JP3639165B2 - 回転撹拌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はボールミルやポットミル,ミキサー等のように筒状の収容体内に加工や調合の対象物を収容して収容体を回転させる回転撹拌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来上記のような回転撹拌装置は、例えば陶器用の釉薬製造用のポットミルでは特開平7−171429号に示されるように、回転するポット(収容体)内にスチールボールと釉薬材料を投入して回転し、撹拌粉砕及び調合を行うものが知られている。またミキサーでは回転する内周に撹拌用の羽根や突起を設けた筒状のドラム(収容体)内に調合対象物を収容して回転させるものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記のようなポットミルではポットの軸心と回転軸心とが一致しているために、筒状収容体内周面とその回転軌跡が一致し、ボールは単純に内周面に沿って転動するだけの運動となり、粉砕や撹拌能力に限りがある。
【0004】
また粉砕効果を高めるためにポット内周面に撹拌用の羽根や突起を付設するとコスト高になるほか、ポットが磁器製のものでは突起等の付設が特に困難で且つコスト高になる率も大きいという欠点がある。
【0005】
さらにポットミル等の内周に撹拌羽根等を設けることは内部でのボールの落下による衝撃を伴い騒音発生の問題やボール及びポット内周面(特に磁器製ポットの場合)を破損又は摩耗する等の問題があり好ましくない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明はこれらの問題を解決するために、ポット等の収容体内の収容物を、内周面の回転と収容体軸心の上下左右の揺動とによって撹拌又は粉砕効果を高めることを可能にしようとするもので、第1に、本体フレーム1に対して内部に加工又は調合対象物を収容する収容体9を回転自在に横方向に支持するとともに、該収容体9を回転駆動する駆動装置を11取り付けたものにおいて、収容体9を支持する支持部16に該支持部16の回転軸心O1に対して、収容体9の軸心O2の端部を偏心させる偏心支持部27を設けてなることを特徴としている。
【0007】
第2に偏心支持部27が収容体9の軸心端部の偏心回転の有無又は偏心度合いの調節が可能な調心部としたことを特徴としている。
【0008】
第3に内部に収容体9を挿通して回転可能に支持する支持フレーム12を本体フレーム1に支持せしめ、該支持フレーム12と収容体9との間に偏心支持部27を設けてなることを特徴としている。
【0009】
第4に収容体9の軸心O2が傾動する方向に回動するように支持フレーム12を本体フレーム1に対して回動自在に支持せしめてなることを特徴としている。
【0010】
第5に収容体9の軸心O2を所定の回動位置で支持する姿勢調節部を設けてなることを特徴としている。
【0011】
第6に支持フレーム12の収容体支持部16が、支持フレーム12と一体の外輪16aと、外輪16aの内周に回転自在に支持され偏心支持部27を介して内部に収容体9を支持する内輪16bとを備えたことを特徴としている。
【0012】
第7に偏心支持部27が内輪16b内周と収容体9外周との間に介挿される弾力性を備えた部材より構成されることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下発明の実施の形態をポットミルの場合について詳述すると、図1〜図4は本発明の装置の全体構造を示し、本体フレーム1はパイプを略三角形状に折り曲げ形成した前後一対のフレーム片2,3の下部左方コーナーに、補強板を兼ねたL字形の底部カバー4が前後方向に取り付けて一体構成されている。
【0014】
前後フレーム片2,3の上端コーナーには、軸受プレート6が固着されて軸受7,7がそれぞれ設けられており、該軸受7,7には、スチールボール8と釉薬原料を収容する円形断面の陶器製のポット9と、該ポット9を回転駆動するモーター11とを取り付け支持する支持フレーム12が、前後のフレーム軸13を介して回動自在に軸支されている。
【0015】
支持フレーム12はポット9に遊嵌して外装されるリング状の収容体支持部16と該支持部16の外周上方に突設されるモーター支持部17とからなり、前述したフレーム軸13は支持部16の外周の前後位置に法線方向に各突設されている。
【0016】
支持部16は外輪16aと内輪16bとの間にボール16cを介挿してボールベアリングを形成しており、内輪16bは外輪16aより左方に突出しており、モーター側プーリ18と対応する従動側プーリ19を構成しており、両プーリ18,19間にはベルト21が巻き掛けられ、内輪16bを回転駆動することにより、ポット9が回転される構造となっている。上記プーリ18,19とベルト21はそれぞれスプロケットとチェンにより構成してもよい。20は支持フレームに取り付けられるベルトカバーである。
【0017】
ポット9は右端中央に開口部22を形成し、パッキン23を介して蓋24が取り外し可能に取り付けられ、蓋24はポット9側の植込ボルト(緊締具)26によりボルト締め固定される。またポット9は左右長さの略中央外周において、調心部(偏心支持部)27を介して内輪16bの内周に挿通支持される。
【0018】
上記調心部(材)27は弾力変形するゴム又はプラスチック材からなるOリングからなり、通常は内輪16bとポット9との緩衝材として作用するが、後述するようにポット9の中心線の左右端を偏心(心振れ)させてローリング回転させる場合には、偏心調節部材として機能する。
【0019】
さらに上記ポット9を支持フレーム12側に固定的に支持する機構は、ポット9の左右両端面外周縁に適合して押接され、一定の弾力性を備えたドーナツ型の押さえプレート(押さえ具)28と、該各押さえ具28の外周に内向きに挿通され、先端がそれぞれ内輪16bの左右端面に設けたボルト孔29にねじ込まれる多数本の締付ロッド(固定具)31とにより構成され、内輪16bの回転軸心O1とポット9の中心線O2を一致させる場合は、内輪16bと各押さえプレート28との間隔を一定に保つスペーサパイプ32が各締付ロッド31に外挿されてボルト締めが行われる。この時各押さえプレート28の内面外周縁側とポット9の両端面の外周縁側内面は略密着適合して、弾力的に押圧保持されている。
【0020】
これに対し、図3,図4に示すように内輪16bの回転軸心O1に対しポット9の中心線O2を傾斜させてポット9を支持させる場合は、傾斜角分θ分だけポット9を回転軸心O1に対して傾斜させた状態で、上記各締付ロッド31のねじ込み深さを調節しながら締め付けることによってポット9の支持を行わせる。
【0021】
この時押さえプレート28は僅かに弾性変形して傾斜状態のポット9の両端面外周に弾力的に押接されてポット9を内輪16b側に保持する。また傾斜角が大きい時はポット9の端面の一部はドーナツ状の各押さえプレート28の内側の開口孔より突出するが、傾斜角θが大きいためにパイプ32の長さが長短適合しない場合は、長さの異なるパイプ32又は一方のパイプ32の長さを補うリング状の補助スペーサ(図示しない)を接合して寸法が不足する側のパイプ32の長さを補うことができる。またパイプ32自体に予め長さの異なるものを用意して適宜組み合わせて使用することが可能である。
【0022】
そして上記軸心O1と中心O2を傾斜させる際には、締付ロッド31を緩めた状態で、内輪16bに対してポット9を傾斜させた時に、偏心支持部又は調心部としてのOリング27が、ポット9の外周面と内輪16bの内周面間での軸振れ方向のずれと弾性変形とによって適応する構造である。
【0023】
上記のようにポットの中心O2を内輪16bの回転軸心O1より、両端が傾斜角θだけ偏心した状態で内輪16bを回転させると、内輪16bはその回転軸心O1を中心に回転するが、ポット9は2×θの振れ角で左右両端が外周方向に心振れして偏心ローリング回転する。
【0024】
即ち、ポット9は正面視で支持部16の回動軸心Oを中心に左右が全方向に心振れしながら回転する結果、内部のボール8その他の加工又は調合対象物はポット回転による周面に沿った転動の他に上下及び左右方向にも移動し、内部における撹拌や粉砕効果がより効率よく行われることになる。
【0025】
前述した前後の軸13には、それぞれボス33,34が一体的に設けられ、後方のボス34には上向きのレバー36が立設され、前方のボス33の外周の少なくとも左右及び上方にはセット孔37が形成されている。そして前方フレーム片3側には後向きのブラケット38を介して上記前方のボス33のセット孔37に対して挿脱するピン状のセット具39が取り付けられている。
【0026】
上記レバー36は支持フレーム12を左右にそれぞれ90゜ずつ回動させてポット9を上向き、横向き、下向きに姿勢変更させるもので、セット具39は、上記各姿勢をセットするものである。これによってポット9に対する加工又は調合材料やスチールボール等の投入作業、撹拌作業、材料の排出作業の各姿勢を切り換えセットできる構造となっている。41は前方のフレーム片2の正面側に取り付けられるポット回転操作用のスイッチボックスで、取付ブラケット42を介して取り付けられている。
【0027】
【発明の効果】
以上の如く構成される本発明の装置によれば、小型ボールミル,ポットミル又はミキサー等の撹拌に際し、収容体が単に回転するだけでなく横方向に支持されて心振れしながらローリング回転するので、撹拌又は粉砕効果が高くなるほか、回転ローラー上で回転させるものに比して小型化、軽量化、省エネルギー化及びコスト低減が実現できる利点がある。
【0028】
またローリング作動するので収容体内部に必ずしも撹拌羽根等を設ける必要がなく、内部の構造の簡略化、低コスト化、ボールミル等における騒音発生や収容体内面の損耗の防止ができる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の全体正面図である。
【図2】本発明装置の左側面図である。
【図3】本発明装置の正面断面図である。
【図4】本発明装置の偏心支持構造を示す要部拡大断面図である。
【図5A】本発明装置の右側面図である。
【図5B】本発明装置の左側面図である。
【図5C】本発明装置の平面図である。
【図5D】本発明装置の底面図である。
【図5E】本発明装置の背面図である。
【図5F】本発明装置の正面図である。
【図5G】本発明装置のA−A縦断面図である。
【図5H】本発明装置のB−B断面図である。
【符号の説明】
1 本体フレーム
9 収容体(ポット)
11 駆動装置(モーター)
12 支持フレーム
13 支持フレーム軸
16 収容体支持部(ベアリング)
16a 外輪
16b 内輪
27 偏心支持部(調心部,Oリング)
33,34 ボス(姿勢調節部)
36 レバー(姿勢調節部)
37 セット孔(姿勢調節部)
39 セット具(姿勢調節部)
O1 回転軸心
O2 収容体軸心(中心線)
Claims (7)
- 本体フレーム(1)に対して内部に加工又は調合対象物を収容する収容体(9)を回転自在に横方向に支持するとともに、該収容体(9)を回転駆動する駆動装置を(11)取り付けたものにおいて、収容体(9)を支持する支持部(16)に該支持部(16)の回転軸心(O1)に対して、収容体(9)の軸心(O2)の端部を偏心させる偏心支持部(27)を設けてなる回転撹拌装置。
- 偏心支持部(27)が収容体(9)の軸心端部の偏心回転の有無又は偏心度合いの調節が可能な調心部とした請求項1の回転撹拌装置。
- 内部に収容体(9)を挿通して回転可能に支持する支持フレーム(12)を本体フレーム(1)に支持せしめ、該支持フレーム(12)と収容体(9)との間に偏心支持部(27)を設けてなる請求項1又は2の回転撹拌装置。
- 収容体(9)の軸心(O2)が傾動する方向に回動するように支持フレーム(12)を本体フレーム(1)に対して回動自在に支持せしめてなる請求項3の回転撹拌装置。
- 収容体(9)の軸心(O2)を所定の回動位置で支持する姿勢調節部を設けてなる請求項4の回転撹拌装置。
- 支持フレーム(12)の収容体支持部(16)が、支持フレーム(12)と一体の外輪(16a)と、外輪(16a)の内周に回転自在に支持され偏心支持部(27)を介して内部に収容体(9)を支持する内輪(16b)とを備えた請求項3又は4又は5の回転撹拌装置。
- 偏心支持部(27)が内輪(16b)内周と収容体(9)外周との間に介挿される弾力性を備えた部材より構成される請求項1又は2又は3又は4又は5又は6の回転撹拌装置。
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