JP3636037B2 - 表示盤 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は表示盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、特開平8−21749号公報に示すような目盛り盤がある。この目盛り盤は、樹脂板の表面に、装飾的な表面処理、具体的には、金属調の細かい傷模様の装飾用ヘアラインを多数形成することで形成されている。また、実開平6−65825公報においては、目盛り盤が、樹脂板に絞り加工を施すことにより円弧状表示部を隆起形成することで形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記目盛り盤において、樹脂板に金属調の細かい傷模様のヘアラインを形成した上で絞り加工を行うと、絞り加工時に円弧状表示部やその近傍においてヘアラインが歪んでしまい、目盛り盤としての見栄えが悪くなる。
【0004】
これに対して、樹脂板に絞り加工を施した後にヘアラインを形成すると、円弧状表示部を有する目盛り盤にヘアラインを形成することとなり、製造上困難を招く。
【0005】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、板に対する隆起部の形成及び当該板の表面に対する細かい凹凸形状の装飾パターンの形成をこの装飾パターンの歪みを防止しつつ同時に行うことで形成する表示盤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、請求項1に記載の発明に係る表示盤は、
板(110、110a)にその板厚方向に隆起部(11)を形成するとともに板の面に、その隆起部或いはこの近傍に相当する部分を含め、細かい凹凸形状でもって装飾パターン(13)を形成してなるものである。
【0007】
当該表示盤において、隆起部の隆起側面形状に相当する凹部(91a)および装飾パターンの凹凸形状とは逆形状の凹凸部(91b)が板との接合面に形成された金型(90)を用いた絞り加工で、板に隆起部と装飾パターンの凹凸形状とが同時に形成されたものとなっており、かつ降起部として加飾リング(11)を有する目盛り盤を備えており、この目盛り盤はその表面の加飾リングの内周に沿い物理量表示部(12)を形成してなり、目盛り盤の表面のうち少なくとも加飾リングの内周側部分には、装飾パターンが形成されていることを特徴とする。
【0008】
これにより、装飾パターンにおいて、隆起部或いはその近傍に相当する部分にて歪みを生ずることなく、隆起部から離れている部分と同様に形成される。従って、表示盤の見栄えを良好に確保できる。また、隆起部及び装飾パターンを同時に形成するので、隆起部及び歪みのない装飾パターンを有する表示盤を容易に形成できる。
【0011】
また、請求項に記載の発明では、請求項1記載の発明において、板は表面にクリア層(112)形成された樹脂板であり、上記装飾パターンは、上記クリア層の表面に形成されていることを特徴とする。
【0012】
このように、板は樹脂板とし、装飾パターンがクリア層の表面に形成されるので、凹凸感を良好に確保でき、請求項1記載の発明の作用効果をより一層向上できる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、装飾パターンは、金属調の細かい凹凸形状の傷模様の多数のヘアライン、ぎざぎざ状或いは散点状の凹凸パターンであることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、上記隆起部として加飾リングを有する目盛り盤を備えており、この目盛り盤はその表面の加飾リングの内周に沿い物理量表示部(12)を形成してなり、目盛り盤の表面のうち少なくとも加飾リングの内周側部分には、上記装飾パターンが金属調の細かい傷模様の多数のヘアラインでもって形成されていることを特徴とする。
【0014】
これにより、目盛り盤においても、請求項1又は2に記載の発明と同様の作用効果を達成できる。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明に係る乗用車用計器の一実施形態を示しており、この計器は、当該乗用車の車室内に設けたインストルメントパネル(図示しない)に回転計として取り付けられている。
【0020】
当該計器は、図1及び図2にて示すごとく、計器板10を備えており、この計器板10は、図1にて示すごとく、ケーシング20の開口部内にて、環状の見返し板30の底壁31にその裏面側から設けられている。
【0021】
計器板10は目盛り盤10aを備えており、この目盛り盤は、加飾リング11と、略円弧状回転数表示部12とを備えている。加飾リング11は、計器板10をその板厚方向に表面側へ断面逆V字状に隆起して形成されている。また、回転数表示部12は、加飾リング11の内周に沿い、目盛り盤10aの表面に、目盛りや文字の輪郭を不透光性の灰色インクを用いて印刷或いはホットスタンプの処理により形成されている。なお、計器板10の表面には、回転数表示部12の目盛りや文字の輪郭を除き、黒色の印刷処理が施されている。
【0022】
目盛り盤10aの表面のうち加飾リング11の内周側全体部分に亘り、装飾パターン13が金属調の細かい凹凸形状の傷模様の多数のヘアラインでもって形成されている。
【0023】
当該計器は、図1にて示すごとく、回動内機40、配線板50、発光指針60及び両光源70を備えている。回動内機40は、内機本体41及び指針軸42を備えており、内機本体41は、ケーシング20内にてその底壁21に装着されている。また、指針軸42は、内機本体41から配線板50の貫通穴部及び目盛り盤10aの貫通穴部14を通り回動可能に延出しており、この指針軸42の先端部には、発光指針60がその回動基部にて支持されている。当該発光指針60は、その回動基部にて、目盛り盤10aの貫通穴部14を通して両光源70から光を入射されて発光する。なお、両光源70は、指針軸42の軸周り近傍にて配線板50の表面に設けられている。また、図1にて符号80はフロントパネルを示す。
【0024】
以上のように構成した本実施形態において、計器板10の製造方法について説明する。計器板10の製造にあたり、図3にて示すような両金型90、100を準備する。金型90は、その接合面91にて、計器板10の材料である樹脂板110を介し、金型100の接合面101と接合し、加圧により、上記構成の計器板10を絞り加工及び装飾加工を施すために用いる。
【0025】
このため、金型90の接合面91には、断面逆V字形状を有するリング状凹部91aが形成されており、この凹部91aの断面逆V字形状は、目盛り盤10aの加飾リング11の隆起面側での断面逆V字形状に相当する。
【0026】
また、接合面91のうちリング状凹部91aの内周側全体に亘り、目盛り盤10aの装飾パターン13の各ヘアラインの凹凸形状とは逆形状の凹凸部91b(図4参照)が形成されている。一方、金型100の接合面101には、断面逆V字状を有するリング状突部101aが、金型90のリング状凹部91aに対応する位置にて突出形成されている。なお、樹脂板110の表面111のうち目盛り盤10aの回転数表示部12の目盛りや文字の輪郭に相当する部分には、不透光性の灰色インクを用いて印刷或いはホットスタンプの処理がなされている。また、樹脂板110の表面111のうち回転数表示部12の目盛りや文字の輪郭に相当する部分を除き予め黒色印刷処理が施されている。
【0027】
計器板10を製造するにあたり、樹脂板110を、図3にて示すごとく、金型90の接合面91と金型100の接合面101との間に介装する。このような状態において、金型90によりその接合面91にて樹脂板110を金型100の接合面101に加圧する。これに伴い、接合面101が、そのリング状突部101aにて、樹脂板110の対応リング部分を介し、接合面91のリング状凹部91a内に接合する。これにより、加飾リング11が絞り加工により隆起形成される。また、これと同時に、接合面101が、そのリング状突部101aの内周側全体にて、樹脂板110の対応部分を介し、接合面91の凹凸部91bに接合する。これにより、装飾パターン部13が形成される。
【0028】
以上説明したように、金型90の接合面91にリング状凹部91a及び凹凸部91bを形成し、金型100の接合面101にリング状突部101aを形成し、これら両金型90、100を用いて樹脂板110に加圧絞り加工を施して、目盛り盤10aに加飾リング11及び装飾パターン13を同時に形成するようにした。
【0029】
これにより、加飾リング11の絞り加工にあたり、目盛り盤10aのうち当該加飾リング11の近傍部分が伸びて薄くなっても、装飾パターン13に対応する形状(凹凸部91bの形状)が、樹脂板110の表面111ではなく、金型90の接合面91に形成されているから、装飾パターン13が、当該加飾リング11の近傍部分にて歪みを生ずることがなく、加飾リング11から離れている部分と同様に形成される。従って、目盛り盤10aの見栄えを良好に確保できる。また、加飾リング11と装飾パターン13とを同時に形成するので、加飾リング11と歪みのない装飾パターン13を形成した目盛り盤10aを有する計器板の製造が容易である。
【0030】
次に、上記実施形態の変形例を図5に基づいて説明する。この変形例では、計器板10は、上記実施形態にて述べた樹脂板110の表面111に、クリア層112を透明印刷材料により6μm乃至15μm程度の厚さにて印刷形成してなる樹脂板110aを、上記実施形態にて述べた両金型90、100により、上記実施形態にて述べたと同様に挟持加圧することで製造されている。
【0031】
これによれば、上記実施形態に述べたように目盛り盤10aの表面に装飾パターン13を形成するのではなく、クリア層112の表面に装飾パターン13を形成するので、目盛り盤10aの表面側の凹凸感を良好に確保し得る。その他の作用効果は上記実施形態と同様である。
【0032】
なお、本発明の実施にあたり、計器板10の表面側にて複数色で発光可能な光源(例えば、フルカラー表示可能な発光ダイオード等)を設け、乗用車の状況や運転者の操作に応じて色を変えることで、視認性を向上するようにしてもよい。
【0033】
また、本発明の実施にあたり、装飾パターン13は、目盛り盤10aの表面のうち加飾リング11の内周側に限ることなく、加飾リング11の隆起側表面にも形成するようにしてもよい。これによれば、樹脂板110を両金型90、100で加圧したとき、樹脂板110のうち加飾リング11の角部近傍に相当する部分で樹脂板110が薄くなっても、これに影響されることなく、上記実施形態にて述べた目盛り盤10aの表面のうち加飾リング11の近傍と同様に歪みのない装飾パターンが形成される。従って、上記実施形態と同様の作用効果を達成できる。
【0034】
また、本発明の実施にあたり、目盛り盤10aに形成する装飾パターン13は、金属調の細かい凹凸形状の傷模様の多数のヘアラインに限ることなく、ぎざぎざ状或いは散点状の凹凸パターン等各種の凹凸形状のパターンであってもよい。
【0035】
また、本発明の実施にあたり、乗用車用計器に限ることなく、バスやトラック等の各種車両用計器や一般的な装飾用表示盤に本発明を適用してもよい。
【0036】
また、本発明の実施にあたり、回転計や車速計等の単独の計器に本発明を適用してもよい。この場合、計器板を、物理表示部(回転数表示部や車速表示部に対応)を有する目盛り盤を形成した導光板でもって構成してもよい。
【0037】
また、本発明の実施にあたり、各金型90、100に代えて、これらと同様の機能を有する各種の材料からなる型を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の計器板の平面図である。
【図3】図1の計器板を製造するための両金型の断面図である。
【図4】図3の金型90の接合面のうちリング状凹部の内周側部分の拡大断面図である。
【図5】上記実施形態の変形例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
10a…目盛り盤、11…加飾リング、12…回転数表示部、
13…装飾パターン、90、100…金型、91、101…接合面、
91a…凹部、91b…凹凸部、101a…凸部、
110、110a…樹脂板、112…クリア層。

Claims (3)

  1. 板(110、110a)にその板厚方向に隆起部(11)を形成するとともに前記板の面に、その前記隆起部或いはこの近傍に相当する部分を含め、細かい凹凸形状でもって装飾パターン(13)を形成してなる表示盤であって、
    前記隆起部の隆起側面形状に相当する凹部(91a)および前記装飾パターンの凹凸形状とは逆形状の凹凸部(91b)が前記板との接合面に形成された金型(90)を用いた絞り加工で、前記板に前記隆起部と前記装飾パターンの凹凸形状とが同時に形成されたものとなっており、かつ前記降起部として加飾リング(11)を有する目盛り盤を備えており、この目盛り盤はその表面の前記加飾リングの内周に沿い物理量表示部(12)を形成してなり、前記目盛り盤の表面のうち少なくとも前記加飾リングの内周側部分には、前記装飾パターンが形成されていることを特徴とする表示盤。
  2. 前記板は、表面にクリア層(112)が形成された樹脂板であり、前記装飾パターンは、前記クリア層の表面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示盤。
  3. 前記装飾パターンは、金属調の細かい凹凸形状の傷模様の多数のヘアライン、ぎざぎざ状或は散点状の凹凸パターンであることを特徴とする請求項1または2記載の表示盤。
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