JP3636505B2 - 冷水温水供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、医療用の熱交換器例えば人工肺中の熱交換器や患者のベッドの下に配置されるブランケット等に冷水又は温水を供給する冷水温水供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ところで、心臓等の手術をする際、心臓に出入りする血液を一時的に遮断してその間、血液ポンプ及び人工心臓、人工肺等により全身の血液循環を保つようにする人工心肺装置を使用して血液の体外循環を行わせる方法が用いられている。
この方法においては開心術を行う際に体温を下げ、この手術の終了少し前に体温を上げる低体温法が多く行われるので、体外循環回路中に熱交換器が必要となる。この熱交換器に冷水又は温水を供給する冷水温水供給装置が用いられている。
【0003】
従来の冷水温水供給装置としては、図3に示すようなものが知られている(実開平4−95043号マイクロフィルム参照)。
すなわち、冷水が貯留される冷水槽1と、温水が貯留される温水槽2とを備え、前記冷却水槽1内の水を冷却機3により冷却するとともに、温水槽2内の水をヒータ4により加熱するようになっており、冷水槽1内に貯留された冷水を配管5に設けられたポンプ14を駆動して配管5、3方向切換弁7及び配管6を介して医療用の熱交換器(図示せず)に供給し、配管8、3方向切換弁9及び配管10を介して冷水槽1に還流させる一方、前記3方向切換弁7,9を切り換えて温水槽2内に貯留された温水を配管12に設けられたポンプ13を駆動して配管12、3方向切換弁7及び配管6を介して前記熱交換器に供給し、配管8、3方向切換弁9及び配管11を介して還流させるようになっている。
なお、図中6aは熱交換器への配管との接続具を示し、図中8aは熱交換器からの配管との接続具を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の冷水温水供給装置には、以下のような解決すべき課題があった。
【0005】
すなわち、冷水槽1及び温水槽2の2槽が必要であり装置の床面積が増大し、手術室に設置した場合に、医師や看護婦の通行が妨げられることがあった。
また、冷水槽1及び温水槽2に常時冷水及び温水を貯留しておく必要があり、これらの保温のために無駄な電力が必要であった。
また、温水槽2内に貯留された水が使用温度まで加熱されていないと使用できないので、使用予定を考えて装置を運転するようにしなければならず、煩わしかった。
更に、冷却槽1及び温水槽2のそれぞれに対応してポンプ14,13や3方向切換弁7,9が必要となるので、配管構成が複雑になってしまい、装置の大型化の一要因となるとともに、製造コストの増大を招いていた
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、装置の小型化ができ、無駄な電力の消費がなく、温水が必要なときに急速加熱することができ、配管構成を簡略化することができ、加熱手段による空炊きを未然に防止することができる冷水温水供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、医療用の熱交換器に冷水又は温水を供給する冷水温水供給装置であって、内部に貯留された冷水を冷却するための冷却手段を備える冷水槽と、この冷水槽の下流に設けられた切換弁と、この切換弁の下流に設けられ、少なくとも、医療用の熱交換器及び内部を流通する水を加熱するための加熱手段が設けられた加熱用ボックスを備える第1のラインと、装置内を流通する水を前記熱交換器に向けて圧送する圧送手段と、前記第1のラインの下流に設けられ、前記冷水槽に至る第2のラインと、前記第1のラインの下流に設けられ、前記第2のラインをバイパスして前記切換弁に至る第3のラインとを備えると共に、前記切換弁により、冷水温水供給装置内の水の流通を、前記熱交換器に冷水を供給する場合には、前記冷水槽、前記切換弁、前記圧送手段、前記第1のライン及び前記第2のラインを経て前記冷水槽に還流させ、前記熱交換器に温水を供給する場合には、前記切換弁、前記圧送手段、前記第1のライン及び前記第3のラインを経て前記切換弁に還流させることを特徴とするものである。
また、請求項2記載の発明は、前記第1のライン中に、前記熱交換器の上流から分岐され、前記熱交換器の下流に至る第4のラインを更に備えたことを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
本発明の冷水温水供給装置によれば、冷水を医療用の熱交換器に供給する場合には、切換弁により、第1のラインの下流の水の流通を第2のラインに切り換え、圧送手段を駆動する。
これにより冷水槽内に貯留された冷水は、冷水槽の下流に設けられた切換弁を通じて第1のライン内に設けられた医療用の熱交換器に供給され、熱交換がされた後に、第1のラインの下流に設けられた第2のラインを通って冷水槽内に還流する。
冷水槽内の水は冷却手段によって所定の温度まで冷却される。
【0009】
温水を医療用の熱交換器に供給する場合は、切換弁により、第1のラインの下流の水の流通を第3のラインに切り換え、加熱用ボックスに設けられた加熱手段により水を加熱するとともに圧送手段を駆動する。
これにより、加熱された第1のライン内の水は、切換弁を通じて第1のライン及び第3のラインを循環されることにより第1のライン内に設けられた医療用熱交換器に供給され、熱交換がされた後に、加熱用ボックスに還流される
第1のライン及び第3のライン内の水は、加熱用ボックスに設けられた加熱手段により所定の温度まで加熱され循環に供される。
【0010】
【実施例】
以下に、図1を参照して、本発明の一実施例の冷水温水供給装置について説明する。
【0011】
本実施例の冷水温水供給装置20には、冷水が貯留される冷水槽21が設けられており、この冷水槽21内には冷却手段(例えば冷却管)22が配置され、この冷却手段22は冷凍機23に接続されている。
冷水槽21の底部には配管24が接続されているとともに、配管24には3方向切換弁25が介装されている。
この3方向切換弁25はモータにより2位置に切り換えられるものでで、一の位置では前記配管24は配管内の水を圧送する圧送手段(例えばポンプ)26に連通され、他の位置では、圧送手段26と後述する加熱用ボックス40とが連通される。
【0012】
圧送手段26の下流には配管内の水の温度を測定する測温手段(例えば、熱電対からなる温度計)27が設けられている
また、配管24は測温手段27のところで配管28,29に分岐させられており、各配管28,29には開閉弁30,31が介装されている。
【0013】
前記配管28は配管32を介して人工肺中の熱交換器34に接続されている。
また、前記配管29は配管33を介してベッドのクッション面に配置され患者を冷却又は加熱するブランケット35に接続されている。
前記熱交換器34の出口側には配管36が接続されるとともに、前記ブランケット35の出口側には配管37が接続され、これら各配管36及び配管37は分岐部材38に合流されている。
【0014】
分岐部材38に接続された配管39には加熱手段(例えば、電熱ヒータ)41が内蔵された加熱用ボックス40が介装されている。
この加熱用ボックス40の底部には配管42が接続されており、この配管42は前記3方向切換弁25に接続されている。
また、前記加熱用ボックス40の上部には配管43が接続されるとともに、配管43は前記冷水槽21に接続されており、この配管43と冷水槽21との接続部は冷水槽21に貯留された水面下となっている。
なお、前記配管24の中間には冷水槽21内の水のドレーン用の配管44が接続されている。
【0015】
ここで本実施例においては、配管28,32,36,39が本発明の第1のラインに、配管43が本発明の第2のラインに、配管42が本発明の第3のラインに、配管29,33,37が本発明の第4のラインにそれぞれ配されている。
【0016】
次に、本実施例の冷水温水供給装置の作用について説明する。
【0017】
冷水を熱交換器34及びブランケット35に供給する場合には、3方向切換弁25を配管24と圧送手段26とが連通する位置すなわち配管42と圧送手段26との連通を閉塞する方向に切り換えるとともに、開閉弁30,31を開状態とする。
次に、圧送手段26が駆動され、冷水槽21内に貯留された冷水は、配管24、切換弁25、圧送手段26、測温手段27に流入される。
【0018】
そして、本実施例においては、冷水の流通は、測温手段27の下流において、配管28,32を通って熱交換器34に供給され、熱交換がされた後に配管36、分岐部材38、加熱用ボックス40に至る第1のラインと、測温手段27の下流において、配管29,3 3を通ってブランケット35に供給され、このブランケット35が冷却された後に配管37、分岐部材38、加熱用ボックス40に至る第4のラインに分岐される。
また、加熱用ボックス40から流出する水は、配管43(第2のライン)を通って冷水槽21内に還流される。
ここで、冷水槽21内の水は冷却手段22によって所定の温度まで冷却されて循環に供されている。
なお、開閉弁30,31の一方を閉状態としておけば、人工肺の熱交換器34又はブランケット35への冷却水の供給を停止することができる。
【0019】
一方、温水を熱交換器34及びブランケット35に供給する場合は、3方向切換弁25を配管24と冷水槽21への連通を遮断して、圧送手段26と配管42とが連通する方向に切り換えるとともに、開閉弁30,31を開状態とする。
次に、加熱手段41を作動させるとともに圧送手段26を駆動する。
従って、加熱用ボックス40内の水は、加熱手段41により加熱され、配管42(第3のライン)、3方向切換弁25、圧送手段26、測温手段27に流入される。
【0020】
そして、本実施例においては、温水の流通は、測温手段27の下流において、配管28,32を通って熱交換器34に供給され、熱交換がされた後に配管36、分岐部材38、加熱用ボックス40に還流される第1のラインと、測温手段27の下流において、配管29,33を通ってブランケット35に供給され、このブランケット35が加温された後に配管37、分岐部材38、加熱用ボックス40に還流される第4のラインに分岐される。
ここで、加熱用ボックス40内の温水は加熱手段41により所定の温度まで加熱されて循環に供されている。
なお、加熱手段41により発生する水蒸気は配管43を通して冷水槽21に導かれ、外に排出される。
【0021】
本実施例によれば、従来の温水層に代え、第1のライン内に加熱手段41が内蔵された加熱用ボックス40を介装したので、装置の床面積が減少し、手術室に設置した場合にも、医師や看護婦の通行を妨げられることがない。
また、加熱手段41により加熱した温水を必要が生じたときに熱交換器34又はブランケット35に供給するようにしているので温水を常時貯留しておく必要がなく、無駄な電力の消費がない。
【0022】
また、熱交換器34又はブランケット35に温水を供給する必要が生じたときに、加熱手段41を駆動するとともに圧送手段26を駆動して温水を熱交換器34又はブランケット35に供給すればよいので、急速加熱を行うことができる。
更に、圧送手段26及び3方向切換弁25がそれぞれ1個でよいので、配管構成が簡単になり、装置を小型化することができ、製造コストの減少を図ることができる。
【0023】
図2に本発明の他の実施例の冷水温水供給装置を示す。
【0024】
この実施例においては、冷水が貯留される冷水槽51が設けられており、この冷却槽内51内には冷却手段(例えば冷却管)52が配置され、この冷却手段52は冷凍機53に接続されている。
冷却槽51の底部には配管54が接続されており、配管54には圧送手段(例えばポンプ)56が介装されている。
この圧送手段56は配管58を介して医療用の熱交換器(図示せず)に接続されているとともに、この熱交換器の出口側に接続された配管66には、加熱手段(例えば、電熱ヒータ)71が内蔵された加熱用ボックス70が介装されている。
【0025】
加熱用ボックス70の頂部には配管72が接続されており、この配管72には3方向切換弁55が介装されている。
この3方向切換弁55は2位置に切り換えられるもので、一の位置では前記配管72は配管73を介して前記冷水槽51の底部に連通され、他の位置では前記配管72は配管74の一端に連通されるとともに、この配管74の他端が前記配管54の途中に接続されている。
【0026】
ここで本実施例においては、配管58,66,72が本発明の第1のラインに、配管73が本発明の第2のラインに、配管74が本発明の第3のラインにそれぞれ配されている。
【0027】
本実施例の冷水温水供給装置によっても、前記実施例と同様に、装置の小型化ができ、無駄な電力の消費がなく、温水が必要なときに急速加熱することができ、配管構成を簡略化することができる
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1記載の冷水温水供給装置によれば、医療用の熱交換器に冷水又は温水を供給する冷水温水供給装置であって、内部に貯留された冷水を冷却するための冷却手段を備える冷水槽と、この冷水槽の下流に設けられた切換弁と、この切換弁の下流に設けられ、少なくとも、医療用の熱交換器及び内部を流通する水を加熱するための加熱手段が設けられた加熱用ボックスを備える第1のラインと、装置内を流通する水を前記熱交換器に向けて圧送する圧送手段と、前記第1のラインの下流に設けられ、前記冷水槽に至る第2のラインと、前記第1のラインの下流に設けられ、前記第2のラインをバイパスして前記切換弁に至る第3のラインとを備えると共に、前記切換弁により、冷水温水供給装置内の水の流通を、前記熱交換器に冷水を供給する場合には、前記冷水槽、前記切換弁、前記圧送手段、前記第1のライン及び前記第2のラインを経て前記冷水槽に還流させ、前記熱交換器に温水を供給する場合には、前記切換弁、前記圧送手段、前記第1のライン及び前記第3のラインを経て前記切換弁に還流させることとしたので、以下のような効果を奏する。
【0029】
(1)従来の温水層に代え、第1のライン内に加熱手段が設けられた加熱用ボックスを備えるので、装置の床面積が減少し、手術室に設置した場合にも、医師や看護婦の通行を妨げられることがない。
【0030】
(2)加熱手段により加熱した温水を必要が生じたときに熱交換器に供給するようにしているので、温水を常時貯留しておく必要がなく、無駄な電力の消費がない。
【0031】
(3)熱交換器に温水を供給する必要が生じたときに、加熱手段を駆動して温水を供給すればよいので、急速加熱を行うことができる。
【0032】
(4)圧送手段及び切換弁がそれぞれ1個でよいので、配管構成が簡単になり、装置を小型化することができ、製造コストの減少を図ることができる。
【0033】
また、本発明の請求項2記載の冷水温水供給装置によれば、前記第1のライン中に、前記熱交換器の上流から分岐され、前記熱交換器の下流に至る第4のラインを更に備えているので、
(5)熱交換器だけでなく、例えばベッドのクッション面に配置され、患者を冷却又は加熱するブランケットにも冷水温水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の冷水温水供給装置を示す図である。
【図2】 本発明の他の実施例の冷水温水供給装置を示す図である。
【図3】 従来の冷水温水供給装置を示す図である。
【符号の説明】
21 冷水槽
22 冷却手段
25 3方向切換弁
26 圧送手段
28,32,36,39 配管(第1のライン)
29,33,37 配管(第4のライン)
34 熱交換器
35 ブランケット
40 加熱用ボックス
41 加熱手段
42 配管(第3のライン)
43 配管(第2のライン)
51 冷水槽
52 冷却手段
55 3方向切換弁
56 圧送手段
58,66,72 配管(第1のライン)
70 加熱用ボックス
71 加熱手段
73 配管(第2のライン)
74 配管(第3のライン)

Claims (2)

  1. 医療用の熱交換器に冷水又は温水を供給する冷水温水供給装置であって、
    内部に貯留された冷水を冷却するための冷却手段を備える冷水槽と、
    この冷水槽の下流に設けられた切換弁と、
    この切換弁の下流に設けられ、少なくとも、医療用の熱交換器及び内部を流通する水を加熱するための加熱手段が設けられた加熱用ボックスを備える第1のラインと、
    装置内を流通する水を前記熱交換器に向けて圧送する圧送手段と、
    前記第1のラインの下流に設けられ、前記冷水槽に至る第2のラインと、
    前記第1のラインの下流に設けられ、前記第2のラインをバイパスして前記切換弁に至る第3のラインとを備えると共に、
    前記切換弁により、冷水温水供給装置内の水の流通を、
    前記熱交換器に冷水を供給する場合には、前記冷水槽、前記切換弁、前記圧送手段、前記第1のライン及び前記第2のラインを経て前記冷水槽に還流させ、
    前記熱交換器に温水を供給する場合には、前記切換弁、前記圧送手段、前記第1のライン及び前記第3のラインを経て前記切換弁に還流させることを特徴とする冷水温水供給装置。
  2. 前記第1のライン中に、前記熱交換器の上流から分岐され、前記熱交換器の下流に至る第4のラインを備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷水温水供給装置。
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