5(a),(b)に示すように、各排出延長トレイ10〜12を各排出トレイ20〜22の下部に完全に収納した状態で各軸受部10c〜12cの湾曲面10g〜12gが各排出トレイ20〜22の切り欠き部20b〜22bから露出するようになっている。
図5(a),(b)に示すように、本実施形態の各軸受部10c〜12cの湾曲面10g〜12gは、各排出延長トレイ10〜12のシートガイド面10d〜12dに対して所定の曲率を有して湾曲して連続的に接続されている。
図3(a)に示した前記第1実施形態と同様に、所定のサイズよりも長いシートSlの先端部Seが先端規制部30に接触する前に各軸受部10c〜12cの湾曲面10g〜12gに沿って図5(a),(b)の上方向に持ち上がるように排出される。
本実施形態における所定のシートSの長さとは、A4サイズ(210mm×297mm)のシートStの長手方向の長さとなる297mmとする。また、図5(b)の矢印A方向で示すシート排出方向において、排出延長トレイ10のシートガイド面10dから湾曲面10gが始まる角度変化の基点10fは以下の通り設定される。所定のサイズであるA4サイズのシートStが排出トレイ20上に排出積載される際の該シートStの先端部Seよりもシート排出方向下流側(図5(b)の右側)に位置するように設定されている。
図5(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずにLGL(Legal;リーガル)サイズ(215.9mm×355.6mm)等の長尺のシートSlを排出する。すると、該シートSlが図5(b)の矢印A方向で示すシート排出方向に排出される。その際に、先端部Seが先端規制部30に到達する前に排出延長トレイ10の軸受部10cの湾曲面10gに沿って摺動し、先端部Seが図5(b)の上方向に持ち上がるように搬送される。
その後のシートSl及び先端規制部30の挙動は、図3(a)に示した前記第1実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。尚、図1に示すシート排出装置200の中段及び最上段の排出トレイ21,22、排出延長トレイ11,12及び先端規制部31,32についても同様に構成される。
これにより、図5(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずにLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出した場合であっても排出トレイ20上でのシートSlのジャムや丸まり、或いは、シートSlの損傷を回避することができる。
また、シートSlの先端部Seが軸受部10cの湾曲面10gに最初に接する際には当接角度が緩やかなためシートSlの先端部Seが傷付き難い。
尚、A4サイズ等の一般的な長さのシートStやそれ以下の長さのシートSを排出する。その際は、図3(b)に示した前記第1実施形態と同様にシートStの先端部Seが排出延長トレイ10の軸受部10cの湾曲面10gに到達することなく排出トレイ20上に積載される。このため排出延長トレイ10の軸受部10cの湾曲面10gが排出トレイ20上に積載されるシートStの積載性や整列性に影響することはない。
更に、ユーザが適正な位置に排出延長トレイ10を引き出してからLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出する。その際にも図3(c)に示した前記第1実施形態と同様にシートSlの先端部Seが排出延長トレイ10の軸受部10cの湾曲面10gに到達することがなく排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に積載される。
このため排出延長トレイ10の軸受部10cの湾曲面10gが排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に積載されるシートSlの積載性や整列性に影響することはない。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
尚、前記各実施形態では、所定のシートSの長さの一例として、A4サイズ(210mm×297mm)のシートStの長手方向の長さとなる297mmとしている。他に、様々なシートSのサイズに設定しても良い。具体的には、排出延長トレイ10〜12の初期位置及び引き出す長さを適宜変更することで、各種のシートSのサイズに適用可能である。
排出延長トレイ10〜12のシート排出方向下流側にシート案内部となる傾斜面10e〜12eを有するリブ10a〜12aや斜面板10b〜12b、或いは、湾曲面10g〜12gを有する軸受部10c〜12cを設ける。そして、所定のサイズよりも長いシートSlの先端部SeがシートSlの先端規制部30〜32の回動中心位置の近傍に接触せず、上方向へ持ち上がるように構成する。
これによりシートSlの排出とともにシートSlの先端規制部30〜32をシート排出装置200の外側へと回動することができる。また、ユーザの排出延長トレイ10〜12の誤操作に起因するシートSlのジャムや丸まり、シートSlの損傷の発生を低減することができる。
S …シート
Se …シート先端部
Sl …LGLサイズ等の長尺のシート
10〜12 …排出延長トレイ
10a〜12a …リブ
10e〜12e …傾斜面(シート案内部)
20〜22 …排出トレイ
30〜32 …先端規制部
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に設けられるシート排出装置に関する。
プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置には、画像形成後のシートをユーザが受け取れるように排出して積載するシート排出装置として、備え付けの排出トレイの他に複数の排出トレイから成るシート排出装置を備えるものがある。
このようなシート排出装置においては、ユーザは自らの操作によってシートが排出される排出トレイを選択的に切換可能であるものが多い。ユーザの操作とは、パーソナルコンピュータ(PC)からの出力信号や操作パネルでのボタン操作、ID(Identification)認証等である。
これにより、ユーザに応じて、もしくはシートの種類等に応じて排出トレイを選択することで、ユーザは他人のジョブと混載されずに自分のジョブを容易に受け取ることが可能となる。特許文献1では、シートの種類(シートの剛度)によらず良好な積載性を保つためにシートの種類に応じて排出延長トレイの設置角度を変更する構成が開示されている。このような構成を適用することで、シートのサイズや硬さによらず安定した排出積載を行うことが可能となる。
本発明の目的は、積載性や整列性が更に改善されたシート排出装置及び画像形成装置を提供するものである。
前記目的を達成するための本発明に係るシート排出装置の代表的な構成は、シートに画像を形成する画像形成装置に装着可能に構成されたシート排出装置であって、第1積載面を有する第1トレイと、前記第1トレイの上方に設けられ、第2積載面を有する第2トレイと、前記画像が形成されたシートを第1方向に搬送して前記第1トレイの前記第1積載面に排出するように構成された第1排出ローラと、前記画像が形成されたシートを前記第1方向に搬送して前記第2トレイの前記第2積載面に排出するように構成された第2排出ローラと、を備え、前記第1積載面及び前記第2積載面は各々、前記第1方向において上方に傾斜しており、前記第1トレイは、前記第1積載面の前記第1方向の下流側に、前記第1積載面よりも突出した第1突出部を有し、前記第1突出部は、前記第1積載面に対する角度が鈍角になるように前記第1方向において上方に傾斜し且つ鉛直方向に対して傾斜した第1傾斜面を有し、前記第1突出部は、前記第1排出ローラによってシートの長手方向が前記第1方向になる向きでA4サイズの第1シートを前記第1積載面に排出した場合に前記第1方向において前記第1積載面に積載された前記第1シートの先端よりも下流側にあり、前記第1排出ローラによって前記第1シートよりも前記第1方向の長さが長い第2シートを前記第1積載面に排出した場合に前記第1方向において前記第1積載面に積載された前記第2シートの先端よりも上流側にあり、前記第2トレイは、前記第2積載面の前記第1方向の下流側に、前記第2積載面よりも突出した第2突出部を有し、前記第2突出部は、前記第2積載面に対する角度が鈍角になるように前記第1方向において上方に傾斜し且つ鉛直方向に対して傾斜した第2傾斜面を有し、前記第2突出部は、前記第2排出ローラによってシートの長手方向が前記第1方向になる向きで前記第1シートを前記第2積載面に排出した場合に前記第1方向において前記第2積載面に積載された前記第1シートの先端よりも下流側にあり、前記第2排出ローラによって前記第2シートを前記第2積載面に排出した場合に前記第1方向において前記第2積載面に積載された前記第2シートの先端よりも上流側にあり、前記第1突出部と前記第2トレイの下面との間には、前記第1排出ローラによって前記第1突出部の前記第1傾斜面に沿って搬送された前記第2シートの先端が通過できる隙間が設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、積載性や整列性が更に改善されたシート排出装置及び画像形成装置を提供できる。
本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の第1実施形態の構成を示す断面説明図である。
(a)は第1実施形態のシート排出装置の構成を示す斜視説明図である。(b)は第1実施形態のシート排出装置の構成を示す断面説明図である。
(a)は第1実施形態のシート排出装置において、排出延長トレイを引き出していない状態で長尺のシートを排出した様子を示す断面説明図である。(b)は第1実施形態のシート排出装置において、排出延長トレイを引き出していない状態でA4サイズのシートを排出した様子を示す断面説明図である。(c)は第1実施形態のシート排出装置において、排出延長トレイを引き出した状態で長尺のシートを排出した様子を示す断面説明図である。
(a)は第2実施形態のシート排出装置の構成を示す斜視説明図である。(b)は第2実施形態のシート排出装置の構成を示す断面説明図である。
(a)は第3実施形態のシート排出装置の構成を示す斜視説明図である。(b)は第3実施形態のシート排出装置の構成を示す断面説明図である。
図により本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
[第1実施形態]
先ず、図1〜図3を用いて本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
<画像形成装置>
先ず、図1を用いて本実施形態のシート排出装置200を備えた画像形成装置100における画像形成動作及びシート搬送動作について説明する。図1は本実施形態のシート排出装置200を備えた画像形成装置100の構成を示す断面説明図である。図1において、101は像担持体となる感光ドラムである。感光ドラム101は、黒色の現像剤(トナー)を備えた画像形成手段となるプロセスカートリッジ102に対して回転可能に長手方向の両端部が支持されている。
感光ドラム101は、図示しない駆動モータ及び駆動伝達手段により長手方向の一端部側から回転駆動力が伝達されて図1の時計回り方向に回転駆動される。感光ドラム101の表面には有機光導電体層が塗布されている。帯電手段となる帯電ローラ103に帯電バイアス電圧を印加することにより感光ドラム101の表面が一様に帯電される。
帯電ローラ103により一様に帯電された感光ドラム101の表面には、像露光手段となるレーザスキャナユニット104から画像情報に応じたレーザ光105が照射されて静電潜像が形成される。感光ドラム101の表面に形成された静電潜像に対して現像手段となる現像ローラ106により現像剤が供給されてトナー像として現像される。
第一給送部110は、給送ローラ111、分離パッド112、給送トレイ113、シート幅規制板114等を有して構成される。給送トレイ113上にはシートSが積載されている。シートSは、図示しない駆動モータ及び駆動伝達手段により所定のタイミングで駆動される給送ローラ111により給送される。
それと同時に分離パッド112の摩擦力により捌かれて一枚のシートSのみがレジストローラ132に給送される。その後、シートSは、レジストローラ132によって感光ドラム101と、転写手段となる転写ローラ133とが当接する転写ニップ部N1に搬送される。転写ニップ部N1では、所定の転写バイアス電圧が印加された転写ローラ133により感光ドラム101の表面上に形成されたトナー像(画像)がシートSに転写される。
トナー像が転写されたシートSは、定着手段となる定着ローラ134aと加圧ローラ134bとが当接する定着ニップ部N2に搬送される。定着ニップ部N2では、加熱及び加圧によりトナー像がシートS上に溶融固着されることにより定着される。
定着ローラ134aと加圧ローラ134bとにより挟持搬送されたシートSは、排出ローラ135により挟持搬送される。その後、切換手段となるフラッパ141により排出ローラ136へと搬送され、該排出ローラ136により挟持搬送されて排出トレイ150上に排出積載される。
図1に示す画像形成装置100の下部には第二給送部120が設けられている。第二給送部120は、給送ローラ121、分離パッド122及び給送カセット123等を有して構成される。給送カセット123には、昇降可能な図示しない載置台上にシートSが積載されている。
シートSは図示しない駆動モータ及び駆動伝達手段により所定のタイミングで駆動される給送ローラ121により給送される。同時に分離パッド122の摩擦力により捌かれて一枚のシートSのみが搬送ローラ131に給送される。その後、シートSは搬送ローラ131により挟持搬送されてレジストローラ132に搬送される。
その後、シートSは、レジストローラ132によって感光ドラム101と転写ローラ133とが当接する転写ニップ部N1に搬送される。その後、シートSは、第一給送部110から給送されたシートSと同様に搬送されて排出トレイ150上に排出積載される。
シートSの両面に印刷する場合には、排出ローラ136により挟持搬送されるシートSの後端部がフラッパ141を通過したタイミングで該排出ローラ136を逆回転させて該シートSを反転パス1に搬送する。そして、搬送ローラ137〜139により挟持搬送されて再度、レジストローラ132に搬送される。その後の動作は、前述した片面印刷の動作と同様である。
<シート排出装置>
次に図1〜図3を用いて画像形成装置100の上部に設けられたシート排出装置200におけるシート排出動作について説明する。図1に示すシート排出装置200へシートSを搬送する際には、前述したように感光ドラム101の表面に形成されたトナー像が転写ニップ部N1においてシートSに転写される。その後、定着ニップ部N2においてトナー像がシートSに定着された後、切換手段となるフラッパ141により搬送ローラ140へと搬送される。
搬送ローラ140により挟持搬送されるシートSは、切換手段となるフラッパ204,205により適宜、搬送パスを切り換えられる。その後、シート排出手段であって排出回転体となる排出ローラ201〜203の何れかにより挟持搬送されて排出されるシートSを積載する排出トレイ20〜22の何れかに選択的に排出積載される。
各排出トレイ20〜22には、図示しないスライド手段により各排出トレイ20〜22に対してシート排出方向に伸縮可能な各排出延長トレイ10〜12が図3(c)の矢印B方向に引き出し可能に支持されている。使用するシートSのサイズに応じてユーザが各排出延長トレイ10〜12を図3(c)の矢印B方向に引き出すことができる。
各排出延長トレイ10〜12の先端部(シート排出方向の下流側)には、各々の回動軸30c〜32cを中心に図3(a)の矢印C方向に回動可能な先端規制部30〜32がそれぞれ連結されている。各先端規制部30〜32は、各排出延長トレイ10〜12との連結部となる回動軸30c〜32c(連結部近傍)を回動中心として回動可能に設けられている。
各先端規制部30〜32の回動軸30c〜32cには、図示しない捩りコイルバネがそれぞれ嵌装されている。ユーザが該捩りコイルバネの付勢力に抗して各先端規制部30〜32を各々の回動軸30c〜32cを中心に図3(a)の矢印C方向に回動して各排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にそれぞれ積載されているシートSを受け取る。
その後、該捩りコイルバネの付勢力により各先端規制部30〜32は各々の回動軸30c〜32cを中心に図3(a)の矢印C方向とは反対方向に回動して各排出延長トレイ10〜12に対して略垂直に起立したホームポジションに戻る。
使用するシートSのサイズに合わせてユーザが排出延長トレイ10〜12を図3(c)の矢印B方向に引き出す。これにより排出ローラ201〜203によりそれぞれ挟持搬送されて各排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にシートSが排出される。排出されたシートSの先端部Seの位置を排出延長トレイ10〜12に対して略垂直に起立した各先端規制部30〜32により付き当てることで規制する。これにより排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12の外へシートSが落下するのを防止することができる。
各先端規制部30〜32は、ユーザが図示しない捩りコイルバネの付勢力に抗して各々の回動軸30c,31cを中心にシート排出装置200の外側となる図3(a)の矢印C方向に押し倒すことで回動可能である。これによりユーザが排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上に排出積載されたシートSを受け取る際に各先端規制部30〜32をシート排出装置200の外側に退避させることでシートSを受け取り易い。
ユーザが各排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にそれぞれ積載されているシートSを受け取る。その後、該捩りコイルバネの付勢力により各先端規制部30〜32は各々の回動軸30c〜32cを中心に図3(a)の矢印C方向とは反対方向に回動して各排出延長トレイ10〜12に対して略垂直に起立したホームポジションに戻る。
<本実施形態の技術的特徴>
図2(a)に示すように、各排出トレイ20〜22のシート排出方向下流側端部には、コ字形状の切り欠き部20b〜22bが設けられている。各排出延長トレイ10〜12上で、該排出延長トレイ10〜12にそれぞれ回動可能に設けられる各先端規制部30〜32の各回動軸30c〜32cの近傍には、三つの略三角形状のリブ10a〜12aが突出して設けられている。リブ10a〜12aは各回動軸30c〜32cの方向に沿って並設される。
シート案内部となるリブ10a〜12aの各傾斜面10e〜12eは、各排出延長トレイ10〜12のシート排出方向を基準として傾斜が大きくなるリブ形状を有する。
図2(a)に示すように、各排出延長トレイ10〜12を各排出トレイ20〜22の下部に完全に収納した状態で、三つのリブ10aが各排出トレイ20〜22の切り欠き部20b〜22bから露出するようになっている。
図1〜図3に示すように、各排出延長トレイ10〜12のシート排出方向下流側には、シート案内部となる傾斜面10e〜12eを有する複数のリブ10a〜12aが設けられている。傾斜面10e〜12eは、該排出延長トレイ10〜12のシートガイド面10d〜12dに対してシート排出方向下流側に向かって上方に傾斜している。
図2(b)に示すように、各排出トレイ20〜22のシートガイド面20a〜22a、或いは、各排出延長トレイ10〜12のシートガイド面10d〜12dと、各リブ10a〜12aの傾斜面10e〜12eとは、以下の通りである。鈍角(90度よりも大きな角度)の角度θ1を有して連続的に接続されている。
図1に示す各排出ローラ201〜203によりそれぞれ挟持搬送されて各排出トレイ20〜22及び排出延長トレイ10〜12上にシートSが排出される。排出されたシートSの先端部Seは、各排出トレイ20〜22のシートガイド面20a〜22a、或いは、各排出延長トレイ10〜12のシートガイド面10d〜12dから各リブ10a〜12aの傾斜面10e〜12eに円滑にガイドされる。
図3(a)に示すように、排出延長トレイ10の引き出し位置よりもシート排出方向に長いシートSlが排出ローラ201により挟持搬送されて排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に排出される。その場合、該シートSlの先端部Seが該排出延長トレイ10に対して略垂直に起立した先端規制部30に接触する前にリブ10aの傾斜面10eに沿って図3(a)の上方向に持ち上がるように排出される。
図3(a)に示す排出延長トレイ10の引き出し位置は、所定のサイズとしてA4サイズ(210mm×297mm)のシートStの長手方向の長さとなる297mmに対応する位置に設定されている。
そして、所定のサイズとなるA4サイズよりも長いシートSlが排出される際に、シート案内部となる傾斜面10eにより該シートSlの先端部Seが先端規制部30の回動中心となる回動軸30cから離れる方向にガイドする。
図3(b)の矢印A方向で示すシート排出方向において、排出延長トレイ10のシートガイド面10dと、リブ10aの傾斜面10eとの角度変化(シート案内部が形成される角度変化)の基点10fは以下の通り設定される。図3(b)に示すA4サイズのシートStが排出トレイ20上に排出積載される際の該シートStの先端部Seよりもシート排出方向下流側(図3(b)の右側)に位置するように設定されている。
図3(a)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずに該排出延長トレイ10上にLGL(Legal;リーガル)サイズ(215.9mm×355.6mm)等の長尺のシートSlを排出する。すると、シートSlが図3(a)の矢印A方向で示すシート排出方向に排出される。その際に、該シートSlの先端部Seが該排出延長トレイ10に対して略垂直に起立した先端規制部30に接触する前にリブ10aの傾斜面10eに沿って図3(a)の上方向に持ち上がるように排出される。
その後、シートSlの先端部Seは、先端規制部30の回動軸30cの近傍の根元部に衝突して引っ掛かることがない。そして、該回動軸30cよりもリブ10aの高さに対応する上部位置で、排出延長トレイ10に対して略垂直に起立した先端規制部30の規制面30aに沿って鋭角(90度よりも小さな角度)の角度θ2で進入する。
排出ローラ201により挟持搬送されるシートSlの先端部Seが先端規制部30の規制面30aに摺動しつつ図3(a)の矢印A方向に排出される。その際に、該シートSlの腰の強さにより図示しない捩りコイルバネの付勢力に抗して該先端規制部30が回動軸30cを中心に図3(a)の矢印C方向に押し倒されて回動し、シート排出装置200の外側に退避する。
これにより排出ローラ201により挟持搬送されるシートSlは、先端部Seが先端規制部30の根元部に引っ掛かることがない。そして、該先端規制部30をシート排出装置200の外側に退避させる。これにより排出トレイ20上でのシートSlのジャムや丸まり、或いは、シートSlの損傷を回避することができる。
また、リブ10aの傾斜面10eは、排出延長トレイ10のシートガイド面10dに対して鈍角(90度よりも大きな角度)の角度θ1を有して連続的に接続されている。これにより排出トレイ20のシートガイド面20a、或いは、排出延長トレイ10のシートガイド面10dに沿って排出されるシートSlの先端部Seがリブ10aの傾斜面10eに接触する際の搬送抵抗を小さくすることが出来る。
尚、A4サイズ等の一般的な長さのシートSt、或いは、それよりも短い長さのシートSを排出する際には、図3(b)に示すように、シートStの先端部Seがリブ10aの傾斜面10eに到達することなく排出トレイ20上に積載される。これによりA4サイズ等の一般的な長さのシートSt、或いは、それよりも短い長さのシートSを排出トレイ20上に排出積載する際にリブ10aがシートStの積載性や整列性に影響を及ぼすことはない。
更に、図3(c)に示すように、所定のサイズとなるA4サイズ等の一般的な長さのシートStよりも長いLGLサイズ等の長尺のシートSlに対応して、ユーザが排出延長トレイ10を適正な位置に引き出して延長する。
その状態において、排出延長トレイ10のシートガイド面10dと、リブ10aの傾斜面10eとの角度変化(シート案内部が形成される角度変化)の基点10fは以下の通り設定される。排出延長トレイ10上に排出される所定のサイズとなるA4サイズ等の一般的な長さのシートStよりも長いLGLサイズ等の長尺のシートSlの先端部Seよりもシート排出方向の下流側に位置する。
これによりユーザが排出延長トレイ10を適正な位置に引き出してからLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出する際にも該シートSlの先端部Seがリブ10aの傾斜面10eに到達することなく排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に排出積載される。
このためLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に排出積載する際にリブ10aがシートSlの積載性や整列性に影響を及ぼすことはない。尚、図1に示すシート排出装置200の中段及び最上段の排出トレイ21,22、排出延長トレイ11,12及び先端規制部31,32についても同様に構成される。
本実施形態では、排出延長トレイ10〜12の設定位置や排出するシートSのサイズによらず該シートSのジャムや丸まり、或いは、シートSの損傷等の発生を低減することが出来る。
図3(a)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずに所定のサイズよりも長いシートSlを排出した場合がある。その場合であっても該シートSlの先端部Seが先端規制部30の根元部に引っ掛かることなくリブ10aの傾斜面10eに沿って図3(a)の上方へと持ち上げることができる。
また、図3(b)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずに所定のサイズ以下のシートStを排出した場合は、該シートStの先端部Seはリブ10aの傾斜面10eに到達しない。このため排出トレイ20上のシートStの積載性や整列性に影響を及ぼすことはない。
[第2実施形態]
次に、図4を用いて本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
前記第1実施形態では、図2(a)に示すように、各排出延長トレイ10〜12上に略三角形状のリブ10aを突出して設けた。本実施形態では、図4(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10〜12のシート排出方向下流側の端部中央に排出トレイ20〜22の切り欠き部20b〜22bの幅に対応する幅を有する斜面板10b〜12bを設けたものである。図4(a),(b)に示すように、各排出延長トレイ10〜12を各排出トレイ20〜22の下部に完全に収納した状態で各斜面板10b〜12bが各排出トレイ20〜22の切り欠き部20b〜22bから露出するようになっている。
本実施形態の各斜面板10b〜12bは、各排出延長トレイ10〜12の一部を切り欠いたものである。そして、図4(a),(b)の上方に各排出延長トレイ10〜12のシートガイド面10d〜12dに対してそれぞれ鈍角(90度よりも大きな角度)の角度θ1を有して折曲して連続的に接続されている。
本実施形態の各先端規制部30〜32のそれぞれの回動軸30c〜32cは、各排出延長トレイ10〜12の各斜面板10b〜12bを切り欠いた壁面部に支持されている。
本実施形態のシート案内部となる各斜面板10b〜12bの傾斜面10e〜12eは、各排出延長トレイ10〜12のシート排出方向を基準として傾斜が大きくなる方向に該排出延長トレイ10〜12の角度を変更した面形状で構成している。
これにより図3(a)に示した前記第1実施形態と同様に、所定のサイズよりも長いシートSlの先端部Seが先端規制部30に接触する前に各斜面板10b〜12bの傾斜面10e〜12eに沿って図4(a),(b)の上方向に持ち上がるように排出される。
本実施形態における所定のシートSの長さとは、A4サイズ(210mm×297mm)のシートStの長手方向の長さとなる297mmとする。また、図4(b)の矢印A方向で示すシート排出方向において、排出延長トレイ10のシートガイド面10dから傾斜面10eへの角度変化の基点10fは以下の通り設定される。所定のサイズであるA4サイズのシートStが排出トレイ20上に排出積載される際の該シートStの先端部Seよりもシート排出方向下流側(図4(b)の右側)に位置するように設定されている。
図4(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずにLGL(Legal;リーガル)サイズ(215.9mm×355.6mm)等の長尺のシートSlを排出する。すると、該シートSlが図4(b)の矢印A方向で示すシート排出方向に排出される際に、先端部Seが先端規制部30に到達する前に排出延長トレイ10の傾斜面10eに沿って摺動し、先端部Seが図4(b)の上方向に持ち上がるように搬送される。
その後のシートSl及び先端規制部30の挙動は、図3(a)に示した前記第1実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。尚、図1に示すシート排出装置200の中段及び最上段の排出トレイ21,22、排出延長トレイ11,12及び先端規制部31,32についても同様に構成される。
これにより、図4(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずにLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出した場合であっても排出トレイ20上でのシートSlのジャムや丸まり、或いは、シートSlの損傷を回避することができる。
尚、A4サイズ等の一般的な長さのシートStやそれ以下の長さのシートSを排出する際には、図3(b)に示した前記第1実施形態と同様にシートStの先端部Seが排出延長トレイ10の傾斜面10eに到達することなく排出トレイ20上に積載される。このため排出延長トレイ10の傾斜面10eが排出トレイ20上に積載されるシートStの積載性や整列性に影響することはない。
更に、ユーザが適正な位置に排出延長トレイ10を引き出してからLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出する。その際にも図3(c)に示した前記第1実施形態と同様にシートSlの先端部Seが排出延長トレイ10の傾斜面10eに到達することなく排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に積載される。
このため排出延長トレイ10の傾斜面10eが排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に積載されるシートSlの積載性や整列性に影響することはない。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
[第3実施形態]
次に、図5を用いて本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の第3実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
本実施形態では、図5(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10〜12のシート排出方向下流側の端部中央で排出トレイ20〜22の切り欠き部20b〜22bの内周面に対応する位置に一対の軸受部10c〜12cを設けたものである。一対の軸受部10c〜12cは、シート案内部となる湾曲面10g〜12gを有する。
本実施形態のシート案内部となる湾曲面10g〜12gは、各排出延長トレイ10〜12の各先端規制部30〜32との連結部となる各回動軸30c〜32cの軸受部10c〜12cに設けられた湾曲形状で構成される。
本実施形態の各先端規制部30〜32のそれぞれの回動軸30c〜32cは、各排出延長トレイ10〜12の一対の軸受部10c〜12cにより軸支されている。
図5(a),(b)に示すように、各排出延長トレイ10〜12を各排出トレイ20〜22の下部に完全に収納した状態で各軸受部10c〜12cの湾曲面10g〜12gが各排出トレイ20〜22の切り欠き部20b〜22bから露出するようになっている。
図5(a),(b)に示すように、本実施形態の各軸受部10c〜12cの湾曲面10g〜12gは、各排出延長トレイ10〜12のシートガイド面10d〜12dに対して所定の曲率を有して湾曲して連続的に接続されている。
図3(a)に示した前記第1実施形態と同様に、所定のサイズよりも長いシートSlの先端部Seが先端規制部30に接触する前に各軸受部10c〜12cの湾曲面10g〜12gに沿って図5(a),(b)の上方向に持ち上がるように排出される。
本実施形態における所定のシートSの長さとは、A4サイズ(210mm×297mm)のシートStの長手方向の長さとなる297mmとする。また、図5(b)の矢印A方向で示すシート排出方向において、排出延長トレイ10のシートガイド面10dから湾曲面10gが始まる角度変化の基点10fは以下の通り設定される。所定のサイズであるA4サイズのシートStが排出トレイ20上に排出積載される際の該シートStの先端部Seよりもシート排出方向下流側(図5(b)の右側)に位置するように設定されている。
図5(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずにLGL(Legal;リーガル)サイズ(215.9mm×355.6mm)等の長尺のシートSlを排出する。すると、該シートSlが図5(b)の矢印A方向で示すシート排出方向に排出される。その際に、先端部Seが先端規制部30に到達する前に排出延長トレイ10の軸受部10cの湾曲面10gに沿って摺動し、先端部Seが図5(b)の上方向に持ち上がるように搬送される。
その後のシートSl及び先端規制部30の挙動は、図3(a)に示した前記第1実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。尚、図1に示すシート排出装置200の中段及び最上段の排出トレイ21,22、排出延長トレイ11,12及び先端規制部31,32についても同様に構成される。
これにより、図5(a),(b)に示すように、排出延長トレイ10を引き出さずにLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出した場合であっても排出トレイ20上でのシートSlのジャムや丸まり、或いは、シートSlの損傷を回避することができる。
また、シートSlの先端部Seが軸受部10cの湾曲面10gに最初に接する際には当接角度が緩やかなためシートSlの先端部Seが傷付き難い。
尚、A4サイズ等の一般的な長さのシートStやそれ以下の長さのシートSを排出する。その際は、図3(b)に示した前記第1実施形態と同様にシートStの先端部Seが排出延長トレイ10の軸受部10cの湾曲面10gに到達することなく排出トレイ20上に積載される。このため排出延長トレイ10の軸受部10cの湾曲面10gが排出トレイ20上に積載されるシートStの積載性や整列性に影響することはない。
更に、ユーザが適正な位置に排出延長トレイ10を引き出してからLGLサイズ等の長尺のシートSlを排出する。その際にも図3(c)に示した前記第1実施形態と同様にシートSlの先端部Seが排出延長トレイ10の軸受部10cの湾曲面10gに到達することがなく排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に積載される。
このため排出延長トレイ10の軸受部10cの湾曲面10gが排出トレイ20及び排出延長トレイ10上に積載されるシートSlの積載性や整列性に影響することはない。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
尚、前記各実施形態では、所定のシートSの長さの一例として、A4サイズ(210mm×297mm)のシートStの長手方向の長さとなる297mmとしている。他に、様々なシートSのサイズに設定しても良い。具体的には、排出延長トレイ10〜12の初期位置及び引き出す長さを適宜変更することで、各種のシートSのサイズに適用可能である。
排出延長トレイ10〜12のシート排出方向下流側にシート案内部となる傾斜面10e〜12eを有するリブ10a〜12aや斜面板10b〜12b、或いは、湾曲面10g〜12gを有する軸受部10c〜12cを設ける。そして、所定のサイズよりも長いシートSlの先端部SeがシートSlの先端規制部30〜32の回動中心位置の近傍に接触せず、上方向へ持ち上がるように構成する。
これによりシートSlの排出とともにシートSlの先端規制部30〜32をシート排出装置200の外側へと回動することができる。また、ユーザの排出延長トレイ10〜12の誤操作に起因するシートSlのジャムや丸まり、シートSlの損傷の発生を低減することができる。
S …シート
Se …シート先端部
Sl …LGLサイズ等の長尺のシート
10〜12 …排出延長トレイ
10a〜12a …リブ
10e〜12e …傾斜面(シート案内部)
20〜22 …排出トレイ
30〜32 …先端規制部