JP3641508B2 - 携帯式作業機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば送風によって落葉や塵芥等を吹き集める清掃作業に用いられるハンドヘルドパワーブロワー等の、空冷2サイクルガソリンエンジンやモーター等の原動機と、それに駆動されるファン等の被駆動部と、を備えた手持ち式、ショルダー式、背負い式等の携帯式作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の携帯式作業機においては、使い勝手等の面から軽量化を図ることが強く望まれており、最近においては、各構成部品に合成樹脂材料が多用されていて、例えば、実開平1−105791号公報や特開昭61−283795号公報等にも見られるように、原動機や被駆動部等を覆う底面部を含む機体ケースが合成樹脂で一体成形されたものが主流となっている。
【0003】
また、この種の携帯式作業機に置いては、空冷2サイクルガソリンエンジンやモーター等の原動機と、それに駆動されるファン等の被駆動部と、が横並びに配設されるのが一般的であり、原動機の方が被駆動部より重いので、作業機全体でみると重心の位置が左右のいずれかに偏ることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した如くの、底面部が合成樹脂製のケースで形成されてなる従来の携帯式作業機においては、底面部は座り等を良くするために連続した比較的広い平坦な面となっている。ところが、このように底面部が突起物のない平坦な面となっている携帯式作業機、特に前記した如くに重心の位置が機体の左右いずれかに偏っているものでは、それを地面、特にコンクリート等で形成された硬い路面等に置くと、置いたときの衝撃や原動機の作動による振動等に起因して底面部が破損してしまうことが多々あった。
【0005】
それを回避すべく、底面部に支持用の足部等を取り付けることが考えられるが、単に足部を取り付けるだけでは、前記衝撃や振動を効果的に吸収することはできず、底面部の破損を防ぐことはできないばかりか、組立工数、重量、製品コスト等が増加してしまうという問題があった。
本発明は、上述の如き問題を解消すべくなされたもので、その目的とするところは、軽量化を図るべく底面部も合成樹脂製品で成形されている場合でも、地面に置いた際の衝撃や振動を効果的に吸収することができて、底面部を破損し難くされ、しかも、組立工数、重量、製品コスト等の増加を可及的に抑えることができるようにされた携帯式作業機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る携帯式作業機は、基本的には、原動機と、それに駆動されるファン等の被駆動部とを備え、前記原動機と前記被駆動部を被覆する機体ケースのうちの少なくとも底面部が合成樹脂で成形されている。そして、前記底面部に、一側端とその上面が開口した中空部を有するスタンドを一体成形により設けたことを特徴としている。
【0007】
本発明における作業機の底面部に設けられるスタンドの形状等は特に限定されないが、好ましい態様としては、前記スタンドが前記底面部の一側端から該底面部を横切る方向に伸びており、かつ、その中空部の上面を開口させるように前記底面部にその一側端から前記スタンドが伸びる方向に切欠部が形成されていることを特徴とするものが挙げられ、さらには、前記スタンドの断面外形を椀形となすこと、前記スタンドの下端に凸部を突設すること、前記スタンドを側面視では前記原動機を中央にしてその両側に位置させること、前記スタンドを複数個設けること、前記スタンドを前記底面部を横切る方向に伸びる上面が開口した細長い樋形状となすこと、等があげられる。
特に前記スタンドを上面が開口した細長い樋形状とした場合には、それを前記原動機の出力軸と平行に複数本設けること、その一側端部を開口させること、その底面に凸条を突設すること、等が好ましい態様として挙げられる。
【0008】
【作 用】
前述の如くの構成とされた本発明に係る携帯式作業機においては、底面部にスタンドが設けられることにより、座りが良くなるとともに、地面に置いた際には最初にこのスタンドが地面に接触する。この場合、前記スタンドが一側端が開口した中空部を有する構造にされていることにより、該スタンドの特に開口した一側端側が弾性変形し易くなってクッション特性(緩衝作用)を持つ。そのため、硬い地面等に置いても、該スタンドがショックアブソーバの役目を果たすので、置いたときの衝撃や原動機の作動による振動等が効果的に吸収され、合成樹脂で成形されている底面部に破損が生じ難くされる。特に、重心の位置が機体の左右いずれかに偏っているものでは、前記スタンドの開口した一側端側が最初に地面に接触するようにせしめれば、より効果的である。
【0009】
また、前記スタンドを前記底面部とを一体成形により設けることで、前記スタンドが補強部(リブ)ともなり、かつ、組立工数及び部品コストを削減できるとともに、軽量化も図れ、さらに、底面部を平坦面にする必要が無くなるので、設計の自由度や美観も向上させ得る。
前記スタンドを前記底面部の一側端から該底面部を横切る方向に伸ばし、かつ、その中空部の上面を開口させるように、前記底面部にその一側端から前記スタンドが伸びる方向に切欠部を形成することにより、前記スタンドが一層弾性変形し易くなり、機体を地面等に置いたときの衝撃や原動機の作動による振動等をより効果的に吸収できる。
【0010】
前記スタンドの断面外形を椀形となすことにより、一層クッション特性が向上するとともに、軽量化を図れ、前記スタンドの下端に凸部を突設することにより、機体を載置した地面等に対する接触面圧が高められて一層座りが良くなるとともに、該凸部が補強部(リブ)にもなる。
特に前記スタンドを上面が開口した細長い樋形状として、前記底面部の一側端から例えば前記原動機の出力軸と平行に複数本設け、その一側端部を開口させることにより、該スタンドの開口した一側端部分が極めて弾性変形し易くなるのでクッション特性が格段に向上し、機体を地面等に置いたときの衝撃を効果的に吸収できることは勿論、特に原動機が空冷2サイクルガソリンエンジンである場合の比較的大きな振動も効果的に吸収できる。
また、この場合は、前記スタンドが機体ケースの底面部に対する補強リブの役目も果たし、さらに、該スタンドの底面に凸条を突設することより、機体の安定性が増すとともに、それがスタンドに対する補強リブの役目を果たす。
また、前記切欠部を設けることにより、前記スタンドの中空部を成形するための金型の突柱状部分を金型の主体部に連結する連結リブを必然的に形成することになり、金型の耐用年数を延ばすことができる。
【0011】
【実施例】
図1、図2は、本発明に係る携帯式作業機の一例である清掃作業用のハンドヘルド式のパワーブロワーの一実施例を示している。
本実施例のパワーブロワー1は、外表面が合成樹脂製の、内側に多数の補強リブ9,9,…等(図2参照)が設けられてなる吸込口ケース2、中央ケース3、エンジンケース4等よりなる機体ケースで被覆されており、それらの中に原動機としての空冷2サイクルガソリンエンジン10や、その出力軸15に固定されたファン21等からなる遠心式ブロワー部20が配され、前記中央ケース3とエンジンケース4の上部にハンドル24が設けられるとともに、該ハンドル24の内側上部に手指で操作して前記エンジン10の出力を調節するためのスロットルトリガ26が設けられている。
【0012】
前記エンジン10には、所定の態様で、点火プラグ12、エアクリーナ14、気化器16、リコイルスタータ17、マフラー22等が付随している。前記エンジン10は、シリンダを上にして立てられた姿勢で、側面視(図2)では、機体前後方向の略中央に配置されているが、背面視(図1)では右半分に偏って配置されており、しかも、該エンジン10の下側には重量物となる燃料タンク19が配置されているので、本実施例のパワーブロワー1は、機体全体としての重心が背面視(図1)では中央より右側に偏った、前記エンジン10のセンターライン付近に位置する。
【0013】
前記エンジン10が作動せしめられると、外部の空気は、図1では左側に設けられた吸込口25から前記ブロワー部20に吸い込まれて圧縮された後、吹出口30(図2)及びそれに接続された図示していない吹出パイプを通じて外部に吐出され、それによって、落葉や塵芥等を吹き集める清掃作業が行われるようにされる。
ここで、本実施例では、前記吸込口ケース2の下端に通常の適宜のスタンド11が設けられることに加え、前記中央ケース3の底面部3Aに、一側端(図1で見て右側端)が開口した中空部6を有するスタンド5が一体成形により2本設けられている。
【0014】
前記スタンド5,5は、前記底面部3Aの一側端から該底面部3Aを横切る方向(図1の背面図で右端から左方向)に伸びており、かつ、その中空部6の上面を開口させるように前記底面部3Aにその一側端から前記スタンド5が伸びる方向にスリット状に切欠部8が形成されている。
また、前記スタンド5,5は、側面視(図2)では前記エンジン10を中央にしてその前後両側に前記エンジン10の出力軸15と平行に設けられ、背面視(図1)では前記エンジン10の真下にその本体部の幅と略同じ長さをもって形成されている。
【0015】
この二本のスタンド5,5は、同一寸法形状とされ、断面外形が椀形の細長い樋(軒樋のうちの横樋)形状とされており、その一側端(図1で右側端)は開口せしめられ、前記中央ケース3の底面部3Aの前記一側端からその中程まで伸びていて、その下端に全長にわたって幅の狭い凸条7が設けられている。
前記切欠部8は、前記底面部3Aの前記スタンド5の上部に位置する部位に、前記中空部6の上面を開口させるように、前記中空部6と略同長で形成されており、この切欠部8の一側端(図1で右側端)は開口せしめられ、他側端は半円形に形成されている。
【0016】
このような構成とされた本実施例のパワーブロワー10においては、中央ケース3の底面部3Aに樋形状のスタンド5が2本平行に設けられているので、機体を地面等に置いた際には最初にこのスタンド5,5が地面等に接触する。
この場合、機体重心が背面視(図1)で右側に偏っている本実施例のパワーブロワー1において、前記スタンド5,5が側面視(図2)では前記エンジン10を中央にしてその前後両側に位置し、かつ、背面視では前記エンジン10の真下に位置しており、前記吸込口ケース2の下端に設けられた通常のスタンド11とで3点支持となり、座りがよくなって位置ずれを生じず安定性が増し、倒れ難くなる。
【0017】
そして、前記スタンド5が一端側が開口した中空部6を有するとともにその上面側に前記一端側が開口した切欠部8が設けられているので、その開口側部分(図1の右端部=通常では重心位置の関係で地面等に置いたときにここが最初に地面等に衝接する)を基点にして弾性変形し易くなり、良好なクッション特性(緩衝作用)が得られる。そのため、該スタンド5がショックアブソーバの役目を果たし、置いたときの衝撃やエンジン10の作動による振動等が効果的に吸収され、合成樹脂製のケース3の底面部3Aに破損が生じ難くされる。
【0018】
また、前記スタンド5を前記中央ケース3と一体成形により設けたことで、該スタンド5が補強部(リブ)ともなり、組立工数及び部品コストを削減できるとともに、軽量化も図れ、さらに、底面部3Aを平坦面にする必要が無くなるので設計の自由度や美観も向上させ得る。
また、前記スタンド5,5が底面部3Aに対する補強リブの役目も果たし、さらに、前記スタンド5,5の底面に凸条7が突設されていることにより、安定性が増すとともに、それがスタンド5,5に対する補強リブの役目を果たし、当該スタンド5,5だけでなく底面部3A自体の強度も増す。
【0019】
以上、本発明の一実施例を詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能であり、例えば、スタンドの形状は前記した樋形状のものに限られることはなく、柱状等にしてもよく、原動機として前記エンジン10に代えてモーターを用いたものでもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明に係る携帯式作業機は、機体外表面を形成する機体ケースの底面部にスタンドを設けたことにより座りが良くなり、このスタンドが上面及び一端側が開口した中空部を有する構造にされていることにより、該スタンドが弾性変形し易くなって良好なクッション特性が得られ、機体を地面等に置いたときの衝撃や原動機の作動による振動等が効果的に吸収され、底面部が合成樹脂製のケースで形成されていても破損を生じ難くできる。
【0021】
また、前記スタンドを前記ケースと一体成形により設けたことで、組立工数及び部品コストを削減できるとともに、軽量化も図れる。
更に、底面部を平坦面にする必要が無くなるので設計の自由度や美観も向上させ得、前記スタンドを樋形状として上面及び一側端を開口させること等により、一層クッション特性が向上するとともに、軽量化を図れる。
更にまた、前記スタンドの下端に凸部を突設することにより、一層座りが良くなるとともに、該凸部が補強部(リブ)にもなり、底面部の破損を確実に回避できるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る携帯式作業機の一実施例の要部破断背面図。
【図2】図1の実施例の側面図。
【図3】図1の実施例のスタンド部を詳細に示す部分拡大斜視図。
【符号の説明】
1…パワーブロワー
3…中央ケース(機体ケース)
3A…底面部
5…スタンド
6…中空部
7…凸部
8…切欠部
10…エンジン(原動機)
Claims (5)
- 原動機(10)と、それに駆動されるファン(21)等の被駆動部(20)とを備え、前記原動機(10)と前記被駆動部(20)を被覆する機体ケース(2,3,4)のうちの少なくとも底面部(3A)が合成樹脂で成形されてなる携帯式作業機において、
前記ケース(3)の底面部(3A)に、一側端とその上面が開口した中空部(6)を有するスタンド(5)が一体成形されていることを特徴とする携帯式作業機。 - 前記スタンド(5)が前記底面部(3A)の一側端から該底面部(3A)を横切る方向に伸びており、かつ、その中空部(6)の上面を開口させるように前記底面部(3A)にその一側端から前記スタンド(5)が伸びる方向に切欠部(8)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯式作業機。
- 前記スタンド(5)の下端に凸部(7)が突設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯式作業機。
- 前記スタンド(5)が細長い樋形状とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の携帯式作業機。
- 前記携帯式作業機がパワーブロワー(1)であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の携帯式作業機。
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