JP3638800B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法に関し、詳しくは、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂に可塑剤を配合する場合において、成形性、均一分散性にすぐれ、特に可塑剤として難燃性可塑剤を使用する場合に適した、耐表層剥離性、強度にすぐれたポリカーボネート樹脂組成物およびその効率的な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、すぐれた耐衝撃特性、耐熱性、電気的特性、寸法安定性などにより、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器、電気・電子機器、家庭電化機器、自動車分野、建築分野等様々な分野において幅広く利用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、成形加工温度が高く、溶融流動性が悪い問題点を有している。一方、近時、これらの成形品が、複写機、ファックスなどのOA機器、情報・通信機器、電気・電子機器などのハウジングや部品などの場合には、形状が複雑になること、リブやボスなどの凹凸が成形品に形成されること、軽量化、省資源の見地から成形品が薄肉化することなどの理由から、ボリカーボネート樹脂の溶融流動性、すなわち射出成形性を高めた組成物が求められている。
【0003】
ポリカーボネート樹脂の溶融流動性の改良のために、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ゴム変性ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂)などのスチレン系樹脂をポリカーボネート樹脂に配合した組成物は、ポリマーアロイとして、その耐熱性、耐衝撃性の特性を生かし、多くの成形品分野に用いられてきている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂は溶融混練性が十分でない問題点を有している。また、スチレン系樹脂の配合量はポリカーボネート樹脂の特徴を保持するために通常50重量%以下に制限されている。したがって、成形品の大型化、薄肉化に際してはより溶融流動性を向上するために、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度を低下するために、可塑剤の添加が考えられる。一方、ポリカーボネート樹脂は自己消火性樹脂ではあるが、これらのポリマーアロイにあっては、OA機器、情報・通信機器、電気・電子機器などに用いる場合には、その製品の安全性を高めるために、より高いレベルの難燃性が求められている。
【0004】
これらを目的として、多くの方法が提案されている。具体的には、特開昭61−55145号公報には、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)ABS樹脂、(C)AS樹脂、(D)ハロゲン化合物、(E)リン酸エステル、(F)ポリテトラフルオロエチレン成分からなる熱可塑性樹脂組成物が記載されている。特開平2−32154号公報には、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)ABS樹脂、(C)AS樹脂、(D)リン酸エステル、(E)ポリテトラフルオロエチレン成分からなる難燃性高衝撃性ポリカーボネート成形用組成物が記載されている。
【0005】
しかしながら、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂の相溶性が十分でなく成形品に表層剥離が生じ易いこと、衝撃強度、あるいは実用上重要なウエルド強度が十分でない問題点がある。また、難燃性可塑剤であるリン酸エステル化合物などの可塑剤は、通常液体や低融点化合物であり、しかも比較的多量に添加され、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂との溶融混練は、溶融粘度の相違によっても容易ではない。
【0006】
これら可塑剤の樹脂に対する混練方法としては、(1)ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂および可塑剤を混合し、この混合物を例えば二軸押出機などを用いて溶融混練押出し、ペレット化する方法が一般的に採用されている。しかしながらこの方法による溶融混練では、可塑剤との混合物の押出機への供給や、定量供給が困難であったり、均一な混練が容易でないなどの問題点がある。これらの問題点を解決する方法として、(2)特開平8−92264号公報には、押出機の第一原料供給口から(A)成分の熱可塑性樹脂を供給し、その下流側に設けられた第二原料供給口からビスフェノールA系の特定のリン酸エテスル化合物を50〜120℃に加熱し、液体添加によって供給する難燃性樹脂組成物の製造方法が提案されている。この場合に、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂とポリスチレン系樹脂を原料樹脂とすることが、実施例とともに開示されている。
【0007】
しかしながら、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂からなる組成物の場合には、前記した成形原料供給の問題点は解消されるかもしれないが、両樹脂が本来的に有する低い混練性は何ら解決されず、むしろ、低融点のリン酸エステル化合物が第三成分として加わることにより、より均一溶融混練性は悪くなる傾向にある。すなわち、低融点のリン酸エステル化合物も液体添加であり、リン酸エステル化合物が50℃以下で液体であるものと本質的な差はなく、比較的添加量の多い低粘度の添加剤と比較的粘度の高く、粘度の差がある二種の熱可塑性樹脂の三成分からなる原料においては、溶融混練性の向上は自ずから限界がある。また、この方法で溶融混練性を高めるには、溶融混練温度を比較的高くしたり、剪断のかかり易い押出機の選択などが必要となる。しかし、このように、溶融混練条件を厳しくすると樹脂や可塑剤の分解が生じ、強度の低下、ゲルや炭化物の発生、ガスによる成形品外観の悪化など別の問題点が発生することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状の下、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂からなる組成物にあって、薄肉化、複雑化するOA機器、情報・通信機器、電気・電子機器、家庭電化機器、自動車などに用いられる成形品の成形において、均一性にすぐれ成形品での表層剥離がなく、耐衝撃性、ウエルド強度など実用物性が改善され、可塑剤、特に難燃性可塑剤としてのリン酸エステル化合物を用いた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物とその効率的な製造方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するため、本発明者は、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂における、可塑剤、特にリン酸エステル化合物の溶融混練について、鋭意検討を行った。その結果、特定の溶融粘度の関係を満足する成形原料の選択と混練方法の選択により、これらの問題点が解消できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂50〜95重量%および(B)スチレン系樹脂50〜5重量%の配合からなり、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂の溶融粘度(ηA)と(B)スチレン系樹脂の溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)が0.3〜2であるポリカーボネート樹脂組成物。
(2)(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂中の可塑剤の含有量が1〜30重量%である上記(1)記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(3)可塑剤がリン酸エステル化合物である上記(1)または(2)記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(4)スチレン系樹脂がゴム変性スチレン系樹脂である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(5)(A’)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂原料50〜95重量%と、(B’)スチレン系樹脂原料50〜5重量%からなり、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A’)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂原料の溶融粘度(ηA’)と(B’)スチレン系樹脂原料の溶融粘度(ηB’)の溶融粘度比(ηB’/ηA’)が0.3〜2であるポリカーボネート樹脂組成物用成形原料。
(6)上記(5)記載のポリカーボネート樹脂組成物用成形原料を溶融混練するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
(7)押出成形によりポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂および可塑剤からなるポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法において、原料の流れ方向に対して、第一原料供給口、第二原料供給口を有する押出成形機を用い、第一原料供給口からポリカーボネート樹脂および可塑剤、第二原料供給口からスチレン系樹脂をそれぞれ供給して溶融混練押出し、その際(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂と、(B)スチレン系樹脂の、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂の溶融粘度(ηA)と(B)スチレン系樹脂の溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)を0.3〜2とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
(8)押出成形によりポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂および可塑剤からなるポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法において、原料の流れ方向に対して、第一原料供給口、第二原料供給口、第三原料供給口を有する押出成形機を用い、第一原料供給口からポリカーボネート樹脂、第二原料供給口から可塑剤、第三原料供給口からスチレン系樹脂をそれぞれ供給して溶融混練押出し、その際(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂と、(B)スチレン系樹脂の、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂の溶融粘度(ηA)と(B)スチレン系樹脂の溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)を0.3〜2とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
(9)第二原料供給口から可塑剤を液体として供給する上記(8)記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の構成成分(A)、(B)について説明する。
(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂
本発明のポリカーボネート樹脂組成物における、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂は、(A−1)ポリカーボネート樹脂と(A−2)可塑剤からなる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する(A−1)成分であるポリカーボネート樹脂(PC)としては、特に制限はなく種々のものが挙げられる。通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。すなわち、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法、すなわち、二価フエノールとホスゲンの反応、2価フエノールとジフェニルカーボネートなどとのエステル交換法により反応させて製造されたものを使用することができる。
【0012】
2価フェノールとしては、様々なものが挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどが挙げられる。特に好ましい2価フエノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特にビスフェノールAを主原料としたものである。また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、またはハロホルメートなどであり、具体的にはホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどである。この他、二価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0013】
なお、ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)などがある。また、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−クミルフェノールなどが用いられる。
【0014】
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂としては、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部を有する共重合体、あるいはこの共重合体を含有するポリカーボネート樹脂であってもよい。また、テレフタル酸などの2官能性カルボン酸、またはそのエステル形成誘導体などのエステル前駆体の存在下でポリカーボネートの重合を行うことによって得られるポリエステル−ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、種々のポリカーボネート樹脂の混合物を用いることもできる。本発明において用いられる(A)成分のポリカーボネート樹脂は、構造中にハロゲンを含まないものが環境面から好ましい場合がある。また、機械的強度および成形性の点から、その粘度平均分子量は、10,000〜100,000のものが好ましく、特に14,000〜40,000のものが好適である。
【0015】
(A−2)可塑剤
本発明に用いられる可塑剤は、特に制限されるものではなく、(A−1)のポリカーボネート樹脂に相溶し、可塑化でき溶融粘度を低下させるものである。可塑剤としては、具体的には、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸2エチルヘキシルなどのフタル酸エステル、アジピン酸ジ2エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジ2エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル、パラフィン、塩素化パラフィン、分子量800〜8000のポリエステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸オクチルなどのエポキシ系可塑剤、後記するリン酸エステル系可塑剤、トリ2エチルヘキシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル、ビフェニルテトラカルボン酸エステルなど一般に可塑剤として知られているものがある。その他にもポリカーボネート樹脂の溶融可塑化に寄与する可塑剤として、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンのエステル化物、他の低分子量物などを例示することができる。
【0016】
中でも、近時非ハロゲン系難燃剤として注目されている、ハロゲン非含有のリン酸エステル化合物が可塑性と難燃性を同時に満足するものであり好ましい。ここで、ハロゲン非含有リン酸エステル系化合物としては、たとえば、次式(1)
【0017】
【化1】
Figure 0003638800
【0018】
(ここで、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、Xは2価以上の有機基を表し、pは0または1であり、qは1以上の整数であり、rは0以上の整数を表す。)で示されるリン酸エステル系合物である。
式(1)において、有機基とは、置換されていても、いなくてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基などである。また置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基などがある。さらに、これらの置換基を組み合わせた基であるアリールアルコキシアルキル基など、またはこれらの置換基を酸素原子、窒素原子、イオウ原子などにより結合して組み合わせたアリールスルホニルアリール基などを置換基としたものなどがある。
【0019】
また、式(1)において、2価以上の有機基Xとしては、上記した有機基から、炭素原子に結合している水素原子の1個以上を除いてできる2価以上の基を意味する。たとえば、アルキレン基、(置換)フェニレン基、多核フェノール類であるビスフェノール類から誘導されるものである。好ましいものとしては、ビスフェノールA、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジフエニルメタン、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン等がある。
【0020】
ハロゲン非含有リン酸エステル化合物は、モノマー、オリゴマー、低融点ポリマーあるいはこれらの混合物であってもよい。具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、あるいはこれらの置換体などを例示できる。
【0021】
難燃性可塑剤として好適に用いることができる市販のハロゲン非含有リン酸エステル化合物としては、たとえば、大八化学工業株式会社製の、TPP〔トリフェニルホスフェート〕、TXP〔トリキシレニルホスフェート〕、PFR〔レゾルシノール(ジフェニルホスフェート)〕、PX200〔1,3−フェニレン−テスラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、PX201〔1,4−フェニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、PX202〔4,4’−ビフェニレン−テスラキス)2,6−ジメチルフェニル)ホスフェートなどを挙げることができる。
【0022】
(A)成分である可塑剤含有ポリカーボネート樹脂中の可塑剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂の分子量、可塑剤の種類、後述のスチレン系樹脂との組成比などによって異なるが、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲である。また、難燃性を目的とする、リン酸エステル化合物の場合には、成形品の難燃性要求程度に応じて決められる。
【0023】
(B)スチレン系樹脂
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する(B)成分のスチレン系樹脂は、スチレン、α−メチルスチレンなどのモノビニル系芳香族単量体20〜100重量%、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体0〜60重量%、およびこれらと共重合可能なマレイミド、(メタ)アクリル酸メチルなどの他のビニル系単量体0〜50重量%からなる単量体または単量体混合物を重合して得られる重合体がある。これらの重合体としては、ポリスチレン(GPPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)などがある。
【0024】
また、スチレン系樹脂としてはゴム変性スチレン系樹脂が好ましく利用できる。このゴム変性スチレン系樹脂としては、好ましくは、少なくともスチレン系単量体がゴムにグラフト重合した耐衝撃性スチレン系樹脂である。ゴム変性スチレン系樹脂としては、たとえば、ポリブタジエンなどのゴムにスチレンが重合した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとが重合したABS樹脂、ポリブタジエンにメタクリル酸メチルとスチレンが重合したMBS樹脂などがあり、ゴム変性スチレン系樹脂は、二種以上を併用することができるとともに、前記のゴム未変性であるスチレン系樹脂との混合物としても使用できる。
【0025】
ゴム変性スチレン系樹脂中のゴムの含有量は、例えば2〜50重量%、好ましくは、5〜30重量%、特に5〜15重量%である。ゴムの割合が2重量%未満であると、耐衝撃性が不十分となり、また、50重量%を超えると熱安定性が低下したり、溶融流動性の低下、ゲルの発生、着色などの問題が生じる場合がある。上記ゴムの具体例としては、ポリブタジエン、アクリレートおよび/またはメタクリレートを含有するゴム質重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム(SBS)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン・アクリルゴム、イソプレン・ゴム、イソプレン・スチレンゴム、イソプレン・アクリルゴム、エチレン・プロピレンゴム等が挙げられる。このうち、特に好ましいものはポリブタジエンである。ここで用いるポリブタジエンは、低シスポリブタジエン(例えば1,2−ビニル結合を1〜30モル%、1,4−シス結合を30〜42モル%含有するもの)、高シスポリブタジエン(例えば1,2−ビニル結合を20モル%以下、1,4−シス結合を78モル%以上含有するもの)のいずれを用いてもよく、また、これらの混合物であってもよい。
【0026】
つぎに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の、(A)および(B)の配合からなる樹脂成分の組成割合について説明する。可塑剤含有ポリカーボネート樹脂およびスチレン系樹脂からなる樹脂において、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%、(B)スチレン系樹脂50〜5重量%、好ましくは40〜10重量%である。可塑剤含有ポリカーボネート樹脂が50重量%未満ではポリカーボネート樹脂が連続相を形成することが困難となり、結果として耐熱性、強度が十分でなく、95重量%を越えると溶融流動性の改良効果が低く成形性が不十分である。なお、この場合の(B)スチレン系樹脂としては、前記したゴム変性スチレン系樹脂が好ましく用いられる。この樹脂組成割合は、ポリカーボネート樹脂の分子量、メルトインデックス、スチレン系樹脂の種類、分子量、メルトインデックス、ゴムの含有量などの樹脂の特性、可塑剤の含有量などによって、成形品の要求物性、用途、大きさ、厚みなどを考慮して適宜決定される。
【0027】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の特徴は、(A)成分として予めポリカーボネート樹脂および可塑剤からなる原料を溶融混練し可塑剤含有のポリカーボネート樹脂を得ることにある。次いで、(B)成分のスチレン系樹脂と溶融混練することによりポリカーボネート樹脂組成物を得るものである。ここで(A)成分と(B)成分の、280℃、剪断速度100(sec-1)の測定条件での(A)、(B)の溶融粘度を測定し、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂の溶融粘度(ηA)と(B)スチレン系樹脂の溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)が0.3〜2の範囲、好ましくは0.5〜1.5の範囲に制御するものである。すなわち、前記溶融粘度比になるように、それぞれの成形原料が選択された組成物である。したがって、単に、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂の溶融粘度比を特定するものではない。
【0028】
ここにおいて、それぞれの成分の溶融粘度の測定条件である、温度280℃、剪断速度100(sec-1)は、工業的に(A)成分と(B)成分が、押出機により溶融混練される条件に近い条件が選定されている。ここでは、(A)成分、(B)成分のそれぞれの溶融粘度そのものについては、押出機などで溶融混練が可能であれば特に制限はない。おくまでも重要なのは、その溶融粘度比の範囲にある。溶融粘度の測定は、キャピログラフ(株式会社東洋精機製作所製)を用い、長さ20mm、直径1mmのキャピラリーを使用して、280℃、剪断速度(100(sec-1)の条件で測定することができる。
【0029】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記の溶融粘度比の範囲を満足する二成分を溶融混練して得ることができるものである。当然ながら、溶融混練条件は任意であり、これらの溶融粘度比の範囲を特定することによって、ポリカーボネート樹脂が連続相となりスチレン系樹脂、特にゴム変性スチレン系樹脂が分散相となって均一性の高い組成物が得られる。
【0030】
本発明は、また、ポリカーボネート樹脂組成物を製造するための、ポリカーボネート樹脂と可塑剤からなる(A’)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂原料、(B’)スチレン系樹脂原料からなり、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A’)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂原料の溶融粘度(ηA’)と(B’)スチレン系樹脂原料の溶融粘度(ηB’)の溶融粘度比(ηB’/ηA’)が0.3〜2であるポリカーボネート樹脂組成物用成形原料をも提供するものである。
【0031】
次に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について述べる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物の第一製造方法は、前記したように、あらかじめ、ポリカーボネート樹脂および可塑剤を溶融混練して、可塑剤含有ポリカーボネート樹脂原料、通常ペレットを製造する。ここで溶融混練機としては、特に制限なく、通常、単軸スクリュー押出機、かみ合い型異方向回転二軸スクリュー押出成形機、かみ合い型同方向回転二軸スクリュー押出成形機など公知の十分な溶融混練が可能な装置が用いられる。中でも、スクリューの途中で、ある程度ポリカーボネート樹脂が溶融したところに、可塑剤の供給口があり、ここから可塑剤を供給する方式が好ましい。この溶融混練法により、可塑剤含有ポリカーボネート樹脂原料(A’)が得られる。ついで、(B’)であるスチレン系樹脂原料(ペレット、ビーズ、パウダーなど)を前記の押出成形機を用いて溶融混練することにより、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットが得られる。
【0032】
この製造方法は、ポリカーボネート樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂の組成をペレットの混合比率を変えることにより任意に得ることができる特徴がある。しかしながら、ポリカーボネート樹脂組成物用成形原料から直接最終成形品を成形する場合は、溶融混練押出機の性能にもよるが、分散性が十分でない場合もある。このため、ポリカーボネート樹脂組成物用成形原料(A’)と(B’)からさらに、成形用ペレットを押出成形機を用いて製造することが望ましい。この場合には、溶融混練工程が二度になり、加熱、剪断を二度受けることになり、樹脂や可塑剤の劣化の問題があり、押出機の選択が必要に成る場合がある。
【0033】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の第二製造方法は、これらの問題の少ない製造方法である。すなわち、押出成形によりポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂および可塑剤からなるポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法において、押出成形機が、原料の流れ方向に対して、第一原料供給口、第二原料供給口を有しており、第一原料供給口からポリカーボネート樹脂と可塑剤、第二原料供給口からスチレン系樹脂をそれぞれ供給して溶融混練押出するに際し、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂と、(B)スチレン系樹脂の、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂の溶融粘度(ηA)と(B)スチレン系樹脂の溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)が0.3〜2となるように成形原料を供給するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
【0034】
この第二製造方法は、溶融混練押出しを一段で行い、熱履歴、工程の点ですぐれた製造方法である。しかし、第一原料供給口でのポリカーボネート樹脂と可塑剤の供給が、可塑剤の種類、融点、添加量やポリカーボネート樹脂原料の形態(ペレット、パウダー)によっては、原料の供給が困難となる場合も考えられる。これらの問題点をさらに改良する製造方法として下記の製造方法が望ましい。
【0035】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の第三製造方法は、これらの問題の少ない製造方法である。すなわち、押出成形によりポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂および可塑剤からなるポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法において、押出成形機が、原料の流れ方向に対して、第一原料供給口、第二原料供給口、第三原料供給口を有しており、第一原料供給口からポリカーボネート樹脂、第二原料供給口から可塑剤、第三原料供給口からスチレン系樹脂をそれぞれ供給して溶融混練押出するに際し、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂と、(B)スチレン系樹脂の、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂の溶融粘度(ηA)と(B)スチレン系樹脂の溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)が0.3〜2となるように成形原料を供給するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
【0036】
本発明の第二、第三製造方法では、一回の押出成形において、三成分の溶融混練を行うものであるが、押出成形機に原料の流れ方向工程において、二段の溶融混練工程を設けるものである。すなわち、前段工程において、ポリカーボネート樹脂と可塑剤の溶融混練を行い、次いで、スチレン系樹脂との溶融混練を後段で行うものである。この場合、前段での可塑剤含有ポリカーボネート樹脂と後段でのスチレン系樹脂の溶融粘度比を特定範囲に制御することにより、ポリカーボネート樹脂組成物を製造するものである。この方法は、加熱溶融が一回であること、剪断の影響が少ないことなどにより、樹脂、可塑剤などの劣化を防止でき、また工程も簡略になる特徴がある。特に、第三に製造方法では、可塑剤の供給上の問題点もなく、よりすぐれた製造方法である。
【0037】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法では、押出成形温度は、通常240℃〜300℃の範囲である。また、可塑剤を第二原料供給口から供給する方法は、可塑剤を固形状で供給することもできるが、ギャーポンプなどにより液状で供給することが好ましい。なお、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は前記製造方法の押出成形機により、最終成形品とすることもできる。しかし、一般的には、ペレット状の成形原料として、各種成形方法により最終成形品に成形される。
【0038】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要により、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂成分や充填剤、添加剤を加えることもできる。たとえば、可塑剤がリン酸エステル化合物である場合には、燃焼時の溶融滴下防止を目的にさらに、テトラフルオロエチレン重合体やシリコーン化合物を樹脂100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは、0.1〜2重量部加えることができる。また、成形品の剛性、強度さらには難燃性をさらに向上させるために、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維などを樹脂100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは、2〜50重量部加えることもできる。さらに、耐薬品性などの改良のためにポリエチレンテレフタレートなどの他の熱可塑性樹脂、耐衝撃性の向上のためにゴム状弾性体を樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部く加えることができる。ゴム状弾性体としては、コア(芯)とシェル(殻)から構成される2層構造を有しており、コア部分は軟質なゴム状態であって、その表面のシェル部分は硬質な樹脂状態であり、弾性体自体は粉末状(粒子状態)であるコアシェルタイプグラフトゴム状弾性体が好ましい。中でも、ポリシロキサンゴム成分が5〜95重量%とポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分95〜5重量%とが、分離できないように相互に絡み合った構造を有する、平均粒子径が0.01〜1μm程度の複合ゴムに少なくとも一種のビニル単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体が特に好ましい。
【0039】
他の添加剤としては、例えば、フェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)等が挙げられる。
【0040】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、溶融混練押出成形機、あるいは、得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法などにより各種成形品を製造することができる。しかし、上記溶融混練押出成形方法により、ペレット状の成形原料を製造し、ついで、このペレットを用いて、射出成形、射出圧縮成形による射出成形品の製造に特に好適に用いることができる。なお、射出成形方法としては、外観のヒケ防止のため、あるいは軽量化のためのガス注入成形を採用することもできる。
【0041】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品、特に射出成形品(射出圧縮を含む)としては、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジなどのOA機器、情報・通信機器、電気・電子機器、家庭電化機器のハウジウングや各種部品、さらには、自動車部品など他の分野にも用いられる。
【0042】
【実施例】
本発明について実施例および比較例を示してより具体的に説明するが、本発明はこれらに、何ら制限されるものではない。
実施例1〔第一製造方法〕
ポリカーボネート樹脂(MI=20g/10分:300℃,1.2Kg荷重):87.5重量%とトリフェニルホスフェート12.5重量%とを混合して押出機(機種名:VS40、田辺プラスチック機械株式会社製)に供給し、260℃で溶融混練し、ペレット化した。なお、他の実施例および比較例を含めて、酸化防止剤としてイルガノックス1076(チバ・スペシヤルティ・ケミカルズ株式会社製)0.2重量部およびアデカスタブC(旭電化工業株式会社社製)0.1重量部をそれぞれ配合した。得られたペレットの溶融粘度は、400Pa・sであった。ついで、このペレット80重量部と下記のゴム変性ポリスチレン(HIPS:MI=8g/10分)20重量部を、前記押出機を用いて、260℃で溶融混練押出しペレット化した。得られたペレットを、80℃で12時間乾燥した後、成形温度260℃で射出成形して試験片を得た。試験片を用いて各種試験によって評価し、その結果を表1に示した。
【0043】
実施例2、3および比較例1〔第三製造方法〕
二軸(同方向回転)スクリュー押出成形機〔TEM−35、東芝機械株式会社製):L/D=32、第一原料供給口(ホッパー)、第二原料供給口(液体サイドフィード)、第三原料供給口(ホッパー)を備えている。〕を用いて、溶融混練押出しを行った。第一原料供給口からポリカーボネート樹脂を、第二原料供給口から可塑剤としてのリン酸エステル化合物、第三原料供給口からはスチレン系樹脂を、表1にそれぞれ示す配合になるように供給した。なお、ポリカーボネート樹脂とリン酸エステル化合物の溶融混練物については、同一配合条件で別途実施例1で用いた押出機で溶融混練押出し、ペレット化し溶融粘度を測定した。溶融混練温度は、前段部:280℃、後段部:260℃とした。
【0044】
得られたペレットを、80℃で12時間乾燥した後、成形温度260℃で射出成形して試験片を得た。得られた試験片を用いて各種試験によって評価し、その結果を表1に示した。なお、用いた成形原料および性能評価方法を次に示す。
〔成形原料〕
(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂
(1):PC−1(η=400Pa・s)
・PC−A:ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、MI=20g/20分(300℃、1.2Kg荷重) :87.5重量%
・トリフェニルホスフェート :12.5重量%
(2):PC−2(η=500Pa・s)
・PC−B:ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、MI=25g/25分(300℃、1.2Kg荷重) :90.0重量%
・レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート):10.0重量%
(3):PC−3(η=1200Pa・s)
・PC−C:ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、MI=5g/25分(300℃、 1.2Kg荷重) :95.0重量%
・レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート): 5.0重量%
(B)スチレン系樹脂
(1):HIPS(η=300Pa・s)
耐衝撃ポリスチレン樹脂:ポリブタジエンにスチレンがグラフト重合したもの、ゴム含有量:10重量%、MI:8g/10分(200℃、5Kg荷重)
(2):ABS(η=500Pa・s)
アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS):DP−611(テクノポリマー株式会社製)、MI=2g/10分(200℃、5Kg荷重)
(C)ポリテトラフルオロエチレン
PTFE:F201L(ダイキン化学工業株式会社製)、分子量400万〜500万
〔性能評価方法]
(1)IZOD(アイゾット衝撃強度)
ASTM D256に準拠、23℃(肉厚1/8インチ)、単位:kJ/m2
(2)ウエルド引張強度
引張強度試験片成形金型を用いて2点ゲートで成形し、引張強度を測定した。
(3)ウエルド強度保持率(%)
(ウエルド部の引張強度/非ウエルド部の引張強度)×100
(4)表層剥離
成形品の断面を目視観察、〇:剥離なく良好、×:表層剥離見られる
(5)UL94燃焼試験に準拠(試験片厚み:1.5mm)
【0045】
【表1】
Figure 0003638800
【0046】
表1の結果より、本発明のポリカーボネート樹脂組成物からの成形品は、表層剥離がなく、衝撃強度、ウエルド強度が大幅に向上していることが明らかである。
【0047】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、低粘度の可塑剤を含有する、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂の組成物において、ポリカーボネート樹脂に対する可塑剤とスチレン系樹脂の分散性、相溶性が向上し、表層剥離が生じないとともに、衝撃強度、特に実用物性上重要なウエルド強度が格段に向上する。また、可塑剤としてリン酸エステル化合物を配合することにより、すぐれた難燃性成形品を成形できる。したがって、OA機器、情報・通信機器、電気・電子機器、家庭電化機器、自動車部品などの大型化、薄肉化にも十分対応できるものであり、その応用分野の拡大が期待される。

Claims (9)

  1. (A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂50〜95重量%および(B)スチレン系樹脂50〜5重量%の配合からなり、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂の溶融粘度(ηA)と(B)スチレン系樹脂の溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)が0.3〜2であるポリカーボネート樹脂組成物。
  2. (A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂中の可塑剤の含有量が1〜30重量%である請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 可塑剤がリン酸エステル化合物である請求項1または2記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. スチレン系樹脂がゴム変性スチレン系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. (A’)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂原料50〜95重量%と、(B’)スチレン系樹脂原料50〜5重量%からなり、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A’)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂原料の溶融粘度(ηA’)と(B’)スチレン系樹脂原料の溶融粘度(ηB’)の溶融粘度比(ηB’/ηA’)が0.3〜2であるポリカーボネート樹脂組成物用成形原料。
  6. 請求項5記載のポリカーボネート樹脂組成物用成形原料を溶融混練するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  7. 押出成形によりポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂および可塑剤からなるポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法において、原料の流れ方向に対して、第一原料供給口、第二原料供給口を有する押出成形機を用い、第一原料供給口からポリカーボネート樹脂および可塑剤、第二原料供給口からスチレン系樹脂をそれぞれ供給して溶融混練押出し、その際(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂と、(B)スチレン系樹脂の、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂の溶融粘度(ηA)と(B)スチレン系樹脂の溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)を0.3〜2とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  8. 押出成形によりポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂および可塑剤からなるポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法において、原料の流れ方向に対して、第一原料供給口、第二原料供給口、第三原料供給口を有する押出成形機を用い、第一原料供給口からポリカーボネート樹脂、第二原料供給口から可塑剤、第三原料供給口からスチレン系樹脂をそれぞれ供給して溶融混練押出し、その際(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂と、(B)スチレン系樹脂の、温度280℃、剪断速度100(sec-1)で測定した、(A)可塑剤含有ポリカーボネート樹脂の溶融粘度(ηA)と(B)スチレン系樹脂の溶融粘度(ηB)の溶融粘度比(ηB/ηA)を0.3〜2とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  9. 第二原料供給口から可塑剤を液体として供給する請求項8記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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