JP3642197B2 - 偏向ヨーク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機等に使用される陰極線管に組み合わされる偏向ヨークに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高精細度な大画面に対応して色ずれや画面歪みを補正するために、各種の補正コイルが使用されるようになり、高周波動作によるそれらの部品の唸りについて従来に増して注意が払われるようになってきている。また、偏向ヨークによって生じるミスコンバーゼンスを補正する方法として、3個の補正用コイルを装着した一対のE字磁性体を、互いに陰極線管を挟んで対向するように配置して構成したものがある。
【0003】
以下、従来の偏向ヨークについて図3〜図5を参照しながら説明する。図3(a)は従来の偏向ヨークの平面図、図3(b)は従来の偏向ヨークの側面図、図4は従来の偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着した状態を示す平面図、図5(a)は従来の偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着した状態の断面図、図5(b)は従来の偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着した状態の断面図である。
【0004】
図3〜図5において、ファンネル形状の一対のコア1の内側には垂直偏向磁界を形成する垂直偏向コイル(図示せず)が設けられている。2は垂直偏向コイルの内側に設けられたラッパ状の絶縁枠であり、絶縁枠2の内側には水平偏向磁界を形成する水平偏向コイル(図示せず)が設けられている。3は絶縁枠2の小口径側に取り付けられたネックカバー、4はネックカバー3に装着されコンバーゼンスを補正する補正用コイル装置、5は補正用コイル装置を作るための補正用コイルボビン、6は補正用コイルボビンに銅線を巻線して形成された補正用コイル、7は補正用コイルボビンに装着されたE字磁性体である。
【0005】
前記の各構成部材よりなる偏向ヨークについて、その補正用コイル装置の取り付け方法を以下説明する。図5(b)に示すように、補正用コイル6が形成された補正用コイルボビン5に突設された取り付けリブ8および係止片9を、ネックカバー3に配設された取り付け孔10および11にそれぞれ挿入し固定する。そして、E字磁性体7の突出部を補正用コイルボビン5に配設された取り付け孔12に挿入し、ネックカバー3に突設された係止片13により固定する。また、補正用コイル6を、偏向ヨークに配置した配線用の基板14に突設した端子15(図3)に電気的に接続されている。
【0006】
このE字磁性体7を備えた補正用コイル装置4を、互いに陰極線管を挟んで対向するように偏向ヨークの小口径部に固定し、各補正用コイル6に偏向電流を所望の量だけ流すことによって、横一列になった3本の電子ビーム中の両サイドビーム(RedビームとBlueビーム)とセンタービーム(Greenビーム)を相反する方向に微妙に曲げ、画面の左右および上下においてRラインおよびBラインとGラインとを一致させてミスコンバーゼンスを補正する。
【0007】
このように構成された従来の偏向ヨークの補正コイル装置4におけるE字磁性体7を固定させるには、E字磁性体7とネックカバー3或いは補正用コイルボビン5との接触部分に接着剤を塗布し固定されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の偏向ヨークにおいては、補正用コイルボビン5に配設されたE字磁性体取り付け孔12はE字磁性体7の突出部の最大寸法に対応して設けられているので、E字磁性体7の大きさが最も大きい場合には問題はない。しかしながら、E字磁性体7の大きさが最大寸法より小さい場合にはE字磁性体取り付け孔12との間に間隙が生じ、E字磁性体7の位置決めが困難になるとともに、接着剤を用いてE字磁性体7を位置決めしても、接着剤が硬化して固定する間にE字磁性体7が位置ずれしたりして、E字磁性体の位置精度が悪く、さらには接着剤を塗布するには工数がかかり生産性のコストが高くなるという問題を有していた。
【0009】
本発明は、E字磁性体の寸法公差を吸収し、取付位置精度を向上させ、さらに生産性のコストを低減させた偏向ヨークを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の偏向ヨークは、ファンネル形状の一対のコアと、一対の垂直偏向コイルと、一対の水平偏向コイルと、垂直偏向コイルと水平偏向コイルの間に介在された絶縁枠と、絶縁枠の小口径側に取り付けられたネックカバーと、ネックカバーに装着された補正用コイル装置と、補正用コイル装置に突出部が挿入されて装着された磁性体とを備え、ネックカバーには、突出部の両端部を弾発力で係止する一対の第1挟持片と、磁性体を補正用コイル装置の端面に弾発力で当接させる第2挟持片とが設けられ、磁性体が補正用コイル装置の所定位置に位置決めされたものである。
【0011】
この発明によれば、E字磁性体の寸法公差を吸収し、取付位置精度を向上させ、さらに生産性のコストを低減させた偏向ヨークが得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、ファンネル形状の一対のコアと、一対の垂直偏向コイルと、一対の水平偏向コイルと、垂直偏向コイルと水平偏向コイルの間に介在された絶縁枠と、絶縁枠の小口径側に取り付けられたネックカバーと、ネックカバーに装着された補正用コイル装置と、補正用コイル装置に突出部が挿入されて装着された磁性体とを備え、ネックカバーには、突出部の両端部を弾発力で係止する一対の第1挟持片と、磁性体を補正用コイル装置の端面に弾発力で当接させる第2挟持片とが設けられ、磁性体が補正用コイル装置の所定位置に位置決めされたものである。
【0013】
この構成により、所定の位置に磁性体が容易に位置決めされ、接着剤を必要としないという作用を有する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、第1挟持片と第2挟持片が、ネックカバーから突設された舌片であるとしたものであり、この構成により簡単に挟持片を作ることができ、磁性体を容易に所定の位置で確実に係止することができるという作用を有する。
【0017】
請求項3に記載の発明は、第2挟持片が、先端側の板厚より薄い板厚の根元部を備えているとしたものであり、この構成により弾発力を板厚の変化で付与することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着した状態を示す平面図、図2(a)は同偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着し、E字磁性体を第1挟持片により挟持した状態を示す断面図、図2(b)は同偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着し、E字磁性体を第2挟持片の係止部により係止した状態を示す断面図である。本実施の形態において、ファンネル形状の一対のコア1と、一対の垂直偏向コイル(図示せず)と、一対の水平偏向コイル(図示せず)と、絶縁枠2については、従来の技術と同様である。
【0020】
図1および図2において、16は絶縁枠の小口径側に取り付けられたネックカバーである。ネックカバー16は通常、耐熱性やクリープ特性等に優れた変性PPOやポリカーボネイト、または、ポリプロピレン等のプラスチック樹脂で弾性を有する部材が用いられる。
【0021】
17,18,19は従来の技術と同様でそれぞれ補正用コイル装置、補正用コイルボビン、補正用コイル、20は補正用コイルボビンに装置されたE字磁性体である。ここでE字磁性体20には、近年の高周波化に伴い従来使用されていた硅素鋼板などの金属部材から、寸法ばらつきの大きいフェライトで焼成されたコアが用いられるようになってきている。
【0022】
また、補正用コイルボビン18は従来の技術と同様に補正用コイルボビン18に突設された取り付けリブ21および係止片22を、ネックカバー16に形成された取り付け孔23および24にそれぞれ挿入し固定されている。そしてE字磁性体20の突出部を補正用コイルボビン18に配設されたE字磁性体取り付け孔25に挿入されている。
【0023】
26はネックカバー16から突設された一対の第1挟持片であり、それぞれの第1挟持片26はネックカバー16から立ち上げられた舌片である。そして、E字磁性体20を挟持する際には、立ち上げられた第1挟持片26の舌片によって弾発性が付与されるものである。27はネックカバー16から突設された第2挟持片であり、この第2挟持片27には、端部にE字磁性体20を係止部27aを備えるとともに、先端部の板厚より薄い板厚の根元部27bを備えている。そして、E字磁性体20を係止する際には、根元部27bの先端部の板厚より薄い板厚によって第2挟持片27に弾発力が付与されるものである。
【0024】
このようにネックカバー16には、第1挟持片26がネックカバー16から立ち上げられた舌片から構成される弾発部と、係止部27aと先端部の板厚より薄い板厚の根元部27bを備えた第2挟持片27から構成された弾発部が設けられている。そして、このような弾発部は、これらの構成によって付与された弾発力によって補正用コイルボビン18に装着したE字磁性体20の動きを抑え、所定の位置に位置決めして係止させることができるものである。
【0025】
この様な偏向ヨークのネックカバー16にE字磁性体20を係止した状態について、図2を用いて以下説明する。
【0026】
図2(a)に示すように、E字磁性体20の両端部に一対の第1挟持片26の舌片をそれぞれ当接させ、舌片の弾発力によって所定の位置にE字磁性体20を位置決めして挟持させている。一方、図2(b)に示すように、補正用コイルボビン18に配設されたE字磁性体取り付け孔25の端部と補正用コイルボビン18の端面にE字磁性体20をそれぞれ当接させるとともに、E字磁性体20を第2挟持片27の係止部27aで係止させて、第2挟持片27の係止部27aの係止と先端部の板厚より薄い板厚の根元部27bの弾発力によって所定の位置にE字磁性体20を位置決めして係止させている。
【0027】
しかしながら、E字磁性体20の大きさが最大寸法より小さい場合には、E字磁性体取り付け孔25とE字磁性体20との間に間隙が生じる。ところが、E字磁性体20の両端部に舌片をそれぞれ当接させ、所定の位置にE字磁性体20を位置決めして挟持させることができる。又、第2挟持片27の係止部27aの係止と根元部27bの弾発力によって、E字磁性体20を係止部27aが係止させ、所定の位置にE字磁性体20を位置決めして係止させることができる。
【0028】
このようにネックカバー16には、第1挟持片26と第2挟持片27にそれぞれ付与された弾発力によってE字磁性体20の動きを抑え係止する弾発部が設けられているので、E字磁性体20の大きさが最大寸法より小さくても、E字磁性体取り付け孔25にE字磁性体を挿入すると所定の位置に位置決めして係止させることができ、さらに接着剤を必要としないから工数を低減させ生産コストを低減させることができる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ネックカバーには、第1挟持片と、第2挟持片から構成された弾発部が設けられているので、E字磁性体の大きさが最大寸法より小さくてもE字磁性体を挿入するだけでE字磁性体の動きを抑え、所定の位置に位置決めして係止させることができ、さらに接着剤を無くして工数を低減させ生産コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着した状態を示す平面図
【図2】(a)本発明の一実施の形態の偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着し、E字磁性体を第1挟持片により挟持した状態を示す断面図
(b)本発明の一実施の形態の偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着し、E字磁性体を第2挟持片の係止部により係止した状態を示す断面図
【図3】(a)従来の偏向ヨークの平面図
(b)従来の偏向ヨークの側面図
【図4】従来の偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着した状態を示す平面図
【図5】(a)従来の偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着した状態の断面図
(b)従来の偏向ヨークのネックカバーに補正用コイル装置を装着した状態の断面図
【符号の説明】
16 ネックカバー
17 補正用コイル装置
18 補正用コイルボビン
20 E字磁性体
25 E字磁性体取り付け孔
26 第1挟持片
27 第2挟持片
27a 係止部
27b 根元部
Claims (3)
- ファンネル形状の一対のコアと、一対の垂直偏向コイルと、一対の水平偏向コイルと、前記垂直偏向コイルと前記水平偏向コイルの間に介在された絶縁枠と、前記絶縁枠の小口径側に取り付けられたネックカバーと、前記ネックカバーに装着された補正用コイル装置と、前記補正用コイル装置に突出部が挿入されて装着された磁性体とを備え、前記ネックカバーには、前記突出部の両端部を弾発力で係止する一対の第1挟持片と、前記磁性体を前記補正用コイル装置の端面に弾発力で当接させる第2挟持片とが設けられ、前記磁性体が前記補正用コイル装置の所定位置に位置決めされたことを特徴とする偏向ヨーク。
- 前記第1挟持片と前記第2挟持片が、前記ネックカバーから突設された舌片であることを特徴とする請求項1記載の偏向ヨーク。
- 前記第2挟持片が、先端側の板厚より薄い板厚の根元部を備えていることを特徴とする請求項2記載の偏向ヨーク。
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