JP3641401B2 - ロケート装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両ボディなどの製品となる前のワークを加工する際に、ワークを所定の位置に位置決めして固定するロケート装置に関するもので、詳細には、このロケート装置において、ワークを検出する検出器の取り付けに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両のボディを形成する場合、金属部品であるワークどおしを溶接することがある。この場合、ラインを流れてくる第1のワークを、その溶接作業を行う行程において、位置決めするとともに固定し、さらに、この固定された第1のワークに対して第2のワークを所定の位置に重ねて固定し、これらを溶接ロボットなどにより溶接するという作業を行う。
【0003】
このような作業工程では、図2に示すように引込ロケート装置Rを複数設置しておき、これらの引込ロケート装置Rによりワークを位置決めして固定する。この引込ロケート装置は、図7に示すようなロケートピン01と、このロケートピン01の基部の周囲にワーク着座面02が形成されており、ワーク0w1,0w2,0w3に予め形成されているロケート穴に、ロケートピン01を挿通させるとともに、ロケート穴の周囲に形成されている受け面をワーク着座面02に当接させて位置決めを行い、さらに、引込ロケート装置Rに設けられている固定手段によりワークを固定する。
【0004】
また、引込ロケート装置Rには、ワーク0w1,0w2,0w3が正しく設置されたか否かを判定するためにワークに近接あるいは当接してワークを検出する検出器03,04,05が設けられており、ワークが送られてきて、各検出器03,04,05のいずれかがワークを検出したらワークが正しく位置決めされたと判定して、ワークを固定する作動を実行するよう構成されている。
【0005】
従来技術にあっては、検出器03,04,05は、ロケートピン01の外周にブラケットにより取り付けられている。図において、検出器が3つ示されているが、このように検出器が複数取り付けられているのは、以下の理由による。
【0006】
近年、製造効率の向上を図るために、1つのラインで複数種類の車種を製造することが検討されている。この場合、共通するロケート装置Rを用いて、形状の異なる複数種類のワーク0w1,0w2,0w3の位置決めならびに固定を行うことになる。そして、ワーク0w1,0w2,0w3の形状が異なる場合、引込ロケート装置Rでそれぞれのワーク0w1,0w2,0w3を正しく支持したときに、ワーク0w1,0w2,0w3のロケート穴近傍のロケートピン01に対する相対位置が図示のように異なることになる。
【0007】
それに対して、従来は、検出器03,04,05により、ワークの位置決め部分の周辺を検出していたため、1つの検出器で、全てのワークを検出することができなかった。そこで、図示のように、各ワーク0w1,0w2,0w3に対応して検出器03,04,05を設ける必要があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように1つのロケートピン01に対し複数の検出器03,04,05を外付けした構成にあっては、位置決めを行う全ての種類のワークを検出しようとした場合に、ラインを流すワークの種類が多くなると、必要な検出器の数も多くなり、コストが高くなるという問題を有していた。さらに、複数種類のワークにそれぞれ対応させて検出器を取り付けようとした場合に、ワークの形状によっては、検出器を取り付けるべき位置が重なってしまって取り付けることができなかったり、あるいは、取り付けることはできても複数種類のワークに対応すべくロケートピン01を移動させたときに、検出器が他のロケートピンやワークと干渉することから所望の位置に取り付けことができなかったりするもので、この場合、所望の種類のワークを全て検出することができなくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、上述の従来の問題点に着目して成されたもので、形状が異なる複数種類のワークが送られてきてもワークを確実に検出可能な検出器を備えたロケート装置を、安価に提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために請求項1記載の発明は、ロケート穴の周囲に位置決め用の受け面を備えるワークに対して前記ロケート穴にロケートピンを差し込むことでワークを位置決めするとともに、この位置決め状態でワークを支持可能に構成されたロケート装置において、前記ロケートピンの外周部に、ロケート穴へのロケートピンの差し込み状態で前記位置決め用の受け面との当接によりワークを位置決めするとともに、前記ロケートピンに対して固定であるワーク着座面が形成され、前記ワークの受け面がワーク着座面に着座したことを検出する検出器が、前記ワーク着座面に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロケート装置において、前記ロケートピンが、受け台に挿通され、この受け台の上端面が、前記ワーク着座面として用いられ、かつ、ワーク着座面の一部を切り欠いた凹状の切欠部が設けられ、この切欠部に前記検出器が設置されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のロケート装置において、前記ロケートピンが、受け台に挿通され、この受け台の上端面が、前記ワーク着座面として用いられ、前記検出器が、ワーク着座面から受け台に埋め込まれていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のロケート装置において、前記ロケートピンには、このロケートピンに対して収納および突出可能であるとともに、ワーク着座面との間にワークを挟持可能なクランプアームが設けられていることを特徴とする。
【0014】
【発明の作用および効果】
本発明では、ワークの位置決めを行う場合、ワークが正規の位置に送られてくると、ワークのロケート穴に対してロケートピンが挿通され、ワークのロケート穴の周囲に形成された受け面が、ロケートピンの外周に設けられているワーク着座面で支持される。この場合、ワークの種類が異なっても、ワークに形成された受け面をワーク着座面で支持することは共通する。
【0015】
そこで、このように、ワークが正しい位置に着座した場合、ワーク着座面に設けられた検出器がワークを検出する。
一方、ワークが正規の位置に位置決めされず、ワーク着座面にワークが着座されない場合には、検出器がワークを検出することが無く、また、ロケート穴の位置がずれて、ロケート穴と検出器とが符合した場合も、検出器がワークを検出することがない。よって、異常がある場合には、検出器がワークを検出することが無く、これにより異常判断を行うことができる。
【0016】
このように、本発明では、ワークの種類が異なっていても、必ず共通してワークの受け面が着座するワーク着座面において検出器がワークを検出するため、1つの検出器で複数種類のワークを確実に検出することができ、これにより、コストダウンを図ることができる。さらに、検出器が他のロケート装置と干渉することも無くなるとともに、ラインを流すワークの種類の数や形状などの制約が無くなり、製造加工の自由度が向上する。
【0017】
また、ワークにおいて、検出に必要な面積が小さくて済むため、従来では検出できなかった小部品の加工を行うラインにおけるロケート装置にも適用可能となって、汎用性が高くなるという効果が得られる。
【0018】
請求項2に記載のロケート装置では、ワーク着座面が上端に形成されている受け台において、ワーク着座面を切り欠いて切欠部を形成し、この切欠部に検出器を設置する。また、請求項3に記載のロケート装置では、受け台のワーク着座面に検出器を埋め込む。
いずれの場合も、検出器を設置するのが容易である。
【0019】
請求項4に記載のロケート装置では、ワークの受け面をワーク着座面に着座させた後、クランプアームを用いてワーク着座面との間にワークを挟持して固定する。したがって、ロケート装置によりワークの固定を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図2は本発明の実施の形態である引込ロケート装置を有した溶接作業工程を実行する部分の側面から見た概略図であって、この溶接作業工程には、複数の引込ロケート装置Rが設置され、ワークWの溶接を実行する。
【0022】
前記引込ロケート装置Rは、上下方向に伸縮するエアシリンダ1と、このエアシリンダ1により上下するピストンロッド2の上端部に設けられてピストンロッド2に対して本体3を左右方向(図において前後方向)に水平に移動させる移動装置4と、を備えている。また、本体3には、ロケートピン5(図において矢印の頭で示している)が立設されている。したがって、エアシリンダ1と移動装置4とを作動させることにより、ロケートピン5を、上下左右の任意の位置に移動させることができる。
【0023】
また、前記引込ロケート装置Rは、図1の断面図に示すように、本体3の上部に、2段の四角柱状に形成された受け台6が設けられ、この受け台6の上端面である水平面が、ワーク着座面61とされている。なお、受け台6の平面形状については、図4〜図6の(a)を参照のこと。
【0024】
さらに、ロケートピン5は、内部に収容穴51が形成されているとともに、側面にこの収容穴51と外部とを連通させる開口部52が設けられている。前記収容穴51には、2本のクランプアーム7が設けられている。このクランプアーム7は、それぞれの基端部がピストンロッド8に対してピン71を中心に回動可能に支持され、かつ、先端には、前記開口部52から出入りする鉤状の押さえ片72が設けられている。
【0025】
このクランプアーム7の押さえ片72が開口部52を出入りする構造について説明すると、両クランプアーム7は、中間部にガイド穴73が形成されており、このガイド穴73は、図3のクランプアーム7の単品図にも示すとおり、上端部ならびに中間部が軸方向に延在されている一方で、下端部が押さえ片72の突出方向と同じ方向に屈曲された形状に形成されている。そして、両ガイド穴73に対して、ロケートピン5に固定された一本のガイドピン9が挿通されている。また、前記ピストンロッド8は、図示を省略したエアシリンダにより上下にスライド自在に支持されている。
【0026】
したがって、ピストンロッド8を上方に移動させたときには、ガイドピン9がガイド穴73の下端の屈曲部分に相対的に位置して、両クランプアーム7は、両押さえ片72がロケートピン5の内部に収容された閉状態となっている。それに対して、ピストンロッド8を下方に移動させたときには、ガイドピン9とガイド穴73とが相対的に移動して、クランプアーム7が、図示のように押さえ片72をロケートピン5の側面に形成されている開口部52から外側に突出させるように拡開回動する。さらに、ピストンロッド8を下方に移動させることにより、押さえ片72が、前記ワーク着座面61に当接あるいは近接する。よって、押さえ片72とワーク着座面61との間にワークWを挟持することが可能となる。
【0027】
次に、本実施の形態の特徴的な構成について説明すると、前記ワーク着座面61には、ワーク着座面61と同一平面上に検出器10が設けられている。この検出器10を設置するにあたって、図4に示すように、ワーク着座面61の一部に断面四角形状の切欠部61aを設け、この切欠部61aに、先端の検出面を上端に配置させて縦に検出器10を設ける手段や、図5に示すように、ワーク着座面61の一端縁部を切り取った切欠部61aを設け、この切欠部61aに、側面の検出面を上端に配置させて横向きに検出器10を設ける手段や、図6に示すように、ワーク着座面61に孔を穿設してこの孔に円筒形の検出器10を、先端の検出面がワーク着座面61と略同一面となるように埋め込む手段などがある。ちなみに、検出器10としては、例えば、「オムロン株式会社」製の、アンプ中継近接スイッチE2EC,フラットタイプTL−W,角柱型TL−Q/Gを用いることができ、これらを、周囲金属から所定寸法以上離して設置して、この周囲金属よりも近接する金属を検出する。
【0028】
一方、本実施の形態にあっては、各ワークWにおいて、引込ロケート装置Rのワーク着座面61に対して面で当接するように、例えば、図4〜図6に示すようなブラケット状の受け面w1を形成するもので、その受け面w1の中心部に前記ロケートピン5を挿通させるロケート穴w2を形成するものである。このロケート穴w2は、図4に示すように、その径dがロケートピン5の径φよりも僅かに大径に形成されている。また、検出器10は、ロケートピン5がロケート穴w2に挿通された状態では、上記径差の範囲で両者のセンタがずれたとしても、受け面w1を検出可能な範囲に設置されている。また、前記受け面w1は、図4〜図6においてsで示すように、ワーク着座面61に対して僅かに広い範囲となるよう構成されている。
【0029】
次に、実施の形態の作用について説明する。
ラインに沿って送られてくるワークwの種類に応じ、各引込ロケート装置Rの各エアシリンダ1を作動させてロケートピン5をワークwに応じた高さに配置させるとともに、移動装置4を作動させてロケートピン5をワークwに応じた水平位置に配置させる。
【0030】
次に、ラインを送られてきたワークwが予め設定された位置に運ばれ、ワークwが正しい位置に配置された場合には、図4〜図6に示すように、ロケートピン5がワークwのロケート穴w2に挿通されるとともに、ワークwの受け面w1がワーク着座面61に当接され、位置決めが成される。また、このように正しく位置決めされた場合には、ワークwの受け面w1が、検出器10に近接あるいは当接し、これに対応して検出器10が、ワークwを検出する。
【0031】
一方、ワークwの受け面w1ならびに受け面w1に開口されたロケート穴w2の位置が正規位置からずれて検出器10にワークwの受け面w1が当接や近接しなかった場合には、検出器10はワークwを検出しない。この場合は、NGが出力されて以後の溶接作業などが中止され、作業者は、状況に応じて、ワークwを正しく設置し直したり、あるいはワークwを不良品として処理したりする。
【0032】
上述のようにして、ワークwの溶接加工を終えると、ワークwを次の工程に移動させ、次のワークwを迎える。この場合、次に送られてくるワークwの種類が今回のワークwと同一種類であれば、各引込ロケート装置Rは、そのままの位置に配置させ、異なる種類のワークwが送られてくる場合には、上述した手順により各引込ロケート装置Rのロケートピン5を、次のワークwに対応する所定の位置に移動させて、上記手順を繰り返す。
【0033】
本実施の形態では、ワークwに正しくロケート穴w2ならびに受け面w1が形成されていて、かつ、ワークwが、正しく配置されたときには、ワークwの受け面w1が必ず着座するワーク着座面61に検出器10を設けたため、1つの検出器10により複数種類のワークwの着座を確実に検出することができる。
【0034】
したがって、検出器10が1つで済む安価な構成でありながら、従来のように、加工するワークwの種類が限られること無く、どのようなワークwでも確実に検出することができるものであり、加工自由度が高くなるという効果が得られる。加えて、検出器10の保守用のランニングコストも低減できるという効果が得られる。
【0035】
さらに、ロケート穴w2およびその周辺の受け面w1の標準化が可能であるとともに、これらに必要な面積が小さく、各ワークwにおいて、これらの構成が与える制約を減らして、設計自由度の向上を図ることができる。
【0036】
また、ワークwにおいて、検出ならびにクランプに必要な面積が小さくて済むため、従来では検出ならびにクランプができなかった小部品の加工を行うラインにおけるロケート装置にも適用可能となって、汎用性が高くなるという効果が得られる。
【0037】
以上、図面により実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、実施の形態では、ワーク着座面61に検出器10を1個しか設けていなかったが、複数設けることも可能である。この場合、ワークwのロケート穴w2のセンタがずれていることを検出する精度を高めることができる。ちなみにロケート穴w2のセンタがずれている場合、ワークwをラインに流して様々な加工を行う場合に、いずれかの工程で、センタずれを原因とする加工不良が発生するおそれがあるが、これを高い確率で防止することができる。
実施の形態では、ロケート装置として引込ロケート装置に適用したものを示したが、これ以外のロケート装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の引込ロケート装置を示す断面図である。
【図2】実施の形態のロケート装置が設置されている工程の概略図である。
【図3】実施の形態の要部の側面図である。
【図4】実施の形態の要部の平面図および側面図である。
【図5】実施の形態の要部の平面図および側面図である。
【図6】実施の形態の要部の平面図および側面図である。
【図7】従来技術を示す平面図および側面図である。
【符号の説明】
1 エアシリンダ
2 ピストンロッド
3 本体
4 移動装置
5 ロケートピン
6 受け台
7 クランプアーム
8 ピストンロッド
9 ガイドピン
10 検出器
51 収容穴
52 開口部
61 ワーク着座面
61a 切欠部
71 ピン
72 片
73 ガイド穴
R 引込ロケート装置
w ワーク
w1 受け面
w2 ロケート穴
Claims (4)
- ロケート穴の周囲に位置決め用の受け面を備えるワークに対して前記ロケート穴にロケートピンを差し込むことでワークを位置決めするとともに、この位置決め状態でワークを支持可能に構成されたロケート装置において、
前記ロケートピンの外周部に、ロケート穴へのロケートピンの差し込み状態で前記位置決め用の受け面との当接によりワークを位置決めするとともに、前記ロケートピンに対して固定であるワーク着座面が形成され、
前記ワークの受け面がワーク着座面に着座したことを検出する検出器が、前記ワーク着座面に設けられていることを特徴とするロケート装置。 - 前記ロケートピンが、受け台に挿通され、
この受け台の上端部が、前記ワーク着座面として用いられ、かつ、ワーク着座面の一部を切り欠いた凹状の切欠部が設けられ、
この切欠部に前記検出器が設置されていることを特徴とする請求項1に記載のロケート装置。 - 前記ロケートピンが、受け台に挿通され、
この受け台の上端部が、前記ワーク着座面として用いられ、
前記検出器が、ワーク着座面から受け台に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載のロケート装置。 - 前記ロケートピンには、このロケートピンに対して収納および突出可能であるとともに、ワーク着座面との間にワークを挟持可能なクランプアームが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のロケート装置。
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