JPH10109473A - 記録用媒体及び記録体 - Google Patents

記録用媒体及び記録体

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JPH10109473A
JPH10109473A JP9230266A JP23026697A JPH10109473A JP H10109473 A JPH10109473 A JP H10109473A JP 9230266 A JP9230266 A JP 9230266A JP 23026697 A JP23026697 A JP 23026697A JP H10109473 A JPH10109473 A JP H10109473A
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勝也 伊藤
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憲一 森
Toru Kotani
徹 小谷
Toshitake Suzuki
利武 鈴木
Yasushi Sasaki
靖 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多量のインクの吸収性が良好で、印字濃度が
高く、にじみが少なく、かつ、耐水性の良好な記録層を
有する記録用媒体を提供すること。 【解決手段】 基材面上に記録層を設けた記録用媒体に
おいて、インク量が10g/m2以上50g/m2以下の
条件下でのインク乾燥時間が5分以下、反射印字濃度が
1.30以上、にじみが1mm以下、耐水濃度保持率が
60%以上であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録用媒体、好ま
しくは記録用フィルム、より好ましくは記録用ポリエス
テルフィルム及び記録体に関する。更に詳しくは、感熱
転写記録用、熱転写記録用、昇華転写記録用、凹版印刷
記録用、孔版印刷記録用、凸版印刷記録用、平版印刷記
録用、磁気記録用静電記録用、好ましくはインクジェッ
ト記録用ポリエステルフィルム及び前記記録層に顔料イ
ンクを主としたインクで記録されている記録体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット方式によるプリンター
は、フルカラー化が容易なことや印字騒音が低いこと等
から近年急速に普及しつつある。インクジェット方式
は、ノズルから被記録材に向けてインク液滴を高速で射
出するものであり、インク中に多量の溶媒を含んでい
る。このため、インクジェットプリンター用の記録シー
トは速やかにインクを吸収し、しかも優れた発色性を有
することが要求される。
【0003】このプリンターは、高解像度、高鮮明が要
求されることからインクの噴射量は大きくなる傾向にあ
る。そこでその記録用媒体の記録層、即ち、インク受容
層のコート量を多くしたり、粒子の量を多くする等し
て、インクの吸収量を多くしようとすると印字濃度が低
くなったり、にじみが発生する原因となる。また、この
ような記録層には耐水性がないものが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
記録用媒体の問題点を解決したものであって、多量のイ
ンクの吸収性が良好で、印字濃度が高く、にじみが少な
く、かつ、耐水性の良好な記録層を有する記録用媒体を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の記録用媒体は、基材面上に記録層を設けた
記録用媒体において、インク量が10g/m2以上50
g/m2以下の条件下でのインク乾燥時間が5分以下、
反射印字濃度が1.30以上、にじみが1mm以下、耐
水濃度保持率が60%以上であることを特徴とする。
【0006】上記の構成からなる本発明の記録用媒体
は、多量のインクの吸収性が良好で、印字濃度が高く、
にじみが少なく、かつ、耐水性が良好である。
【0007】本発明の好適な実施態様としては、記録層
の耐水保持率が80%以上であることができる。
【0008】また、本発明の好適な実施態様としては、
記録層のかさ密度が0.40以上0.60以下であるこ
とができる。
【0009】また、本発明の好適な実施態様としては、
透過印字濃度が1.85以上、未印字部の透過濃度が
0.70以下であることができる。
【0010】また、本発明の記録用媒体は、基材面上に
記録層を設けた記録用媒体において、記録層のコート量
(固形分)が10g/m2以上18g/m2以下、かさ密度
が0.40以上0.60以下、耐水濃度保持率が60%
以上であることを特徴とする。
【0011】上記の構成からなる本発明の記録用媒体
は、多量のインクの吸収性が良好で、印字濃度が高く、
にじみが少なく、かつ、耐水性が良好である。
【0012】また、本発明の記録用媒体は、基材面上に
記録層を設けた記録用媒体において、透過印字濃度が
1.85以上、未印字部の透過濃度が0.70以下、に
じみが1mm以下であることを特徴とする
【0013】上記の構成からなる本発明の記録用媒体
は、多量のインクの吸収性が良好で、印字濃度が高く、
にじみが少なく、かつ、耐水性が良好である。
【0014】また、本発明の記録用媒体は、基材面上に
水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質
(C)及び粒子(D)からなる記録層を有する記録用媒
体において、成分(A)乃至(D)の組成割合(重量
比)が以下の範囲であることを特徴とする。
【0015】 A/B=95/5〜55/45 (1) (A+B)/C=97/3〜60/40 (2) (A+B+C)/D=1/1〜1/2.5 (3)
【0016】上記の構成からなる本発明の記録用媒体
は、多量のインクの吸収性が良好で、印字濃度が高く、
にじみが少なく、かつ、耐水性が良好である。
【0017】また、本発明の好適な実施態様としては、
上記記録層のコート量(固形分)が、10g/m2以上
18g/m2以下であることができる。
【0018】また、本発明の好適な実施態様としては、
基材の記録層とは反対側の基材面上に粘着層を設けるこ
とができる。
【0019】また、本発明の好適な実施態様としては、
粘着層面上に離形層を設けることができる。
【0020】また、本発明の好適な実施態様としては、
基材が、少なくとも1軸に配向したプスティックフィル
ムであることができる。
【0021】また、本発明の好適な実施態様としては、
基材の見かけ比重が、0.50以上1.30以下である
ことができる。
【0022】また、本発明の好適な実施態様としては、
基材が、内部に微細な空洞を含有するポリエステルフィ
ルムを含むことができる。
【0023】また、本発明の好適な実施態様としては、
水溶性樹脂(A)が、ポリビニルアルコール及び/又は
ポリビニルピロリドンであることができる。
【0024】また、本発明の好適な実施態様としては、
硬化剤(B)が、水溶性メラミン樹脂及び/又はメチロ
ール基含有尿素樹脂であることができる。
【0025】また、本発明のインクジェット記録用媒体
は、記録が、インクジェット記録により行われているこ
とを特徴とする。
【0026】上記の構成からなる本発明のインクジェッ
ト記録用媒体は、インクジェットの印刷により印字濃度
が高く、にじみが少なく、かつ、耐水性が良好である。
【0027】また、本発明の記録体は、前記記録用媒体
の記録層に顔料インクを主としたインクで記録がなされ
たものであることを特徴とする。
【0028】上記の構成からなる本発明の記録体は、顔
料インクを主としたインクの印刷により印字濃度が高
く、にじみが少なく、かつ、耐水性が良好である。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の記録用媒体の実施
の形態を説明する。
【0030】本発明において、基材は特に限定されるも
のではなく、例えば天然紙、合成紙、布、不織布、木
材、金属、ガラス、人工皮革、天然皮革及びこれらの任
意の2種類以上のものを貼り合わせたものが挙げられ
る。好ましくは、プラスティックフィルムであり、用い
るフィルムを形成する樹脂としては特に限定されるもの
ではなく例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリア
ミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリスチレン、ポ
リアクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂等があげられる
が、特に好ましいのは以下に述べるポリエステルであ
る。
【0031】本発明において用いるポリエステルとは、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸
のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコール
とを重縮合させて製造されるポリエステルである。これ
らのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールと
を直接反応させる方法のほか、芳香族ジカルボン酸のア
ルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させ
た後重縮合させるか、あるいは芳香族ジカルボン酸のジ
グリコールエステルを重縮合させる等の方法によって製
造することができる。かかるポリエステルの代表例とし
てはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンブチレ
ンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフ
タレート等が挙げられる。このポリエステルはホモポリ
マーであってもよく、第三成分を共重合したものであっ
ても良い。いずれにしても本発明においては、エチレン
テレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位ある
いはエチレン−2,6−ナフタレート単位が70モル%
以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90
モル%以上であるポリエステルを用いるのが好ましい。
【0032】本発明において用いる基材は、好ましくは
以下に述べる微細空洞含有プラスティックフィルム、よ
り好ましくは内部に微細な空洞を含有するポリエステル
フィルム、即ち、微細空洞含有ポリエステル系フィルム
である。
【0033】本発明の微細空洞含有プラスティックフィ
ルムは、単層フィルムであっても、2層以上の複合フィ
ルムであってもかまわない。
【0034】本発明において用いる微細空洞含有プラス
ティックフィルムは、熱可塑性樹脂、例えばポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリ
エステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアミド等
の1種又は2種以上を主成分とする微細空洞含有プラス
ティックフィルムであって、好ましくは、ポリエチレン
テレフタレートを主成分とする微細空洞含有ポリエステ
ルフィルムである。
【0035】本発明において用いるのが好ましい微細空
洞含有プラスティックフィルムは、その厚みが通常1〜
1000μ程度、好ましくは10〜250μ程度であ
る。また、実質的に微細空洞を含有しないプラスティッ
クフィルムが微細空洞含有プラスティックフィルムの一
方の面又は両方の面に積層されている場合の厚みはそれ
ぞれ1〜100μ、好ましくは1〜50μ程度であり、
その厚み比は、実質的に微細空洞を含有しないプラステ
ィックフィルム/微細空洞含有プラスティックフィルム
=1/1〜1/100、好ましくは1/2〜1/50程
度である。本発明において用いる微細空洞含有プラステ
ィックフィルムは、微細空洞含有率は20体積%以上、
特に20〜80体積%、さらに20〜50体積%である
のが好ましい。
【0036】本発明で用いるのに好ましい微細空洞含有
プラスティックフィルムは、見かけ比重が0.50〜
1.30、好ましくは0.90〜1.30、より好まし
くは1.05〜1.27である。そして、見かけ比重が
0.50未満では空洞含有率が大きすぎ、フィルムの強
度が著しく損なわれたり、フィルム表面のワレやシワが
生じやすくなることがある。逆に、見かけ比重が1.3
0を超えると、微細空洞含有率が小さくなりすぎ、クッ
ション性や柔軟性等、微細空洞を含有することによって
生じる特性が損なわれる。この比重を下げる方法は、特
に限定されるものではないが、好ましくはポリエステル
中に該ポリエステルに非相溶の樹脂及び/又は不活性粒
子を含有し、少なくとも1軸に配向することにより内部
に微細な空洞を含有することポリエステルフィルムを得
ることができる。
【0037】以下においては、本発明において用いるの
に典型的な微細空洞含有ポリエステルフィルムの場合に
ついて、さらに具体的な特性とその製造法を記すが、本
発明で用いる微細空洞含有プラスティックフィルムはか
かるポリエステルフィルムに限定されないことはもちろ
んである。
【0038】本発明において用いる微細空洞含有ポリエ
ステルフィルムの製造には通常非相溶性の熱可塑性樹脂
を併用するが、ポリエステルに非相溶性のもので、具体
的には、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリル
系樹脂等があげられる。
【0039】本発明においては、ポリエステルと該ポリ
エステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を混合し、必要に応
じて二酸化チタン、二酸化珪素、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム等の無機粒子を含有させることができる。さら
に、重合体混合物には着色剤、耐光剤、帯電防止剤等を
添加することも可能である。こうして得た重合体混合物
は、ロール延伸、テンター延伸、あるいはインフレーシ
ョン延伸法等によって公知の条件により少なくとも1
軸、好ましくは2軸に延伸・配向し、しかる後熱処理す
る。このとき、ポリエステルとポリエステルに分散した
非相溶性の熱可塑性樹脂との界面で剥離が起こり重合体
混合物に空洞が多数発生する。ポリエステルに混合す
る、ポリエステルに非相溶牲の熱可塑性樹脂の量は、目
的とする微細空洞の量によって異なってくるが、ポリエ
ステル100重量部に対して3〜50重量部が好まし
く、特に10〜40重量部が好ましい。また、微細空洞
含有プラスティックフィルムの少なくとも一方の面に、
単層又は複数層の熱可塑性樹脂からなる実質的に微細空
洞を含有しないプラスティックフィルムが積層されてい
てもよい。2以上の層を積層する方法は本発明において
は、特に限定されるものではない。しかし生産性を考慮
すると、表層と中心層の原料は別々の押出機から押出
し、1つのダイスに導き未延伸シートを得た後、少なく
とも1軸に配向させる、いわゆる共押出法による積層が
もっとも好ましい。実質的に微細空洞を含有しないプラ
スティックフィルムは、前記の微細空洞含有プラスティ
ックフィルムと同様、任意の熱可塑性樹脂によってよい
が、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート等の1種又は2種以上を主成分とすること
が好ましい。
【0040】本発明の記録用媒体は、前記の基材上に記
録層が形成されている。好ましい記録層としては、水溶
性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及
び粒子(D)からなる層である。かかる記録層を形成す
るコート剤の基材への塗布量(固形分)は、限定するも
のではないが、好ましくは10〜18g/m2、特に好
ましくは10〜17/m2である。塗布量が10g/m2
未満では、インク吸収速度が遅く、にじみが大きくな
る。18g/m2を越えると印字濃度が低くなる。
【0041】本発明の記録用媒体は、インク量が10g
/m2以上50g/m2以下の条件下でのインク乾燥時間
が5分以下、好ましくは4分以下である。インク乾燥時
間が5分を超えると印字直後に印字面に触れたときに印
字物が汚れる。また、反射印字濃度が1.30以上、好
ましくは1.40以上である。反射印字濃度が1.30
未満では、印字物が鮮明に見えない。また、にじみは1
mm以下、好ましくは0.5mm以下である。にじみが
1mmを超えると印字物が鮮明に見えない。耐水濃度保
持率は60%以上、好ましくは80%以上である。耐水
濃度保持率が60%未満では、屋外看板として使用した
場合に雨や露で画像が乱れていくので好ましくない。記
録層の耐水保持率は80%以上であるのが好ましく、特
に好ましくは90%以上でなくてはならない。耐水保持
率が80%未満では、印字物をウエットラミネート、つ
まり印字した記録用媒体とラミネートフィルムを貼り付
けるときにその間に水を介在させて、その水を掻き出し
ながら貼り付ける場合に、記録用媒体の記録層が破壊さ
れやすくなり、看板等で使用する場合に問題が生ずるお
それがある。
【0042】本発明の記録用媒体は、記録層のかさ密度
が0.40以上0.60以下であることが好ましい。か
さ密度が0.40未満では、印字濃度を高くしようとす
るとにじみが大きくなり、にじみを小さくしようとする
と印字濃度が下がり、印字物の鮮明度が不良となる。記
録層のかさ密度が0.60以上では、インク量が10g
/m2以上50g/m2以下でのインク乾燥時間が5分以
上となり、印字直後に印字面に触れたときに印字物が汚
れる。
【0043】本発明の記録用媒体は、透過印字濃度が
1.85以上、未印字部の透過濃度が0.70以下であ
るのが好ましい。透過印字濃度が1.85未満又は未印
字部の透過濃度が0.70を超えると裏から光を当てて
鑑賞する電飾看板等の用途で印字物が見にくくなる傾向
になる。
【0044】本発明の記録用媒体に設けた記録層、即
ち、インク受容層は、特に限定されないが、水溶性樹脂
(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及び粒子
(D)からなることが好ましい。本発明の記録層を形成
するのに好ましい水溶性樹脂(A)は公知のものを使用
でき、例えばポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、
ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニ
ルアルコール、アクリル樹脂、デンプン、ポリビニルブ
チラール、ゼラチン、カゼイン、アイオノマー、アラビ
アゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロ
リドン、ポリアクリルアミド、スチレン−ブタジエンゴ
ム等の樹脂のうち、1種又は2種以上が所望により使用
できる。インクジェット記録用媒体として用いる場合に
は、好ましくはポリビニルアルコール及び/又はポリビ
ニルピロリドンである。
【0045】本発明の記録層を形成するのに好ましい硬
化剤(B)は、水溶性樹脂(A)を硬化させるものであ
るならば公知のものを使用でき、例えばメラミン樹脂、
エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート基含有樹脂、グ
リオキザール、イソバン、ほう砂等であるが、好ましく
は水溶性メラミン又はメチロール基含有尿素樹脂であ
る。
【0046】本発明の記録層を形成するのに好ましいカ
チオン性物質(C)は公知のものが使用でき、例えばカ
チオン変性したポリビニルアルコール、カチオン変性ポ
リエステル、カチオン変性ポリアミド、ジアリルアミン
重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合
体、カチオン変性界面活性剤等、カチオン変性したもの
ならば限定せずに使用できる。
【0047】本発明の記録層を形成するのに好ましい粒
子(D)は有機、無機のものいずれも使用でき、例えば
二酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化珪素、硫酸バリ
ウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ゼオラ
イト、酸化亜鉛、ベンゾグアナミン粒子、架橋アクリル
粒子、架橋スチレン粒子など特に限定されるものではな
い。また、これらは1種類でも、2種類以上併用しても
構わない。使用する粒子の平均粒径は特に限定されるも
のではないが、好ましくは0.2〜20μm、より好ま
しくは2〜15μmである。
【0048】本発明においては、記録層を形成するた
め、水溶性樹脂(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質
(C)及び粒子(D)の配合量の割合が以下のようにな
ることが好ましい。水溶性樹脂(A)と硬化剤(B)の
割合は、A/B=95/5〜55/45、好ましくは=
95/5〜60/40好ましくは=95/5〜70/3
0である。55/45未満では、インク量の多いプリン
タでのインク吸収が遅くなり、また、にじみも多くな
る。95/5を越えると、耐水性がなくなる。水溶性樹
脂(A)、硬化剤(B)及びカチオン性物質(C)の割
合は(A+B)/C=97/3〜60/40、好ましく
は=95/5〜60/40好ましくは88/12〜78
/22である。60/40未満ではインク吸収性が不良
になる。97/3を越えると、にじみが大きくなり画像
が不鮮明になり、また耐水性も不良になる。水溶性樹脂
(A)、硬化剤(B)、カチオン性物質(C)及び粒子
(D)の割合は(A+B+C)/D=1/1〜1/2.
5、好ましくは1/1.2〜1/2である。1/1を越
えるとインク吸収速度が遅くなりにじみも多くなる。1
/2.5未満では印字濃度が低くなる。
【0049】記録層は、一層からなるものでも、また2
層以上の構成をとっても構わない。記録層を設ける方法
は特に限定されるものではないが、グラビアコート方
式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方
式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレ
ードコート方式、リバースロールコート方式、バーコー
ト方式など通常用いられている方法が適用できる。
【0050】本発明においては、上記の原料により好ま
しくは、以下のような乾燥条件を用いて、コートした層
を乾燥することにより前記したような特性の記録用媒体
が得ることができる。即ち、乾燥の開始直後は100〜
120℃とし、その後10〜20℃づつあげて最高14
0〜160℃で乾燥することが好ましい。この条件を満
たすことによりかさ密度が最適化され、各印字特性がバ
ランスしやすい。また乾燥温度の代わりに、熱風の風速
を最初低くし徐々に高くしていくといった方法も同様に
使用できる。
【0051】こうして得られた本発明の記録用媒体、好
ましくは記録用フィルム、より好ましくは記録用ポリエ
ステルフィルムは、感熱転写記録用、熱転写記録用、昇
華転写記録用、凹版印刷記録用、孔版印刷記録用、凸版
印刷記録用、平版印刷記録用、磁気記録用、静電記録
用、好ましくはインクジェット記録用媒体として使用で
きる。その中でも特に、顔料インクを用いたインクジェ
ット記録用媒体としたものに最適である。顔料インクを
用いたインクジェット記録によって得られた画像は、画
像形成時のインク吸収が速く、画像の耐水性に優れ、に
じみがなく、特に鮮明な画像が得られる。
【0052】本発明においては、好ましくは、記録媒体
の記録層の反対面に粘着層(D)を設けることである。
粘着層(D)を形成するのに用いる粘着剤は特に限定さ
れるものではなく、例えば、天然ゴム、合成ゴム、クロ
ロプレンゴム、NBR、ブチルゴム、ウレタンゴム、酢
酸ビニル及びその共重合体、アクリル酸及びその共重合
体等の溶剤型接着剤、天然ゴムラテックス、クロロプレ
ンラテックス、NBRラテックス、酢酸ビニル及びその
共重合体、アクリル酸及びその共重合体等のエマルジョ
ン型接着剤、ポリビニルアルコール、でんぷん、ニカワ
等の水溶性接着剤、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、
尿素及びメラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン
樹脂等の熱硬化性樹脂、パラフィンワックス、マイクロ
クリスタリンワックス、アスファルト、樹脂ワックス混
合剤等の熱溶融型接着剤、ポリエチレン、不飽和ポリエ
ステルなど特に限定されるものではない。またこれらは
単独で用いても、複数で用いることもできる。さらに硬
化剤、充填剤等の第三成分を含むこともできる。またこ
れらは、アンカーコート層を設けた上に設けてもよいも
のである。
【0053】本発明においては、好ましくは、前記粘着
層上に離形層(F)を設けることである。離形層(F)
は特に限定されるものではなく、公知のものを使用でき
る。
【0054】本発明の典型的な記録用媒体の断面図を図
1に、印字され、粘着層、離形層を設けた記録体の断面
図を図2に示す。
【0055】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例を示す。
【0056】まず、本発明において用いる測定・評価方
法を以下に示す。
【0057】1)見かけ比重 フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に正確
に切り出し、その厚みを50点測定し平均厚みをtμm
とし、その重さを0.1mgまで測定してwgとし、下
式によって計算する。
【0058】見かけ比重(−)=(w×10000)/
(5×5×t)
【0059】2)反射印字濃度、透過印字濃度 インクジェットプリンター(RJ−1300 武藤工業
社製:顔料インク)にて黒ベタ(黒単色)を印字し、マ
クベス濃度計TR−927にて反射印字濃度及び透過印
字濃度を測定する。フィルタは可視光透過(オルソクロ
マチック)とする。このときのインク量は約13g/m
2であった。
【0060】3)にじみ 2)のプリンタで青ベタ(シアン、マゼンタ混色)6と
黄ベタ(イエロー単色)7を印字した。このとき2色の
境界部から青が黄の方ににじんだ長さ8(単位:mm)
を測定する。拡大図を図3に示す。
【0061】4)インク乾燥時間 2)のプリンターで青ベタ(シアン、マゼンタ混色)を
印字し、印字部を指で軽く押し指に付かなくなるまでの
時間(単位:分)を測定する。この時のインク量は約2
6g/m2であった。
【0062】5)耐水濃度保持率 2)のプリンターで黒ベタ(黒単色)を5cm×10c
mに印字し、1時間放置する。その後、印字物の印字面
の上にカナキン布(3号)でつつんだ500g/16c
2のおもりを置き、印字面に流水をかけながらおもり
を印字面上を移動させる。このとき、移動距離は10c
m、移動速度は2秒/1往復とし10往復行なう。この
試験をする前後の黒ベタ印刷部の黒濃度をマクベス濃度
計(TR−927)で反射濃度を測定する。
【0063】耐水濃度保持率(後の反射濃度/前の反射
濃度)×100(%)
【0064】6)記録層の耐水保持率 2)のプリンターで黒ベタ(黒単色)を5cm×10c
mに印字し、1時間放置した。その後、印字物を20℃
の水中に3時間浸漬し、さらにその後、印字物の印字面
の上にカナキン布(3号)でつつんだ500g/16c
2のおもりを置き、印字面に流水をかけながらおもり
を印字面上を移動させる。このとき、おもりは印字部の
縦方向全体に移動させ、移動速度は2秒/1往復とし1
0往復行なった。この試験をする前後の黒ベタ部の面積
を画像処理装置で読み取る。
【0065】記録層の耐水保持率=[後の黒ベタ面積/
前の黒ベタ面積]×100(%)
【0066】7)未印字部の透過濃度 印字していない部分を2)の方法により透過濃度を測定
する。
【0067】8)印字物の鮮明性評価 A1の大きさに、文字や写真を含む画像を2)のプリン
ターで出力し、通常の壁に張って反射光で見たとき及び
裏から蛍光灯を当てて透過光で見たときに、画像が鮮明
に見えれば◎、やや不足だが実質的に問題なければ○、
鮮明さに乏しかったり、見えにくいものは×とした。
【0068】9)かさ密度 記録層を設けた状態で厚みT1(ダイヤルゲージ ピー
コック社製)を10点、重量W1を10点測定する。そ
の後、記録層を剥ぎ取り同様に厚みT2と重量W2を測定
する。厚み差(T)、重量差(W)、記録層の密度(g
/cm2)を求めた。剥ぎ取り前後の厚みをT1,T2
剥ぎ取り前後の重さをW1,W2としT=T1−T2、W=
1−W2、ρ=W/0.01Tで計算した。
【0069】10)画像の耐水性−1 2)のプリンタで印字し、1時間放置した後、その上に
ラミネートフィルム(サンカットマットN5 リンテッ
ク社製)を貼り付け、10cm×10cmに切る。それ
を水に24時間完全に浸漬し、その後、水から引き上げ
ラミネートフィルムが印字物から剥がれておれば×、実
質的に剥がれていなければ○、全く剥離がなければ◎と
した。
【0070】11)画像の耐水性−2 10)の試験をラミネートフィルムを貼らずに24時間
おこない、画像の乱れが少なく実質的に問題がなければ
○、実用上問題があるほど乱れた場合は×とした。
【0071】(実施例1)ポリエステルフィルム(東洋
紡績社製 クリスパーG1211 厚さ50μm、12
00mm幅、4000m)のコロナ放電処理面側に、メ
ラミン樹脂(住友化学工業社製 スミテックス M−
3)10重量%及び触媒(住友化学工業社製スミテック
スACX)1重量%を水89重量%に混合し、0.1g
/m2(乾燥時)になるように塗布した。この塗布面の
上にポリビニルアルコール(日本合成化学社製、GH−
20)、メラミン樹脂(住友化学工業社製 スミテック
スM−3)、カチオン性ポリアミド樹脂(住友化学工業
社製 SR1005)、平均粒子径5μm及び12μm
のシリカ粒子をそれぞれ最終固形分で10/1/2//
10/10(重量比)となるように、10%水溶液に調
整し、ワイヤーバーでコートし、140℃で4分間ギア
オーブンで乾燥熱処理した。塗布量は12g/m2とな
るようにし、記録用フィルムを得た。
【0072】(実施例2)ポリエステルフィルム(東洋
紡績社製 クリスパーG1211 厚さ50μm、12
00mm幅、4000m)のコロナ放電処理面側に、メ
ラミン樹脂(住友化学工業社製 スミテックスM−3)
10重量%及び触媒(住友化学工業社製スミテックス
ACX)1重量%を水89重量%に混合し、0.1g/
2(乾燥時)になるように塗布した。この塗布面の上
にポリビニルアルコール(クラレ社製、RS117)、
ジメチロールヒドロキシエチレン尿素樹脂(住友化学工
業社製 SR5004)、カチオン性樹脂(日本化薬社
製 カヤフィクスUR)、平均粒子径5μm及び12μ
mのシリカ粒子をそれぞれ最終固形分で10/3/1/
/10/10(重量比)となるように、10%水溶液に
調整し、ワイヤーバーでコートし、100/120/1
40/120℃の順に、熱風速度15m/分で合計2分
間乾燥熱処理した。塗布量は14g/m2となるように
し、記録用フィルムを得た。
【0073】(実施例3)実施例2において、ポリエス
テルフィルムの厚さを100μmとした以外は、全く同
様の方法において、記録用フィルムを得た。
【0074】(実施例4)実施例2において、ポリエス
テルフィルムの代わりにポリプロピレンフィルム(東洋
紡績社製 パールフィルムP6255 厚み120μ
m)を使用し、かつ乾燥温度を80/100/120/
100℃とした以外は全く同様の方法において記録用フ
ィルムを得た。
【0075】(比較例1〜5)実施例2において、記録
層の組成比を表1の比較例1〜5のようにした以外は全
く同様の方法において、記録用フィルムを得た。それを
比較例1、2、3、4、5とした。
【0076】実施例1〜4及び比較例1〜5の記録層成
分の配合割合(重量)を表1に、式(1)〜(3)の値
を表2に示した。また、それぞれ得られたフィルムの特
性を表3、表4に示した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】(実施例5)実施例1で得られたインクジ
ェット記録用フィルムの記録層の反対面にアクリルエマ
ルジョン接着剤(大日本インキ化学社製 ボンコートP
S−378)を塗布し、接着剤層4とし、その上に離型
紙5をつけたものを得た。これを図2に示す。これを実
施例1と同様のプリンターで印字したところ印字性は良
好であった。
【0082】
【発明の効果】本発明の記録用媒体によれば、多量のイ
ンクの吸収性が良好で、印字濃度が高く、にじみが少な
く、耐水性の良好な記録用媒体となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録用媒体の断面図を示す。
【図2】本発明の記録体の断面図を示す。
【図3】ベタ印刷のときのにじみの有無を示す図であ
る。(a)はにじみのないとき、(b)はにじみのある
ときを示す。
【符号の説明】
1 基材 2 記録層 3 印刷インキが浸み込んだ記録層 4 接着層 5 離型層 6 青ベタ(シアン+マゼンタ) 7 黄ベタ 8 にじみの大きさ(境界部とにじみ山のトップとの距
離)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 利武 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 佐々木 靖 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材面上に記録層を設けた記録用媒体に
    おいて、インク量が10g/m2以上50g/m2以下の
    条件下でのインク乾燥時間が5分以下、反射印字濃度が
    1.30以上、にじみが1mm以下、耐水濃度保持率が
    60%以上であることを特徴とする記録用媒体。
  2. 【請求項2】 記録層の耐水保持率が、80%以上であ
    ることを特徴とする請求項1記載の記録用媒体。
  3. 【請求項3】 記録層のかさ密度が0.40以上0.6
    0以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の記
    録用媒体。
  4. 【請求項4】 透過印字濃度が、1.85以上、未印字
    部の透過濃度が0.70以下であることを特徴とする請
    求項1、2又は3記載の記録用媒体。
  5. 【請求項5】 基材面上に記録層を設けた記録用媒体に
    おいて、記録層のコート量(固形分)が10g/m2以上
    18g/m2以下、かさ密度が0.40以上0.60以
    下、耐水濃度保持率が60%以上であることを特徴とす
    る記録用媒体。
  6. 【請求項6】 基材面上に記録層を設けた記録用媒体に
    おいて、透過印字濃度が1.85以上、未印字部の透過
    濃度が0.70以下、にじみが1mm以下であることを
    特徴とする記録用媒体。
  7. 【請求項7】 基材面上に水溶性樹脂(A)、硬化剤
    (B)、カチオン性物質(C)及び粒子(D)からなる
    記録層を有する記録用媒体において、成分(A)乃至
    (D)の組成割合(重量比)が以下の範囲であることを
    特徴とする記録用媒体。 A/B=95/5〜55/45 (1) (A+B)/C=97/3〜60/40 (2) (A+B+C)/D=1/1〜1/2.5 (3)
  8. 【請求項8】 記録層のコート量(固形分)が、10g/
    2以上18g/m2以下であることを特徴とする請求項
    7記載の記録用媒体。
  9. 【請求項9】 記録層が、請求項7又は8記載の組成を
    有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は
    6記載の記録用媒体。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8又は9記載の記録用媒体の記録層とは反対側の基材面
    上に粘着層を設けたことを特徴とする記録用媒体。
  11. 【請求項11】 粘着層面上に離形層を設けたことを特
    徴とする請求項10記載の記録用媒体。
  12. 【請求項12】 基材が、少なくとも1軸に配向したプ
    ラスティックフィルムであることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記
    載の記録用媒体。
  13. 【請求項13】 基材の見かけ比重が、0.50以上
    1.30以下であることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載
    の記録用媒体。
  14. 【請求項14】 基材が、内部に微細な空洞を含有する
    ポリエステルフィルムを含むことを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
    2又は13記載の記録用媒体。
  15. 【請求項15】 水溶性樹脂(A)が、ポリビニルアル
    コール及び/又はポリビニルピロリドンであることを特
    徴とする請求項7、8、9、10、11、12、13又
    は14記載の記録用媒体。
  16. 【請求項16】 硬化剤(B)が、水溶性メラミン樹脂
    及び/又はメチロール基含有尿素樹脂であることを特徴
    とする請求項7、8、9、10、11、12、13、1
    4又は15記載の記録用媒体。
  17. 【請求項17】 記録が、インクジェット記録により行
    われることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9、10、11、12、13、14、15
    又は16記載のインクジェット記録用媒体。
  18. 【請求項18】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9、10、11、12、13、14、15、16又
    は17記載の記録層に顔料インクを主としたインクで記
    録がなされていることを特徴とする記録体。
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