JP3584597B2 - ポリスルホン重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、側鎖としてポリ(アルキルアミン)殘基をグラフト基として導入した芳香核を有するポリスルホン重合体およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、イオン性物質や生理活性物質などの吸着、分離、固定などに好適に使用し得るポリ(アルキルアミン)グラフト芳香族ポリスルホン重合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特定の生理活性物質等を不溶性担体に固定化したものは、アフィニティークロマトグラフ用吸着剤、治療用血液処理材、細胞培養用器材、抗菌性材料、その他、分析用試薬などとして広く利用されており、今後、さらに幅広い応用が期待される重要な分野である。
【0003】
固定化に用いる不溶性担体としてはセルロース、アガロース、ポリスチレンなどが古くから知られているが、これらは不溶性の成型品として存在する。ポリスルホンは成型性が良く、透析用中空糸として利用できるので、固定化に利用できる反応性の官能基、特にアミノ基を導入すると、その利用価値は高い。そのためクロルメチル化ポリスルホン{樋口ほかJ.Appl.Polymer Chem. 46, 449−457 (1992)}やアミドメチル化ポリスルホン(特開平6−500925)などが開発された。
【0004】
しかし、ポリスルホンはポリマー主鎖の凝集力でその高い機械的性質を保っているので、その主鎖に官能基をあまりに多数導入し過ぎると、その優れた機械的性質が失われてしまう。一方、官能基の導入密度が少なすぎると吸着能が小さすぎて目的を果たせないジレンマがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、かかる従来技術の問題点に鑑み、有用な反応性の官能基を十分な量導入したポリスルホンが簡便な方法で得られないか、種々検討した結果、反応特性を有し、可溶性かつ成膜性があり、良好な膜を与えるポリアミンをグラフトしたアセトアミドメチル化ポリスルホンの調製に成功し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、下記の構成を有する。
【0007】
「(1) 主鎖の芳香族ポリスルホンに、側鎖官能基として、下記一般式(I)で示される基{但し、式中、Eはポリ(アミノアルキレン)基を示し、R1 およびR2 は水素原子、または、炭素数1〜5のアルキル基を示し、R1 とR2 は同一でも異なっていても良い。}が導入されてなることを特徴とするポリスルホン重合体。
【0008】
E−CH(R1 )−CO−N(R2 )−CH2 − (I)
(2) 下記一般式(III )で示されるハロゲン置換基(但し、式中、Xはハロゲン原子を示す。)で置換された芳香族ポリスルホン重合体を、ポリアミン化合物と反応させることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリスルホン重合体の製造方法。
【0009】
X−CH(R1 )−CO−N(R2 )−CH2 − (III )」
【0010】
【発明の実施の形態】
続いて、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明で言う、側鎖として一般式(I )で示される基を導入した芳香核を有する芳香族ポリスルホン重合体とは、主鎖に芳香核とスルホニル基をもつポリスルホン重合体であって、その芳香核が上記一般式(I)で示される基で置換されているものなら何でも良く、特に制限はない。
【0012】
当該芳香族ポリスルホン重合体の具体例としては、市場に広く出回っているポリ(p−フェニレンエーテルスルホン):−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−O−}n−やユーデル・ポリスルホン:−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−O−(p−C6 H4 )−C(CH3 )2 −(p−C6 H4 )−O}n −のほか、−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−O−(p−C6 H4 )−O}n −、−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−S−(p−C6 H4 )−O}n −、−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−O−(p−C6 H4 )−C(CF3 )2 −(p−C6 H4 )−O}n−などの構造をした重合体であって、その芳香核が一般式(I)で示される基、例えば、ジエチレントリアミノ−アセトアミドメチル基、トリエチレンテトラアミノ−アセトアミドメチル基、テトラエチレンペンタアミノ−アセトアミドメチル基、ポリ(エチレンイミノ)−アセトアミドメチル基などによって、置換されているものをあげることができる。
【0013】
さらに詳しく一般式(I)で示される基を説明すると、R1 およびR2 は水素原子、または、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜5のアルキル基を示し、R1 とR2 は同一でも異なっていても良いが、R2 が水素原子のもの、とりわけ、R1 、R2 が共に水素原子のものが最も製造しやすく、かつ、反応性も高く、好ましい。
【0014】
また、一般式(I)中のEのポリ(アミノアルキレン)基としては、下記一般式(II)で示される基(但し、式中、A1 、A2 は炭素数2〜12のアルキレン基、メチル基が分岐した炭素数3〜12のアルキレン基、および、エチル基が分岐した炭素数4〜12のアルキレン基から選ばれる少なくとも1つを示す。A1 とA2 は同一でも異なっていても良い。nは2以上の整数を示す。)であることが好ましい。
【0015】
NH2 (A1 −NH−A2 −NH)n − (II)
かかる一般式(II)中のA1 −NH−A2 の例としては、エチレンイミノエチレン基、トリメチレンイミノトリメチレン基、テトラメチレンイミノテトラメチレン基、ヘキサメチレンイミノヘキサメチレン基、エチレンイミノテトラメチレン基、エチレンイミノヘキサメチレン基、テトラメチレンイミノヘキサメチレン基、エチレンイミノデカメチレン基などをあげることができる。側鎖置換基の一般式(I)中のnは小さすぎるとグラフト構造の効果が出にくく、一方、大きすぎるとポリスルホンの優れた物理的性質が発現されにくくなるので、2〜5000、とりわけ、5〜2000が好ましい。また、一般式(I)で示される基の密度とnの関係は重合体の性能を左右するので、考慮することが好ましい。即ち、一般式(I)で示される基の密度が高い場合は、nは小さくしないとポリスルホンの優れた物理的性質が維持されないので、nは小さい方が良く、一方、該密度が低い場合は、nが小さいと、グラフト構造の効果が出ないので、nは大きい方が良い。このポリ(アミノアルキレン)基は一部分岐していても良い。これらの基は単独で、あるいは、使用目的によっては複数存在しても良い。
【0016】
さらに一般式(I)中のEのポリ(アミノアルキレン)基がエチレンイミンの重合体である場合、重合度が低すぎると、官能基の効果が出すためには、側鎖官能基密度を高くしなければならず、得られるものの物理的特性が低くなるので、重合度は4以上であることが好ましい。また、重合度が高すぎると得られるものの粘度が高くなりすぎたり、親水性のために加工性が低下したりするので、4以上で10000以下、とりわけ、10以上4000以下が好ましい。このエチレンイミンの重合体は一部分岐していても良い。これらの基は単独で、あるいは、使用目的によっては複数で存在しても良い。
【0017】
一般式(I)で示される基が主鎖のポリスルホンに結合している位置はどこでも良く、特に限定はないが、アミドメチル化反応によって導入するのが容易であるので、主鎖のエーテル基に対してオルト位置のものが得られやすい。例えば、ビスフールAとジ(クロルフェニル)スルホンから合成されるユーデル・ポリスルホンでは、ビスフェノールAの水酸基からオルトの位置に一般式(I)で示される基が入ったものが得られやすい。
【0018】
本発明重合体中における一般式(I)で示される基の含有量は特に限定されるものではなく、密度は幹となる重合体の化学構造および用途により異なるが、少なすぎるとその機能が発現されにくく、一方、多すぎると、単独では強靭な膜に成りにくいという傾向があり、また、ポリスルホンと混合して用いる場合などにおいても、ポリスルホンとの相溶性が不十分となり、うまく成膜できなくなる場合があるので、通常、繰り返し単位当たり0.0001〜0.3個、とりわけ、0.001〜0.3個が好ましい。
【0019】
本発明重合体の製造は、ハロアセトアミドメチル化ポリスルホンの溶液中に対応したポリアミンを加えて、0〜100℃程度の温度で反応させることにより、容易に達成される。その量には特に制限はないが、可溶性のポリマーを得るためにはハロアセトアミドメチル基に対し2倍モル以上用いるのが望ましい。とりわけ、分岐のあるポリアミンの場合は、可溶性の重合体を得るためにはポリアミンを大過剰用いるのが好ましい。
【0020】
また、反応溶媒としては、均一系で反応させる場合にはテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが好ましく用いらる。また、重合体を表面処理する方法も可能で、そのためには水、メタノール、エタノールなどのポリスルホンを溶かさず、ポリアミンを溶かす溶媒が好ましく用いられる。
【0021】
本発明の重合体はそれ自体で吸着剤として、あるいは、より高度な機能をもつ吸着剤の製造中間体として用いられ、また、平膜、中空糸膜の形で各種物質の濾過分離・濃縮、物質の固定化に用いられる。また、細胞培養用器具、人工臓器、人工血管、カテーテル等への用途などが考えられる。固定化の対象物質としては、アルブミン、抗体蛋白質、酵素、成長因子(血管内皮細胞増殖因子、繊維芽細胞増殖因子など)、アミノ酸、ペプチド、多糖類などがあげられる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0023】
なお、本実施例中の評価方法は、以下に従った。
【0024】
1.赤外線吸収スペクトル
島津フーリエ変換赤外分光光度計FT−IR4300を用い、フィルム状またはKBr錠剤に成型して測定した。
【0025】
2.アミノ基の定量
1〜3gの試料を50mLのテトラヒドロフランに溶解し、5〜20倍モルの無水酢酸/ピリジン(1/5)溶液を加え、室温で1h放置した後、過剰の酢酸をチモールブルー・クレゾールレッド溶液を指示薬として、0.5N−NaOHで滴定した。ブランクとの差をアミノ基量とした。
【0026】
実施例1
ニトロベンゼン15mLと硫酸30mLの混合溶液を0℃に冷却後、4.1gのN−メチロール−α−クロルアセトアミドを加えて、溶解し、これに360mLの冷ニトロベンゼンを加えた後、72gのユーデルポリスルホンP3500を360mLのニトロベンゼンに溶かした溶液を、良く撹拌しながら加えた。さらに、室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿をメタノールで良く洗った後、乾燥して、74gのα−クロルアセトアミドメチル化ポリスルホン(重合体−I)を得た。このポリマーは赤外線吸収スペクトルで1670cm−1にアミド基の吸収を示した。また、元素分析では、窒素0.9%,塩素1.4%であり、置換率0.2%である。
【0027】
上記で得た重合体−I 20gを200mLのジメチルホルムアミドに溶かし、これにテトラエチレンペンタミン40mLを200mLのジメチルホルムアミドに溶かした溶液を加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を大過剰のメタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させ、沈殿をメタノールおよび水で良く洗った後、乾燥して、20gの本発明重合体を得た。このポリマーは赤外線吸収スペクトルで1674cm−1にアミド基の吸収を示し、2820cm−1と2874cm−1にメチレン基(エチレンジアミノ基)の吸収を示した。これはテトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミドによく溶ける。アミノ基の量は3.9ミリ当量/gであった。
【0028】
このポリマーのジメチルアセトアミド溶液をガラス上に塗布し、水の中に入れて成膜した結果、ポリスルホンと比較して機械的特性の変わらない半透膜が得られた。
【0029】
実施例2
ニトロベンゼン8mLと硫酸15mLの混合溶液を0℃に冷却後、2.1g (16ミリモル)のN−メチロール−α−クロルアセトアミドを加えて、溶解し、これに90mLの冷ニトロベンゼンを加えた後、72g(0.16モル)のユーデルポリスルホンP3500を360mLのニトロベンゼンに溶かした溶液を、良く撹拌しながら加えた。さらに、室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿をメタノールで良く洗った後、乾燥して、72gのα−クロルアセトアミドメチル化ポリスルホン(重合体−II)を得た。このポリマーは赤外線吸収スペクトルで1670cm−1にアミド基の吸収を示した。
【0030】
上記で得た重合体−II 20gを200mLのジメチルホルムアミドに溶かし、これにペンタエチレンヘキサミン40mLを200mLのジメチルホルムアミドに溶かした溶液を加え、室温で48時間撹拌した。反応混合物を大過剰の水中に入れ、ポリマーを沈殿させ、沈殿をメタノールおよび水で良く洗った後、乾燥して、20gの本発明重合体を得た。このポリマーは赤外線吸収スペクトルで1674cm−1にアミド基の吸収を示し、2820cm−1と2874cm−1にメチレン基(エチレンジアミノ基)の吸収を示した。これはテトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミドによく溶ける。アミノ基の量は2.3ミリ当量/gであった。
【0031】
このポリマーのジメチルアセトアミド溶液をガラス上に塗布し、水の中に入れて成膜した結果、ポリスルホンと比較して機械的特性の変わらない半透膜が得られた。
【0032】
実施例3
実施例2で得た重合体−II 20gを200mLのテトラヒドロフランに溶かし、これにポリエチレンイミン(平均分子量700:アルドリッチ・ケミカル社)40gを200mLのテトラヒドロフランに溶かした溶液を加え、室温で48時間撹拌した。反応混合物を大過剰のメタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させ、沈殿をメタノールおよび水で良く洗った後、乾燥して、20gの本発明重合体を得た。このポリマーは、ジメチルホルムアミドによく溶け、アミノ基の量は1.9ミリ当量/gであった。
【0033】
実施例4
ニトロベンゼン21mLと硫酸42mLの混合溶液を0℃に冷却後、5.7gのN−メチロール−α−クロルアセトアミドを加えて、溶解し、これを16mLとり、180mLの冷ニトロベンゼンを加えた。この液(N−メチロール−α−クロルアセトアミド11ミリモル)を200g(0.45モル)のユーデルポリスルホンP3500を360mLのニトロベンゼンに溶かした溶液に、良く撹拌しながら加えた。さらに、室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物を大過剰の冷メタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させた。沈殿をメタノールで良く洗った後、乾燥して、200gのα−クロルアセトアミドメチル化ポリスルホン(重合体−III )を得た。このものは赤外線吸収スペクトルで1678cm−1にアミド基の吸収を示した。
【0034】
上記で得た重合体−III 20gを200mLのジメチルホルムアミドに溶かし、これにペンタエチレンヘキサミン40mLを200mLのジメチルホルムアミドに溶かした溶液を加え、室温で48時間撹拌した。反応混合物を大過剰の水中に入れ、ポリマーを沈殿させ、沈殿をメタノールおよび水で良く洗った後、乾燥して、20gの本発明重合体をえた。このポリマーは赤外線吸収スペクトルで1674cm−1にアミド基の吸収を示し、2820cm−1と2874cm−1にメチレン基(エチレンジアミノ基)の吸収を示した。これはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドによく溶ける。このポリマーのジメチルアセトアミド溶液をガラス上に塗布し、水の中に入れて成膜した結果、ポリスルホンと比較して機械的特性の変わらない半透膜が得られた。
【0035】
実施例5
実施例4で得た重合体−III 20gを200mLのジメチルホルムアミドに溶かし、これにポリエチレンイミン(平均分子量700:アルドリッチ・ケミカル社)40gを200mLのジメチルホルムアミドに溶かした溶液を加え、室温で48時間撹拌した。反応混合物を大過剰のメタノール中に入れ、ポリマーを沈殿させ、沈殿をメタノールおよび水で良く洗った後、乾燥して、20gの本発明重合体をえた。このポリマーは赤外線吸収スペクトルで1674cm−1にアミド基の吸収を示し、2820cm−1と2874cm−1にメチレン基(エチレンジアミノ基)の吸収を示した。これはテトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミドによく溶ける。アミノ基の量は1.4ミリ当量/gであった。このポリマーのジメチルアセトアミド溶液をガラス上に塗布し、水の中に入れて成膜した結果、ポリスルホンと比較して機械的特性の変わらない半透膜が得られた。
【0036】
実施例6
実施例4で得た重合体−III 20gを200mLのテトラヒドロフランに溶かし、これにポリエチレンイミン(平均分子量10000:ポリサイエンス社)40gを200mLのテトラヒドロフランに溶かした溶液を加え、室温で48時間撹拌した。反応混合物を大過剰の水中に入れ、ポリマーを沈殿させ、沈殿を水で良く洗った後、乾燥して、20gの本発明重合体をえた。このポリマーは赤外線吸収スペクトルで1674cm−1にアミド基の吸収を示し、2820cm−1と2874cm−1にメチレン基(エチレンジアミノ基)の吸収を示した。これはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドによく溶ける。アミノ基の量は2.5ミリ当量/gであった。このポリマーのジメチルアセトアミド溶液をガラス上に塗布し、水の中に入れて成膜した結果、ポリスルホンと比較して機械的特性の変わらない半透膜が得られた。
【0037】
実施例7
実施例4で得た重合体−III 20gを200mLのジメチルホルムアミドに溶かし、これにポリエチレンイミン(平均分子量70000:和光純薬の30%水溶液を減圧濃縮して、水を除いたもの)40gを200mLのジメチルホルムアミドに溶かした溶液を加え、室温で48時間撹拌した。反応混合物を大過剰の飽和食塩水中に入れ、ポリマーを沈殿させ、沈殿を水で良く洗った後、乾燥して、16gの本発明重合体を得た。このポリマーは赤外線吸収スペクトルで1674cm−1にアミド基の吸収を示し、2820cm−1と2874cm−1にメチレン基(エチレンジアミノ基)の吸収を示した。これはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドによく溶ける。アミノ基の量は0.84ミリ当量/gであった。このポリマーのジメチルアセトアミド溶液をガラス上に塗布し、水の中に入れて成膜した結果、ポリスルホンと比較して機械的特性の変わらない半透膜が得られた。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、主鎖の芳香族ポリスルホンに、側鎖として特定のポリアミングラフト基を導入することにより、優れた特性を有する可溶性の新規芳香族ポリスルホン重合体を得ることを最大の特徴とするものであり、本発明によって得られる芳香族ポリスルホン重合体は、イオン性物質や生理活性物質などの吸着、分離、固定などの処理材料として有用である。
【0039】
また、当該芳香族ポリスルホン重合体は、シャーレ、瓶、膜、繊維、中空糸、粒状物またはこれらを用いた組み立て品などの成型品の形で、アフィニティークロマトグラフ用吸着剤、治療用血液処理剤、抗菌性材料等の原材料として好適に使用することができる。
Claims (9)
- 主鎖の芳香族ポリスルホンに、側鎖官能基として、下記一般式(I)で示される基{但し、式中、Eはポリ(アミノアルキレン)基を示し、R1 およびR2 は水素原子、または、炭素数1〜5のアルキル基を示し、R1 とR2 は同一でも異なっていても良い。}が導入されてなることを特徴とするポリスルホン重合体。
E−CH(R1 )−CO−N(R2 )−CH2 − (I) - 一般式(I)中の該Eが、下記一般式(II)で示される基(但し、式中、A1 、A2 は炭素数2〜12のアルキレン基、メチル基が分岐した炭素数3〜12のアルキレン基、および、エチル基が分岐した炭素数4〜12のアルキレン基から選ばれる少なくとも1つを示す。A1 とA2 は同一でも異なっていても良い。nは2以上の整数を示す。)であることを特徴とする請求項1記載のポリスルホン重合体。
NH2 (A1 −NH−A2 −NH)n − (II) - 一般式(I)中の該ポリ(アミノアルキレン)基が、重合度4以上、10000以下のエチレンイミンの重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリスルホン重合体。
- 該芳香族ポリスルホンが、ポリ(p−フェニレンエーテルスルホン)であることを特徴とする請求項1記載のポリスルホン重合体。
- 該芳香族ポリスルホンが化学式−{(p−C6 H4 )−SO2 −(p−C6 H4 )−O−(p−C6 H4 )−C(CH3 )2 −(p−C6 H4 )−O}n−で表されるポリスルホンであることを特徴とする請求項1記載のポリスルホン重合体。
- 該側鎖官能基が、ポリスルホン繰り返し単位当たり0.0001〜0.3の密度で置換されていることを特徴とする請求項1記載のポリスルホン重合体。
- 該一般式(II)中のnが2以上、5000以下であることを特徴とする請求項2記載のポリスルホン重合体。
- テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミドのいずれかに可溶であることを特徴とする請求項1記載のポリスルホン重合体。
- 下記一般式(III )で示されるハロゲン置換基(但し、式中、Xはハロゲン原子を示す。)で置換された芳香族ポリスルホン重合体を、ポリアミン化合物と反応させることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリスルホン重合体の製造方法。
X−CH(R1 )−CO−N(R2 )−CH2 − (III )
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