JP2005000978A - 液圧成形方法および液圧成形用金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属板10A、20A同士を重ね合わせてその外周面を溶接して形成された予備成形体30Aを、凹状成形面が形成された上下型間に挟み込み、金属板間に液状の成形媒体を注入して、前記凹状成形面の形状に合致するまで膨張させて目的形状を得るための液圧成形方法であって、金属板10A、20Aは、一部に硬化部位15A、25aが形成されていることを特徴とする液圧成形方法。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液圧成形方法および液圧成形用金属板に関し、特に、金属板に硬化部位を形成することにより、液圧媒体注入時の金属板の変形を制御できる液圧成形方法および液圧成形用金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品には、凹凸やねじれのような複雑形状の部品が用いられている。このような複雑形状の部品を作り出す方法として、液圧成形方法が知られている。液圧成形方法は、内側から成形媒体を供給し、ワークの全体または一部を外側へ膨らませ、目的の形状に加工する方法である。
【0003】
例えば、液圧成形方法により、2枚の鉄板から、所望の目的形状を作り出す場合について説明する。この場合、最初に2枚の鉄板を重ね合わせ、成形媒体の供給口を除いて全周を連続的に溶接して予備成形体とする。そして、目的形状と合致する凹状成形面が形成された金型により予備成形体を外側から押さえつけながら、2枚の鉄板間に成形媒体を注入し、内側から液圧をかける。すると、該液圧により、金型と合致するまで、2枚の鉄板が内側から膨らむ。加圧を止めて、金型を取り外せば、目的形状となった予備成形体が得られる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
なお、予備成形体は、加工前には、凹部の側壁に相当する長さ以上が金型の凹部の外部に引き出されている。そして、予備成形体の引き出されている部分は、成形媒体の供給により、次第に、金型の凹部内に引き込まれ、主に、凹部の側壁に合致する。したがって、予備成形体が引き込まれているときには、その板厚はほとんど変化しない。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−85944号公報(第10図等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように液圧成形方法を行ったのでは、以下の問題点がある。
【0007】
問題点1
予備成形体は、液圧により太鼓状に膨らみ、この膨らみの先端から先に金型に当る。予備成形体が金型に当った時点で、予備成形体は金型の凹部内に引き込まれにくくなる。特に、比較的液圧が低い場合には、この時点で鉄板の変形が止まってしまう。これでは、金型の隅の方まで鉄板が変形せず、目的形状の特に角の形状が再現できない。
【0008】
問題点2
問題点1を解決しようとして、成形媒体による液圧を高くすると、鉄板は、その伸び、すなわち、板厚減少だけで変形しようとする。これでは、鉄板の破断や、強度低下の原因となってしまう。
【0009】
問題点3
できるだけ鉄板の板厚減少による変形を防止することが好ましい。このためには、鉄板が引き込まれなくなるまでに、できるだけ多くの成形媒体を予備成形体内に注入し、液圧を上げた後に注入する量を減らす必要がある。しかし、予備成形体は、上述の通り、太鼓状に膨らみ、膨らみの先端がすぐに金型に当って、金型凹部に引き込まれなくなる。液圧を上げてから注入する成形媒体量を減らすことができない。
【0010】
問題点4
目的形状が曲率半径の小さい角部を含む場合、該角部の再現には非常に高い液圧が必要である。このため、圧力発生装置が大型化し、コストが高くなってしまう。
【0011】
上記問題点を鑑みると、液圧を上げる前にできるだけ多くの成形媒体を予備成形体内に注入できれば問題点を解決できる。予備成形体内への注入量を多くするためには、鉄板の膨張時の形状変化を制御できればよい。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、予備成形体膨張時の鉄板の形状変化を制御できる液圧成形方法および液圧成形用金属板の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0014】
本発明の液圧成形方法は、金属板同士を重ね合わせてその外周面を溶接して形成された予備成形体を、凹状成形面が形成された上下型間に挟み込み、金属板間に液状の成形媒体を注入して、前記凹状成形面の形状に合致するまで膨張させて目的形状を得るための液圧成形方法であって、前記金属板は、一部に硬化部位が形成されていることを特徴とする液圧成形方法である。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、金属板の一部に硬化部位が形成されているので、成形媒体の注入中に、該硬化部位がその形状を維持しようと作用する。この作用により、液圧成形途中の上下型内での金属板の形状変化を制御できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
最初に、本発明が適用される液圧成形装置の概略について説明する。図1は一般的な予備成形体を示す断面図、図2は一般的な液圧成形装置を示す断面図である。
【0018】
予備成形体30は、重ね合わせた金属板10、20によって形成されている。金属板10、20はそれぞれ、凸部11、21と、重合い部12、22と、縁部14、24とを有する。
【0019】
凸部11、21は、後述されるノズル部54を配置するためのスペースを構成する。また、凸部21は、ノズル部54を挿入するための開口部23が形成されている。
【0020】
重合い部12、22は、目的形状の成形品を得るために液圧成形される部位である。なお、凸部11、21から重合い部12、22への移行部は、ノズル部54から吐出される高圧液体(成形媒体)を、重合い部12、22に注入するための液圧注入部32を形成する。高圧液体は、例えば、水である。
【0021】
縁部14、24は、気密性を保つように接合される金属板の周辺部位であり、外周接合部31を形成する。接合は、例えば、レーザ溶接、アーク溶接、接着剤を適用することが可能である。なお、接合部位は、必要に応じ、略全周に渡ってあるいは部分的である。
【0022】
液圧成形装置は、図2に示すように、上型(第1成形型)40と、下型(第2成形型)50と、流体供給手段とを有する。
【0023】
上型40および下型50は、上下に分割された金型であり、予備成形体30が内側に配置され、これを型締め力により押圧する。また、上型40および下型50はそれぞれ、キャビティ41、51と、押圧部42、52と、凹溝43、53とを有する。
【0024】
キャビティ41、51は、目的とする成形部品の外形に対応した形状を有し、例えば、略矩形断面を呈する。押圧部42、52は、型締めの際に、予備成形体30の外周接合部31および縁部14、24の近傍を押圧するために使用される。凹溝43、53は、予備成形体30を構成する金属板10、20の凸部11、21を配置するために使用される。
【0025】
流体供給手段は、予備成形体30の内側に液体を供給して膨出させ、上型40および下型50のキャビティに押圧するために使用され、金属板10、20の凸部11、21に配置されるノズル部54を有する。
【0026】
ノズル部54は、予備成形体30の液圧注入部32に、高圧液体を注入するための吐出口55を有する。また、流体供給手段は、外部の高圧発生装置に連結されている配管58が接続される導入口57と、導入口57と吐出口55とを接続している通路56とを有する。
【0027】
本発明は、上記液圧成形に際し、予め、予備成形体30の一部に硬化部位が設けられていることを特徴とする。以下では、硬化部位の複数のパターンについて、第1〜第4の実施の形態において説明する。
【0028】
なお、以下の実施形態では、第1段階として、予備成形体30内に、圧力P1=a×Pmax(a<0.3:定数)で成形媒体を注入する。そして、膨張した予備成形体30の一部が金型40、50の底に当ってその膨張(変形)が妨げられるようになったら、第2段階として、圧力P2=Pmaxで成形媒体を注入する。ここで、Pmaxは、設備が実現できる内液圧の上限値である。
【0029】
このように、最初は成形媒体の圧力を低くしておくことで、外周接合部31が金型40、50内にゆっくり引き込まれる。したがって、この段階では、予備成形体30が板厚減少することはない。一方で、低い圧力のままでは、予備成形体30の一部が金型40、50の底に当ると、それ以上の膨張が妨げられ、予備成形体30を最終的な目的形状に成形できない。したがって、最後に、成形媒体の圧力を高くする。
【0030】
(第1の実施の形態)
図3は硬化処理を施した金属板を示す斜視図、図4は液圧成形後の金属板を示す斜視図、図5は図3に示す予備成形体のI−I断面図、図6は高圧液体注入中の予備成形体の変形を示す断面図、図7は図6に続く予備成形体の変形を示す断面図、図8は図4に示す予備成形体のII−II断面図である。
【0031】
図3に示すように、予備成形体30Aを構成する金属板10Aには、硬化部位15Aが設けられている。該硬化部位15Aは、金属板10Aに予め成型加工を施すことによって成形される。ここで、成型加工としては、プレス加工が考えられる。
【0032】
硬化部位15Aは、図5に示すように、重ね合わせの外側に向かって隆起した形状に成形される。このような形状に成形されることによって、硬化部位15Aは金属板10Aの他の部分よりも剛性が向上される。
【0033】
上記形状の硬化部位15Aは、図3に示すようなパターンに成形される。このパターンは、上型40のキャビティ41の底部44(図5参照)の縁形状に合わせられる。すなわち、硬化部位は、液圧成形後に目的形状の角部となる金属板の部分に形成される。したがって、本実施形態と目的形状が異なる場合には、該目的形状に合わせたパターンで、硬化部位15Aが成形される。このように、硬化部位15Aのパターンを、上型40の底部44の縁形状と合わせているので、予備成形体30Aを液圧成形すると、硬化部位15Aと上型40の底部44の隅である隅部45との位置が合う。
【0034】
ここで、硬化部位15Aと上型40の隅部45との位置が合うので、硬化部位15Aの隆起の頂点の曲率半径R1と、金型40の隅部45の曲率半径R0とが一致するように、硬化部位15Aを成形することが好ましい。
【0035】
また、硬化部位15Aの隆起の裾部分の曲率半径R2は、次式を満たすことが好ましい。なお、kは定数、Tsは金属板10Aの引張強度、tは金属板10Aの板厚である。
【0036】
【式1】
【0037】
上記式(1)について説明すると、曲率半径R2は、曲率半径Rpminよりも大きいことを示す。曲率半径Rpminは、設備が最大限に出力しうる成形媒体の圧力pmaxにより変形可能な曲率半径の最小値を示す。曲率半径が大きくなるほど、低い液圧の成形媒体により形成可能となる。したがって、曲率半径R2を曲率半径Rpminよりも大きくなるようにしておけば、圧力P2(=Pmax)で成形媒体が供給されれば、必ず、硬化部位15Aの裾部分が変形されることとなる。
【0038】
このように、硬化部位15Aの隆起の裾部分の曲率半径R2を定めておくことによって、予備成形体30を目的形状に成形するために、圧力P2で成形媒体を注入すれば、隆起の裾部分が矯正され、上型40の形状に合致することとなる。
【0039】
上記金属板10Aと同じ要領で、金属板20Aにも、硬化部位25Aが設けられている。このように硬化部位15A、25Aを設けた金属板10A、20Aの両者を重ね合わせて端部を溶接して、予備成形体30Aとする。
【0040】
上記硬化部位15A、25A間に成形媒体が注入されて、液圧成形される様子を説明する。
【0041】
成形媒体注入前は、図5に示すように、金属板10Aと金属板20Aとは、硬化部位15A、25A以外で、ぴったり重なっている。圧力P1で成形媒体を注入すると、図6に示すように、次第に金属板10Aと金属板20Aの間が広がっていく。これに伴って、金属板10Aおよび20Aの端部の外周接合部31が、金型40、50内に引き込まれていく。
【0042】
予備成形体30Aは、硬化部位15A、25Aの作用により、太鼓状にはならず、膨張の先端16A、26Aと共に硬化部位15A、25Aも膨らんだ形で膨張していく。そして、膨張の先端16A、26Aが金型の底部44、54に触れると、予備成形体30Aの膨張が停止する。この時点で、予備成形体30Aは、膨張前よりも、金型40、50の側壁46の長さだけ金型40、50内に引き込まれている。また、硬化部位15Aの曲率半径R2は、ほとんど変形していないか、多少変形して曲率半径R2’となっている。
【0043】
そして、液圧を圧力P2にして成形媒体を追加注入すると、図8に示すように、上記曲率半径R2またはR2’は矯正される。これにより、圧力P1では残っていた僅かな金型40、50と予備成形体30Aとの間の隙間がなくなり、予備成形体30Aと金型40、50のキャビティ41、51との形状が合致する。目的形状となった予備成形体30A内から成形媒体を除去し、金型40、50を取り外すと、図4に示すように、硬化部位15A、25Aが縁となって、金型40、50と合致する製品が得られる。
【0044】
以上のように、第1実施形態では、予め硬化部位15A、25Aが所定のパターンで予備成形体30Aに設けられている。予備成形体30Aは、このパターンに従って、これを維持しようと作用し、鉄板10A、20Aの形状変化が制御される。したがって、予備成形体30Aが太鼓状に膨らまないので、予備成形体30A内の内容積が充分大きくなってから、膨らみの先端16A、26Aが底部44、54に接触する。
【0045】
この結果、第2段階で成形媒体の圧力をP2に変更した後、予備成形体30Aが目的形状に達するまでに増える内容積は小さくなる。したがって、第2段階で内容積増加のための板厚減少による予備成形体30Aの変形がほとんどない。
【0046】
加えて、圧力P2で液圧媒体を供給した後に、硬化部位15A、25Aの裾部分の曲率半径R2またはR2’が矯正されて、目的形状になるので、その分板厚減少が起こらない。板厚減少が起こらないので、出来上がった製品の強度を高く維持できる。特に、硬化部位15A、25Aが配置される製品の角部において、強い強度を維持できる。
【0047】
また、硬化部位15A、25Aをプレス成形により成形しているので、金属板10A、20Aに硬化部位15A、25Aを与える形状および範囲を容易に選択、変更できる。
【0048】
また、プレス成形により硬化部位15A、25Aに形状を与えておくことができるので、該形状を液圧成形により実現する必要がない。例えば、高い液圧でしか実現できないような形状を予め成形加工により実現しておくことで、実際の液圧加工では該形状を実現する必要がなくなり、低い液圧で所望の目的形状を得ることができる。低い液圧でよいので、大型の液圧発生装置を用意する必要がなく、低コスト化につながる。
【0049】
(第2の実施の形態)
図9は硬化処理を施した金属板を示す斜視図、図10は液圧成形後の金属板を示す斜視図、図11は図9に示す予備成形体のI−I断面図、図12は高圧液体注入中の予備成形体の変形を示す断面図、図13は図12に続く予備成形体の変形を示す断面図、図14は図10に示す予備成形体のII−II断面図である。
【0050】
第1実施形態では、プレス成形によって剛性を強化して、硬化部位15A、25Aを設けている。これに対し、第2実施形態では、レーザ焼入れにより硬度を高めて、硬化部位15B、25Bを設けている。
【0051】
図9に示すように、予備成形体30Bを構成する金属板10Bには、硬化部位15Bが設けられている。該硬化部位15Bは、金属板10Bに予めレーザ焼入れを施すことによって付与される。レーザ焼入れにより、硬化部位15Bは、例えば、他の部分よりも1.4倍程度の硬度に向上される。レーザ焼入れでは、第1実施形態の硬化部位15Aとは異なり、硬化部位15Bは隆起した形状とはならない。
【0052】
硬化部位15Bは、図9に示すようなパターンに設けられる。このパターンは、上型40のキャビティ41の底部44(図5参照)の縁形状に合わせられる。第1実施形態では、予備成形体30Aが膨張すると、硬化部位15Bは上型40の隅部45との位置が合うように設けられているが、第2実施形態では、予備成形体30Bが膨出すると、硬化部位15Bは隅部45よりも内側にくるように設けられている。すなわち、硬化部位15Bは、液圧成形後に目的形状の頂面の縁の部分に形成される。
【0053】
金属板20Bにも、金属板10Bと同様にレーザ焼入れが行われ、硬化部位25Bが設けられている。金属板10B、20Bの両者にレーザ焼入れによる硬化処理を施した後に、それらを重ね合わせて端部を溶接して、予備成形体30Bとする。
【0054】
上記硬化部位15B、25B間に成形媒体が注入されて、液圧成形される様子を説明する。
【0055】
成形媒体注入前は、図11に示すように、金属板10Bと金属板20Bとは、ぴったり重なっている。圧力P1で成形媒体を注入すると、図12に示すように、次第に金属板10Bと金属板20Bの間が広がっていく。これに伴って、金属板10Bおよび20Bの端部の外周接合部31が、金型40、50内に引き込まれていく。
【0056】
予備成形体30Bは、膨張の先端16B、26Bが金型の底部44、54に触れると、通常、それ以上の底部44、54方向の膨張が制限される。しかし、第2実施形態では、硬化部位15B、25Bにより形成されたパターンが崩れないように、該硬化部位15B、25Bが作用する。したがって、膨張の先端16B、26Bが底部44、54に当っても、パターンを平面に戻そうとする硬化部位15B、25Bの抗力が働く。この結果、予備成形体は太鼓状に膨張するものの、硬化部位15B、25Bがない場合に比べて曲率が小さな太鼓状となる。これにより、液圧P1の第1段階で、図13に示すように、予備成形体30Bの内容積を大きくすることができる。
【0057】
この時点で、予備成形体30Bは、膨張前よりも、金型40、50の側壁46の長さだけ金型40、50内に引き込まれている。また、第1段階では、成形媒体の圧力P1によって、以下の式(2)で示す曲率半径Rp1よりも大きな曲率半径R1の折れが予備成形体30Bに形成される。なお、kは定数、Tsは金属板10Aの引張強度、tは金属板10Aの板厚である。
【0058】
【式2】
【0059】
ここで、成形媒体の内液圧を圧力P2(Pmax)にすると、図14に示すように、さらに、予備成形体30Bが膨張する。そして、上記折れの曲率半径R1は、さらに以下の式(3)に従って曲率半径R2に変形する。
【0060】
【式3】
【0061】
すなわち、最終的に予備成形体30Bに形成される折れは、圧力Pmaxにより形成され得る曲率半径Rpminよりも大きな曲率半径R2に形成される。金型40、50の隅部45、55の曲率半径R0がRpminよりも小さければ、予備成形体30Bの折れの曲率半径R2は、R0と略同等になる。この場合、予備成形体30Bと金型40、50のキャビティ41、51との形状が合致する。出来上がった製品(予備成形体30B)内から成形媒体を除去し、金型40、50を取り外すと、図10に示すように、硬化部位15B、25Bが縁となって、金型40、50と合致する目的形状が得られる。
【0062】
以上のように、第2実施形態では、予め硬化部位15B、25Bが所定のパターンで予備成形体30Bに設けられている。このパターンに従って、予備成形体30Bが膨張するので、液圧P1で成形媒体を供給したときに、予備成形体30B内の内容積が充分大きくなってから、膨らみの先端16A、26Aが底部44、54に接触する。
【0063】
この結果、成形媒体の圧力をP2に変更した後、予備成形体30Aが目的形状に達するまでに増える内容積は小さい。したがって、内容積増加のための板厚減少による予備成形体30Aの変形がほとんどない。加えて、圧力P2で液圧媒体を供給した後に、硬化部位15A、25Aの裾部分の曲率半径R2またはR2’が矯正されて、目的形状になるので、その分板厚減少が起こらない。板厚減少が起こらないので、出来上がった製品の強度を高く維持できる。
【0064】
また、硬化部位15B、25Bをレーザ焼入れにより設けるので、目的形状に合わせて、金属板の一部に施す硬化処理の形状および範囲を容易に選択できる。
【0065】
(第3の実施の形態)
図15は硬化処理を施した金属板を示す斜視図、図16は液圧成形後の金属板を示す斜視図、図17は図15に示す予備成形体のI−I断面図、図18は高圧液体注入中の予備成形体の変形を示す断面図、図19は図18に続く予備成形体の変形を示す断面図、図20は図16に示す予備成形体のII−II断面図である。
【0066】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、プレス成形によって剛性を強化して、硬化部位15C、25Cを設けている。ただし、プレス成形により成形される硬化部位15C、25Cのパターンが、第1実施形態と異なる。図15に示すように、第3実施形態では、閉じた硬化部位の中に、さらに硬化部位を成形している。このようなパターンで、硬化部位15C、25Cを成形した後に、金属板10Cおよび金属板20Cを重ね合わせて、端部を溶接して、予備成形体30Cとしている。
【0067】
図17に示すように、硬化部位15C、25Cは、第1実施形態と同様に、金型40、50の隅部45、55の曲率半径R0と略同じ曲率半径R1を有する。さらに、第2段階の圧力P2(Pmax)によって矯正可能な曲率半径R2も有する。
【0068】
予備成形体30Cは、第1段階における圧力P1の成形媒体の供給により、図17〜図19に示すように次第に膨張する。ここで、硬化部位15C、25Cは、パターンが崩れないように作用する。これにより、図19に示すように、予備成形体30Cは、内容積が大きく確保された状態で膨張する。
【0069】
その後、予備成形体30Cは、第2段階における圧力P2の成形媒体の供給により、図20に示すように、目的形状に膨出される。ここでは、予備成形体30Cは、圧力P2により矯正可能な曲率半径R2を有するので、該当部分が矯正され、金型40、50と合致する。出来上がった製品(予備成形体30C)内から成形媒体を除去し、金型40、50を取り外すと、図16に示すように、硬化部位15C、25Cが縁となって、金型40、50と合致する目的形状が得られる。
【0070】
以上のようにして予備成形体30Cを膨張することによって、第3実施形態においても、第1実施形態と同種の効果が得られる。
【0071】
(第4の実施の形態)
図21は硬化処理を施した金属板を示す斜視図、図22は液圧成形後の金属板を示す斜視図、図23は図21に示す予備成形体のI−I断面図、図24は高圧液体注入中の予備成形体の変形を示す断面図、図25は図24に続く予備成形体の変形を示す断面図、図26は図22に示す予備成形体のII−II断面図である。
【0072】
第4実施形態では、第2実施形態と同様に、レーザ焼入れによって硬度を高めて、硬化部位15D、25Dを設けている。ただし、焼入れにより設けられる硬化部位15D、25Dのパターンが、第1位実施形態と異なる。第4実施形態では、図21および図23に示すように、レーザ焼入れを、目的形状に膨出したときに頂面となる箇所の全体に硬化処理を施している。このようなパターンで、硬化部位15D、25Dを成形した後に、金属板10Dおよび金属板20Dを重ね合わせて、端部を溶接して、予備成形体30Dとしている。
【0073】
予備成形体30Cは、第1段階における圧力P1の成形媒体の供給により、図23〜図26に示すように次第に膨張する。ここで、硬化部位15D、25Dは、パターンが崩れないように作用する。これにより、図25に示すように、予備成形体30Dは、内容積が大きく確保された状態で膨張する。予備成形体30Dの頂面16D、26Dの全体に硬化部位15D、25Dが設けられているので、第2実施形態に比較して、より内容積が大きく確保された状態で膨張する。
【0074】
その後、予備成形体30Cは、第2段階における圧力P2の成形媒体の供給により、図26に示すように、目的形状に膨出される。このように出来上がった製品(予備成形体30D)内から成形媒体を除去し、金型40、50を取り外すと、図16に示すように、金型40、50と合致する目的形状が得られる。
【0075】
以上のようにして予備成形体30Dを膨張することによって、第4実施形態においても、第2実施形態と同種の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な予備成形体を示す断面図である。
【図2】一般的な液圧成形装置を示す断面図である。
【図3】硬化処理を施した金属板を示す斜視図である。
【図4】液圧成形後の金属板を示す斜視図である。
【図5】図3に示す予備成形体のI−I断面図である。
【図6】高圧液体注入中の予備成形体の変形を示す断面図である。
【図7】図6に続く予備成形体の変形を示す断面図である。
【図8】図4に示す予備成形体のII−II断面図である。
【図9】硬化処理を施した金属板を示す斜視図である。
【図10】液圧成形後の金属板を示す斜視図である。
【図11】図9に示す予備成形体のI−I断面図である。
【図12】高圧液体注入中の予備成形体の変形を示す断面図である。
【図13】図12に続く予備成形体の変形を示す断面図である。
【図14】図10に示す予備成形体のII−II断面図である。
【図15】硬化処理を施した金属板を示す斜視図ある。
【図16】液圧成形後の金属板を示す斜視図である。
【図17】図15に示す予備成形体のI−I断面図である。
【図18】高圧液体注入中の予備成形体の変形を示す断面図である。
【図19】図18に続く予備成形体の変形を示す断面図である。
【図20】図16に示す予備成形体のII−II断面図である。
【図21】硬化処理を施した金属板を示す斜視図である。
【図22】液圧成形後の金属板を示す斜視図である。
【図23】図21に示す予備成形体のI−I断面図である。
【図24】高圧液体注入中の予備成形体の変形を示す断面図である。
【図25】図24に続く予備成形体の変形を示す断面図である。
【図26】図22に示す予備成形体のII−II断面図である。
【符号の説明】
10、10A〜D、20、20A〜D…金属板、
15A〜D、25A〜D…硬化部位、
30、30A〜D…予備成形体、
40…上型、
44…底部、
45…隅部、
46…側壁、
50…下型。
Claims (9)
- 金属板同士を重ね合わせてその外周面を溶接して形成された予備成形体を、凹状成形面が形成された上下型間に挟み込み、金属板間に液状の成形媒体を注入して、前記凹状成形面の形状に合致するまで膨張させて目的形状を得るための液圧成形方法であって、
前記金属板は、一部に硬化部位が形成されていることを特徴とする液圧成形方法。 - 前記硬化部位は、前記金属板に成形加工を施すことによって、剛性を高めて前記金属板の一部に形成される請求項1に記載の液圧成形方法。
- 前記成形加工は、プレス加工である請求項2に記載の液圧成形方法。
- 前記硬化部位は、前記成形加工により、予め前記目的形状の一部と合致する形状に形成されている請求項2に記載の液圧成形方法。
- 前記成形加工により形成される硬化部位は、前記成形媒体の注入時に矯正可能な形状である請求項2に記載の液圧成形方法。
- 前記金属板の一部に形成される硬化部位は、レーザ焼入れにより形成される請求項1に記載の液圧成形方法。
- 前記硬化部位は、液圧成形後に前記目的形状の角部となる金属板の部分に形成される請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の液圧成形方法。
- 前記硬化部位は、液圧成形後に前記目的形状の頂面となる金属板の部分に形成される請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の液圧成形方法。
- 金属板同士を重ね合わせてその外周面を溶接して形成された予備成形体を、凹状成形面が形成された上下型間に挟み込み、金属板間に液状の成形媒体を注入して、前記凹状成形面の形状に合致するまで膨張させて目的形状を得るための液圧成形方法に用いる液圧成形用金属板であって、
一部に硬化部位が形成されていることを特徴とする液圧成形用金属板。
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