JP3643989B2 - 静電荷像現像用2成分現像剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は電子写真に関し、更には電子写真に用いられる静電荷像現像用2成分現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
2成分現像剤ではトナー濃度を所定の範囲に制御する必要があるが、その制御方法のひとつに2成分現像剤の透磁率を測定してトナー濃度を検出及び制御する方法がある。すなわち、2成分現像剤中の磁性キャリアの割合に比例して変化する現像剤の透磁率を透磁率センサーで測定し、トナー濃度が増大して相対的にキャリア量が減少し、現像剤の透磁率が低下するとトナーの補給を抑制し、逆にトナー濃度が減少して相対的にキャリア量が増大し、現像剤の透磁率が上昇するとトナーの補給をおこなう方法である。
【0003】
また、廃トナーを発生しない画像形成方法として、静電荷像担持体上に形成された静電潜像を現像し、転写体に転写された後、静電荷像担持体上に残存したトナーを回収してトナー補給装置あるいは現像装置に戻し、繰り返し使用する方法が知られている。(静電荷像担持体上に形成された静電潜像を現像し、転写体に転写した後、静電荷像担持体上に残存したトナーを回収してトナー補給装置あるいは現像装置に戻すことをトナーリサイクル方式と呼び、繰り返し使用されるトナーをリサイクルトナーと呼ぶことにする。)
上記トナー濃度の検出及び制御は、透磁率センサーの出力値が現像剤中のトナー濃度のみに依存して変化することが必要であるが、実際にはトナーの帯電量にも依存して変化してしまう。すなわち、トナー濃度が同一であってもトナー帯電量が小さいほど、現像剤の嵩密度が大きくなることにより透磁率センサーの出力値はトナー濃度がより低い時と同様に大きくなり、逆にトナー帯電量が大きいほど、現像剤の嵩密度が小さくなることにより透磁率センサーの出力値はトナー濃度がより高い時と同様に小さくなる。したがって、同一のトナー濃度でもトナー帯電量が不安定である場合には、制御の目標値と実際の目標値にずれを生じる結果となり、トナー補給が過剰あるいは不足し、画像品質を低下させる問題がある。また、トナー帯電量が温湿度環境により変動する場合には、温湿度環境の変動が直接に制御の目標値と実際の目標値にずれを生じさせる結果となり、トナー補給が過剰あるいは不足し、画像品質を低下させる問題が生じやすい。
【0004】
また、黒化面積の高い画像を得る場合にはトナー補給量が増加し、黒化面積の低い画像を得る場合にはトナー補給量が減少する。従って、従来の2成分現像剤ではトナー帯電量の立ち上がりが悪く、黒化面積の高い画像を得る場合には、補給されたトナーの帯電量が小さくなりやすく、実際には目標のトナー濃度にあるにもかかわらず、過剰にトナーが補給され、画像のかぶり、トナー飛散等の問題を生じやすい。逆に、黒化面積の低い画像を得る場合には、補給されたトナーの帯電量が次第に大きくなり、実際には目標のトナー濃度にないにもかかわらず、補給がなされずに、画像濃度の低下を引き起こす場合がある。従来の2成分現像剤ではトナー帯電量の立ち上がりが悪く、黒化面積の変化により、トナー濃度制御にズレが生じる問題がある。
【0005】
また、従来の2成分現像剤では、トナーリサイクル方式を搭載した場合には、繰り返し使用によりリサイクルトナー自体の帯電性が低下すること及びリサイクルトナーの混入により、トナー帯電量の立ち上がりが著しく低下する問題があり、上記トナー濃度制御方法をトナーリサイクル方式と組み合わせて用いることは不可能である。
【0006】
すなわち、繰り返し使用されるリサイクルトナーでは、新たにトナー補給されたトナーに比較して、トナー表面に存在する外添剤がトナー内部に埋め込まれている状態であり、流動性及び帯電性が低下しているために、リサイクルトナーが混入した場合には、現像剤の嵩密度が大きくなりやすく、透磁率センサーの出力値はトナー濃度がより低い時と同様に大きくなり、トナーが過補給されてしまう。これは、さらにトナーの帯電立ち上がりを阻害するためにトナーの過補給を促進し、最終的にはトナー濃度の制御ができなくなり、画像のかぶり、トナー飛散等の問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、現像剤の透磁率を測定してトナー濃度を検出及び制御しながら、トナーリサイクルを行う画像形成方法において、トナー濃度を適正に制御し、画像のかぶり、トナー飛散を発生しない現像剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成によって達成される。
【0009】
現像剤の透磁率を測定してトナー濃度を検出及び制御しながら、静電荷像担持体上に形成された静電潜像を現像し、且つ静電荷像担持体上に形成された静電潜像を現像し、転写体に転写した後、静電荷像担持体上に存したトナーを回収してトナー補給装置あるいは現像装置に戻し、繰り返し使用する画像形成方法に使用する少なくともトナーと磁性キャリアからなる現像剤において、該キャリアが磁性体粒子と1次粒子径が50nm〜500nmのフッ素化(メタ)アクリレート樹脂微粒子との混合物に繰り返し機械的衝撃力を付与して、該フッ素化(メタ)アクリレート樹脂被覆層を該磁性体粒子表面上に形成した樹脂被覆キャリアであることを特徴とする静電荷像現像用2成分現像剤。
【0010】
本発明について以下に詳しく説明する。
【0011】
本発明の2成分現像剤はトナーが正電荷を有する。磁性体粒子を被覆するフッ素化(メタ)アクリレート樹脂微粒子は一般式(1)または(2)で示される単量体を主成分とする単量体組成物の重合体である。
【0012】
【化1】
【0013】
式中、R1,R2はそれぞれHまたはCH3を表し、m,pはそれぞれ1〜8の整数を表し、n,qはそれぞれ1〜19の整数を表す。
【0014】
上記一般式(1),(2)で示される単量体としては、摩擦帯電特性の点より、m=1、n=1または2、p=1、q=2〜4が好ましい。
【0015】
具体的な単量体の例示化合物としては、以下のものが挙げられる。
【0016】
例示化合物(1) CH2=C(CH3)−COO−CH2−CF3
例示化合物(2) CH2=C(CH3)−COO−CH2−CF2−CF3
例示化合物(3) CH2=C(CH3)−COO−CH2−CF2−CF2H
これらの単量体を主成分とする単量体組成物の重合体からなるフッ素化(メタ)アクリレート樹脂微粒子は、従来公知の界面活性剤を用いた乳化重合法などにより製造される。
【0017】
得られた樹脂微粒子の乾燥は、従来公知の乾燥方法を用いることができるが、例えば、重合完了時の1次樹脂粒子(ここで、1次樹脂粒子とは個々の単位粒子に分離した状態の樹脂粒子をいう)の分散液を気流乾燥装置に導入し、液相分を除去することにより、1次樹脂粒子の複数をその表面において互いに融着させて2次樹脂微粒子を得ることができる。気流乾燥装置としては、特にスプレードライ(SD)方式の装置が好ましい。この装置では、1次樹脂粒子が過剰に凝集しないように適度に分散させながら互いに融着させて乾燥することができるので、2次樹脂粒子の粒子径及び2次樹脂粒子のBET比表面積を特定の範囲で効率的に製造することができる。
【0018】
2次樹脂粒子の収率を高める観点から、乾燥工程の後に解砕工程を付加することが好ましい。解砕工程を付加することにより、仮に1次樹脂粒子の凝集が過剰となった場合でも、これを解砕して2次樹脂粒子の粒子径を特定の範囲にすることができる。
【0019】
フッ素化(メタ)アクリレート樹脂微粒子は、1次樹脂粒子の体積平均粒子径(以下1次粒子径と言う)が50〜500nm、2次樹脂粒子の体積平均粒子径(以下2次粒子径と言う)が1〜30μm、2次樹脂粒子のBET比表面積が10〜150m2/gである。
【0020】
フッ素化(メタ)アクリレート樹脂微粒子は、1次粒子径が50〜300nm、2次粒子径が1〜20μm、2次粒子のBET比表面積が30〜120m2/gであることが好ましい。
【0021】
フッ素化(メタ)アクリレート樹脂の2次樹脂粒子のBET比表面積は、上記の様に10〜150m2/gにあればよいが、特に磁性体粒子として小粒径のものを用いる場合には、BET比表面積の大きな2次樹脂粒子を用いることが好ましい。すなち、磁性体粒子と2次樹脂粒子が混合される際に、2次樹脂粒子に与えられる機械的衝撃力は磁性体粒子の粒子径に依存するため、2次樹脂粒子のBET比表面積が大きいほど小さな機械的衝撃力でも2次樹脂粒子は解砕されやすく、延展性が得られた良好な被覆層を設けることができる。
【0022】
フッ素化(メタ)アクリレート樹脂微粒子の1次粒子径が500nmを超える場合には、2次樹脂粒子のBET比表面積が過小となりやすく、樹脂微粒子の延展性が低下し、磁性体粒子との密着性が低下する問題があり、また、均一な被覆層を設けることが困難となる。
【0023】
フッ素化(メタ)アクリレート樹脂の2次粒子径が30μmより大きいとき、2次樹脂粒子のBET比表面積が10m2/gより小さいときは、樹脂微粒子の解砕性および延展性が低下し、磁性体粒子との密着性が低下する問題がある。また、均一な被覆層を設けることが困難となる。
【0024】
さらに、2次樹脂粒子同志の凝集物が生成し、現像プロセスにおいて画像不良が発生する問題がある。
【0025】
フッ素化(メタ)アクリレート樹脂微粒子の1次粒子径が50nmより小さいとき、2次粒子径が1μmより小さいとき、2次樹脂粒子のBET比表面積が150m2/gより大きいときは、磁性体粒子と樹脂微粒子との混合性が低下し、コーティング効率、すなわち仕込んだ樹脂微粒子に対する樹脂被覆層の形成に寄与した樹脂微粒子の重合割合が低下する問題がある。
【0026】
1次粒子径及び2次粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置HEROS(発売元:日本電子社)を使用して測定した値である。2次粒子径は2次樹脂粒子を界面活性剤を含む水に、出力150Wの超音波ホモジナイザーで2分間にわたり分散した後に測定した。
【0027】
2次樹脂粒子のBET比表面積は、マイクロメリティックスフローソープII2300型(島津製作所製)を用いて測定した値である。
【0028】
磁性体粒子の大きさはトナーの摩擦帯電性、感光体へのキャリア付着等を考慮すると、重量平均粒径が20〜200μm、特に30〜120μmの範囲が好ましい。
【0029】
キャリアの重量平均径は、LEED&NORTHRUP社製の「マイクロトラック(TYPE7981-OX)」を用いて乾式で測定した値である。
【0030】
磁性体の材料としては、例えば鉄,フェライト,マグネタイトなどを用いることができる。特に、耐久性および画質の観点から、フェライトを好ましく用いることができる。
【0031】
磁性体粒子表面に固着する被覆用樹脂微粒子の量は、磁性体粒子の粒子径等を考慮して適宜に設定することができるが、通常は、被覆用樹脂微粒子/磁性体粒子が0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%となるように適宜に調整される。被覆用樹脂微粒子を磁性体粒子に対して上記の範囲内に用いて得られた樹脂被覆層の厚さは、通常は0.05μm以上、好ましくは0.1〜2μmの範囲内にある。
【0032】
キャリアの製造の一例においては、磁性体粒子と被覆樹脂微粒子とを水平方向回転体を有する撹拌混合装置により撹拌して均一に混合し、得られた混合物にさらに撹拌により繰り返し機械的衝撃力を付与することにより、磁性体粒子の表面に被覆樹脂微粒子による樹脂被覆層を形成する。該混合物に繰り返し機械的衝撃力を付与した樹脂被覆層を形成するときには、混合物に熱を加えてもよい。ただし、混合物の温度は被覆樹脂の軟化点や融点を越えないようにする必要がある。混合物の温度が被覆樹脂の軟化点や融点を越えると、キャリア同志の造粒や樹脂微粒子同志の造粒が著しく発生するためにキャリア性能および収率に問題がある。
【0033】
本発明のキャリアは、トナーと混合されて2成分現像剤が構成されるが、混合割合はトナー濃度が1〜15重量%となる範囲が好ましい。トナーは、バインダー樹脂中に、着色剤,その他の添加剤が含有されて構成される粒子粉末である。トナーの体積平均粒径は、通常5〜20μm程度であることが好ましい。その他の添加剤としては、例えば定着性向上剤,荷電制御剤,クリーニング性向上剤,流動性向上剤等を用いることができる。
【0034】
トナーを構成するバインダー樹脂としては、特に限定されず、従来この種の用途に使用されている樹脂を用いることができる。具体的には、例えばポリスチレン系樹脂,スチレン-アクリル系樹脂,スチレン-ブタジエン系樹脂,ポリエステル系樹脂,エポキシ系樹脂等を用いることができる。このうち、トナーの摩擦帯電性が安定しているものとして、特にポリエステル系樹脂,スチレン-アクリル系樹脂を好ましく用いることができる。トナーのバインダー樹脂として用いられるポリエステル樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸との縮重合によって得られる。具体的には、一例として、成分▲1▼3価以上の多価単量体、成分▲2▼芳香族ジカルボン酸、および成分▲3▼脂肪族ジアルコールを含む単量体組成物を縮重合させて得られるポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。
【0035】
着色剤としては、特に限定されず、従来この種の用途に使用されているカーボンブラック,染料および顔料等を用いることができる。
【0036】
定着性向上剤としては、例えば低分子量ポリオレフィン,脂肪族エステルおよび脂肪族エステル系ワックス,カルナバワックス等を用いることができる。
【0037】
クリーニング向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛,ステアリン酸等の脂肪酸金属塩塩,ポリマー微粒子等を用いることができる。
【0038】
流動性向上剤としては、例えば無機微粒子が用いられ、シリカ,アルミナ,チタン等の無機酸化物微粒子が好ましく用いられる。これらの無機酸化物微粒子はシランカップリング剤等により疎水化処理されていることが好ましい。
【0039】
2成分現像剤中のキャリアが、磁性体粒子とフッ素化(メタ)アクリレート樹脂微粒子との混合物に繰り返し機械的衝撃力を付与して、フッ素化(メタ)アクリレート樹脂被覆層を該磁性体粒子表面上に形成した樹脂被覆キャリアであるため、トナーの帯電立ち上がりが非常に良い。また、リサイクルトナーとの組合わせでもトナー帯電性及びトナーの帯電立ち上がりが良好である。さらに、温湿度環境によるトナー帯電量の変動が極めて小さい。そのため、トナーリサイクル方式を搭載しても、現像剤の透磁率を測定してトナー濃度を検出及び制御する事ができ、画像のかぶり、トナー飛散等の問題を発生しない。
【0040】
【実施例】
a.キャリアの製造
1)キャリアの製造例1(本発明用)・・・キャリア(1)
フェライトコア(平均粒径80μm)100重量部と下記構造式1に示した単量体を重合して得られたフッ素化メタアクリレート樹脂微粒子(1次粒子径80nm)2重量部とを混合して得られたフェライトコアとフッ素化メタアクリレート樹脂微粒子の混合物に繰り返し機械的衝撃力を付与して、フェライトコア表面上をフッ素化メタアクリレート樹脂層で被覆したフッ素樹脂被覆キャリアを得た。
【0041】
【化2】
【0042】
2)キャリアの製造例2(本発明用)・・・キャリア(2)
フェライトコア(平均粒径80μm)100重量部とキャリア製造例1で使用した構造式1に示した単量体60重量部と構造式2に示した単量体(メタアクリル酸メチル)40重量部を重合して得られたフッ素化メタアクリレート共重合体樹脂微粒子(1次粒子径90nm)2重量部とを混合して得られたフェライトコアとフッ素化メタアクリレート共重合体樹脂微粒子の混合物に繰り返し機械的衝撃力を付与して、フェライトコア表面上をフッ素化メタアクリレート樹脂層で被覆したフッ素樹脂被覆キャリアを得た。
【0043】
【化3】
【0044】
3)キャリアの製造例3(比較例用)・・・キャリア(3)
製造例1で使用したフッ素化メタアクリレート樹脂2重量部をアセトンに溶解し、製造例1で使用したフェライトコア100重量部に、転動流動層を使用してスプレーコーティングによりフッ素樹脂被覆キャリアを得た。
【0045】
b.トナーの製造
1)トナーの製造例1・・・トナー(1)
ポリオキシプロピレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン700g及びテレフタール酸97.2gを温度計、ステンレス製撹拌器、ガラス製窒素導入管及び流下式コンデンサーを備えた1L容器の4つ口丸底フラスコに入れる。次いで、このフラスコをマントルヒーター中に置き、ガラス導入管より窒素ガスを導入して反応器内を不活性雰囲気に保ち昇温する。0.05gのジブチル錫オキシドを加え200℃に保ち反応させた後、無水1,2,4-ベンゼントリカルボン酸156gを加え、さらに反応させる。軟化点を追跡し所望の温度に達した時点で反応を停止し、室温まで冷却してポリエステル(1)を得た。
【0046】
ポリエステル(1)100重量部とカーボンブラック10重量部、低分子量ポリプロピレン3重量部およびエチレンビスステアロイルアマイド2重量部をヘンシェルミキサーで混合後、2軸混練押出機で混練し、カッター式ミルで粗粉砕、ジェット式粉砕機で粉砕し、風力分級機で分級して平均粒径10.0μmのトナーを得た。
【0047】
該トナー100重量部と疎水性シリカ0.4重量部、疎水性酸化チタン0.6重量部およびアルミニウムモノステアレート0.06重量部とをヘンシェルミキサーで混合し、トナー(1)を得た。
【0048】
2)トナーの製造例2・・・トナー(2)
ネオペンチルグリコール132g、エチレングリコール60g及びテレフタール酸279gを温度計、ステンレス製撹拌器、ガラス製窒素導入管及び流下式コンデンサーを備えた2L容器の4つ口丸底フラスコに入れる。次いで、このフラスコをマントルヒーター中に置き、ガラス導入管より窒素ガスを導入して反応器内を不活性雰囲気に保ち昇温する。1.5gのジブチル錫オキシドを加え170℃で5時間保ち反応させた後、さらに210℃で反応を続行し、軟化点を追跡し飽和した時点で、無水1,2,4-ベンゼントリカルボン酸108gを加え、さらに反応させる。軟化点を追跡し所望の温度に達した時点で反応を停止し、室温まで冷却してポリエステル(2)を得た。
【0049】
ポリエステル(2)100重量部とカーボンブラック7.5重量部、カルナバワックス2重量部およびエチレンビスステアロイルアマイド2重量部をヘンシェルミキサーで混合後、2軸混練押出機で混練し、カッター式ミルで粗粉砕、ジェット式粉砕機で粉砕し、風力分級機で分級して平均粒径8.5μmのトナーを得た。
【0050】
該トナー100重量部とアンモニウム塩を官能基として有するポリシロキサンで表面処理をした疎水性シリカ1.0重量部、およびステアリン酸亜鉛0.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合し、トナー(2)を得た。
【0051】
c.実施例および比較例
キャリア(1)〜(3)及びトナー(1)〜(2)の組み合わせにより、トナー濃度5wt%となるように混合して合計4種の現像剤(1)〜(4)を表1に示すように調整した。
【0052】
次に、負帯電性有機光導電性感光体及びトナーリサイクル方式を搭載し、且つ現像剤の透磁率を測定してトナー濃度を検出及び制御する方式を搭載した電子写真複写機「U−Bix1112」(コニカ(株)製)改造機を使用して、環境を変化させながら各々の現像剤について最高2万枚までの複写を行った。環境は温度20℃、相対湿度60%の常温常湿環境下(以下「NN」という。)、温度30℃、相対湿度80%の高温高湿環境下(以下「HH」という。)、及び温度10℃、相対湿度20%の低温低湿環境下(以下「LL」という。)の3環境を使用し、NN→HH→LL→NNの順に各々5千枚複写した。
【0053】
「帯電量」は公知のブローオフ法により測定したトナー1g当りの摩擦帯電電荷量の値であり、「最高濃度」は原画の最高濃度を1.3とした時の複写画像の原画の最高濃度部分に対応する部分の画像濃度を相対濃度により示し、「かぶり」は複写画像における原画の白地部分に対応する部分の濃度を転写紙の白地部分を0とした時の相対濃度で示した。「最高濃度」及び「かぶり」の測定は、「マクベス社、マクベス濃度計RD−918」を用いて行った。
【0054】
上記測定方法においては、「最高濃度」が1.2以上、「かぶり濃度」が0.01以下の範囲にある場合に実用的であり、「最高濃度」が1.2未満、あるいは「かぶり濃度」が0.01を越える場合には画像品質が不良と判断される。
【0055】
結果を表1,2,3に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
表2及び表3の結果より明らかなように、本発明の現像剤は20000枚以上の実用耐久性を有するのに対して、比較例の現像剤は本発明の現像剤に比較して著しく実用耐久性に劣る。
【0060】
すなわち、本発明の現像剤を使用した場合、トナーリサイクルを行ってもトナーとキャリアの摩擦帯電性が環境に影響されずに長期に安定しており、現像剤の透磁率を測定する事によりトナー濃度を安定に制御する事が可能であり、従ってかぶりのない高画像濃度の良好な可視画像を環境の変化に対しても安定に長期に形成することができる。
【0061】
これに対して、比較用現像剤ではリサイクルトナーの摩擦帯電性が低いため、および現像剤の透磁率を測定する事によりトナー濃度を安定に制御する事が不可能であるため、かぶりが発生し、結局耐久性が得られない。
【0062】
【発明の効果】
現像剤の透磁率を測定してトナー濃度を検出及び制御しながら、トナーリサイクルを行う画像形成方法において、トナー濃度を適正に制御し、画像のかぶり、トナー飛散を発生しない現像剤を提供することができる。
Claims (1)
- 現像剤の透磁率を測定してトナー濃度を検出及び制御しながら、静電荷像担持体上に形成された静電潜像を現像し、且つ静電荷像担持体上に形成された静電潜像を現像し、転写体に転写した後、静電荷像担持体上に存したトナーを回収してトナー補給装置あるいは現像装置に戻し、繰り返し使用する画像形成方法に使用する少なくともトナーと磁性キャリアからなる現像剤において、該キャリアが磁性体粒子と1次粒子径が50nm〜500nmのフッ素化(メタ)アクリレート樹脂微粒子との混合物に繰り返し機械的衝撃力を付与して、該フッ素化(メタ)アクリレート樹脂被覆層を該磁性体粒子表面上に形成した樹脂被覆キャリアであることを特徴とする静電荷像現像用2成分現像剤。
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