JP3646688B2 - 中空状構造部品の液圧成形方法 - Google Patents

中空状構造部品の液圧成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用サスペンションメンバ等に代表されるような中空状構造部品の液圧成形方法に関し、特に金属板同士を重ね合わせてその外周部を溶接することにより形成された重ね合わせ板材を用いてこれを液圧にて膨出成形するようにした中空状構造部品の液圧成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属板同士を重ね合わせてその外周部を溶接することにより形成した重ね合わせ板材を、凹部が設けられた上下一対の金型間に挟み込み、その重ね合わせ板材の金属板同士の間に高圧の成形媒体を供給することにより、金型の凹部形状に合致した形状に成形する液圧成形方法は、例えば特開平11−347643号公報や特開平10−85944号公報などで知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の技術では、重ね合わせ板材は主に液圧のシール性を確保するためにその外周部が予め連続的に溶接されていることから、この部分が成形後の中空状構造部品の全周にわたり突出したフランジ部として残ることになり、適用する部品によっては外観品質が低下することとなって好ましくない。
【0004】
このようなことから、特に部品機能の上で外観品質が重要視される部位については、液圧成形後に切削加工等によりフランジ部を局部的に除去し、再度部分的に後溶接を施して外形形状が平滑な中空状構造部品を得るという手法が採られているが、この方法では加工工程や加工工数が増大する上、成形後の溶接により部品の寸法精度が低下するという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、複雑な形状の中空状構造部品を高精度に且つ比較的安価に製造できる液圧成形方法を前提としつつ、フランジ部におけるエッジ部の突出をなくして、外形形状が比較的平滑な外観品質の優れた中空状構造部品を、極めて短い製造工程で容易に製造できる液圧成形方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、金属板同士を重ね合わせてその外周縁部を溶接することにより形成した重ね合わせ板材を、凹部が設けられた一対の金型間に挟み込み、重ね合わせ板材の金属板同士の間に高圧の成形媒体を供給することにより、金型の凹部形状に合致した形状の中空状構造部品を膨出成形する方法であって、成形の進行に伴い構造部品領域の外周部に付帯成形されることになるフランジ部の少なくとも一部の先端が、成形後における構造部品のフランジ部以外の一般外表面と同一面上に位置するかまたはその一般外表面よりも奥まった位置となるように、金属板同士の間への成形媒体の供給中に、構造部品領域の内方に向けて押圧子による押圧力を付与することでフランジ部の先端の位置を規制する押し込み加工を施すことを特徴としている。
【0007】
この場合において、前記押し込み加工は、請求項2に記載のように、構造部品領域の内方に向けて押圧力を付与することが可能な押圧子を金属板同士の間への成形媒体の供給前に予め金型内に配置しておき、成形媒体の供給による成形の進行とともに構造部品領域の内方に向けて押圧子による押圧力を付与することでフランジ部の先端の位置を規制するものとしても良い。
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの記載における液圧成形方法が自動車用サスペンションメンバを成形対象としていることを明確化したものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、金属板同士を重ね合わせてその外周縁部を溶接することにより形成した重ね合わせ板材を、凹部が設けられた一対の金型間に挟み込み、重ね合わせ板材の金属板同士の間に高圧の成形媒体を供給することにより、金型の凹部形状に合致した形状の中空状構造部品を膨出成形する方法であって、成形の進行に伴い構造部品領域の外周部に付帯成形されることになるフランジ部の少なくとも一部の先端を湾曲させる加工を膨出成形中に施すことを特徴としている。
【0010】
この場合において、請求項5に記載のように、前記金属板同士の間への成形媒体の供給中に、フランジ部の先端に押圧子による押圧力を付与することでそのフランジ部の先端を湾曲させる加工を施すか、もしくは請求項6に記載のように、前記フランジ部の先端を湾曲させる加工を施した後、内部の成形媒体の圧力をさらに上昇させて構造部品の寸法矯正加工を施すことが望ましい。
【0011】
さらに、請求項7に記載のように、前記フランジ部の先端を湾曲させる加工を膨出成形中に施すのに代えて、重ね合わせ板材のうちフランジ部となるべき領域の先端に予め湾曲させる加工を施しておき、この湾曲加工済みの重ね合わせ板材を用いて膨出成形を行うようにしてもよい。
【0012】
請求項8に記載の発明は、上記請求項4〜7のいずれかの記載における液圧成形方法が自動車用サスペンションメンバを成形対象としていることを明確化したものである。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、構造部品領域の外周部に付帯成形されることになるフランジ部について、その少なくとも一部の先端が、成形後における構造部品のフランジ部以外の一般外表面と同一面上に位置するかまたはその一般外表面よりも奥まった位置となるような押し込み加工を膨出成形中に施すようにしたため、必要な部分についてはフランジ部の先端が構造部品の一般外表面から突出しなくなって外表面の平滑性が確保され、寸法精度を維持しつつ外観品質の優れた成形品を最小限の製造工程で容易に製造できる。
【0014】
特に、上記の押し込み加工として、構造部品領域の内方に向けて押圧子による押圧力を付与することでフランジ部の先端の位置を規制するようにしたため、実質的にフランジ部の周辺形状は押圧子の形状が転写されることで成形されることになり、成形媒体の圧力が比較的低くても正確な形状精度に成形でき、寸法精度の高い中空状構造部品が得られる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、上記の押し込み加工は、押圧子を金属板同士の間への成形媒体の供給前に予め金型内に配置しておき、成形媒体の供給による成形の進行とともに構造部品領域の内方に向けて押圧子による押圧力を付与することでフランジ部の先端の位置を規制するものであるため、請求項1に記載ものと比べて、押圧子の前進に要する時間分だけ液圧成形に要する成形サイクルタイムを短縮できる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、実質的に請求項1に記載の液圧成形方法を自動車用サスペンションメンバの成形に適用したものであるから、必要な部分についてはフランジ部の先端部がサスペンションメンバの一般面から突出しなくなって外表面の平滑性が確保され、寸法精度を維持しつつ外観品質の優れた自動車用サスペンションメンバを提供できるようになる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、実質的に請求項1に記載の押し込み加工に代えて、構造部品領域の外周部に付帯成形されることになるフランジ部について、少なくともその一部の先端を湾曲させる加工を膨出成形中に施すようにしたため、必要な部分についてはフランジ部の先端が湾曲していて外表面の平滑性が確保されることになり、寸法精度を維持しつつ外観品質の優れた成形品を最小限の製造工程で容易に製造できる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、液圧成形中に、フランジ部の先端に押圧子による押圧力を付与することでそのフランジ部の先端を湾曲させるようにしたため、最小限の製造工程で外観品質の優れた中空状構造部品を容易に製造できる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、フランジ部の先端を湾曲させる加工を行った後、内部の成形媒体の圧力をさらに上昇させて構造部品の寸法矯正加工を施すようにしたため、実質的に材料流入が制限された状態で更なる高圧を付加することで、製造工程を増加させることなしに、構造部品のより高い形状凍結性と寸法精度を確保できる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、重ね合わせ板材の段階でフランジ部となるべき領域の先端に予め湾曲させる加工を施しておき、この湾曲加工済みの重ね合わせ板材を用いて液圧成形を行うようにしたため、所定位置で材料流入を停止させる材料流入制御が可能となり、材料流入過多による溶接部の割れやこれによる成形媒体の漏れを確実に防止できるとともに、寸法矯正効果のために構造部品のより高い形状凍結性と寸法精度を確保できる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、実質的に請求項4に記載の液圧成形方法を自動車用サスペンションメンバの成形に適用したものであるから、必要な部分についてはフランジ部の先端部が湾曲しているためにメンバ外表面の平滑性が確保され、寸法精度を維持しつつ外観品質の優れた自動車用サスペンションメンバを提供できるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明を適用して液圧成形された自動車用構造部品の一例としてサスペンションメンバを示す斜視図である。図2は同サスペンションメンバ1の成形前の重ね合わせ板材2を示す斜視図である。さらに図3の(A)〜(D)は上記重ね合わせ板材2を用いたサスペンションメンバ1の製造工程を示す断面図であり、図1のA−A線に沿った断面部分を示している。
【0024】
図1に示すサスペンションメンバ1は、図3の(A)および(B)のように、それぞれに凹部空間4aまたは5aが設けられた金型の上型4と下型5の間に、図2に示すように外周部が例えばへり継手の形態をもって溶接部3にて連続的に溶接された重ね合わせ板材2を挟み込み、この重ね合わせ板材2を形成している金属板2a,2b同士の間に液状成形媒体を供給することにより液圧Pを作用させ、上下型4,5の凹部空間4a,5aの内面形状に合致した外面形状のものとして膨出成形される。成形後は上下型4,5の分割面(型合わせ面)に相当する位置に図1のように全周にわたりフランジ部7が成形される。
【0025】
図2の重ね合わせ板材2は、成形後に所望の外形形状となるような形状に外周加工され、一部に成形媒体の注入孔部分6を有するとともに、上下二枚の金属板2a,2b同士はその外周部全周にわたり溶接部3が形成され、この溶接部3は成形時の液圧のシール手段を兼ねている。なお、注入孔部分6は成形後に必要に応じ適宜切除される。また、重ね合わせ板材2を形成している上下の金属板2a,2bの板厚や材質は特定のものに限定されるものではなく、設計要件により適宜選択できる。
【0026】
ここで、上記サスペンションメンバ1の製造方法を図3に基づいてより詳しく説明すると、先ず図3の(A)において、上下型4,5にはそれぞれ金型の内方側へ進退自在な可動式の押圧子8が設けられている。この押圧子8が後退した状態で、上下型4,5の間に重ね合わせ板材2を挟み込み、所定の型締め力にて加圧拘束する。次に、同図(B)のように重ね合わせ板材2を形成している金属板2a,2b同士の間に成形媒体を供給して液圧Pを作用させると、重ね合わせ板材2は膨出し、金型の凹部4a,5aに合致する部分では一般形状部10として、上下型4,5の分割面に相当する部分ではフランジ部7としてそれぞれ成形される。
【0027】
さらにこの液圧Pの上昇過程において、同図(C)のように、可動式の押圧子8を所定位置まで前進させることにより、サスペンションメンバ1の外周に成形されたフランジ部7とその近傍に対して局部的に押圧力を作用させ、もってフランジ部7の先端面12(溶接部3を含む)が少なくとも一般形状部10の一般外表面たる外形輪郭13より突出しないように凹部11を成形する。そして、同図(D)のように、液圧Pを開放してから各押圧子8を初期位置まで後退させ、サスペンションメンバ1を取り出すことによりその成形が完了する。
【0028】
図4は成形されたサスペンションメンバ1と押圧子8の関係を表した平面図であり、サスペンションメンバ1の外周に付帯成形されることになるフランジ部7のうちそのサスペンションメンバ1を車両に搭載した際に車両前方側に位置することになる部分について、同図のZの範囲だけ局部的に押圧子8により押圧力を作用させて凹部11を成形することにより、フランジ部7の先端面12の高さを規制する加工、すなわち範囲Zの部分ではフランジ部7の先端面12が少なくとも一般形状部10の一般外表面たる外形輪郭13より突出しないように、すなわちフランジ部7の先端面12が外形輪郭13と同一面上に位置するかまたはその外形輪郭13よりも奥まった位置となるように、凹部11を成形する加工を行っている。
【0029】
以上のような成形手順により図5に示す断面構造を有したサスペンションメンバ1を得ることができる。ここでは、車両前方側のフランジ部7の先端面12の高さが一般形状部10の外形輪郭13より寸法Wだけ低くなるように設定している(W≧0)。
【0030】
このように重ね合わせ板材2をもって成形されたサスペンションメンバ1の外周に付帯成形されたフランジ部7の先端部のうち範囲Zに相当する部分について、サスペンションメンバ1の一般外表面とほぼ面一となるような加工、すなわち範囲Zの部分ではフランジ部7の先端面12が少なくとも一般形状部10の外形輪郭13と同一高さもしくはそれ以下となるように規制する加工を、液圧成形工程内で同時に行うことにより、フランジ部7の先端部が中空状構造部材であるサスペンションメンバ1の一般外表面から突出しないことになり、その結果として高い寸法精度を維持しつつ外観品質の優れたサスペンションメンバ1を極めて短い製造工程で容易に製造できる。
【0031】
なお、本実施の形態では、液圧Pに打ち勝つだけの押圧力により押圧子8が押し付けられるため、押圧子8の形状が転写されるようにしてフランジ部7の近傍に凹部11が成形されることになり、したがって液圧Pが比較的低くてもシャープな形状に成形できるという特徴を有している。
【0032】
図6には本発明の第2の実施例を示す。
【0033】
図6の(A)において、上下型4,5にその内方側へ進退自在な可動式の押圧子8がそれぞれ設けられている点については先の実施の形態のものと同様である。
【0034】
本実施の形態においては、この押圧子8が既に前進している状態で、上下型4,5の間に重ね合わせ板材2を挟み込み、所定の型締め力にて加圧拘束する。次に、同図(B)のように重ね合わせ板材2を形成している金属板2a,2b同士の間に液圧Pを作用させると、重ね合わせ板材2は膨出し、上下型4,5の凹部空間4a,5aに合致するように成形されて中空状構造部品としてのサスペンションメンバ14が得られる。ここでは、重ね合わせ板材2に液圧が作用する前から押圧子8が既に前進した状態にあるため、サスペンションメンバ14には先の実施の形態と同様の凹部11が成形される。次いで、同図(C)のように、液圧Pを開放した後、可動式の押圧子8を所定位置まで後退させることによりサスペンションメンバ14の取り出しが可能となり、成形が完了する。
【0035】
このようにして、フランジ部7の先端面12が一般成形部の一般外表面たる外形輪郭13より突出しない外観品質の良好なサスペンションメンバ14を極めて容易に製造できる。また、本実施の形態では、予め押圧子8が前進した状態で成形を行うため、押圧子8の前進に要する時間分だけ液圧成形に必要なサイクルタイムが短くなり、成形に要する時間を短縮できる利点がある。
【0036】
図7には本発明の第3の実施の形態を示す。
【0037】
本実施の形態では、上下型16,17と押圧子18,19との分割位置を変えたものであり、それ以外の基本的な部分は先の各実施の形態と同様である。
【0038】
図7の(A)において、上型側はその上型16と上部押圧子18とをもって、一方下型側はその下型17と下部押圧子19とをもってそれぞれ構成され、上部押圧子18と下部押圧子19はそれぞれ独立して横方向に進退自在な構造となっている。上部押圧子18と下部押圧子19にはそれぞれに凸部20または21が形成されている。同図(A)はこの上下型16,17間に重ね合わせ板材2を挟み込んだ成形前の状態を示している。
【0039】
その後、同図(B)のように重ね合わせ板材2の金属板2a,2b同士の間に液圧Pを作用させると、重ね合わせ板材2は膨出し、上下型16,17の凹部16a,17aに合致するように成形された中空状構造部品としてのサスペンションメンバ22が得られる。ここでは、上部押圧子18と下部押圧子19に形成された凸部20,21に合致した形状の凹部11が成形される。
【0040】
次に、同図(C)のように、液圧Pを開放した後、上部押圧子18および下部押圧子19をそれぞれ所定位置まで後退させるとともに上下型16,17を相互に開くことによりサスペンションメンバ22を取り出して成形が完了する。
【0041】
この第3の実施の形態においても第1,第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0042】
これまでの各実施の形態において、各押圧子8,18,19の駆動手段については従来から一般に用いられている油空圧シリンダやネジ機構等による独立制御機構のほか、液圧成形時の型締機のストロークを利用したカムスライド機構やボールネジ機構等を適宜利用可能である。これらの駆動手段は金型構造との関係で適宜選択すればよく、例えば図3に示す第1の実施の形態では油空圧シリンダやネジ機構等による独立制御機構を適用することにより、より高精度な制御が可能であり、また図6,図7に示す第2,第3の実施の形態では型締機のストロークを利用したカムスライド機構の利用が可能であり、比較的安価で簡単な型構造とすることができるという利点がある。
【0043】
図8には本発明の第4の実施の形態をを示す。
【0044】
先ず、図8の(A)に示すように、それぞれに成形品形状に対応した凹部空間25aまたは26aを有する上型25と下型26が設けられているほか、上型25には上下方向に進退可能に構成された押圧子28とこれを駆動するための油圧シリンダなどによる駆動手段27が装着されており、押圧子28の先端には凹曲部24が形成されている。一方、下型26には所定の形状を有した曲げ型部29と逃げ部空間30が形成されている。
【0045】
同図(A)に示すように、上型25と下型26の間に先の実施の形態と同様の重ね合わせ板材2を挟み込み、所定の型締め力にて加圧拘束する。次に、同図(B)のように重ね合わせ板材2の金属板2a,2b同士の間に成形媒体を供給することにより、重ね合わせ板材2の内部に液圧Pを作用させて所定の膨出成形を行う。この際、当初は幅寸法Xであった重ね合わせ板材2は膨出成形に伴う材料流入によりX寸法よりも小さな中空状構造部品としてのサスペンションメンバ33の幅Yとなる。
【0046】
ここで、同図(C)のように可動式の押圧子28を所定位置まで下降させることにより、押圧子28の先端に形成された凹曲部24と曲げ型部29との間に挟まれた前側のフランジ部31に湾曲部32が成形される。そして、その後に液圧Pを開放してから押圧子28を初期位置まで上昇させるとともに上下型25,26を開き、サスペンションメンバ33を取り出して成形が完了する。
【0047】
このように、サスペンションメンバ33の外周部に付帯成形されることになるフランジ部31の先端部を他の一般フランジ部に対し局部的に湾曲させる加工を液圧成形と同時に行うことによって後加工が不要となり、図9に示すように必要な部分についてのみフランジ部31の先端部が湾曲部32として湾曲していて且つ前側に向かってエッジ部の突出のない外観品質の優れたサスペンションメンバ33が得られることになる。
【0048】
また、図8の(C)において、前側のフランジ部31に湾曲部32を成形した後にさらに液圧Pを上昇させると、この湾曲部32によって局部的に材料流入が制限された状態で液圧Pが作用するため、サスペンションメンバ33の寸法矯正効果が生じ、サスペンションメンバ33の形状凍結性が良くなり、より高い寸法精度のサスペンションメンバ33を成形できる利点がある。
【0049】
なお、本実施の形態では、重ね合わせ板材2における金属板2a,2b同士の溶接は一例としてへり継手の如き端面溶接の場合を示したが、これに限定されるものではなく、後述する重ね溶接や重ねすみ肉溶接とすることもできる。
【0050】
図10には本発明の第5の実施の形態を示す。
【0051】
同図(A)に示すように、それぞれに成形すべき構造部品形状に対応した凹部空間34aまたは35aが形成された上型34と下型35が設けられているほか、金型側方には左右方向に進退可能に構成された押圧子36とこれを駆動するための油圧シリンダなどによる駆動手段37が装着されている。押圧子36の先端部には尖突部41と凹曲部40が形成されている。一方、重ね合わせ板材122は上下の金属板122a,122b同士が予めその全周にわたり重ね溶接による溶接部38をもって連続的に溶接されているとともに、局部的に上下の金属板122a,122b同士を若干引き剥がす方向に予備成形されたプリフォーム部39が形成されている。この重ね合わせ板材122を上下型34,35間に挟み込み、上下の金属板122a,122b同士の間に液圧Pを作用させると同図(A)のように材料流入を伴いながら膨出成形される。
【0052】
そこで、同図(B)のように進退自在な押圧子36を所定位置まで前進させると、押圧子36の先端部に形成された尖突部41と凹曲部40とによりプリフォーム部39がさらに剥離方向に湾曲されて湾曲部42が成形される。そして、その後に液圧Pを開放してから押圧子36を初期位置まで後退させるとともに、上下型34,35を開き、サスペンションメンバ43を取り出すことで成形が完了する。
【0053】
これによって、図11に示すように必要な部分についてはフランジ部123の先端部が湾曲部42として湾曲していて、なお且つ前方側へのエッジ部の突出のない外観品質の優れた中空状構造部品としてのサスペンションメンバ43が得られ、先の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0054】
図12は本発明の第6の実施の形態を示し、先の第5の実施の形態では液圧成形中に同時にフランジ部123の湾曲加工を行うのに対し、本実施の形態では、外周部が溶接部3をもって溶接された重ね合わせ板材50の段階で所定位置に予め湾曲部51を加工しておき、この湾曲部51の加工済みの重ね合わせ板材50を素材として用いて液圧成形を行うようにしたものである。
【0055】
図12の(A)に示すように、それぞれに成形品形状に対応した凹部空間45aまたは46aが形成された上型45と下型46とが設けられているほか、下型46にはシール部47と逃げ空間48が形成されている。一方、重ね合わせ板材50には上下の金属板50a,50bの全周にわたりその端面がへり継手の形態で溶接部3をもって連続的に予め溶接されているとともに、プレス加工等により局部的に湾曲部51が予め曲折成形されている。
【0056】
この重ね合わせ板材50を上下型45,46間に挟み込み、その金属板50a,50b同士の間に液圧Pを作用させると、図12の(B)のように材料流入を伴いながら膨出成形され、図9に示したものと同様にフランジ部の31の先端に湾曲部51を有する中空状構造部品としてのサスペンションメンバ33が得られる。
【0057】
また、前側のフランジ部31に予め成形されている湾曲部51は材料流入に伴い下型46のシール部47に当接して、ここで材料流入が阻止されることから、材料流入過多による溶接部3の剥離破断を防止するための積極的な材料流入制御が可能となる。その上、同図(B)のように材料流入が制限された状態からさらに液圧Pを上昇させると、第5の実施の形態と同様にサスペンションメンバ33の寸法矯正効果を得ることもでき、寸法精度の高いサスペンションメンバ33を得ることができる。
【0058】
図13は図12の(A)の重ね合わせ板材50に形成した湾曲部51の変形例を示し、湾曲部56のみを拡大した断面図である。
【0059】
同図に示すように、重ね合わせ板材52は上下の金属板53,54同士がその全周にわたり重ねすみ肉溶接による溶接部55をもって溶接接合されていて、特定部分だけは局部的に上側の金属板53が下側の金属板54側にカールされた湾曲部56が予め成形されている。このような重ね合わせ板材52を用いた場合にも、第6の実施の形態のものと同様の金型を用い且つ同様の製法をとることができる。
【0060】
以上のように、フランジ部の先端部の必要な部分を局部的に湾曲させる加工を液圧成形と同時に加工するか、もしくは重ね合わせ板材の段階で湾曲部を予め成形しておくことにより、後加工が不要で、しかも最小限の製造工程をもって前方側へのエッジ部の突出のない外観品質の優れた中空状構造部品としてのサスペンションメンバが得られる。
【0061】
なお、上記の各実施の形態では、重ね合わせ板材の溶接部の溶接形態として端面溶接やすみ肉溶接あるいは重ね溶接を用いた場合の一例を示したが、溶接継手の形態はこれに限定されるものではなく、また溶接法もアーク溶接、レーザ溶接、プラズマ溶接、マッシュシーム溶接、摩擦攪拌溶接などの各種溶接法を適宜選択して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液圧成形方法を適用して成形された自動車用構造部品の一例としてサスペンションメンバの構造を示す斜視図。
【図2】上記サスペンションメンバの素材として用いられる重ね合わせ板材を示す斜視図。
【図3】本発明に係る液圧成形方法の第1の実施の形態として図1のサスペンションメンバの液圧成形工程を示す金型の断面図。
【図4】図3のサスペンションメンバと押圧子との関係を示す平面図。
【図5】図1のA−A線に沿うサスペンションメンバの断面図。
【図6】本発明に係る液圧成形方法の第2の実施の形態としてサスペンションメンバの液圧成形工程を示す金型の断面図。
【図7】本発明に係る液圧成形方法の第3の実施の形態としてサスペンションメンバの液圧成形工程を示す金型の断面図。
【図8】本発明に係る液圧成形方法の第4の実施の形態としてサスペンションメンバの液圧成形工程を示す金型の断面図。
【図9】図8の成形工程で得られたサスペンションメンバの断面図。
【図10】本発明に係る液圧成形方法の第5の実施の形態としてサスペンションメンバの液圧成形工程を示す金型の断面図。
【図11】図10の成形工程で得られたサスペンションメンバの断面図。
【図12】本発明に係る液圧成形方法の第6の実施の形態としてサスペンションメンバの液圧成形工程を示す金型の断面図。
【図13】図12の重ね合わせ板材の変形例を示す要部断面図。
【符号の説明】
1…サスペンションメンバ(中空状構造部品)
2…重ね合わせ板材
2a,2b…金属板
3…溶接部
4…上型
4a…凹部空間
5…下型
5a…凹部空間
7…フランジ部
8…押圧子
11…凹部
12…先端面
14…サスペンションメンバ(中空状構造部品)
16…上型
16a…凹部空間
17…下型
17a…凹部空間
18…押圧子
19…押圧子
22…サスペンションメンバ(中空状構造部品)
24…凹曲部
25…上型
25a…凹部空間
26…下型
26a…凹部空間
27…駆動手段
28…押圧子
31…フランジ部
32…湾曲部
33…サスペンションメンバ(中空状構造部品)
34…上型
34a…凹部空間
35…下型
35a…凹部空間
36…押圧子
37…駆動手段
38…溶接部
40…凹曲部
42…湾曲部
43…サスペンションメンバ(中空状構造部品)
45…上型
45a…凹部空間
46…下型
46b…凹部空間
50…重ね合わせ板材
50a,50b…金属板
51…湾曲部
52…重ね合わせ板材
53,54…金属板
55…溶接部
56…湾曲部
P…液圧

Claims (8)

  1. 金属板同士を重ね合わせてその外周縁部を溶接することにより形成した重ね合わせ板材を、凹部が設けられた一対の金型間に挟み込み、重ね合わせ板材の金属板同士の間に高圧の成形媒体を供給することにより、金型の凹部形状に合致した形状の中空状構造部品を膨出成形する方法であって、
    成形の進行に伴い構造部品領域の外周部に付帯成形されることになるフランジ部の少なくとも一部の先端が、成形後における構造部品のフランジ部以外の一般外表面と同一面上に位置するかまたはその一般外表面よりも奥まった位置となるように、金属板同士の間への成形媒体の供給中に、構造部品領域の内方に向けて押圧子による押圧力を付与することでフランジ部の先端の位置を規制する押し込み加工を施すことを特徴とする中空状構造部品の液圧成形方法。
  2. 前記押し込み加工は、構造部品領域の内方に向けて押圧力を付与することが可能な押圧子を金属板同士の間への成形媒体の供給前に予め金型内に配置しておき、成形媒体の供給による成形の進行とともに構造部品領域の内方に向けて押圧子による押圧力を付与することでフランジ部の先端の位置を規制するものであることを特徴とする請求項1に記載の中空状構造部品の液圧成形方法。
  3. 成形対象となる中空状構造部品が自動車用サスペンションメンバであることを特徴とする請求項1または2に記載に中空状構造部品の液圧成形方法。
  4. 金属板同士を重ね合わせてその外周縁部を溶接することにより形成した重ね合わせ板材を、凹部が設けられた一対の金型間に挟み込み、重ね合わせ板材の金属板同士の間に高圧の成形媒体を供給することにより、金型の凹部形状に合致した形状の中空状構造部品を膨出成形する方法であって、
    成形の進行に伴い構造部品領域の外周部に付帯成形されることになるフランジ部の少なくとも一部の先端を湾曲させる加工を膨出成形中に施すことを特徴とする中空状構造部品の液圧成形方法。
  5. 前記金属板同士の間への成形媒体の供給中に、フランジ部の先端に押圧子による押圧力を付与することでそのフランジ部の先端を湾曲させる加工を施すことを特徴とする請求項4に記載の中空状構造部品の液圧成形方法。
  6. 前記フランジ部の先端を湾曲させる加工を施した後、内部の成形媒体の圧力をさらに上昇させて構造部品の寸法矯正加工を施すことを特徴とする請求項5に記載の中空状構造部品の液圧成形方法。
  7. 前記フランジ部の先端を湾曲させる加工を膨出成形中に施すのに代えて、重ね合わせ板材のうちフランジ部となるべき領域の先端に予め湾曲させる加工を施しておき、この湾曲加工済みの重ね合わせ板材を用いて膨出成形を行うことを特徴とする請求項4に記載の中空状構造部品の液圧成形方法。
  8. 成形対象となる中空状構造部品が自動車用サスペンションメンバであることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載に中空状構造部品の液圧成形方法。
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