JP3646312B2 - 内燃機関の気筒判別装置 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、多気筒型内燃機関における各気筒の行程位相を、内燃機関を停止に至らせることなく、簡単な構成で、しかも確実に判別することのできる内燃機関の気筒判別装置に関する。
背景技術
複数の気筒を備えた多気筒型内燃機関において、各気筒毎に燃料噴射用のインジェクタを配置した、所謂MPI(マルチ・ポイント・インジェクション)システムがある。このMPIシステムは、吸気系の自由度を大きくし、また高出力を得ることが容易である。これ故、MPIシステムは、電子制御燃料噴射の主流をなすものとして注目されている。
このMPIシステムにおいては、専ら、予めグルーピングされた複数の気筒群毎にその気筒群の各インジェクタを同時駆動して燃料噴射するグループ噴射、或いは複数のインジェクタを個々に独立駆動して各気筒毎に順次燃料噴射するシーケンシャル噴射が行われる。いずれの燃料噴射形態を採用するにしろ、燃焼悪化や排ガス悪化の可能性のある行程、具体的には吸気行程を避けて、その燃料噴射のタイミングを設定することが望ましい。
各気筒または気筒群に対する燃料噴射のタイミングを、その吸気行程を避けて定めるには、各気筒が燃焼サイクル中のどの行程にあるかを判定することが重要である。即ち、内燃機関の各気筒は吸気,圧縮,燃焼(爆発),排気の4行程からなる燃焼サイクルを繰り返す。しかもこれらの各気筒は、順次等間隔に燃焼行程を迎えるように予めタイミング設定されている。従って特定の気筒がどの行程にあるか、或いは逆に特定の行程にある気筒がどれであるかを判定できれば、残りの各気筒がそれぞれどの行程にあるかを知ることができる。
前述した形態の燃料噴射は、このような気筒判別結果に基づいて制御される。尚、内燃機関の始動時には、複数の気筒に対して燃料を同時噴射しても殆ど問題がないので、一般的には始動完了後に気筒判別ができれば十分である。
しかし燃料噴射を制御する上で必要となる気筒判別に比較して、点火系を制御する上で必要とされる気筒判別の要求は非常に厳しい。ちなみにディストリビュータにより各気筒を順次点火する高圧配電システムにおいては、点火駆動する気筒が上記ディストリビュータによって自動的に選択されるので問題はない。しかしディストリビュータを用いない低圧配電システムにあっては、その始動時に速やかに気筒判別を行って点火すべきコイル(気筒)を決定する必要がある。
さて従来、各気筒に対する点火や燃料噴射のタイミング制御、更には回転速度の検出を行うことを目的として、該内燃機関の出力回転軸(クランク軸)にセンサを装着し、そのクランク角を検出することが行われている。しかしクランク軸は1燃焼サイクルにおいて2回転するので、クランク角センサの出力から直接的に気筒を識別することはできない。しかし上記クランク角センサの出力から、行程位相が360゜異なる2つの気筒からなる気筒群の識別は可能である。そこで従来では上記クランク軸に連動して回転するカム軸にもセンサを装着し、行程位相の360゜の異なりを判定するようにしている。そしてこのカムセンサからの信号と前記クランク角センサからの信号とを用いることで気筒を判別している。尚、カム軸は、動弁機構における各気筒の吸気弁および排気弁をそれぞれ開閉駆動するもので、クランク軸の2回転に同期して1回転する。
しかしクランク角センサおよびカムセンサからなら2系統の信号系を構築して気筒判別するには、一般的には構成が複雑化する上、コストが嵩む。しかもクランク軸とカム軸とを連結するタイミングベルトの伸縮や撓み等に起因して、各センサからえられる信号間に位相変動が生じることが否めない。この為、気筒判別のタイミングずれや誤判別の虞がある。
ところで特開平6−213052号公報には、クランク軸に所定の基準角信号と回転角信号とを発生する特殊なセンサを取り付けることが示される。そしてこのセンサから得られる信号に基づいて、上記基準角信号の検出タイミングを基準とするクランク角360゜毎の制御信号を得、この制御信号に従って複数の気筒に対する燃料のグループ噴射とグループ点火とを行う手法が開示される。
またこの公報には、上記グループ噴射・点火モードにおいて特定の1つの気筒に対する燃料噴射を停止させることで当該気筒を故意に失火させ、その失火が検出されるか否かを調べることによって気筒判別する技術が開示される。更にこの公報には気筒判別が完了した後、その気筒判別結果に従ってクランク角720゜毎に各気筒に対して独立に燃料を噴射して点火する、独立噴射・点火モードに切り替える手法が開示される。
しかしこの公報に開示される手法においては、特定の1つの気筒を失火させるには、その気筒に対する燃料噴射の停止を前記制御信号に基づいて360゜CA(クランク角)毎に複数サイクルに亘って繰り返し実行することが必要である。しかもこのようにして特定の気筒を失火させ、その失火が検出された時点で初めて気筒判別ができる。この為、気筒判別に要するまでの時間が長く掛かると言う不具合がある。しかも気筒判別の信頼性を高めるには上述した燃料噴射停止と、これによる失火の検出を繰り返し行うことが必要である。すると失火状態が長期に亘って続くことになり、内燃機関にとって好ましくない。
またこの従来の手法では、仮に始動時における気筒判別で誤判定が生じると、誤った気筒判別結果に従って燃料噴射制御が行われ、その状態が続くことになるので燃費悪化等の問題が生じる。更には燃料噴射を強制的に停止して失火させ、これによって回転変動を与えているため、気筒判別時に内燃機関が停止(エンジンストップ)する等の問題が生じる虞がある。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その第1の目的は、内燃機関の始動時に、その気筒判別を短時間に効率的に行うことである。また第2の目的は、始動時以外でもその気筒判別をより信頼性良く確実に行うことである。更に第3の目的は気筒判別の信頼性を向上させることであり、第4の目的は気筒判別時にエンスト等の不具合を発生させないことである。
更に本発明の第5の目的は、内燃機関が定常走行状態にあるときにも気筒判別を行い得るようにすることであり、第6の目的は気筒判別時における内燃機関の出力変動を防止することにある。
本発明はこれらの目的を達成し得る内燃機関の気筒判別装置を提供することにある。
発明の開示
本発明に係る気筒判別装置は、2回転に1回の燃焼行程を有し、等間隔で順次燃焼行程を迎える複数の気筒を有する多気筒型内燃機関に備えられるものであって、基本的には前記内燃機関の始動を検出する始動検出手段と、前記各気筒に対する燃料噴射弁の駆動を制御する噴射制御手段と、前記内燃機関の回転変動を検出する回転変動検出手段と、前記内燃機関の特定気筒を識別する為の信号を出力する識別手段と、この識別手段および前記回転変動検出手段の出力に従って前記気筒の行程位相を判別する気筒判別手段とを具備している。
そして上述した目的を達成するべく本発明の気筒判別装置においては、前記識別手段を、前記内燃機関の出力回転軸に設けられて該出力回転軸の回転に同期して、前記内燃機関の各気筒または行程位相が互いに360゜異なる各気筒群に対応する信号と、単一の特定気筒または行程位相が360゜異なる2個の特定気筒を識別する為の識別信号とを出力するセンシング部材として構成し、また前記始動検出手段によって前記内燃機関の始動が検出されたとき、前記噴射制御手段の作動を制御して前記内燃機関に回転変動を与える回転変動付与手段を設けたことを特徴としている。
特にこの回転変動付与手段において、前記内燃機関が奇数気筒の場合には、前記単一の特定気筒、または該特定気筒とこの特定気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁の駆動を停止、またはこれらの気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量と異ならせ、また前記内燃機関が偶数気筒の場合には、前記行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒の何れか一方の気筒、または該2個の特定気筒の何れか一方の気筒とこの気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁の駆動を停止し、またはこれらの気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量と異ならせることで、前記内燃機関に積極的に回転変動を与えることを特徴としている。
つまり本発明は、内燃機関の始動時に特定の気筒(気筒群)における燃料噴射量を他の気筒(気筒群)の燃料噴射量と異ならせることで該内燃機関に回転変動を与え、このときの回転変動の様子と識別手段から検出される気筒群識別結果とに従って気筒の行程位相を判別することで、特定の気筒(気筒群)が失火しない場合であっても気筒判別ができるようにし、その気筒判別に要する時間を短くすると共に、判別結果に対する信頼性を高めたことを特徴としている。
また本発明に係る気筒判別装置は、更に前記回転変動付与手段の作動時に、前記内燃機関の回転数に関連する制御量を調整してその回転数を所定回転数以上に保持する制御量調整手段、例えばアイドル時の空気量を調整する手段を備え、これによって気筒判別時に内燃機関が停止に至らないようにしたことを特徴としている。
更に本発明に係る別の気筒判別装置は、前記噴射制御手段によって燃料噴射がカットされる車両減速時の燃料カット領域を判定する燃料カット判定手段を更に備え、この燃料カット判定手段によって燃料カット領域が判定されたとき、前記回転変動付与手段を作動させるようにし、
特にこの場合、前記内燃機関が奇数気筒であるときには前記単一の特定気筒、または該特定気筒とこの特定気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量に相当する燃料を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁を駆動して噴射させ、また前記内燃機関が偶数気筒であるときには、前記行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒の何れか一方の気筒、または該2個の特定気筒の何れか一方の気筒とこの気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量に相当する燃料を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁を駆動して噴射させることで、内燃機関に積極的に回転変動を与えることを特徴としている。
つまり内燃機関における燃料カットモード時に特定の気筒(気筒群)における燃料噴射量を他の気筒(気筒群)の燃料噴射量と異ならせ、具体的には特定の気筒(気筒群)だけに燃料を噴射することで該内燃機関に回転変動を与え、このときの回転変動と気筒群識別結果とに従って気筒判別することで、内燃機関の始動時以外においても、燃料カットモード時を利用して繰り返し気筒判別を行い得るようにし、これによってその判定信頼性を高めることを特徴としている。
また本発明に係る気筒判別装置は、更に車両の変速状態を検出する変速検出手段を備え、この変速検出手段により変速中であることが検出されたときには前記気筒判別手段による気筒判別処理を禁止または中止するようにしている。即ち、車速が変化するときには自ずと回転変動が大きくなることから、変速時における気筒判別を禁止または中止することで、誤った気筒判定を未然に防ぐことを特徴としている。
更には本発明は、内燃機関の始動時に駆動される第1の回転変動付与手段と、燃料カット時に駆動される第2の回転変動付与手段とをそれぞれ備え、前記噴射制御手段においては、前記内燃機関の始動後から前記第2の気筒判別手段による気筒判別結果が求められるまで、前記第1の気筒判別手段による気筒判別結果に基づいて各気筒に対する燃料噴射を制御し、前記第2の気筒判別手段により気筒判別結果が求められた後には、該第2の気筒判別手段の気筒判別結果に基づいて各気筒に対する燃料噴射を制御する手段を備えたものとすることを特徴としている。
つまり始動時および車両減速時の燃料カット領域のそれぞれにおいて、その状態に応じて特定の気筒(気筒群)の燃料噴射量を他の気筒(気筒群)と異ならせることで該内燃機関に積極的に回転変動を与え、各時点での回転変動と気筒群識別結果とに基づいてそれぞれ気筒判別処理を実行することで、両者の利点を互いに活かしながら、しかも上記各状態における内燃機関に悪影響を及ぼすことなく気筒判別を安定・確実に行い、その気筒識別結果に基づく燃料噴射制御を安定に行うことを特徴としている。
また本発明に係る別の気筒判別装置は、更に内燃機関の定常走行状態を検出する定常走行検出手段を備え、この定常走行検出手段によって定常走行状態が検出されたときに回転変動付与手段を作動させて前記内燃機関に回転変動を与えるようにすることで、始動時に気筒判別ができなかったとき、或いは始動後に車両減速時の燃料カット領域が検出されない場合であっても、車両の走行が安定している状態で気筒判別を行い得るようにしたことを特徴としている。
この際、前記多気筒型内燃機関の気筒数が偶数であるときには、前記噴射制御手段において、前記回転変動付与手段が作動する前で、前記識別手段から前記特定気筒を識別する為の識別信号が出力された後、該識別手段からの各気筒群に対応する信号の出力に応じて各気筒毎に順次燃料噴射弁を駆動することで、特に内燃機関の回転数に関連する制御量を調整して該回転数を所定回転数以上に保持する制御量調整手段を備えることで、気筒が未判別の状態でも内燃機関の出力低下を防ぐことを特徴としている。
また本発明に係る気筒判別装置は、更に前記燃料噴射弁からの噴射量を設定する噴射量設定手段を備え、この噴射量設定手段による過渡補正情報を、気筒未判別時と気筒判別完了時とで別設定することで、気筒判別結果が得られるか否かに拘わることなく適切な燃料量を噴射し得るようにしたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態に係る気筒判別装置の概略的な機能構成図。
図2は、クランク軸に取り付けられた回転部材から得られる信号系列と、そのパルス識別の概念を説明する為の図。
図3は、図2に示す信号系列に対するパルスの識別処理手続きを示す図。
図4は、図2に示す信号系列に対するパルスの識別結果とその標準パターンとの関係を示す図。
図5は、第1および第4気筒群(#1−4)と、第3および第2気筒群(#3−2)とに対する燃料のグループ噴射の概念を示す図。
図6は、第1および第4気筒群(#1−4)と、第3および第2気筒群(#3−2)とに対する分割グループ噴射の概念を示す図。
図7は、第1乃至第4気筒に対する一般的なグループ噴射の概念を示す図。
図8は、実施例装置における気筒判別処理の全体的な実行手順の例を示す図。
図9は、始動時における第1の気筒判別処理の実行手順を示す図。
図10は、グループ噴射時における第1気筒に対する噴射燃料低減(燃料カット)のタイミングを示す図。
図11は、回転数の検出タイミングを示す図。
図12は、回転変動判定の処理概念を模式的に示す図。
図13は、燃料カットモード時における第2の気筒判別処理の実行手順を示す図。
図14は、3気筒型内燃機関における第1気筒のトップ位置判別を説明する為の図。
図15は、定常定速走行状態における気筒判別処理を導入した場合の全体的な燃料噴射制御の処理手順を示す図。
図16は、定常定速走行時における気筒判別処理の実行条件に対する判定手順を示す図。
図17は、定常定速走行時における気筒判別処理の概略的な処理手順を一例を示す図。
図18は、4気筒型内燃機関に対する一般的なシーケンシャル噴射制御における燃料噴射タイミングを示す図。
図19は、気筒未判別時における燃料の暫定噴射モードにおける各気筒に対する燃料噴射タイミングを示す図。
図20は、気筒未判別時における燃料の暫定噴射モードにおける各気筒に対する燃料噴射タイミングの別の例を示す図。
図21は、燃料の暫定噴射モードを導入したときの、内燃機関に対する燃料噴射制御の全体的な制御手順を示す図。
図22Aは、気筒判別時において用いられるアイドル吸入空気量に対する補正データを示すもので、内燃機関の回転数に応じて設定されたアイドル吸入空気量の下限流量を示すマップデータ。
図22Bは、気筒判別時において用いられるアイドル吸入空気量に対する補正データを示すもので、内燃機関の冷却水温度に応じて設定された補正係数を示すマップデータ。
図23Aは、燃料の加速増量に関する過渡補正データを示すもので、水温補正係数を示すマップ情報。
図23Bは、燃料の加速増量に関する過渡補正データを示すもので、回転数補正係数を示すマップ情報。
図23Cは、燃料の加速増量に関する過渡補正データを示すもので、加速テーリング係数を示すマップ情報。
図24Aは、燃料の減速減量に関する過渡補正データを示すもので、水温補正係数を示すマップ情報。
図24Bは、燃料の減速減量に関する過渡補正データを示すもので、回転数補正係数を示すマップ情報。
図24Cは、燃料の減速減量に関する過渡補正データを示すもので、圧力補正係数を示すマップ情報。
図24Dは、燃料の減速減量に関する過渡補正データを示すもので、減速テーリング係数を示すマップ情報。
図25Aは、非同期燃料噴射モードの加速増量に関する過渡補正データを示すもので、水温補正係数を示すマップ情報。
図25Bは、非同期燃料噴射モードの加速増量に関する過渡補正データを示すもので、回転数補正係数を示すマップ情報。
図25Cは、非同期燃料噴射モードの加速増量に関する過渡補正データを示すもので、はベース燃料噴射量を示すマップ情報。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説明するべく、以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る気筒判別装置について説明する。
図1において、1は複数の気筒を備えた多気筒型内燃機関の出力回転軸であるクランク軸(図示せず)に取り付けられて、該クランク軸と共に回転する回転部材である。この回転部材1は、所謂クランク角センサ板と称され、その周囲に配置されたホール素子からなるセンシング部材2と協働してクランク軸の回転に同期した信号を発生する識別手段を構成する。上記回転部材1は、内燃機関の各気筒または気筒群に対応する信号を生成する為の突起1aと、特定気筒または行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒からなる特定気筒群を識別するに必要な識別信号を生成する為の突起1bとを、その周方向に形成したベーン構造を有する。
例えば4気筒型内燃機関の場合には、上記回転部材1は、各気筒におけるピストンの上死点(TDC)を基準(0゜)として、クランク角で上記基準から5゜前(B5゜)および75゜前(B75゜)のタイミングをリーディング・エッジおよびトレーリング・エッジとするパルス信号を、各気筒(気筒群)に対応させて、クランク軸の1回転に伴って2回発生する為の2つの突起1aを点対称に備えている。また回転部材1は、上記2つのパルス信号がいずれの気筒(気筒群)に対応するものであるかを識別する為の識別信号を発生するための突起1bを、前記突起1a間の一方に備えている。
この実施例に係る気筒判別装置の主体をなす電子制御ユニット(ECU)3の詳細については後述するが、この電子制御ユニット3は、基本的には前記回転部材1とセンシング部材2とからなる信号発生手段(識別手段)がクランク軸の回転に同期して発生する信号を取り込んで動作する。そして後述する気筒群識別処理や内燃機関(クランク軸)の回転変動検出処理、更には気筒判別処理等を実行する。
即ち、電子制御ユニット3は、ハードウェア的にはマイクロプロセッサやメモリ等を備えて構成されるが、機能的には図1に示すように気筒群識別手段11,回転変動検出手段12,第1の気筒判別手段13,第2の気筒判別手段14,始動検出手段15,第1の回転変動付与手段16,燃料カット判定手段17,第2の回転変動付与手段18,変速検出手段19,回転数制御手段20,噴射制御手段21,および定常走行検出手段22を具備して構成される。そして噴射制御手段21にて、複数の気筒に対応して設けられた燃料噴射弁4a,4b,4c,4dをそれぞれ駆動し、これらの各気筒に対する燃料噴射をそれぞれ制御するものとなっている。尚、図1には示していないが、電子制御ユニット3には各気筒に対する点火をそれぞれ制御する為の点火制御装置等も組み込まれることは言うまでもない。
ここで先ず、前記回転部材1を備えた信号発生手段によって得られる信号と、その信号に基づく気筒群識別処理について説明する。
内燃機関が作動してその出力回転軸(クランク軸)が回転すると、これに伴って回転部材1が回転することからセンシング部材2は該回転部材1の突起1a,1bに応じて図2に示すような信号系列を生成出力する。
ちなみに4気筒型内燃機関においては、一般的にその燃焼行程が第1気筒(#1),第3気筒(#3),第4気筒(#4),第2気筒(#2)の順序で等間隔に迎えるように設定される。また各気筒は、クランク軸が2回転することでそれぞれ吸気,圧縮,燃焼,排気からなる1連の燃焼サイクルを実行する如く構成される。前述した回転部材1の2つの突起1aの一方は、第1気筒および第4気筒(#1−4)に対応してその上死点を基準とするB5゜,B75゜のクランク角を示すパルス信号を生成し、他方の突起1aは第2気筒および第3気筒(#2−3)に対応してその上死点を基準とするB5゜,B75゜のクランク角を示すパルス信号を生成する。
また突起1bは、上記2つの突起1aからそれぞれ得られるB5゜,B75゜のパルス信号が第1および第4気筒に対応したものか、或いは第2および第3気筒に対応したものであるかを識別する為の識別信号を生成するものである。この識別信号により、例えばこの識別信号の後に得られるパルス信号が、第1および第4気筒に対応するものとして識別される。
そこでこの実施形態における気筒群識別手段11では、信号発生手段から得られる信号系列中のどのパルスが気筒(気筒群)に対応したB5゜,B75゜のクランク角を示す信号であって、またどのパルスが識別信号でるかを先ず判定している。そしてその判定結果に従って特定気筒群に対応する信号を、具体的には第1および第4気筒群(#1−4)に対応するパルス信号を識別している。ちなみにクランク軸の回転速度は内燃機関の作動状態によって変化するので、前記信号系列のパルス輻だけを単純にモニタリングしても、上記両信号を区別することはできない。そこで気筒群識別手段11では、図3に示すように各パルス信号のパルス幅比(デューティ比)を計測し(ステップS1)、順次計測されるパルス幅比の変化率を順次算出している(ステップS2)。そしてそのパルス幅比の変化率が所定値を越えるとき、これを識別信号の次に出現した特定の気筒群(#1−4)に対応したパルス信号であるとし、これを検出している(ステップS3)。
即ち、気筒群識別手段11は、前記信号発生手段から得られる信号系列中の各パルスのパルス幅比を、そのパルスのリーディング・エッジからトレーリング・エッジまでの時間幅T1と,該リーディング・エッジから次のパルスのリーディング・エッジまでの時間幅T2との比(T1/T2)として順次求めている。そしてパルス幅比(T1/T2)の変化率Kを、現時点nのパルス幅比(T1/T2)nと、その1パルス前(n−1)のパルス信号のパルス幅比(T1/T2)n-1とから
Kn-1=[(T1/T2)n−(T1/T2)n-1]/(T1/T2)n-1
として順次求めている。そしてこの変化率Kn-1が、例えば所定値[0.3]を越えるとき、上記1パルス前のパルスを特定気筒(気筒群)を示すパルス信号、つまり気筒群識別の為に追加した突起1bに対応する識別信号の次に出現し、該識別信号によって特定される気筒群(#1−4)を示すパルス信号であると判定している。
具体的には、例えばクランク軸が1回転する間の回転速度が一定であるとき、図2に示す信号系列の各パルス信号のパルス幅比は
(T1/T2)n-2=0.389
(T1/T2)n-1=0.656
(T1/T2)n =0.499
として設定されている。従って各時点でのパルス幅比の変化率Kは
Kn-2= 0.686>0.3
Kn-1=−0.239≦0.3
Kn =−0.220≦0.3
として順次求められ、次のパルスタイミング(n+1)では
Kn+1= 0.0686>0.3
として求められる。このようなパルス幅比の変化率Kから、この場合にはタイミング(n−2)のパルスが、識別信号の直後に出現する特定気筒群(#1−4)に対応したパルス信号であると判定される。この結果、図2に示す信号系列の場合には、タイミング(n−2)で示されるパルスが特定の気筒(気筒群)に対応する信号[1]であり、これに続くタイミング(n−1),(n)の2つのパルスはその他の信号[0]であると判定される。
気筒群識別手段11は、更に上述した如く判定される信号系列中の連続する3回の判定結果をモニタしている。この場合、その判定結果が正しい場合には、連続する3回の判定結果において特定の気筒群を示す[1]なる判定結果が必ず1回だけ出現する。そこで気筒群識別手段11では、図4に示すようにその判定信号の系列を、正規系列として示される3つの標準パターンと照合し、これらの標準パターンのいずれかと一致したとき、これを気筒群識別結果が正しいとして認識している。また気筒群識別手段11では、前記回転部材1から新たなパルスが検出される都度、前記判定信号系列が順次シフトされて更新されることから、そのシフトパターンに従って上記判定信号系列を学習し、常に最新の気筒群判別情報を得るものとなっている。
以上のような気筒群判別処理により特定の気筒(気筒群)である第1および第4気筒からなる気筒群(#1−4)に対応したパルスが検出され、そのパルスのリーディング・エッジとトレーリング・エッジとから特定の気筒群(#1−4)のB5゜,B75゜のタイミングがそれぞれ正確に検出されるものとなっている。
尚、上述した如く判定される気筒群識別情報が得られない場合には、例えば各気筒に対する燃料噴射や点火処理は中止される。
さて本装置では上述した如くクランク軸に取り付けられた回転部材1からの信号に基づいて求められる気筒群識別情報をベースとし、次のようにして特定の気筒を判別する。この気筒判別は上記気筒群識別情報に従って、各気筒群毎に所定のタイミングで燃料をグループ噴射しながら行われる。ちなみに一般的なグループ噴射は、前述した各気筒が迎える燃焼行程の順序に従って第1気筒と第3気筒からなる気筒群(#1−3)と,第4気筒と第2気筒からなる気筒群(#4−2)とに分けて行われる。しかしここでは上述した回転部材1からの信号(パルス)に対応させて第1気筒および第4気筒からなる気筒群(#1−4)と、第2気筒および第3気筒からなる気筒群(#2−3)とに分け、例えば図5に斜線を付して示すようにクランク軸が2回転する都度(1燃焼サイクル毎に)、各気筒群に対してそれぞれ1回、燃料をグループ噴射するものとなっている。また或いは1回の噴射燃料量を半分に減らし、図6に示すようにクランク軸が1回転する都度、分割的に燃料をグループ噴射するものとなっている。
尚、一般的なグループ噴射の形態である2つの気筒群(#1−3),(#4−2)に対して、例えば図7に斜線を付して示すようなタイミングで燃料をグループ噴射することも可能である。しかしこのようにすると、前述した気筒群判別処理においては特定の気筒群(#1−4)しか判別できないので、図7中破断斜線で示すように吸気および圧縮の各行程で燃料噴射が行われる可能性がある。特に燃焼の悪化領域である吸気行程の後半から圧縮行程の前半の吸気弁が開いたタイミングで燃料噴射が行われる可能性がある。このような燃料噴射のタイミングは、所謂ポート噴射型のエンジンにとっては好ましくないが、筒内直接噴射型のエンジンでは燃焼悪化の問題がさほど生じないので、上述した気筒群(#1−3),(#4−2)に対するグループ噴射を行うことも可能である。また気筒群(#1−4)の判別情報に基づくタイミングで1燃焼サイクル毎に1回、全気筒同時に燃料噴射しながら気筒判別処理を行うことも可能である。
しかしここでは図5に示すタイミングで2つの気筒群(#1−4),(#3−2)に対して燃料をグループ噴射するものとして、次の気筒判別処理について説明する。
図8にこの実施例装置における全体的な気筒判別処理の概略的な手順を示すように、この処理手続きは、先ず前述した気筒群判別結果に従って、気筒群(#1−4)を示すパルスの1つを第1の気筒(#1)に対応するものと仮定し、そのB5゜タイミングを基準タイミング(B5゜基準)とした上で、気筒判別結果を格納する為の2つのレジスタA−RAM,B−RAMの内容をそれぞれ[0]に初期設定することから開始される(ステップS11)。しかる後、前記第1の気筒判別手段13による第1の気筒判別処理を実行する(ステップS12)。
この第1の気筒判別処理は、内燃機関の始動吹き上りの完了を始動検出手段15にて検出して第1の回転変動付与手段16を起動し、この第1の回転変動付与手段16の制御の下で噴射制御手段21を駆動し、そのときの内燃機関の回転変動を前記回転変動検出手段12にて検出して実行される。特にこの第1の気筒判別処理は、第1気筒(#1)に対する燃料噴射を停止(燃料カット)、或いはその噴射燃料量を低減しながら、そのときの内燃機関の回転変動を前記回転変動検出手段12にて検出して実行される。そして上記回転変動から前述した如く仮定した基準タイミング(B5゜基準)が真に第1気筒に対応するものであるか、逆にその仮定が誤り(偽)であり、本当は第の4気筒に対応したものであるかを判定することにより行われる。そして上記仮定が真または偽であると判定されたとき、その判定結果を前記レジスタA−RAMに格納して第1の気筒判別処理を終了する(ステップS13)。このときその気筒判別結果に基づいてシーケンシャル噴射モードに移行するようにしても良いが、ここでは更に別の気筒判別処理が実行される。
上記ステップS12おける具体的な気筒判別処理については後述するが、基本的には気筒群識別結果に基づいて仮定したB5゜基準に従って第1気筒に対する噴射燃料量を他の気筒に対する噴射燃料量より減らすことで、第1気筒が燃焼悪化或いは失火し得る環境を形成し、これによって回転変動が生じたか否かを前記回転変動検出手段12によって検出することによって行われる。そして第1気筒が燃焼悪化または失火して回転変動が生じたとき、前記仮定が真であると判定して前記レジスタA−RAMにデータ[40H]を格納する。また第1気筒に対する噴射燃料量の制御を行っても回転変動が検出されない場合には、これを前記仮定が偽であると判定し、前記レジスタA−RAMにデータ[80H]を格納してその判定処理を終了する。
尚、この気筒判別処理において前記仮定が真である、または偽であるとの判定結果が得られなかった場合、つまり判定できなかった場合や、判定結果の信頼性が乏しい場合には、その時点でこのステップS12に示す第1の気筒判別処理を中止する。
さて第1の気筒判別処理により気筒判別がなされたとき、或いはこの第1の気筒判別処理が失敗したときには、次に示す前記第2の気筒判別手段14を用いた第2の気筒判別処理が実行される(ステップS14)。この第2の気筒判別処理は、前述した第1の気筒判別処理による判別結果を再確認し、或いはその失敗に対して別の観点から気筒判別を実行するもので、車両減速時の各気筒群に対する燃料カットモード時を利用して実行される。
即ち、このステップS12おける具体的な第2の気筒判別処理については後述するが、基本的には各気筒(気筒群)に対する燃料カットモード時を燃料カット判定手段17にて検出して第2の回転変動付与手段18を起動し、前記第1気筒(#1)に対してだけ燃料を噴射して実行される。つまり、第1気筒に対する噴射燃料量を他の気筒に対する噴射燃料量と異ならせることで回転変動が生じるか否かを前記回転変動検出手段12により検出することによって行われる。そして回転変動が検出されて前記仮定が真であると判定されたとき、前記レジスタB−RAMにデータ[40H]を格納し、また回転変動が検出されず、前記仮定が偽であると判定されたときにはレジスタB−RAMにデータ[80H]を格納してその判定処理を終了する(ステップS15)。そしてこの気筒判定結果に従ってシーケンシャル噴射モードに移行する。
尚、この第2の気筒判別処理において前記仮定が真である、または偽であるとの判定結果が得られなかった場合、つまり判定できなかった場合や、判定結果の信頼性が乏しい場合には、所定のタイミングで上記ステップS14に示す第2の気筒判別処理を繰り返し実行する。またこのレジスタB−RAMに格納された第2の気筒判別結果と前記レジスタA−RAMに格納された第1の気筒判別結果とが異なる場合には、第2の気筒判別結果を優先的に採用してシーケンシャル噴射を実行する。
以上のようにして本装置では、第1の気筒判別手段13および第2の気筒判別手段14とを用いて気筒群(#1−4),(#2−3)に対する燃料のグループ噴射時における気筒判別をそれぞれ実行するものとなっている。しかし、その一方の気筒判別処理だけを実行するように装置を構成することも勿論可能である。
次に上述した第1および第2の気筒判別処理について更に詳しく説明する。
第1の気筒判別処理は、前述したようにエンジン始動時に回転数が吹上がった後に、第1気筒(#1)に対する噴射燃料量を低減して、極端な場合には燃料カットし、これによって当該第1気筒が燃焼悪化(失火)するか否かを、そのときの回転数の変動から検出することにより気筒判別するものであり、例えば図9に示す処理手続きに従って実行される。
この処理は先ず2つの判定結果レジスタA(n),B(n)をそれぞれ[0]に初期設定すると共に、燃焼サイクルに対応した制御パラメータKMを[0]に初期設定することから開始される(ステップS21)。そしてエンジンの始動完了を、その始動時におけるエンジン回転数Neが所定の回転数Ne0、例えば1200rpm以上に吹き上がったか否かを、前記始動検出手段15にて判定した上で実行される(ステップS22)。この処理により、始動直後におけるエンジン吹き上がり前、つまり内燃機関の作動が不安定な状態での気筒判別が禁止される。
さてエンジンの吹き上がりが検出されると、次に第1の気筒判別処理を実行すべき条件が整っているかの判定が行われる(ステップS23)。この判定は、所謂エンストが懸念される低水温時での気筒判別を禁止するべく、そのときの水温が所定値WT(例えば10℃)以上であるか、またその時点でのエンジン回転数R2(n)がエンストを生じる虞のある所定回転数(例えば700rpm)より低くないかをそれぞれ判定し、更にはこの第1の気筒判別処理をエンジンの始動後に1回だけ実行するべく、当該気筒判別処理が既に完了していないかをそれぞれ判定することにより実行される。これらの判定条件の全てが満たされない場合、つまり1つでも条件が整わない場合には、その時点で、それ以降に実行する予定の第1の気筒判別処理を禁止(中止)し、前記制御パラメータKMを[0]に再設定して該エンジンの再始動に備える(ステップS24)。
しかして上述した気筒判別の条件が成立した場合には、次に第1の回転変動付与手段16を起動して第1気筒の燃料噴射量を他の気筒よりも少なくする。そしてそのときの回転数を回転変動検出手段12により検出する。この際、前記制御パラメータKMをインクリメントする(ステップS25)。
この第1の回転変動付与手段16による第1気筒への噴射燃料量の低減(カット)は、前記気筒群(#1−4)を示すパルス信号の一方を第1気筒(#1)に対応するものと仮定したときのB5゜タイミングを基準として、図10に示すようなグループ噴射のタイミングで行われる。即ち、第1気筒の排気行程の後半から吸気行程の前半に掛けて設定されている燃料のグループ噴射タイミングおいて、第1気筒に対する噴射燃料量の低減(カット)を実行する。しかし圧縮行程の後半から燃焼行程の前半のタイミングとなっている第4気筒に対しては通常通りの燃料噴射を行う。尚、上記仮定が誤っている場合には、第1気筒に対する噴射燃料の低減(カット)のタイミングは、実際には第1気筒の圧縮行程の後半から燃焼行程の前半となる。しかし排気行程の後半から吸気行程の前半を迎える第4気筒に対しては、そのまま定量の燃料が噴射されることになる。
前記回転変動検出手段12は、このようにして第1気筒に対する噴射燃料の低減(カット)が行われた時点における燃焼サイクルでのエンジンの回転数R1(n)を、例えばクランク軸の1回転に要する時間、つまり前述した回転部材1の1回転に要する時間T(n)[μSec]から
R1(n)=60×1000000/T(n) [rpm]
として順次求める。ちなみに前述したステップS23における気筒判別条件の判定に用いる回転数R2(n)として、1燃焼サイクルを単位として、クランク軸が連続して2回転するに要する時間の平均(T(n)+T(n-1))/2から、例えば
R2(n)=60×1000000/T(n)+T(n-1))/2 [rpm]
として算出したものを用いれば良い。
しかして回転数R1(n)の検出処理は、図11に示すタイミングで前記制御パラメータKMが所定値[3]に達するまでの、燃焼サイクルの3周期に亘って繰り返し実行される(ステップS26)。そして回転変動検出手段12は、前記第1気筒(#1)のB5゜タイミングを基準とした連続する3サンプル分の回転数R1(n),R1(n-1),R1(n-2)が求められる都度、その時点での回転変動を
R1x(n-1)=R1(n-1)−{R1(n-2)+R1(n)}/2
として求め、その算出値R1x(n-1)が正であるか負であるかを判定している。そして算出値R1x(n-1)が負である場合には前記判定結果レジスタA−RAMの値A(n)をインクリメントし、逆に算出値R1x(n-1)が正である場合には前記判定結果レジスタB−RAMの値B(n)をインクリメントしている(ステップS27)。この処理は前記制御パラメータKMが所定値、例えば[5]となるまで、連続した3サンプル分の回転数が求められる都度、5燃焼サイクルに亘って繰り返し実行される(ステップS28)。
即ち、回転変動検出手段12は、図5に示す如きグループ噴射モード時における上述した第1気筒に対する噴射燃料削減(カット)による回転変動の有無を検出するべき、前述したようにクランク軸1回転毎のB5゜タイミングにおける回転数R1(n)を順次求めている。そして図12に回転変動検出の原理を模式的に示すように、第1気筒のB5゜タイミングを基準として求められる回転数R1(n-2),R1(n)の平均値と、その中間である第4気筒のB5゜タイミングにおける回転数R1(n-1)との差R1x(n-1)を回転変動の指標として求めている。尚、上記回転数R1(n-2),R1(n)の平均は、エンジンの回転数が大きく変化しない場合にも対処し得るように求めるものである。
この図12を参照して回転変動検出の原理を今少し詳しく説明すると、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が正しい場合には、B5゜基準のタイミングで噴射燃料が低減(カット)された第1気筒の燃焼が回転変動に影響を与えるタイミングは、丁度、第4気筒のB5゜基準のタイミングとなる。逆に第4気筒の燃焼が回転変動に影響を与えるタイミングは、第1気筒のB5゜基準のタイミングとなる。これ故、B5゜基準毎に求められるタイミング(n−2),(n)での回転数R1(n-2),R1(n)は、専ら第4気筒の燃焼が影響を与えた回転数となる。逆に上記第1気筒のB5゜基準の中間タイミングとなる第4気筒のB5゜タイミング(n−3),(n−1)で求められる回転数R1(n-3),R1(n-1)は、噴射燃料が低減(カット)された第1気筒の燃焼が影響を与えた回転数となる。
従って図12に示すようにB5゜基準毎に求められる回転数R1(n-2),R1(n)は、第4気筒の燃焼に依存するものとなる。また第4気筒のB5゜タイミングでの回転数R1(n-3),R1(n-1)は、燃料低減(カット)された第1気筒の燃焼に依存したものとなり、燃料低減(カット)に起因する燃焼悪化(失火)により、その回転数が低下する。するとこの場合、
R1(n-1)<R1(n-2),R1(n)
となるので、前述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)はマイナス(負)となる。
ところが前述した第1気筒に対するB5゜基準の仮定が誤っている場合には、B5゜基準毎に第4気筒の燃焼に依存するとして求めた回転数R1(n-2),R1(n)は、実際には第1気筒に依存したものであり、その燃焼サイクルにおいて第1気筒に対する燃料低減(カット)が行われているので、その回転数が低下する。また第4気筒のB5゜タイミングにおいて第1気筒の燃焼に依存するとして求めた回転数R1(n-3),R1(n-1)は、実際には第4気筒に依存したものであり、燃料低減(カット)に依存する回転変動が生じることがない。従ってこの場合には、
R1(n-1)>R1(n-2),R1(n)
となるので、前述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)はプラス(正)となる。
ステップS27における回転変動検出処理においては、上述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)が正であるか負であるかに応じて、負である場合には前記判定レジスタA−RAMの値A(n)をインクリメントし、また正である場合には判定レジスタB−RAMの値B(n)をインクリメントする。ちなみに上記回転数の差R1x(n-1)が零[0]である場合には、判定不能であるとして、いずれの判定レジスタA−RAM,B−RAMの値A(n),B(n)もインクリメントしない。このような判定処理を、前記制御パラメータKMに従って5燃焼サイクルに亘って繰り返えし実行する。
さて連続する5燃焼サイクルに亘る回転変動検出処理が終了すると、前記判定レジスタA−RAM,B−RAMの値A(n),B(n)が所定値、例えば[4]以上であるか否かが判定される(ステップS29)。そして判定レジスタA−RAM,B−RAMの一方の値A(n),B(n)が[4]以上である場合、具体的には判定レジスタA−RAMの値A(n)が[4]以上である場合には、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が正しいと判定する。また逆に判定レジスタB−RAMの値B(n)が[4]以上である場合には、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が誤っており、実際にはその正しいとB5゜基準は第4気筒に対応したものであると判定して、その気筒識別処理を終了する(ステップS30)。この際、前記制御パラメータKMを[0]にリセットして、次回の気筒判別処理(該エンジンの再始動)に備える。また判定レジスタA−RAM,B−RAMの両方の値A(n),B(n)がどちらも[4]にならなかった場合には、気筒判別処理が正確に行えなかったものと判断し、その気筒判別処理を中止する。
尚、上述した第1の気筒判別処理においては、例えば回転数制御手段20を作動させて回転数に関連する制御量を調整し、具体的にはアイドル運転時の吸入空気量を所定の下限値でクリップすることにより空燃比を調整し、その回転数が目標アイドル回転数以下とならないように制御して、エンストを防ぐ等の対策を施すことが望ましい。
かくして上述した第1の気筒判別処理によれば、エンジンの始動直後に第1気筒に対する噴射燃料を低減して気筒判別を行うので、気筒判別ができていない状態が長く続くことを効果的に防止することができる。しかも内燃機関の始動直後に短時間に気筒判別処理を実行するので、運転フィーリングに悪影響を及ぼす虞がない。
また上述した回転変動検出によれば、その評価値R1x(n)を燃焼悪化(失火)の気筒において負の値、または燃焼気筒においては正の値として求めるので、その判定レベルを零[0])として定めることができ、複雑なマッチング処理等を一切要しない。これ故、簡単にして確実に回転変動に基づく気筒判別を実行することができる。
更には回転変動が生じる程度に特定の気筒に対する噴射燃料量を低減するだけで良いので、特定の気筒を完全に失火させることなく気筒判別することが可能であり、運転フィーリングの劣化を招来しない。また完全失火を起こさないので、排気系の触媒の活性化に悪影響を与えることなく、気筒判別を確実に行い得る等の利点がある。
ところで第2の気筒判別処理は、例えば図13に示す処理手順に従って行われる。この処理は、先ず2つの判定結果レジスタC−RAM,D−RAMの値C(n),D(n)をそれぞれ[0]に初期設定と、更に燃焼サイクルに対応した2つの制御パラメータKM,KKをそれぞれ[0]に初期設定することから開始される(ステップS31)。しかる後、第2の気筒判別処理を実行すべき条件が整っているかの判定が行われる(ステップS32)。
この判定は、前記燃料カット判定手段17にて、例えば車両が減速中で、且つエンジンに対して燃料の噴射がカットされている状態であるか否か、また変速検出手段19を用いて車両が変速中である否かをそれぞれ判定して行われる。具体的には空気量調整手段(例えばスロットル弁)が全閉となり、その時点でのエンジン回転数R2(n)が燃料カットモードでの運転状態が実現される所定回転数(例えば1500rpm)より高いか否かを判定する。またそのときの回転数の変化が変速時における回転数の変化のように大きくないことを確認し、更には当該気筒判別処理が既に完了していないかを確認することによりなされる。これらの判定条件の全てが満たされない場合、つまり1つでも判定条件が整わない場合には、その時点で、それ以降に実行する予定の第2の気筒判別処理を禁止(中止)し、前記制御パラメータKNを[0]に再設定して次回の燃料カットモード時における気筒判別処理に備える(ステップS33)。
しかして上述した第2の気筒判別処理に対する判定条件が成立した場合には、次に前記第2の回転変動付与手段18を起動して第1気筒(#1)に対してのみ燃料を噴射し、そのときの回転数を前記回転変動検出手段12により検出する。そしてこの燃料噴射量の増大を行ったことを示す前記制御パラメータKNをインクリメントする(ステップS34)。
この燃料カットモード時における第2の回転変動付与手段16による第1気筒への燃料噴射量の増大制御は、前述した第1の気筒判別処理の場合と同様に、前記気筒群(#1−4)を示すパルス信号の一方を第1気筒(#1)に対応するものと仮定したときのB5゜タイミングを基準とするグループ噴射のタイミングで行われる。即ち、第1気筒の排気行程の後半から吸気行程の前半に掛けて設定されている燃料のグループ噴射タイミングおいて、第1気筒に対する燃料の噴射を実行する。しかし圧縮行程の後半から燃焼行程の前半のタイミングとなっている第4気筒に対しては、通常通り燃料カット状態に保つ。
尚、上記仮定が誤っている場合には、第1気筒に対する燃料噴射のタイミングは、実際には第1気筒の圧縮行程の後半から燃焼行程の前半となる。しかし排気行程の後半から吸気行程の前半を迎える第4気筒に対しては、そのまま燃料カットの状態が維持されることになる。
前記回転変動検出手段12は、このようにして燃料カットモード時であることを条件とし、第1気筒に対してだけ燃料噴射が行われた時点の燃焼サイクルにおける回転数R1(n)を順次求める。
このときの回転数R1(n)の検出処理は、前記制御パラメータKNが所定値[3]に達するまでの期間、つまり連続した3周期の燃焼サイクル期間に亘って繰り返し実行される(ステップS35)。そして回転変動検出手段12は、第1気筒(#1)のB5゜タイミングを基準とした連続する3サンプル分の回転数R1(n),R1(n-1),R1(n-2)が求められる都度、その時点での回転変動の評価値R1x(n-1)を前述した如く求める。そしてその算出値R1x(n-1)が正であるか負であるかを判定し、算出値R1x(n-1)が正である場合には前記判定結果レジスタC−RAMの値C(n)をインクリメントする。逆に上記算出値R1x(n-1)が負である場合には、前記判定結果D−RAMの値D(n)をインクリメントする(ステップS36)。
この処理は前記制御パラメータKKをインクリメントしながら、その値が所定値、例えば[50]となるまで、連続した3サンプル分の回転数が求められる都度、50燃焼サイクルに亘って繰り返し実行される(ステップS37)。
即ち、回転変動検出手段12は、燃料カットモード時における上述した第1気筒に対する燃料噴射による回転変動の有無を検出するべく、前述したようにクランク軸1回転毎のB5゜タイミングにおける回転数R1(n)を順次求めている。そして第1気筒のB5゜タイミングを基準として求められる回転数R1(n-2),R1(n)の平均と、その中間である第4気筒のB5゜タイミングでの回転数R1(n-1)との差R1x(n-1)を回転変動の指標として求めている。
より具体的にこの回転変動検出の作用を説明すると、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が正しい場合には、B5゜基準のタイミングで燃料噴射した第1気筒の燃焼が影響を与えるタイミングは、丁度、第4気筒のB5゜タイミングとなる。逆に第4気筒の燃焼が影響を与えるタイミングは、第1気筒のB5゜タイミング(B5゜基準)となる。これ故、B5゜基準毎に求められるタイミング(n−2),(n)での回転数R1(n-2),R1(n)は、第4気筒の燃焼が影響を与えた回転数となる。そして前記燃料カット時に燃料噴射された第1気筒の燃焼が影響を与える回転数は、上記第1気筒のB5゜基準の中間タイミングとなる第4気筒のB5゜タイミング(n−3),(n−1)で求められる回転数R1(n-3),R1(n-1)として検出されることになる。
従って図12に示すように、第1気筒のB5゜基準毎に求められる回転数R1(n-2),R1(n)は、燃料カット状態にある第4気筒に依存したものであるから回転変動は生じない。しかし第4気筒のB5゜タイミングで求められる回転数R1(n-3),R1(n-1)は、燃料噴射された前記第1気筒の燃焼に依存したものであるから、通常は燃料低減カット時の回転数よりも高くなる。従ってこの場合には、
R1(n-1)>R1(n-2),R1(n)
となる。従って前述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)はプラス(正)となる。
ところが前述した第1気筒のB5゜基準の仮定が誤っている場合、このB5゜基準毎に燃料カット状態にある第4気筒に依存するものとして求めた回転数R1(n-2),R1(n)は、実際には燃料噴射がなされた第1気筒の燃焼に依存したものであるから、燃料の燃焼によってその回転数が高くなる。また第4気筒のB5゜タイミングにおいて第1気筒の燃焼に依存するとして求めた回転数にR1(n-3),R1(n-1)は、実際には燃料カット状態にある第4気筒に依存したものとなる。従ってこの場合には、
R1(n-1)<R1(n-2),R1(n)
となるので、前述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)はマイナス(負)となる。
ステップS36における回転変動検出処理においては、上述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)が正であるか負であるかに応じて、正である場合には前記判定レジスタC−RAMの値C(n)をインクリメントし、また負である場合には判定レジスタD−RAMの値D(n)をインクリメントしている。ちなみに上記回転数の差R1x(n-1)が零[0]である場合には判定不能であるとして解釈し、いずれの判定レジスタC−RAM,D−RAMの値C(n),D(n)もインクリメントしない。このような判定処理は、前記制御パラメータKKに従って50燃焼サイクルの長期に亘って繰り返し実行される。
以上のようにして50燃焼サイクルに亘る回転変動検出処理が終了すると、前記判定レジスタC−RAM,D−RAMの値C(n),D(n)が所定値、例えば[40]以上であるか否かが判定される(ステップS38)。そして判定レジスタC−RAM,D−RAMの値C(n),D(n)の一方が[40]以上である場合、具体的には判定レジスタC−RAMの値C(n)が[40]以上である場合には、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が正しいと判定する。また逆に判定レジスタD−RAMの値D(n)が[40]以上である場合には、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が誤っており、実際にはその正しいB5゜基準は第4気筒に対応したものであると判定して、その気筒識別処理を終了する(ステップS39)。この気筒識別処理の終了に際しては、前記制御パラメータKNを[0]にリセットして次回の気筒判別処理に備える。
また判定レジスタC−RAM,D−RAMの値C(n),D(n)が共に[40]以上でない場合には、これを気筒判別不能としてその処理手続きを終了する(ステップS40)。そしてこの場合には、前述した判定レジスタC−RAM,D−RAMの各値C(n),D(n)、および前記制御パラメータKN,KKをそれぞれ[0]にリセットし、次回の気筒判別処理に備える。
尚、この第2の気筒判別処理においても、例えば回転数制御手段20を作動させて回転数に関連する制御量を調整し、具体的には吸入空気量を所定の下限値でクリップして空燃比を調整したり、マニホールド圧力を高める等してエンストを防ぐ等の対策を施すことが望ましい。またこの燃料カットモード時における燃料噴射を、その噴射燃料が確実に燃焼する条件以外では実行しないように制限するようにしても良い。このような対策を講じれば、回転変動の検出精度が向上すると共に、排気系に設けられた触媒を保護する上でも好ましい。
かくしてこのような第2の気筒判別によれば、エンジンに対する全閉燃料カット時に特定の気筒に対してだけ燃料噴射し、そのときの回転変動から気筒判別するので、気筒判別の精度を十分高くすることができる。しかも燃料カット時における特定気筒に対する燃料噴射は、各気筒に対する燃焼モードの復帰に先行するものと看做すことができるので、運転フィーリングに殆ど悪影響を及ぼすことがない。しかも燃料カット中における吸入空気量を予め増大させておけば、これによって燃焼可能範囲を広く設定することができるので、短時間に所定サンプルの回転数データを得ることが可能となる。従ってこのような配慮を施せば、短時間で気筒判別を完了することができる。特に燃料カット時は比較的長い時間に亘って継続するので、例えばその期間を利用して上記回転変動検出を繰り返し実行するようにすれば、統計的に気筒判別の信頼性を容易に高めることができる。つまり回転変動を与える期間を等価的に長く設定して、その気筒判別の信頼性を高めることができる。
更には前述した第1の気筒判別の場合と同様に、回転変動の評価値R1x(n)を燃焼悪化(失火)気筒において負の値、または燃焼気筒においては正の値として求めるので、その判定レベルを零[0]として定めることができる。従って複雑なマッチング処理等を一切要することなく、回転変動に基づいた気筒判別を確実に実行することができる。また前述したように、変速時における気筒判別処理を中止することで、変速に起因する回転変動の誤判定要因を排除し、誤判定結果のまま長期間に亘って内燃機関を作動させる虞を未然に防ぐことも可能である。
また上述した実施形態における処理手段に示したように、エンジンの始動開始直後に短時間に第1の気筒判別処理を実行し、その後の燃料カットモード時に比較的長期間に亘って第2の気筒判別処理を実行するものとすれば、例えば第1の気筒判別処理が失敗したときには、この失敗をその後の第2の気筒判別処理によって効果的にカバーすることができる。また第1の気筒判別処理によって気筒判別ができた場合でも、その後の第2の気筒判別処理によって上記第1の気筒判別処理による判定結果を再確認することができる。更には第1の気筒判別処理での判定結果に誤りがあった場合には、これを第2の気筒判別処理の判定結果にて信頼性良く訂正することができる。これ故、第1および第2の気筒判別処理の利点を活かして信頼性の高い気筒判別処理を、その始動直後から短時間に行うことができ、気筒判別後のシーケンシャル噴射への移行を容易ならしめる等の効果が奏せられる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば前述した第1および第2の気筒判別処理の一方だけを実行するように制御装置を構築することも勿論可能である。第1の気筒判別処理だけを実行する場合には、始動時にグループ噴射モードを設定し、気筒判別がなされた時点で速やかにシーケンシャル噴射モードに移行すれば良い。また第2の気筒判別だけを実行する場合には、始動時に全気筒同時噴射またはグループ噴射モードとし、気筒判別がなされた時点で速やかにシーケンシャル噴射モードに移行するようにすればよい。更には前述した図6に示す分割グループ噴射を行う場合であっても、基本的には同様にして第1および第2の気筒判別処理を実行することができる。
また上述した実施形態においては4気筒型内燃機関を例に説明したが、3気筒型内燃機関の場合は、以下に示す手法により気筒判別処理を同様に実行することができる。
この3気筒型内燃機関の場合には、各気筒に対する燃焼サイクルが図14に示すように第1気筒、第3気筒、第2気筒の順でクランク角240゜の間隔に設定されるので、クランク軸に取り付けられる回転部材1(信号発生手段)から120゜毎に基準パルスが得られるようにし、更に上記回転部材1から第1気筒を識別可能な識別信号を得るようにする(識別手段)。そしてこの信号発生手段から第1気筒を示す基準パルスが得られたとき、これを第1気筒が排気トップの位置にあると仮定して第2気筒および第3気筒に対して同時に燃料を噴射する。このときの回転変動の様子を検出し、第1気筒のピストンが圧縮トップの位置にあるのか、或いは排気トップの位置にあるのかを前述した第1および第2の気筒判別と同様な手法により判定するようにする。
具体的には第1気筒が排気トップの位置にあると仮定したタイミングで、第2および第3気筒に対して図14に示すように燃料を同時噴射し、第1気筒に対応する基準パルス信号間での回転変動を検出する。そしてそのときに検出される回転変動に応じて上記仮定が正しいか、或いは誤っていたかを判定し、この判定結果によって第1気筒のピストンが圧縮トップの位置にあるのか、或いは排気トップの位置にあるのかを判別するようにすれば良い。この場合にも前述した実施形態と同様に所定の気筒判別処理の実行条件が満たされる場合にのみ、その判定処理を実行することで、無用なエンストの招来を防ぐことが望ましい。そしてその判定結果が得られた後には、速やかにシーケンシャル噴射モードに移行するようにすれば良い。
即ち、4気筒型内燃機関(偶数気筒)の場合、行程位相が互いに360゜異なる特定気筒群(#1−4)の一方の気筒(先の実施形態では第1気筒)の噴射量を他の気筒と異ならせることで気筒判別処理を行う例について説明した。この気筒判別処理の作用を、例えば特定気筒(例えば第1気筒)に着目して考えると、前述した特定気筒群の識別は実質的には第1気筒が圧縮トップ位置か、或いは排気トップ位置かを識別していることに相当する。そして特定気筒の噴射量を他の気筒と異ならせることで気筒判別を行っている。従って前述した偶数気筒の場合における気筒判別処理は、上述した3気筒型内燃機関の気筒判別処理と同一の考え方に基づくものと言える。それ故、実質上、偶数気筒型内燃機関においても、3気筒型内燃機関の気筒判別処理の如く、特定気筒の360゜異なる行程位相(例えば圧縮トップおよび排気トップ)を識別し、その行程位相の一方を正と仮定して、その特定気筒に対する燃料噴射量を他の気筒と異ならせ、これによって気筒判別するようにしても良い。
また本発明の気筒判別装置は、内燃機関の気筒数に何ら限定されるものではなく、3気筒以上の複数数内燃機関であれば上述した3気筒型内燃機関の気筒判別の手法に沿って気筒判別を行えば良く、また4気筒以上の偶数気筒の内燃機関であれば、前述した4気筒型内燃機関の気筒判別方法に沿って気筒判別を行えばよい。
ところで前述した気筒判別は、内燃機関の始動直後に、或いは車両減速時の燃料カットモードを検出して行うものとしたが、車両が定速走行している状態を検出して実行することもできる。即ち、内燃機関の始動直後、直ちに車両の走行が開始されて第1の気筒判別処理を行うことができず、更にその後、減速が行われないまま定常走行に移行した場合には、前述した第2の気筒判別処理を速やかに行うことができなくなる。つまり減速による燃料カットモードが検出されるまでの間、定常走行状態に入ったにも拘わらず気筒判別結果が得られないことになるので、内燃機関の始動時における全気筒同時噴射、或いはグループ噴射が継続的に続けられることになる。
そこで本発明においては、図15にその全体的な燃料噴射モードの制御形態を示すように、減速による燃料カットモードが検出されない場合においても、一定走行状態を検出し、そのとき特定気筒における燃料噴射量を他の気筒と異ならせることで積極的に回転変動を与え、これによって気筒判別を実行するものとなっている。
即ち、図15に示すようにエンジンを始動した後(ステップS41)、全気筒またはグループ化された気筒群に対する同時噴射モードを設定する(ステップS42)。この状態において減速に伴う燃料カットモードを検出して前述した第2の気筒判別処理を実行し(ステップS43)、或いは燃料カットモードが検出されないような場合には、図1に示す定常走行検出手段22にて車両(内燃機関)の定常定速走行モードの状態を検出して第3の気筒判別処理を実行する(ステップS44)。この第3の気筒判別処理は、基本的には前述した第1の気筒判別処理と同様にして、第1の回転変動付与手段16を駆動することで特定気筒(第1気筒)に対する噴射燃料量を他の気筒と異ならせることによって実行される。
そして前記燃料カットモードにおける前述した第2の気筒判別処理によって気筒判別結果が得られたとき、或いは定常定速走行モードにおける第1の気筒判別処理によって気筒判別結果が得られたとき、その気筒判別結果に従って正規のシーケンシャル噴射モード(ステップS45)を実行するように、その制御系が構築される。
上述した定常定速走行時における第3の気筒判別処理は、図16に示すように減速時の燃料カットモードによる気筒判別処理が完了していないことを条件として(ステップS51)、エンジン冷却水の水温TWが所定温度(例えば80℃)以上であるか(ステップS52)、そのときの車速が所定値(例えば50km/h)以上であるか(ステップS53)、変速段が所定の高速段(例えば3速)以上であるか(ステップS54)、更にはスロットル開度が一定であるか(ステップS55)、そしてマニホールド圧が所定値以上であるか(ステップS56)を順次調べ、これらの各判定条件の全てが満たされたとき、定常気筒判別処理として実行される(ステップS57)。即ち、車両が通常の走行状態に入り、アクセル操作が行われない状態でスロットル開度が一定に保たれ、且つマニホールド圧が大きく変化しない(即ち、所定範囲内の変化である)ことを条件として定常気筒判別処理が開始される。
尚、上記条件のうちの1つでも満たされない場合には、定常気筒判別処理は実行されず、また定常気筒判別処理の実行が開始されたとしても、その実行途中におけるアクセル操作、或いはブレーキ操作が行われた場合、その判別処理は直ちに中止される。つまり内燃機関が一定の条件の下で定速走行運転されている場合にだけ、定常気筒判別処理が実行されるようになっている。
さてこの定常気筒判別処理は、図17に処理手順の一例を示すように、先ず内燃機関や車両に搭載された各種センサによって運転状態を検出することから開始され(ステップS60)。そして検出した運転状態に基づいて、以下に示す気筒判別処理を開始するに際し、先ずそのときの特定気筒の空燃比(A/F)を、例えば予め設定されたマップデータから読み込む(ステップS61)。そして検出された空燃比に従い、特定気筒である第1気筒に対する燃料噴射量を徐々に減少させ、他の気筒に対する噴射燃料量と異ならせる(ステップS62)。
次いで上記第1気筒に対する噴射燃料量の減少に伴う内燃機関の出力低下を補うべく吸気空気量を増大させ、それに伴って他の気筒に対する空燃比(A/F)を調整し、内燃機関全体的な回転出力(具体的にはトルク)を一定に保つ(ステップS63)。上記吸気空気量の増大は、例えばスロットル弁をバイパスするバイパス弁の開度を増加させ、そのバイパス通路面積を調整することによって行われる。
以上のような第1気筒に対する噴射燃料量の低減制御、およびこれに伴う他の気筒に対する空燃比の制御を徐々に行った後(テーリング処理)、所定の時間経過を待って(ステップS64)、前述した如く検出される回転変動の情報を、例えば50燃焼サイクルに亘って抽出する(ステップS65)。そして第1気筒に対する噴射燃料量の低減による回転変動が生じたか否かを50サイクル分に亘って判定し、そのタイミングが真に第1気筒に対応したものであるか、或いは逆に第4気筒に対応したものであるかを判定する(ステップS66)。この判定のアルゴリズムは、前述した第1の気筒判別処理と同様である。
しかる後、上記の如くして気筒判別結果を求めて各気筒の行程位相を特定した後、その気筒判別結果に従ってシーケンシャル噴射モードに移行する(ステップS67)。このシーケンシャル噴射モードへの移行は、B5゜基準として仮定したタイミングが真に第1気筒に対応したものである場合には、当該第1気筒に対する噴射燃料量を気筒判別処理開始前の元の噴射燃料量に戻すべく、その燃料量を徐々に増大させながら行われる(ステップS68)。或いはその仮定が誤りであり、前記B5゜基準として仮定したタイミングが第4気筒に対応したものであった場合には、その第4気筒に対する噴射燃料量をを徐々に増大させながら行われる(ステップS68)。またこの際、第1または第4気筒に対する噴射燃料量の増大に伴って、前述した如く調整していた吸気空気量を徐々に元に戻す(ステップS69)。つまり第1または第4気筒に対する噴射燃料量を増大させて元に戻すに従ってその回転出力が増大するので、これを補って回転出力を一定に保つべく、吸気空気量を減少させて他の気筒の空燃比を調整しながら正規のシーケンシャル噴射に移行する。
かくしてこのように定常定速走行時においても積極的に回転変動を与えて気筒判別処理を実行するようにすれば、仮に内燃機関の始動後、減速による燃料カットの状態が生じない場合であっても、スロットル開度が一定の定速走行状態において効果的に各気筒を行程位相を判定することができる。従って速やかに正規のシーケンシャル噴射モードに移行することができる。しかも特定気筒に対する噴射燃料量を低減した際、吸気空気量を増加させ、他の気筒に対する空燃比を調整して内燃機関の回転出力の低下を補いながら回転変動を与えるので、例えばトルク変動によるドライバビリティの劣化を招くことがない。従って前述した燃料カット時における気筒判別と相俟って、その始動から比較的短時間のうちに正確な気筒判別結果を得ることが可能となる。これ故、各気筒の行程位相が未確認なことに起因して、内燃機関が長期間に亘って全気筒同時噴射やグループ噴射モード等のまま不本意に運転されることが効果的に防止される。
尚、上述した各実施形態では、回転変動付与手段を作動させた後、直ぐにその回転変動を検出しているが、回転変動付与手段の作動後、数サイクル(例えば2サイクル)分、その検出タイミングを遅延させ、回転変動付与の影響を受けて生じる回転変動が確実に現れる時点でその回転変動を検出することで、回転変動検出の精度向上を図るようにしても良い。また各実施形態では、気筒判別の為に、回転変動の指標となる算出値R1x(n-1)を求めているが、例えば特定気筒が判別された後、回転変動付与後の2行程毎のパルス幅を交互に累積し、そのパルス幅の大小により、例えば
T1+T3+T5+…>T2+T4+T6+…
なる関係から、特定気筒が圧縮トップであるか、或いは排気トップであるかを判定するようにしても良い。
ところで上述した実施形態においては、気筒判別が完了するまでの間、つまり未識別の期間においては内燃機関に対して全気筒同時噴射、或いはグループ噴射するものとして説明した。しかし燃焼効率等の点から、次のような噴射モードを設定するようにしても良い。
即ち、4気筒内燃機関の場合、各気筒に対する正規の燃料のシーケンシャル噴射タイミングは、図18に模式的に示す燃焼サイクルにおいて斜線を付して示すように各気筒の排気行程として設定される。より具体的には、各気筒に対する燃料の噴射タイミングは、その排気行程の後半から、それに続く吸気行程の初期時に掛けて設定される。ところが気筒判別が完了するまでの期間、前述した図5乃至図7に示すようなタイミングで燃料を同時噴射していると、その間の加速操作(アクセル操作)に伴って噴射燃料量を増大しても、その増大燃料量が直ぐに燃焼に供されないことがある。例えば図5に示す第1気筒の圧縮行程において加速がなされても、燃料のグループ噴射のタイミングは、その2行程後の排気行程なので、燃料の増量までに若干の遅れが生じる。
そこで本発明では図19または図20に示すような、正規のシーケンシャル噴射モードとは逆の順序で各気筒に対して順次燃料を噴射する暫定噴射モードを設定している。この暫定噴射モードは、各気筒に対する点火制御を通常のシーケンシャル噴射モードと同様に実行しながら、燃料の噴射タイミングだけを逆順に設定したものである。具体的には図19に示すように第1および第4気筒に対して噴射タイミングが正しくなるように第1気筒および第4気筒の排気行程に燃料を噴射するようにし、一方、第3気筒および第2気筒に対してはその圧縮行程に燃料を誤って噴射するように設定される。或いは図20に示すように第1気筒および第4気筒に対して噴射タイミングが故意に誤りとなるようにその圧縮行程に燃料を噴射し、逆に第3気筒および第2気筒に対してはその排気行程に燃料が正しく噴射されるようにタイミング設定される。いわば正規のシーケンシャル噴射モードに対して変則的なシーケンシャル噴射モードであると言える。
図19または図20に示すいずれの形態をとる場合にも、この暫定噴射モードにおいては360゜行程位相が異なる2つの気筒に対しては、その正規の排気行程中に燃料が噴射される。そして残り2つの気筒に対する燃料噴射がその圧縮行程において行われる。
従ってこのような暫定噴射モードによれば、仮に図19に示す燃焼サイクルにおいて第1気筒の圧縮行程において加速操作がなされた場合であっても、これによって排気行程を迎える第4気筒気筒に対する噴射燃料量が増大されるので、内燃機関は速やかに増速されることになる。また図19に示す燃焼サイクルの第1気筒が燃焼行程を迎えている際に加速操作がなされた場合であっても、その1行程位相後の排気行程における燃料噴射タイミングにおいて燃料を増大させることが可能となるので、加速応答性を十分に確保することが可能となる。つまり従来一般的な全気筒同時噴射、或いはグループ噴射を行う場合よりも、暫定噴射モードにおける加速応答性を高めることが可能となる。
尚、図20に示すタイミングで暫定噴射モードが設定された場合にも、前述したように残り2つの気筒に対して正しい噴射タイミングが設定されているので、図19に示す暫定噴射タイミングの場合と同様に、加速操作に対して速やかな燃料噴射量の増大による内燃機関の増速を実現することができる。
従ってこのような暫定噴射モードを採用する場合には、例えば図21に示す手順に従って内燃機関に対する燃料噴射を制御するようにすれば良い。即ち、図21に示すようにスタータ・スイッチの投入によって内燃機関のクランキングが開始されたとき(ステップS71)、或いは何らかの理由によって既に求められている気筒判別結果の系列データがリセットされたとき(ステップS72)、内燃機関に対して燃料を噴射しない状態で、また点火もしない状態で内燃機関を運転する(ステップS73)。そしてこのとき、その出力回転軸であるクランク軸に取り付けられた回転部材(信号発生手段)1から得られるパルス信号の系列中の前述した特異パルスに従って、前述したようにして特定気筒または360゜行程位相の異なる2つの気筒からなる特定気筒群に対応するパルス信号を特定し、そのパルス信号系列を特定する(ステップS74)。
この処理によってパルス信号系列が特定されたならば、例えば第1および第4気筒(#1−4)に対応するパルス信号のタイミングに従って前述した暫定噴射モードにて内燃機関を運転する(ステップS75)。しかして燃料の暫定噴射モードでの内燃機関の運転が開始されたならば、例えば減速に伴う燃料全閉条件が成立している否かを判定する(ステップS76)。そして燃料全閉条件が成立した場合には、各気筒に対する燃料の噴射を停止する燃料カット処理を実行し(ステップS77)、その状態において前述した第2の気筒判別処理が実行可能であるか否かを判定する(ステップS78)。この判定は、内燃機関の回転数が所定値以上の条件下において、スロット開度が[0]であり、各気筒に対する燃料噴射が停止されていることを確認することによって行われる。しかして気筒判別条件が成立した場合には、前述した如く実行される気筒判別モードを設定し、気筒判別処理を実行する(ステップS79)。
しかして上記気筒判別処理によって各気筒の行程位相が特定され、その気筒判別処理が完了したならば(ステップS80)、その気筒判別結果に従ってシーケンシャル噴射モードに移行する(ステップS81)。しかし気筒判別処理結果が特定されなかったり、或いはその気筒判別処理の途中で内燃機関に対する加速や減速がなされ、気筒判別処理が中止された場合には、再度、その走行状態を検出しながら(ステップS82)、前述したステップS76からの処理を繰り返し実行する。
このような処理手順に従えば、気筒判別処理によって各気筒の行程位相が正確に特定されるまでの間、つまり気筒判別がなされるまでの間は暫定噴射モードに従って内燃機関に対する燃料噴射を制御することができるので、その間にアクセル操作やブレーキ操作による加速・減速操作がなされても、これに追従して効率的に内燃機関の運転を制御することができる。従って気筒判別が完了していないと雖も、そのドライバビリティを十分に確保することができる。また運転操作に追従し得る暫定噴射モードで内燃機関に対する燃料噴射タイミングを制御しながら、特定気筒に対する噴射燃料量を他の気筒と異ならせることで、気筒判別を効率的に行い、速やかにシーケンシャル噴射モードに移行することが可能となる。
尚、図21では暫定噴射モードを第2の気筒判別処理に適用した場合について説明したが、このような減速時の燃料カット条件を判定して気筒判別処理を実行するのではなく、前述した定常定速走行状態を検出して気筒判別処理を実行するものに適用して良い良いことは勿論である。またこの燃料カット状態と定常定速走行状態との双方を監視しながら、その検出状態に応じて前述した気筒判別処理を実行するものに適用しても良いことは言うまでもない。
ところで前述した第1および第2の気筒判別処理において、特定気筒に対する燃料噴射量を他の気筒に対して異ならせる際、吸気空気量を増大させ、他の気筒に対する空燃比を調整して内燃機関の全体的な出力を一定に保つことについて述べた。このような内燃機関の回転数に関連する制御量を調整し、その回転数を一定値以上に保って該内燃機関の大幅な出力変動を押さえるに際しては、例えば図22A,図22Bにそれぞれ示すように構成されたテーブルに従って、吸気空気量等を調整・制御するようにすれば良い。
具体的には前述した燃料カットモードにおいて特定気筒に対してだけ燃料を噴射して回転変動を与える場合、スロットル開度が全閉付近であって吸気空気量が極めて少ないので、燃料噴射による燃焼および回転数の上昇が期待できない虞がある。従ってこの場合には、例えば吸気空気量を増加させて特定気筒の燃焼を正常なものとし、その出力を増加させて検出精度を高めるようにすれば良い。
このような場合には、例えば図22Aに示すように、内燃機関の回転数に応じて設定されたアイドル吸入空気量の下限流量を示すテーブルを用いて、その下限値をクリップ制御するようにすれば良い。更にはこのとき、図22Bに示すように内燃機関の冷却水温度に応じて設定された補正係数を用いて、上記アイドル吸入空気量を補正するようにすれば良い。この際、応答性良くアイドル吸入空気量を調整するべく、その制御弁としてはリニアソレノイド形式のものを用いることが望ましい。
このようにして内燃機関の回転数に応じてアイドル吸入空気量を下限クリップ制御することのみならず、そのアイドル吸入空気量をエンジン水温に応じて補正することで、簡易にして内燃機関の不本意な停止を防止しながら前述した気筒識別処理を効果的に実行することが可能となる。具体的には回転数に応じて求められるアイドル吸入空気量に対して、上記エンジン水温に応じて求められる補正係数を乗じることで、気筒判別時における適当な回転変動を得て、且つ良好な減速フィーリングを得ることのできる最適なアイドル吸入空気量を求めるようにすれば良い。この際、例えば燃料カット時における内燃機関のアイドル吸入空気量に対する学習値として、その内燃機関の固有のアイドル吸入空気量の補正値を求めておき、この補正値(学習値)を用いて上記気筒判別時における吸入空気量を更に補正するようにすれば、内燃機関の個体性に関与するバラツキを補正して、より良い制御を行うことが可能となる。
さて内燃機関の始動時に気筒判別ができなかった場合には、前述した如く減速時の燃料カットモードまたは定常低速走行状態を検出して気筒判別処理が実行されることになる。そして気筒判別完了前には、前述した如く全気筒同時噴射やグループ噴射、或いは図19および図20を用いて説明した変則的なシーケンシャル噴射モードに従って燃料の噴射制御が行われ、気筒判別が完了した後には、その気筒判別結果に従って正規のシーケンシャル噴射モードによる燃料噴射制御が行われることになる。
しかしながら内燃機関に対する加速および減速は、その気筒判別が完了したか否かに拘わらず実行される。また内燃機関に対する加速および減速の度合も様々である。この種の加速および減速を司る内燃機関の燃料制御は、一般的にはその気筒判別結果に基づく正規のシーケンシャル噴射モードで内燃機関が運転されている前提として実行される。ところが上記シーケンシャル噴射モードが実行される気筒判別後と、気筒判別が完了していない未判別時とでは自ずと燃料の噴射タイミングが異なるので、上述したシーケンシャル噴射モードにおける燃料制御の形態をそのまま採用するには問題があると考えられる。
具体的には、気筒の未判別時には燃料の噴射タイミングが異なり、例えば圧縮行程や燃焼行程において燃料が噴射されるので、その燃料の吸気ポートの壁面への付着量が変化する等の問題が生じる。更には噴射タイミングの異なりに起因して、噴射すべき燃料量の計算値にも異なりも生じ易い。このような燃料制御の誤差は、加速や減速に対する過渡応答性の劣化の原因や過度な反応として現れ、ドライバビリティを損なう要因となる。
そこで本発明では、加減速時における燃料制御に用いられる過渡補正燃料制御データを、気筒判別完了後とその未判別時とで別個に設定し、内燃機関に対する燃料噴射モードに応じてその過渡補正燃料制御データを選択的に用いるようにしている。即ち、気筒判別完了後とその未判別時とで別設定される過渡補正燃料制御データは、例えば加速時における燃料の加速増量に関する過渡補正データとしての水温補正係数、回転数補正係数、加速テーリング係数等である。これらの補正係数等については、図23A,図23B,図23Cにそれぞれ示すように内燃機関の回転数やエンジン水温をパラメータとしたマップ情報として与えておくようにすれば良い。
また同様に減速時における燃料の減速減量に関する過渡補正データとしては、例えば図24A,図24B,図24C,図24Dにそれぞれ示すように水温補正係数、回転数補正係数、圧力補正係数、減速テーリング係数等として、エンジン水温や回転数、更にはマニホールド圧力をパラメータとしたマップ情報として別設定しておくようにすれば良い。
尚、気筒未判別時の加速時に、スロットル開度に応じて非同期的に燃料噴射パルスを増やすことで噴射燃料の増量する場合には、その噴射パルスの数に応じて噴射燃料量が大きく変化するので、例えば図25A,図25B,図25Cにそれぞれ示すように、水温補正係数、回転数補正係数、および1噴射パルス当たりのベース燃料噴射量を、そのときのエンジン水温や回転数、スロットル開度をパラメータとするマップ情報として別設定しておくようにすれば良い。
このようにして気筒未判別時における燃料制御に対する過渡補正燃料制御データ(補正係数等)を、正規のシーケンシャル噴射モード時に用いられる過渡補正燃料制御データとは別に設定しておけば、気筒未判別時の燃料噴射モードに応じた噴射燃料量の制御が可能となるので、加速や減速に対する過渡応答性を良好なものとし、ドライバビリティの安定化を図ることが可能となる。特に気筒未判別時の燃料噴射モードに応じた噴射タイミングにおいて、加速または減速に応じた適切な燃料量を噴射することができるので、正規のシーケンシャル噴射制御が行われている場合に比較して、何ら遜色のない円滑な加速および減速制御を実行することが可能となる。
産業上の利用可能性
以上説明したように本発明に係る内燃機関の気筒判別装置によれば、内燃機関の出力回転軸に設けた信号発生手段から各気筒または行程位相が360゜異なる各気筒群に対応する信号を得ると共に、単一の特定気筒または行程位相が360゜異なる特定気筒を識別可能な識別信号を得るので、気筒判別の基準とし得る特定気筒、または特定気筒群の行程位相を正確なタイミングで特定することができる。
その上で内燃機関の始動完了後、或いは燃料カットモード時や定常定速走行状態を検出して前記特定気筒または特定気筒群に対する燃料噴射量を、他の気筒の燃料噴射量と異ならせることで該内燃機関に積極的に回転変動を与え、そのときの回転変動と前記気筒群識別結果とに従って前記内燃機関の各気筒の行程位相を判別するので、特定の気筒(気筒群)を完全失火を招来することなく、短時間のうちに確実に気筒判別することができる。
また特定気筒または特定気筒群に対する燃料噴射量を、他の気筒の燃料噴射量と異ならせて回転変動を与える際、他の気筒に対する内燃機関の回転数に関連する制御量を調整して該回転数を所定回転数以上に保持するので、気筒判別時におけるエンジンストップのような不慮の自体を未然に防ぎ、また内燃機関の大幅な出力変動を効果的に抑えることができる。しかも運転フィーリングを悪化させることなく気筒判別処理を実行することができ、その信頼性も十分高め得る等の利点がある。
本発明は、多気筒型内燃機関における各気筒の行程位相を、内燃機関を停止に至らせることなく、簡単な構成で、しかも確実に判別することのできる内燃機関の気筒判別装置に関する。
背景技術
複数の気筒を備えた多気筒型内燃機関において、各気筒毎に燃料噴射用のインジェクタを配置した、所謂MPI(マルチ・ポイント・インジェクション)システムがある。このMPIシステムは、吸気系の自由度を大きくし、また高出力を得ることが容易である。これ故、MPIシステムは、電子制御燃料噴射の主流をなすものとして注目されている。
このMPIシステムにおいては、専ら、予めグルーピングされた複数の気筒群毎にその気筒群の各インジェクタを同時駆動して燃料噴射するグループ噴射、或いは複数のインジェクタを個々に独立駆動して各気筒毎に順次燃料噴射するシーケンシャル噴射が行われる。いずれの燃料噴射形態を採用するにしろ、燃焼悪化や排ガス悪化の可能性のある行程、具体的には吸気行程を避けて、その燃料噴射のタイミングを設定することが望ましい。
各気筒または気筒群に対する燃料噴射のタイミングを、その吸気行程を避けて定めるには、各気筒が燃焼サイクル中のどの行程にあるかを判定することが重要である。即ち、内燃機関の各気筒は吸気,圧縮,燃焼(爆発),排気の4行程からなる燃焼サイクルを繰り返す。しかもこれらの各気筒は、順次等間隔に燃焼行程を迎えるように予めタイミング設定されている。従って特定の気筒がどの行程にあるか、或いは逆に特定の行程にある気筒がどれであるかを判定できれば、残りの各気筒がそれぞれどの行程にあるかを知ることができる。
前述した形態の燃料噴射は、このような気筒判別結果に基づいて制御される。尚、内燃機関の始動時には、複数の気筒に対して燃料を同時噴射しても殆ど問題がないので、一般的には始動完了後に気筒判別ができれば十分である。
しかし燃料噴射を制御する上で必要となる気筒判別に比較して、点火系を制御する上で必要とされる気筒判別の要求は非常に厳しい。ちなみにディストリビュータにより各気筒を順次点火する高圧配電システムにおいては、点火駆動する気筒が上記ディストリビュータによって自動的に選択されるので問題はない。しかしディストリビュータを用いない低圧配電システムにあっては、その始動時に速やかに気筒判別を行って点火すべきコイル(気筒)を決定する必要がある。
さて従来、各気筒に対する点火や燃料噴射のタイミング制御、更には回転速度の検出を行うことを目的として、該内燃機関の出力回転軸(クランク軸)にセンサを装着し、そのクランク角を検出することが行われている。しかしクランク軸は1燃焼サイクルにおいて2回転するので、クランク角センサの出力から直接的に気筒を識別することはできない。しかし上記クランク角センサの出力から、行程位相が360゜異なる2つの気筒からなる気筒群の識別は可能である。そこで従来では上記クランク軸に連動して回転するカム軸にもセンサを装着し、行程位相の360゜の異なりを判定するようにしている。そしてこのカムセンサからの信号と前記クランク角センサからの信号とを用いることで気筒を判別している。尚、カム軸は、動弁機構における各気筒の吸気弁および排気弁をそれぞれ開閉駆動するもので、クランク軸の2回転に同期して1回転する。
しかしクランク角センサおよびカムセンサからなら2系統の信号系を構築して気筒判別するには、一般的には構成が複雑化する上、コストが嵩む。しかもクランク軸とカム軸とを連結するタイミングベルトの伸縮や撓み等に起因して、各センサからえられる信号間に位相変動が生じることが否めない。この為、気筒判別のタイミングずれや誤判別の虞がある。
ところで特開平6−213052号公報には、クランク軸に所定の基準角信号と回転角信号とを発生する特殊なセンサを取り付けることが示される。そしてこのセンサから得られる信号に基づいて、上記基準角信号の検出タイミングを基準とするクランク角360゜毎の制御信号を得、この制御信号に従って複数の気筒に対する燃料のグループ噴射とグループ点火とを行う手法が開示される。
またこの公報には、上記グループ噴射・点火モードにおいて特定の1つの気筒に対する燃料噴射を停止させることで当該気筒を故意に失火させ、その失火が検出されるか否かを調べることによって気筒判別する技術が開示される。更にこの公報には気筒判別が完了した後、その気筒判別結果に従ってクランク角720゜毎に各気筒に対して独立に燃料を噴射して点火する、独立噴射・点火モードに切り替える手法が開示される。
しかしこの公報に開示される手法においては、特定の1つの気筒を失火させるには、その気筒に対する燃料噴射の停止を前記制御信号に基づいて360゜CA(クランク角)毎に複数サイクルに亘って繰り返し実行することが必要である。しかもこのようにして特定の気筒を失火させ、その失火が検出された時点で初めて気筒判別ができる。この為、気筒判別に要するまでの時間が長く掛かると言う不具合がある。しかも気筒判別の信頼性を高めるには上述した燃料噴射停止と、これによる失火の検出を繰り返し行うことが必要である。すると失火状態が長期に亘って続くことになり、内燃機関にとって好ましくない。
またこの従来の手法では、仮に始動時における気筒判別で誤判定が生じると、誤った気筒判別結果に従って燃料噴射制御が行われ、その状態が続くことになるので燃費悪化等の問題が生じる。更には燃料噴射を強制的に停止して失火させ、これによって回転変動を与えているため、気筒判別時に内燃機関が停止(エンジンストップ)する等の問題が生じる虞がある。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その第1の目的は、内燃機関の始動時に、その気筒判別を短時間に効率的に行うことである。また第2の目的は、始動時以外でもその気筒判別をより信頼性良く確実に行うことである。更に第3の目的は気筒判別の信頼性を向上させることであり、第4の目的は気筒判別時にエンスト等の不具合を発生させないことである。
更に本発明の第5の目的は、内燃機関が定常走行状態にあるときにも気筒判別を行い得るようにすることであり、第6の目的は気筒判別時における内燃機関の出力変動を防止することにある。
本発明はこれらの目的を達成し得る内燃機関の気筒判別装置を提供することにある。
発明の開示
本発明に係る気筒判別装置は、2回転に1回の燃焼行程を有し、等間隔で順次燃焼行程を迎える複数の気筒を有する多気筒型内燃機関に備えられるものであって、基本的には前記内燃機関の始動を検出する始動検出手段と、前記各気筒に対する燃料噴射弁の駆動を制御する噴射制御手段と、前記内燃機関の回転変動を検出する回転変動検出手段と、前記内燃機関の特定気筒を識別する為の信号を出力する識別手段と、この識別手段および前記回転変動検出手段の出力に従って前記気筒の行程位相を判別する気筒判別手段とを具備している。
そして上述した目的を達成するべく本発明の気筒判別装置においては、前記識別手段を、前記内燃機関の出力回転軸に設けられて該出力回転軸の回転に同期して、前記内燃機関の各気筒または行程位相が互いに360゜異なる各気筒群に対応する信号と、単一の特定気筒または行程位相が360゜異なる2個の特定気筒を識別する為の識別信号とを出力するセンシング部材として構成し、また前記始動検出手段によって前記内燃機関の始動が検出されたとき、前記噴射制御手段の作動を制御して前記内燃機関に回転変動を与える回転変動付与手段を設けたことを特徴としている。
特にこの回転変動付与手段において、前記内燃機関が奇数気筒の場合には、前記単一の特定気筒、または該特定気筒とこの特定気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁の駆動を停止、またはこれらの気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量と異ならせ、また前記内燃機関が偶数気筒の場合には、前記行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒の何れか一方の気筒、または該2個の特定気筒の何れか一方の気筒とこの気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁の駆動を停止し、またはこれらの気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量と異ならせることで、前記内燃機関に積極的に回転変動を与えることを特徴としている。
つまり本発明は、内燃機関の始動時に特定の気筒(気筒群)における燃料噴射量を他の気筒(気筒群)の燃料噴射量と異ならせることで該内燃機関に回転変動を与え、このときの回転変動の様子と識別手段から検出される気筒群識別結果とに従って気筒の行程位相を判別することで、特定の気筒(気筒群)が失火しない場合であっても気筒判別ができるようにし、その気筒判別に要する時間を短くすると共に、判別結果に対する信頼性を高めたことを特徴としている。
また本発明に係る気筒判別装置は、更に前記回転変動付与手段の作動時に、前記内燃機関の回転数に関連する制御量を調整してその回転数を所定回転数以上に保持する制御量調整手段、例えばアイドル時の空気量を調整する手段を備え、これによって気筒判別時に内燃機関が停止に至らないようにしたことを特徴としている。
更に本発明に係る別の気筒判別装置は、前記噴射制御手段によって燃料噴射がカットされる車両減速時の燃料カット領域を判定する燃料カット判定手段を更に備え、この燃料カット判定手段によって燃料カット領域が判定されたとき、前記回転変動付与手段を作動させるようにし、
特にこの場合、前記内燃機関が奇数気筒であるときには前記単一の特定気筒、または該特定気筒とこの特定気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量に相当する燃料を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁を駆動して噴射させ、また前記内燃機関が偶数気筒であるときには、前記行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒の何れか一方の気筒、または該2個の特定気筒の何れか一方の気筒とこの気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量に相当する燃料を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁を駆動して噴射させることで、内燃機関に積極的に回転変動を与えることを特徴としている。
つまり内燃機関における燃料カットモード時に特定の気筒(気筒群)における燃料噴射量を他の気筒(気筒群)の燃料噴射量と異ならせ、具体的には特定の気筒(気筒群)だけに燃料を噴射することで該内燃機関に回転変動を与え、このときの回転変動と気筒群識別結果とに従って気筒判別することで、内燃機関の始動時以外においても、燃料カットモード時を利用して繰り返し気筒判別を行い得るようにし、これによってその判定信頼性を高めることを特徴としている。
また本発明に係る気筒判別装置は、更に車両の変速状態を検出する変速検出手段を備え、この変速検出手段により変速中であることが検出されたときには前記気筒判別手段による気筒判別処理を禁止または中止するようにしている。即ち、車速が変化するときには自ずと回転変動が大きくなることから、変速時における気筒判別を禁止または中止することで、誤った気筒判定を未然に防ぐことを特徴としている。
更には本発明は、内燃機関の始動時に駆動される第1の回転変動付与手段と、燃料カット時に駆動される第2の回転変動付与手段とをそれぞれ備え、前記噴射制御手段においては、前記内燃機関の始動後から前記第2の気筒判別手段による気筒判別結果が求められるまで、前記第1の気筒判別手段による気筒判別結果に基づいて各気筒に対する燃料噴射を制御し、前記第2の気筒判別手段により気筒判別結果が求められた後には、該第2の気筒判別手段の気筒判別結果に基づいて各気筒に対する燃料噴射を制御する手段を備えたものとすることを特徴としている。
つまり始動時および車両減速時の燃料カット領域のそれぞれにおいて、その状態に応じて特定の気筒(気筒群)の燃料噴射量を他の気筒(気筒群)と異ならせることで該内燃機関に積極的に回転変動を与え、各時点での回転変動と気筒群識別結果とに基づいてそれぞれ気筒判別処理を実行することで、両者の利点を互いに活かしながら、しかも上記各状態における内燃機関に悪影響を及ぼすことなく気筒判別を安定・確実に行い、その気筒識別結果に基づく燃料噴射制御を安定に行うことを特徴としている。
また本発明に係る別の気筒判別装置は、更に内燃機関の定常走行状態を検出する定常走行検出手段を備え、この定常走行検出手段によって定常走行状態が検出されたときに回転変動付与手段を作動させて前記内燃機関に回転変動を与えるようにすることで、始動時に気筒判別ができなかったとき、或いは始動後に車両減速時の燃料カット領域が検出されない場合であっても、車両の走行が安定している状態で気筒判別を行い得るようにしたことを特徴としている。
この際、前記多気筒型内燃機関の気筒数が偶数であるときには、前記噴射制御手段において、前記回転変動付与手段が作動する前で、前記識別手段から前記特定気筒を識別する為の識別信号が出力された後、該識別手段からの各気筒群に対応する信号の出力に応じて各気筒毎に順次燃料噴射弁を駆動することで、特に内燃機関の回転数に関連する制御量を調整して該回転数を所定回転数以上に保持する制御量調整手段を備えることで、気筒が未判別の状態でも内燃機関の出力低下を防ぐことを特徴としている。
また本発明に係る気筒判別装置は、更に前記燃料噴射弁からの噴射量を設定する噴射量設定手段を備え、この噴射量設定手段による過渡補正情報を、気筒未判別時と気筒判別完了時とで別設定することで、気筒判別結果が得られるか否かに拘わることなく適切な燃料量を噴射し得るようにしたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態に係る気筒判別装置の概略的な機能構成図。
図2は、クランク軸に取り付けられた回転部材から得られる信号系列と、そのパルス識別の概念を説明する為の図。
図3は、図2に示す信号系列に対するパルスの識別処理手続きを示す図。
図4は、図2に示す信号系列に対するパルスの識別結果とその標準パターンとの関係を示す図。
図5は、第1および第4気筒群(#1−4)と、第3および第2気筒群(#3−2)とに対する燃料のグループ噴射の概念を示す図。
図6は、第1および第4気筒群(#1−4)と、第3および第2気筒群(#3−2)とに対する分割グループ噴射の概念を示す図。
図7は、第1乃至第4気筒に対する一般的なグループ噴射の概念を示す図。
図8は、実施例装置における気筒判別処理の全体的な実行手順の例を示す図。
図9は、始動時における第1の気筒判別処理の実行手順を示す図。
図10は、グループ噴射時における第1気筒に対する噴射燃料低減(燃料カット)のタイミングを示す図。
図11は、回転数の検出タイミングを示す図。
図12は、回転変動判定の処理概念を模式的に示す図。
図13は、燃料カットモード時における第2の気筒判別処理の実行手順を示す図。
図14は、3気筒型内燃機関における第1気筒のトップ位置判別を説明する為の図。
図15は、定常定速走行状態における気筒判別処理を導入した場合の全体的な燃料噴射制御の処理手順を示す図。
図16は、定常定速走行時における気筒判別処理の実行条件に対する判定手順を示す図。
図17は、定常定速走行時における気筒判別処理の概略的な処理手順を一例を示す図。
図18は、4気筒型内燃機関に対する一般的なシーケンシャル噴射制御における燃料噴射タイミングを示す図。
図19は、気筒未判別時における燃料の暫定噴射モードにおける各気筒に対する燃料噴射タイミングを示す図。
図20は、気筒未判別時における燃料の暫定噴射モードにおける各気筒に対する燃料噴射タイミングの別の例を示す図。
図21は、燃料の暫定噴射モードを導入したときの、内燃機関に対する燃料噴射制御の全体的な制御手順を示す図。
図22Aは、気筒判別時において用いられるアイドル吸入空気量に対する補正データを示すもので、内燃機関の回転数に応じて設定されたアイドル吸入空気量の下限流量を示すマップデータ。
図22Bは、気筒判別時において用いられるアイドル吸入空気量に対する補正データを示すもので、内燃機関の冷却水温度に応じて設定された補正係数を示すマップデータ。
図23Aは、燃料の加速増量に関する過渡補正データを示すもので、水温補正係数を示すマップ情報。
図23Bは、燃料の加速増量に関する過渡補正データを示すもので、回転数補正係数を示すマップ情報。
図23Cは、燃料の加速増量に関する過渡補正データを示すもので、加速テーリング係数を示すマップ情報。
図24Aは、燃料の減速減量に関する過渡補正データを示すもので、水温補正係数を示すマップ情報。
図24Bは、燃料の減速減量に関する過渡補正データを示すもので、回転数補正係数を示すマップ情報。
図24Cは、燃料の減速減量に関する過渡補正データを示すもので、圧力補正係数を示すマップ情報。
図24Dは、燃料の減速減量に関する過渡補正データを示すもので、減速テーリング係数を示すマップ情報。
図25Aは、非同期燃料噴射モードの加速増量に関する過渡補正データを示すもので、水温補正係数を示すマップ情報。
図25Bは、非同期燃料噴射モードの加速増量に関する過渡補正データを示すもので、回転数補正係数を示すマップ情報。
図25Cは、非同期燃料噴射モードの加速増量に関する過渡補正データを示すもので、はベース燃料噴射量を示すマップ情報。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説明するべく、以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る気筒判別装置について説明する。
図1において、1は複数の気筒を備えた多気筒型内燃機関の出力回転軸であるクランク軸(図示せず)に取り付けられて、該クランク軸と共に回転する回転部材である。この回転部材1は、所謂クランク角センサ板と称され、その周囲に配置されたホール素子からなるセンシング部材2と協働してクランク軸の回転に同期した信号を発生する識別手段を構成する。上記回転部材1は、内燃機関の各気筒または気筒群に対応する信号を生成する為の突起1aと、特定気筒または行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒からなる特定気筒群を識別するに必要な識別信号を生成する為の突起1bとを、その周方向に形成したベーン構造を有する。
例えば4気筒型内燃機関の場合には、上記回転部材1は、各気筒におけるピストンの上死点(TDC)を基準(0゜)として、クランク角で上記基準から5゜前(B5゜)および75゜前(B75゜)のタイミングをリーディング・エッジおよびトレーリング・エッジとするパルス信号を、各気筒(気筒群)に対応させて、クランク軸の1回転に伴って2回発生する為の2つの突起1aを点対称に備えている。また回転部材1は、上記2つのパルス信号がいずれの気筒(気筒群)に対応するものであるかを識別する為の識別信号を発生するための突起1bを、前記突起1a間の一方に備えている。
この実施例に係る気筒判別装置の主体をなす電子制御ユニット(ECU)3の詳細については後述するが、この電子制御ユニット3は、基本的には前記回転部材1とセンシング部材2とからなる信号発生手段(識別手段)がクランク軸の回転に同期して発生する信号を取り込んで動作する。そして後述する気筒群識別処理や内燃機関(クランク軸)の回転変動検出処理、更には気筒判別処理等を実行する。
即ち、電子制御ユニット3は、ハードウェア的にはマイクロプロセッサやメモリ等を備えて構成されるが、機能的には図1に示すように気筒群識別手段11,回転変動検出手段12,第1の気筒判別手段13,第2の気筒判別手段14,始動検出手段15,第1の回転変動付与手段16,燃料カット判定手段17,第2の回転変動付与手段18,変速検出手段19,回転数制御手段20,噴射制御手段21,および定常走行検出手段22を具備して構成される。そして噴射制御手段21にて、複数の気筒に対応して設けられた燃料噴射弁4a,4b,4c,4dをそれぞれ駆動し、これらの各気筒に対する燃料噴射をそれぞれ制御するものとなっている。尚、図1には示していないが、電子制御ユニット3には各気筒に対する点火をそれぞれ制御する為の点火制御装置等も組み込まれることは言うまでもない。
ここで先ず、前記回転部材1を備えた信号発生手段によって得られる信号と、その信号に基づく気筒群識別処理について説明する。
内燃機関が作動してその出力回転軸(クランク軸)が回転すると、これに伴って回転部材1が回転することからセンシング部材2は該回転部材1の突起1a,1bに応じて図2に示すような信号系列を生成出力する。
ちなみに4気筒型内燃機関においては、一般的にその燃焼行程が第1気筒(#1),第3気筒(#3),第4気筒(#4),第2気筒(#2)の順序で等間隔に迎えるように設定される。また各気筒は、クランク軸が2回転することでそれぞれ吸気,圧縮,燃焼,排気からなる1連の燃焼サイクルを実行する如く構成される。前述した回転部材1の2つの突起1aの一方は、第1気筒および第4気筒(#1−4)に対応してその上死点を基準とするB5゜,B75゜のクランク角を示すパルス信号を生成し、他方の突起1aは第2気筒および第3気筒(#2−3)に対応してその上死点を基準とするB5゜,B75゜のクランク角を示すパルス信号を生成する。
また突起1bは、上記2つの突起1aからそれぞれ得られるB5゜,B75゜のパルス信号が第1および第4気筒に対応したものか、或いは第2および第3気筒に対応したものであるかを識別する為の識別信号を生成するものである。この識別信号により、例えばこの識別信号の後に得られるパルス信号が、第1および第4気筒に対応するものとして識別される。
そこでこの実施形態における気筒群識別手段11では、信号発生手段から得られる信号系列中のどのパルスが気筒(気筒群)に対応したB5゜,B75゜のクランク角を示す信号であって、またどのパルスが識別信号でるかを先ず判定している。そしてその判定結果に従って特定気筒群に対応する信号を、具体的には第1および第4気筒群(#1−4)に対応するパルス信号を識別している。ちなみにクランク軸の回転速度は内燃機関の作動状態によって変化するので、前記信号系列のパルス輻だけを単純にモニタリングしても、上記両信号を区別することはできない。そこで気筒群識別手段11では、図3に示すように各パルス信号のパルス幅比(デューティ比)を計測し(ステップS1)、順次計測されるパルス幅比の変化率を順次算出している(ステップS2)。そしてそのパルス幅比の変化率が所定値を越えるとき、これを識別信号の次に出現した特定の気筒群(#1−4)に対応したパルス信号であるとし、これを検出している(ステップS3)。
即ち、気筒群識別手段11は、前記信号発生手段から得られる信号系列中の各パルスのパルス幅比を、そのパルスのリーディング・エッジからトレーリング・エッジまでの時間幅T1と,該リーディング・エッジから次のパルスのリーディング・エッジまでの時間幅T2との比(T1/T2)として順次求めている。そしてパルス幅比(T1/T2)の変化率Kを、現時点nのパルス幅比(T1/T2)nと、その1パルス前(n−1)のパルス信号のパルス幅比(T1/T2)n-1とから
Kn-1=[(T1/T2)n−(T1/T2)n-1]/(T1/T2)n-1
として順次求めている。そしてこの変化率Kn-1が、例えば所定値[0.3]を越えるとき、上記1パルス前のパルスを特定気筒(気筒群)を示すパルス信号、つまり気筒群識別の為に追加した突起1bに対応する識別信号の次に出現し、該識別信号によって特定される気筒群(#1−4)を示すパルス信号であると判定している。
具体的には、例えばクランク軸が1回転する間の回転速度が一定であるとき、図2に示す信号系列の各パルス信号のパルス幅比は
(T1/T2)n-2=0.389
(T1/T2)n-1=0.656
(T1/T2)n =0.499
として設定されている。従って各時点でのパルス幅比の変化率Kは
Kn-2= 0.686>0.3
Kn-1=−0.239≦0.3
Kn =−0.220≦0.3
として順次求められ、次のパルスタイミング(n+1)では
Kn+1= 0.0686>0.3
として求められる。このようなパルス幅比の変化率Kから、この場合にはタイミング(n−2)のパルスが、識別信号の直後に出現する特定気筒群(#1−4)に対応したパルス信号であると判定される。この結果、図2に示す信号系列の場合には、タイミング(n−2)で示されるパルスが特定の気筒(気筒群)に対応する信号[1]であり、これに続くタイミング(n−1),(n)の2つのパルスはその他の信号[0]であると判定される。
気筒群識別手段11は、更に上述した如く判定される信号系列中の連続する3回の判定結果をモニタしている。この場合、その判定結果が正しい場合には、連続する3回の判定結果において特定の気筒群を示す[1]なる判定結果が必ず1回だけ出現する。そこで気筒群識別手段11では、図4に示すようにその判定信号の系列を、正規系列として示される3つの標準パターンと照合し、これらの標準パターンのいずれかと一致したとき、これを気筒群識別結果が正しいとして認識している。また気筒群識別手段11では、前記回転部材1から新たなパルスが検出される都度、前記判定信号系列が順次シフトされて更新されることから、そのシフトパターンに従って上記判定信号系列を学習し、常に最新の気筒群判別情報を得るものとなっている。
以上のような気筒群判別処理により特定の気筒(気筒群)である第1および第4気筒からなる気筒群(#1−4)に対応したパルスが検出され、そのパルスのリーディング・エッジとトレーリング・エッジとから特定の気筒群(#1−4)のB5゜,B75゜のタイミングがそれぞれ正確に検出されるものとなっている。
尚、上述した如く判定される気筒群識別情報が得られない場合には、例えば各気筒に対する燃料噴射や点火処理は中止される。
さて本装置では上述した如くクランク軸に取り付けられた回転部材1からの信号に基づいて求められる気筒群識別情報をベースとし、次のようにして特定の気筒を判別する。この気筒判別は上記気筒群識別情報に従って、各気筒群毎に所定のタイミングで燃料をグループ噴射しながら行われる。ちなみに一般的なグループ噴射は、前述した各気筒が迎える燃焼行程の順序に従って第1気筒と第3気筒からなる気筒群(#1−3)と,第4気筒と第2気筒からなる気筒群(#4−2)とに分けて行われる。しかしここでは上述した回転部材1からの信号(パルス)に対応させて第1気筒および第4気筒からなる気筒群(#1−4)と、第2気筒および第3気筒からなる気筒群(#2−3)とに分け、例えば図5に斜線を付して示すようにクランク軸が2回転する都度(1燃焼サイクル毎に)、各気筒群に対してそれぞれ1回、燃料をグループ噴射するものとなっている。また或いは1回の噴射燃料量を半分に減らし、図6に示すようにクランク軸が1回転する都度、分割的に燃料をグループ噴射するものとなっている。
尚、一般的なグループ噴射の形態である2つの気筒群(#1−3),(#4−2)に対して、例えば図7に斜線を付して示すようなタイミングで燃料をグループ噴射することも可能である。しかしこのようにすると、前述した気筒群判別処理においては特定の気筒群(#1−4)しか判別できないので、図7中破断斜線で示すように吸気および圧縮の各行程で燃料噴射が行われる可能性がある。特に燃焼の悪化領域である吸気行程の後半から圧縮行程の前半の吸気弁が開いたタイミングで燃料噴射が行われる可能性がある。このような燃料噴射のタイミングは、所謂ポート噴射型のエンジンにとっては好ましくないが、筒内直接噴射型のエンジンでは燃焼悪化の問題がさほど生じないので、上述した気筒群(#1−3),(#4−2)に対するグループ噴射を行うことも可能である。また気筒群(#1−4)の判別情報に基づくタイミングで1燃焼サイクル毎に1回、全気筒同時に燃料噴射しながら気筒判別処理を行うことも可能である。
しかしここでは図5に示すタイミングで2つの気筒群(#1−4),(#3−2)に対して燃料をグループ噴射するものとして、次の気筒判別処理について説明する。
図8にこの実施例装置における全体的な気筒判別処理の概略的な手順を示すように、この処理手続きは、先ず前述した気筒群判別結果に従って、気筒群(#1−4)を示すパルスの1つを第1の気筒(#1)に対応するものと仮定し、そのB5゜タイミングを基準タイミング(B5゜基準)とした上で、気筒判別結果を格納する為の2つのレジスタA−RAM,B−RAMの内容をそれぞれ[0]に初期設定することから開始される(ステップS11)。しかる後、前記第1の気筒判別手段13による第1の気筒判別処理を実行する(ステップS12)。
この第1の気筒判別処理は、内燃機関の始動吹き上りの完了を始動検出手段15にて検出して第1の回転変動付与手段16を起動し、この第1の回転変動付与手段16の制御の下で噴射制御手段21を駆動し、そのときの内燃機関の回転変動を前記回転変動検出手段12にて検出して実行される。特にこの第1の気筒判別処理は、第1気筒(#1)に対する燃料噴射を停止(燃料カット)、或いはその噴射燃料量を低減しながら、そのときの内燃機関の回転変動を前記回転変動検出手段12にて検出して実行される。そして上記回転変動から前述した如く仮定した基準タイミング(B5゜基準)が真に第1気筒に対応するものであるか、逆にその仮定が誤り(偽)であり、本当は第の4気筒に対応したものであるかを判定することにより行われる。そして上記仮定が真または偽であると判定されたとき、その判定結果を前記レジスタA−RAMに格納して第1の気筒判別処理を終了する(ステップS13)。このときその気筒判別結果に基づいてシーケンシャル噴射モードに移行するようにしても良いが、ここでは更に別の気筒判別処理が実行される。
上記ステップS12おける具体的な気筒判別処理については後述するが、基本的には気筒群識別結果に基づいて仮定したB5゜基準に従って第1気筒に対する噴射燃料量を他の気筒に対する噴射燃料量より減らすことで、第1気筒が燃焼悪化或いは失火し得る環境を形成し、これによって回転変動が生じたか否かを前記回転変動検出手段12によって検出することによって行われる。そして第1気筒が燃焼悪化または失火して回転変動が生じたとき、前記仮定が真であると判定して前記レジスタA−RAMにデータ[40H]を格納する。また第1気筒に対する噴射燃料量の制御を行っても回転変動が検出されない場合には、これを前記仮定が偽であると判定し、前記レジスタA−RAMにデータ[80H]を格納してその判定処理を終了する。
尚、この気筒判別処理において前記仮定が真である、または偽であるとの判定結果が得られなかった場合、つまり判定できなかった場合や、判定結果の信頼性が乏しい場合には、その時点でこのステップS12に示す第1の気筒判別処理を中止する。
さて第1の気筒判別処理により気筒判別がなされたとき、或いはこの第1の気筒判別処理が失敗したときには、次に示す前記第2の気筒判別手段14を用いた第2の気筒判別処理が実行される(ステップS14)。この第2の気筒判別処理は、前述した第1の気筒判別処理による判別結果を再確認し、或いはその失敗に対して別の観点から気筒判別を実行するもので、車両減速時の各気筒群に対する燃料カットモード時を利用して実行される。
即ち、このステップS12おける具体的な第2の気筒判別処理については後述するが、基本的には各気筒(気筒群)に対する燃料カットモード時を燃料カット判定手段17にて検出して第2の回転変動付与手段18を起動し、前記第1気筒(#1)に対してだけ燃料を噴射して実行される。つまり、第1気筒に対する噴射燃料量を他の気筒に対する噴射燃料量と異ならせることで回転変動が生じるか否かを前記回転変動検出手段12により検出することによって行われる。そして回転変動が検出されて前記仮定が真であると判定されたとき、前記レジスタB−RAMにデータ[40H]を格納し、また回転変動が検出されず、前記仮定が偽であると判定されたときにはレジスタB−RAMにデータ[80H]を格納してその判定処理を終了する(ステップS15)。そしてこの気筒判定結果に従ってシーケンシャル噴射モードに移行する。
尚、この第2の気筒判別処理において前記仮定が真である、または偽であるとの判定結果が得られなかった場合、つまり判定できなかった場合や、判定結果の信頼性が乏しい場合には、所定のタイミングで上記ステップS14に示す第2の気筒判別処理を繰り返し実行する。またこのレジスタB−RAMに格納された第2の気筒判別結果と前記レジスタA−RAMに格納された第1の気筒判別結果とが異なる場合には、第2の気筒判別結果を優先的に採用してシーケンシャル噴射を実行する。
以上のようにして本装置では、第1の気筒判別手段13および第2の気筒判別手段14とを用いて気筒群(#1−4),(#2−3)に対する燃料のグループ噴射時における気筒判別をそれぞれ実行するものとなっている。しかし、その一方の気筒判別処理だけを実行するように装置を構成することも勿論可能である。
次に上述した第1および第2の気筒判別処理について更に詳しく説明する。
第1の気筒判別処理は、前述したようにエンジン始動時に回転数が吹上がった後に、第1気筒(#1)に対する噴射燃料量を低減して、極端な場合には燃料カットし、これによって当該第1気筒が燃焼悪化(失火)するか否かを、そのときの回転数の変動から検出することにより気筒判別するものであり、例えば図9に示す処理手続きに従って実行される。
この処理は先ず2つの判定結果レジスタA(n),B(n)をそれぞれ[0]に初期設定すると共に、燃焼サイクルに対応した制御パラメータKMを[0]に初期設定することから開始される(ステップS21)。そしてエンジンの始動完了を、その始動時におけるエンジン回転数Neが所定の回転数Ne0、例えば1200rpm以上に吹き上がったか否かを、前記始動検出手段15にて判定した上で実行される(ステップS22)。この処理により、始動直後におけるエンジン吹き上がり前、つまり内燃機関の作動が不安定な状態での気筒判別が禁止される。
さてエンジンの吹き上がりが検出されると、次に第1の気筒判別処理を実行すべき条件が整っているかの判定が行われる(ステップS23)。この判定は、所謂エンストが懸念される低水温時での気筒判別を禁止するべく、そのときの水温が所定値WT(例えば10℃)以上であるか、またその時点でのエンジン回転数R2(n)がエンストを生じる虞のある所定回転数(例えば700rpm)より低くないかをそれぞれ判定し、更にはこの第1の気筒判別処理をエンジンの始動後に1回だけ実行するべく、当該気筒判別処理が既に完了していないかをそれぞれ判定することにより実行される。これらの判定条件の全てが満たされない場合、つまり1つでも条件が整わない場合には、その時点で、それ以降に実行する予定の第1の気筒判別処理を禁止(中止)し、前記制御パラメータKMを[0]に再設定して該エンジンの再始動に備える(ステップS24)。
しかして上述した気筒判別の条件が成立した場合には、次に第1の回転変動付与手段16を起動して第1気筒の燃料噴射量を他の気筒よりも少なくする。そしてそのときの回転数を回転変動検出手段12により検出する。この際、前記制御パラメータKMをインクリメントする(ステップS25)。
この第1の回転変動付与手段16による第1気筒への噴射燃料量の低減(カット)は、前記気筒群(#1−4)を示すパルス信号の一方を第1気筒(#1)に対応するものと仮定したときのB5゜タイミングを基準として、図10に示すようなグループ噴射のタイミングで行われる。即ち、第1気筒の排気行程の後半から吸気行程の前半に掛けて設定されている燃料のグループ噴射タイミングおいて、第1気筒に対する噴射燃料量の低減(カット)を実行する。しかし圧縮行程の後半から燃焼行程の前半のタイミングとなっている第4気筒に対しては通常通りの燃料噴射を行う。尚、上記仮定が誤っている場合には、第1気筒に対する噴射燃料の低減(カット)のタイミングは、実際には第1気筒の圧縮行程の後半から燃焼行程の前半となる。しかし排気行程の後半から吸気行程の前半を迎える第4気筒に対しては、そのまま定量の燃料が噴射されることになる。
前記回転変動検出手段12は、このようにして第1気筒に対する噴射燃料の低減(カット)が行われた時点における燃焼サイクルでのエンジンの回転数R1(n)を、例えばクランク軸の1回転に要する時間、つまり前述した回転部材1の1回転に要する時間T(n)[μSec]から
R1(n)=60×1000000/T(n) [rpm]
として順次求める。ちなみに前述したステップS23における気筒判別条件の判定に用いる回転数R2(n)として、1燃焼サイクルを単位として、クランク軸が連続して2回転するに要する時間の平均(T(n)+T(n-1))/2から、例えば
R2(n)=60×1000000/T(n)+T(n-1))/2 [rpm]
として算出したものを用いれば良い。
しかして回転数R1(n)の検出処理は、図11に示すタイミングで前記制御パラメータKMが所定値[3]に達するまでの、燃焼サイクルの3周期に亘って繰り返し実行される(ステップS26)。そして回転変動検出手段12は、前記第1気筒(#1)のB5゜タイミングを基準とした連続する3サンプル分の回転数R1(n),R1(n-1),R1(n-2)が求められる都度、その時点での回転変動を
R1x(n-1)=R1(n-1)−{R1(n-2)+R1(n)}/2
として求め、その算出値R1x(n-1)が正であるか負であるかを判定している。そして算出値R1x(n-1)が負である場合には前記判定結果レジスタA−RAMの値A(n)をインクリメントし、逆に算出値R1x(n-1)が正である場合には前記判定結果レジスタB−RAMの値B(n)をインクリメントしている(ステップS27)。この処理は前記制御パラメータKMが所定値、例えば[5]となるまで、連続した3サンプル分の回転数が求められる都度、5燃焼サイクルに亘って繰り返し実行される(ステップS28)。
即ち、回転変動検出手段12は、図5に示す如きグループ噴射モード時における上述した第1気筒に対する噴射燃料削減(カット)による回転変動の有無を検出するべき、前述したようにクランク軸1回転毎のB5゜タイミングにおける回転数R1(n)を順次求めている。そして図12に回転変動検出の原理を模式的に示すように、第1気筒のB5゜タイミングを基準として求められる回転数R1(n-2),R1(n)の平均値と、その中間である第4気筒のB5゜タイミングにおける回転数R1(n-1)との差R1x(n-1)を回転変動の指標として求めている。尚、上記回転数R1(n-2),R1(n)の平均は、エンジンの回転数が大きく変化しない場合にも対処し得るように求めるものである。
この図12を参照して回転変動検出の原理を今少し詳しく説明すると、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が正しい場合には、B5゜基準のタイミングで噴射燃料が低減(カット)された第1気筒の燃焼が回転変動に影響を与えるタイミングは、丁度、第4気筒のB5゜基準のタイミングとなる。逆に第4気筒の燃焼が回転変動に影響を与えるタイミングは、第1気筒のB5゜基準のタイミングとなる。これ故、B5゜基準毎に求められるタイミング(n−2),(n)での回転数R1(n-2),R1(n)は、専ら第4気筒の燃焼が影響を与えた回転数となる。逆に上記第1気筒のB5゜基準の中間タイミングとなる第4気筒のB5゜タイミング(n−3),(n−1)で求められる回転数R1(n-3),R1(n-1)は、噴射燃料が低減(カット)された第1気筒の燃焼が影響を与えた回転数となる。
従って図12に示すようにB5゜基準毎に求められる回転数R1(n-2),R1(n)は、第4気筒の燃焼に依存するものとなる。また第4気筒のB5゜タイミングでの回転数R1(n-3),R1(n-1)は、燃料低減(カット)された第1気筒の燃焼に依存したものとなり、燃料低減(カット)に起因する燃焼悪化(失火)により、その回転数が低下する。するとこの場合、
R1(n-1)<R1(n-2),R1(n)
となるので、前述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)はマイナス(負)となる。
ところが前述した第1気筒に対するB5゜基準の仮定が誤っている場合には、B5゜基準毎に第4気筒の燃焼に依存するとして求めた回転数R1(n-2),R1(n)は、実際には第1気筒に依存したものであり、その燃焼サイクルにおいて第1気筒に対する燃料低減(カット)が行われているので、その回転数が低下する。また第4気筒のB5゜タイミングにおいて第1気筒の燃焼に依存するとして求めた回転数R1(n-3),R1(n-1)は、実際には第4気筒に依存したものであり、燃料低減(カット)に依存する回転変動が生じることがない。従ってこの場合には、
R1(n-1)>R1(n-2),R1(n)
となるので、前述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)はプラス(正)となる。
ステップS27における回転変動検出処理においては、上述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)が正であるか負であるかに応じて、負である場合には前記判定レジスタA−RAMの値A(n)をインクリメントし、また正である場合には判定レジスタB−RAMの値B(n)をインクリメントする。ちなみに上記回転数の差R1x(n-1)が零[0]である場合には、判定不能であるとして、いずれの判定レジスタA−RAM,B−RAMの値A(n),B(n)もインクリメントしない。このような判定処理を、前記制御パラメータKMに従って5燃焼サイクルに亘って繰り返えし実行する。
さて連続する5燃焼サイクルに亘る回転変動検出処理が終了すると、前記判定レジスタA−RAM,B−RAMの値A(n),B(n)が所定値、例えば[4]以上であるか否かが判定される(ステップS29)。そして判定レジスタA−RAM,B−RAMの一方の値A(n),B(n)が[4]以上である場合、具体的には判定レジスタA−RAMの値A(n)が[4]以上である場合には、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が正しいと判定する。また逆に判定レジスタB−RAMの値B(n)が[4]以上である場合には、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が誤っており、実際にはその正しいとB5゜基準は第4気筒に対応したものであると判定して、その気筒識別処理を終了する(ステップS30)。この際、前記制御パラメータKMを[0]にリセットして、次回の気筒判別処理(該エンジンの再始動)に備える。また判定レジスタA−RAM,B−RAMの両方の値A(n),B(n)がどちらも[4]にならなかった場合には、気筒判別処理が正確に行えなかったものと判断し、その気筒判別処理を中止する。
尚、上述した第1の気筒判別処理においては、例えば回転数制御手段20を作動させて回転数に関連する制御量を調整し、具体的にはアイドル運転時の吸入空気量を所定の下限値でクリップすることにより空燃比を調整し、その回転数が目標アイドル回転数以下とならないように制御して、エンストを防ぐ等の対策を施すことが望ましい。
かくして上述した第1の気筒判別処理によれば、エンジンの始動直後に第1気筒に対する噴射燃料を低減して気筒判別を行うので、気筒判別ができていない状態が長く続くことを効果的に防止することができる。しかも内燃機関の始動直後に短時間に気筒判別処理を実行するので、運転フィーリングに悪影響を及ぼす虞がない。
また上述した回転変動検出によれば、その評価値R1x(n)を燃焼悪化(失火)の気筒において負の値、または燃焼気筒においては正の値として求めるので、その判定レベルを零[0])として定めることができ、複雑なマッチング処理等を一切要しない。これ故、簡単にして確実に回転変動に基づく気筒判別を実行することができる。
更には回転変動が生じる程度に特定の気筒に対する噴射燃料量を低減するだけで良いので、特定の気筒を完全に失火させることなく気筒判別することが可能であり、運転フィーリングの劣化を招来しない。また完全失火を起こさないので、排気系の触媒の活性化に悪影響を与えることなく、気筒判別を確実に行い得る等の利点がある。
ところで第2の気筒判別処理は、例えば図13に示す処理手順に従って行われる。この処理は、先ず2つの判定結果レジスタC−RAM,D−RAMの値C(n),D(n)をそれぞれ[0]に初期設定と、更に燃焼サイクルに対応した2つの制御パラメータKM,KKをそれぞれ[0]に初期設定することから開始される(ステップS31)。しかる後、第2の気筒判別処理を実行すべき条件が整っているかの判定が行われる(ステップS32)。
この判定は、前記燃料カット判定手段17にて、例えば車両が減速中で、且つエンジンに対して燃料の噴射がカットされている状態であるか否か、また変速検出手段19を用いて車両が変速中である否かをそれぞれ判定して行われる。具体的には空気量調整手段(例えばスロットル弁)が全閉となり、その時点でのエンジン回転数R2(n)が燃料カットモードでの運転状態が実現される所定回転数(例えば1500rpm)より高いか否かを判定する。またそのときの回転数の変化が変速時における回転数の変化のように大きくないことを確認し、更には当該気筒判別処理が既に完了していないかを確認することによりなされる。これらの判定条件の全てが満たされない場合、つまり1つでも判定条件が整わない場合には、その時点で、それ以降に実行する予定の第2の気筒判別処理を禁止(中止)し、前記制御パラメータKNを[0]に再設定して次回の燃料カットモード時における気筒判別処理に備える(ステップS33)。
しかして上述した第2の気筒判別処理に対する判定条件が成立した場合には、次に前記第2の回転変動付与手段18を起動して第1気筒(#1)に対してのみ燃料を噴射し、そのときの回転数を前記回転変動検出手段12により検出する。そしてこの燃料噴射量の増大を行ったことを示す前記制御パラメータKNをインクリメントする(ステップS34)。
この燃料カットモード時における第2の回転変動付与手段16による第1気筒への燃料噴射量の増大制御は、前述した第1の気筒判別処理の場合と同様に、前記気筒群(#1−4)を示すパルス信号の一方を第1気筒(#1)に対応するものと仮定したときのB5゜タイミングを基準とするグループ噴射のタイミングで行われる。即ち、第1気筒の排気行程の後半から吸気行程の前半に掛けて設定されている燃料のグループ噴射タイミングおいて、第1気筒に対する燃料の噴射を実行する。しかし圧縮行程の後半から燃焼行程の前半のタイミングとなっている第4気筒に対しては、通常通り燃料カット状態に保つ。
尚、上記仮定が誤っている場合には、第1気筒に対する燃料噴射のタイミングは、実際には第1気筒の圧縮行程の後半から燃焼行程の前半となる。しかし排気行程の後半から吸気行程の前半を迎える第4気筒に対しては、そのまま燃料カットの状態が維持されることになる。
前記回転変動検出手段12は、このようにして燃料カットモード時であることを条件とし、第1気筒に対してだけ燃料噴射が行われた時点の燃焼サイクルにおける回転数R1(n)を順次求める。
このときの回転数R1(n)の検出処理は、前記制御パラメータKNが所定値[3]に達するまでの期間、つまり連続した3周期の燃焼サイクル期間に亘って繰り返し実行される(ステップS35)。そして回転変動検出手段12は、第1気筒(#1)のB5゜タイミングを基準とした連続する3サンプル分の回転数R1(n),R1(n-1),R1(n-2)が求められる都度、その時点での回転変動の評価値R1x(n-1)を前述した如く求める。そしてその算出値R1x(n-1)が正であるか負であるかを判定し、算出値R1x(n-1)が正である場合には前記判定結果レジスタC−RAMの値C(n)をインクリメントする。逆に上記算出値R1x(n-1)が負である場合には、前記判定結果D−RAMの値D(n)をインクリメントする(ステップS36)。
この処理は前記制御パラメータKKをインクリメントしながら、その値が所定値、例えば[50]となるまで、連続した3サンプル分の回転数が求められる都度、50燃焼サイクルに亘って繰り返し実行される(ステップS37)。
即ち、回転変動検出手段12は、燃料カットモード時における上述した第1気筒に対する燃料噴射による回転変動の有無を検出するべく、前述したようにクランク軸1回転毎のB5゜タイミングにおける回転数R1(n)を順次求めている。そして第1気筒のB5゜タイミングを基準として求められる回転数R1(n-2),R1(n)の平均と、その中間である第4気筒のB5゜タイミングでの回転数R1(n-1)との差R1x(n-1)を回転変動の指標として求めている。
より具体的にこの回転変動検出の作用を説明すると、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が正しい場合には、B5゜基準のタイミングで燃料噴射した第1気筒の燃焼が影響を与えるタイミングは、丁度、第4気筒のB5゜タイミングとなる。逆に第4気筒の燃焼が影響を与えるタイミングは、第1気筒のB5゜タイミング(B5゜基準)となる。これ故、B5゜基準毎に求められるタイミング(n−2),(n)での回転数R1(n-2),R1(n)は、第4気筒の燃焼が影響を与えた回転数となる。そして前記燃料カット時に燃料噴射された第1気筒の燃焼が影響を与える回転数は、上記第1気筒のB5゜基準の中間タイミングとなる第4気筒のB5゜タイミング(n−3),(n−1)で求められる回転数R1(n-3),R1(n-1)として検出されることになる。
従って図12に示すように、第1気筒のB5゜基準毎に求められる回転数R1(n-2),R1(n)は、燃料カット状態にある第4気筒に依存したものであるから回転変動は生じない。しかし第4気筒のB5゜タイミングで求められる回転数R1(n-3),R1(n-1)は、燃料噴射された前記第1気筒の燃焼に依存したものであるから、通常は燃料低減カット時の回転数よりも高くなる。従ってこの場合には、
R1(n-1)>R1(n-2),R1(n)
となる。従って前述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)はプラス(正)となる。
ところが前述した第1気筒のB5゜基準の仮定が誤っている場合、このB5゜基準毎に燃料カット状態にある第4気筒に依存するものとして求めた回転数R1(n-2),R1(n)は、実際には燃料噴射がなされた第1気筒の燃焼に依存したものであるから、燃料の燃焼によってその回転数が高くなる。また第4気筒のB5゜タイミングにおいて第1気筒の燃焼に依存するとして求めた回転数にR1(n-3),R1(n-1)は、実際には燃料カット状態にある第4気筒に依存したものとなる。従ってこの場合には、
R1(n-1)<R1(n-2),R1(n)
となるので、前述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)はマイナス(負)となる。
ステップS36における回転変動検出処理においては、上述した如く求められる回転数の差R1x(n-1)が正であるか負であるかに応じて、正である場合には前記判定レジスタC−RAMの値C(n)をインクリメントし、また負である場合には判定レジスタD−RAMの値D(n)をインクリメントしている。ちなみに上記回転数の差R1x(n-1)が零[0]である場合には判定不能であるとして解釈し、いずれの判定レジスタC−RAM,D−RAMの値C(n),D(n)もインクリメントしない。このような判定処理は、前記制御パラメータKKに従って50燃焼サイクルの長期に亘って繰り返し実行される。
以上のようにして50燃焼サイクルに亘る回転変動検出処理が終了すると、前記判定レジスタC−RAM,D−RAMの値C(n),D(n)が所定値、例えば[40]以上であるか否かが判定される(ステップS38)。そして判定レジスタC−RAM,D−RAMの値C(n),D(n)の一方が[40]以上である場合、具体的には判定レジスタC−RAMの値C(n)が[40]以上である場合には、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が正しいと判定する。また逆に判定レジスタD−RAMの値D(n)が[40]以上である場合には、前述した如く仮定した第1気筒のB5゜基準が誤っており、実際にはその正しいB5゜基準は第4気筒に対応したものであると判定して、その気筒識別処理を終了する(ステップS39)。この気筒識別処理の終了に際しては、前記制御パラメータKNを[0]にリセットして次回の気筒判別処理に備える。
また判定レジスタC−RAM,D−RAMの値C(n),D(n)が共に[40]以上でない場合には、これを気筒判別不能としてその処理手続きを終了する(ステップS40)。そしてこの場合には、前述した判定レジスタC−RAM,D−RAMの各値C(n),D(n)、および前記制御パラメータKN,KKをそれぞれ[0]にリセットし、次回の気筒判別処理に備える。
尚、この第2の気筒判別処理においても、例えば回転数制御手段20を作動させて回転数に関連する制御量を調整し、具体的には吸入空気量を所定の下限値でクリップして空燃比を調整したり、マニホールド圧力を高める等してエンストを防ぐ等の対策を施すことが望ましい。またこの燃料カットモード時における燃料噴射を、その噴射燃料が確実に燃焼する条件以外では実行しないように制限するようにしても良い。このような対策を講じれば、回転変動の検出精度が向上すると共に、排気系に設けられた触媒を保護する上でも好ましい。
かくしてこのような第2の気筒判別によれば、エンジンに対する全閉燃料カット時に特定の気筒に対してだけ燃料噴射し、そのときの回転変動から気筒判別するので、気筒判別の精度を十分高くすることができる。しかも燃料カット時における特定気筒に対する燃料噴射は、各気筒に対する燃焼モードの復帰に先行するものと看做すことができるので、運転フィーリングに殆ど悪影響を及ぼすことがない。しかも燃料カット中における吸入空気量を予め増大させておけば、これによって燃焼可能範囲を広く設定することができるので、短時間に所定サンプルの回転数データを得ることが可能となる。従ってこのような配慮を施せば、短時間で気筒判別を完了することができる。特に燃料カット時は比較的長い時間に亘って継続するので、例えばその期間を利用して上記回転変動検出を繰り返し実行するようにすれば、統計的に気筒判別の信頼性を容易に高めることができる。つまり回転変動を与える期間を等価的に長く設定して、その気筒判別の信頼性を高めることができる。
更には前述した第1の気筒判別の場合と同様に、回転変動の評価値R1x(n)を燃焼悪化(失火)気筒において負の値、または燃焼気筒においては正の値として求めるので、その判定レベルを零[0]として定めることができる。従って複雑なマッチング処理等を一切要することなく、回転変動に基づいた気筒判別を確実に実行することができる。また前述したように、変速時における気筒判別処理を中止することで、変速に起因する回転変動の誤判定要因を排除し、誤判定結果のまま長期間に亘って内燃機関を作動させる虞を未然に防ぐことも可能である。
また上述した実施形態における処理手段に示したように、エンジンの始動開始直後に短時間に第1の気筒判別処理を実行し、その後の燃料カットモード時に比較的長期間に亘って第2の気筒判別処理を実行するものとすれば、例えば第1の気筒判別処理が失敗したときには、この失敗をその後の第2の気筒判別処理によって効果的にカバーすることができる。また第1の気筒判別処理によって気筒判別ができた場合でも、その後の第2の気筒判別処理によって上記第1の気筒判別処理による判定結果を再確認することができる。更には第1の気筒判別処理での判定結果に誤りがあった場合には、これを第2の気筒判別処理の判定結果にて信頼性良く訂正することができる。これ故、第1および第2の気筒判別処理の利点を活かして信頼性の高い気筒判別処理を、その始動直後から短時間に行うことができ、気筒判別後のシーケンシャル噴射への移行を容易ならしめる等の効果が奏せられる。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば前述した第1および第2の気筒判別処理の一方だけを実行するように制御装置を構築することも勿論可能である。第1の気筒判別処理だけを実行する場合には、始動時にグループ噴射モードを設定し、気筒判別がなされた時点で速やかにシーケンシャル噴射モードに移行すれば良い。また第2の気筒判別だけを実行する場合には、始動時に全気筒同時噴射またはグループ噴射モードとし、気筒判別がなされた時点で速やかにシーケンシャル噴射モードに移行するようにすればよい。更には前述した図6に示す分割グループ噴射を行う場合であっても、基本的には同様にして第1および第2の気筒判別処理を実行することができる。
また上述した実施形態においては4気筒型内燃機関を例に説明したが、3気筒型内燃機関の場合は、以下に示す手法により気筒判別処理を同様に実行することができる。
この3気筒型内燃機関の場合には、各気筒に対する燃焼サイクルが図14に示すように第1気筒、第3気筒、第2気筒の順でクランク角240゜の間隔に設定されるので、クランク軸に取り付けられる回転部材1(信号発生手段)から120゜毎に基準パルスが得られるようにし、更に上記回転部材1から第1気筒を識別可能な識別信号を得るようにする(識別手段)。そしてこの信号発生手段から第1気筒を示す基準パルスが得られたとき、これを第1気筒が排気トップの位置にあると仮定して第2気筒および第3気筒に対して同時に燃料を噴射する。このときの回転変動の様子を検出し、第1気筒のピストンが圧縮トップの位置にあるのか、或いは排気トップの位置にあるのかを前述した第1および第2の気筒判別と同様な手法により判定するようにする。
具体的には第1気筒が排気トップの位置にあると仮定したタイミングで、第2および第3気筒に対して図14に示すように燃料を同時噴射し、第1気筒に対応する基準パルス信号間での回転変動を検出する。そしてそのときに検出される回転変動に応じて上記仮定が正しいか、或いは誤っていたかを判定し、この判定結果によって第1気筒のピストンが圧縮トップの位置にあるのか、或いは排気トップの位置にあるのかを判別するようにすれば良い。この場合にも前述した実施形態と同様に所定の気筒判別処理の実行条件が満たされる場合にのみ、その判定処理を実行することで、無用なエンストの招来を防ぐことが望ましい。そしてその判定結果が得られた後には、速やかにシーケンシャル噴射モードに移行するようにすれば良い。
即ち、4気筒型内燃機関(偶数気筒)の場合、行程位相が互いに360゜異なる特定気筒群(#1−4)の一方の気筒(先の実施形態では第1気筒)の噴射量を他の気筒と異ならせることで気筒判別処理を行う例について説明した。この気筒判別処理の作用を、例えば特定気筒(例えば第1気筒)に着目して考えると、前述した特定気筒群の識別は実質的には第1気筒が圧縮トップ位置か、或いは排気トップ位置かを識別していることに相当する。そして特定気筒の噴射量を他の気筒と異ならせることで気筒判別を行っている。従って前述した偶数気筒の場合における気筒判別処理は、上述した3気筒型内燃機関の気筒判別処理と同一の考え方に基づくものと言える。それ故、実質上、偶数気筒型内燃機関においても、3気筒型内燃機関の気筒判別処理の如く、特定気筒の360゜異なる行程位相(例えば圧縮トップおよび排気トップ)を識別し、その行程位相の一方を正と仮定して、その特定気筒に対する燃料噴射量を他の気筒と異ならせ、これによって気筒判別するようにしても良い。
また本発明の気筒判別装置は、内燃機関の気筒数に何ら限定されるものではなく、3気筒以上の複数数内燃機関であれば上述した3気筒型内燃機関の気筒判別の手法に沿って気筒判別を行えば良く、また4気筒以上の偶数気筒の内燃機関であれば、前述した4気筒型内燃機関の気筒判別方法に沿って気筒判別を行えばよい。
ところで前述した気筒判別は、内燃機関の始動直後に、或いは車両減速時の燃料カットモードを検出して行うものとしたが、車両が定速走行している状態を検出して実行することもできる。即ち、内燃機関の始動直後、直ちに車両の走行が開始されて第1の気筒判別処理を行うことができず、更にその後、減速が行われないまま定常走行に移行した場合には、前述した第2の気筒判別処理を速やかに行うことができなくなる。つまり減速による燃料カットモードが検出されるまでの間、定常走行状態に入ったにも拘わらず気筒判別結果が得られないことになるので、内燃機関の始動時における全気筒同時噴射、或いはグループ噴射が継続的に続けられることになる。
そこで本発明においては、図15にその全体的な燃料噴射モードの制御形態を示すように、減速による燃料カットモードが検出されない場合においても、一定走行状態を検出し、そのとき特定気筒における燃料噴射量を他の気筒と異ならせることで積極的に回転変動を与え、これによって気筒判別を実行するものとなっている。
即ち、図15に示すようにエンジンを始動した後(ステップS41)、全気筒またはグループ化された気筒群に対する同時噴射モードを設定する(ステップS42)。この状態において減速に伴う燃料カットモードを検出して前述した第2の気筒判別処理を実行し(ステップS43)、或いは燃料カットモードが検出されないような場合には、図1に示す定常走行検出手段22にて車両(内燃機関)の定常定速走行モードの状態を検出して第3の気筒判別処理を実行する(ステップS44)。この第3の気筒判別処理は、基本的には前述した第1の気筒判別処理と同様にして、第1の回転変動付与手段16を駆動することで特定気筒(第1気筒)に対する噴射燃料量を他の気筒と異ならせることによって実行される。
そして前記燃料カットモードにおける前述した第2の気筒判別処理によって気筒判別結果が得られたとき、或いは定常定速走行モードにおける第1の気筒判別処理によって気筒判別結果が得られたとき、その気筒判別結果に従って正規のシーケンシャル噴射モード(ステップS45)を実行するように、その制御系が構築される。
上述した定常定速走行時における第3の気筒判別処理は、図16に示すように減速時の燃料カットモードによる気筒判別処理が完了していないことを条件として(ステップS51)、エンジン冷却水の水温TWが所定温度(例えば80℃)以上であるか(ステップS52)、そのときの車速が所定値(例えば50km/h)以上であるか(ステップS53)、変速段が所定の高速段(例えば3速)以上であるか(ステップS54)、更にはスロットル開度が一定であるか(ステップS55)、そしてマニホールド圧が所定値以上であるか(ステップS56)を順次調べ、これらの各判定条件の全てが満たされたとき、定常気筒判別処理として実行される(ステップS57)。即ち、車両が通常の走行状態に入り、アクセル操作が行われない状態でスロットル開度が一定に保たれ、且つマニホールド圧が大きく変化しない(即ち、所定範囲内の変化である)ことを条件として定常気筒判別処理が開始される。
尚、上記条件のうちの1つでも満たされない場合には、定常気筒判別処理は実行されず、また定常気筒判別処理の実行が開始されたとしても、その実行途中におけるアクセル操作、或いはブレーキ操作が行われた場合、その判別処理は直ちに中止される。つまり内燃機関が一定の条件の下で定速走行運転されている場合にだけ、定常気筒判別処理が実行されるようになっている。
さてこの定常気筒判別処理は、図17に処理手順の一例を示すように、先ず内燃機関や車両に搭載された各種センサによって運転状態を検出することから開始され(ステップS60)。そして検出した運転状態に基づいて、以下に示す気筒判別処理を開始するに際し、先ずそのときの特定気筒の空燃比(A/F)を、例えば予め設定されたマップデータから読み込む(ステップS61)。そして検出された空燃比に従い、特定気筒である第1気筒に対する燃料噴射量を徐々に減少させ、他の気筒に対する噴射燃料量と異ならせる(ステップS62)。
次いで上記第1気筒に対する噴射燃料量の減少に伴う内燃機関の出力低下を補うべく吸気空気量を増大させ、それに伴って他の気筒に対する空燃比(A/F)を調整し、内燃機関全体的な回転出力(具体的にはトルク)を一定に保つ(ステップS63)。上記吸気空気量の増大は、例えばスロットル弁をバイパスするバイパス弁の開度を増加させ、そのバイパス通路面積を調整することによって行われる。
以上のような第1気筒に対する噴射燃料量の低減制御、およびこれに伴う他の気筒に対する空燃比の制御を徐々に行った後(テーリング処理)、所定の時間経過を待って(ステップS64)、前述した如く検出される回転変動の情報を、例えば50燃焼サイクルに亘って抽出する(ステップS65)。そして第1気筒に対する噴射燃料量の低減による回転変動が生じたか否かを50サイクル分に亘って判定し、そのタイミングが真に第1気筒に対応したものであるか、或いは逆に第4気筒に対応したものであるかを判定する(ステップS66)。この判定のアルゴリズムは、前述した第1の気筒判別処理と同様である。
しかる後、上記の如くして気筒判別結果を求めて各気筒の行程位相を特定した後、その気筒判別結果に従ってシーケンシャル噴射モードに移行する(ステップS67)。このシーケンシャル噴射モードへの移行は、B5゜基準として仮定したタイミングが真に第1気筒に対応したものである場合には、当該第1気筒に対する噴射燃料量を気筒判別処理開始前の元の噴射燃料量に戻すべく、その燃料量を徐々に増大させながら行われる(ステップS68)。或いはその仮定が誤りであり、前記B5゜基準として仮定したタイミングが第4気筒に対応したものであった場合には、その第4気筒に対する噴射燃料量をを徐々に増大させながら行われる(ステップS68)。またこの際、第1または第4気筒に対する噴射燃料量の増大に伴って、前述した如く調整していた吸気空気量を徐々に元に戻す(ステップS69)。つまり第1または第4気筒に対する噴射燃料量を増大させて元に戻すに従ってその回転出力が増大するので、これを補って回転出力を一定に保つべく、吸気空気量を減少させて他の気筒の空燃比を調整しながら正規のシーケンシャル噴射に移行する。
かくしてこのように定常定速走行時においても積極的に回転変動を与えて気筒判別処理を実行するようにすれば、仮に内燃機関の始動後、減速による燃料カットの状態が生じない場合であっても、スロットル開度が一定の定速走行状態において効果的に各気筒を行程位相を判定することができる。従って速やかに正規のシーケンシャル噴射モードに移行することができる。しかも特定気筒に対する噴射燃料量を低減した際、吸気空気量を増加させ、他の気筒に対する空燃比を調整して内燃機関の回転出力の低下を補いながら回転変動を与えるので、例えばトルク変動によるドライバビリティの劣化を招くことがない。従って前述した燃料カット時における気筒判別と相俟って、その始動から比較的短時間のうちに正確な気筒判別結果を得ることが可能となる。これ故、各気筒の行程位相が未確認なことに起因して、内燃機関が長期間に亘って全気筒同時噴射やグループ噴射モード等のまま不本意に運転されることが効果的に防止される。
尚、上述した各実施形態では、回転変動付与手段を作動させた後、直ぐにその回転変動を検出しているが、回転変動付与手段の作動後、数サイクル(例えば2サイクル)分、その検出タイミングを遅延させ、回転変動付与の影響を受けて生じる回転変動が確実に現れる時点でその回転変動を検出することで、回転変動検出の精度向上を図るようにしても良い。また各実施形態では、気筒判別の為に、回転変動の指標となる算出値R1x(n-1)を求めているが、例えば特定気筒が判別された後、回転変動付与後の2行程毎のパルス幅を交互に累積し、そのパルス幅の大小により、例えば
T1+T3+T5+…>T2+T4+T6+…
なる関係から、特定気筒が圧縮トップであるか、或いは排気トップであるかを判定するようにしても良い。
ところで上述した実施形態においては、気筒判別が完了するまでの間、つまり未識別の期間においては内燃機関に対して全気筒同時噴射、或いはグループ噴射するものとして説明した。しかし燃焼効率等の点から、次のような噴射モードを設定するようにしても良い。
即ち、4気筒内燃機関の場合、各気筒に対する正規の燃料のシーケンシャル噴射タイミングは、図18に模式的に示す燃焼サイクルにおいて斜線を付して示すように各気筒の排気行程として設定される。より具体的には、各気筒に対する燃料の噴射タイミングは、その排気行程の後半から、それに続く吸気行程の初期時に掛けて設定される。ところが気筒判別が完了するまでの期間、前述した図5乃至図7に示すようなタイミングで燃料を同時噴射していると、その間の加速操作(アクセル操作)に伴って噴射燃料量を増大しても、その増大燃料量が直ぐに燃焼に供されないことがある。例えば図5に示す第1気筒の圧縮行程において加速がなされても、燃料のグループ噴射のタイミングは、その2行程後の排気行程なので、燃料の増量までに若干の遅れが生じる。
そこで本発明では図19または図20に示すような、正規のシーケンシャル噴射モードとは逆の順序で各気筒に対して順次燃料を噴射する暫定噴射モードを設定している。この暫定噴射モードは、各気筒に対する点火制御を通常のシーケンシャル噴射モードと同様に実行しながら、燃料の噴射タイミングだけを逆順に設定したものである。具体的には図19に示すように第1および第4気筒に対して噴射タイミングが正しくなるように第1気筒および第4気筒の排気行程に燃料を噴射するようにし、一方、第3気筒および第2気筒に対してはその圧縮行程に燃料を誤って噴射するように設定される。或いは図20に示すように第1気筒および第4気筒に対して噴射タイミングが故意に誤りとなるようにその圧縮行程に燃料を噴射し、逆に第3気筒および第2気筒に対してはその排気行程に燃料が正しく噴射されるようにタイミング設定される。いわば正規のシーケンシャル噴射モードに対して変則的なシーケンシャル噴射モードであると言える。
図19または図20に示すいずれの形態をとる場合にも、この暫定噴射モードにおいては360゜行程位相が異なる2つの気筒に対しては、その正規の排気行程中に燃料が噴射される。そして残り2つの気筒に対する燃料噴射がその圧縮行程において行われる。
従ってこのような暫定噴射モードによれば、仮に図19に示す燃焼サイクルにおいて第1気筒の圧縮行程において加速操作がなされた場合であっても、これによって排気行程を迎える第4気筒気筒に対する噴射燃料量が増大されるので、内燃機関は速やかに増速されることになる。また図19に示す燃焼サイクルの第1気筒が燃焼行程を迎えている際に加速操作がなされた場合であっても、その1行程位相後の排気行程における燃料噴射タイミングにおいて燃料を増大させることが可能となるので、加速応答性を十分に確保することが可能となる。つまり従来一般的な全気筒同時噴射、或いはグループ噴射を行う場合よりも、暫定噴射モードにおける加速応答性を高めることが可能となる。
尚、図20に示すタイミングで暫定噴射モードが設定された場合にも、前述したように残り2つの気筒に対して正しい噴射タイミングが設定されているので、図19に示す暫定噴射タイミングの場合と同様に、加速操作に対して速やかな燃料噴射量の増大による内燃機関の増速を実現することができる。
従ってこのような暫定噴射モードを採用する場合には、例えば図21に示す手順に従って内燃機関に対する燃料噴射を制御するようにすれば良い。即ち、図21に示すようにスタータ・スイッチの投入によって内燃機関のクランキングが開始されたとき(ステップS71)、或いは何らかの理由によって既に求められている気筒判別結果の系列データがリセットされたとき(ステップS72)、内燃機関に対して燃料を噴射しない状態で、また点火もしない状態で内燃機関を運転する(ステップS73)。そしてこのとき、その出力回転軸であるクランク軸に取り付けられた回転部材(信号発生手段)1から得られるパルス信号の系列中の前述した特異パルスに従って、前述したようにして特定気筒または360゜行程位相の異なる2つの気筒からなる特定気筒群に対応するパルス信号を特定し、そのパルス信号系列を特定する(ステップS74)。
この処理によってパルス信号系列が特定されたならば、例えば第1および第4気筒(#1−4)に対応するパルス信号のタイミングに従って前述した暫定噴射モードにて内燃機関を運転する(ステップS75)。しかして燃料の暫定噴射モードでの内燃機関の運転が開始されたならば、例えば減速に伴う燃料全閉条件が成立している否かを判定する(ステップS76)。そして燃料全閉条件が成立した場合には、各気筒に対する燃料の噴射を停止する燃料カット処理を実行し(ステップS77)、その状態において前述した第2の気筒判別処理が実行可能であるか否かを判定する(ステップS78)。この判定は、内燃機関の回転数が所定値以上の条件下において、スロット開度が[0]であり、各気筒に対する燃料噴射が停止されていることを確認することによって行われる。しかして気筒判別条件が成立した場合には、前述した如く実行される気筒判別モードを設定し、気筒判別処理を実行する(ステップS79)。
しかして上記気筒判別処理によって各気筒の行程位相が特定され、その気筒判別処理が完了したならば(ステップS80)、その気筒判別結果に従ってシーケンシャル噴射モードに移行する(ステップS81)。しかし気筒判別処理結果が特定されなかったり、或いはその気筒判別処理の途中で内燃機関に対する加速や減速がなされ、気筒判別処理が中止された場合には、再度、その走行状態を検出しながら(ステップS82)、前述したステップS76からの処理を繰り返し実行する。
このような処理手順に従えば、気筒判別処理によって各気筒の行程位相が正確に特定されるまでの間、つまり気筒判別がなされるまでの間は暫定噴射モードに従って内燃機関に対する燃料噴射を制御することができるので、その間にアクセル操作やブレーキ操作による加速・減速操作がなされても、これに追従して効率的に内燃機関の運転を制御することができる。従って気筒判別が完了していないと雖も、そのドライバビリティを十分に確保することができる。また運転操作に追従し得る暫定噴射モードで内燃機関に対する燃料噴射タイミングを制御しながら、特定気筒に対する噴射燃料量を他の気筒と異ならせることで、気筒判別を効率的に行い、速やかにシーケンシャル噴射モードに移行することが可能となる。
尚、図21では暫定噴射モードを第2の気筒判別処理に適用した場合について説明したが、このような減速時の燃料カット条件を判定して気筒判別処理を実行するのではなく、前述した定常定速走行状態を検出して気筒判別処理を実行するものに適用して良い良いことは勿論である。またこの燃料カット状態と定常定速走行状態との双方を監視しながら、その検出状態に応じて前述した気筒判別処理を実行するものに適用しても良いことは言うまでもない。
ところで前述した第1および第2の気筒判別処理において、特定気筒に対する燃料噴射量を他の気筒に対して異ならせる際、吸気空気量を増大させ、他の気筒に対する空燃比を調整して内燃機関の全体的な出力を一定に保つことについて述べた。このような内燃機関の回転数に関連する制御量を調整し、その回転数を一定値以上に保って該内燃機関の大幅な出力変動を押さえるに際しては、例えば図22A,図22Bにそれぞれ示すように構成されたテーブルに従って、吸気空気量等を調整・制御するようにすれば良い。
具体的には前述した燃料カットモードにおいて特定気筒に対してだけ燃料を噴射して回転変動を与える場合、スロットル開度が全閉付近であって吸気空気量が極めて少ないので、燃料噴射による燃焼および回転数の上昇が期待できない虞がある。従ってこの場合には、例えば吸気空気量を増加させて特定気筒の燃焼を正常なものとし、その出力を増加させて検出精度を高めるようにすれば良い。
このような場合には、例えば図22Aに示すように、内燃機関の回転数に応じて設定されたアイドル吸入空気量の下限流量を示すテーブルを用いて、その下限値をクリップ制御するようにすれば良い。更にはこのとき、図22Bに示すように内燃機関の冷却水温度に応じて設定された補正係数を用いて、上記アイドル吸入空気量を補正するようにすれば良い。この際、応答性良くアイドル吸入空気量を調整するべく、その制御弁としてはリニアソレノイド形式のものを用いることが望ましい。
このようにして内燃機関の回転数に応じてアイドル吸入空気量を下限クリップ制御することのみならず、そのアイドル吸入空気量をエンジン水温に応じて補正することで、簡易にして内燃機関の不本意な停止を防止しながら前述した気筒識別処理を効果的に実行することが可能となる。具体的には回転数に応じて求められるアイドル吸入空気量に対して、上記エンジン水温に応じて求められる補正係数を乗じることで、気筒判別時における適当な回転変動を得て、且つ良好な減速フィーリングを得ることのできる最適なアイドル吸入空気量を求めるようにすれば良い。この際、例えば燃料カット時における内燃機関のアイドル吸入空気量に対する学習値として、その内燃機関の固有のアイドル吸入空気量の補正値を求めておき、この補正値(学習値)を用いて上記気筒判別時における吸入空気量を更に補正するようにすれば、内燃機関の個体性に関与するバラツキを補正して、より良い制御を行うことが可能となる。
さて内燃機関の始動時に気筒判別ができなかった場合には、前述した如く減速時の燃料カットモードまたは定常低速走行状態を検出して気筒判別処理が実行されることになる。そして気筒判別完了前には、前述した如く全気筒同時噴射やグループ噴射、或いは図19および図20を用いて説明した変則的なシーケンシャル噴射モードに従って燃料の噴射制御が行われ、気筒判別が完了した後には、その気筒判別結果に従って正規のシーケンシャル噴射モードによる燃料噴射制御が行われることになる。
しかしながら内燃機関に対する加速および減速は、その気筒判別が完了したか否かに拘わらず実行される。また内燃機関に対する加速および減速の度合も様々である。この種の加速および減速を司る内燃機関の燃料制御は、一般的にはその気筒判別結果に基づく正規のシーケンシャル噴射モードで内燃機関が運転されている前提として実行される。ところが上記シーケンシャル噴射モードが実行される気筒判別後と、気筒判別が完了していない未判別時とでは自ずと燃料の噴射タイミングが異なるので、上述したシーケンシャル噴射モードにおける燃料制御の形態をそのまま採用するには問題があると考えられる。
具体的には、気筒の未判別時には燃料の噴射タイミングが異なり、例えば圧縮行程や燃焼行程において燃料が噴射されるので、その燃料の吸気ポートの壁面への付着量が変化する等の問題が生じる。更には噴射タイミングの異なりに起因して、噴射すべき燃料量の計算値にも異なりも生じ易い。このような燃料制御の誤差は、加速や減速に対する過渡応答性の劣化の原因や過度な反応として現れ、ドライバビリティを損なう要因となる。
そこで本発明では、加減速時における燃料制御に用いられる過渡補正燃料制御データを、気筒判別完了後とその未判別時とで別個に設定し、内燃機関に対する燃料噴射モードに応じてその過渡補正燃料制御データを選択的に用いるようにしている。即ち、気筒判別完了後とその未判別時とで別設定される過渡補正燃料制御データは、例えば加速時における燃料の加速増量に関する過渡補正データとしての水温補正係数、回転数補正係数、加速テーリング係数等である。これらの補正係数等については、図23A,図23B,図23Cにそれぞれ示すように内燃機関の回転数やエンジン水温をパラメータとしたマップ情報として与えておくようにすれば良い。
また同様に減速時における燃料の減速減量に関する過渡補正データとしては、例えば図24A,図24B,図24C,図24Dにそれぞれ示すように水温補正係数、回転数補正係数、圧力補正係数、減速テーリング係数等として、エンジン水温や回転数、更にはマニホールド圧力をパラメータとしたマップ情報として別設定しておくようにすれば良い。
尚、気筒未判別時の加速時に、スロットル開度に応じて非同期的に燃料噴射パルスを増やすことで噴射燃料の増量する場合には、その噴射パルスの数に応じて噴射燃料量が大きく変化するので、例えば図25A,図25B,図25Cにそれぞれ示すように、水温補正係数、回転数補正係数、および1噴射パルス当たりのベース燃料噴射量を、そのときのエンジン水温や回転数、スロットル開度をパラメータとするマップ情報として別設定しておくようにすれば良い。
このようにして気筒未判別時における燃料制御に対する過渡補正燃料制御データ(補正係数等)を、正規のシーケンシャル噴射モード時に用いられる過渡補正燃料制御データとは別に設定しておけば、気筒未判別時の燃料噴射モードに応じた噴射燃料量の制御が可能となるので、加速や減速に対する過渡応答性を良好なものとし、ドライバビリティの安定化を図ることが可能となる。特に気筒未判別時の燃料噴射モードに応じた噴射タイミングにおいて、加速または減速に応じた適切な燃料量を噴射することができるので、正規のシーケンシャル噴射制御が行われている場合に比較して、何ら遜色のない円滑な加速および減速制御を実行することが可能となる。
産業上の利用可能性
以上説明したように本発明に係る内燃機関の気筒判別装置によれば、内燃機関の出力回転軸に設けた信号発生手段から各気筒または行程位相が360゜異なる各気筒群に対応する信号を得ると共に、単一の特定気筒または行程位相が360゜異なる特定気筒を識別可能な識別信号を得るので、気筒判別の基準とし得る特定気筒、または特定気筒群の行程位相を正確なタイミングで特定することができる。
その上で内燃機関の始動完了後、或いは燃料カットモード時や定常定速走行状態を検出して前記特定気筒または特定気筒群に対する燃料噴射量を、他の気筒の燃料噴射量と異ならせることで該内燃機関に積極的に回転変動を与え、そのときの回転変動と前記気筒群識別結果とに従って前記内燃機関の各気筒の行程位相を判別するので、特定の気筒(気筒群)を完全失火を招来することなく、短時間のうちに確実に気筒判別することができる。
また特定気筒または特定気筒群に対する燃料噴射量を、他の気筒の燃料噴射量と異ならせて回転変動を与える際、他の気筒に対する内燃機関の回転数に関連する制御量を調整して該回転数を所定回転数以上に保持するので、気筒判別時におけるエンジンストップのような不慮の自体を未然に防ぎ、また内燃機関の大幅な出力変動を効果的に抑えることができる。しかも運転フィーリングを悪化させることなく気筒判別処理を実行することができ、その信頼性も十分高め得る等の利点がある。
Claims (9)
- 2回転に1回の燃焼行程を有し、等間隔で順次燃焼行程を迎える複数の気筒を有する多気筒型内燃機関に備えられる気筒判別装置であって、
上記内燃機関の始動状態を検出する始動検出手段と、前記各気筒毎に設けられた燃料噴射弁の駆動を制御する噴射制御手段と、前記内燃機関の回転変動を検出する回転変動検出手段と、前記内燃機関の特定気筒を識別する為の信号を出力する識別手段と、この識別手段および前記回転変動検出手段の出力に従って前記内燃機関における気筒の行程位相を判別する気筒判別手段とを具備した内燃機関の気筒判別装置において、
前記識別手段を、前記内燃機関の出力回転軸に設けられて該出力回転軸の回転に同期して、前記内燃機関の各気筒または行程位相が互いに360゜異なる各気筒群に対応する信号と、単一の特定気筒または行程位相が360゜異なる2個の特定気筒を識別する為の識別信号とを出力するセンシング部材として構成すると共に、
前記始動検出手段によって前記内燃機関の始動が検出されたとき、前記噴射制御手段の作動を制御して前記内燃機関に回転変動を与える回転変動付与手段を設け、該回転変動付与手段は、
前記内燃機関が奇数気筒の場合には、前記単一の特定気筒、または該特定気筒とこの特定気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁の駆動を停止、またはこれらの気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量と異ならせ、
前記内燃機関が偶数気筒の場合には、前記行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒の何れか一方の気筒、または該2個の特定気筒の何れか一方の気筒とこの気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁の駆動を停止、またはこれらの気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量と異ならせることを特徴とする。 - 請求の範囲第1項に記載の内燃機関の気筒判別装置において、
前記回転変動付与手段の作動時に、前記内燃機関の回転数に関連する制御量を調整して該回転数を所定回転数以上に保持する制御量調整手段を備えたことを特徴とする。 - 2回転に1回の燃焼行程を有し、等間隔で順次燃焼行程を迎える複数の気筒を有する多気筒型内燃機関に備えられる気筒判別装置であって、
前記各気筒毎に設けられた燃料噴射弁の駆動を制御する噴射制御手段と、前記内燃機関の回転変動を検出する回転変動検出手段と、前記内燃機関の特定気筒を識別する為の信号を出力する識別手段と、この識別手段および前記回転変動検出手段の出力に従って前記内燃機関における気筒の行程位相を判別する気筒判別手段とを具備した内燃機関の気筒判別装置において、
前記識別手段を、前記内燃機関の出力回転軸に設けられて該出力回転軸の回転に同期して、前記内燃機関の各気筒または行程位相が互いに360゜異なる各気筒群に対応する信号と、単一の特定気筒または行程位相が360゜異なる2個の特定気筒を識別する為の識別信号とを出力するセンシング部材として構成すると共に、
前記噴射制御手段により燃料噴射がカットされる車両減速時の燃料カット領域を判定する燃料カット判定手段と、この燃料カット判定手段によって前記燃料カット領域が検出されたとき、前記噴射制御手段の作動を制御して前記内燃機関に回転変動を与える回転変動付与手段とを設け、
該回転変動付与手段は、
前記内燃機関が奇数気筒の場合には、前記単一の特定気筒、または該特定気筒とこの特定気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁を駆動して噴射させ、
前記内燃機関が偶数気筒の場合には、前記行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒の何れか一方の気筒、または該2個の特定気筒の何れか一方の気筒とこの気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁を駆動して噴射させることを特徴とする。 - 請求の範囲第3項に記載の内燃機関の気筒判別装置において、
車両の変速状態を検出する変速検出手段と、この変速検出手段により変速中であることが検出されたとき、前記気筒判別手段による気筒判別処理を禁止または中止する手段を備えたことを特徴とする。 - 2回転に1回の燃焼行程を有し、等間隔で順次燃焼行程を迎える複数の気筒を有する多気筒型内燃機関に備えられる気筒判別装置であって、
上記内燃機関の始動状態を検出する始動検出手段と、前記各気筒毎に設けられた燃料噴射弁の駆動を制御する噴射制御手段と、前記内燃機関の回転変動を検出する回転変動検出手段と、前記内燃機関の特定気筒を識別する為の信号を出力する識別手段と、この識別手段および前記回転変動検出手段の出力に従って前記内燃機関における気筒の行程位相を判別する気筒判別手段とを具備した内燃機関の気筒判別装置において、
前記識別手段を、前記内燃機関の出力回転軸に設けられて該出力回転軸の回転に同期して、前記内燃機関の各気筒または行程位相が互いに360゜異なる各気筒群に対応する信号と、単一の特定気筒または行程位相が360゜異なる2個の特定気筒を識別する為の識別信号とを出力するセンシング部材として構成すると共に、
前記噴射制御手段により燃料噴射がカットされる車両減速時の燃料カット領域を判定する燃料カット判定手段と、前記始動検出手段によって前記内燃機関の始動が検出されたとき、前記噴射制御手段の作動を制御して前記内燃機関に回転変動を与える第1の回転変動付与手段と、前記燃料カット判定手段によって前記燃料カット領域が検出されたとき、前記噴射制御手段の作動を制御して前記内燃機関に回転変動を与える第2の回転変動付与手段とを設け、
前記第1の回転変動付与手段は、
前記内燃機関が奇数気筒の場合には、前記単一の特定気筒、または該特定気筒とこの特定気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁の駆動を停止、またはこれらの気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量と異ならせ、
前記内燃機関が偶数気筒の場合には、前記行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒の何れか一方の気筒、または該2個の特定気筒の何れか一方の気筒とこの気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁の駆動を停止、またはこれらの気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量と異ならせ、
前記第2の回転変動付与手段は、
前記内燃機関が奇数気筒の場合には、前記単一の特定気筒、または該特定気筒とこの特定気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁を駆動して噴射させ、
前記内燃機関が偶数気筒の場合には、前記行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒の何れか一方の気筒、または該2個の特定気筒の何れか一方の気筒とこの気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁を駆動して噴射させるものであって、
前記噴射制御手段は、前記内燃機関の始動後から前記第2の回転変動付与手段の作動によって気筒判別結果が求められるまで、前記第1の回転変動付与手段の作動によって求められた気筒判別結果に基づいて各気筒に対する燃料噴射を制御し、前記第2の回転変動付与手段の作動によって気筒判別結果が求められた後には、該第2の回転変動付与手段の作動によって求められた気筒判別結果に基づいて各気筒に対する燃料噴射を制御する手段を備えていることを特徴とする。 - 2回転に1回の燃焼行程を有し、等間隔で順次燃焼行程を迎える複数の気筒を有する多気筒型内燃機関に備えられる気筒判別装置であって、
上記内燃機関の定常走行状態を検出する定常走行検出手段と、前記各気筒毎に設けられた燃料噴射弁の駆動を制御する噴射制御手段と、前記内燃機関の回転変動を検出する回転変動検出手段と、前記内燃機関の特定気筒を識別する為の信号を出力する識別手段と、この識別手段および前記回転変動検出手段の出力に従って前記内燃機関における気筒の行程位相を判別する気筒判別手段とを具備した内燃機関の気筒判別装置において、
前記識別手段を、前記内燃機関の出力回転軸に設けられて該出力回転軸の回転に同期して、前記内燃機関の各気筒または行程位相が互いに360゜異なる各気筒群に対応する信号と、単一の特定気筒または行程位相が360゜異なる2個の特定気筒を識別する為の識別信号とを出力するセンシング部材として構成すると共に、
前記定常走行検出手段によって前記内燃機関の定常走行状態が検出されたとき、前記噴射制御手段の作動を制御して前記内燃機関に回転変動を与える回転変動付与手段を設け、
該回転変動付与手段は、
前記内燃機関が奇数気筒の場合には、前記単一の特定気筒、または該特定気筒とこの特定気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁の駆動を停止、またはこれらの気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量と異ならせ、
前記内燃機関が偶数気筒の場合には、前記行程位相が互いに360゜異なる2個の特定気筒の何れか一方の気筒、または該2個の特定気筒の何れか一方の気筒とこの気筒に連続して燃焼行程を迎える気筒に対する前記燃料噴射弁の駆動を停止、またはこれらの気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量を、他の気筒に対する前記燃料噴射弁からの燃料噴射量と異ならせることを特徴とする。 - 請求の範囲第6項に記載の内燃機関の気筒判別装置において、前記多気筒型内燃機関の気筒数が偶数であるとき、
前記噴射制御手段は、前記回転変動付与手段が作動する前で、前記識別手段から前記特定気筒を識別する為の識別信号が出力された後、該識別手段からの各気筒群に対応する信号の出力に応じて各気筒毎に順次燃料噴射弁を駆動することを特徴とする。 - 請求の範囲第6項に記載の内燃機関の気筒判別装置において、
前記回転変動付与手段が作動する前に、前記内燃機関の回転数に関連する制御量を調整して該回転数を所定回転数以上に保持する制御量調整手段を備えたことを特徴とする。 - 請求の範囲第7項に記載の内燃機関の気筒判別装置において、
前記噴射制御手段は、前記燃料噴射弁からの噴射量を設定する噴射量設定手段を有し、この噴射量設定手段による過渡補正情報を、気筒未判別時と気筒判別完了時とで別設定することを特徴とする。
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