JP3643021B2 - 炊飯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は炊飯器(炊飯ジャーを含む)に関し、特に蓋のヒンジ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炊飯器は、炊飯器本体に蓋を開閉自在に取付けて構成される。蓋を開閉自在に取付けるために、炊飯器本体と蓋の各ピン穴に1本のヒンジピンを隙間無く挿通する構成が採られる。蓋は、そのヒンジピンを中心として回動して開閉される。このため、炊飯器本体と蓋は材料の変形や加工誤差等による場合を除いては、相対的な移動は不可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
炊飯器は、製品の完成時点では、炊飯器本体の胴部と蓋との間の隙間は規定値内に収まっているが、樹脂成形時の寸法ばらつきや、経年変化による変形により、前記の隙間が無くなって炊飯器本体と蓋とが干渉したり、段差が生じたりすることがあり、極端な例では蓋が閉まらなくなる恐れもあった。
【0004】
そこで、この発明はこのような事態に柔軟に対応できるヒンジ構造を持った炊飯器を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、炊飯器本体にヒンジピンを介して蓋を開閉自在に取付けてなる炊飯器において、上記ヒンジピンを上記の炊飯器本体と蓋のいずれか一方に対してはピン穴に挿通して取付け、他方に対しては前後方向に移動できる余裕を持ったヒンジ受け部に取付け、そのヒンジ受け部の移動の余裕部分に弾性体を介在した構成を採用した。
なお、この本願において「前後方向」という方向の記載及び「前後」という位置関係の記載については、炊飯器本体の前後方向を基準とした方向又は位置関係をいう。
【0006】
上記の構成によると、通常の状態では、ヒンジピンはピン穴に挿通されるとともに、ヒンジ受け部において弾性体に押圧された一定位置にあり、蓋の開閉動作を支持する。炊飯器本体と蓋の経年変化等により変形が生じると、ヒンジピンが取付け部の弾性体の押圧力に抗して移動し、寸法変化を吸収する。
【0007】
上記の弾性体を上記ヒンジピンの前後2ヶ所又は前後いずれか1ヶ所に介在した構成をとることができる。前後2ヶ所に設けると、前後方向への移動による寸法変化の吸収が可能となる。
【0008】
上記のヒンジ受け部に、上記のヒンジピン又は弾性体に対して進退する調整具を設けた構成を採ることができる。この構成によると、生産工程等において調整具を操作してヒンジピンの位置を調整することにより、炊飯器本体と蓋との間の隙間を調整することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態の炊飯器は、炊飯器本体1と、その炊飯器本体1にヒンジピン2を介して開閉自在に取付けられた蓋3とからなる。
【0010】
図2は炊飯器本体1についてはヒンジカバー4を外し、また蓋3については外蓋5を外した状態で示している。同図に示すように、上記のヒンジピン2は、蓋3の後端部において左右対向して設けられた軸受け部6、6のピン穴7、7に回転可能に挿通されている。ヒンジピン2には、ヒンジばね8の一対のコイル部9、9が挿通される。コイル部9の両端の自由端部11、11は蓋3の内部の差込み穴12、12に差し込まれる。上記のコイル部9、9の間のコの字状の連結部13は、炊飯器本体1に取り付ける前は、図示のように自由状態にある。
【0011】
炊飯器本体1の後部には、左右一対のヒンジ受け部14,14が設けられる。また、そのヒンジ受け部14、14の中間部分にばね受け部15が設けられ、前記の連結部13をこのばね受け部15に係合させる。各ヒンジ受け部14は左右方向と、後部上方に開放されており、その内部はヒンジピン2に対し前後方向に一定の移動余裕a(図3(a)参照)がある大きさに形成されている。
【0012】
蓋3の左右の軸受け部6、6を炊飯器本体1の左右のヒンジ受け部14、14の外側にはめ、ヒンジピン2をヒンジ受け部14、14に通し、同時に前記ヒンジばね8の連結部13をばね受け部15に係合して、蓋2に開放方向への付勢力を付与する。また、図3(a)に示すように、ヒンジピン2を一方に寄せるとともに、前記の移動余裕aの部分にコイルばね16を介在し、該ヒンジピン2を一方(図示の場合前方)に押圧する。
【0013】
図3(b)のように、ヒンジ受け部14の内方側から調整ねじ17をねじ込みヒンジピン2に押し当てることにより、ヒンジピン2の前後方向の位置を調整するようにしてもよい。また、図3(c)のように、ヒンジピン2の前後2ヶ所にコイルばね16、16を介在するようにしてもよい。
【0014】
上記のいずれの場合も、ヒンジピン2はコイルばね16の押圧力を受けた状態で蓋3を支持し、その回転中心を与える。蓋3又は炊飯器本体1が経年変化等により前後方向の相対的なずれが発生した場合はヒンジピン2がコイルばね16の押圧力に打ち勝って移動しそのずれを吸収する。
【0015】
例えば、成型時のばらつきにより炊飯器本体1の胴部1aの寸法が蓋3に比べて若干小さかったとしても、蓋3を閉めるときに蓋3が後方へ押される形になり、これをコイルばね16が吸収し蓋3は確実に閉められる。また、経年変化により炊飯器本体1が収縮した場合にもコイルばね16が炊飯器本体1の寸法変化を吸収する。
【0016】
以上はヒンジピン2を前後方向に移動可能に支持するヒンジ受け部14を炊飯器本体1側に設け、ピン穴7を有する軸受け部6を蓋3側に設けているが、この関係を逆にして、ヒンジ受け部14を蓋3側に設け、ピン穴7を有する軸受け部6を炊飯器本体1側に設けた構成であっても同様の作用が行われる。
【0017】
なお、上記のコイルばね16に替えてゴム等の弾性体を用いることができる。
【0018】
図4は前記のヒンジばね8の自由端部11の差込み穴12を上下方向、水平方向に複数ヶ所設け、そのいずれか一つを選択して自由端部11を差し込むことにより、ヒンジばね8のばね力を変化できるようにしたものである。これによると、蓋3の開き角のばらつきを均等化でき、補修による蓋3の開き角の変更も容易にできる。さらに、材質等の違いにより重量に差のある蓋3について同一仕様のヒンジばね8を共用することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、炊飯器本体と蓋との間に経年変化等により前後方向に相対的なずれが生じたとしても、ヒンジピンが弾性体の弾力に抗して移動し、そのずれを吸収する。これにより、蓋が閉まらなくなる等の不都合が解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の炊飯器の断面図
【図2】同上の一部省略分解斜視図
【図3】(a)から(c)同上のヒンジ取付け部の諸例の断面図
【図4】同上のヒンジばね自由端部の差込み穴の変形例の斜視図
【符号の説明】
1 炊飯器本体
1a 胴部
2 ヒンジピン
3 蓋
4 ヒンジカバ−
5 外蓋
6 軸受け部
7 ピン穴
8 ヒンジばね
9 コイル部
11 自由端部
12 差込み穴
13 連結部
14 ヒンジ受け部
15 ばね受け部
16 コイルばね
17 調整ねじ
Claims (3)
- 炊飯器本体にヒンジピンを介して蓋を開閉自在に取付けてなる炊飯器において、上記ヒンジピンを上記の炊飯器本体と蓋のいずれか一方に対してはピン穴に挿通して取付け、他方に対しては前後方向に移動できる余裕を持ったヒンジ受け部に取付け、そのヒンジ受け部の移動の余裕部分に弾性体を介在したことを特徴とする炊飯器。
- 上記の弾性体を上記ヒンジピンの前後2ヶ所又は前後いずれか1ヶ所に介在したことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
- 上記のヒンジ受け部に、上記のヒンジピン又は弾性体に対して進退する調整具を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯器。
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