JP3647217B2 - インクジェット記録用媒体及び記録体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用媒体、好ましくは記録用フィルムに関し、詳しくは顔料インクを用いてインクジェット法で記録するインクジェット記録用媒体に関し、さらに前記記録層に顔料インクを主としたインクでインクジェット法で記録がなされている記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式によるプリンターは、フルカラー化が容易なことや印字騒音が低いこと等から近年急速に普及しつつある。インクジェット方式は、ノズルから被記録材に向けてインク液滴を高速で射出するものであり、インク中に多量の溶媒を含んでいる。このため、インクジェットプリンター用の記録シートは速やかにインクを吸収し、しかも優れた発色性を有することが要求される。
【0003】
このプリンターは、高解像度、高鮮明が要求されることからインクの噴射量は大きくなる傾向にある。そこでその記録用媒体の記録層、即ち、インク受容層のコート量を多くしたり、粒子の量を多くする等して、インクの吸収量を多くしようとすると印字濃度が低くなったり、にじみが発生する原因となる。また、このような記録層には耐水性がないものが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の記録用媒体の問題点を解決したものであって、顔料インクを用いてインクジェット記録したときに多量のインクの吸収性が良好で、印字濃度が高く、にじみが少なく、かつ、耐水性の良好な記録層を有するインクジェット記録用媒体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット記録用媒体は、基材面上に、水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及び粒子(D)並びに水を含有するコート液をコートし、乾燥熱処理して、水溶性樹脂(A)を硬化剤(B)で硬化させてなる記録層を形成したインクジェット記録用媒体であって、
前記水溶性樹脂(A)がポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドン、前記硬化剤(B)が水溶性メラミン樹脂及び/又はメチロール基含有尿素樹脂であり、
前記コート液の水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及び粒子(D)の配合割合(重量比)が下記式(1)〜(3)の範囲であり、かつ、
前記記録層のコート量(固形分)が10g/m 2 以上18g/m 2 以下、かさ密度が0.43以上0.60以下である
ことを特徴とする。
A/B=95/5〜55/45 (1)
(A+B)/C=97/3〜60/40 (2)
(A+B+C)/D=1/1〜1/2.5 (3)
【0006】
上記の構成からなる本発明のインクジェット記録用媒体は、顔料インクを用いてインクジェット記録したときに多量のインクの吸収性が良好で、印字濃度が高く、にじみが少なく、かつ、耐水性が良好である。
【0007】
また、本発明の好適な実施態様としては、基材の記録層とは反対側の基材面上に粘着層を設けることができる。
【0008】
また、本発明の好適な実施態様としては、粘着層面上に離形層を設けることができる。
【0009】
また、本発明の好適な実施態様としては、基材が、少なくとも1軸に配向したプスティックフィルムであることができる。
【0010】
また、本発明の好適な実施態様としては、基材の見かけ比重が、0.50以上1.30以下であることができる。
【0011】
また、本発明の好適な実施態様としては、基材が、内部に微細な空洞を含有するポリエステルフィルムを含むことができる。
【0012】
また、本発明の記録体は、前記記録用媒体の記録層に顔料インクを主としたインクでインクジェット法で記録がなされたものであることを特徴とする。
【0013】
上記の構成からなる本発明の記録体は、顔料インクを主としたインクのインクジェット印刷により印字濃度が高く、にじみが少なく、かつ、耐水性が良好である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェット記録用媒体及び記録体の実施の形態を説明する。
【0015】
本発明において、基材は特に限定されるものではなく、例えば天然紙、合成紙、布、不織布、木材、金属、ガラス、人工皮革、天然皮革及びこれらの任意の2種類以上のものを貼り合わせたものが挙げられる。好ましくは、プラスティックフィルムであり、用いるフィルムを形成する樹脂としては特に限定されるものではなく例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリアクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂等があげられるが、特に好ましいのは以下に述べるポリエステルである。
【0016】
本発明において用いるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる方法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる等の方法によって製造することができる。かかるポリエステルの代表例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレート等が挙げられる。このポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであっても良い。いずれにしても本発明においては、エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位あるいはエチレン−2,6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であるポリエステルを用いるのが好ましい。
【0017】
本発明において用いる基材は、好ましくは以下に述べる微細空洞含有プラスティックフィルム、より好ましくは内部に微細な空洞を含有するポリエステルフィルム、即ち、微細空洞含有ポリエステル系フィルムである。
【0018】
本発明の微細空洞含有プラスティックフィルムは、単層フィルムであっても、2層以上の複合フィルムであってもかまわない。
【0019】
本発明において用いる微細空洞含有プラスティックフィルムは、熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアミド等の1種又は2種以上を主成分とする微細空洞含有プラスティックフィルムであって、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする微細空洞含有ポリエステルフィルムである。
【0020】
本発明において用いるのが好ましい微細空洞含有プラスティックフィルムは、その厚みが通常1〜1000μ程度、好ましくは10〜250μ程度である。また、実質的に微細空洞を含有しないプラスティックフィルムが微細空洞含有プラスティックフィルムの一方の面又は両方の面に積層されている場合の厚みはそれぞれ1〜100μ、好ましくは1〜50μ程度であり、その厚み比は、実質的に微細空洞を含有しないプラスティックフィルム/微細空洞含有プラスティックフィルム=1/1〜1/100、好ましくは1/2〜1/50程度である。本発明において用いる微細空洞含有プラスティックフィルムは、微細空洞含有率は20体積%以上、特に20〜80体積%、さらに20〜50体積%であるのが好ましい。
【0021】
本発明で用いるのに好ましい微細空洞含有プラスティックフィルムは、見かけ比重が0.50〜1.30、好ましくは0.90〜1.30、より好ましくは1.05〜1.27である。そして、見かけ比重が0.50未満では空洞含有率が大きすぎ、フィルムの強度が著しく損なわれたり、フィルム表面のワレやシワが生じやすくなることがある。逆に、見かけ比重が1.30を超えると、微細空洞含有率が小さくなりすぎ、クッション性や柔軟性等、微細空洞を含有することによって生じる特性が損なわれる。この比重を下げる方法は、特に限定されるものではないが、好ましくはポリエステル中に該ポリエステルに非相溶の樹脂及び/又は不活性粒子を含有し、少なくとも1軸に配向することにより内部に微細な空洞を含有することポリエステルフィルムを得ることができる。
【0022】
以下においては、本発明において用いるのに典型的な微細空洞含有ポリエステルフィルムの場合について、さらに具体的な特性とその製造法を記すが、本発明で用いる微細空洞含有プラスティックフィルムはかかるポリエステルフィルムに限定されないことはもちろんである。
【0023】
本発明において用いる微細空洞含有ポリエステルフィルムの製造には通常非相溶性の熱可塑性樹脂を併用するが、ポリエステルに非相溶性のもので、具体的には、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリル系樹脂等があげられる。
【0024】
本発明においては、ポリエステルと該ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を混合し、必要に応じて二酸化チタン、二酸化珪素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機粒子を含有させることができる。さらに、重合体混合物には着色剤、耐光剤、帯電防止剤等を添加することも可能である。こうして得た重合体混合物は、ロール延伸、テンター延伸、あるいはインフレーション延伸法等によって公知の条件により少なくとも1軸、好ましくは2軸に延伸・配向し、しかる後熱処理する。このとき、ポリエステルとポリエステルに分散した非相溶性の熱可塑性樹脂との界面で剥離が起こり重合体混合物に空洞が多数発生する。ポリエステルに混合する、ポリエステルに非相溶牲の熱可塑性樹脂の量は、目的とする微細空洞の量によって異なってくるが、ポリエステル100重量部に対して3〜50重量部が好ましく、特に10〜40重量部が好ましい。また、微細空洞含有プラスティックフィルムの少なくとも一方の面に、単層又は複数層の熱可塑性樹脂からなる実質的に微細空洞を含有しないプラスティックフィルムが積層されていてもよい。2以上の層を積層する方法は本発明においては、特に限定されるものではない。しかし生産性を考慮すると、表層と中心層の原料は別々の押出機から押出し、1つのダイスに導き未延伸シートを得た後、少なくとも1軸に配向させる、いわゆる共押出法による積層がもっとも好ましい。実質的に微細空洞を含有しないプラスティックフィルムは、前記の微細空洞含有プラスティックフィルムと同様、任意の熱可塑性樹脂によってよいが、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の1種又は2種以上を主成分とすることが好ましい。
【0025】
本発明のインクジェット記録用媒体は、前記の基材上に記録層が形成されている。記録層は、水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及び粒子(D)からなる層である。かかる記録層を形成するコート剤の基材への塗布量(固形分)は、10〜18g/m 2 、特に好ましくは10〜17g/m2である。塗布量が10g/m2未満では、インク吸収速度が遅く、にじみが大きくなる。18g/m2を越えると印字濃度が低くなる。
【0026】
本発明のインクジェット記録用媒体は、顔料インクを用いてインクジェット記録したときのインク量が10g/m2以上50g/m2以下の条件下でのインク乾燥時間が5分以下、好ましくは4分以下である。インク乾燥時間が5分を超えると印字直後に印字面に触れたときに印字物が汚れる。また、反射印字濃度が1.30以上、好ましくは1.40以上である。反射印字濃度が1.30未満では、印字物が鮮明に見えない。また、にじみは1mm以下、好ましくは0.5mm以下である。にじみが1mmを超えると印字物が鮮明に見えない。耐水濃度保持率は60%以上、好ましくは80%以上である。耐水濃度保持率が60%未満では、屋外看板として使用した場合に雨や露で画像が乱れていくので好ましくない。記録層の耐水保持率は80%以上であるのが好ましく、特に好ましくは90%以上でなくてはならない。耐水保持率が80%未満では、印字物をウエットラミネート、つまり印字した記録用媒体とラミネートフィルムを貼り付けるときにその間に水を介在させて、その水を掻き出しながら貼り付ける場合に、記録用媒体の記録層が破壊されやすくなり、看板等で使用する場合に問題が生ずるおそれがある。
【0027】
本発明のインクジェット記録用媒体は、記録層のかさ密度が0.43以上0.60以下である。かさ密度が0.43未満では、印字濃度を高くしようとするとにじみが大きくなり、にじみを小さくしようとすると印字濃度が下がり、印字物の鮮明度が不良となる。記録層のかさ密度が0.60以上では、インク量が10g/m2以上50g/m2以下でのインク乾燥時間が5分以上となり、印字直後に印字面に触れたときに印字物が汚れる。
【0028】
本発明のインクジェット記録用媒体は、透過印字濃度が1.85以上、未印字部の透過濃度が0.70以下であるのが好ましい。透過印字濃度が1.85未満又は未印字部の透過濃度が0.70を超えると裏から光を当てて鑑賞する電飾看板等の用途で印字物が見にくくなる傾向になる。
【0029】
本発明のインクジェット記録用媒体に設けた記録層、即ち、インク受容層は、水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及び粒子(D)からなる。
本発明の記録層を形成するのに好ましい水溶性樹脂(A)は、インクジェット記録用媒体として好ましいポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンを使用する。
【0030】
上記記録層を形成するのに好ましい硬化剤(B)は、水溶性樹脂(A)を硬化させる水溶性メラミン又はメチロール基含有尿素樹脂を使用する。
【0031】
上記記録層を形成するのに好ましいカチオン性物質(C)は公知のものが使用でき、例えばカチオン変性したポリビニルアルコール、カチオン変性ポリエステル、カチオン変性ポリアミド、ジアリルアミン重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体、カチオン変性界面活性剤等、カチオン変性したものならば限定せずに使用できる。
【0032】
上記記録層を形成するのに好ましい粒子(D)は有機、無機のものいずれも使用でき、例えば二酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化珪素、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ゼオライト、酸化亜鉛、ベンゾグアナミン粒子、架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子など特に限定されるものではない。また、これらは1種類でも、2種類以上併用しても構わない。使用する粒子の平均粒径は特に限定されるものではないが、好ましくは0.2〜20μm、より好ましくは2〜15μmである。
【0033】
本発明においては、記録層を形成するため、水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及び粒子(D)の配合量の割合が以下のようになることが好ましい。水溶性樹脂(A)と硬化剤(B)の割合は、A/B=95/5〜55/45、好ましくは=95/5〜60/40好ましくは=95/5〜70/30である。55/45未満では、インク量の多いプリンタでのインク吸収が遅くなり、また、にじみも多くなる。95/5を越えると、耐水性がなくなる。水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)及びカチオン性物質(C)の割合は(A+B)/C=97/3〜60/40、好ましくは=95/5〜60/40好ましくは88/12〜78/22である。60/40未満ではインク吸収性が不良になる。97/3を越えると、にじみが大きくなり画像が不鮮明になり、また耐水性も不良になる。水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及び粒子(D)の割合は(A+B+C)/D=1/1〜1/2.5、好ましくは1/1.2〜1/2である。1/1を越えるとインク吸収速度が遅くなりにじみも多くなる。1/2.5未満では印字濃度が低くなる。
【0034】
記録層は、一層からなるものでも、また2層以上の構成をとっても構わない。記録層を設ける方法は特に限定されるものではないが、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式、バーコート方式など通常用いられている方法が適用できる。
【0035】
本発明においては、上記の原料により好ましくは、以下のような乾燥条件を用いて、コートした層を乾燥することにより前記したような特性の記録用媒体が得ることができる。即ち、乾燥の開始直後は100〜120℃とし、その後10〜20℃づつあげて最高140〜160℃で乾燥することが好ましい。この条件を満たすことによりかさ密度が最適化され、各印字特性がバランスしやすい。また乾燥温度の代わりに、熱風の風速を最初低くし徐々に高くしていくといった方法も同様に使用できる。
【0036】
こうして得られた本発明のインクジェット記録用媒体は、顔料インクを用いたインクジェット記録用媒体としたものに最適である。顔料インクを用いたインクジェット記録によって得られた画像は、画像形成時のインク吸収が速く、画像の耐水性に優れ、にじみがなく、特に鮮明な画像が得られる。
【0037】
本発明においては、好ましくは、記録媒体の記録層の反対面に粘着層(D)を設けることである。粘着層(D)を形成するのに用いる粘着剤は特に限定されるものではなく、例えば、天然ゴム、合成ゴム、クロロプレンゴム、NBR、ブチルゴム、ウレタンゴム、酢酸ビニル及びその共重合体、アクリル酸及びその共重合体等の溶剤型接着剤、天然ゴムラテックス、クロロプレンラテックス、NBRラテックス、酢酸ビニル及びその共重合体、アクリル酸及びその共重合体等のエマルジョン型接着剤、ポリビニルアルコール、でんぷん、ニカワ等の水溶性接着剤、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、尿素及びメラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、アスファルト、樹脂ワックス混合剤等の熱溶融型接着剤、ポリエチレン、不飽和ポリエステルなど特に限定されるものではない。またこれらは単独で用いても、複数で用いることもできる。さらに硬化剤、充填剤等の第三成分を含むこともできる。またこれらは、アンカーコート層を設けた上に設けてもよいものである。
【0038】
本発明においては、好ましくは、前記粘着層上に離形層(F)を設けることである。離形層(F)は特に限定されるものではなく、公知のものを使用できる。
【0039】
本発明の典型的なインクジェット記録用媒体の断面図を図1に、印字され、粘着層、離形層を設けた記録体の断面図を図2に示す。
【0040】
【実施例】
次に本発明の実施例、参考例及び比較例を示す。
【0041】
まず、本発明において用いる測定・評価方法を以下に示す。
【0042】
1)見かけ比重
フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に正確に切り出し、その厚みを50点測定し平均厚みをtμmとし、その重さを0.1mgまで測定してwgとし、下式によって計算する。
【0043】
見かけ比重(−)=(w×10000)/(5×5×t)
【0044】
2)反射印字濃度、透過印字濃度
インクジェットプリンター(RJ−1300 武藤工業社製:顔料インク)にて黒ベタ(黒単色)を印字し、マクベス濃度計TR−927にて反射印字濃度及び透過印字濃度を測定する。フィルタは可視光透過(オルソクロマチック)とする。このときのインク量は約13g/m2であった。
【0045】
3)にじみ
2)のプリンタで青ベタ(シアン、マゼンタ混色)6と黄ベタ(イエロー単色)7を印字した。このとき2色の境界部から青が黄の方ににじんだ長さ8(単位:mm)を測定する。拡大図を図3に示す。
【0046】
4)インク乾燥時間
2)のプリンターで青ベタ(シアン、マゼンタ混色)を印字し、印字部を指で軽く押し指に付かなくなるまでの時間(単位:分)を測定する。この時のインク量は約26g/m2であった。
【0047】
5)耐水濃度保持率
2)のプリンターで黒ベタ(黒単色)を5cm×10cmに印字し、1時間放置する。その後、印字物の印字面の上にカナキン布(3号)でつつんだ500g/16cm2のおもりを置き、印字面に流水をかけながらおもりを印字面上を移動させる。このとき、移動距離は10cm、移動速度は2秒/1往復とし10往復行なう。この試験をする前後の黒ベタ印刷部の黒濃度をマクベス濃度計(TR−927)で反射濃度を測定する。
【0048】
耐水濃度保持率=(後の反射濃度/前の反射濃度)×100(%)
【0049】
6)記録層の耐水保持率
2)のプリンターで黒ベタ(黒単色)を5cm×10cmに印字し、1時間放置した。その後、印字物を20℃の水中に3時間浸漬し、さらにその後、印字物の印字面の上にカナキン布(3号)でつつんだ500g/16cm2のおもりを置き、印字面に流水をかけながらおもりを印字面上を移動させる。このとき、おもりは印字部の縦方向全体に移動させ、移動速度は2秒/1往復とし10往復行なった。この試験をする前後の黒ベタ部の面積を画像処理装置で読み取る。
【0050】
記録層の耐水保持率=[後の黒ベタ面積/前の黒ベタ面積]×100(%)
【0051】
7)未印字部の透過濃度
印字していない部分を2)の方法により透過濃度を測定する。
【0052】
8)印字物の鮮明性評価
A1の大きさに、文字や写真を含む画像を2)のプリンターで出力し、通常の壁に張って反射光で見たとき及び裏から蛍光灯を当てて透過光で見たときに、画像が鮮明に見えれば◎、やや不足だが実質的に問題なければ○、鮮明さに乏しかったり、見えにくいものは×とした。
【0053】
9)かさ密度
記録層を設けた状態で厚みT1 (μm)(ダイヤルゲージ 尾崎製作所社製)を10点、重量W1 (g)を10点測定する。その後、記録層を剥ぎ取り同様に厚みT2 (μm)と重量W2 (g)を測定する。厚み差(T(μm))及び重量差(W(g))から、記録層の密度ρ(g/cm3)を求めた。剥ぎ取り前後の厚みをT1 (μm),T2 (μm)、剥ぎ取り前後の重さをW1 (g),W2 (g)とし、T=T1−T2、W=W1−W2、ρ=W/0.01Tで計算した。
【0054】
10)画像の耐水性−1
2)のプリンタで印字し、1時間放置した後、その上にラミネートフィルム(サンカットマットN5 リンテック社製)を貼り付け、10cm×10cmに切る。それを水に24時間完全に浸漬し、その後、水から引き上げラミネートフィルムが印字物から剥がれておれば×、実質的に剥がれていなければ○、全く剥離がなければ◎とした。
【0055】
11)画像の耐水性−2
10)の試験をラミネートフィルムを貼らずに24時間おこない、画像の乱れが少なく実質的に問題がなければ○、実用上問題があるほど乱れた場合は×とした。
【0056】
(参考例1)
ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 クリスパーG1211 厚さ50μm、1200mm幅、4000m)のコロナ放電処理面側に、メラミン樹脂(住友化学工業社製 スミテックス M−3)10重量%及び触媒(住友化学工業社製スミテックスACX)1重量%を水89重量%に混合し、0.1g/m2(乾燥時)になるように塗布した。この塗布面の上にポリビニルアルコール(日本合成化学社製、GH−20)、メラミン樹脂(住友化学工業社製 スミテックスM−3)、カチオン性ポリアミド樹脂(住友化学工業社製 SR1005)、平均粒子径5μm及び12μmのシリカ粒子をそれぞれ最終固形分で10/1/2//10/10(重量比)となるように、10%水溶液に調整し、ワイヤーバーでコートし、140℃で4分間ギアオーブンで乾燥熱処理した。塗布量は12g/m2となるようにし、記録用フィルムを得た。
【0057】
(実施例1)
ポリエステルフィルム(東洋紡績社製 クリスパーG1211 厚さ50μm、1200mm幅、4000m)のコロナ放電処理面側に、メラミン樹脂(住友化学工業社製 スミテックスM−3)10重量%及び触媒(住友化学工業社製スミテックス ACX)1重量%を水89重量%に混合し、0.1g/m2(乾燥時)になるように塗布した。この塗布面の上にポリビニルアルコール(クラレ社製、RS117)、ジメチロールヒドロキシエチレン尿素樹脂(住友化学工業社製 SR5004)、カチオン性樹脂(日本化薬社製 カヤフィクスUR)、平均粒子径5μm及び12μmのシリカ粒子をそれぞれ最終固形分で10/3/1//10/10(重量比)となるように、10%水溶液に調整し、ワイヤーバーでコートし、100/120/140/120℃の順に、熱風速度15m/分で合計2分間乾燥熱処理した。塗布量は14g/m2となるようにし、記録用フィルムを得た。
【0058】
(実施例2)
実施例1において、ポリエステルフィルムの厚さを100μmとした以外は、全く同様の方法において、記録用フィルムを得た。
【0059】
(参考例2)
実施例1において、ポリエステルフィルムの代わりにポリプロピレンフィルム(東洋紡績社製 パールフィルムP6255 厚み120μm)を使用し、かつ乾燥温度を80/100/120/100℃とした以外は全く同様の方法において記録用フィルムを得た。
【0060】
(比較例1〜5)
実施例1において、記録層の組成比を表1の比較例1〜5のようにした以外は全く同様の方法において、記録用フィルムを得た。それを比較例1、2、3、4、5とした。
【0061】
実施例1〜2、参考例1〜2及び比較例1〜5の記録層成分の配合割合(重量)を表1に、式(1)〜(3)の値を表2に示した。また、それぞれ得られたフィルムの特性を表3、表4に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
(参考例3)
参考例1で得られたインクジェット記録用フィルムの記録層の反対面にアクリルエマルジョン接着剤(大日本インキ化学社製 ボンコートPS−378)を塗布し、接着剤層とし、その上に離型紙をつけたものを得た。
【0067】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用媒体によれば、顔料インクを用いてインクジェット記録したときに多量のインクの吸収性が良好で、印字濃度が高く、にじみが少なく、耐水性の良好な記録用媒体となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインクジェット記録用媒体の断面図を示す。
【図2】 本発明の記録体の断面図を示す。
【図3】 ベタ印刷のときのにじみの有無を示す図である。(a)はにじみのないとき、(b)はにじみのあるときを示す。
【符号の説明】
1 基材
2 記録層
3 印刷インキが浸み込んだ記録層
4 接着層
5 離型層
6 青ベタ(シアン+マゼンタ)
7 黄ベタ
8 にじみの大きさ(境界部とにじみ山のトップとの距離)
Claims (7)
- 基材面上に、水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及び粒子(D)並びに水を含有するコート液をコートし、乾燥熱処理して、水溶性樹脂(A)を硬化剤(B)で硬化させてなる記録層を形成したインクジェット記録用媒体であって、
前記水溶性樹脂(A)がポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドン、前記硬化剤(B)が水溶性メラミン樹脂及び/又はメチロール基含有尿素樹脂であり、
前記コート液の水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及び粒子(D)の配合割合(重量比)が下記式(1)〜(3)の範囲であり、かつ、
前記記録層のコート量(固形分)が10g/m 2 以上18g/m 2 以下、かさ密度が0.43以上0.60以下である
ことを特徴とするインクジェット記録用媒体。
A/B=95/5〜55/45 (1)
(A+B)/C=97/3〜60/40 (2)
(A+B+C)/D=1/1〜1/2.5 (3) - 請求項1記載の記録用媒体の記録層とは反対側の基材面上に粘着層を設けたことを特徴とするインクジェット記録用媒体。
- 粘着層面上に離形層を設けたことを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録用媒体。
- 基材が、少なくとも1軸に配向したプラスティックフィルムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインクジェット記録用媒体。
- 基材の見かけ比重が、0.50以上1.30以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のインクジェット記録用媒体。
- 基材が、内部に微細な空洞を含有するポリエステルフィルムを含むことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のインクジェット記録用媒体。
- 請求項1、2、3、4、5又は6記載の記録層に顔料インクを主としたインクでインクジェット法で記録がなされていることを特徴とする記録体。
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