JP3565144B2 - 表示盤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、計器の目盛り盤その他各種の表示盤及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の表示盤としては、実開昭60−159319号公報にて開示されているような段差文字板がある。この段差文字板は、凹凸を設けて立体感や装飾感を向上するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記段差文字板は、中央に凹部を形成した単なる平板状の文字板にすぎない。このため、立体感や装飾感の向上には未だ不十分である。
【0004】
これに対しては、例えば、段差文字板の外周部と凹部の境界壁に別部材を設けることが考えられる。しかし、段差文字板を樹脂製シートの絞り加工で形成する場合、この段差文字板の上記境界壁に別部材を設けることは、樹脂製シートが薄いため、通常、困難である。
【0005】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、樹脂製シートの絞り加工により形成する表示盤本体に、当該絞り加工と同時に表示盤本体の一部に別部材を設けるようにした表示盤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、請求項1に記載の発明に係る表示盤は、
厚さ方向に凸部(31b)或いは凹部(31a)を有するようにシート(100)を絞り加工して形成された表示盤本体(31)と、この絞り加工と同時に表示盤本体の凸部或いは凹部の表面に固着された別部材(30b)と、を有するようにしてある。
【0007】
これにより、表示盤本体を絞り加工する際に、当該絞り加工と同時に別部材をシートのうち目盛り盤本体の凹部や凸部の表面に接着するので、表示盤に別部材を確実にかつ容易に設けることができる。また、表示盤に別部材を設けることで、当該表示盤により一層の立体感や装飾感を与え、その結果、表示盤の視認性をより一層向上できる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る表示盤の製造方法では、
厚さ方向に凸部(31b)或いは凹部(31a)を有するように、当該凹部或いは凸部とは逆形状の金型面(90a)をもつ絞り加工用金型(90)でシート(100)を絞り加工して表示盤本体(31)を形成する前に、当該金型の金型面のうち別部品の表示盤本体に対する接着部位に対応する部分に別部品を仮固定した上で、金型の金型面に向け別部材を介し絞り加工を行う。
【0009】
これにより、請求項1に記載の発明の作用効果を達成し得る表示盤の製造方法の提供が可能となる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、シートの金型面側の面には接着層(104)を予め形成しておき、絞り加工を行うようにしたことを特徴とする。
【0011】
これにより、別部材を接着層の接着力を利用してシートの当該別部材に対応する部分に接着することとなり、その結果、表示盤本体に対し別部材をより一層強固に固着しつつ、請求項2に記載の発明の作用効果を達成できる。
【0012】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用された乗用車用計器の一実施形態を示しており、この計器は、当該乗用車の車室内に設けたインストルメントパネルにコンビネーションメータとして配設されている。当該計器は、ケーシング10を備えており、このケーシング10の開口部には、フロントパネル20が、その外周部21にて、後述する環状の見返し板40の先端開口端部41を介して装着されている。
【0014】
また、当該計器は、計器板30及び上記見返し板40を備えており、計器板30は、見返し板40の底部に位置するように、見返し板40と一体に形成されている。ここで、計器板30は、ケーシング10内に支持した導光板50上に沿い設けられており、見返し板40は、計器板30の外周部から上方に環状に立ち上がっている。
【0015】
計器板30は、計器板本体30aと、各リング状の樹脂製板状別部材30bとを備えている。計器板本体30aは、一枚のシートに深絞り加工を施すことで、見返し板40と一体に形成されている。
【0016】
計器板30は、四つの目盛り盤30c乃至30fを備えており、これら各目盛り盤30c乃至30fは、対応の各回動内機60(図2では一回動内機のみを示す)及び各指針70と共にスピードメータ、タコメータ、フューエルゲージ及び水温ゲージを構成する。ここで、目盛り盤30cは、図1及び図2にて示すごとく、目盛り盤本体31(計器板本体30aのうち当該目盛り盤本体に対応する部分からなる)と、上記別部材30b(図1では図示左側別部材30b)とにより構成されている。目盛り盤本体31は、平板状中央部31aの外周部に沿いリング部31bを略断面コ字状にフロントパネル20側へ一体に隆起させて形成されている。左側別部材30bは、目盛り盤本体31のリング部31bの中央部31a側傾斜状内周面h(図2参照)上に沿い接着されている。
【0017】
また、目盛り盤30dも、目盛り盤本体31と右側別部材30bとにより、目盛り盤30cと同様に構成されている。なお、本実施形態では、計器板本体30aの表面は、各目盛り盤30c乃至30fの透光部分(目盛りや文字の部分以外の部分)に対応する部分を除き黒色印刷されている。
【0018】
目盛り盤30cに対応する回動内機60は、図2にて示すごとく、ケーシング10内に配設されており、この回動内機60は、内機本体61と、指針軸62とを備えている。そして、当該指針軸62は、内機本体61から配線板80、導光板50及び目盛り盤30cの各貫通穴部を通り回動可能に延出して、その先端部にて、対応の指針70の回動基部を支持している。なお、残りの回動内機60も同様である。
【0019】
配線板80は、ケーシング10内にて各内機本体61の導光板50側端面に沿い支持されている。図2にて示す例によれば、この配線板80には、各光源81が、目盛り盤30cに対応する指針軸62の軸周りにて設けられている。これら各光源81は、その点灯により、導光板50内にその貫通穴部の外周部分に光を入射する。このように入射した光は、導光板50により、その貫通穴部の断面逆八字状内周面による反射のもと、目盛り盤30cに出射される。なお、残りの目盛り盤30d乃至30fに対応する各回動内機60の指針軸の軸周りにも、同様に各光源が、配線板80に設けられている。
【0020】
以上のように構成した本実施形態において、計器板30の製造方法について説明する。なお、見返し板40は深絞り加工により計器板30と共に製造されるが、ここでは、計器板30を中心とする製造方法について説明する。
【0021】
まず、計器板30の製造にあたり、図3にて示すような圧空成形用金型90を準備する。この金型90は金型面90aを有している。この金型面90aは、目盛り盤30cの断面形状(図2参照)とは逆の断面形状の金型面部91を有しており、この金型面部91には、目盛り盤30cのリング部31bの内周面hに対応する傾斜状内周面91aが形成されている。また、金型面90aは、目盛り盤30dの断面形状とは逆の断面形状の金型面部92を有しており、この金型面部92には、目盛り盤30dのリング部31bの内周面(目盛り盤30cのリング部31bの内周面h)に対応する傾斜状内周面92aが形成されている。
【0022】
また、計器板30を見返し板40とともに一体に形成するためのシート100を準備する。このシート100は、図3にて示すごとく、樹脂製シート本体101と、このシート本体101の両面に印刷した両印刷塗膜102、103と、印刷塗膜103の外面に沿い形成した接着層104とにより構成されている。
【0023】
本実施形態では、樹脂製シート本体101としては、深絞り加工前の板厚が適正な剛性及びコスト上から0.3mm乃至1.0mmの範囲内の値、例えば、0.5mmの透明のポリカーボネートのシートが採用されている。従って、シート100全体の厚みも非常に薄い。なお、樹脂製シート本体101は、上述のようにポリカーボネートのシートに限ることなく、上記板厚の範囲のものであれば、各種の樹脂製シートであってもよい。
【0024】
計器板30の絞り加工による製造にあたり、金型90を圧空を供給する室内におく。但し、各別部材30bを金型90の金型面90aに仮固定しておく。具体的には、目盛り盤30c用別部材30bを金型面部91の傾斜状内周面91aに沿い離脱可能に仮固定するとともに、目盛り盤30d用別部材30bを金型面部92の傾斜状内周面92aに沿い離脱可能に仮固定しておく。
【0025】
然る後、図3にて示すごとく、接着層104が金型面90aに対向するように、シート100を、金型面90aの直上に保持する。このような状態にて、シート100にその印刷塗膜102側から金型面90a側へ空気を圧送すると、このシート100は、接着層104にて、金型面90aに押しつけられる。これに伴い、シート100のうち両目盛り盤30c、30dの各目盛り盤本体に対応する各部分は、各金型面部91、92の表面に密着するように押しつけられる。このとき、シート100のうち各別部材30bに対応する各部分は、当該各別部材30bに密着するように押しつけられる。
【0026】
このような状態にて、接着層104に所定の接着条件に従う温度にて圧力を付与すれば、シート100は、接着層104にて、金型面90aに適正な接着力にて一様に接着する。このとき、シート100のうち各別部材30bに対応する部分は、接着層104の対応する部分にて、当該各別部材30bの表面に上記接着力にて一様に接着する。これにより、各別部材30bは、各目盛り盤30c、30dの目盛り盤本体の傾斜状内周面に、圧空成形による絞り加工により、この絞り加工と同時に接着される。
【0027】
その後、シート100を金型面90aから剥離すれば、各別部材30bは上述のように仮固定してあるのみであるから、シート100は、各別部材30bと一体にて、金型面90aから分離する。これにより、計器板30が、図2にて例示する断面形状の構成にて、見返し板40とともに、圧空成形による絞り加工でもって、一体に製造される。
【0028】
以上説明したように、各別部材30bを各目盛り盤30c、30dの目盛り盤本体のリング部(図2にて符号31b参照)の傾斜状内周面に設けるにあたり、予めシート100に接着層104を設け、一方、各別部材30bを金型90の各金型面部91、92の傾斜状内周面91a、92aに離脱可能に仮固定しておき、上述のように圧空成形によりシート100を押しつけて絞り加工するようにした。これにより、計器板30を見返し板40と共に一体に絞り加工で製造する際に、当該絞り加工と同時に各別部材30bをシート100のうち各目盛り盤30c、30dのリング部31bの内周面に接着することができる。よって、上記構成の計器板30、ひいては目盛り盤30c、30dの製造が確実にかつ容易に実現できる。
【0029】
また、上述のように、各別部材30bを金型90の各金型面部91、92の傾斜状内周面91a、92aに離脱可能に仮固定した上で、シート100を圧空成形するので、各目盛り盤30c、30dのリング部31bの内周面と別部材30bとの間のいちずれが発生することがない。
【0030】
また、上述のように各別部材30bを各目盛り盤30c、30dの対応部分に接着することで、シート100が薄くても、良好な剛性を各目盛り盤30c、30dにもたせることができる。
【0031】
また、各目盛り盤30c、30dを上述のような構成とすることで、各別部材30bが、計器板30により一層の立体感や装飾感を与え、その結果、計器板30の視認性をより一層向上できる。
【0032】
なお、本発明の実施にあたり、コンビネーションメータではなく、スピードメータ等の単体の計器に本発明を適用してもよい。
【0033】
また、本発明の実施にあたり、乗用車用計器に限ることなく、バス、トラックや自動二輪車等の自動車その他の車両に採用される計器或いは一般産業機器用計器、或いは一般的な装飾用表示盤に本発明を適用してもよい。この場合、別部材30bの形状は、表示盤が有する表示盤本体に当該別部材30bを接着する部位の凹凸形状にあわせて当該別部材の形状を変更する。
【0034】
また、本発明の実施にあたり、圧空成形に限ることなく、真空成形等の絞り加工で計器板30を製造するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す部分破断正面図である。
【図2】図1にて2−2線に沿う断面図である。
【図3】計器板を圧空成形する工程を示す図である。
【符号の説明】
30…計器板、30c乃至30d…目盛り盤。
60a乃至60d…回動内機。
Claims (3)
- 厚さ方向に凸部(31b)或いは凹部(31a)を有するようにシート(100)を絞り加工して形成された表示盤本体(31)と、前記絞り加工と同時に前記表示盤本体の前記凸部或いは凹部の表面に固着された別部材(30b)と、を有する表示盤。
- 厚さ方向に凸部(31b)或いは凹部(31a)を有するように、当該凹部或いは凸部とは逆形状の金型面(90a)をもつ絞り加工用金型(90)でシート(100)を絞り加工して表示盤本体(31)を形成する前に、当該金型の金型面のうち別部品の前記表示盤本体に対する接着部位に対応する部分に前記別部品を仮固定した上で、前記金型の金型面に向け前記別部材を介し前記絞り加工を行うようにした表示盤の製造方法。
- 前記シートの前記金型面側の面には接着層(104)を予め形成しておき、前記絞り加工を行うようにしたことを特徴とする請求項2に記載の表示盤の製造方法。
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