JP3640058B2 - 戸袋パネル付きの引き戸装置 - Google Patents

戸袋パネル付きの引き戸装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、戸袋パネル付きの引き戸装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
吊懸け式引き戸装置における戸袋パネルの取り付け構造に関する先行技術として、本願出願人の先願に係る特開平9−235938号公報がある。
【0003】
すなわちこの先願は、戸袋パネルを簡単に取付けできることを目的として、戸袋パネルを挟んで出入口と反対側の部位に上下長手の縦枠体を立設し、戸袋パネルを間口方向に沿って枠体に向けて水平動させることにより、戸袋パネルの一側縁を枠体に嵌合し、その状態で戸袋パネルを落とし込んで、戸袋パネルの下端をアジャスターに嵌め込む構造にしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、引き戸装置の組立に際して戸袋パネルを人が持ち上げる場合、一般に、人は戸袋パネルの表面に立って、両手で戸袋パネルの左右両側縁を掴んで、抱き抱えるようにして持ち上げている。しかるに前記先行技術の場合、戸袋パネルの側縁を縦枠に嵌合させるものであるため、戸袋パネルの一側縁を作業者が手で掴むことができず、このため、戸袋パネルを持ち上げて縦枠に嵌め合わせることが面倒であった。
【0005】
すなわち、戸袋パネルをセットするに際して当該戸袋パネルを持ち上げにくいため、組立の容易性を十分に向上できなかった。
【0006】
本発明は、このような実情を改善することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の引き戸装置は、建物の出入口を開閉自在に塞ぐ引き戸式の扉と、開いた状態の扉を覆う戸袋パネルと、扉及び戸袋パネルの上方に配置した欄間パネルと、戸袋パネルのうち出入口に近い側部を下方から支持するよう床又は地レールに配置されたセンターアジャスタとが備えられている。
【0008】
そして、前記センターアジャスタには、扉の下面に設けたガイド樋に嵌まることによって扉の開閉動をガイドするガイドローラが備えられている一方、前記戸袋パネルの内面のうち前記出入口の側に位置した端部に、上下長手でかつ戸袋パネルの上面よりも上向きに突出する補強枠を設けており、この補強枠の下部を前記センターアジャスタに上方から落し込み嵌合させることにより、戸袋パネルを奥行き方向にずれ不能に保持しており、更に、前記補強枠のうち戸袋パネルから上向きに突出した部分を、前記欄間パネルで覆われている上部枠体にねじで固定している。
【0009】
【発明の作用・効果】
本発明の構成では、戸袋パネルを取付けるにおいて当該戸袋パネルを間口方向に移動させる必要はなく、戸袋パネルにおける補強枠をセンターアジャスタに嵌合させてから、補強枠の上部を上部枠体に重ね合わせ、その状態で補強枠の上部を上部枠体にねじ等で固定したら良い。
【0010】
従って、作業者は、戸袋パネルを抱くようにして左右両側縁を両手で掴んで持ち上げてから(一人では両側縁に手が届かない広幅の戸袋パネルの場合は、二人で両側縁をそれぞれ掴んで同時に持ち上げてから)、戸袋パネルにおける補強枠の下端をセンターアジャスタに嵌合させ、それから、戸袋パネルから両手を離して、戸袋パネルを、その下端を支点にして起立状態に起こして枠体に重ねるという手順により、戸袋パネルを所定の姿勢にセットすることができる。
【0011】
従って本発明によると、戸袋パネルを取付けるに際して、戸袋パネルを簡単に持ち上げることができるのであり、このため、戸袋パネルの取付け(延いては引き戸装置の組立)を、容易かつ簡単に行うことができる。
【0012】
そして、戸袋パネルを補強する補強枠がセンターアジャスタに対する嵌合部を構成するため、頑丈な構造の戸袋パネルでありながら、構造を簡単化することができる。
【0013】
請求項2のように構成すると、係合手段によって戸袋パネルを立設した状態に仮保持することができるため、一々戸袋パネルを立設した状態に人手で保持してく必要がなく、このため、少ない人数の作業者で組立作業を安全に行うことができ、加えて、戸袋パネルの上下中途部が外側にはみ出るような膨れ現象を防止できる利点ある。
【0014】
【発明の実施形態】
次に、本発明自閉式の吊懸け式引き戸装置に適用されている実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
≪全体構成≫
図1は引き戸装置の正面図であり、引き戸装置は、右開き式の扉(引き戸)1と、前後一対の戸袋パネル2と、出入口を挟んで戸袋パネル2と反対側に立設した第1縦枠3と、戸袋パネル2を挟んで出入口と反対側に立設した第2縦枠4と、天レール(笠木)5と地レール(巾木)6とを備えている。また、扉1と戸袋パネル2との上方には前後一対の欄間パネル(点検パネル)6が配置されている。
【0016】
図2は欄間パネル7を取り外した状態での引き戸装置の正面図、図3は図1の III-III視断面図、図4は図1のIV−IV視断面図であり、これらの図に示すように、前後欄間パネル7の間の空間には、第1縦枠3と第2縦枠4との間に延びるレール取付枠8が配置されている。
【0017】
レール取付枠8の片面には固定レール9が固定されており、固定レール9に可動レール10を摺動自在に装着して(図面では固定レール9及び可動レール10の詳細は表示していない)、可動レール10に、左右一対のハンガー11を介して扉1吊り下げ固定されている。
【0018】
前記固定レール9は、第1縦枠3に近い一端部から第2縦枠4に近い他端部に行くに従って高さが徐々に高くなるように傾斜状に配置しており、このため、開かれた扉1から手を離すと、扉1は自重で自動的に閉まる。
【0019】
図2に簡略化して示すように、レール取付枠8には、扉1の閉止動に際しての衝撃を吸収するためのアブソーバ(エアシリンダ)12を設けている。図4に示すように、可動レール10には、アブソーバ12のピストンに当たるストッパー13を設けている。
【0020】
図3に示すように、本実施形態の引き戸装置は、建物のコンクリート製基礎14に開けた空間の箇所に設けており、基礎壁14の端面には支柱15が固定されており、また、基礎壁14の前後両側には壁パネル16を配置している。
【0021】
なお、図示していないが、第2縦枠4には、開き切った状態で扉1の端面が当たるクッション材(緩衝材)を設けている。
【0022】
以下、図5以下の図面も参照して各部位の詳細を説明する。
【0023】
≪戸袋パネル2と第2縦枠4との関係≫
図5は両縦枠3,4と天レール5の形状及び両者の関係を示す斜視図であり、これの図5及び図4に示すように、天レール5は下向き開口の樋状に形成されており、前後両側板5aには、階段状の折曲げ部5bが形成されている。天レール5には適当な間隔で上向き片17を切り起こし形成しており、この上向き片17を、建物の梁材18の下面に固着したブラケット19に溶接等によって固着している。図4に示す符号20は天井板である。
【0024】
第1縦枠3は天レール5と同じ前後幅寸法に設定されており、支柱14に向けて開口した広幅の樋状に形成されている。他方、第2縦枠4も天レール5と同じ前後幅寸法であり、第1縦枠3の方向に向けて開口した樋状に形成されており、かつ、前後側板4aを内側に向けて段違い状に折曲げて、図3に示すように、側板4aの折曲げ片4bに戸袋パネル2を重ね合わせている。
【0025】
戸袋パネル2の表面には金属製の化粧板21を張っている。
【0026】
第1縦枠3と第2縦枠4との上端には、天レール5に内側から嵌挿する張出部22を設けている。このように張出部22を設けると、天レール5との組立強度を向上できると共に、天レール5と両縦枠3,4との表面を同一面状に揃えて美感を向上できる利点がある。
【0027】
両縦枠3,4の下端には、当該縦枠3,4の内面形状と相似形に形成したサイドアジャスタ23が嵌まっている。サイドアジャスタ23には上方からボルト24をねじ込んでいる一方、縦枠3,4の内面には、ボルト24に載る支持ブラケット25を溶接等によって固着している。第2縦枠4を支持するサイドアジャスタ23は地レール6の外側に配置している。なお、第2縦枠4を地レール6の上に配置してもよいし、また、地レール6は必ずしも必要ない。
【0028】
図6及び図7は戸袋パネル2の取付け構造を示す図であり、両図に示すように、戸袋パネル2の一側部は第2縦枠4で支持されており、他側部は、地レール6の端部内に配置したセンターアジャスタ26で支持されている。
【0029】
先ず、第2縦枠4による支持構造を説明する。図6に示すように、第2縦枠4における側板4aの折曲げ片4bの下端に上向きの鉤片27を折曲げ形成している一方、戸袋パネル2には、化粧板21の側縁を折曲げることによって断面角形の折り返し部28を形成し、この折り返し部28の下端を第2縦枠4の爪27で支持している。
【0030】
戸袋パネル2を第2縦枠4で支持する係合部としては、戸袋パネル2の背面に爪を設ける一方、第2縦枠4の側板4aに係合穴を開けるなどしても良い。
【0031】
第2縦枠4の上部は押え金具30で第2縦枠4に固定されている。すなわち、この押え金具30は戸袋パネル2の折り返し部28に上方から部分的に嵌まり込むように形成されており、この押え金具30を、タッピンねじ等のねじ31で第2縦枠4における側板4aの折曲げ片4bに固定している。押え金具30には、戸袋パネル2の折り返し部28に嵌合する切欠き30aを形成している。
【0032】
なお、押え金具30は欄間パネル7で覆われるので、美感の問題はない。
【0033】
袋パネル2は第2縦枠4に直接にねじで固定しても良いが、欄間パネル7で覆われる押え金具30を介して固定すると、体裁が良い。
【0034】
≪センターアジャスタ26と戸袋パネル2≫
次に、戸袋パネル2の他側部の取付け構造を図〜図11も参照して説明する。図8はセンターアジャスタ26の斜視図、図9はセンターアジャスタ26の箇所の側断面図、図10は図9の X-X視断面図、図11は図10のXI−XI視断面図である。
【0035】
戸袋パネル2における他側部の内面には、戸袋パネル2の内面に向けて開口したコ字状の補強枠33が溶接等によって固着されている一方、センターアジャスタ26には、前記補強枠33に向けて延びる前後一対の支持部34が立設されており、また、センターアジャスタ26には、扉1の下面に設けたガイド樋35に嵌まるガイドローラ36を水平回転自在に取付けている。
【0036】
図8に明示するように、地レール6の端部には内向きの端面板6aが折曲げ形成されており、この端面板6aでセンターアジャスタ26が位置決めされている。また、地レール6及びセンターアジャスタ26はそれぞれアンカー37で床に固定されている。
【0037】
センターアジャスタ26の支持部34は、左右側板34aを設けることによって平断面コ字状に形成されており、また、支持部34の上端に内向きの水平片34bを折曲げ形成して、この水平片34bにアジャスターボルト38をねじ込んでいる。水平片34bは支持部34の左右横幅よりも短い寸法に設定されており、このため、水平片34bと左右側板34aとの間の部位は上方に向けて開口している。
【0038】
戸袋パネル2における補強枠33の内部には、前記センターアジャスタ26に載る支持片39を溶接等によって固着している。また、補強枠33には、アジャスターボルト38を回転操作するスパナ(図示せず)を挿入するための窓穴40が空いている。
【0039】
9に示すように、戸袋パネル2の補強枠33は、センターアジャスタ26における支持部34の水平片34aに被嵌するように、その側板を部分的に切欠いている(切欠きを符号41で示す)。補強枠33と支持部34との間には極く僅かの隙間が空いており、このため、戸袋パネル2がその広幅面と直交した方向(引き戸装置の奥行き方向)にずれ動くの阻止される
【0040】
更に、図10や図11に示すように、戸袋パネル2における補強枠33は、センターアジャスタ26の支持体の内部にきっちり嵌まる横幅寸法に設定されており、これにより、戸袋パネル2が間口方向にずれ移動することが阻止される。
【0041】
上述の説明から容易に理解できるように、センターアジャスタ26が支持部材の一例を成しており、また、センターアジャスタ26の支持部34と戸袋パネル2の補強枠33とは係合部の一例を成している。
【0042】
実施形態では戸袋パネル2は左右2か所で支持しているが、三箇所以上で支持しても良い。また、本実施形態では補強枠33がセンターアジャスタ26に嵌挿しているが、補強枠33がセンターアジャスタ26に被嵌する構造でも良い。
【0043】
図12及び図13に示すように、第2縦枠4における側板4aの適当な高さ位置に、戸袋パネル2を直立姿勢に仮保持する係合手段の一環として、固定具42を装着している。
【0044】
この固定具42は板ばね等の薄い弾性板製であり、第2縦枠4における側板4aの折曲げ片4bに被嵌する形状である。また、固定具42には、戸袋パネル2における折り返し部28の先端縁に弾性に抗して係合する爪部42aを一体に形成している。更に、固定具42には、抜け止めためのストッパー片42bを設けている。
【0045】
したがって、固定具42と戸袋パネル2の折り返し部28とで請求項に記載した係合手段が構成されている。
【0046】
なお、固定具42は図示のような形態に限らず、例えば、第2縦枠4の側板4aに開けた穴に挿入する構造などでも良いし、また、固定具42は合成樹脂製等でも良い。
【0047】
≪引き戸装置の上部の構造≫
次に、引き戸装置の上部の構造を図14〜図16に基づいて説明する。図14は分離斜視図、図15は欄間パネルを取り外した状態の正面図、図16は欄間パネル7を取り付けた状態での図15の XVI-XVI視断面図である。
【0048】
両縦枠3,4の上部には、レール取付枠8の側部に重なり合う金属板製のブラケット板43を溶接等によって固着しており、このブラケット板43にレール取付枠8をねじ44で固定している。第2縦枠4におけるブラケット板43のねじ挿入穴45は単なる丸穴である一方、第2縦枠4におけるブラケット板43のねじ挿入穴46は上下に長い長穴になっている(加工誤差や組立誤差を吸収するためである)。
【0049】
また、レール取付枠8のうち第1縦枠3に近い端部には、ブラケット板43に上方から当たる押えねじ47をねじ込んでいる。このため、ブラケット板43のねじ挿入穴47が長穴であっても、レール取付枠8を下向きずれ不能に保持できる。
【0050】
前記戸袋パネル2の補強枠33は戸袋パネル2の上方に長く延びており、図14や図15に示すように、レール取付枠8の上部に、前後補強枠33の上部に重な合う広幅部8aを一体に形成し、この広幅部aに補強枠33をねじ48で固定している。従って、本実施形態ではレール取付枠8が請求項の上部枠体となる。
【0051】
図16から容易に理解できるように、両ブラケット板43は、平面視で引き戸装置の前後中央部に位置しており(平面視の中心線を符号49で示している)、このため、レール取付枠8は左右を逆にして裏返した状態で固定することができる。
【0052】
また、図4(A)に表示した中心線49から容易に理解できるように、扉1はその前後中央部をハンガー11に固定している。このため、レール取付枠8を左右に逆向きにして裏返した状態に付け替えることができる。
【0053】
戸袋パネル2の補強枠33はレール取付枠8よりもやや上方に突出しており、図14に示すように、前後の補強枠33の上端平面視コ字状の吊金具50に対してもねじ51で固定されている。吊金具50は、図7や図4に示すように、天レール5の内側面にねじ52で固定されている。
【0054】
≪欄間パネル7の取付け構造≫
次に、図4,図5,図16に基づいて欄間パネル7の取付け構造を説明する。欄間パネル7の上下両端にはコ字状の折り返し部7a,7bが形成されており、上端は、天レール5に装着した合成樹脂製の吊り具53に引っ掛けられている。
【0055】
図4(B)に拡大して示すように、吊り具53は、天レール5における側板5aの段状折曲げ部5bの内面にきっちり嵌まる内部材53aと、その下端に一体に連接された外部材53bとから成っており、内部材53aと外部材53bとの下部で、天レール5の折曲げ部5bの下端が挟持されている。
【0056】
また、吊り具53の外部材53bには、欄間パネル7における上折り返し部7aの内部にきっちり嵌まる係止部53cが一体に形成されている。係止部53cは、欄間パネル7の嵌め込みを容易ならしめるため舌状に形成されている。言うまでもないが、吊り具53は適当な間隔で天レール5に装着している。
【0057】
図5や図16に示すように、第1縦枠3の上部には、欄間パネル7の端部が重なる当て板54が装着されており、欄間パネル7における一端部の下端を化粧ねじ55で当て板54に固定している。また、欄間パネル7における他端部の下端は、第2縦枠4の折曲げ部4bに化粧ねじ55で固定されている。
【0058】
吊り具53は、その弾性に抗して天レール5の側板5aに下方から被嵌することにより、天レール5にワンタッチ的に取付けることができる。取付けた後は、吊り具53の下部で天レール5の折曲げ部5bが内外から挟持されているため、吊り具53が外れることはない。また、欄間パネル7を取り外せば、吊り具53はその取付けと逆の操作によって取り外すことができる。
【0059】
ところで、前記した特開平9−235938号公報では、その図12に示されているように、欄間パネルの取付け手段として、単純な断面コ字状の天レールを前提として、天レールに、上向き開口コ字状の係止体(吊り金具)を天レールに下方から部分的に被嵌し、この係止体における前後側板の上部を天レールの外側に重ねており、この側板に欄間パネルの折り返し部を嵌め込んでいる。
【0060】
しかし、従来の構造では、係止体の側板が天レールの外側にはみ出るため、天レールの片面を建物の壁に重ねた状態で取付けた場合、支持体を取付けることができないという問題がある。
【0061】
これに対して本実施形態では、天レール5の側板5aの下部が内向きに折曲げられているため、吊り具53は天レール5の外側に突出せず、このため、図4に二点鎖線で示すように天レール5の片面が建物の壁Eに重なっていても、欄間パネルを支障無く吊懸けできる利点がある。
【0062】
特に、実施形態のように吊り具53を個別に側板5aの折曲げ部5bに取付ける構造にすると、吊り具53の構造が簡単になると共に、天レール5への装着がしごく簡単になる利点がある。
【0063】
また、前記公報の構造の場合、係止体が金属板製であるため、扉を開け閉めするたびに、振動で欄間パネルがガタ付く問題があったが、本実施形態によると、合成樹脂製であり、しかも、吊り具53で欄間パネル7と天レール5の折曲げ部5bとが挟持されているため、ガタ付きをなくすことができる利点もある。
【0064】
更に、吊り具53を弾性に抗して天レール5の折曲げ部5bに取付ける構成にすると、特段の加工を必要としないため、組立の手間も軽減できる。
【0065】
≪引き戸装置の組立手順≫
引き戸装置の組立は、大雑把に言って、▲1▼天レール5、地レール6、両縦枠3,4を固定する、▲2▼レール取付枠8を左右縦枠3,4間に装架し、これと相前後して、センターアジャスタ26を地レール6に固定する、▲3▼可動レール10に扉1を固定する、▲4▼両戸袋パネル2を取付ける、▲5▼欄間パネル7を取付ける、という手順で行われる。
【0066】
そして、戸袋パネル2を取付けるに当たっては、戸袋パネル2をその上端が手前に倒れるように多少傾斜させた状態で持ち上げて、まず、その下端を第2縦枠4の爪27とセンターアジャスタ26とに載せてから、直立状態に起こし、それから、センターアジャスタ26のアジャスターボルト38を回転操作することにより、戸袋パネル2の下端縁が水平状となるように調節する。つまり、戸袋パネル2は、第2縦枠4で支持された一側部を基準にして姿勢が調整される。
【0067】
それから、戸袋パネル2の一側部を押え金具30及びねじ31で第2縦枠4に固定すると共に、補強枠33の上部をレール取付枠8にねじ48で固定し、次いで、吊り金具50を補強枠33と天レール5とにねじ51,52で固定する。
【0068】
この戸袋パネル2の取付けにおいて、作業者は、戸袋パネル2を両手で抱くようにして持ち上げた状態で、戸袋パネル2の下端部を第2縦枠4の爪27及びセンターアジャスタ26に嵌め込み、それから、両手を戸袋パネル2から離して、戸袋パネル2を前面を押して直立状態に起こせば良く、これにより、戸袋パネル2は左右位置が正確に規定された状態にセットされる。このため、戸袋パネル2の持ち上げが簡単で、その結果、組立作業を容易に行える。
【0069】
また、実施形態のように固定具42を使用すると、センターアジャスタ26で姿勢を調節する間、戸袋パネル2を直立状態に保持できるため、少なく人数の作業者で安全に組立作業を行える。また、戸袋パネル2の上下中途部が外側に向けて膨れ出る現象を防止できる。
【0070】
≪左右開き方向への対処≫
図17〜図19では左開き式の引き戸装置を示しており、図17は正面図、図18は図17の XVIII-XVIII視断面図、図19は図17の XIX-XIX視断面図である。
【0071】
引き戸装置は全体として前後対称の形態であり、前後対称形の部材は右開き式の場合も左開き式の場合も共用できるが、レール支持枠は前後非対称の形態であるため、従来は、右開き用と左開き用との二種類を製造していた。
【0072】
これに対して本実施形態では、両縦枠3,4のブラケット板43を前後中央部に配置しているため、図18及び図19に示すように、1種類のレール取付枠8を左右に裏返して両ブラケット板43に取付けることができ、このため、コスト及び部品管理の手間を軽減できる利点がある。
【0073】
なお、ブラケットは他の形態でも良い。また、レール取付枠8を直接に縦枠3,4に固定しても良い。また、レール取付枠8を右開きと左開きに兼用する手段としては、レール取付枠8を左右を逆にして裏返した状態で縦枠3,4に付け替えたときに、ハンガー11と扉1との取付け箇所が前後中央部に位置するように設定しておけば良いのであり、必ずしも図示の断面形状には限らない。
【0074】
≪変形例≫
図20及び図21は第1の変形例であり、図20は側断面図、図21は図20の XXI-XXI視断面図である。この例では、一方の補強枠33の上部に吊り金具60を嵌め入れてねじ61で固定し、吊り金具60を天レール5の内側面にねじ62で固定している。従って、本実施形態では吊り金具60が請求項に記載した上部枠体に該当する。
【0075】
図22及び図23は他の変形例であり、図22は天レール5の底面図、図23は図22の XXIII-XXIII視断面図である。この例では、天レール5の端部に金属板製のキャップ63を溶接によって固着し、このキャップ63の箇所に第2枠4体4を下方から挿入している。
【0076】
≪その他≫
本発明は図示の形態以外の様々の形態に具体化できる。例えば、実施形態のような縦枠3,4は必ずしも必要はなく、例えば地レールのみで戸袋パネルの下端部を支持しても良い。
【0077】
また、戸袋パネルを仮固定する係合手段としては実施形態のような仮固定具を使用することには限らず、例えば、縦枠に切り起こし形成した爪を利用するなどしても良い。
【0078】
また、扉は必ずしも吊懸け式である必要はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】引き戸装置の正面図である。
【図2】欄間パネルを取り外した状態での引き戸装置の正面図である。
【図3】図1の III-III視断面図である。
【図4】図1のIV−IV視断面図である。
【図5】引き戸装置の枠組の分離斜視図である。
【図6】 (A)は戸袋パネルと第2縦枠との分離斜視図、 (B)は取付け状態での要部側断面図である。
【図7】戸袋パネルの取付けを示すための分離斜視図である。
【図8】アジャスターと地レールとの斜視図である。
【図9】戸袋パネルをアジャスターで支持した状態の断面図である。
【図10】図9の X-X視断面図である。
【図11】図10のXI−XI視断面図である。
【図12】仮固定具と第2縦枠との分離斜視図である。
【図13】戸袋パネルを仮固定した状態の平断面図である。
【図14】レール支持枠の取付けを示す分離斜視図である。
【図15】欄間パネルを取外した状態での引き戸装置の上部の正面図である。
【図16】図15の XVI-XVI視断面図である。
【図17】左開き式の引き戸装置の正面図である。
【図18】図17の XVIII-XVIII視断面図である。
【図19】図17の XIX-XIX視断面図である。
【図20】変形例を示す断面図である。
【図21】図20の XXI-XXI視断面図である。
【図22】他の形態の天レールの底面図である。
【図23】図22の XXIII-XXIII視断面図である。
【符号の説明】
1 扉(引き戸)
2 戸袋パネル
3 第1縦枠
4 第2縦枠
5 天レール(笠木)
6 地レール(巾木)
7 欄間パネル
8 レール取付枠
26 センターアジャスタ
27 係合部の一例としての爪
29 係合部の一例としての係合穴
30 押え金具
33 補強枠
34 センターアジャスタの支持部
42 係合手段を構成する仮固定具
50 吊金具

Claims (2)

  1. 建物の出入口を開閉自在に塞ぐ引き戸式の扉と、開いた状態の扉を覆う戸袋パネルと、扉及び戸袋パネルの上方に配置した欄間パネルと、戸袋パネルのうち出入口に近い側部を下方から支持するよう床又は地レールに配置されたセンターアジャスタとが備えられており、
    前記センターアジャスタには、扉の下面に設けたガイド樋に嵌まることによって扉の開閉動をガイドするガイドローラが備えられている一方、
    前記戸袋パネルの内面のうち前記出入口の側に位置した端部に、上下長手でかつ戸袋パネルの上面よりも上向きに突出する補強枠を設けており、この補強枠の下部を前記センターアジャスタに上方から落し込み嵌合させることにより、戸袋パネルを奥行き方向にずれ不能に保持しており、更に、前記補強枠のうち戸袋パネルから上向きに突出した部分を、前記欄間パネルで覆われている上部枠体にねじで固定している
    戸袋パネル付きの引き戸装置。
  2. 前記戸袋パネルの内側に、当該戸袋パネルが重なる上下長手の縦枠体が配置されており、これら戸袋パネルと縦枠体との上下中途高さ部位に、戸袋パネルを縦枠体に重ね合わせる動きに伴って弾性に抗して係合することによって戸袋パネルを倒れない状態に保持する係合手段が設けられている、
    請求項1に記載した戸袋パネル付きの引き戸装置。
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