JP3637252B2 - 搬送車両の分岐制御装置及びその分岐制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送車両の分岐制御装置及びその分岐制御方法に関し、特に、倣い装置が車両の前後に設けられている搬送車両の分岐制御装置及びその分岐制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無人化されて自動走行する搬送用車両が、資材供給ライン、中間品供給ライン、製品出荷ラインから形成される製造・組立ラインを持つ工場・プラント(例示:製鉄所)で、大重量物体(例示:帯鋼板コイル)の搬送のために使用されている。搬送路は、基幹走行路と、それから分岐して荷役用ステーションに分岐する分岐路とから形成される。その分岐点は、搬送車両側に固定されている倣い装置(誘導線検出器)により検出される。その倣い装置が辿って倣う搬送線は、車両の前後の2点に関して同一であることが求められる。
【0003】
倣い装置は、誘導線の右側、左側、又は、中央のいずれかを倣う切換処理が指示される。車両の前後の2箇所に倣い装置が設けられている車両では、その切換処理が同時に行われている。分岐点が連続的に設けられている場合、分岐点間の間隔が前後の2つの倣い装置の間の間隔よりも短かければ、車両の前後は大きく異なった軌跡を描き車両の適正な姿勢の制御ができない。分岐点間の間隔を前後の2つの倣い装置の間の間隔よりも十分に大きく設計することは、分岐点を短くしたい要請に応えることが困難になり、設計に制約が生じる。
【0004】
倣い装置の数と分岐点の数との関係によらずに、車両の前部と後部とが同じ軌跡を描いて走行することができることが望まれる。更には、近接する複数の前後の分岐点のそれぞれに関して誤りなく同じ方向に倣って移動し分岐点間隔の設計に制約がないことが求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、倣い装置の数と分岐点の数との関係によらずに、車両の前部と後部とが同じ軌跡を描いて走行することができる搬送車両の分岐制御装置及びその分岐制御方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、車両の前部と後部が近接する複数の前後の分岐点のそれぞれに関して誤りなく同じ方向に倣って移動することができ、分岐点間隔の設計に制約がない搬送車両の分岐制御装置及びその分岐制御方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数・形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0007】
本発明による搬送車両の分岐制御装置は、車両(5)に搭載され車両(5)の走行距離を計測する走行距離計測装置(13)と、車両(5)に搭載され路面上の搬送線(1,3)を倣う2つの倣い装置(R2,R1)と、2つの倣い装置(R2,R1)が分岐点(P2,P1)で分岐する複数搬送線(1,3)のいずれを倣うかをそれぞれに規定する分岐切換装置(11)とを含み、2つの倣い装置(R2,R1)は、車両(5)上に設定される前方基準点(R2)と後方基準点(R1)に対応して車両(5)上で位置づけられ、車両(5)上に前後方向に設定されている2基準点(R2,R1)の間の距離がLで示され、前方基準点(R2)が搬送線上に設定されている分岐点(P2)を通過した後に後方基準点(R1)の走行距離が距離Lに概ね一致した時に、後方基準点(R1)は前方基準点(R2)が倣う搬送線(4)と同じ搬送線(4)を倣う。車両はみずからが計測する走行距離(L2)である内部情報が利用され、前方基準点(R2)が倣う搬送線を後方基準点が倣うので、車両は自律的に前方部位と後方部位とが同じ軌跡を描くことができる。
【0008】
2基準点(R2,R1)は、車両(5)の前方車輪位置と後方車輪位置に対応し、特には、一致していることが精度的に好ましい。搬送線(1)上に設定される分岐点は、前方分岐点(P2)と後方分岐点(P1)との2点であり、前方分岐点(P2)と後方分岐点(P1)との間の距離がL1で表され、既述の距離(L)が改めてL2で表され、L1<L2である。このような条件は、2分岐点(P2,P1)の間に他の分岐点が存在していても、車両は内部情報(L2)に基づいて、車両はその前方部位と後方部位が既述の通りの同じ軌跡を描く。
【0009】
本発明による搬送車両の分岐制御方法は、前方分岐点(P2)と後方分岐点(P1)とが前後に設けられ前方分岐点(P2)と後方分岐点(P1)とでそれぞれに複数搬送線(1,3)に分岐する搬送線上で車両(5)を走行させること、前方分岐点(P1)で車両(5)の前方部位(R1)を複数搬送線(1,3)のいずれかの搬送線(3)に倣わせること、車両(5)の後方部位(R1)が前方部位(R2)と後方部位(R1)との間の距離(L)だけ走行した時に、前方部位(R2)が倣った搬送線(3)を車両(5)の後方部位(R1)に倣わせることとを含む。
【0010】
更に、前方分岐点(P2)と後方分岐点(P1)との間の距離(L1)は、前方部位(R2)と後方部位(R1)の間の既述の距離(L2)より短いことが、特に好ましい。分岐点の密集度合いに関係なく、車両の前後部位に同じ軌跡を描かせることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図に一致対応して、本発明による搬送車両の分岐制御装置の実施の形態は、複数の分岐路が基幹搬送路とともに設けられている。その複数の分岐路は、図1に示されるように、その基幹搬送路1から分岐する第1分岐路2と第2分岐路3とから形成されている。基幹搬送路1、第1分岐路2、第2分岐路3にはそれぞれの基準線に、車両側に配置されている慣用の左右側倣い装置が感応する被感応物質(例示:鉄、磁石)により連続的に又は間欠的に配線される倣い用配線4が路面下に埋め込まれている。倣い装置には、慣用の検出器(例示:磁気センサ)が用いられ得る。
【0012】
第1分岐路2と第2分岐路3が基幹搬送路1から分岐する分岐点が、P1,P2で示されている。図2は、車両5を示している。車両5は、その前方部に前方側倣い装置R2を備え、その後方部に後方倣い装置R1を備えている。以下、R2,R1は、両倣い装置が固定されて配置されている車両上の2定点をも表現する。
【0013】
両倣い装置R2,R1は、図1に示されるように、倣い用配線4に対して右倣いRと左倣いLとの自在の倣い切換え又は分岐切換が可能である。両倣い装置R1,R2は、車両5の中の制御装置(図示されず)から指令を受けて、右倣いRと左倣いLとのいずれかを選択し、右倣いRを選択したときは走行方向に見て右側の倣い用配線4を倣って車両5を走行させ、左倣いLを選択したときは走行方向に見て左側の倣い用配線4を倣って車両5を走行させる。
【0014】
車両5の前方2輪は前方差動装置を介して結合し、車両5の後方2輪は後方差動装置を介して結合し、駆動車輪は前方側でも後方側でもよく、4輪駆動も可能である。前方倣い装置R2は前方2輪の車軸に対してそれより鉛直下方に設けられ、後方倣い装置R1は後方2輪の車軸に対してそれより鉛直下方に設けられていることが適正である。
【0015】
図3は、本発明による搬送車両の分岐制御装置の回路構成を示している。車両5に搭載される分岐制御装置は、分岐切換装置11を備えている。分岐切換装置11に、走行方向制御装置12と走行距離計測装置13とが接続している。走行方向制御装置12から出力される走行方向指令信号14と、走行距離計測装置13から出力される走行距離信号15とが、分岐切換装置11に入力される。
【0016】
分岐切換装置11は、走行方向指令信号14と走行距離信号15とに基づいて、前方倣い装置R2に左右(左又は右)倣い信号16を送信し、後方倣い装置R1に左右(左又は右)倣い信号17を独立に送信する。走行方向指令信号14は、走行方向制御装置12が内蔵するプログラムにより規定されている。走行距離計測装置13は、慣用の回転数検出器であり、特に後輪の回転数から計測することができる。
【0017】
図4は、本発明による搬送車両の分岐制御方法の実施の形態を示している。2分岐点間距離P2P1は、距離L1で示されている。2定点間距離R2R1は、距離L2で示されている。条件:
L2>L1
が与えられている。
【0018】
図4(a)は、前方動点R2が、後方分岐検出点P1を既に通過していてちょうど前方分岐検出点P2に到達した状態位置Iを示している。この状態位置Iでは、後方動点R1は、既述の条件により、まだ後方分岐検出点P1に到達していない。状態位置Iになる前に、前方動点R2の前方倣い装置R2は、後方分岐検出点P1で左倣いLを選択していた。分岐点以外の任意の点では、両倣い装置が左倣いL又は右倣いRのいずれを選択していても、結局は倣い用配線4を倣うので、車両はその点が属する倣い用配線4に従って走行することができる。
【0019】
図4(a)に示される状態位置Iで、前方倣い装置R2は右倣いRを選択して、やがて前方2輪は時計まわりに回転し車両の前部は右側倣い用配線4Rに倣って移動することになる。前方倣い装置R2が右倣いRを選択した時点で同時に、走行距離計測装置13は後2輪の回転数の計数を開始する。車両5の後方部の後方倣い装置R1が距離(L2−L1)だけ前進した図4(b)に示される状態位置IIでは、後方倣い装置R1は後方分岐検出点P1に到達している。
【0020】
図4(c)は、図4(a)の状態位置Iの動点R1が距離L2だけ前進して前方分岐検出点P2にちょうど到達した状態位置IIIを示している。この時、走行距離計測装置13の計測距離はL1に達する。走行距離信号15を受け分岐切換装置11は右倣い信号17を出力する。この結果、後方倣い装置R1は、右倣いRを選択する。
【0021】
他の分岐点が両分岐点P1、P2の間に存在しても、後輪は前輪が選択した左右倣いに追随して同じ左右倣いを選択することができる。前方倣い装置と後方倣い装置は、双方向に走行する車両に対して、前後関係は逆になる。
【0022】
【発明の効果】
本発明による搬送車両の分岐制御装置及びその分岐制御方法は、車両長さよりも短い長さの搬送路上に複数の分岐点があっても、車両の前部と後部は、同じ軌跡を描いて移動することができ、車両の高精度の位置と姿勢の運航を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による搬送車両の分岐制御装置の実施の形態を示す平面図である。
【図2】図2は、車両の倣い装置を示す平面図である。
【図3】図3は、分岐制御装置を示す回路ブロック図である。
【図4】図4(a),(b),(c)は、各位置での分岐切換を示す平面図である。
【符号の説明】
1,3…搬送線
5…車両
11…分岐切換装置
13…走行距離計測装置
P2…前方分岐点
P1…後方分岐点
R2…前方基準点(前方部位、前方倣い装置)
R1…後方基準点(後方部位、後方倣い装置)
L2…走行距離
L1…分岐点間距離
Claims (3)
- 車両に搭載され前記車両の走行距離を計測する走行距離計測装置と、
前記車両に搭載され路面上の搬送線を倣う2つの倣い装置と、
前記2つの倣い装置が分岐点で分岐する複数搬送線のいずれを倣うかをそれぞれに規定する分岐切換装置とを含み、
前記2つの倣い装置は、前記車両上に設定される前方基準点と後方基準点に対応して前記車両上で位置づけられ、
前記車両上に前後方向に設定されている2基準点の間の距離がL2で示され、前記搬送線上に設定される前記分岐点は、前方分岐点と後方分岐点との2点を含み、前記前方分岐点と前記後方分岐点との間の距離がL1で表され、L1<L2であり、
前記前方基準点が前記搬送線上に設定されている分岐点で前記複数搬送線のいずれかを倣った後に前記後方基準点の前記走行距離が前記距離L2に概ね一致した時に、前記後方基準点は前記前方基準点が倣う搬送線と同じ搬送線を倣う
搬送車両の分岐制御装置。 - 請求項1において、
前記2基準点は、前記車両の前方車輪位置と後方車輪位置に対応している
搬送車両の分岐制御装置。 - 請求項1において、
前記前方分岐点と前記後方分岐点との間に更に他の分岐点が設けられている
搬送車両の分岐制御装置。
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