JP3636188B2 - 加熱調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭において使用される加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下に従来構成の加熱調理器について図11および図12を用いて説明する。図11は従来構成の加熱調理器の構成図である。図11において、1は調理物を収容する調理庫、2は調理庫1内の調理物を上部より加熱する上ヒータ、3は調理庫1内の調理物を下部より加熱する下ヒータ、4は受け皿で下ヒータ3より下部に設けられて調理物から滴下する脂等を受ける。5は焼き網で受け皿4上に設置され調理庫1内の調理物を上ヒータ2と下ヒータ3の間にて設置可能とする。6は取っ手、7はガラス窓、8はパッキンで受け皿4とともに扉を構成し、機器を使用する者が取って6を掴んで前後に動かせて扉を開閉し調理物を調理庫1内に出し入れするとともに、ガラス窓7を覗き込んで調理物の出来具合を確認する。
【0003】
なお、パッキン8は扉と製品筐体との隙間をふさいで調理庫1内の機密性を高め、加熱調理中に調理物から発生する煙や調理庫1内の熱気が前記隙間から漏れるのを防ぐ。9はタイマーで時計方向に回転可能であり、回転角度に対応した時間を設定する構成となっている。10はサーモスタットで調理庫1側面に設置され所定温度(280℃)で動作する。11は触媒フィルタで調理庫1内で発生する煙・においを通過し除去する。12は触媒ヒータで触媒フィルタ11を加熱し触媒作用を高める。13は除煙ファンで調理庫1内で発生する煙・においを触媒フィルタ11に通過させるような空気の流れを発生させる。
【0004】
また、図12は従来構成の加熱調理器の回路構成図である。図12に示すように、焼き網5上に調理物を載せて扉を閉め、タイマー9を時計方向に回転させて調理時間を設定すると、タイマー9で設定された時間だけタイマースイッチ15が閉じ、上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13に商用電源14が通電されて調理が開始される。
【0005】
そして、上ヒータ2および下ヒータ3により調理庫1内部が加熱されて温度上昇し、やがて調理庫1内部の温度が280℃以上になるとサーモスタット10が作動して上ヒータ2および下ヒータ3と商用電源14との通電が遮断される。この作用により、調理庫1の内部温度を所定温度に維持している。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−172343号公報
【特許文献2】
実願平4−087070号CD−ROM
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来構成では、脂成分の多い食材を調理し調理物から滴下した脂が受け皿4に蓄積した状態にて連続して新たな食材を加熱調理すると、サーモスタット10が作動する温度よりも充分低い温度にて前記受け皿4に蓄積した脂または調理庫1内に充満した油煙が引火し調理庫1内が発火状態になる場合があり、この場合はサーモスタット10が作動し上ヒータ2および下ヒータ3を通電遮断するまでに余分な時間がかかって機器の外郭等が過度に高温になってしまう。
【0008】
そこで、上記のような発火状態を防ぐために、受け皿4に水を入れて受け皿4の発火および調理庫1内に油煙が充満するのを防ぐ構成とすると、今度は調理物を加熱調理中に受け皿4に入れた水が水蒸気となって調理庫1内を充満し、生魚を焼いたときに生臭さが残ってしまったり、調理物がカラッと焼けずに湿っぽくなる。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、調理庫内が温調温度未満にて調理庫内での発火を検知し加熱動作を停止するとともに、受け皿に水を入れずに調理できるようにすることを目的とする。さらに加えて、温度低下を検知して発火検知動作を初期化しやり直すことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の加熱調理器は、調理庫内の調理物を加熱する加熱手段と、前記調理庫内の温度を検知する温度センサと、前記温度センサで検知する温度の上昇勾配に基づき前記調理庫内で発火が発生していることを検知する発火検知手段と、前記発火検知手段より入力する信号に基づき前記加熱手段への通電を抑制する制御手段を備え、前記発火検知手段は、以前に温度センサで検知した温度上昇勾配を保持し、今回温度センサで検知する温度の上昇勾配が前記保持する温度上昇勾配に対し所定の割合以上に急なことより発火検知する構成としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、調理庫内の調理物を加熱する加熱手段と、前記調理庫内の温度を検知する温度センサと、前記温度センサで検知する温度の上昇勾配に基づき前記調理庫内で発火が発生していることを検知する発火検知手段と、前記発火検知手段より入力する信号に基づき前記加熱手段への通電を抑制する制御手段を備え、前記発火検知手段は、以前に温度センサで検知した温度上昇勾配を保持し、今回温度センサで検知する温度の上昇勾配が前記保持する温度上昇勾配に対し所定の割合以上に急なことより発火検知する構成とした加熱調理器としているので、例えば調理物よりも下部に受け皿等を設けて前記調理物から滴下する脂等を受ける構成にて、受け皿に蓄積した脂や調理庫内に充満した油煙に引火し発火した場合、温度センサで検知する温度が温調温度より低くても急激な温度上昇を伴うので、発火検知手段が温度センサで検知する温度の上昇勾配に基づき調理庫内で発火が発生していることを検知し、制御手段が発火検知手段より入力する信号に基づき加熱手段への通電を抑制することにより、迅速に調理庫内の加熱を停止または火力を低減して鎮火させ調理庫内の発火による機器外郭等の温度上昇を低く抑えることができる。
【0012】
また、さらに加えて、前記調理庫内を鎮火させた後に再び加熱手段の通電率を大きくする構成とすれば、受け皿に水を入れなくても調理庫内で発生した発火を鎮火させながら調理物を加熱調理し、調理物を生臭くなくカラッと焼き上げることができる。
【0013】
また、発火検知手段は、以前に温度センサで検知した温度上昇勾配を保持し、今回温度センサで検知する温度の上昇勾配が前記保持する温度上昇勾配に対し所定の割合以上に急なことより発火検知する構成としているので、発火検知手段が温度センサで検知する温度上昇勾配の変化を検知し調理庫内での発火を検知することにより、調理庫内を空にして加熱したときの急激な温度上昇でも誤って発火検知することなく、迅速に調理庫内の発火を検知することができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、発火検知手段は、前記保持する温度上昇勾配が所定値より大きくならないようにしたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器としているので、扉の開閉や商用電源の電圧変動等により温度センサで検知する温度が揺らいでも、発火検知手段は前記保持する温度上昇勾配を前記所定値以下に維持することにより、誤って発火検知するのを防ぐことができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、発火検知手段は、加熱手段への通電開始時に前記保持する温度上昇勾配に所定の値を設定する構成とした請求項1記載の加熱調理器としているので、調理開始直後から調理庫内で発火が発生した場合でも、発火検知手段が前記所定の値に基づき調理庫内での発火を検知して加熱を抑制し鎮火させることができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、発火検知手段は、今回温度センサで検知する温度の上昇勾配が前記保持する温度上昇勾配に対し緩やかな値のときは、前記保持する温度上昇勾配を前記今回の温度上昇勾配に更新し、今回温度センサで検知する温度の上昇勾配が前記保持する温度上昇勾配に対し急な値のときは、前記保持する温度上昇勾配をそのまま保持する構成とした請求項1記載の加熱調理器としているので、調理を開始してからの温度センサで検知する温度上昇勾配の最も緩やかな部分に対する温度上昇勾配の変化に基づき発火検知することにより、発火検知手段の検知精度を向上することができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、発火検知手段は、温度センサで検知する温度が低下することを検知すると、保持する温度上昇勾配を初期化し再度作成し直す構成とした請求項1〜4いずれか1項に記載の加熱調理器としているので、例えば調理庫内を空の状態にて予熱しその後加熱停止することなく調理物を調理庫内に入れるために扉を開閉しても、発火検知手段は温度センサで検知する温度が低下することを検知し発火検知動作を最初からやり直すことにより、誤って発火検知するのを防ぐとともに扉を閉めた後の調理庫内の状態に応じて発火検知を行うことができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、発火検知手段は、温度センサで検知する温度が低下することを検知すると、前記保持する温度上昇勾配を初期化し再度作成し直すとともに、前記温度低下を検知後所定時間以内は前記保持する温度上昇勾配の更新を禁止する構成とした請求項5記載の加熱調理器としているので、扉を閉めてから前記所定時間後に発火検知手段が前記保持する温度上昇勾配を更新するようにして、扉を閉めた直後の温度センサで検知する温度が極度に緩やかになる部分に基づき誤って発火検知してしまうのを防ぐことができる。
【0019】
【実施例】
(実施例1)
以下本発明の第1の実施例について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施例における加熱調理器のブロック図を示したものである。なお、本実施例において、図11または図12に示す従来例と同じ機能を有するものは同一の符号を付し説明を省略する。本実施例の特徴的構成は、以下の通りである。
【0020】
まず、サーモスタット10に代わって温度センサ16を新たに設け、調理庫1側面から内部へと突出した状態にて、除煙ファン13にて調理庫1内の空気を調理庫1外へ排出する排気口近傍に配置する。
【0021】
また、上ヒータ2および下ヒータ3への通電を制御する上下ヒータ制御手段17、触媒ヒータ12への通電を制御する触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン13を駆動制御する除煙ファン制御手段19を新たに設ける。
【0022】
さらに、タイマー9およびタイマースイッチ15に代わって、調理メニューや火力の選択、調理の開始または終了等を入力指示する入力手段20を新たに設け、発光ダイオード(以下LEDと称す)や液晶表示素子(以下LCDと称す)等で構成され、現在選択されている調理メニューや火力、調理中であることや調理が終了するまでの時間等を視覚的に表示する表示手段21、ブザー等で構成され、入力手段20の受付確認や調理終了、機器の異常状態の報知等を聴覚的に報知する報知手段22を新たに設ける。
【0023】
さらに、温度センサ16で検知する温度≧260℃になると調理庫1内で発火が発生したと検知する発火検知手段23および前記の構成手段を統括的に制御する制御手段24を新たに設ける。そして、制御手段24が入力手段20より入力する信号に基づき調理を開始し表示手段21を制御して調理中である旨の表示を行うとともに、上下ヒータ制御手段17を制御して上ヒータ2および下ヒータ3へ通電し、触媒ヒータ制御手段18を制御して触媒ヒータ12へ通電し、除煙ファン制御手段19を制御して除煙ファン13を駆動する。
【0024】
また、制御手段24は温調温度=230℃すなわち温度センサ16で検知する温度=230℃にて上下ヒータ制御手段17を制御し上ヒータ2および下ヒータ3を通電制御して調理庫1内の温度を280℃に温度調節する。
【0025】
さらに、制御手段24は発火検知手段23より入力する信号に基づき調理庫1内の発火を検知すると、上下ヒータ制御手段17、触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御して上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13への通電を遮断するとともに、1分経過後に表示手段21および報知手段22を制御して機器を使用する者に調理庫1内で発火が発生した旨の報知を行うようにしたことである。
【0026】
図2は本発明の第1の実施例における加熱調理器の回路構成図を示したものである。図2に示すように、上下ヒータ制御手段17はリレー17a、トランジスタ17b等で構成され、制御手段24より入力する信号に基づきトランジスタ17bがオンしリレー17aをオンして上ヒータ2および下ヒータ3と商用電源14を通電し調理庫1内部を加熱する。
【0027】
また、触媒ヒータ制御手段18も同様に、リレー18a、トランジスタ18b等で構成され、制御手段24より入力する信号に基づきトランジスタ18bがオンしリレー18aをオンして触媒ヒータ12と商用電源14を通電し触媒フィルタ11を加熱する。さらに、除煙ファン制御手段19はトライアック19a、トランジスタ19b等で構成され、制御手段24より入力する信号に基づきトランジスタ19bがオンしトライアック19aをオンして除煙ファン13と商用電源14を通電し除煙ファン13を回転させる。
【0028】
以上のように構成された加熱調理器について、図3を用いてその動作を説明する。図3は温度の絶対値での発火検知動作を説明する図である。制御手段24は入力手段20より入力する信号に基づき調理を開始すると、上下ヒータ制御手段17、触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御して上ヒータ2および下ヒータ3を通電し調理庫1内部を加熱するとともに、触媒ヒータ12を加熱し除煙ファン13を駆動して調理庫1内部で発生する煙やにおいを触媒フィルタ11に通過させて除去する。
【0029】
そして、図3に示すように、調理庫1内の温度が上昇するのに伴って温度センサ16で検知する温度も上昇し、やがて温度センサ16で検知する温度≧230℃になって、制御手段24は上下ヒータ制御手段17を制御し上ヒータ2および下ヒータ3の通電を遮断する。すると、今度は調理庫1内部の温度が下降しそれに伴って温度センサ16で検知する温度も下降すると、温度センサ16で検知する温度<230℃になって、制御手段24は上下ヒータ制御手段17を制御し上ヒータ2および下ヒータ3を再び通電する。以上のような温度調節制御により、調理庫1内部の温度を一定に保っている。
【0030】
このとき、調理庫1内の調理物が引火し調理庫1内にて発火が発生すると、図3に示すように、制御手段24が上下ヒータ制御手段17を制御し上ヒータ2および下ヒータ3の通電を遮断しているにもかかわらず調理庫1内の温度は上昇しつづけ、これに伴って温度センサ16で検知する温度も上昇し続ける。すると、発火検知手段23は温度センサで検知する温度≧260℃(>温調温度)を検知して調理庫1内の発火を検知し制御手段24へ信号出力する(なお、調理庫1内の発火を検知する温度を発火検知温度と以下称す)。
【0031】
そして、制御手段24は発火検知手段23より入力する信号に基づき触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御して触媒ヒータ12の通電を遮断し除煙ファン13の駆動を停止するとともに、上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13への通電遮断を以後維持する。
【0032】
以上のような構成により、調理中に調理庫1内で調理物の発火が発生すると、制御手段24は調理庫1内の加熱および除煙動作を停止して調理物を鎮火させるとともに、加熱および除煙動作の停止を以後維持して調理を終了しこれ以上調理物が焼けすぎるのを防ぐことができる。
【0033】
そして、前記の上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13の通電停止から1分経過後に、制御手段24は表示手段21および報知手段22を制御して調理庫1内で発火が発生した旨の報知を行う。
【0034】
以上のような構成により、機器を使用する者に調理庫1内で発火が発生した旨の報知を行うことができるとともに、調理庫1内が鎮火した後に報知することにより、機器を使用する者が前記報知により調理物を確認しようと扉を開けても火が調理庫1外に飛び出すのを防ぐことができる。
【0035】
そして、前記の発火検知して調理を終了している状態においても、制御手段24は入力手段20より入力する信号に基づき上下ヒータ制御手段17、触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御して再度上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13への通電を開始できる。
【0036】
以上のような構成により、前記調理庫1内で発火が発生した旨の報知により、機器を使用する者が発火した調理物を調理庫1から取り出し、新たな調理物を調理庫1内に設置して再度機器を使用するために入力手段20を操作すると、制御手段24は加熱動作および除煙動作を再開して再び調理を開始することができる。
【0037】
また、発火検知後に除煙ファン13を停止する構成により、調理庫1内への空気の流れを遮断して調理庫1内の酸素欠乏状態を促進し鎮火しやすくしている。なお、発火検知後に除煙ファン13を停止するまではいかないが除煙ファン13の通電率を低減する構成としても、効果のレベルは違えども同様の効果を得ることができる。
【0038】
また、温度センサ16を調理庫1の排気口近傍に設けた構成により、温度センサ16は調理庫1全体の温度に影響を受けることができるので、発火検知手段23は調理庫1内の温度センサ16が設置されている所から比較的離れた箇所で発火が発生した場合でも比較的迅速かつ確実に発火を検知することができる。
【0039】
なお、除煙ファン13を有しない構成でも上記構成により同様の効果を得ることができるが、除煙ファン13を有して調理庫1内で空気の流れを強制的に発生させる構成の方がその効果度合いは大きい。
【0040】
また、発火検知温度と温調温度との差を30℃としているが、温調温度に到達時のオーバーシュート(最大10℃程度)や前記温度調節制御時の温度リップルを超えない範囲であれば、小さくして発火検知精度を向上することができる。
【0041】
また、制御手段24は、温度センサ16で検知する温度≧230℃になると上下ヒータ制御手段17を制御し上ヒータ2および下ヒータ3の通電を遮断する構成としているが、上ヒータ2および下ヒータ3をオンオフさせて通電率を低減する構成としても同様の効果を得ることができる。
【0042】
また、発火検知手段23が調理庫1内での発火を検知する温度センサと、制御手段24が温度調節動作にて調理庫1内の温度を所定温度に維持するための温度センサを別々に有する構成にしても同様の効果を得ることができるが、本実施例に示すように同一の温度センサ16を用いて発火検知手段23が発火検知し、かつ制御手段24が温度調節動作を行う構成とすれば機器の構成を簡略化することができる。
【0043】
(実施例2)
以下本発明の第2の実施例について、図4および図5を参照しながら説明する。図4は本発明の第2の実施例における加熱調理器のブロック図を示したものである。実施例1と異なる点は、制御手段24が、サンマ等の生魚をそのまま加熱調理する「生・姿焼き」モード、鮭等の切り身やあじの開き等の干物を加熱調理する「切身/干物」モード、ぶりのつけ焼きやさわらのみそ漬け等を加熱調理する「つけ焼き」モード、鶏肉を加熱調理する「とり肉」モード、なすを加熱調理する「焼きなす」モード、およびサツマイモを加熱調理する「焼きいも」モードの6つの「オート調理」モードと、「弱」・「中」・「強」の3つの火力の何れかにて設定した時間だけ加熱調理する「手動加熱」モード、および前記モードの何れかを選択可能な状態である「待機」モードの合計8つのモードを有して、各モード・火力に対応する温調温度をそれぞれ備え、発火検知手段23が前記8つのモードのうち何れが選択されているかを制御手段24より入力し、「待機」モードを除いた7つのモードのうち選択されているモードの温調温度に対応して発火検知温度をそれぞれ備えたことである。なお、「待機」モードを除く各モード・火力での温調温度と発火検知温度を(表1)に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
第1の実施例において、例えば「とり肉」モードで調理しているときに調理庫1内で発火が発生した場合、表1に示すように制御手段24は温調温度=195℃にて上ヒータ2および下ヒータ3の通電制御を行っているので温度センサ16で検知する温度≧260℃になるまでにかなりの時間を要してしまい、発火検知手段23での発火検知が遅れて制御手段24の鎮火動作が遅れてしまうという課題がある。
【0046】
本実施例は上記課題を解決するものであり、以上のように構成された加熱調理器について、図5を用いてその動作を説明する。図5は本発明の第2の実施例における加熱調理器の操作表示レイアウトである。図5に示すように、入力手段20および表示手段21は、電源の切/入操作を行う電源スイッチ20aと電源の切/入状態を表示する電源LED21aを備え、前記6つの「オート調理」モードに対応し、「生・姿焼き」キー20bと「生・姿焼き」LED21b、「切身/干物」キー20cと「切身/干物」LED21c、「つけ焼き」キー20dと「つけ焼き」LED21d、「とり肉」キー20eと「とり肉」LED21e、「焼きなす」キー20fと「焼きなす」LED21f、「焼きいも」キー20gと「焼きいも」LED21gをそれぞれ備えている。
【0047】
また、表示手段21は、前記3つの火力に対応し「弱」LED21h、「中」LED21i、「強」LED21jを備え、前記3つの火力のうち1つの選択するために入力手段20は「火力選択」キー20hを備えている。
【0048】
さらに、「手動加熱」モードにて時間設定するために、入力手段20は設定時間を減少させる「ダウン」キー20iおよび設定時間を増加させる「アップ」キー20jを備えている。
【0049】
さらに、「オート調理」モードでは調理が終了するまでの時間を表示し、「手動加熱」モードでは加えて設定変更後の時間を表示するために、表示手段21は0〜30までの数字にて時間表示する「時間表示」LED21kを備えている。
【0050】
さて、機器の使用方法としては、まず、機器を使用する者が電源スイッチ20aをオンにして機器を使用可能な状態にする。このとき、制御手段24は電源スイッチ20aのオンを検知して「待機」モードに移行し、電源LED21aを点灯させてその他のLEDである21b〜21kは消灯のままとし、キー20b〜20jの受付を可能にする。
【0051】
そして、例えば、機器を使用する者がサンマを丸ごと焼いて調理したい場合は、調理庫1内にて焼き網5の上にサンマを設置し扉を閉めて図5の「生・姿焼き」キー20bを操作すると、制御手段24は「生・姿焼き」キー20bが操作されたことを入力して機器の動作モードを「生・姿焼き」モードに変更し、「生・姿焼き」LED21bを点灯させるとともに、触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御して触媒ヒータ12および除煙ファン13に通電し、上下ヒータ制御手段17を制御して表1に示す温調温度=230℃にて上ヒータ2および下ヒータ3をオンオフ制御して調理庫1内のサンマを加熱調理する。
【0052】
ここで、調理庫1内のサンマが発火してしまうと、温度センサ16で検知する温度に基づき発火検知手段23が表1に示す発火検知温度=260℃にて調理庫1内の発火を検知して信号出力し、制御手段24が発火検知手段23より入力する信号に基づき上下ヒータ制御手段17、触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御して上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13への通電を遮断し以後維持して、調理庫1内のサンマを鎮火させ調理を終了する。
【0053】
また、例えば、鶏もも肉を加熱調理したい場合は、図5の「とり肉」キー20eを操作すると、制御手段24は「とり肉」キー20eが操作されたことを入力して機器の動作モードを「とり肉」モードに変更し、「とり肉」LED21eを点灯させるとともに、触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御して触媒ヒータ12および除煙ファン13に通電し、上下ヒータ制御手段17を制御して表1に示す温調温度=195℃にて上ヒータ2および下ヒータ3をオンオフ制御して調理庫1内の鶏もも肉を加熱調理する。
【0054】
ここで、調理庫1内の鶏もも肉が発火してしまうと、温度センサ16で検知する温度に基づき発火検知手段23が(表1)に示す発火検知温度=225℃にて調理庫1内の発火を検知して信号出力し、制御手段24が発火検知手段23より入力する信号に基づき上下ヒータ制御手段17、触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御して上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13への通電を遮断し以後維持して、調理庫1内の鶏もも肉を鎮火させ調理を終了する。
【0055】
以上のような構成により、制御手段24にて選択されているモードでの温調温度に対応して発火検知手段23が調理庫1内の発火を検知する発火検知温度を変更することにより、調理庫1内の調理物や調理内容に応じてより迅速に調理庫1内の発火を検知することができる。
【0056】
なお、発火検知温度23は制御手段24の各温調温度に対し同一マージン(30℃)だけ高い温度を発火検知温度としているが、各温調温度ごとにそれぞれ異なるマージンを持った発火検知温度としても同様の効果を得ることができる。
【0057】
(実施例3)
以下本発明の第3の実施例について、図1を参照しながら説明する。実施例1と異なる点は、発火検知手段23が、温度センサ16で検知する温度≧260℃で調理庫1内の発火を検知するのに加えて、温度センサ16で検知する温度が2℃上昇するのに経過した時間をΔTとして測定し、ΔT<1.0秒が3回連続すると調理庫1内で発火が発生したと検知するようにしたことである。
【0058】
第1の実施例において、例えば温度センサ16で検知する温度=200℃近傍にて受け皿4に蓄積した脂や調理庫1内に充満した油煙に引火し発火した場合、温度センサ16で検知する温度が非常に急激な温度上昇勾配にて上昇するにも関わらず発火検知手段23は温度センサ16で検知する温度≧260℃になるまで発火検知できす、制御手段24による鎮火動作が遅れてしまう。
【0059】
そこで、上記のような発火状態を防ぐために、受け皿4に水を入れて受け皿4の発火および調理庫1内に油煙が充満するのを防ぐ構成とすると、今度は調理物を加熱調理中に受け皿4に入れた水が水蒸気となって調理庫1内を充満し、生魚を焼いたときに生臭さが残ってしまったり、調理物がカラッと焼けずに湿っぽくなるという課題がある。
【0060】
本実施例は上記課題を解決するものであり、以上のように構成された加熱調理器について、図6を用いてその動作を説明する。図6は温度の上昇勾配による発火検知動作を説明する図である。図6に示すように、例えばサンマや鶏肉等の脂成分を多く含む食材を調理すると、食材に含まれる脂が調理中に滴下し下部に設けられた受け皿4に蓄積する。この状態にて連続調理を行うと、上ヒータ2および下ヒータ3は焼き網5上の調理物を加熱するとともに、受け皿4上に蓄積した脂も加熱し脂の温度が上昇するとともに油煙となって調理庫1内に充満する。
【0061】
そして、温度センサ16で検知する温度が200℃程度の比較的低温状態でも、調理物から滴下する脂が下ヒータ3に接触して発火し、前記発火した脂が受け皿4に滴下して受け皿4に蓄積した脂全体が引火、ひいては調理庫1内に充満している油煙の引火へとつながる場合がある。このような場合は、図6に示すように、温度センサ16で検知する温度が2℃上昇するのに経過した時間であるΔTは0.2秒以下といった急激な上昇勾配となる。そして、発火検知手段23はΔT<1.0秒が3回連続するのを検知して即座に上下ヒータ制御手段17を制御し上ヒータ2および下ヒータ3を通電停止して加熱動作を停止し、触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御し触媒ヒータ12および除煙ファン13を通電停止して除煙動作を停止し、調理庫1内を鎮火させる。
【0062】
そして、前記の上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13の通電停止から1分経過後に、制御手段24は表示手段21および報知手段22を制御して調理庫1内で発火が発生した旨の報知を行って、機器を使用する者に、調理庫1内で発火が発生し加熱停止した旨の表示を行う。
【0063】
以上のような構成により、受け皿4に蓄積した脂や調理庫1内に充満した油煙への引火のような調理庫1内が比較的低温状態にて急激な温度上昇勾配を伴う発火の場合では、発火検知手段23が瞬時に発火検知し、制御手段24が迅速に調理庫1の加熱を停止し鎮火させて機器外郭等の温度上昇を低く抑えるとともに、その1分後に表示手段21および報知手段22にて調理庫1内で発火が発生した旨の報知を行って受け皿4に蓄積した脂を洗い流す等のお手入れをしていただくよう促すことができる。
【0064】
なお、発火検知手段23は、単位温度だけ上昇するのに経過した時間を計測して温度上昇勾配としているが、単位時間当たりの上昇温度を計測し温度上昇勾配としても同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、発火検知手段23にて一度調理庫1内での発火を検知すると、以後温度センサ16で検知する温度が低下しても制御手段24は上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13の通電停止を維持する構成としている。
【0066】
以上のような構成にすれば、加熱停止して調理庫1内を鎮火させた後は加熱および除煙動作の停止を維持し、再加熱または除煙動作により調理庫1内で再度発火が発生するのを防ぐことができる。
【0067】
また、制御手段24は発火検知手段23より入力する信号に基づき調理庫1内の発火を検知すると、すぐに上下ヒータ制御手段17、触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御して上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13への通電を遮断するとともに、その1分後に表示手段21での表示内容を変更せずかつ報知手段22を駆動しないで再び上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13への通電を開始する構成とすることも可能である。
【0068】
以上のような構成にすれば、受け皿4に水を入れなくても、制御手段24は調理庫1内で発生する発火を鎮火させながら調理物を加熱調理し、サンマ等を生臭くなくカラッと焼き上げることができる。
【0069】
(実施例4)
以下本発明の第4の実施例について、図1を参照しながら説明する。実施例3と異なる点は、発火検知手段23が、直前の安定したΔTを前回の温度上昇勾配データとして保持し、ΔT<前記前回の温度上昇勾配データ×0.5を3回連続して検知すると調理庫1内で発火が発生したと検知するようにしたことである。
【0070】
第3の実施例において、例えば餅を焼く過程で膨れた餅が上ヒータ2に接触し発火すると、温度センサ16で検知する温度が比較的低温な状態にてΔT=2〜3秒の上昇勾配にて温度上昇し、発火検知手段23は温度上昇勾配では発火検知できずに温度センサ16で検知する温度≧260℃でしか発火検知できず、発火検知手段23での発火検知が遅れて制御手段24の鎮火動作が遅れてしまう。
【0071】
また、上記現象でも発火検知できるように、発火検知手段23がΔT>3.0秒(第3の実施例は1.0秒)を3回連続検知して発火検知するように変更すると、調理庫1内が空の状態で加熱調理したときに商用電源電圧=AC110VではΔT=2.0秒程度の上昇勾配にて温度上昇し、発火検知手段23が誤って発火検知してしまうという課題がある。
【0072】
本実施例は上記課題を解決するものであり、以上のように構成された加熱調理器について、図7および図8を用いてその動作を説明する。図7は温度の上昇勾配の変化による発火検知動作を説明する図である。
【0073】
また、図8は第4の実施例における発火検知手段23の温度上昇勾配に基づく発火検知動作を示すフローチャートである。図8に示すように、発火検知手段23は、温度センサ16で検知する温度θが2℃だけ上昇するのに経過した時間をΔTとして計測し、温度上昇したかを比較する基準となる温度データをθb、直前のΔTをΔTx、発火検知する基準となる温度上昇勾配データをΔTbとして保持し、発火検知の条件であるΔTb>ΔTを3回カウントするカウンタを備えている。そして、発火検知手段23は、動作を開始するときにステップ2にてカウンタ=0、θb=現在の温度センサ16で検知する温度θに初期化する。
【0074】
そして、ステップ3にてθbと比較し、温度センサ16で検知する温度θが2℃だけ上昇するのを検知すると、ステップ4にてθb=θb+2.0に更新するとともに、ステップ5からステップ9にてΔT(n)≦ΔT(n+1)≦ΔT(n+2)を満たすと、ステップ11にてΔTb=ΔT(n+1)×0.5を作成する。これは、温度センサ16で検知する温度θの揺らぎを排除し安定した部分でΔTbを作成するためである。
【0075】
さて、餅を焼き網5に載せて調理庫1内に設置し加熱調理を開始すると、図7に示すように、温度センサ16で検知する温度θはΔT=5.0秒程度で上昇する。ここで、発火検知手段23は図8に示すように、前の温度上昇勾配データとして、ステップ11にてΔTb=5.0秒×0.5=2.5秒と保持する。
【0076】
そして、加熱された餅は上方向に膨らみ、やがて上ヒータ2に接触して餅が発火してしまうと、図7に示すように温度センサ16で検知する温度θの上昇勾配は急になりΔT=2.0秒程度で上昇する。ここで、発火検知手段23は図8に示すように、ステップ15からステップ17にてΔTb(=2.5秒)>ΔT(=2.0秒)を3回連続して検知し調理庫1内の発火を検知すると、発火検知処理へ移行し制御手段24へ調理庫1内にて発火が発生した旨の信号を出力する。そして、制御手段24は発火検知手段23より入力する信号に基づき上下ヒータ制御手段17、触媒ヒータ制御手段18および除煙ファン制御手段19を制御して上ヒータ2および下ヒータ3を通電停止して加熱動作を停止し、触媒ヒータ12および除煙ファン13を通電停止して除煙動作を停止する。
【0077】
また、調理庫1内が空の状態にて加熱を開始すると、温度センサ16で検知する温度θはΔT=3.0秒程度で上昇し、発火検知手段23は図8のステップ11にてΔTb=3.0秒×0.5=1.5秒と保持する。したがって、ΔTb(=1.5秒)<ΔT(=3.0秒)なので、図8のステップ15にてステップ18へ分岐し、誤って発火検知することはない。
【0078】
以上のような構成により、調理庫1内を空の状態にして加熱しても誤って発火検知することなく、かつ餅が膨れて上ヒータ2に接触し発火するような温度センサ16で検知する温度が比較的低温状態でかつ温度上昇勾配が比較的緩やかな場合でも、発火検知手段23が精度良く調理庫1内の発火を検知し制御手段24が鎮火動作を行うことができる。
【0079】
なお、発火検知手段23は、ステップ10にてΔTbとΔT(n+1)×0.5を比較し、ΔTb≧ΔT(n+1)×0.5ならばステップ12へ分岐しΔTbを更新しない。
【0080】
以上のような構成により、発火検知手段23は動作開始から最も緩やかな温度上昇勾配データをΔTbとして保持し、より敏感に調理庫1内で発生する発火を検知して制御手段24は迅速に調理庫1内を鎮火させることができる。
【0081】
また、発火検知手段23は、ステップ12にてΔTbと4.0秒を比較し、ΔTb>4.0秒ならばステップ13にてΔTb=4.0秒とする。
【0082】
以上のような構成により、温度センサ16で検知する温度θの過大な揺らぎによりΔTbが非常に大きな値となって誤って発火検知してしまうのを防ぐことができる。なお、この4.0秒という数値は調理庫1内に設置されている調理物が発火したときの温度上昇勾配に基づきできるだけ小さな値にすべきである。
【0083】
さらに、発火検知手段23は、動作を開始するときにステップ1にてΔTb=1.0秒に初期化する。
【0084】
以上のような構成により、加熱開始してからΔTbが作成されるまでの間に調理庫1内で発火が発生した場合でも、受け皿4に蓄積した脂が発火する等の急激な温度上昇を伴うような発火ならば、発火検知手段23がΔTb=1.0秒に基づき発火検知し制御手段24が鎮火動作を行うことができる。
【0085】
なお、発火検知手段23は、単位温度だけ上昇するのに経過した時間の変化を検知して発火検知を行っているが、単位時間当たりの上昇温度の変化を検知して温度上昇勾配の変化を検知し発火検知する構成にしても同様の効果を得ることができる。
【0086】
(実施例5)
以下本発明の第5の実施例について、図1を参照しながら説明する。実施例4と異なる点は、発火検知手段23が、温度センサ16で検知する温度θが4℃以上低下したことを検知して温度上昇の比較基準となる温度データを更新するとともに前記保持している前回の温度上昇勾配データを初期化して発火検知動作を最初からやり直し、温度低下を検知してから1分間は前記保持している前回の温度上昇勾配データの更新を禁止するようにしたことである。
【0087】
第4の実施例において、例えば調理庫1内が空の状態にて予熱し、調理庫1内が高温状態になってから扉を開けて調理物を焼き網5上に設置し、その後扉を閉めて調理を行うと、図9に示すように温度センサ16で検知する温度θは扉を開けると低下し、発火検知手段23がΔTbを大きな値に作成してしまって誤って発火検知してしまうという課題がある。
【0088】
本実施例は上記課題を解決するものであり、以上のように構成された加熱調理器について、図10を用いてその動作を説明する。図10は第5の実施例における発火検知手段23の温度低下検知および温度上昇勾配に基づく発火検知動作を示すフローチャートである。
【0089】
なお、図8に示す実施例4と同じ機能を有するものは同一の符号を付し説明を省略する。本実施例の特徴的構成は、発火検知手段23が、温度センサ16で検知する温度θの低下検知を示すフラグとして低下フラグを備え、動作を開始するときにステップ19にて低下フラグ=0にしておく。そして、ステップ20にて温度センサ16で検知する温度θが4℃だけ低下するのを検知するとステップ21で低下フラグ=1に設定するとともに、ステップ1へ移行しΔTb=1.0秒に初期化して発火検知動作を最初からやり直す。
【0090】
以上のような構成により、調理庫1内を加熱中に扉を開閉しても、発火検知手段23は温度低下を検知して発火検知動作を最初からやり直すので、扉を閉めた後に誤って発火検知してしまうのを防ぐことができる。
【0091】
また、ステップ22にて温度低下が確定後1分経過を検知してからステップ23にて低下フラグ=0にクリアするので、前記温度低下が確定後1分間は低下フラグ=1よりステップ24にて分岐しステップ10からステップ13でのΔTb作成および更新処理を行わない。
【0092】
以上のような構成により、発火検知手段23は扉を閉めた直後の温度センサ16で検知する温度θの上昇勾配が極度に緩やかになる部分に基づきΔTbを作成してしまい誤って発火検知してしまうのを防ぐことができる。
【0093】
(実施例6)
以下本発明の第6の実施例について、図1を参照しながら説明する。本実施例の特徴的構成は、発火検知手段23は第1の実施例で示したように温度センサ16で検知する温度θ≧260℃といった温度θの絶対値で発火検知する機能と、第3の実施例で示したようにΔT<1.0秒を3回連続検知といった温度θの上昇勾配にて発火検知する機能をともに備える。そして、制御手段24は、発火検知手段23より入力する信号に基づき温度θの上昇勾配にて発火検知したときは、上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13を通電停止し、その1分後に再度上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13への通電を再開する。
【0094】
また、制御手段24は、発火検知手段23より入力する信号に基づき温度θの絶対値にて発火検知したときは、上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13を通電停止および維持するとともに、その1分後に表示手段21および報知手段22を制御して調理庫1内で発火が発生した旨の報知を行うようにしたことである。
【0095】
さて、受け皿4に蓄積した脂や調理庫1内に充満した油煙に引火し発火した場合は、すぐに加熱停止して調理庫1内を鎮火させる必要があるが、調理庫1内に設置された調理物は充分に焼けていない可能性がある。この場合は、温度センサ16で検知する温度θが非常に急激な温度上昇勾配にて上昇するので、発火検知手段23はΔT<1.0秒が3回連続検知といった温度θの上昇勾配にて発火検知し、制御手段24は発火検知手段23より入力する信号に基づき上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13を通電停止し、その1分後に再度上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13への通電を再開するが、表示手段21および報知手段22による報知は行わない。
【0096】
以上のような構成により、サンマ等を加熱調理し受け皿4に蓄積した脂や調理庫1内に充満した油煙に引火して発火した場合は、調理庫1内での発火を検知後1分間は加熱および除煙動作を停止して調理庫1内を鎮火させるとともに、前記1分後に報知することなく再び加熱および除煙動作を開始して、機器を使用する者に違和感を与えることなく調理を再開することができる。したがって、受け皿4に水を入れなくても、調理庫1内で発生する発火を鎮火させながら調理物を加熱調理し、サンマ等を生臭くなくカラッと焼き上げることができる。
【0097】
また、調理庫1内の調理物が上ヒータ2または下ヒータ3に接触し加熱しすぎて調理物の一部が発火した場合は、調理物は充分すぎるほど焼けているので調理を終了する必要がある。この場合は、温度センサ16で検知する温度θが比較的緩やかな上昇勾配にて上昇するので、発火検知手段23はθ≧260℃といった温度θの絶対値で発火検知し、制御手段24は発火検知手段23より入力する信号に基づき上ヒータ2、下ヒータ3、触媒ヒータ12および除煙ファン13を通電停止および維持し、その1分後に図5に示す表示手段21の「時間表示」LED21kにて「U11」と表示し、報知手段22にて調理庫1内で発火が発生した旨の報知を行う。
【0098】
以上のような構成により、調理物そのものが発火した場合は、調理庫1内での調理物の発火を検知後すぐに加熱および除煙動作を停止して調理庫1内を鎮火させるとともに、1分経過後の調理庫1内の鎮火が確実になったときに、調理物が発火し調理を終了した旨の報知を行うことができる。
【0099】
なお、実施例6において、温度の上昇勾配にて発火検知したときの加熱および除煙動作の停止時間と、温度の絶対値にて発火検知したときの加熱および除煙停止から報知までの待機時間をともに1分としているが、鎮火するのに要する時間が10秒未満なのでこれ以上の時間であれば同一または異なる任意の時間にしても差し支えない。
【0100】
また、実施例1から実施例6において、発火検知手段23または制御手段24の一部または全部の構成手段をマイクロコンピュータで構成できることは明らかである。
【0101】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、温度センサで検知する温度が温調温度より低いときに調理庫内で発火が発生しても、より迅速に調理庫内の加熱を停止し鎮火させることができ、また、温度センサで検知する温度上昇勾配の変化を検知し、さらに迅速に調理庫内での発火を検知し鎮火することができる。
【0102】
さらに、請求項2記載の発明によれば、扉の開閉や商用電源の電圧変動等により温度センサで検知する温度が揺らいで誤って発火検知してしまうのを防ぐことができる。
【0103】
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項5の効果を実現しつつ、調理開始直後から調理庫内で発火が発生した場合でも発火検知し調理庫内を鎮火することができる。
【0104】
さらに、請求項4記載の発明によれば、調理開始以後の温度上昇勾配の最も緩やかな部分に対する温度上昇勾配の変化に基づき発火検知し、発火検知手段の検知精度を向上することができる。
【0105】
さらに、請求項5記載の発明によれば、扉を開閉しても誤って発火検知してしまうのを防ぐとともに扉を閉めた後の調理庫内の状態に応じて発火検知を行うことができる。
【0106】
さらに、請求項6記載の発明によれば、扉を閉めた直後に温度センサで検知する温度の上昇勾配が極度に緩やかになる部分に基づき誤って発火検知してしまうのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第3から第6の実施例における加熱調理器のブロック図
【図2】本発明の第1の実施例における加熱調理器の回路構成図
【図3】同加熱調理器における温度の絶対値での発火検知動作を説明する図
【図4】本発明の第2の実施例における加熱調理器のブロック図
【図5】同加熱調理器における操作表示レイアウトを示す図
【図6】本発明の第3の実施例における温度上昇勾配による発火検知動作を説明する図
【図7】本発明の第4の実施例における温度上昇勾配の変化による発火検知動作を説明する図
【図8】同、発火検知手段の温度上昇勾配の変化に基づく発火検知動作を示すフローチャート
【図9】本発明の第5の実施例における温度低下検知動作を説明する図
【図10】発火検知手段の温度低下検知および温度上昇勾配の変化に基づく発火検知動作を示すフローチャート
【図11】従来構成における加熱調理器の構成図
【図12】従来構成における加熱調理器の回路構成図
【符号の説明】
1 調理庫
2 上ヒータ
3 下ヒータ
11 触媒フィルタ
12 触媒ヒータ
13 除煙ファン
16 温度センサ
20 入力手段
21 表示手段
22 報知手段
23 発火検知手段
24 制御手段
Claims (6)
- 調理庫内の調理物を加熱する加熱手段と、前記調理庫内の温度を検知する温度センサと、前記温度センサで検知する温度の上昇勾配に基づき前記調理庫内で発火が発生していることを検知する発火検知手段と、前記発火検知手段より入力する信号に基づき前記加熱手段への通電を抑制する制御手段を備え、前記発火検知手段は、以前に温度センサで検知した温度上昇勾配を保持し、今回温度センサで検知する温度の上昇勾配が前記保持する温度上昇勾配に対し所定の割合以上に急なことより発火検知する構成とした加熱調理器。
- 発火検知手段は、保持する温度上昇勾配が所定値より大きくならないようにしたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
- 発火検知手段は、加熱手段への通電開始時に保持する温度上昇勾配に所定の値を設定する構成とした請求項1記載の加熱調理器。
- 発火検知手段は、今回温度センサで検知する温度の上昇勾配が保持する温度上昇勾配に対し緩やかな値のときは、前記保持する温度上昇勾配を前記今回の温度上昇勾配に更新し、今回温度センサで検知する温度の上昇勾配が前記保持する温度上昇勾配に対し急な値のときは、前記保持する温度上昇勾配をそのまま保持する構成とした請求項1記載の加熱調理器。
- 発火検知手段は、温度センサで検知する温度が低下することを検知すると、保持する温度上昇勾配を初期化し再度作成し直す構成とした請求項1〜4いずれか1項に記載の加熱調理器。
- 発火検知手段は、温度センサで検知する温度が低下することを検知すると、保持する温度上昇勾配を初期化し再度作成し直すとともに、前記温度低下を検知後所定時間以内は前記保持する温度上昇勾配の更新を禁止する構成とした請求項5記載の加熱調理器。
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