JP3638780B2 - アクリル系樹脂成形材料の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系樹脂成形材料の製造法に関し、より詳細には人工大理石の成形材料などとして有用な、無機充填材を含有したアクリル系樹脂成形材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル樹脂に無機充填材を充填したアクリル系人工大理石は、美しい外観と優れた特性を活かして、キッチン天板、各種カウンタートップ、洗面化粧台、シャワートレー、床材、壁材、間仕切板などに広く利用されている。
アクリル系人工大理石は、一般的に(メタ)アクリル酸エステルを主体とする不飽和単量体またはそのシラップに無機充填材を分散含有せしめたスラリーを型に沿わせて重合硬化する注型法により製造されている。しかし、この注型法は、硬化に長時間を要し生産性が低いという問題がある。
【0003】
硬化時間を短縮する方法としては、加圧下で加熱する方法(熱プレス成形法)が提案されている。熱プレス成形法においては、原料組成物に形状安定性があることが必要であり、注型法において用いられているものと同様の低濃度樹脂シラップに、無機充填材と、さらに芳香族ビニル化合物、イソシアネート化合物(特開平5−124844号公報)、あるいは架橋重合体微粉末(特開平6−313019号公報)のような増粘剤を添加して組成物に形状安定性を付与する方法が知られている。しかし、これらの方法においては、増粘するのに長時間を要し、熟成時間と呼ばれる放置時間が必要であり、また増粘剤の添加でアクリル系人工大理石の美匠性、耐熱性、耐薬品性、耐候性等の特長が低下する傾向があるなどの問題がある。
【0004】
また多官能(メタ)アクリレートを含有する単量体、メタアクリル系樹脂粉末、無機充填材、硬化剤および必要によりその他の添加剤を、常温または硬化温度未満の加温下に混練・熟成して得られる常温で粘土状あるいは固形の形状安定性のある成形材料を製造し、これを熱プレス成形する方法が提案されている(特公平5−138999号公報)。この方法は、アクリル系人工大理石の特長を低下させる増粘剤を使用しておらず、また高濃度シラップの製造および取り扱いを省略できる利点があるが、熟成工程が必要である、熟成を早めるため長時間混練を続けると組成物が着色してくるなどといった問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、変色がなく、美麗性、耐熱性、耐薬品性、耐候性等が良好なアクリル系人工大理石などが製造できる、熱プレス成形法などに好適なアクリル系樹脂成形材料を製造できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステルを主体とする不飽和単量体、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂および無機充填材を混合する第1工程、第1工程で得られる混合物を65〜120℃で混練する第2工程、第2工程で得られる混練物を冷却し硬化剤を混合する第3工程、第3工程で得られる樹脂組成物を脱気する第4工程、および第4工程で脱気した樹脂組成物を賦形する第5工程から構成されることを特徴とするアクリル系樹脂成形材料の製造法によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する(メタ)アクリル酸エステル(アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。以下同じ。)を主体とする不飽和単量体とは、(メタ)アクリル酸エステル単独、あるいは(メタ)アクリル酸エステルと他の不飽和単量体の混合物をいう。(メタ)アクリル酸エステルの割合は、人工大理石などの成形品に必要とされる耐候性、美麗性、耐薬品性などの点から通常30重量%以上が使用され、50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸と炭素数が1〜18の一価アルコールとのエステル;アクリル酸と炭素数が1〜18の一価アルコールとのエステル;メタクリル酸とエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールとのエステル;アクリル酸とエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールとのエステルなどが挙げられ、これらを混合して使用することもできる。特にメタクリル酸メチルは、美麗性、耐熱性、耐薬品性、耐候性、強度などバランスのとれた成形品が得られるため、好ましく使用される。多価アルコールとメタクリル酸あるいはアクリル酸のエステルは、耐汚染性、耐熱性が必要な用途において好ましく使用され、通常単量体総量に対して20〜60重量%用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルと混合して用いられる他の不飽和単量体の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものでない。
【0008】
本発明に使用する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂としては、人工大理石などの成形品に要求される耐候性、美麗性、耐薬品性などの点から、メタクリル酸メチルの割合が30重量%以上のものが使用され、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。例えば、メタクリル酸メチルの単独の重合体;メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体、メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルとの共重合体などメタクリル酸メチルとメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体;メタクリル酸メチルとスチレンの共重合体などが好ましく使用される。(メタ)アクリル酸エステル系樹脂は、前記不飽和単量体に溶解するものであれば使用可能であるが、溶解性などの点からその重量平均分子量は5万〜60万が好ましく、特に7万〜20万のものが好ましく使用される。(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の形状は、他の構成物と混合、混練に供せられれば特に制限はないが、取り扱い性が容易で、混練時間が短くなる、粒径が50〜1000μm程度の粒状物が好ましく、懸濁重合物が好ましく用いられる。
【0009】
(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の使用量は、(メタ)アクリル酸エステルを主体とする不飽和単量体100重量部に対し、通常50〜400重量部が使用され、好ましくは80〜300重量部である。また(メタ)アクリル酸エステル系樹脂には、(メタ)アクリル酸エステルを主体とする不飽和単量体の一部が予め含有されていてもよい。
【0010】
本発明に使用する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、シリカ、タルク、クレー、ガラスビーズなどの粉末を使用することができるが、これらに限定されるものではない。アクリル系人工大理石に必要とされる高級感、耐汚染性能、加工性能などの点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、ガラスビーズなどの粉末が好ましく、とりわけ水酸化アルミニウム粉末が好ましく用いられる。無機充填材の粒子径は通常0.1〜100μmが使用され、より好ましくは1〜30μmである。シラン処理など表面処理した無機充填材も好ましく使用される。無機充填材の使用量は、(メタ)アクリル酸エステルを主体とする不飽和単量体100重量部に対し、通常50〜500重量部が使用され、好ましくは100〜400重量部が使用される。
【0011】
また本発明の方法においては、本発明において得られる成形物の靱性や強度の向上あるいはクラックの発生・進行の抑制などの補強効果の発現を目的として、混練時または混合時などに補強単繊維を添加することができる。選択される繊維としては、アスベストやガラス繊維等の無機繊維、アラミド繊維やビニロン繊維などを含む各種有機繊維、カーボン繊維、金属ウィスカーなどである。使用される補強単繊維の形状および添加量は所望される成形品の特徴によりその組合わせが変化するため、これらを厳密に規定することはできないが、例えば、靱性向上やクラック発生の抑制を目的としてビニロン繊維の収束タイプのチョップドストランドを使用する場合には、繊維形状としては、繊維径5〜300μm、繊維長3〜50mmの範囲にあることが好ましく、また添加量としては、本発明において使用されるメタクリル酸エステルを主体とする単量体100重量部に対して、5〜200重量部の範囲にあることが望ましい。添加量が5重量部未満では補強効果を発現させることが困難であり、また添加量が200重量部を越えると通常の装置による混練が甚だしく困難となる。
【0012】
また、本発明において、さらに低収縮性や加工特性の向上、意匠性の付与を目的としてメタクリル系部分架橋ゲル状重合体を添加することができる。この目的のため好ましく用いることができるメタクリル系部分架橋ゲル状重合体は、例えば特開昭60−202128号公報、特開昭62−1705号公報等に記載されているような、(a)アルキルメタクリレ−ト単独、アルキルメタクリレ−トを主成分とするα,β−エチレン性不飽和単量体との単量体混合物およびそれらの重合体を含有するシラップからなる群から選ばれた樹脂原料、および(b)該樹脂原料100重量部当たり2〜250重量部の架橋剤よりなる混合物を部分的に重合させて全重合体含有率が90重量%を超えない範囲で重合体の含有率を前記混合物中の全重合体含有率よりも4〜75重量%増加させた部分架橋ゲル状重合体である。アルキルメタクリレ−トには特に制限はなく、上記メタクリル酸エステルとして挙げたものの中から適宜選択することができ、またα,β−エチレン性不飽和単量体および架橋剤についても特に制限はなく、上記メタクリル酸エステルと共重合可能な他の不飽和単量体として挙げたものの中から適宜選択して使用することができる。
【0013】
メタクリル系部分架橋ゲル状重合体は破砕して用いることが好ましく、通常平均粒径が5mm以下、好ましくは0.1〜3mm程度のものが使用される。またメタクリル系部分架橋ゲル状重合体の配合割合は、メタクリル酸エステルを主体とする単量体100重量部に対して、通常0〜300重量部、好ましくは10〜200重量部、より好ましく15〜150重量部である。
【0014】
本発明の第1工程においては、まず(メタ)アクリル酸エステルを主体とする不飽和単量体、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂および無機充填材、更に必要であればそのほかの添加物を混合し、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が完全に溶解しておらず、通常スラリーの混合物を得る。混合は、通常室温〜120℃、好ましくは室温〜100℃程度の温度で行われ、混合前に原料を予熱しておくこともできる。これらの成分を混合する方法としては、特に限定されず、液体と粉体の混合に使用される方法であればよく、例えば撹拌翼を具備した撹拌槽、混練機、押出機などが使用できる。
【0015】
次いで第2工程においては、第1工程で得られる混合物を混練して、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が完全に溶解した混練物を得る。混練は、65〜120℃の温度で行うことが必要であり、好ましくは70〜100℃である。混練する温度が65℃より低い温度では、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の溶解が遅くなり、生産性の点で好ましくない。一方、120℃を超える場合には、単量体の重合や重合体の分解などが生じやすくなり、安定した生産ができなくなる。混練する方法としては、特に限定されず本発明の効果を実現できるものであればよく、例えばシグマ型ブレードニーダー、ゼット型ブレードニーダー、スパイラル型ブレードニーダー、ブレード形連続ニーダー、パドルミキサー、連続パドルミキサー、リボンミキサー、コニーダー、ロール形加圧ニーダー、ロール形インターナルミキサー、コンテニュアスニーダー、単軸押出機、二軸押出機などを用いて行われる。上記温度で混練するために、混練機は、通常ジャケット部などの温度調節部を有し、電熱ヒーター、蒸気、温水または冷却水、温度調節用油などを用いて混練部が所定の温度になるように調節できることが好ましい。混練時間は、混練機の種類、回転数また混練温度により異なるが一般には2分から10分が採用される。
混練機で第1工程と第2工程を一括して行うこともでき、また第1工程と第2工程をひとつの機械で連続して行うこともできる。
【0016】
そして第3工程では、第2工程で得られる通常粘土状の混練物を冷却し、冷却後または冷却過程中に硬化剤を混合して樹脂組成物を得る。第3工程では、硬化剤の種類によって異なるが、例えば80℃以下、通常5〜60℃程度までに冷却される。冷却は、ジャケットに冷水を通じて、混練物を撹拌・混合するなどの方法により効率よく行うことができる。硬化剤としては、特に限定されないが、ラジカル重合開始剤であるアゾビス化合物や有機過酸化物が通常用いられ、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5ートリメチルシクロヘキサンなどの一種以上が使用できる。硬化剤の配合割合は、メタクリル酸エステルを主体とする単量体100重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部である。硬化剤が固体の場合は、あらかじめ少量の単量体に溶解して添加することにより、容易に均一に混合することができる。
【0017】
続く第4工程では、第3工程で得られる樹脂組成物が脱気される。脱気操作は、成形品とした場合において泡状の白化、くぼみなどの欠点の原因となる樹脂組成物中に包含される空気の除去に有効である。脱気操作は、例えば第3工程で得られた樹脂組成物を減圧することで容易に行うことができる。具体的には、例えば押出機あるいは連続混練機のベントから空気等を除去する方法、あるいは減圧室に樹脂組成物を通過させる方法などにより行うことができる。脱気操作で採用される真空度は、樹脂組成物中の空気の巻き込み状況、配合組成、混練、混合状況などに影響されるが、通常550torr以下であり、50〜200torr程度が好ましく採用される。第4工程が省略された場合には、成形品の形状や成形条件によって白化、くぼみなどが発生する場合があり好ましくない。
【0018】
最後に第5工程で、第4工程で脱気された樹脂組成物は、続く成形・硬化工程に便利な形状に賦形される。樹脂組成物は、通常板状あるいは棒状などに予備的に賦形されるが、塊状、ペレット状などの形状でも差し支えない。これらの成形材料の製造方法としては、連続的に板状あるいは棒状に押出された樹脂組成物を所定の長さに切断する方法が生産性の高い方法として挙げられる。賦形する温度は、硬化温度未満の温度であれば特に制限されず、通常5〜60℃が好ましく使用される。
【0019】
本発明の成形材料を製造する装置としては、例えば65〜120℃に加熱できるジャケットを有し、かつ原料供給口側に連続して混合する機能をもつ部位とその下流に混練する機能をもつ部位からなる装置、あるいは更にこれらの部位と冷却ジャケットを有し混合して冷却する機能をもつ部位が連結された装置と、冷却ジャケットを有し混合して冷却する機能をもち、硬化剤の投入孔、脱気する機能をもつ部位、および賦形する機能をもつ部位が連結された装置から構成される製造装置が挙げられる。これらの装置は、混合・混練する部位と、低温下で硬化剤を混合し脱気・賦形する部位を分離することができ、条件が個別に設定できるので好ましい。
【0020】
また、本発明の成形材料を製造する別の装置の例としては、65〜120℃に加熱できるジャケットを有し、原料供給口側に連続して混合する機能をもつ部位、65〜120℃に加熱できるジャケットを有する混練する機能をもつ部位、冷却ジャケットを有し混合して冷却する機能をもち硬化剤の投入孔および脱気する機能をもつ部位、および賦形する機能をもつ部位が順次連結されている製造装置が好ましく使用される。この装置は、コンパクトな製造装置とすることができ、製造条件設定が容易な成形材料の製造において特に好ましい。
【0021】
本発明の方法においては、本発明の目的に支障のない範囲で、必要に応じ混練時または混合時などに、あるいは別途簡便な混合・混練工程を設けて、各種模様材、着色剤、カップリング剤、光安定剤、酸化防止剤、離型剤、重合調整剤、脱泡剤などの添加剤を併用することができる。また、本発明における混合、混練工程での増粘速度の向上や、樹脂組成物から成形品を製造する際の金型に対する転写性の向上を目的として、本発明において使用される(メタ)アクリル酸エステルを主体とする不飽和単量体に対して不溶かつ膨潤度を有する樹脂組成物を添加することもできる。
【0022】
本発明の方法で得られる成形材料は、圧縮成形、射出成形、押出成形などの方法で賦形・硬化することにより、成形品、特に大理石様の製品を得ることができる。成形条件としては通常の条件が採用され、例えば圧縮成形での成形圧力は10〜200kg/cm2 、成形温度は80〜180℃、成形時間は10分程度である。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。実施例は、本発明の一実施態様を示したものであり、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、加圧展延性は次の方法により測定・評価した。
(加圧展延性の測定)
成形材料を30.0g秤量し、熱盤温度50℃に加温したプレス機にて、上熱盤/50μm厚みナイロンフィルム/成形材料/50μm厚みナイロンフィルム/下熱盤の構成で、3トンの総荷重をかけて60秒間加圧し、成形材料の広がり面積を面積計[林電工(株)製:自動面積計AAM−8型]を用いて測定する。
(加圧展延性の評価)
上記の方法で、成形材料の混練直後と、成形材料を50μmの厚みのナイロンフィルムの袋に密閉した状態で約1日室温放置後の加圧加熱による広がり面積(加圧展延性)を測定し、得られた成形材料に1日室温放置による粘度変化があったかどうかを評価した(変化が見られない場合は熟成の必要がないものと評価した)。またナイロンフィルム間で引き伸ばされたフィルム状の成形材料を目視観察し、未溶解重合体の有無を調べた。
【0024】
実施例1
ジャケットに90℃の熱媒を通し、原料供給側のL/D=5までの部分をスクリューにして混合機能を、それ以降にニーデングバドルを配して混練機能を付与した2軸混練部(口径50φ、L/D=13)と、冷却水が通水された冷却ジャケットおよび2軸押出部分の原料供給側よりL/D=4の部分に設けられた硬化剤供給孔を具備した2軸押出部分(口径50φ、L/D=6)および2軸押出部分の先に設けた減圧室、減圧室の後に設けられた、20mm×150mmの開口を有するダイを具備した1軸の押出部分(口径100φ、L/D=5)が連結されて構成される冷却・賦形部とを、2軸混練部の吐出物が、冷却・賦形部の二軸押出部分の原料ホッパーに入るように配置した。
【0025】
2軸混練部に、平均粒径が8μのシラン処理済みの水酸化アルミニウム274重量部とメタクリル系樹脂ビーズ(メタクリル酸メチル98重量%とアクリル酸メチル2重量%の共重合体、重量平均分子量110000、平均粒子径0.3mm)105重量部の混合物を42.6kg/時間のフィード量で供給し、また液体混合槽でメタクリル酸メチル57重量部にネオペンチルグリコールジメタクリレート43重量部を混合した液を液体混合槽から定量ポンプにより10kg/時間のフィード量で供給し、混練した。吐出口より吐出された82℃の混練物を冷却・賦形部の原料ホッパーに導き入れて、ホッパー部に混練物があふれないように冷却・賦形部の押出速度を調節した。硬化剤の投入孔より1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを200g/時間のフィード量で供給した。硬化剤の供給部の組成物の温度は58℃であった。減圧室を110torrに減圧して、ダイより20mm×150mmの断面をもつ板状の成形材料を得た。成形材料の温度は35℃で、変色はなく、表面はなめらかであった。この成形材料の加圧展延性は302cm2 であり、成形材料中には未溶解ポリマーは見られず、また24時間経過後も加圧展延性は変化がなかった。
【0026】
成形材料10kgを天板部600mm×1000mm、50mmの高さの前垂れおよびバックガードを有する洗面化粧台用金型中に投入し、成形温度130℃、加圧樹脂圧100kgf/cm2 、加圧時間12分の成形条件において加圧成形を行い、600mm×1000mm×10mmのアクリル人工大理石の洗面化粧台を得た。得られた成形品にはクラック、白化、くぼみなどの成形欠点はなく、極めて美麗な表面をもっていた。
【0027】
実施例2
原料供給口よりL/D=22の部分までのジャケットに70℃の熱媒を通し、それ以降は冷水を通し、また原料供給側のL/D=5までの部分をスクリューにして混合機能を、それ以降L/D=22までの部分にニーデングデスクを配して混練機能を付与し、それ以降はまたスクリューにして混合・送り機能を付与し、原料供給口よりL/D=29の部分に硬化剤投入孔を設け、原料供給口よりL/D=34の部分にベント孔を設け、先端に20mm×150mmの開口を有するダイを具備した2軸押出装置(口径40mm、L/D=42)に、平均粒径が8μのシラン処理済みの水酸化アルミニウム274重量部と実施例1と同様のメタクリル系樹脂ビーズ105重量部の混合物を42.6kg/時間のフィード量で供給し、また液体混合槽でメタクリル酸メチル57重量部にネオペンチルグリコールジメタクリレート43重量部を混合した液を液体混合槽から定量ポンプにより10kg/時間のフィード量で供給し、混練した。硬化剤の投入孔より1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5ートリメチルシクロヘキサンを200g/時間のフィード量で供給した。ベント孔は70torrに減圧して、ダイより20mm×150mmの断面をもつ板状の成形材料を得た。成形材料の温度は32℃で、変色はなく、表面はなめらかであった。この成形材料の加圧展延性は297cm2 であり、成形材料中には未溶解ポリマーは見られず、また24時間経過後も加圧展延性は変化がなかった。
【0028】
得られた成形材料10kgを天板部600mm×1000mm、50mmの高さの前垂れおよびバックガードを有する洗面化粧台用金型中に投入し、成形温度130℃、加圧樹脂圧100kgf/cm2 、加圧時間12分の成形条件において加圧成形を行い、600mm×1000mm×10mmのアクリル人工大理石の洗面化粧台を得た。得られた成形品にはクラック、白化、くぼみなどの成形欠点はなく、極めて美麗な表面をもっていた。
【0029】
実施例3
実施例1と同様に、ジャケットに100℃の熱媒を通し、原料供給側のL/D=5までの部分をスクリューにして混合機能を、それ以降にニーディングバドルを配して混練機能を付与した2軸混練部 (口径50φ、L/D=13) と、冷却水が通水された冷却ジャケットおよび2軸押出部分の原料供給側よりL/D=4の部分に設けられた硬化剤供給孔を具備した2軸押出部分(口径50φ、L/D=6)および2軸押出部分の先に、20mm×150mmの開口を有するダイを具備した1軸の押出部分 (口径100φ、L/D=5) が連結されて構成される冷却・賦形部とを、2軸混練部の吐出物が、冷却・賦形部の二軸押出部分の原料ホッパーに入るように配置した。
【0030】
2軸混練部に、平均粒径が8μのシラン処理済みの水酸化アルミニウム212重量部と実施例1と同様のメタクリル樹脂ビーズ70重量部、石目調模様材47重量部および補強用ビニロン繊維 〔(株)クラレ製、RF−S602〕 19重量部を混合した粉体の混合物を39.4kg/時間のフィード量で供給し、また液体混合槽でメタクリル酸メチル68重量部にネオペンチルグリコールジメタクリレート32重量部を混合した液を液体混台槽から定量ポンプにより10.6kg/時間のフィード量で供給し、混練した。吐出口より吐出された85℃の混練物を冷却・賦形部の原料ホッパーに導き入れて、ホッパー部に混練物があふれないように冷却・賦形部の押出速度を調節した。硬化剤の投入孔より1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを333g/時間のフィード量で供給した。硬化剤の供給部における組成物の温度は58℃であった。減圧室を110torrに減圧して、ダイより20mm×150mmの断面をもつ板状の成形材料を得た。成形材料の温度は50℃で、変色はなく、表面はなめらかであった。この成形材料の加圧展延性は340cm2 であり、成形材料中には未溶解ポリマーは見られず、また24時間経過後も加圧展延性は変化がなかった。
【0031】
得られた成形用樹脂組成物10kgを天板部600mm×1000mm、50mmの高さの前垂れおよびバックガードを有する洗面化粧台用金型中に投入し、成形温度130℃、加圧樹脂圧110kgf/cm2 、加圧時問12分の成形条件において加圧成形を行い、600mm×1000mm×11mmのアクリル人工大理石の洗面化粧台を得た。得られた成形品にはクラックなどの成形欠点はなく、美麗な表面を有していた。
【0032】
【発明の効果】
本発明の方法は、モノマー成分、ポリマー成分および無機充填材とから一気に樹脂組成物の混合・混練を完了させ、冷却して硬化剤を添加した後、脱気して成形に便利な形に賦形された成形材料を効率的に生産できるものであり、人工大理石用の成形材料などを簡便かつ廉価に製造する方法として好適である。
Claims (4)
- (メタ)アクリル酸エステルを主体とする不飽和単量体、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂および無機充填材を混合する第1工程、第1工程で得られる混合物を65〜120℃で混練する第2工程、第2工程で得られる混練物を冷却し硬化剤を混合する第3工程、第3工程で得られる樹脂組成物を脱気する第4工程、および第4工程で脱気した樹脂組成物を賦形する第5工程から構成されることを特徴とするアクリル系樹脂成形材料の製造法。
- 第1工程において、さらに補強単繊維および/またはメタクリル系部分架橋ゲル状重合体を混合することを特徴とする請求項1に記載のアクリル系樹脂成形材料の製造法。
- 65〜120℃に加熱できるジャケットを有し、かつ原料供給口側に連続して混合する機能をもつ部位とその下流に混練する機能をもつ部位からなる装置と、冷却ジャケットを有し混合して冷却機能をもち硬化剤の投入孔をもつ部位、脱気する機能をもつ部位、および賦形機能をもつ部位が順次連結された装置とを用いて製造することを特徴とする請求項1、2記載の製造法。
- 65〜120℃に加熱できるジャケットを有し、原料供給口側に連続して混合する機能、次いで混練する機能をもつ部位、冷却ジャケットを有し混合して冷却する機能をもつ部位、硬化剤の投入孔、脱気する機能をもつ部位、および賦形する機能をもつ部位が順次連結されている装置を用いて製造することを特徴とする請求項1、2記載の製造法。
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