JP3642645B2 - 梱包構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子機器や、中型、大型の一般機械、装置類を梱包する際に使用する段ボール箱、パレット等から成る梱包構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から電子機器、機械、装置類(以下、機器類と称する)を運搬に適した状態で梱包する場合には、加工が容易であり、且つ軽量、低コストな段ボール材から成る箱体、つまり段ボール箱が一般的に用いられている。
工場や倉庫等から中型、大型の機器類を出荷する際には、段ボール箱に梱包した機器類を、段ボール、木材等から成るパレット上に乗せた上でフォークリフト等を用いて車両等に移載する作業が行われるが、この際、一つのパレット上に複数の機器(段ボール箱)を縦に積み上げた状態で運搬することが行われる。このような運搬作業に用いるパレットを1/nパレットと称する。ここでnが意味するものは、パレット上に積載可能な段ボール箱の個数である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
次に、図1の分解斜視図に基づいて従来の1/2パレットの構成を説明する。上述のように、1/2パレットとは1枚のパレットで機器類を収納した段ボール箱を2個縦積みし得る構造を備えたパレットのことである。従来、40kg以上の重量を有した複写機、プリンター等をフォークリフト等で移動させる場合には、一枚のパレットで機器類を1台づつ運ぶのが普通であったが、この方法では作業効率が悪くコストが高くなるので、最近ではある拠点まで1枚のパレット上に2台の機器類を縦積みしてフォークリフトにより運んでから、拠点で2台を分離して車両に乗せて運搬し客先に届けるといった手順が踏まれる。運搬先でパレットを必要とする場合にはパレットを付けたままとし、不要な場合はパレットを除去して箱だけを置いて行く。上記拠点ではずされたパレットをリサイクル的に使用することも可能である。このように1/nパレットを用いて、コストを下げるための工夫が行われている。
【0004】
図2の分解斜視図において上下位置関係で縦積みされる2つの箱体A、Bは同一構成であり、符号Aはこの箱体を分解した状態を示している。
まず、符号1は個装箱であり、これは通常の段ボール箱の底面だけを除去した形態の箱である。2は段ボール製のベースで、このベース2は底部2Aと、フラップ2Bと、ベース上面に固定された発泡プラスチック緩衝材5とを有し、各緩衝材5の上に機器類が乗る形となる。各フラップ2Bには計4個の穴2aが設けられており、フラップ2Bを内側に入れた状態で個装箱1をかぶせた時に個装箱1に設けられた穴1aと穴2aとの位置が合致するように構成されている。この穴1aと穴2aにジョイント3を差し込みロックすることにより個装箱1とベース2とを接合することができる。
この緩衝材5と、機器類上部と個装箱の内壁との隙間をうめる形で設けられた図示しない緩衝材とにより機器類を箱内にホールドされる。尚、ベース底面には段ボール板2bが2枚接着されており、2枚の段ボール板2bの配置間隔は、箱をパレット4上に乗せたときにパレットに設けられたガイド板4aの外側に各段ボール板が位置するように設定し、太矢印方向へのズレを防止している。
【0005】
上記従来例は次のような欠点を有している。
1.箱をパレットに単純に乗せただけの構成であるため、激しい荷扱いを受けると箱がパレットから外れ事故の原因となる。
2.従来は、下の箱Aと上に乗せる箱Bの位置ズレを防ぐ為、両箱とパレットを束ねるストレッチフィルムを巻いているが、ストレッチフィルムは巻き付けるのに設備が必要となるため問題であり、また手巻きの場合は作業者が箱の回りをぐるぐる廻る必要が生じるなど作業がよくなく、締め付け力等がバラつき信頼性に欠ける。また、ストレッチフィルムは、これを一度外すと再使用が困難であり、ゴミとしてかさばる等の欠点がある。
また、段ボール箱とパレットを連結するのにPPバンド等のバンドを使用しても良いが、再梱包性が悪いため実用上の問題がある。
また、段ボール箱とパレットとを固定する為に、箱の内底面(ベース上面)に細長い木板を載置した上で、木板とベースとパレットを貫通するように釘を打ち込んで固定することも行われるが、固定作業が煩雑であるばかりでなく、箱をパレットから剥す作業が更に煩雑となる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、パレット上に縦積み状態で、段ボール箱に収納した機器類を積載する際に、荷崩れが発生しないようにした梱包構造体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為、請求項1の発明は、箱体と、該箱体を載置するパレットと、縦積みした複数の箱体同士、或いは最下部の箱体と上記パレットとを夫々連結する共通ジョイントと、を備えた梱包構造体であって、上記箱体は、下面が開口した個装箱と、該個装箱の対向し合う2つの側面の下部に設けた少なくとも2つの下部係止穴と、該個装箱の他の対向し合う2つの側面の上部に設けた少なくとも2つの上部係止穴と、該個装箱の上記開口を閉止するように該個装箱下部に連結されるベースと、を備え、上記ベースは、上記個装箱の上記開口を閉止する矩形の底板と、該底板の四辺に夫々上下方向へ折り曲げ自在に連結されたフラップと、を有し、上記フラップのうちの対向し合う2つのフラップは上向きの状態で上記個装箱の下部係止穴と整合する第1のフラップ側係止穴を夫々備え、対向し合う他の2つのフラップは下向きの状態で上記パレット側面に設けたパレット側係止穴、又は下方に位置する他の個装箱の上部係止穴と夫々整合する第2のフラップ側係止穴を備えていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した形態例により詳細に説明する。図1は本発明の梱包構造体の一例の分解斜視図であり、この梱包構造体は、段ボール製の個装箱11と、段ボール製のベース12と、金属、樹脂等から成るジョイント(共通ジョイント)13と、段ボール製のパレット14と、発泡スチロール等からなる緩衝材15と、で概略構成されている。
換言すれば、この梱包構造体は、縦積みされる複数の箱体A、Bと、最下部の箱体Bを載置するパレット14と、縦積みした複数の箱体A、B同士、或いは最下部の箱体Bとパレット14とを連結するジョイント13と、を備えている。
図中の符号Aは完成品として示した箱体であり、Bは分解図として示した箱体である。個装箱11は、下面のみが開口した立方体状の箱であり、対向し合う2つの側面の下部には夫々少なくとも2つの係止穴(下部係止穴)11aが形成されている。この係止穴11aはジョイント(共通ジョイント)13を用いてベース12との間を固定する為に使用される。また、対向し合う他の2つ側壁(側面)の上部には夫々係止穴(上部係止穴)11bが形成されている。この係止穴11bは、上下位置関係で縦積みされた上側の箱体(のベース12)との間をジョイント13を用いて連結する為に使用する。ベース12は、個装箱11の下面の開口内に入り得る(該開口を閉止する)矩形の底板20と、底板20の四辺に夫々上下方向へ折り曲げ自在に連結されたフラップ21、22と、底板20の四隅に夫々配置された緩衝材15とを有し、対向し合う2つのフラップ21には夫々個装箱11の下部係止穴11aに整合する位置関係を備えた係止穴(第1のフラップ側係止穴)21aが形成される。また、対向し合う他の2つのフラップ22には、夫々個装箱11の上部係止穴11bに整合する位置関係を備えた係止穴(第2のフラップ側係止穴)22aが形成されている。2つのフラップ21は個装箱11との連結用であり、他の2つのフラップ22は下側に位置するパレット14、或は下方に位置する箱体との連結用である。つまり、4枚のフラップ21、22のうちの対向し合う2つのフラップ21は上向きの状態で個装箱の下部係止穴11aと整合する第1のフラップ側係止穴21aを夫々備え、対向し合う他の2つのフラップ22は下向きの状態でパレット側面に設けたパレット側係止穴14a、又は下方に位置する他の個装箱の上部係止穴11bと夫々整合する第2のフラップ側係止穴22aを備えている。第2のフラップ側係止穴22aは、ベース12の直下にパレット14が位置する場合にはパレット側係止穴14aに対してジョイント13により連結される一方で、ベース12の直下に他の箱体が位置する場合には当該他の箱体の個装箱11の上部係止穴11bに対してジョイント13により連結される。
【0008】
パレット14は、例えば段ボールシートを折り畳んで角材の如く成形した3本の芯材25を所定の間隔をおいて配置し、各芯材25の外側面を覆うように段ボールシート26を被覆一体化した構成を有する。各芯材25間の形成される2つの間隙内に図示しないフォークリフトの爪を差し込んで運搬する。パレット14の対向し合う2つの側壁には夫々ベースの係止穴22aと整合する位置関係を有する2つの係止穴14aが形成されており、両係止穴同士をジョイント13により係止する。
ジョイント13は、例えば先端に軸方向へ延びるスリットを有した中空のビスであり、その内部に押し込み部材を配置した構成を有する。ビスを係止穴に差し込んだ状態で上記押し込み部材を押し込むとビス先端が拡開して係止穴の内壁に係着して固定を実現するように構成されている。
以上の構成を備えた箱体A、Bをパレット14上に縦積みする場合の組立手順を説明する前に、箱体を組み立てる際には、ベース12の2つのフラップ21を上方に折り曲げて立てると共に、他方の2つのフラップ22を下方に折り曲げて垂下させる。
【0009】
次に、箱体A、Bをパレット14上に縦積みする組立作業に際しては、Bに示した状態のベース12上から個装箱11をかぶせ、個装箱11の側壁の内側にフラップ21を位置させる。この状態に於て、各係止穴11a,21a同士が整合する為、両係止穴を連結するようにジョイント13を差し込みロックする。機器類は予めベース上に載置しておくか、箱体の完成後に箱体上面を開放して収納する。このようにして組立を完了した固装箱11はAに示すように下方からベース12のフラップ22が垂れ下がった状態にあり、下側の箱体Bに関しては、垂れ下がったフラップ22の係止穴22aをパレット14の係止穴14aと整合させてジョイント13でロックすることによりパレット14と箱体Bとが連結される。また、上側の箱体Aに関しては、垂れ下がったフラップ22の係止穴22aを箱体Bの係止穴11bと整合させてジョイント13でロックすることにより両箱体A、Bとが連結され、結果として全ての箱体A、B、・・・が、パレットと連結されることとなり、荷崩れの発生を防止できる。
なお、各フラップ21、22の折り曲げ線は、必要に応じて上方向用と下方向用の2本の折り曲げ線を設けても良い。従って、パレットあるいは段ボール箱に連結する必要のない時は、フラップを内側に折り曲げれば通常の段ボール箱として使用できる。
【0010】
以上のように本発明によれば、段ボールパレットにもジョイント用の係止穴14aを設けることにより、段ボール箱体A,Bと段ボールパレット14とをジョイント13を用いて簡易に結合できるので、激しい荷扱いを受けても段ボール箱がパレット14から脱落したり、段ボール箱が下側の段ボールから脱落することがない。また、パレットサイドにジョイント用の係止穴が設けてあるので、パレットに対する箱体の着脱が容易である。またジョイントの取付位置に制約が無く、しかもジョイントが外から見えるため、設計が自由であり、且つジョイント状態の良し悪しの確認が容易で、パレットに印刷等により指示を記載することができる。
また、上下位置関係にある段ボール箱をジョイントで連結できるのでストレッチフィルムを使用しなくて済み、再梱包性に優れている。
また、パレットあるいは段ボール箱に連結する必要のない時はフラップを内側に折り曲げれば通常の段ボール箱として使用できる。また、全てのジョイント部に共通のジョイントを使用できる。
なお、特開平5−193644号公報には、ベース底面とパレット上面をジョイントで結合する技術が開示されているが、この従来例は、機器類が乗るベース上面部分とジョイントの取付面とが重複する為、ジョイントの取付位置が制約され、また、箱を開けないとパレットを外せない、外部からジョイント状態の良し悪しを確認できない、という欠点を有する。また、この従来例は1/nパレットに関するものではなく、複数の箱体を荷崩れすることなく縦積みするための構成は一切開示されていない。
【0011】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、段ボールパレットにもジョイント用の係止穴を設けることにより、段ボール箱体と段ボールパレットとをジョイントを用いて簡易に結合できるので、激しい荷扱いを受けても段ボール箱がパレットから脱落したり、段ボール箱が下側の段ボールから脱落することがない。また、パレットサイドにジョイント用の係止穴が設けてあるので箱の着脱が容易である。またジョイントが外から見えるため、ジョイント状態の良し悪しの確認が容易で、またパレットに印刷等の指示もできる。また、上下位置関係にある段ボール箱をジョイントで連結できるのでストレッチフィルムを使用しなくてすむ。また、再梱包性に優れている。また、パレットあるいは段ボール箱に連結する必要のない時はフラップを内側に折り曲げれば通常の段ボール箱として使用できる。また、全てのジョイント部に共通のジョイントを使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態例の梱包構造体の分解斜視図。
【図2】従来の梱包構造体の分解斜視図。
【符号の説明】
11 個装箱、11a,11b 係止穴、12 ベース12、13 ジョイント、14 パレット、14a 係止穴、15 緩衝材、A、B 箱体、20 底板、21、22 フラップ、22a 係止穴、

Claims (1)

  1. 箱体と、該箱体を載置するパレットと、縦積みした複数の箱体同士、或いは最下部の箱体と上記パレットとを夫々連結する共通ジョイントと、を備えた梱包構造体であって、
    上記箱体は、下面が開口した個装箱と、該個装箱の対向し合う2つの側面の下部に設けた少なくとも2つの下部係止穴と、該個装箱の他の対向し合う2つの側面の上部に設けた少なくとも2つの上部係止穴と、該個装箱の上記開口を閉止するように該個装箱下部に連結されるベースと、を備え、
    上記ベースは、上記個装箱の上記開口を閉止する矩形の底板と、該底板の四辺に夫々上下方向へ折り曲げ自在に連結されたフラップと、を有し、上記フラップのうちの対向し合う2つのフラップは上向きの状態で上記個装箱の下部係止穴と整合する第1のフラップ側係止穴を夫々備え、対向し合う他の2つのフラップは下向きの状態で上記パレット側面に設けたパレット側係止穴、又は下方に位置する他の個装箱の上部係止穴と夫々整合する第2のフラップ側係止穴を備えていることを特徴とする梱包構造体。
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