JP4016847B2 - 液圧成形装置および液圧成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液圧成形装置および液圧成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液圧成形装置においては、縁部が接合された2枚の金属板材からなる予備成形体に、高圧の成形媒体を注入することにより、予備成形体を膨出変形させ、複雑な形状の成形品を得ている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−96116号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の液圧成形装置においては、最終液圧に対応する圧力発生装置を有している。最終液圧は、高圧であるため、圧力発生装置の単位時間当たりの吐出流量が限られる。
【0005】
したがって、予備成形体を膨出変形させるために多量の成形媒体を必要とする初期から中間期までの所要時間が、非常に長くなる。そのため、例えば、稼働時間を生産個数で除して算出されるタクトタイムが長くなり、生産性を低下させる問題点を有している。
【0006】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、良好な生産性を有する液圧成形装置および液圧成形方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
重ね合せられた少なくとも2枚の板材からなり、成形媒体が注入される液圧注入部を有する予備成形体を、挟み込んで型締めするための上型および下型を有する金型と、
前記予備成形体に、液圧注入部を経由して成形媒体を供給するための注入手段と、
成形媒体を多量に供給することに適した特性を有する第1圧力発生装置と、前記第1圧力発生装置に比較し、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する第2圧力発生装置とを含んでいる、特性の異なる複数の圧力発生装置と、
前記注入手段と前記第1および第2圧力発生装置とに接続され、成形媒体が流れる液圧回路と、
前記予備成形体の成形進行状況に応じて、成形媒体を供給するために使用される圧力発生装置を、前記第1圧力発生装置から前記第2圧力発生装置に切換えるための切換手段と
を有することを特徴とする液圧成形装置である。
【0008】
上記目的を達成するための請求項9に記載の発明は、
特性の異なる複数の圧力発生装置を使用する液圧成形方法であって、
前記圧力発生装置は、成形媒体を多量に供給することに適した特性を有する第1圧力発生装置と、前記第1圧力発生装置に比較し、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する第2圧力発生装置とを含んでおり、
重ね合せられた少なくとも2枚の板材からなり、成形媒体が注入される液圧注入部を有する予備成形体を、上型および下型を有する金型によって、挟み込んで型締めし、
予備成形体の成形進行状況に応じて、成形媒体を供給するために使用される圧力発生装置を、前記第1圧力発生装置から前記第2圧力発生装置に切換え、
切換えられた前記第2圧力発生装置からの成形媒体を、前記第2圧力発生装置と、前記液圧注入部を経由して成形媒体を供給するための注入手段とに接続される液圧回路を経由して、前記予備成形体の液圧注入部に供給する
ことを特徴とする液圧成形方法である。
【0009】
【発明の効果】
上記のように構成した本発明は以下の効果を奏する。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、予備成形体の成形進行状況に応じて、使用される圧力発生装置を、成形媒体を多量に供給することに適した特性を有する第1圧力発生装置から、前記第1圧力発生装置に比較し、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する第2圧力発生装置に切換えることにより、必要とされる成形媒体の圧力および流量を確保するために適した特性を有する圧力発生装置を、適宜使用することができる。したがって、単一の特性を有する圧力発生装置を使用する場合に比べ、タクトタイムを短縮して、高い生産性を得ることができる。つまり、良好な生産性を有する液圧成形装置を提供することができる。
【0011】
請求項9に記載の発明によれば、予備成形体の成形進行状況に応じて、使用される圧力発生装置を、成形媒体を多量に供給することに適した特性を有する第1圧力発生装置から、前記第1圧力発生装置に比較し、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する第2圧力発生装置に切換えることにより、必要とされる成形媒体の圧力および流量を確保するために適した特性を有する圧力発生装置が、適宜使用される。したがって、単一の特性を有する圧力発生装置を使用する場合に比べ、タクトタイムが短縮され、高い生産性が得られる。つまり、良好な生産性を有する液圧成形方法を提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態1に係る成形品20を説明するための斜視図、図2は、成形品20に係る予備成形体10を説明するための斜視図である。
【0014】
成形品20は、例えば、自動車構造部材であり、予備成形体10を液圧成形することによって得られる。予備成形体10は、重ね合せられた少なくとも2枚の板材11,15からなり、成形媒体が注入される一対の液圧注入部18,19を有する。板材11,15は、例えば、1.8mmの鋼板からなり、材料強度が440MPaである。
【0015】
板材11,15の端部周辺は、接合部16,17を有する。接合部16,17は、例えば、レーザー溶接、アーク溶接、あるいは、接着剤により、全周に形成されており、気密性が確保されている。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態1に係る液圧成形装置を説明するための断面図である。実施の形態1に係る液圧成形装置は、金型30,35、軸押しポンチ40,50、軸押しシリンダ45,55、特性の異なる1対の圧力発生装置(第1および第2圧力発生装置)60,70、圧力発生装置60,70に接続され、成形媒体が流れる液圧回路、および、制御装置90を有する。
【0017】
金型30,35は、予備成形体10を挟み込んで型締めするための上型および下型からなる。上型30および下型35は、近接離間可能であり、成形品20の外形形状に対応するキャビティ31,36が形成されている。
【0018】
軸押しポンチ40,50は、上型30および下型35の側面に配置され、軸押しシリンダ45,55に連結されている。軸押しポンチ40,50は、予備成形体10の液圧注入部18,19を経由して、成形媒体を予備成形体10に供給するための1対の注入ノズル(注入手段)41,51が形成されている。注入ノズル41,51は、液圧注入部18,19に対応している。
【0019】
軸押しシリンダ45,55は、軸押しポンチ40,50を、金型内に進退自在に支持している。軸押しシリンダ45,55の駆動源は、例えば、油圧あるいは空圧である。軸押しシリンダ45,55は、制御手段46,56によって自在に作動させられる。制御手段46,56は、例えば、電磁バルブである。
【0020】
圧力発生装置60は、増圧シリンダによって構成され、2次側ピストン面積62が1次側ピストン面積61に比べ充分大きく設定されている。したがって、圧力発生装置60は、比較的低圧の成形媒体を多量に供給することに適した特性を有する。また、圧力発生装置60は、例えば、電磁バルブを有する制御手段63によって作動させられる。
【0021】
圧力発生装置70は、増圧シリンダによって構成され、2次側ピストン面積72が1次側ピストン面積71に比べ充分小さく設定されている。したがって、圧力発生装置70は、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する。また、圧力発生装置70は、例えば、電磁バルブを有する制御手段73によって作動させられる。
【0022】
また、圧力発生装置60,70は、注入ノズル41,51が設けられる側に配置される。したがって、装置(金型)の構造を簡素化することができる。なお、圧力発生装置60,70は、増圧シリンダによって構成することに限定されない。
【0023】
液圧回路は、液圧通路65,75を有する。液圧通路65は、軸押しポンチ40の注入ノズル41と接続する一方、逆止弁66、低圧用の圧力発生装置(圧力発生装置の一方)60、逆止弁66、ポンプ67、および、成形媒体タンク68が、順に接続されている。
【0024】
液圧通路75は、軸押しポンチ50の注入ノズル51から延長し、切換バルブ77を介し、高圧用の圧力発生装置(圧力発生装置の他方)70および成形媒体タンク78に接続している。軸押しポンチ50の注入ノズル51と切換バルブ77との間には、成形媒体の圧力を検出するための圧力検出手段76が配置されている。
【0025】
切換バルブ77は、圧力検出手段76によって検出された圧力が、設定圧力に達した際に、成形媒体を供給するために使用される圧力発生装置を切換えるために使用される。また、切換バルブ77は、高圧の成形媒体を抜き出す(除圧する)ためや、液圧通路65,75および予備成形体10の内部に存在する空気を効率的に排出するためにも使用される。
【0026】
空気を排出する場合は、例えば、切換バルブ77によって液圧通路75を成形媒体タンク78に接続する。そして、ポンプ67を作動させ、成形媒体を、液圧通路65および軸押しポンチ40の注入ノズル41を経由し、予備成形体10の内部に供給する。成形媒体は、内部に存在する空気を、軸押しポンチ50の注入ノズル51および液圧通路75を経由して、成形媒体タンク78に排出させる。
【0027】
つまり、液圧回路65,75および予備成形体10の内部に存在する空気を、容易に抜くことができる。この場合、成形媒体の充填がより円滑となり、また、成形品の品質が向上する。
【0028】
制御装置90は、制御手段46,56,63,73、切換バルブ77、および圧力検出手段76に接続されており、液圧回路65,75を制御すると共に、軸押しシリンダ45,55および増圧シリンダ60,70を自在に作動させる。つまり、制御装置90は、予備成形体10の成形進行状況に応じて、成形媒体を供給するために使用される圧力発生装置を切換えるための切換手段としての機能を有する。
【0029】
したがって、使用される圧力発生装置を切換えることにより、予備成形体10の成形進行状況に応じて必要とされる成形媒体の圧力および流量を確保するために適した特性を有する圧力発生装置を、適宜使用することができる。
【0030】
例えば、成形媒体の圧力が低圧である過程(例えば、膨出変形が急激に進行する初期)においては、低圧の成形媒体を多量に供給することに適した特性を有する圧力発生装置60を作動させる。そして、成形媒体の圧力が高圧となる過程(例えば、中間期以後)においては、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する圧力発生装置70を作動させる。
【0031】
この場合、初期から中間期までの所要時間を、短くすることができる。したがって、単一の特性を有する圧力発生装置を使用する場合に比べ、タクトタイムを短縮して、高い生産性を得ることができる。また、成形品の良好な形状寸法精度が得られ、成形品の品質を確保できる。
【0032】
また、制御装置90は、成形媒体の圧力情報を、圧力検出手段76から取得する。したがって、成形媒体の圧力を検出することにより、予備成形体10の成形進行状況を正確にモニタリングできるため、最適な圧力発生装置を選択することが可能である。
【0033】
次に、実施の形態1に係る液圧成形装置を使用した液圧成形方法を説明する。なお、図4は、金型の型締めを説明するための断面図、図5は、軸押しポンチの押し込みを説明するための断面図、図6は、液圧成形の終了時を示している断面図である。
【0034】
本液圧成形方法においては、予備成形体の成形進行状況に応じて、成形媒体を供給するために使用される圧力発生装置を、圧力発生装置(第1圧力発生装置)60から圧力発生装置(第2圧力発生装置)70に切換え、切換えられた圧力発生装置70からの成形媒体を、圧力発生装置70と、液圧注入部を経由して成形媒体を供給するための注入手段とに接続される液圧回路を経由して、予備成形体の液圧注入部に供給する。
【0035】
詳述すると、まず、図1に示される予備成形体10が、上型30および下型35を有する金型によって、挟み込まれて型締めされる(図4参照)。
【0036】
次に、制御装置90は、軸押しシリンダ45,55を駆動し、軸押しポンチ40,50を金型側に押し込める(図5参照)。予備成形体10の液圧注入部18,19は、軸押しポンチ40,50により拡張されると共に、上型30および下型35により拡張が規制される。そのため、予備成形体10の液圧注入部18,19は、軸押しポンチ40,50に密着して、シール部12が形成され、予備成形体10の気密が確保される。
【0037】
その後、制御装置90は、切換バルブ77を成形媒体タンク78側に開け、ポンプ67を作動させ、成形媒体を、注入ノズル41を経由して予備成形体10の内部に供給する。その結果、供給された成形媒体によって、液圧回路65,75および予備成形体10の内部に存在する空気が、成形媒体タンク78側に効率的に排出される。
【0038】
そして、制御装置90は、低圧用の圧力発生装置60を作動させ、また、切換バルブ77を閉める。この場合、成形媒体の圧力が低圧である過程における所要時間が、短くなる。したがって、タクトタイムを短縮され、高い生産性が得られる。また、液圧回路65,75および予備成形体10の内部に存在していた空気が排出されているため、成形媒体の充填がより円滑となり、また、成形品の品質が向上する。
【0039】
次に、圧力検出手段76により検出される成形媒体の圧力が、所定圧力に達したら、制御装置90は、切換バルブ77を圧力発生装置70側に切り換え、圧力発生装置70を作動させる。圧力発生装置70は、高圧の成形媒体を予備成形体10の内部に注入し、最終液圧を付加する。
【0040】
つまり、成形媒体の圧力が高圧となる過程においては、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する圧力発生装置70が作動される。したがって、成形品の良好な形状寸法精度が得られ、成形品の品質を確保できる。
【0041】
以上のように、予備成形体の成形進行状況に応じて、使用される圧力発生装置を、成形媒体を多量に供給することに適した特性を有する圧力発生装置(第1圧力発生装置)60から、圧力発生装置60に比較し、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する圧力発生装置(第2圧力発生装置)70に切換えることにより、必要とされる成形媒体の圧力および流量を確保するために適した特性を有する圧力発生装置が、適宜使用される。したがって。単一の特性を有する圧力発生装置を使用する場合に比べ、タクトタイムが短縮され、高い生産性が得られる。
【0042】
その後、予備成形体10は、成形品20の外形形状に対応する上型30および下型35のキャビティ31,36に合致した形状まで膨出成形され、液圧成形が完了する(図6参照)。制御装置90は、切換バルブ77を作動させ、高圧の成形媒体を抜き出す。除圧後、型開きされ、得られた成形品20は、金型から取り出され、両端に形成されている液圧注入部18,19が、適宜切除される。
【0043】
次に、成形媒体の圧力と流量の関係を詳述する。なお、図7(A)〜(D)は、液圧成形の開始時、初期、中間期、終了時を説明するための断面図、図8は、予備成形体の膨出変形の進行による成形媒体の圧力と流量の経時変化を示しているグラフである。
【0044】
図7(A)に示される開始時の状態から、図7(B)に示される予備成形体10の膨出変形が急激に進行する初期、図7(C)に示される予備成形体10の膨出部の頂点13が上型30および下型35のキャビティ31,36に最初に接する中間期(液圧P1)に達するまでは、図8のグラフに示されるように、液圧は小さい一方、成形媒体の流量は、大きい。
【0045】
そして、図7(C)に示される中間期を過ぎて、予備成形体10における上型30および下型35のキャビティ31,36に接触する面積が増大するに従って、必要とされる液圧は、P1(例えば、10MPa)からP2(例えば、25MPa)に上昇する一方、必要とされる成形媒体の流量は、相対的に低下する。そして、液圧は、P2の前後から急激に上昇する。
【0046】
その後、液圧は、キャビティ31,36の角部近傍32の成形に必要な(成形品の角部曲率半径が得られる)最終液圧P3(例えば、120MPa)まで上昇し、予備成形体10は、最終の製品形状に成形される。
【0047】
成形媒体の圧力および流量は、上記関係を有するため、成形媒体の圧力が低圧である過程においては、圧力発生装置60を作動させることで、成形媒体の充填時間を、圧力発生装置70を作動させる場合に比べ、大幅に短縮できる。
【0048】
そして、成形媒体の圧力が高圧となる過程においては、低圧大流量の圧力発生装置60から、圧力発生装置60に比べて高い圧力が発生できる高圧用の圧力発生装置70に切換えることにより、良好な形状寸法精度が得られる。つまり、成形品の品質を確保しながら、タクトタイムを短縮することができる。
【0049】
圧力発生装置を切換えるための設定圧力は、例えば、図7(C)の液圧(金型の少なくとも角部近傍以外の部位と、膨出変形している予備成形体とが接触するために必要とされる圧力)P1である。しかし、設定圧力は、液圧P1に限定されず、液圧P1と液圧P2の間の液圧(例えば、20MPa)を選定することも可能である。
【0050】
また、圧力発生装置の切換は、成形媒体の圧力の検出結果に基づくことに限定されず、例えば、金型内部に距離センサなどを設けることにより、予備成形体10の成形進行状況を直接検出することによっても、実行することができる。
【0051】
以上のように、実施の形態1においては、単一の特性を有する圧力発生装置を使用する場合に比べ、タクトタイムが短縮され、高い生産性が得られる。つまり、良好な生産性を有する液圧成形装置および液圧成形方法を提供することができる。また、実施の形態1は、一対の液圧注入部を有する予備成形体に対する適用が容易である。
【0052】
図9は、本発明の実施の形態2に係る予備成形体および液圧成形装置を説明するための断面図、図10は、図9に示される液圧成形装置の要部拡大断面図、図11は、液圧成形の終了時を示している断面図である。
【0053】
実施の形態2に係る予備成形体110は、単一の液圧注入部114を有する点で、実施の形態1に係る予備成形体10と概して異なっている。液圧注入部114は、ドーム状であり、液圧注入部114の下方に位置する板材115の部位には、開口部118が形成されている。また、液圧注入部114に隣接する板材111,115の部位には、液圧流路119が形成されている。なお、符号116,117は、縁部で気密を保つための接合部である。
【0054】
実施の形態2に係る液圧成形装置は、金型130,135、ノズル部180、特性の異なる1対の圧力発生装置160,170、圧力発生装置160,170に接続され、成形媒体が流れる液圧回路、および、制御装置190を有する。
【0055】
金型130,135は、予備成形体110を挟み込んで型締めするための上型および下型からなる。上型130および下型135は、成形品120の外形形状に対応するキャビティ131,136が形成されている。
【0056】
また、上型130は、予備成形体110の液圧注入部114に対応する凹部134と、予備成形体110の液圧流路119に対応する凹溝133とを有する。下型135は、ノズル部180が配置される凹部137を有する。ノズル部180は、板材115の開口部118に挿入可能である。
【0057】
なお、ノズル部180は、予備成形体110の液圧注入部114に対応する単一の注入手段であり、下型135の内部を通過して延長する成形媒体が流れる通路181を有している。
【0058】
圧力発生装置160は、2次側ピストン面積162が1次側ピストン面積161に比べ充分大きく設定されている増圧シリンダによって構成され、低圧の成形媒体を多量に供給することに適した特性を有する。また、圧力発生装置160は、例えば、電磁バルブを有する制御手段163によって作動させられる。
【0059】
圧力発生装置170は、2次側ピストン面積172が1次側ピストン面積171に比べ充分小さく設定されている増圧シリンダによって構成され、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する。また、圧力発生装置170は、例えば、電磁バルブを有する制御手段173によって作動させられる。
【0060】
また、圧力発生装置160,170は、ノズル部180が設けられる側に配置されるため、装置(金型)の構造を簡素化することができる。
【0061】
液圧回路は、液圧通路165を有する。液圧通路165は、ノズル部180から延長する通路181と接続する一方、圧力検出手段176、高圧用の圧力発生装置170、逆止弁166、低圧用の圧力発生装置160、逆止弁166、ポンプ167、および、成形媒体タンク168が、順に接続されている。
【0062】
圧力発生装置60,70の切換えには、実施の形態1と異なり、切換バルブを用いる必要はなく、逆止弁166,166の存在によって、圧力発生装置70の使用時には、圧力発生装置60側の回路は、遮断される。
【0063】
また、通路181と圧力検出手段176との間には、分岐部165Aが設けられており、切換バルブ177が接続されている。切換バルブ177は、成形媒体タンク178に接続されている。切換バルブ177は、高圧の成形媒体を抜き出す(除圧する)ために使用される。
【0064】
制御装置190は、制御手段163,173、圧力検出手段176、および切換バルブ177に接続されており、圧力検出手段176によって検出される成形媒体の圧力に基づいて、圧力発生装置160,170を作動させる。
【0065】
つまり、制御装置190は、予備成形体110の成形進行状況に応じて、成形媒体を供給するために使用される圧力発生装置を切換えるための切換手段としての機能を有する。
【0066】
したがって、成形媒体の圧力が低圧である過程(例えば、初期)においては、低圧用の圧力発生装置160を作動させ、成形媒体の圧力が高圧となる過程(例えば、中間期以後)においては、高圧用の圧力発生装置170を作動させることによって、初期の所要時間を短くし、タクトタイムを短縮して、高い生産性が得ることができる。また、成形品の良好な形状寸法精度が得られ、成形品の品質を確保できる。
【0067】
また、制御装置190は、成形媒体の圧力情報を、圧力検出手段176から取得する。したがって、成形媒体の圧力を検出することにより、予備成形体の成形進行状況を正確にモニタリングできるため、最適な圧力発生装置を選択することが可能である。
【0068】
次に、実施の形態2に係る液圧成形装置を使用した液圧成形方法を説明する。なお、図11は、液圧成形の終了時を示している断面図である。
【0069】
まず、予備成形体110が、上型130および下型135を有する金型によって、挟み込まれて型締めされる。その結果、予備成形体110の液圧注入部114および液圧流路119は、上型130の凹部134および凹溝133に位置決めされ、一方、予備成形体110の開口部118には、ノズル部180が貫挿され、気密が確保される。
【0070】
次に、制御装置190は、ポンプ167を作動させ、成形媒体を液圧通路165および通路181内に満たした後、切換バルブ177を閉める。そして、制御装置190は、圧力発生装置160を作動させ、比較的低圧で大流量の成形媒体を、平板状の予備成形体110の内部に注入する。この場合、成形媒体の圧力が低圧である過程における所要時間が、短くなる。したがって、タクトタイムを短縮され、高い生産性が得られる。
【0071】
次に、圧力検出手段176により検出される成形媒体の圧力が、所定値に達したら、制御装置190は、圧力発生装置160の作動を停止し、圧力発生装置170を作動させる。圧力発生装置170は、高圧の成形媒体を予備成形体110の内部に注入し、最終液圧を付加する。
【0072】
つまり、成形媒体の圧力が高圧となる過程においては、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する圧力発生装置170が作動される。なお、圧力発生装置160から圧力発生装置170への切換に際し、逆止弁166,166の存在によって、圧力発生装置60側の回路は遮断される。したがって、成形品の良好な形状寸法精度が得られ、成形品の品質を確保できる。
【0073】
その後、予備成形体110は、成形品120の外形形状に対応する上型130および下型135のキャビティ31,36に合致した形状まで膨出成形され、液圧成形が完了する(図11参照)。
【0074】
次に、制御装置190は、切換バルブ177を作動させ、高圧の成形媒体を抜き出す。除圧後、型開きされ、得られた成形品120は、金型から取り出された後、一端に形成されている液圧注入部118が、適宜切除される。
【0075】
以上のように、実施の形態2においても、単一の特性を有する圧力発生装置を使用する場合に比べ、タクトタイムが短縮され、高い生産性が得られる。つまり、良好な生産性を有する液圧成形装置および液圧成形方法を提供することができる。また、実施の形態2は、単一の液圧注入部を有する予備成形体、例えば、小物部品に対する適用が容易であり、装置の構造が簡素化される。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。
【0077】
例えば、予備成形品あるいは成形品の必要に応じ、特性の異なる3機以上の圧力発生装置を適用することも可能である。この場合、予備成形体の成形進行状況に応じて、圧力発生装置の切換を複数回実行することができるため、成形媒体の圧力および液量を、さらに精密にコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る成形品を説明するための斜視図である。
【図2】 図1に示される成形品に係る予備成形体を説明するための斜視図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係る液圧成形装置を説明するための断面図である。
【図4】 金型の型締めを説明するための断面図である。
【図5】 軸押しポンチの押し込みを説明するための断面図である。
【図6】 液圧成形の終了時を示している断面図である。
【図7】 (A)〜(D)は、液圧成形の開始時、初期、中間期、終了時を説明するための断面図である。
【図8】 予備成形体の膨出変形の進行による成形媒体の圧力と流量の経時変化を示しているグラフである。
【図9】 本発明の実施の形態2に係る予備成形体および液圧成形装置を説明するための断面図である。
【図10】 図9に示される液圧成形装置の要部拡大断面図である。
【図11】 液圧成形の終了時を示している断面図である。
【符号の説明】
10…予備成形体、
11…板材、
12…シール部、
13…頂点、
15…板材、
16,17…接合部、
18,19…液圧注入部、
20…成形品、
30…上型(金型)、
31…キャビティ、
32…角部近傍、
35…下型(金型)、
36…キャビティ、
40…軸押しポンチ、
41…注入ノズル、
45…軸押しシリンダ、
46…制御手段、
50…軸押しポンチ、
51…液圧注入部、
55…軸押しシリンダ、
56…制御手段、
60…圧力発生装置、
61…1次側ピストン面積、
62…2次側ピストン面積、
63…制御手段、
65…液圧通路、
66…逆止弁、
67…ポンプ、
68…成形媒体タンク、
70…圧力発生装置、
71…1次側ピストン面積、
72…2次側ピストン面積、
73…制御手段、
75…液圧通路、
76…圧力検出手段、
77…切換バルブ、
78…成形媒体タンク、
90…制御装置(切換手段)、
110…予備成形体、
111…板材、
114…液圧注入部、
115…板材、
116,117…接合部、
118…開口部、
119…液圧流路、
120…成形品、
130…上型(金型)、
131…キャビティ、
133…凹溝、
134…凹部、
135…下型(金型)、
136…キャビティ、
137…凹部、
160…圧力発生装置、
161…1次側ピストン面積、
162…2次側ピストン面積、
163…制御手段、
165…液圧通路、
165A…分岐部、
166…逆止弁、
167…ポンプ、
168…成形媒体タンク、
170…圧力発生装置、
171…1次側ピストン面積、
172…2次側ピストン面積、
173…制御手段、
176…圧力検出手段、
177…切換バルブ、
178…成形媒体タンク、
180…ノズル部、
181…通路、
190…制御装置(切換手段)、
P1、P2,P3…液圧。
Claims (11)
- 重ね合せられた少なくとも2枚の板材からなり、成形媒体が注入される液圧注入部を有する予備成形体を、挟み込んで型締めするための上型および下型を有する金型と、
前記予備成形体に、液圧注入部を経由して成形媒体を供給するための注入手段と、
成形媒体を多量に供給することに適した特性を有する第1圧力発生装置と、前記第1圧力発生装置に比較し、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する第2圧力発生装置とを含んでいる、特性の異なる複数の圧力発生装置と、
前記注入手段と前記第1および第2圧力発生装置とに接続され、成形媒体が流れる液圧回路と、
前記予備成形体の成形進行状況に応じて、成形媒体を供給するために使用される圧力発生装置を、前記第1圧力発生装置から前記第2圧力発生装置に切換えるための切換手段と
を有することを特徴とする液圧成形装置。 - 成形媒体の圧力を検出するための圧力検出手段を有し、
前記切換手段は、検出圧力が設定圧力に達した際に、前記圧力発生装置を切換えることを特徴とする請求項1に記載の液圧成形装置。 - 前記設定圧力は、前記金型の少なくとも角部近傍以外の部位と、膨出変形している予備成形体とが接触するために必要とされる圧力であることを特徴とする請求項2に記載の液圧成形装置。
- 前記圧力発生装置は、増圧シリンダによって構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液圧成形装置。
- 前記圧力発生装置は、前記注入手段が設けられる側に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液圧成形装置。
- 前記予備成形体は、一対の液圧注入部を有し、
前記注入手段は、前記液圧注入部に対応する1対の注入手段からなり、
前記圧力発生装置は、前記注入手段が配置される側にそれぞれ配置される1対の圧力発生装置からなることを特徴とする請求項5に記載の液圧成形装置。 - 前記圧力発生装置の一方に接続される液圧回路には、成形媒体を供給するためのポンプが配置され、前記圧力発生装置の他方に接続される液圧回路には、成形媒体を放出するための切換バルブが配置されることを特徴とする請求項6に記載の液圧成形装置。
- 前記予備成形体は、単一の液圧注入部を有し、前記注入手段は、前記液圧注入部に対応する単一の注入手段からなり、前記圧力発生装置は、前記注入手段が配置される側に全て配置されることを特徴とする請求項5に記載の液圧成形装置。
- 特性の異なる複数の圧力発生装置を使用する液圧成形方法であって、
前記圧力発生装置は、成形媒体を多量に供給することに適した特性を有する第1圧力発生装置と、前記第1圧力発生装置に比較し、単位時間当たりに供給できる流量は少ないが、高圧の成形媒体を供給することに適した特性を有する第2圧力発生装置とを含んでおり、
重ね合せられた少なくとも2枚の板材からなり、成形媒体が注入される液圧注入部を有する予備成形体を、上型および下型を有する金型によって、挟み込んで型締めし、
予備成形体の成形進行状況に応じて、成形媒体を供給するために使用される圧力発生装置を、前記第1圧力発生装置から前記第2圧力発生装置に切換え、
切換えられた前記第2圧力発生装置からの成形媒体を、前記第2圧力発生装置と、前記液圧注入部を経由して成形媒体を供給するための注入手段とに接続される液圧回路を経由して、前記予備成形体の液圧注入部に供給する
ことを特徴とする液圧成形方法。 - 成形媒体の圧力を検出し、検出圧力が設定圧力に達した際に、前記圧力発生装置を切換えることを特徴とする請求項9に記載の液圧成形方法。
- 前記設定圧力は、前記金型の少なくとも角部近傍以外の部位と、膨出変形している予備成形体とが接触するために必要とされる圧力であることを特徴とする請求項10に記載の液圧成形方法。
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