JP3644117B2 - 変性ポリスルホン半透膜およびその製造方法 - Google Patents
変性ポリスルホン半透膜およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は変性ポリスルホン半透膜に関するものである。透析膜などの体外循環治療用、イオン排除性の限外濾過膜、医薬品製造工場や医療施設での水や透析液、輸液などからのエンドトキシン除去用、敗血症などの治療用として好適に用いられ得る。
【0002】
【従来の技術】
従来、特定の生理活性物質等を不溶性担体に固定化したものは、アフィニティークロマトグラフ用吸着剤、治療用血液処理剤、細胞培養用機材、抗菌性材料、その他、分析用試薬などとして広く利用されており、今後、さらに幅広い応用が期待される重要な分野である。
【0003】
また、アミノ基を持つ重合体は生理活性物質の固定化、アフィニティークロマトグラフ用吸着剤、治療用血液処理剤、抗菌性材料などの原料として有用である。その代表的な例としてはポリスチレンの誘導体が良く知られているが、脆い重合体なので成型に限界があり、例えば、中空糸やカテーテルには成型できない欠点がある。
【0004】
一方、芳香族ポリスルホンは成型性が良いので、エンジニアリングプラスチックとして広く用いられており、さらに、一部において中空糸の形で物質分離用途にも用いられている。そして、当該ポリスルホンに反応性の官能基を導入すれば、生理活性物質を固定化したり、特定の官能基を導入したものが調製できる。
【0005】
当該有害物質のなかでもエンドトキシンは哺乳動物の血中に入ると発熱やショック症状を引き起こす物質で、グラム陰性菌の細胞壁から由来し、高圧蒸気滅菌でも分解されないことが知られている。したがって、従来より、敗血症患者の血液や注射液からエンドトキシンを除去しようとする試みが行われており、エンドトキシンを吸着する物質として、ポリスチレンにポリミキシンを固定化した物質(特開昭62−19178,特開昭60−5166、特開昭60−209525)がある。また、水溶液中のエンドトキシンを除去する方法としてはエンドトキシンよりも小さい孔径の膜を用いて除去する方法も実用化されている。しかしながら、前者では濾過膜でないため、後者では濾過膜であっても、エンドトキシンを吸着・分解する性質がないために、これらの方法では通液速度を大きくすると、エンドトキシンが素通りするものが現れる欠点がある。かかる従来技術の問題点に鑑み、ハロアセトアミドメチル化ポリスルホンが提案された(特開平6−500925)。しかしながら、この発明のハロアセトアミドメチル化ポリスルホンを公知の方法で製膜しようとした場合、製膜性が悪く膜の機械的強度が低下したり、製膜時に糸切れを起こしたり、目的の孔径を得ることが困難であったりした。この現象は官能基量が多くなるにつれて顕著であった。また、官能基量を少なくして、製膜性を向上させようとした場合は吸着などの効果が低下してしまい、目的の吸着特性を得ることができなくなってしまった。このようなものでは吸着量を多くするためには膜素材を多量に使用する必要があり、コスト高になってしまい、製品化することは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、かかる従来技術の問題点に鑑み、ポリスルホン半透膜であって特定物質を吸着もしくは排除する性質を備えたものが簡便な方法で得られないか、種々検討した結果、側鎖に置換基を持つポリスルホンを特定の比率でポリスルホンに混合して成膜し、その後、必要に応じて反応させることにより強靱で低コスト化が可能な変性ポリスルホン半透膜を得ることに成功した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の(1)〜(2)の技術的手段から構成される。
【0008】
(1) 側鎖置換基の一部に塩基性窒素化合物残基、アミン残基、ポリアミノ炭化水素化合物残基、および塩基性ポリアミノ酸化合物残基から選ばれる少なくとも1種を含む側鎖置換基を主鎖の芳香族ポリスルホンに芳香核4個の繰り返し単位当たり0.001〜4.0個結合した変性ポリスルホン1部と芳香族ポリスルホン0.1〜1000部との混合物を含むことを特徴とする変性ポリスルホン半透膜。
【0009】
(2) 側鎖置換基の一部に塩基性窒素化合物残基、アミン残基、ポリアミノ炭化水素化合物残基、および塩基性ポリアミノ酸化合物残基から選ばれる少なくとも1種を含む側鎖置換基を主鎖の芳香族ポリスルホンに芳香核4個の繰り返し単位当たり0.001〜4.0個結合した変性ポリスルホン1部と芳香族ポリスルホン0.1〜1000部との混合物を含む変性ポリスルホン1部と芳香族ポリスルホン1〜1000部とを溶媒中で混合した後製膜することを特徴とする変性ポリスルホン半透膜の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明で言う、側鎖置換基を導入した芳香核を有する芳香族ポリスルホン重合体とは、主鎖に芳香核とスルホニル基をもつポリスルホン重合体であって、その一部が芳香核4個の繰り返し単位当たり0.001〜4.0の密度で置換されているものなら何でも良く、特に制限はない。
【0012】
当該芳香族ポリスルホン重合体の具体例としては、市場に広く出回っているポリ(p−フェニレンエーテルスルホン):−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−O−}n−やユーデル・ポリスルホン:−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−O−(p−C6 H4 )−C(CH3 )2 −(p−C6 H4 )−O}n−のほか、−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−O−(p−C6 H4 )−O}n−、−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−S−(p−C6 H4 )−O}n−、−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−O−(p−C6 H4 )−C(CF3 )2 −(p−C6 H4 )−O}n−などの構造をした重合体であって、本発明の変性ポリスルホンはユーデルポリスルホンなどのように繰り返し単位が4個の芳香核からなるものは繰り返し単位あたり0.001〜4.0個の置換密度で置換されているものであり、ポリスルホンの繰り返し単位が芳香核4個以外のものについても芳香核4個あたり0.001〜4.0個の置換密度で側鎖置換基に置換されているものをあげることができる。
【0013】
尚、本発明においては、側鎖置換基の結合数は、例えば次の方法によって求めることができる。即ち、核磁気共鳴スペクトル(NMR)を用いる場合が挙げられ、一般に知られるとおり、重合体を重合体に対して可溶なNMR用試薬に溶解して測定し、スペクトルから公知の方法により官能基量を定量することができる。また、元素分析を用いることもでき、元素分析を行い、置換基が有する量と幹ポリマが有する量の理論値より算出することができる。
【0014】
側鎖置換基は側鎖置換基の一部に塩基性窒素化合物残基、アミン残基、ポリアミノ炭化水素化合物残基、および塩基性ポリアミノ酸化合物残基から選ばれる少なくとも1種を含むものであれば、特に限定しないがハロゲン原子、水酸基、アシロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アミノエチルアミノ基、ω・アミノポリ(プロピルアミノ)基、ω・アミノポリ(ブチルアミノ)基、ω・アミノポリ(ヘキシルアミノ)基、ω・アミノポリ(エチレンイミノテトラメチレン)基、ω・アミノポリ(エチレンイミノヘキサメチレン)基、ω・アミノポリ(テトラメチレンイミノヘキサメチレン)基、ω・アミノポリ(エチレンイミノデカメチレン)基等のポリアミン残基、トリエチルアンモニウム基、N,N・ジメチル・n・ブチルアンモニウム基などで代表される第四アンモニウム基やビグアニド基等の塩基性窒素化合物残基、ポリアルキレンオキサイドやポリビニルピロリドン等の親水性高分子基、スルフィド基、イソシアン酸基、イソチオシアン酸基、尿素基、チオ尿素基、ウレイド基、チオウレイド基を一部に含む置換基を挙げることができる。置換基の一部にポリミキシン、コリスチンがあると、血液中でのエンドトキシン除去作用が大きい。水溶液からのエンドトキシン除去にはトリエチルアンモニウム基、N,N・ジメチル・n・ブチルアンモニウム基などで代表される第四アンモニウム基、ビグアニド基などもエンドドキシン除去のためには有効である。これらの基は単独で、あるいは、使用目的によっては複数で存在しても良い。
【0015】
側鎖置換基を芳香核に導入したものの合成は容易であり、スルホン化ポリスルホンやハロメチル化ポリスルホンは良く知られた物質である。また、前記一般式(I)で表されるものは、簡単な装置で安定して合成できるため、工業的に見ても好ましい物質である。また、ハロメチル化ポリスルホンやハロアシルアミドメチル化ポリスルホンは本発明の種々の側鎖置換基を有するポリスルホンの合成中間体としても有用である。
【0016】
さらに詳しく一般式(I)で示される基について説明すると、R1 、R2 は水素原子、または、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基を示し、同一でも異なっていても良いが、R2 が水素原子のものが、とりわけ、R1 、R2 が共に水素原子のものが最も製造しやすい。
【0017】
本発明重合体中における側鎖置換基の適正な量、即ち、密度は幹となる重合体の化学構造および用途により異なるが、多すぎると単独では強靭な膜に成りにくく、また、ポリスルホンと混合して用いるにしても、ポリスルホンとの相溶性が悪くなり、うまく製膜できなくなるので、通常、芳香核4個当たり4個以下のものを用いる、とりわけ、1個未満のものは1個以上のものに比べ、通常のポリスルホン製膜条件で製膜できるほど製膜性に優れているので好ましく、0.5未満のものは芳香族ポリスルホンの機械的性質に近いものが得られるため、特に好ましい。一方、側鎖置換基の量が少なすぎるとその機能が発現しないため、通常、芳香核4個当たり0.001個以上のものを用いる。とりわけ、0.01個以上のものは好ましく、0.05以上のものは特に好ましい。官能基密度は変性ポリスルホンの特性を維持しながら実用性のある半透膜を得るためには非常に重要な要因である。
【0018】
変性ポリスルホンとポリスルホンの混合比率の適正な量は、除去物質と本発明の半透膜に親和性、除去物質の量、濃度等の用途によって異なるが、変性ポリスルホンの混合比率が少なすぎるとその機能が発現しにくく、一方、多すぎると、単独では強靭な膜に成りにくい傾向がある。このため、通常、変性ポリスルホン1部に対して芳香族ポリスルホン0.1〜1000部との混合物から成る変性ポリスルホン半透膜が使用される。とりわけ、ポリスルホン比率の高いものは透水性などの膜の物質透過特性や糸強度が優れたものが得やすいため、変性ポリスルホン1部に対して芳香族ポリスルホン5〜1000部のものは特に好ましい。
【0019】
また、変性ポリスルホンの側鎖置換基量が多い場合は製膜性が悪くなる傾向があるため、変性ポリスルホンに対して芳香族ポリスルホン量を多くすることが好ましい。この場合、変性ポリスルホン半透膜中の側鎖置換基は繰り返し単位当たり1個以下になるように変性ポリスルホンの側鎖置換基量と芳香族ポリスルホン混合比率を調整することが好ましい。さらに、変性ポリスルホン半透膜中の側鎖置換基は繰り返し単位当たり0.1個以下の場合は通常のポリスルホンに近い製膜性を有することができるため、特に好ましい。
【0020】
本発明の変性ポリスルホンとポリスルホンの混合物とは両者が直接混錬もしくは溶媒に溶解することにより混合された状態を示しており、一般に強度に優れる支持膜と呼ばれているポリスルホン平膜の表面に置換基を有するポリスルホンをコーティングしたものは該当しない。コーティングでは表面に本発明と同様な側鎖官能基を有する半透膜を得ることは可能であるがこの場合コーティング工程を必要とするため、工程もしくは装置が複雑になる。これに対して、本発明は支持膜層を別に必要としないために製造が容易である。しかも、吸着膜として用いた場合には膜全体が吸着層となるために吸着表面積が大きくなるという長所を得ることができる。
【0021】
変性ポリスルホンとポリスルホンの混合物は相溶状態であることが望ましいが、変性ポリスルホンとポリスルホンが相分離しているような状態であれば、糸強度と側鎖置換基による機能性の発現を両立させることは可能である。相分離の観察は物質によっては測定が困難であるが、エチレンオキサイドやポリビニルピロリドンなどオスミウムやルテニウム等に選択的に染まる物質であれば透過電子顕微鏡で混合状態を確認することができる。相分離の大きさは小さい方が好ましく、平均1ミクロン以下であることが好ましい。さらに、透析膜のように膜孔径の小さな膜では0.1ミクロン以下であれば膜の物質移動特性に与える影響も小さいので特に好ましい。
【0022】
本半透膜は、側鎖置換基を繰り返し単位当たり0.001〜4.0個結合した変性ポリスルホンがジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどのポリスルホンの製膜溶媒に溶解可能な場合は直接ポリスルホンと混合溶解して製膜しても良い。その他、側鎖置換基の一部がハロゲンである変性ポリスルホンをポリスルホンと混合して製膜した後、反応させる方法は、異なる官能基を持った製品を他品種製造する場合には、それぞれの導入基に応じた製膜条件を設定する必要が無いため、技術開発が容易となり、特に好ましい方法である。
【0023】
半透膜の形状は特に限定しない。平膜であっても中空糸膜であってもよい。中空糸の場合にあっては表面にコーティング層を設けて側鎖置換基を導入することは平膜よりも工程的・装置的に複雑になり、コスト的に高くなってしまうのに対して、本発明の半透膜は通常のポリスルホン製膜方法、設備によって製造することができるため、本発明の効果が発揮される。
【0024】
具体的なポリスルホン半透膜の製造方法は特開昭61−93801や特開昭58−104940、特開昭61−238306、特開昭63−99325、特開昭63−97202などに記載された公知の方法によればよく、これらに記載されているポリスルホンの一部に本発明記載の変性ポリスルホンを必要な割合で混合することによって製造することができる。
【0025】
得られたポリスルホンは公知の方法によってハウジングに組み込み、吸着もしくは濾過膜として用いることができる。
【0026】
本発明の半透膜は溶液中から特定の物質を除去できる変性ポリスルホン半透膜に関するものであり、各種物質の濾過、濃縮、物質の固定化用基材に用いられる。具体的には、血漿分離膜、人工透析用膜、敗血症などの感染症治療の体外循環治療用膜を用いた体外循環治療用モジュールとして、薬物中毒時の薬物中和治療用膜もしくは中和のための特定物質の固定化用膜、慢性疾患患者に対する病因物質の除去用膜もしくは除去のための特定物質の固定化用膜、医薬品製造工場や医療施設での水や透析液、輸液などからのエンドトキシン除去用膜として好適に用いられ得る。
【0027】
また、本発明の半透膜は多孔質吸着体としても使用することができ、この場合には一般的なビーズ状吸着材と同様に吸着除去用モジュールとして使用することもできる。
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0029】
なお、本実施例中の評価方法は、以下に従った。
【0030】
1.赤外線吸収スペクトル
島津フーリエ変換赤外分光光度計FT−IR4300を用い、フィルム状またはKBr錠剤に成型して測定した。
【0031】
【実施例】
実施例1:
ニトロベンゼン25mlと硫酸50mlの混合溶液を0℃に冷却後、7.5g(0.061モル)のN−メチロール−α−クロルアセトアミドを加えて、溶解し、これに300mlの冷ニトロベンゼンを加えた後、60g(0.136モル)のユーデルポリスルホンP3500(以下PSuと略記)を300mlのニトロベンゼンに溶かした溶液を、良く撹拌しながら加えた。さらに、室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿をメタノールで良く洗った後、乾燥して、63gのα−クロルアセトアミドメチル化ポリスルホン(以下CAMPSuと略記)を得た。このポリマーは赤外線吸収スペクトルで1670cm-1にアミド基の吸収を示した。また、元素分析では、窒素1.5%,塩素2.9%であった。
【0032】
上記で得たCAMPSu9gとポリビニルピロリドン(K−90)3g,ジメチルアセトアミド(以下DMACと略記)38gを60℃で2時間混合溶解した後、60℃で30分間脱泡をおこなって、成膜原液を作製した。この原液をアプリケーターを用いてガラス板上に100μmの厚みに流延し、水を入れた凝固浴に入れて凝固させた。この膜を水洗し、平板上の膜を作製した。
【0033】
得られた平膜6gを1LのポリミキシンB・硫酸塩0.1重量%水溶液に入れ、1N−カセイソーダ水溶液でpH9.5に調整して、3時間反応させた後、1N−塩酸で水溶液のpHを7.4に調整した。膜を取り出し、ポリミキシンBが洗液中に検出されなくなるまで、エンドトキシンフリーの水で十分に洗浄し、本発明半透膜(ポリミキシンB固定化ポリスルホン膜)を得た。この膜を塩酸加水分解後、加水分解液をアミノ酸分析し、ポリミキシンB固定化量を測定したところ、3.26mg/g−膜であった。
【0034】
上記で得たポリミキシンB固定化ポリスルホン膜1gを30mlのエンドトキシン含有生理食塩水(大腸菌0111:B4のLPS 10ng/ml)に入れ、30分間振盪したところ、生理食塩水中のエンドトキシン濃度はエンドスペーシー法分析(リムラステストワコー/トキシノメーター)によると1ng/ml以下であった。
【0035】
実施例2:
実施例1で得たポリミキシンB固定化ポリスルホン膜1gを30mlのエンドトキシン含有牛血清中(大腸菌0111:B4のLPS 10ng/ml)に入れ、120分間振盪したところ、牛血清中のエンドトキシン濃度はエンドスペーシー法分析(リムラステストワコー/トキシノメーター)によると2.9ng/mlであった。
【0036】
比較例1:
実施例1で得たポリミキシンBを固定化する前のポリスルホン膜1gを、実施例2と同様に30mlのエンドトキシン含有牛血清中(大腸菌0111:B4のLPS 10ng/ml)に入れ、120分間振盪したところ、牛血清中のエンドトキシン濃度はエンドスペーシー法分析(リムラステストワコー/トキシノメーター)によると9.9ng/mlであり、この膜には吸着能はなかった。
【0037】
実施例3〜6:
PSu8.5g、実施例1で得たCAMPSuを8.5g、ポリビニルピロリドン(K−90)2.6g、水1.7gをDMAC87.7gに加え80℃にて6時間加熱溶解した。溶解した原液を10時間静置し脱泡した。注入液はDMACと水との混合液を用いた。調整した原液、注入液を保温された1.0/0.7 Φの2重スリット口金から内部は注入液、外側には原液となるように吐出し、水からなる凝固浴にて中空糸状に凝集させ中空糸膜を得た。このとき、温度、注入液組成、凝固浴濃度を変えることにより表1の構造、および性能の膜を幅広く作成することができる。
【0038】
実施例7、8:
実施例3および6の中空糸1gをポリミキシンB・硫酸塩0.1重量%水溶液に入れ、カセイソーダを用いてpH9.5にして1時間反応を行った。反応後、エンドトキシンフリーの水と塩酸で、中和、洗浄を行い、ポリミキシンB固定化中空糸膜を作成した。ポリミキシンBの固定化量はアミノ酸分析により測定した。この膜をエンドトキシン含有牛血漿(10ng/ml,Ecoli 0111;B4 のLPS)30mlに接触させたところ、30分後の牛血漿中のエンドトキシン濃度はそれぞれ表2のように低下した。
【0039】
実施例9:
PSu180g、実施例1で得たCAMPSu20g、ポリビニルピロリドン(K−30)90g、水9.4gをDMAC721gに加え80℃にて8時間加熱溶解した。溶解した原液を10時間静置し脱泡した。注入液はDMAC60%の水との混合液を用いた。調整した原液、注入液を30℃に保温された0.6/0.25mmΦの2重スリット口金から内部は注入液、外側には原液を吐出し、59℃の水からなる凝固浴にて中空糸状に凝集させた。中空糸膜を32.2m/min の巻き取り速度で巻き取り、サンプルを得た。中空糸の内径寸法は216 μm、膜厚は41μmであった。中空糸膜の透水性は1110ml/mmHg/hr/m2 、牛血漿の濾過性能は37ml/mmHg/hr/m2 と高く、アルブスティック判定によるタンパクの漏出レベルは(±)と軽微であり、透析膜として使用できる性能を有していることがわかった。
【0040】
【表1】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は溶液中から特定の物質を除去できる変性ポリスルホン半透膜を提供するものであり、各種物質の濾過、濃縮、物質の固定化用基材に用いられる。具体的には、イオン排除性の限外濾過膜、血漿分離膜、人工透析用膜、敗血症などの感染症治療の体外循環治療用膜、薬物中毒時の薬物中和治療用膜もしくは中和のための特定物質の固定化用膜、慢性疾患患者に対する病院物質の除去用膜もしくは除去のための特定物質の固定化用膜、医薬品製造工場や医療施設での水や透析液、輸液などからのエンドトキシン除去用膜として好適に用いられ得る。
Claims (13)
- 側鎖置換基の一部に塩基性窒素化合物残基、アミン残基、ポリアミノ炭化水素化合物残基、および塩基性ポリアミノ酸化合物残基から選ばれる少なくとも1種を含む側鎖置換基を主鎖の芳香族ポリスルホンに芳香核4個の繰り返し単位当たり0.001〜4.0個結合した変性ポリスルホン1部と芳香族ポリスルホン0.1〜1000部との混合物を含むことを特徴とする変性ポリスルホン半透膜。
- 側鎖置換基が芳香族ポリスルホンの芳香核に置換されていることを特徴とする請求項1記載の変性ポリスルホン半透膜。
- 側鎖置換基の一部にポリミキシンを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の変性ポリスルホン半透膜。
- 側鎖置換基の一部にコリスチンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変性ポリスルホン半透膜。
- 側鎖置換基がアシルアミドメチル基を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリスルホン半透膜。
- 側鎖置換基が下記一般式(I)で示されるアシルアミドメチル基(但し、式中、Aはハロゲン原子、水酸基、アシロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ 基、塩基性窒素化合物殘基、アミン残基、ポリアミノ炭化水素化合物残基、塩基性ポリアミノ酸化合物残基、ポリミキシン、コリスチン、およびスルフィド基か ら選ばれる少なくとも1種を示し、R1 およびR2 は水素原子、または、炭素数1〜6のアルキル基を示し、R1 とR2 は同一でも異なっていても良い。)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリスルホン半透膜。
A−CH(R1 )−CO−N(R2 )−CH2 − (I) - 芳香族ポリスルホンがポリ(p−フェニレンエーテルスルホン)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の変性ポリスルホン半透膜。
- 芳香族ポリスルホンが化学式−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−O−(p−C6 H4 )−C(CH3 )2 −(p−C6 H4 )−O}n−で表されるポリスルホンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の変性ポリスルホン半透膜。
- 半透膜の形状が中空糸であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の変性ポリスルホン半透膜。
- 体外循環用モジュールとして使用することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の変性ポリスルホン半透膜。
- 吸着除去用モジュールとして使用することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の変性ポリスルホン半透膜。
- 側鎖置換基の一部に塩基性窒素化合物残基、アミン残基、ポリアミノ炭化水素化合物残基、および塩基性ポリアミノ酸化合物残基から選ばれる少なくとも1種を含む側鎖置換基を主鎖の芳香族ポリスルホンに芳香核4個の繰り返し単位当たり0.001〜4.0個結合した変性ポリスルホン1部と芳香族ポリスルホン0.1〜1000部との混合物を含む変性ポリスルホン1部と芳香族ポリスルホン1〜1000部とを溶媒中で混合した後製膜することを特徴とする変性ポリスルホン半透膜の製造方法。
- 主鎖の芳香族ポリスルホンに、側鎖として、ハロメチル基もしくは一般式(II)で示されるハロアシルアミドメチル基(但し、式中、Xはハロゲン原子を示し、R1 およびR2 は水素原子、または、炭素数1〜6の低級アルキル基を示し、R1 とR2 は 同一でも異なっていても良い。)を繰り返し単位当たり0.001〜4.0個結合したポリスルホン1部と芳香族ポリスルホン1〜1000部とを溶媒中で溶解 した溶液を用いて製膜したポリスルホン半透膜にアミノ化合物、塩基性窒素化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を接触させることを特徴とする請求項12記載の変性ポリ スルホン半透膜の製造方法。
X−CH(R1 )−CO−N(R2 )−CH2 − (II)
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