JP3639010B2 - モノテルペン系化合物の保持機能を有する押し出しチューブ容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペースト状物を収容する押し出しチューブ容器に関するもので、特に香料や医薬の成分をなすモノテルペン系化合物が添加されているペースト状物に対しての良好な内填物保存特性を有する押し出しチューブ容器を提供する。
【0002】
【従来の技術】
ペースト状物を収容する押し出しチューブ容器は、下端部を閉塞したチューブ容器胴部、該チューブ容器胴部の上端部に連続している円錐台形状の肩部とそれに連続する細首の口頸部とによる頭部、及び前記口頸部に着脱自在に係合するキャップとからなる。
【0003】
従来の押し出しチューブ容器は、チューブ容器胴部の内周面層をオレフィン系樹脂で形成してあるため、香料や医薬の成分をなすモノテルペン系化合物である例えばミルセン、リモネン、ピネン、カンフェン、リナロール、メントール、テルピネオール、フェンチルアルコール等を含有する内填物を収納すると、該内填物中のモノテルペン系化合物がチューブ容器胴部の内周面層に吸着したりあるいは浸透したりするため、内填物に対する良好な保存特性が得られない。
【0004】
また、従来の押し出しチューブ容器は、積層シートの側辺部同士を重畳して該部分を貼着することによって形成した背貼り部を有する円筒状の成形体をチューブ容器胴部に使用しているため、内填物の絞り出し操作の繰り返し中にチューブ容器胴部の背貼り部が剥離する恐れを有している。
【0005】
さらに従来の押し出しチューブ容器は、前記のチューブ容器胴部に形成した背貼り部に段差を有しているため、チューブ容器胴部内への内填物の充填後に形成するチューブ容器胴部の尾端部の形成が不安定になる等の不都合を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、香料や医薬の成分をなすモノテルペン系化合物を含有する内填物を充填した場合には、内填物中のこれらの化合物に対する非吸着及び非浸透特性を有しており、しかもチューブ容器胴部に背貼り部が存在しない押し出しチューブ容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の構成による本発明の押し出しチューブ容器によって達成される。すなわち本発明は、円筒状のチューブ容器胴部及び該チューブ容器胴部の一方の端部に接合している肩部と口頸部とによる頭部を有する押し出しチューブ容器であって、上記円筒状のチューブ容器胴部を、外側層から内側層に向かって、低密度ポリエチレン樹脂層/接着剤層/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層/接着剤層/ポリブチレンテレフタレート樹脂層からなる積層構成の共押し出し成形体で形成したモノテルペン系化合物の保持機能を有する押し出しチューブ容器からなる。
【0008】
又本発明は、円筒状のチューブ容器胴部及び該チューブ容器胴部の一方の端部に接合している肩部と口頸部とによる頭部を有する押し出しチューブ容器であって、上記円筒状のチューブ容器胴部を、外側層から内側層に向かって、接着性低密度ポリエチレン樹脂層/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層/接着剤層/ポリブチレンテレフタレート樹脂層からなる積層構成の共押し出し成形体で形成したモノテルペン系化合物の保持機能を有する押し出しチューブ容器からなる。
【0009】
上記の構成による本発明の押し出しチューブ容器においては、チューブ容器胴部の一方の端部に接合している肩部と口頸部とによる頭部を、ポリブチレンテレフタレート樹脂で形成することによって、上記のモノテルペン系化合物の保持機能をより高めることができる。
【0010】
又、上記の構成による本発明の押し出しチューブ容器においては、チューブ容器胴部の内側層をなすポリブチレンテレフタレート樹脂層の存在によってチューブ容器胴部の弾撥性が大きいために、チューブ容器胴部を外部から押圧する内填物の絞り出し操作後にチューブ容器胴部が復元する力が大きく、これによってエアバックが生じ易い。
【0011】
このため、チューブ容器内に残存している内填物がエアバックによる酸素の影響で劣化することがあり、又、再度内填物を押し出すときの絞り出し操作が円滑でなくなる。従って、本発明の押し出しチューブ容器においては、チューブ容器胴部を外部から押圧する内填物の絞り出し操作に伴うエアバックを防止するためのエアバック防止栓を口頸部に具備することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記の構成による本発明の押し出しチューブ容器は、外側層から内側層に向かって、低密度ポリエチレン樹脂層/接着剤層/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層/接着剤層/ポリブチレンテレフタレート樹脂層からなる積層構成の円筒状の成形体、又は外側層から内側層に向かって、接着性低密度ポリエチレン樹脂層/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層/接着剤層/ポリブチレンテレフタレート樹脂層からなる積層構成の円筒状の成形体を、共押し出し成形によって成形した後、これを所定の長さに裁断して単一の円筒状のチューブ容器胴部にする工程と、該チューブ容器胴部の一方の端部に、口頸部及び肩部からなる頭部を接合する工程とによって得られる。
【0013】
前記チューブ容器胴部におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層は、押し出しチューブ容器のガスバリヤー性を確保するためのものであって、厚さ50〜70μm程度に形成される。又、ポリブチレンテレフタレート樹脂層は、押し出しチューブ容器内に収納される内填物中に含有される香料や医薬の成分をなすモノテルペン系化合物に対する非吸着性及び非浸透性によるモノテルペン系化合物の保持機能を奏すると共に、チューブ容器胴部と頭部との間の接合及びチューブ容器胴部の尾端部の形成をヒートシールによって行ない得るシール特性を奏するものであって、厚さ80〜120μm程度に形成される。
【0014】
接着剤層は、アドマーやモディック等の商品名で市販されている接着性ポリオレフィン樹脂等によって、厚さ40〜70μm程度に形成される。更に、外側層をなす低密度ポリエチレン樹脂層又は接着性低密度ポリエチレン樹脂層は、チューブ容器胴部に表面光沢を与え、かつ耐水性をもたらすものであって、厚さ150〜250μm程度に形成される。
【0015】
上記構成による本発明の押し出しチューブ容器は、5層又は4層の共押し出し形成機によって成形した円筒状の成形体を、所定の長さに裁断して単一の円筒状のチューブ容器胴部を得た後、該チューブ容器胴部の一方の端部に対して口頸部と肩部とからなる頭部を接合することによって得られる。
【0016】
この押し出しチューブ容器を得る際のチューブ容器胴部と頭部との接合には、例えばチューブ容器胴部を挿入した雄型マンドレルのチューブ容器胴部の端面に、ベルト状に搬送されてくる頭部用樹脂をカッターで円盤状に打ち抜いた頭部成形用素材を接合した後、これを雌型内に圧縮インサートして成形し、チューブ容器胴部の一方の端部に口頸部と肩部とからなる頭部を圧縮成形すると同時に接合する方法、あるいはチューブ容器胴部を挿入した金型内にて、口頸部と肩部とからなる頭部を合成樹脂の射出成形によって成形し、チューブ容器胴部の一方の端部に口頸部と肩部とからなる頭部を射出成形すると同時に接合する方法等をとることができる。
【0017】
上記の圧縮成形によるチューブ容器の頭部の成形に利用する頭部用樹脂には、例えば低密度ポリエチレン樹脂の単層シートや、アドマーやモディック等の商品名で市販されている接着性ポリオレフィン樹脂層/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂やナイロン樹脂による中間層/アドマーやモディック等の商品名で市販されている接着性ポリオレフィン樹脂層からなる積層シート等を利用してもよいが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の単層シート又はポリブチレンテレフタレート樹脂層が頭部内周面層に成形されるようになっている積層シートが好ましい。なお、積層シートを使用する場合には、頭部の外周面層の厚さを内周面層の厚さよりも厚くするのがよい。
【0018】
【実施例】
以下、本発明のモノテルペン系化合物の保持機能を有する押し出しチューブ容器の具体的な構成を実施例に基づいて説明する。
【0019】
実施例1
チューブ容器胴部の成形
5層の共押し出し成形機によって、外側層から内側層に向かって、低密度ポリエチレン樹脂層(200μm)/接着剤層(50μm)/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層(50μm)/接着剤層(50μm)/ポリブチレンテレフタレート樹脂層(100μm)からなる積層構成を有する直径4.0cmの円筒体を成形した後、該円筒体を長さ16.5cmに裁断して単一のチューブ容器胴部を得た。
【0020】
押し出しチューブ容器の成形
上記のチューブ容器胴部を雄型マンドレルに挿入し、次いで該雄型マンドレルのチューブ容器胴部の端面に、ベルト状に搬送されてくる厚さ3mmのポリブチレンテレフタレート樹脂シートをカッターで円盤状に打ち抜いた頭部成形用素材を接合した後、これを雌型内に圧縮インサートして成形することにより、チューブ容器胴部の一方の端部に、口頸部と肩部とからなる頭部を圧縮成形すると同時に接合し、押し出しチューブ容器を得た。
【0021】
実施例2
チューブ容器胴部の成形
4層の共押し出し成形機によって、外側層から内側層に向かって、接着性低密度ポリエチレン樹脂層(250μm)/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層(50μm)/接着剤層(50μm)/ポリブチレンテレフタレート樹脂層(100μm)からなる積層構成を有する直径4.0cmの円筒体を成形した後、該円筒体を長さ16.5cmに裁断して単一のチューブ容器胴部を得た。
【0022】
押し出しチューブ容器の成形
上記のチューブ容器胴部を雄型マンドレルに挿入し、次いで該雄型マンドレルのチューブ容器胴部の端面に、ベルト状に搬送されてくる厚さ3mmのポリブチレンテレフタレート樹脂シートをカッターで円盤状に打ち抜いた頭部成形用素材を接合した後、これを雌型内に圧縮インサートして成形することにより、チューブ容器胴部の一方の端部に、口頸部と肩部とからなる頭部を圧縮成形すると同時に接合し、押し出しチューブ容器を得た。
【0023】
実施例3
実施例1で得たチューブ容器胴部を雄型マンドレルに挿入し、次いで該雄型マンドレルのチューブ容器胴部の端面に、ベルト状に搬送されてくる厚さ3mmのポリブチレンテレフタレート樹脂シートをカッターで円盤状に打ち抜いた頭部成形用素材を接合した後、これを雌型内に圧縮インサートして成形することにより、[図1]において、チューブ容器胴部1の一方の端部に、円筒状の口頸部2と截頭円錐形状の肩部3とからなる頭部8を圧縮成形すると同時に接合した。なお、上記の円筒状の口頸部2には、該口頸部2の下部に、中央部に透孔4を形成してある隔壁5を設けてある。
【0024】
続いて、上記の円筒状の口頸部2の内部に、別個に成形してあるポリブチレンテレフタレート樹脂の射出成形体からなる弁栓6を、口頸部2の内面に嵌着することにより、口頸部にエアバック防止栓を具備する押し出しチューブ容器を得た。
【0025】
この弁栓6は、[図1]及び[図2]において、底面7と側壁6とによる有底円筒体からなり、底面7には、側壁6に沿う細溝形状の長溝9が穿設されており、弁栓6を円筒状の口頸部2の内部に嵌着したときには、[図1]に示すように、弁栓6の底面7が隔壁5の透孔4に密接して透孔4を閉塞状態に保つと共に、長溝9を隔壁5上に位置させるものであり、隔壁5を弁座とする弁作用を果たす。
【0026】
実施例4
実施例2で得たチューブ容器胴部をチューブ容器成形用のマンドレルに装着し、該チューブ容器胴部の一方の端部に、常法によって、截頭円錐形状の肩部とそれに連続する細首の口頸部とからなる頭部を、ポリブチレンテレフタレート樹脂の射出成形によって成形し、[図3]において、チューブ容器胴部11の一方の端部に、円筒状の口頸部12と截頭円錐形状の肩部13とからなる頭部を接合し、押し出しチューブ容器を得た。
【0027】
なお、上記押し出しチューブ容器の頭部には、円筒状の口頸部12の下部の内壁の1部から、底面部15を水平にしたときに上面部16が斜上方向への傾斜面となる断面直角三角形状をなす弁板17を、連設部14において屈折可能に一体に設けてある。この弁板17は、底面部15の直径を口頸部12の内径よりもやや小さくし、上面部16の直径を口頸部12の内径よりもやや大きくしてあり、弁板17は連設部14部分において屈曲可能な薄肉に、又先端部において厚肉になっている。
【0028】
これによって、弁板17の底面部15をほぼ水平状にし、上面部16を傾斜状にした状態において、弁板17の側面がほぼ垂直になり、従って弁板17の側面と口頸部12の内周面との間に形成される間隙18が、上方から下方に順次狭小になる形状をとる。
【0029】
しかして、チューブ容器胴部を外方から押圧すると、[図3]において仮想線で示したように弁板17は上方に変形し、内填物の絞り出しが円滑に行なわれる。そして、内填物の絞り出しを終えると、チューブ容器胴部の素材の特性である弾撥作用によって該容器胴部が復元するために弁板17の先端が下方に下がり、径の大きな方の上面部16の周縁が口頸部12の内周面に接して停止する。このときに、弁板17の周縁と口頸部12の内周面との間の僅かな間隙18は、該部に付着したペースト状の内填物によって閉塞される。このために、ポリブチレンテレフタレート樹脂層の存在によって弾撥性が高くなっているチューブ容器胴部であっても、チューブ容器内の内填物を絞り出したときのエアバックを有効に防止できる。
【0030】
なお、モノテルペン系化合物の不吸着性及び不浸透性自体は、例えばポリアクリルニトリル樹脂やエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂によっても得られるが、ポリアクリルニトリル樹脂層を積層したチューブ容器胴部によるチューブ容器は、該チューブ容器胴部に積層したポリアクリルニトリル樹脂層の伸度が十分でなく、しかも、該ポリアクリルニトリル樹脂層がモノテルペン系化合物を含有するエタノール水溶液に浸漬されると収縮することから、変形、クラック等の発生の恐れがあり、しかもスクイズ性の悪いものになる。
【0031】
又、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層を内側層に備えるチューブ容器胴部によるチューブ容器は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層がモノテルペン系化合物含有液で浸漬されると、引張強伸度が徐々に低下してしまうため、チューブ容器胴部の内側層に使用することができない。
【0032】
これに対して、本発明の押し出しチューブ容器におけるチューブ容器胴部の内側層を形成しているポリブチレンテレフタレート樹脂層は、チューブ容器胴部に必要とされる優れた引張強伸度を有しており、又、モノテルペン系化合物含有液に浸漬されても、収縮したり引張強伸度が徐々に低下したりすることがない。
【0033】
そして、このことによって本発明の押し出しチューブ容器は、香料や医薬の成分をなすモノテルペン系化合物を含有する内填物を充填したときの内填物中のこれらの化合物に対する非吸着及び非浸透特性に優れるだけでなく、押し出しチューブ容器に必要な引張物性とスクイズ性とにおいても優れた特性を有するものになる。
【0034】
次ぎに、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリアクリルニトリル樹脂フィルム、及びエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムの耐メントール性等についての試験及びその結果について説明する。
【0035】
先ず、試験試料として、厚さ50μmのポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム(PBT)、厚さ30μmのポリアクリルニトリル樹脂フィルム(PAN)、及び厚さ20μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム(EVOH)を用意し、これらの各フィルムについて以下の試験を行なった。
【0036】
▲1▼ 耐メントール性試験
引張試験片用のサイズに裁断した各フィルムを、約0.2重量%のl−メントールを含有する40℃の市販のゲル状歯磨き「ブラッシュライオン(ライオン (株) )」中に所定期間浸漬放置後、このフィルムを取り出してゲル状歯磨きを水で洗い落してから、各フィルムの透明性の測定及び引張試験(N=3)を行なった。引張試験は、40℃の雰囲気中で、引張速度50mm/min.で行なった。この試験によるポリブチレンテレフタレート樹脂フィルムについての結果を[表1]に、ポリアクリルニトリル樹脂フィルムについての結果を[表2]に、更に、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムについての結果を[表3]に、それぞれ示す。
【0037】
▲2▼ l−メントールの保香性
約1gのl−メントールを計り取ったスクリュー瓶を、各フィルムの4方シール袋に封入し、更に、各同一種のフィルムの袋ごとに大きなスクリュー瓶に入れて蓋をし、23℃にて所定期間放置後、大きなスクリュー瓶の蓋を開け、該スクリュー瓶内の臭気を3人のモニターによって測定し、メントール臭の有,無を5段階評価した(N=3)。評価結果を、0・・・・全く臭わない、1・・・・微かに臭うようである、2・・・・わずかに臭う、4・・・・臭う、5・・・・かなり激しく臭う、によって、[表4]に示す。
【0038】
▲3▼ l−メントールの耐吸着性
上記の▲1▼に説明した条件でゲル状歯磨き中に浸漬した後のフィルム、及び▲2▼に説明した条件で23℃にて所定期間放置した後の4方シール袋を、エタノールで抽出した後、この抽出物中のl−メントールをガスクロマトグラフィーによって定量することにより、l−メントールの吸着量を測定した。▲1▼のフィルムによるl−メントールの吸着量(ppm)を[表5]に、又▲2▼のフィルムによるl−メントールの吸着量(ppm)を[表6]に示す。
【0039】
【表1】
(PBT)
【0040】
【表2】
(PAN)
【0041】
【表3】
(EVOH)
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
以上の試験結果により、モノテルペン系化合物の不吸着性及び不浸透性自体は、ポリアクリルニトリル樹脂フィルムやエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムによっても得られるが、ポリアクリルニトリル樹脂フィルムは、伸度が十分でなく、しかも、該ポリアクリルニトリル樹脂フィルムがモノテルペン系化合物含有液に浸漬されると収縮する。これによって、ポリアクリルニトリル樹脂フィルムを内側層に利用したチューブ容器胴部には、変形、クラック等の発生の恐れがあり、しかもスクイズ性の悪いものになる。
【0046】
又、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムはモノテルペン系化合物含有液で浸漬されると、引張強伸度が徐々に低下するため、これをチューブ容器胴部の内側層に使用することができない。
【0047】
これに対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルムは、チューブ容器胴部に必要とされる優れた引張強伸度を有しており、又、モノテルペン系化合物含有液に浸漬されても、収縮したり引張強伸度が低下したりすることがなく、しかもモノテルペン系化合物の不吸着性及び不浸透性に対して優れた特性を有していることが確認できる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の押し出しチューブ容器は、そのチューブ容器胴部を、外側層から内側層に向かって、低密度ポリエチレン樹脂層/接着剤層/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層/接着剤層/ポリブチレンテレフタレート樹脂層からなる積層構成の共押し出し成形体、又は外側層から内側層に向かって、接着性低密度ポリエチレン樹脂層/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層/接着剤層/ポリブチレンテレフタレート樹脂層からなる積層構成の共押し出し成形体で形成している。
【0049】
従って、チューブ容器胴部内の内填物が接触する面をポリブチレンテレフタレート樹脂層にしてあるために、該樹脂層の有する固有の性質によって、香料や医薬の成分をなすモノテルペン系化合物である例えばミルセン、リモネン、ピネン、カンフェン、リナロール、メントール、テルピネオール、フェンチルアルコール等を含有する内填物を収納しても、該内填物中のモノテルペン系化合物がチューブ容器胴部の内周面層に吸着したりあるいは浸透したりすることがなく、内填物中のモノテルペン系化合物の保持性能が良好である。
【0050】
又、本発明の押し出しチューブ容器のチューブ容器胴部には、背貼り部が存在しないため、内填物の絞り出し操作の繰り返し中に背貼り部が剥離することがなく、又、内填物の充填後のチューブ容器胴部の尾端部の形成が不安定になることがない。
【0051】
更に請求項3の発明の押し出しチューブ容器では、肩部と口頸部とによる頭部をポリブチレンテレフタレート樹脂で成形してあるため、上記の内填物中のモノテルペン系化合物の保持性能がより良好になる。
【0052】
更に又、請求項4の発明の押し出しチューブ容器では、口頸部にエアバック防止栓を有しているために、チューブ容器胴部に利用されているポリブチレンテレフタレート樹脂層の存在によってチューブ容器胴部の弾撥性が高くなっているにも拘らず、チューブ容器内の内填物を絞り出したときのエアバックを有効に防止でき、かかる効果を上記の内填物中のモノテルペン系化合物の保持性能に加えて奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の押し出しチューブ容器の1実施例品の要部を示す縦断面図である。
【図2】[図1]の押し出しチューブ容器に使用した弁栓の底面図である。
【図3】本発明の押し出しチューブ容器の別の実施例品の要部を示す縦断面図である。
Claims (4)
- 円筒状のチューブ容器胴部及び該チューブ容器胴部の一方の端部に接合している肩部と口頸部とによる頭部を有する押し出しチューブ容器であって、上記円筒状のチューブ容器胴部を、外側層から内側層に向かって、低密度ポリエチレン樹脂層/接着剤層/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層/接着剤層/ポリブチレンテレフタレート樹脂層からなる積層構成の共押し出し成形体で形成したことを特徴とするモノテルペン系化合物の保持機能を有する押し出しチューブ容器。
- 円筒状のチューブ容器胴部及び該チューブ容器胴部の一方の端部に接合している肩部と口頸部とによる頭部を有する押し出しチューブ容器であって、上記円筒状のチューブ容器胴部を、外側層から内側層に向かって、接着性低密度ポリエチレン樹脂層/エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層/接着剤層/ポリブチレンテレフタレート樹脂層からなる積層構成の共押し出し成形体で形成したことを特徴とするモノテルペン系化合物の保持機能を有する押し出しチューブ容器。
- チューブ容器胴部の一方の端部に接合している肩部と口頸部とによる頭部を、ポリブチレンテレフタレート樹脂で形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモノテルペン系化合物の保持機能を有する押し出しチューブ容器。
- 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の押し出しチューブ容器において、口頸部にエアバック防止栓を具備することを特徴とするモノテルペン系化合物の保持機能を有する押し出しチューブ容器。
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