JP3645803B2 - 治山・砂防ダムの堤体の前面壁の型枠兼用化粧パネルユニット - Google Patents
治山・砂防ダムの堤体の前面壁の型枠兼用化粧パネルユニット Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、治山・砂防ダムの堤体の施工に際し、堤体のコンクリート打設時に堤体の前面壁側の型枠として使用し、養生後は取り外すことなく堤体の前面壁を覆った化粧板となる治山・砂防ダムの堤体の前面壁の型枠兼用化粧パネルユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、治山・砂防ダムの堤体は鋼製型枠内にコンクリートを打設し、養生後、鋼製型枠を取り外しているため、堤体の前面壁はコンクリート面が現出したままの状態であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
渓流に集まった土砂、砂礫を急激に流下しないように抑制するため、治山・砂防ダムが作られている。
この治山・砂防ダムは砂礫の移動の多い所に作り、上流側に砂礫を堆積させて河床を緩やかな勾配で安定させるのを目的としているのであるが、従来の治山・砂防ダムの堤体は前記のようにコンクリート面が現出したままの状態であるため、特に堤体の前面壁は目立つため周囲の自然環境と調和がとれないのである。
【0004】
上記点より本発明は、治山・砂防ダムの堤体を周囲の自然環境に調和させることができると共に、間伐材の利用促進を図ることができる治山・砂防ダムの堤体の前面壁の型枠兼用化粧パネルユニットを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明型枠兼用化粧パネルユニットは、背面及び両側面並びに上・下面が平坦面に形成され、上面の平坦面に長手方向渉って凸部が形成されると共に、下面の平坦面に凸部に対応し凸部が嵌合する凹溝が形成された丸太加工材が三段に重合され、各丸太加工材が連結部材で一体に結合されたパネルユニットが構成され、このパネルユニットの横方向への連結は、連結部の背部から連結板で連結可能とされると共に、パネルユニットの上下方向の連結は、下位のパネルユニットの上面の凸部と上位のパネルユニットの下面の凹溝の嵌合と、下位のパネルユニットの上面中央部で上位のパネルユニットの側端部同士が突き合わされて互い違いに連結ピンで連結可能とされ、パネルユニットの上面より下方に向け連結ピンの中央より下方が嵌入するピン嵌入孔が設けられると共に、パネルユニットの下面より上方に向け連結ピンの中央より上方が嵌入するピン嵌入孔が設けられ、パネルユニットの上面のピン嵌入孔と下面のピン嵌入孔はパネルユニットの上下方向への連結時に下位のパネルユニットの上面のピン嵌入孔と、上位のパネルユニットの下面のピン嵌入孔が合致するよう対応位置に配設され、パネルユニットの中間丸太加工材の前面の長手方向に所定の間隔を於いて前面より後面に向け堤体の前面壁へのアンカーボルトが挿通されるボルト孔が穿設されていことを特徴とするものである。
又、請求項1の本発明型枠兼用化粧パネルユニットに於いて、丸太加工材は間伐材中径木であることを特徴とするものである。
【0006】
上記構成を有する本発明は、パネルユニットを横方向へ連結すると共に、上下方向に互い違いに連結し、パネルユニットの中間丸太加工材のボルト孔にアンカーボルトを挿通して堤体の前面壁側の型枠を形成するのであるが、パネルユニットの横方向への連結はパネルユニットの連結部の背部から連結板を取り付けることにより簡単に行える。
又、連結板はパネルユニットの背部に取り付けるので前面はパネルユニットだけが見え、周囲の自然に調和する。
【0007】
又、パネルユニットの上下方向への連結は、下位のパネルユニットの上面中央部に上位のパネルユニットの側端部同士を突き合わせて互い違いに連結するのであるが、連結は下位のパネルユニットの上面のピン嵌入孔に連結ピンの中央より下方を嵌入して連結ピンの中央より上方を突出させ、この突出部分に上位のパネルユニットの下面のピン嵌入孔を嵌入することにより容易に行うことが可能である。又パネルの上・下面が平坦面に形成されているため、接合面が密接に連結できる。
又、下位のパネルユニットの上面の凸部と上位のパネルユニットの下面の凹溝の嵌合を同時に行うことにより、一層連結を強固にできる。
【0008】
又、パネルユニットの各丸太加工材の連結及びパネルユニットの上下方向の連結は凸部と凹溝の嵌合によるため、コンクリートを打設した時にこの箇所からコンクリートの漏出することが防止される。
又、パネルユニットはアンカーボルトにより堤体と一体に固定されるため、コンクリート堤体の前面壁は丸太材を重合した形状を有するパネルユニットで覆われ、周囲の自然環境と調和がとれると共に、丸太加工材を間伐材中径木とすることにより間伐材利用に役立つ。
又、パネルユニットに上部丸太加工材から下部丸太加工材に向け連結ボルトが挿通されているため、型枠としての十分な強度を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明型枠兼用化粧パネルユニットの正面図、図2は同上の拡大断面図、図3は同上の平面図、図4は同上の連結状態を示す部分正面図、図5は同上の使用状態を示す部分断面図、図6は連結板の正面図である。
【0010】
而して、図中1は型枠を構成するパネルユニットであり、このパネルユニット1は中径の間伐材の丸太を使用し、正面は上部丸太加工材1A、中間丸太加工材1B、下部丸太加工材1Cと丸太が三段に重合し、各丸太加工材1A、1B、1Cの背面、両側面及び上・下面は平坦面に加工されている。
又、各丸太加工材1A、1B、1Cの上面に長手方向に渉って凸部2が形成され、下面に凸部2に対応し凸部2が嵌合する凹溝3が長手方向に渉って形成され、各丸太加工材1A、1B、1Cは凸部2と凹溝3の嵌合により連結されている。
又、パネルユニット1の上部丸太加工材1Aから下部丸太加工材1Cに向け連結部材である連結ボルト4が挿通され、ナット5で固定されている。
6は金属製の方形の縦長の連結板であり、縦方向の長さはパネルユニット1の側面と同一長で、両側に縦方向に螺釘7が挿通する釘孔8が穿設されている。
【0011】
又、パネルユニット1は上下方向へ下位のパネルユニット1の上面中央部で上位のパネルユニット1の側端部同士が突き合わされて互い違いに連結ピン9で連結可能とされている。
この連結ピン9はパネルユニット1の上部丸太加工材1Aの上面の長手方向に上面より上部丸太加工材1Aの略中央部に向け設けたピン嵌入孔10に連結ピン9の中央より下方が嵌入され、下部丸太加工材1Cの下面の長手方向に下面より下部丸太加工材1Cの略中央部に向け設けたピン嵌入孔11に連結ピン9の中央より上方が嵌入される。
【0012】
そして、上部丸太加工材1Aのピン嵌入孔10と下部丸太加工材1Cのピン嵌入孔11は、パネルユニット1の上下方向への連結時に、下位のパネルユニット1の上部丸太加工材1Aのピン嵌入孔10と上位のパネルユニット1の下部丸太加工材1Cのピン嵌入孔11が合致するように同一間隔で対応位置に配設されている。
【0013】
12は中間丸太加工材1Bの前面の長手方向に所定の間隔を於いて三箇所前面より後面に向け穿設したボルト孔であり、このボルト孔12より堤体13の前面壁側へアンカーボルト14が挿通される。
尚、図中15は基礎コンクリート、16は凸部2に設けた連結ボルト4及び連結ピン9の挿入用切り欠きである。
【0014】
次に、本発明の施工方法を図面に基づき説明する。
基礎コンクリート15上にパネルユニット1を横方向に側端部同士を突き合わせ、側面同士の接合部にパネルユニット1の背部から連結板6を当着し、螺釘7で固定することにより、パネルユニット1を横方向に連結する。
【0015】
次に、最下位のパネルユニット1の上部丸太加工材1Aのピン嵌入孔10に連結ピン9の中央より下方を嵌入し、連結ピン9の中央より上方は上部丸太加工材1Aの上面から突出させる。
そして、最下位のパネルユニット1の上部丸太加工材1Aの中央部で上位のパネルユニット1の側端部同士が突き合わされる位置で前記上部丸太加工材1Aの上面から突出している連結ピン9の突出部分に上位のパネルユニット1の下部丸太加工材1Cのピン嵌入孔11を嵌入すると共に、下位のパネルユニット1の上面の凸部2に上位のパネルユニット1の下面の凹溝3を嵌合し、順次互い違いに上下方向へ連結すると共に、側端部同士は連結板6で前同様に連結し、堤体13の前面壁側の型枠を構成する。
【0016】
次に、パネルユニット1の中間丸太加工材1Bのボルト孔12にアンカーボルト14を挿通し、締結具(図示せず)で型枠を固定する。
堤体13の後面壁側の型枠は従来通りの鋼製型枠(図示せず)を使用する。そして、型枠内にコンクリートを流し込み、堤体13を形成する。
養生後、締結具は外し、前面壁側の型枠はそのまま堤体13の前面壁を覆った状態で残す。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、パネルユニットを治山・砂防ダムの堤体の前面壁側の型枠として使用した後、パネルユニットを堤体の前面壁を覆った状態のまま残すため、治山・砂防ダムの前面は丸太を重合した間伐材の外観を呈し、周囲の自然環境に適合する。
又、従来の鋼製型枠と異なり、コンクリートの養生後、型枠を取り外すことがないので手数が省かれる。
又、パネルユニットは独立した小径木を単純に重合するのではなく、一枚のパネルユニットの正面が小径木が重合された形状に加工されるので、間伐材中径木の丸太を使用するため、間伐材中径木の有効利用促進を図ることができる等、有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す平面図である。
【図4】本発明の連結状態を示す部分正面図である。
【図5】本発明の使用状態を示す部分断面図である。
【図6】本発明に使用する連結板の正面図である。
【符号の説明】
1 パネルユニット
1A 上部丸太加工材
1B 中間丸太加工材
1C 下部丸太加工材
2 凸部
3 凹溝
4 連結ボルト
5 ナット
6 連結板
7 螺釘
8 釘孔
9 連結ピン
10、11 ピン嵌入孔
12 ボルト孔
13 堤体
14 アンカーボルト
15 基礎コンクリート
Claims (2)
- 背面及び両側面並びに上・下面が平坦面に形成され、上面の平坦面に長手方向渉って凸部が形成されると共に、下面の平坦面に凸部に対応し凸部が嵌合する凹溝が形成された丸太加工材が三段に重合され、各丸太加工材が連結部材で一体に結合されたパネルユニットが構成され、このパネルユニットの横方向への連結は、連結部の背部から連結板で連結可能とされると共に、パネルユニットの上下方向の連結は、下位のパネルユニットの上面の凸部と上位のパネルユニットの下面の凹溝の嵌合と、下位のパネルユニットの上面中央部で上位のパネルユニットの側端部同士が突き合わされて互い違いに連結ピンで連結可能とされ、パネルユニットの上面より下方に向け連結ピンの中央より下方が嵌入するピン嵌入孔が設けられると共に、パネルユニットの下面より上方に向け連結ピンの中央より上方が嵌入するピン嵌入孔が設けられ、パネルユニットの上面のピン嵌入孔と下面のピン嵌入孔はパネルユニットの上下方向への連結時に下位のパネルユニットの上面のピン嵌入孔と、上位のパネルユニットの下面のピン嵌入孔が合致するよう対応位置に配設され、パネルユニットの中間丸太加工材の前面の長手方向に所定の間隔を於いて前面より後面に向け堤体の前面壁へのアンカーボルトが挿通されるボルト孔が穿設されていることを特徴とする治山・砂防ダムの堤体の前面壁の型枠兼用化粧パネルユニット。
- 丸太加工材は間伐材中径木であることを特徴とする請求項1記載の治山・砂防ダムの堤体の前面壁の型枠兼用化粧パネルユニット。
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