JP3636923B2 - 基礎構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は基礎構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に鉄筋コンクリート造の建物は、図7に示すように、コンクリート杭や鋼管杭などの杭15で支持されている。この杭15は支持地盤16にまで打ち込まれて建物17の鉛直荷重を支持している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような杭は鉛直荷重と水平荷重の両方を負担しなければならないため大断面となっていた。
【0004】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、鉄筋コンクリート造の建物を支持する杭が鉛直荷重だけを負担する基礎構造を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための本発明の手段は、フーチングまたはマットスラブである基礎スラブの下面に、水平抵抗用の断面四角形または断面三角形の長尺体を格子状に設け、この格子の中に変形能力の大きな鋼製杭が設けられたことを特徴とする。
【0006】
水平抵抗用の断面四角形または断面三角形の長尺体を格子状に設けたことにより、建物のいかなる方向からの水平荷重にも抵抗して地震エネルギーを消散させる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における基礎構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は第1の実施の形態の基礎構造の断面図、図2は図1のA−A線断面図である。
【0020】
図1は、杭で支持された建物の基礎構造、すなわち地盤3上に構築された建物4の基礎構造2を示し、べた基礎のマットスラブ5が支持地盤6に打設した杭1で支持され、前記マットスラブ5の下面に水平抵抗用の突起(以下突起という)7が突設されている。
【0021】
杭1は建物4に作用する水平荷重に柔軟に対応できる変形能力の大きな鋼製杭を使用している。一方、突起7は断面四角形の長尺体が格子状に配置されて地盤3に食い込んでいる。
【0022】
このような突起7が水平荷重に抵抗して杭1に作用する曲げモーメントおよびせん断力を小さくすることにより、杭1の径を鉛直荷重だけ支持する大きさに縮小できる。すなわち、杭1が垂直荷重を負担するようになるとともに、突起7が水平荷重を負担するようになる。
【0023】
また突起7の形状は断面四角形に限らず、図3に示すような形状にすることもできる。このうち(1)は断面三角形の長尺体を格子状にした突起7であり、地盤への食い込みが良好になる。また(2)は断面長方形の長尺体を格子状にした突起7であり、水平荷重に効果的に抵抗する。また(3)は四角錐の突起7であり、あらゆる方向からの水平荷重に対応することができる。また(4)および(5)は三角錐と円錐の突起7であり、いずれも地盤に食い込みやすく、かつあらゆる方向からの水平荷重に対応することができる。さらに(6)は円柱の突起7であり、前記と同様にあらゆる方向からの水平荷重に対応することができる。これらの突起7はそれぞれ単独で設ける他、組み合わせて設けることもでき、適宜に組み合わせることにより水平荷重に効果的に抵抗する。なお、突起7の形状は上記のものに限らず、例えば台形、その他の多角形、あるいは逆三角形、逆三角錐、逆四角錐、逆円錐などとすることもできる。また、突起7の長さは、支持地盤16に達しない範囲で必要に応じて設定される。
【0024】
図4および図5は第2の実施の形態の基礎構造、すなわち前記と同様に杭で支持された地盤3上に構築された建物4の基礎構造8を示したものである。この基礎構造8はフーチング9と基礎梁10とからなり、該基礎梁10に適宜数設けた突起7に水平荷重を負担させて杭1の負担を小さくしている。
【0025】
この突起7は、図3における(3)〜(6)のいずれかを単独または組み合わせて設けることもできる。これにより上記と同様の効果を達成することができる。
【0026】
図6は第3の実施の形態の基礎構造、すなわち比較的良好な地盤(水平荷重によって表層が液状化しない地盤)11に設けた直接基礎の建物12の基礎構造13、14である。このうち(1)は、マットスラブ5の下面に、第1の実施の形態と同じ突起7を設けた基礎構造13であり、前記突起7が水平荷重に抵抗して地震エネルギーを消散させる。また(2)は、フーチング9の下面に、図3における(3)〜(6)のいずれかの突起7を単独または組み合わせて設けた基礎構造14であり、前記と同じ効果を達成することができる。
【0027】
【発明の効果】
突起が水平荷重に抵抗して地震エネルギーを消散させることにより、良好な地盤上に構築された建物に作用する水平荷重が小さくなる。
【0028】
突起が水平荷重に抵抗して地震エネルギーを消散させることにより、杭に作用する曲げモーメントおよびせん断力が小さくなる。
【0029】
マットスラブは地盤との設置面積が大きいため、水平荷重に効果的に抵抗して地震エネルギーの消散を大きくする。またフーチングの場合であっても、突起が水平荷重に抵抗して地震エネルギーを消散させる。
【0030】
基礎梁に設けた突起が水平荷重に抵抗して地震エネルギーを消散させる。
【0031】
格子状の突起は建物のいかなる方向からの水平荷重にも抵抗する。
【0032】
突起の形状および配置を建物の大きさや形状、地盤の性状に応じたものに変えることができる。
【0033】
杭の変形能力が大きくなる。
【0034】
杭が垂直荷重を負担するようになるとともに、突起が水平荷重を負担するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の基礎構造の断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】(1)〜(6)は他の形状の突起の斜視図である。
【図4】第2の実施の形態の基礎構造の断面図である。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【図6】(1)および(2)は第3の実施の形態の基礎構造の断面図である。
【図7】従来の基礎構造の断面図である。
【符号の説明】
1 杭
2、8、13、14 基礎構造
3 地盤
4、17 建物
5 マットスラブ
6、16 支持地盤
7 突起
9 フーチング
10 基礎梁
11 良好な地盤
12 直接基礎の建物
15 杭
Claims (1)
- フーチングまたはマットスラブである基礎スラブの下面に、水平抵抗用の断面四角形または断面三角形の長尺体を格子状に設け、この格子の中に変形能力の大きな鋼製杭が設けられたことを特徴とする基礎構造。
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