JPH09293466A - 偏向ヨーク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の偏向ヨークでは、偏向コイル自体がつ
くり出す偏向磁界のみで良好なコンバージェンスや歪特
性を得ることが難しい。このため磁界補正用の部品を取
り付けてコンバージェンスや歪特性を改善する対策を採
っていたが、磁界補正用部品の取り付け作業によって生
産効率の低下を招いていた。 【解決手段】 本発明の偏向ヨークは、水平偏向コイル
１１をカラー受像管の管軸Ｚ方向においてリア側よりほ
ぼ等間隔に区分される第１領域、第２領域及び第３領域
からなるものと考え、カラー受像管の管軸Ｚに対して直
交する面内での水平偏向コイル１１の電線位置を該電線
位置から水平軸上の管軸位置Ｚまでを結んだ線と水平軸
（Ｘ軸）とのなす角度で表わすと、第１領域内の電線位
置は１０°乃至５０°の範囲、第２領域内の電線位置は
２０°乃至６５°の範囲、第３領域内の電線位置は０°
乃至１５°の範囲にあるように構成してなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン受像
機や陰極線管ディスプレイ装置等に用いられる偏向ヨー
クに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、テレビジョン受像機や陰極線管
ディスプレイ装置等に用いられる偏向ヨークは、フェラ
イトコアと、フェライトコアの内側に巻回されたサドル
状の水平偏向コイルと、フェライトコアの外周上に直接
トロイダル状に巻回された垂直偏向コイルとから構成さ
れる。

【０００３】このような偏向ヨークにおいては、水平偏
向コイルが発生する水平偏向磁界を主にピンクッション
磁界、垂直偏向コイルが発生する垂直偏向磁界を主にバ
レル磁界とすることで画面上で良好なコンバージェンス
を確保するようにしている。さらに、水平偏向磁界につ
いては、グリーン感度、ダイナミックコンバージェンス
及び歪特性を改善する目的から、リア側はバレル磁界、
フロント側はピンクッション磁界、そしてリア側からフ
ロント側にかけて平均してピンクッション磁界となるよ
うに、水平偏向磁界をリア側とフロント側の２つの領域
に別けて考える場合が多い。

【０００４】しかしながら、従来の偏向ヨークでは、コ
ンバージェンス例えば画面隅に到達する３本の電子ビー
ムの間隔を表すＰＱV を改善すれば上下ラスター歪が劣
化し、上下ラスター歪を改善すればＰＱV が劣化すると
いったように、水平・垂直偏向コイルがつくり出す偏向
磁界だけでは、コンバージェンスと歪特性を同時に改善
することが困難であった。

【０００５】そこで従来は、磁性片、フロントクロスア
ーム、永久磁石といった磁界補正用の部品を偏向ヨーク
に取り付けることによるコンバージェンス及び歪特性の
改善を図らずを得なかった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このように従来の偏向
ヨークでは、それ自体がつくり出す偏向磁界のみで良好
なコンバージェンスや歪特性を得ることが難しく、この
ことから磁界補正用の部品を偏向ヨークに取り付けねば
ならず、よって生産性が低下し、コスト増を招くいった
問題が生じていた。

【０００７】本発明はこのような課題を解決するための
もので、磁界補正用の部品を用いることなくつまり偏向
コイル自体がつくり出す磁界のみで良好なコンバージェ
ンス及び歪特性が得られる偏向ヨークの提供を目的とし
ている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の偏向ヨークは、請求項１に記載されるよう
に、フェライトコアと、このフェライトコアに巻回され
た垂直偏向コイル及び水平偏向コイルとを有する偏向ヨ
ークにおいて、水平偏向コイルが、カラー受像管の管軸
方向においてリア側よりほぼ等間隔に区分される第１領
域、第２領域及び第３領域からなり、管軸に対して直交
する面内での水平偏向コイルの電線位置を該電線位置か
ら水平軸上の管軸位置までを結んだ線と水平軸とのなす
角度で表わすと、第１領域内の電線位置は１０°乃至５
０°の範囲にあり、第２領域内の電線位置は２０°乃至
６５°の範囲にあり、そして第３領域内の電線位置は０
°乃至１５°の範囲にあることを特徴とするものであ
る。

【０００９】ここで、第１領域、第２領域及び第３領域
各々の管軸方向の長さは、これら全領域の長さをＬとす
ると、いずれも４Ｌ／１５乃至６Ｌ／１５の範囲にある
ものとする。

【００１０】このように構成された偏向ヨークによれ
ば、偏向コイル自体がつくり出す偏向磁界のみで良好な
コンバージェンスと歪特性が得られる。よって、磁界補
正用の部品の取り付けが不要となり、生産性の向上及び
コスト低減を図ることができる。 また、本発明は、請
求項３に記載されるように、請求項１または２記載の偏
向ヨークにおいて、フェライトコア、水平偏向コイル及
び垂直偏向コイルを一体に保持する保持具をさらに有
し、この保持具は一対の水平偏向コイルを互いに離間し
つつ定位置に固定するためのリブを持ち、このリブは一
対の水平偏向コイルと少なくとも管軸方向の両端部の２
点で接するように水平偏向コイルの形状に適合した形状
にて構成されている。

【００１１】本発明によれば、水平偏向コイルを保持具
内の定位置に安定して保持することが可能となり、信頼
性の向上を図れる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に、本発明を実施する場合の
形態について図面を参照して説明する。

【００１３】図１は本発明の一実施形態である偏向ヨー
クのなかの特徴部分である水平偏向コイルを示す斜視
図、図２はこの水平偏向コイルの側面図である。

【００１４】この水平偏向コイル１１は、カラー受像管
の管軸Ｚ方向においてほぼ等間隔に区分される３つの領
域からなる。これら３つの領域を以後、リア側（電子銃
側）より第１領域、第２領域、第３領域と呼ぶことにす
る。第１、第２、第３領域の各々の管軸方向の長さＬ
１、Ｌ２、Ｌ３は、全領域の長さをＬとすると、いずれ
も４Ｌ／１５乃至６Ｌ／１５の範囲にあるものとする。

【００１５】図３（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）は図２に示す水平
偏向コイル１１の第１、第２、第３領域の、カラー受像
管の管軸Ｚに対して直交する面内での水平偏向コイル１
１の電線位置の範囲を示した図である。ここで上記面の
Ｘ軸及びＹ軸は各々スクリーン画面の水平軸及び垂直軸
に対応しており、斜線塗り潰し部分が電線位置の範囲を
示している。

【００１６】本発明に係る水平偏向コイル１１の形状
は、このように３つの領域の電線位置の範囲によって特
徴付けられる。この電線位置の範囲は電線位置から水平
軸（Ｘ軸）上の管軸位置Ｚまでを結んだ線と水平軸（Ｘ
軸）とのなす角度の範囲により、個々の領域毎に次のよ
うに定量化して表わされる。

【００１７】すなわち、第１領域内の電線位置は図３
（Ａ）に示すように、１０°乃至５０°の範囲にあり、
第２領域内の電線位置は図３（Ｂ）に示すように、２０
°乃至６５°の範囲にあり、そして第３領域内の電線位
置は図３（Ｃ）に示すように、０°乃至１５°の範囲に
ある。

【００１８】なお、ここで言う管軸位置Ｚの管軸とは、
カラー受像管における厳密な意味での管軸ではなく、第
３領域の電線位置の範囲の下限の角度が０°となる位置
まで本来の管軸をシフトさせたものを言う。

【００１９】このような形状の水平偏向コイル１１は、
例えば図４に示すように、ステンレス製の雄型２１及び
雌型２２からなる巻型を回転させながら雄型２１と雌型
２２の隙間２３に必要な巻数だけ電線２４を入れ、プレ
ス成型板２５によりプレスすることによって製造するこ
とができる。

【００２０】ここで、水平偏向コイル１１の形状を特徴
付ける上側の電線位置は、巻型内の隙間２３の頂上部分
を埋める突起部２５の幅Ｗで決まる。また、コイル形状
を特徴付ける下側の電線位置は、図５に示すように、プ
レス成型板２５のプレス面２５ａに設けられた凹凸によ
って決定される。

【００２１】尚、この巻型を用いた水平偏向コイル１１
の製造方法では、電線として、プレス成型後のコイル形
状が安定するように、通電時に電線自体に生じるシュー
ル熱によって溶融する粘着層を外周に設けたものが使用
される。

【００２２】また、本発明に係る水平偏向コイル１１
は、図６及び図７に示すように、コイルセパレータと呼
ばれる水平偏向コイルと垂直偏向コイルとを電気的に絶
縁しつつこれらを支持する例えばポリプロピレン等のプ
ラスチック製のコイル支持部材３１に、水平偏向コイル
１１の電線を引き回すための多数のスリット３２を設け
たものを用いることによっても容易に得られる。

【００２３】以上、本発明に係る水平偏向コイルを５．
５インチ型のカラー受像管に組み込みＰＱV 及び上下ラ
スター歪を確認したところ、従来に比べてＰＱV は約３
５％、上下ラスター歪は約４０％それぞれ改善されたこ
とが確認できた。

【００２４】次に、図８に示すように、本発明に係る水
平偏向コイル１１を従来のモールド（保持具）４１に組
み込んだ場合を考える。モールド４１には、一対の水平
偏向コイル１１を互いに離間（電気的絶縁）しつつ定位
置に固定するためのリブ４２が設けられている。ところ
が、この場合、従来のモールド４１におけるリブ４２の
幅は全て一定であるのに対して、本発明に係る水平偏向
コイル１１はそのリア側がフロント側よりも管軸から離
れた位置にあることから、水平偏向コイル１１とリブ４
２との間に長い隙間４３が形成されてしまい、モールド
４１内の定位置に各水平偏向コイル１１を安定して保持
することができない。

【００２５】図９及び図１０はこの課題を解決するため
のモールド（保持具）のリブ構造を示した図である。こ
れらの図に示すように、リア側での水平偏向コイル１１
との隙間を無くすため、リア側のリブ４２ａを二重構造
として実質的なリブ幅を大きくとっている。これによ
り、水平偏向コイル１１は少なくともそのリア側とフロ
ント側の両端部２点でリブ４２、４２ａと確実に接触
し、水平偏向コイル１１をモールド４１内の定位置に安
定して保持することが可能となる。

【００２６】以下に、本発明の水平偏向コイルに適用し
得るリブ構造の変形例を挙げる。

【００２７】図１１及び図１２は、リア側の二重構造の
リブ４２ａとフロント側のリブ４２とを途中で切り離し
たものである。このリブ構造の場合、二重構造のリブ４
２ａの間を通して水平偏向コイル１１の熱をモールド外
部に逃がすことができ、放熱効果が改善される。

【００２８】図１３は、水平偏向コイル１１との隙間を
完全に埋めるように、リブ４２の二重構造部分４２ａの
形状を水平偏向コイル１１のリブ側の形状に適合させた
ものである。

【００２９】また、図１４に示すように、リブ４２を二
重構造化することなく、リブ４２の肉厚をリア側で大き
くして水平偏向コイル１１との隙間を埋めるようにして
もよい。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように本発明の偏向ヨーク
によれば、偏向コイル自体がつくり出す磁界のみで良好
なコンバージェンス及び歪特性が得られるようになり、
磁界補正用の部品の取り付けが不要になる。このため、
生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。

【００３１】また、本発明の偏向ヨークによれば、水平
偏向コイルを保持具内の定位置に安定して保持すること
が可能となり、信頼性の向上を図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る偏向ヨークのなかの水平偏向コイ
ルを示す斜視図

【図２】図１の水平偏向コイルの側面図

【図３】図２に示す水平偏向コイルにおける個々の領域
の電線位置の範囲を示す図

【図４】本発明に係る水平偏向コイルを製造するための
巻型の構造を示す断面図

【図５】図４の水平偏向コイル製造方法で用いられるプ
レス成型板の構造を示す側面図

【図６】本発明に係る水平偏向コイルを製造するための
コイル支持部材を示す側面図

【図７】図６のコイル支持部材の断面図

【図８】本発明に係る水平偏向コイルを従来のモールド
に組み込んだ状態を示す図

【図９】本発明に係る水平偏向コイルを安定して保持す
るモールドの構成を示す図

【図１０】図９のモールドの横断面図

【図１１】モールドの変形例を示す図

【図１２】図１１のモールドの横断面図

【図１３】モールドの他の変形例を示す図

【図１４】モールドのさらに他の変形例を示す図

【符号の説明】

１１………水平偏向コイル ４１………モールド ４２………リブ ４２ａ……リア側のリブ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フェライトコアと、このフェライトコア
   に巻回された垂直偏向コイル及び水平偏向コイルとを有
   する偏向ヨークにおいて、 前記水平偏向コイルが、カラー受像管の管軸方向におい
   てリア側よりほぼ等間隔に区分される第１領域、第２領
   域及び第３領域からなり、前記管軸に対して直交する面
   内での前記水平偏向コイルの電線位置を該電線位置から
   水平軸上の管軸位置までを結んだ線と前記水平軸とのな
   す角度で表わすと、前記第１領域内の電線位置は１０°
   乃至５０°の範囲にあり、前記第２領域内の電線位置は
   ２０°乃至６５°の範囲にあり、そして前記第３領域内
   の電線位置は０°乃至１５°の範囲にあることを特徴と
   する偏向ヨーク。
2. 【請求項２】 請求項１記載の偏向ヨークにおいて、 前記第１領域、前記第２領域及び前記第３領域各々の前
   記管軸方向の長さは、これら全領域の長さをＬとする
   と、いずれも４Ｌ／１５乃至６Ｌ／１５の範囲にあるこ
   とを特徴とする偏向ヨーク。
3. 【請求項３】 請求項１または２記載の偏向ヨークにお
   いて、 前記フェライトコア、前記水平偏向コイル及び前記垂直
   偏向コイルを一体に保持する保持具をさらに有し、この
   保持具は前記一対の水平偏向コイルを互いに離間しつつ
   定位置に固定するためのリブを持ち、このリブは前記一
   対の水平偏向コイルと少なくとも前記管軸方向の両端部
   の２点で接するように前記水平偏向コイルの形状に適合
   した形状にて構成されていることを特徴とする偏向ヨー
   ク。