JP2006211959A - 細胞培養材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】作製が容易で細胞回収時に細胞に傷害を与えることが少ない細胞培養材料を提供すること。
【解決手段】プロピオニル化ポリアリルアミンを表面に保持させてなる細胞培養材料、ならびに細胞培養における当該細胞培養材料の使用。
【選択図】なし

Description

本発明は、細胞回収時に細胞に傷害を与えることが少なく、作製が容易な細胞培養材料に関する。
最近、再生医療、細胞治療、バイオ人工臓器などの分野では、細胞への傷害を最低限に抑えて、培養した細胞を回収する技術が求められている。
そのような細胞回収技術としては、温度応答性の高分子材料を表面に保持した細胞培養基材を用いる方法が公知である(例えば、特許文献1参照)。そのような温度応答性の高分子材料の代表的なものとして、相転移温度が32℃であり、32℃以上で疎水性、32℃以下で親水性を示すポリn-イソプロピルアクリルアミド(PIPAAm)が知られている。これは細胞が疎水性表面に接着しやすく、親水性表面には接着しにくいという性質を利用したものであり、32℃以上の疎水性PIPAAm表面で細胞を培養した後、32℃以下に冷却し細胞を脱着させ回収する方法に利用される。このような細胞回収方法はトリプシンなどのタンパク分解酵素を使用しないので細胞に損傷を与えることが少ないことが知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
しかしながら、PIPAAmなどの場合、細胞培養皿のような細胞培養材料表面に固定化する方法としては、n-イソプロピルアクリルアミドモノマー溶液と細胞培養材料とを接触させて電子線照射グラフト重合を行う方法など、特殊な装置を用いる方法が行われてきた(例えば、非特許文献1、非特許文献2、特許文献2参照)。
ところで、アシル化ポリアリルアミンは、親水性−疎水性熱可塑性を示し、低温域では水溶液の状態で水に溶解し、高温域では水に不溶となることは知られていた(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
特開平2−211865 特開平5−192130 特開平9−286816 特開平10−204120 清水達也、岡野光夫、バイオマテリアル−生体材料、183〜189ページ、2002年 T.Okano,et.al., Journal of Bio Medical Materials Research、第27巻、1243〜1251ページ、1993年
従来の細胞培養材料表面への温度依存性高分子材料の固定化は、特殊な装置を用いなければならず、実験室などで容易に温度応答性細胞培養材料を作製することは不可能であった。
また、現在まで、プロピオニル化ポリアリルアミンなどのアシル化ポリアリルアミンを固定化した材料が、細胞回収時に細胞に傷害を与えることが少ない細胞培養材料になるか否かについては一切知られていなかった。
本発明の課題は、作製が容易で細胞回収時に細胞に傷害を与えることが少ない細胞培養材料を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、意外にも細胞との接着性の高いアミノ基を含有するプロピオニル化ポリアリルアミンを表面に保持させてなる細胞培養材料が、作製が容易で細胞回収時に細胞に傷害を与えることが少ない細胞培養材料を与えることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)プロピオニル化ポリアリルアミンを表面に保持させてなる細胞培養材料、
(2)該プロピオニル化ポリアリルアミンのプロピオニル化率が5〜40モル%である前記(1)記載の細胞培養材料、ならびに
(3)細胞培養における前記(1)または(2)記載の細胞培養材料の使用
に関するものである。
本発明により、作製が容易で細胞回収時に細胞に傷害を与えることが少ない細胞培養材料が提供される。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
本発明の細胞培養材料は、プロピオニル化ポリアリルアミンが表面に保持されていることを一つの特徴とする。
本発明では、アシル化ポリアリルアミンの中でも、プロピオニル化ポリアリルアミンを用いると所望の効果を有することを見出した点に特徴がある。一方、アシル化ポリアリルアミンのうち、アセチル化ポリアリルアミンは、水溶性が高過ぎるため細胞培養材料への応用には適さず、ブチル化ポリアリルアミンは、相転移温度が低く、やはり細胞培養材料への応用は適さない。
本発明で使用するプロピオニル化ポリアリルアミン(以下、pNPPAAと略記することがある)は、主として、以下の式(I):
Figure 2006211959
で表されるアリルアミン単位(以下、構成単位(I)と称する場合がある)、および式(II):
Figure 2006211959
で表されるプロピオニル化アリルアミン単位(以下、構成単位(II)と称する場合がある)から構成される分子主鎖構造を有する。本発明で使用されるpNPPAAにおいて、pNPPAA分子中に含まれる前記構成単位(I)の個数lおよび前記構成単位(II)の個数mは、それぞれ1以上であり、lとmの和(重合度)は10以上であることが好ましく、100〜1000であることがより好ましい。また、lとmの和に対するmの割合〔m/(l+m)〕は、好ましくは0.05〜0.4である。なお、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、分子主鎖構造中に前記構成単位(I)および前記構成単位(II)とは異なる構成単位が含まれていてもよい。
本発明で使用するpNPPAAは、例えば、ポリアリルアミンをプロピオニル化することにより得られる。原料のポリアリルアミンは市販のポリアリルアミンを使用することができる。例えば日東紡績(株)から市販されている重量平均分子量10000〜80000のポリアリルアミンを使用することができる。
ポリアリルアミンのプロピオニル化は、当該分野で公知の方法を用いて行うことができ、例えば、ポリアリルアミン水溶液に、プロピオン酸、プロピオン酸無水物などを徐々に添加しながら反応させることにより行うことができる。反応後、所望により、水酸化ナトリウム水溶液などを添加して中和してもよい。
本発明のpNPPAAのプロピオニル化率は、pNPPAAの元素分析を行いその結果から算出することができる。なお、本明細書において、「プロピオニル化率」とは、ポリアリルアミンが有していたアリルアミン単位中の全アミノ基に対するプロピオニル基が結合したアミノ基の比率(モル比率)をいう。pNPPAAのプロピオニル化率(構成単位(I)および構成単位(II)ではm×100/(l+m)(モル%))について特に制限はないが、プロピオニル化率が5〜40モル%であれば、種々の細胞の培養に適した37℃付近の温度で疎水性を示し、かつ4〜20℃程度で親水性を示すことから好ましい。
本発明に使用されるpNPPAAは、一定のプロピオニル化率を有するpNPPAAのみを使用してもよいが、一定のプロピオニル化率を有するpNPPAAを複数混合して用いてもよい。一定のプロピオニル化率を有するpNPPAAを複数混合して用いる場合、その各pNPPAAのプロピオニル化率は、5〜40モル%であることが好ましい。
本発明でいう細胞培養材料は基材の表面にpNPPAAを保持したものである。ここで、本明細書において、「保持」とは、化学的な反応によって結合されている状態、または物理的な相互作用を利用して結合されている状態をいう。
基材の形状としては、表面にpNPPAAを保持できるものであれば特に制限はなく、細胞培養皿、ローラーボトル、不織布、中空糸などの形状が好適に使用できる。また、基材の材質としては、表面にpNPPAAを保持できるものであれば特に制限はなく、各種プラスチック材料、各種セラミックス材料、各種金属材料が使用できる。プラスチック材料としては、細胞培養皿などに多用されるポリスチレン、中空糸膜などに多用されるポリプロピレン、ポリスルホン、エチレン−ビニルアルコール共重合体など、不織布などに多用されるポリエステルなどのプラスチック材料が使用できる。
pNPPAAを基材の表面に保持する方法としては、化学的な反応によって結合させる方法、コーティングのような物理的な相互作用を利用して結合させる方法などが使用できる。
化学的な反応によって結合させる方法としては特に制限はないが、本発明のpNPPAAは1級アミノ基を有しているので、この1級アミノ基を利用して共有結合により基材に結合する方法が好適に使用できる。基材が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基などの官能基を有する場合、それらの官能基あるいはそれらを別の官能基に変換して得られた官能基とpNPPAAの1級アミノ基との間で容易に共有結合させることができる。
化学的な反応によって結合させるその他の方法としては、例えば、基材がポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンのような反応性官能基を有していない場合、過マンガン酸カリウムによる酸化処理、オゾン処理などにより基材表面にカルボキシル基などの官能基を導入した後、pNPPAAの1級アミノ基との間で共有結合させることができる。
また、化学的な反応によって結合させるその他の方法としては、例えば、pNPPAAが有する1級アミノ基を利用してpNPPAAに架橋性の官能基を導入し、基材にコーティングした後、例えば加熱処理などによって架橋、不溶化させる方法が使用できる。この方法は、基材がビーズ状や繊維状である場合に好適に使用できる。
基材の表面にプロピオニル化ポリアリルアミンを保持させる量は、好ましくは0.02μg/cm2以上、より好ましくは0.05μg/cm2以上、さらに好ましくは0.1μg/cm2以上である。
本発明において、前記プロピオニル化ポリアリルアミンのみを基材に保持させてもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリマー(例えば、他のアシル化ポリアリルアミンなど)を併用してもよい。併用する場合、基材に保持させる全ポリマーに対するプロピオニル化ポリアリルアミンの重量比率(プロピオニル化ポリアリルアミン/基材に保持させる全ポリマー)は、本発明の効果を奏する限り限定されないが、70重量%以上が好ましく、85重量%以上がより好ましい。
上記のように、本発明の細胞培養材料は、特殊な装置を使用することなく製造することができるので、特殊な装置を備えていない実験室などでも容易に製造することができる。また、得られた細胞培養材料は、温度を変更することにより、その表面が疎水性になったり親水性になったりする性質を有する。
従って、得られた細胞培養材料は、細胞培養に好適に使用することができる。本発明の細胞培養材料を用いて細胞培養を行う際には、培養中はその表面を疎水性にすることで、細胞が接着しやすく、培養を容易に行うことができ、培養後にはその表面を親水性にすることで、細胞が剥離しやすく、回収を容易に行うことができる。また、トリプシンなどのタンパク分解酵素を使用せずに細胞の剥離を行うことができるので、回収時に細胞が受ける傷害を少なく抑えることもできる。
以下、本発明を実施例などにより更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例などに限定されるものではない。
実施例1
(1)プロピオニル化ポリアリルアミン1の作製
50重量%ポリアリルアミン水溶液(PAA-HCl-3L、重量平均分子量15000、日東紡績社製)を水で希釈して調製した10重量%ポリアリルアミン水溶液100gに、プロピオン酸無水物(和光純薬社製)1.0gを徐々に添加しながら、25℃で4時間反応した。その後、pH試験紙で確認しながら水酸化ナトリウム水溶液を添加して副生したプロピオン酸を中和した。その後、透析チューブ(スペクトラ/ボア、分画分子量3500、フナコシ社製)を用いて透析した後、凍結乾燥して白色粉末状のプロピオニル化ポリアリルアミン1(以下、pNPPAA-1と略記する)を得た。このpNPPAA-1のプロピオニル化率を元素分析結果から算出したところ3.0モル%であった。
(2)pNPPAA-1固定化材料の作製
エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EP-F、エチレン含量32モル%、クラレ社製、以下、EVOHフィルムと略記する)をグルタルアルデヒド(以下、GAと略す)2.3g/L、硫酸33g/Lおよび硫酸ナトリウム180g/Lを含む水溶液に60℃で60分浸漬させることにより、GA化EVOHフィルムを作製した。
なお、GA化EVOHフィルム表面の残存アルデヒド基の存在は、2-メルカプトエチルアミンでチオール基を導入した後、5,5'ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)法にて測定し確認した。
上記GA化EVOHフィルムを、pNPPAA-1を5重量%および還元剤NaBH3CNを0.4重量%含む水溶液に浸漬し、25℃で振盪しながら24時間反応させ、pNPPAA-1固定化材料を作製した。
実施例2
(1)プロピオニル化ポリアリルアミン2の作製
20重量%ポリアリルアミン水溶液(PAA-H-HCl、重量平均分子量60000、日東紡績社製)を水で希釈して調製した10重量%ポリアリルアミン水溶液100gに、プロピオン酸無水物5.0gを徐々に添加しながら、25℃で4時間反応した。その後、実施例1と同様にしてプロピオニル化ポリアリルアミン2(以下、pNPPAA-2と略記する)を得た。pNPPAA-2のプロピオニル化率を元素分析結果から算出したところ18モル%であった。
(2)pNPPAA-2固定化材料の作製
pNPPAA-2を用いて、pNPPAA-1固定化材料の作製と同様に行い、pNPPAA-2固定化材料を作製した。
実施例3
(1)プロピオニル化ポリアリルアミン3の作製
50重量%ポリアリルアミン水溶液(PAA-HCl-3L、重量平均分子量15000、日東紡績社製)を水で希釈して調製した10重量%ポリアリルアミン水溶液100gに、プロピオン酸無水物5.0gを徐々に添加しながら、25℃で4時間反応した。その後、実施例1と同様にしてプロピオニル化ポリアリルアミン3(以下、pNPPAA-3と略記する)を得た。pNPPAA-3のプロピオニル化率を元素分析結果から算出したところ22モル%であった。
(2)pNPPAA-3固定化材料の作製
pNPPAA-3を用いて、pNPPAA-1固定化材料の作製と同様に行い、pNPPAA-3固定化材料を作製した。
実施例4
(1)プロピオニル化ポリアリルアミン4の作製
20重量%ポリアリルアミン水溶液(PAA-H-HCl、重量平均分子量60000、日東紡績社製)を水で希釈して調製した10重量%ポリアリルアミン水溶液100gに、プロピオン酸無水物9.0gを徐々に添加しながら、25℃で4時間反応した。その後、実施例1と同様にしてプロピオニル化ポリアリルアミン4(以下、pNPPAA-4と略記する)を得た。pNPPAA-4のプロピオニル化率を元素分析結果から算出したところ36モル%であった。
(2)pNPPAA-4固定化材料の作製
pNPPAA-4を用いて、pNPPAA-1固定化材料の作製と同様に行い、pNPPAA-4固定化材料を作製した。
実施例5
(1)プロピオニル化ポリアリルアミン5の作製
50重量%ポリアリルアミン水溶液(PAA-HCl-3L、重量平均分子量15000、日東紡績社製)を水で希釈して調製した10重量%ポリアリルアミン水溶液100gに、プロピオン酸無水物9.0gを徐々に添加しながら、25℃で4時間反応した。その後、実施例1と同様にしてプロピオニル化ポリアリルアミン5(以下、pNPPAA-5と略記する)を得た。pNPPAA-5のプロピオニル化率を元素分析結果から算出したところ40モル%であった。
(2)pNPPAA-5固定化材料の作製
pNPPAA-5を用いて、pNPPAA-1固定化材料の作製と同様に行い、pNPPAA-5固定化材料を作製した。
実施例6
(1)プロピオニル化ポリアリルアミン-6の作製
20重量%ポリアリルアミン水溶液(PAA-H-HCl、重量平均分子量60000、日東紡績社製)を水で希釈して調製した10重量%ポリアリルアミン水溶液100gに、プロピオン酸無水物14.0gを徐々に添加しながら、25℃で4時間反応した。その後、実施例1と同様にしてプロピオニル化ポリアリルアミン6(以下、pNPPAA-6と略記する)を得た。pNPPAA-6のプロピオニル化率を元素分析結果から算出したところ58モル%であった。
(2)pNPPAA-6固定化材料の作製
pNPPAA-6を用いて、pNPPAA-1固定化材料の作製と同様に行い、pNPPAA-6固定化材料を作製した。
比較例1
実施例1で用いたEVOHフィルムを比較材料とした。
比較例2
(1)アセチル化ポリアリルアミンの作製
20重量%ポリアリルアミン水溶液(PAA-H-HCl、重量平均分子量60000、日東紡績社製)を水で希釈して調製した10重量%ポリアリルアミン水溶液100gに、無水酢酸7.0gを徐々に添加しながら、25℃で4時間反応した。その後、実施例1と同様にしてアセチル化ポリアリルアミン(以下、pNAPAAと略記する)を得た。pNAPAAのアセチル化率を元素分析結果から算出したところ38モル%であった。
(2)pNAPAA固定化材料の作製
pNAPAAを用いて、pNPPAA-1固定化材料の作製と同様に行い、pNAPAA固定化材料を作製した。
比較例3
(1)ブチリル化ポリアリルアミンの作製
50重量%ポリアリルアミン水溶液(PAA-HCl-3L、重量平均分子量15000、日東紡績社製)を水で希釈して調製した10重量%ポリアリルアミン水溶液100gに、酪酸無水物6.0gを徐々に添加しながら、25℃で4時間反応した。その後、実施例1と同様にしてブチリル化ポリアリルアミン(以下、pNBPAAと略記する)を得た。pNBPAAのブチリル化率を元素分析結果から算出したところ20モル%であった。
(2)pNBPAA固定化材料の作製
pNBPAAを用いて、pNPPAA-1固定化材料の作製と同様に行い、pNBPAA固定化材料を作製した。
試験例1 相転移温度の測定
相転移温度はアシル化ポリアリルアミン溶液の濁度の温度依存性を測定することにより求めた。pNPPAA-1の場合、pNPPAA-1をリン酸緩衝生理食塩液(以下、PBSと略記する)に溶解し、濃度20重量%の溶液を調製した。温度を少しずつ変えて、pNPPAA-1溶液の波長500nmにおける光線透過率を、分光光度計を用いて測定した。光線透過率は低温側で高く、高温側で低かった。これはpNPPAA-1が低温側で親水性を示しPBSに溶解しているが、高温側で疎水性を示し濁りを生じたことを示している。光線透過率が50%のときの温度を相転移温度として求めたところ、pNPPAA-1の相転移温度は18℃であった。同様にしてpNPPAA-2、pNPPAA-3、pNPPAA-4、pNPPAA-5、pNPPAA-6、pNAPAAおよびpNBPAAの相転移温度を測定したところ、それぞれ10℃、23℃、18℃、28℃、22℃、34℃、58℃、0℃以下であった。
試験例2 細胞接着試験
直径35mmの細胞培養用ポリスチレン製ディッシュ(BDサイエンス社製)の底面に、実施例1で作製したpNPPAA-1固定化材料を底面の大きさに切り取って敷いた。これに、牛胎児血清(FCS、三光純薬社製)およびペニシリン−ストレプトマイシン溶液(P071、シグマ社製)をそれぞれ最終濃度が10重量%、100U/mLになるように添加したDMEM培地(D5795、シグマ社製)に縣濁させた肝癌由来ヒト肝細胞HepG2(大日本製薬社製)を240000個播種し、炭酸ガス濃度5%、37℃のインキュベーター中で180分静置した。その後、接着していない細胞をPBSで洗浄して除去した後、接着していた細胞をトリプシン処理して剥がし、細胞数を計測した。播種細胞数に対する接着細胞数を細胞接着率(%)として算出した。
同様の細胞接着試験をpNPPAA-2固定化材料、pNPPAA-3固定化材料、pNPPAA-4固定化材料、pNPPAA-5固定化材料、pNPPAA-6固定化材料、EVOHフィルム、pNAPAA固定化材料、およびpNBPAA固定化材料についても行った。
試験例3 細胞回収試験
試験例2と同様に細胞を接着し、接着していない細胞をPBSで洗浄して除去した後、細胞培養材料を4℃に冷却し脱着した細胞数を計測した。播種した細胞数に対する脱着した細胞数を細胞回収率(%)として算出した。
比較例4
比較例1で作製したEVOHフィルムに試験例2と同様に細胞を接着し、接着していない細胞をPBSで洗浄して除去した後、トリプシン溶液(T4049、シグマ社製)に5分浸漬して、EVOHフィルムから細胞を剥離させた。その後、遠心分離法にて細胞を回収して細胞数を計数し、試験例3と同様に細胞回収率(%)を算出した。
試験例4 細胞生存率の測定
試験例2で脱着した細胞および比較例4で回収した細胞について、トリパンブルー法(生存細胞ではトリパンブルーによって染色されないが、死亡細胞では染色されるという原理を利用した細胞数の計測方法)を用いて細胞数の計測を行い、脱着した細胞または回収した細胞に対するトリパンブルー法を用いて計測した生存細胞数を細胞生存率(%)とした。
上記細胞接着試験、細胞回収試験および細胞生存率の結果を表1に示した。表1に示されるように、プロビオニル化ポリアリルアミンを表面に保持したpNPPAA-1固定化材料、pNPPAA-2固定化材料、pNPPAA-3固定化材料、pNPPAA-4固定化材料、pNPPAA-5固定化材料、およびpNPPAA-6固定化材料は高い細胞接着率と高い細胞回収率を示した。一方、EVOHフィルムおよびpNBPAAの場合、細胞接着率は高かったが細胞回収率が低かった。また、pNAPAAの場合、細胞接着率が低かった。この結果は本発明の効果を示している。また、表1に示されるように、タンパク質分解酵素であるトリプシンを用いて細胞を脱着させた比較例4では細胞生存率が低いことがわかる。これは本発明の細胞培養材料が細胞にほとんど損傷を与えることなく細胞を脱着できることを示している。
Figure 2006211959
本発明により、再生医療、細胞治療、バイオ人工臓器などに使用する細胞の培養および回収に好適に使用することができる細胞培養材料が提供される。

Claims (3)

  1. プロピオニル化ポリアリルアミンを表面に保持させてなる細胞培養材料。
  2. 該プロピオニル化ポリアリルアミンのプロピオニル化率が5〜40モル%である請求項1記載の細胞培養材料。
  3. 細胞培養における請求項1または2記載の細胞培養材料の使用。
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