JP2007232739A - 車両用計器板および車両用計器板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を増大させることなく、かつ安価に、計器量を表示する領域の外周を金属調の光沢を有する立体形状の枠で装飾した車両用計器板を提供する
【解決手段】透明の樹脂板1から形成され、背景領域であるベース部2と各メータ表示部3との境界に、視認側に向けて隆起するリング状の枠部5(例えば、枠部5−2)を備える。枠部5は、透明樹脂版1の裏面に、少なくとも枠部5となる領域(絞り加工を施すことによって隆起する部分)にミラーインクを印刷することによって形成されるインク層15を積層した状態で隆起している。枠部5は、具体的には、透明樹脂版1の裏面に光輝インク層15が形成され、さらにその上に保護層16が形成された状態で絞り加工を施すことによって立体形状に形成される。
【選択図】図1
【解決手段】透明の樹脂板1から形成され、背景領域であるベース部2と各メータ表示部3との境界に、視認側に向けて隆起するリング状の枠部5(例えば、枠部5−2)を備える。枠部5は、透明樹脂版1の裏面に、少なくとも枠部5となる領域(絞り加工を施すことによって隆起する部分)にミラーインクを印刷することによって形成されるインク層15を積層した状態で隆起している。枠部5は、具体的には、透明樹脂版1の裏面に光輝インク層15が形成され、さらにその上に保護層16が形成された状態で絞り加工を施すことによって立体形状に形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、薄板状の文字板から形成されるスピードメータ等の車両に搭載される計器における目盛り等を表示するための車両用計器板に関し、特に、目盛り等を表示する領域の外周を金属調の光沢を有する立体形状の枠で装飾する車両用計器板に関する。
従来の車両用計器板において、スピードメータ、タコメータ、燃料計等の車両に搭載される計器における目盛り(以下、計器量という。)を表示する領域(以下、メータ表示部という。)を背景領域(以下、ベース部という。)と区分けして視認性の向上を図るとともに高級感をもたせるために、メータ表示部の外周を金属調の光沢(金属調外観)を有するリング状の枠体で装飾する方法が知られている。
例えば、透明樹脂板にインク層を設けることでメータ表示部とベース色部とが形成された平滑な計器板表面のメータ表示部とベース色部との境界線上に、金属調外観を有する樹脂成型品であるリング状の枠体を配設させる方法がある(特許文献1、特許文献2参照。)。
また、例えば、透明樹脂板にインク層を設けてベース色部とメータ表示部とが形成され、さらに絞り加工を施すことでリング状の隆起部が形成され立体成型品となった計器板の該隆起部の上に、メッキ調の光沢を視覚に刺激する蒸着層を備えた樹脂フィルム材(蒸着フィルム)を被着させる方法がある(特許文献3参照。)。
しかし、特許文献1または特許文献2に記載されているようなメータ表示部とベース色部とが形成された平滑な計器板表面に、別途成型した枠体を配設させる方法では、枠体が別部品であるため、製造コストおよび管理コストの増加に繋がっている。
また、特許文献3に記載されているような絞り加工を用いて枠部(隆起部)を一体化成型した後で蒸着フィルムを被着させて着色する方法では、別途成型した枠体を用意する必要はないが、枠部を着色する(金属調に光輝させる)ためには別途蒸着フィルムを被着させなければならず、上記と同様の問題が生じる。
なお、例えば、透明樹脂板にメータ表示部とベース色部に対応するインク層を形成するとともに、枠部となる部分にアルミニウムやニッケル等の微視サイズの金属を蒸着法により定着させた平滑な計器板を形成した後に、真空成型や圧空成型といった絞り加工を施して枠部を隆起させる方法も考えられる。しかしながら、所定の領域にだけ金属蒸着層を形成するためには、蒸着層のエッチング処理が必要でありそのための加工費が必要となるだけでなく、そもそも金属蒸着層を計器板に定着させるための材料費自体が高価であるため、製造コストが非常に高価となってしまう。
そこで、本発明は、部品点数を増大させることなく、かつ安価に、計器量を表示する領域の外周を金属調の光沢を有する立体形状の枠で装飾した車両用計器板を提供することを目的とする。
本発明による車両用計器板は、平滑な透明の樹脂板から形成される車両に関する計器量を表示するための車両用計器板であって、少なくとも計器量を表示するための領域(例えば、メータ表示部3)の周囲に立体形状の枠部を備え、枠部は、樹脂板の裏側の少なくとも当該枠部となる領域に対応する位置に金属調の光沢を有する光輝インク層が積層された状態で、樹脂板の当該枠部となる領域を隆起または陥没させることによって形成されることを特徴とする。
また、枠部は、当該車両用計器板を形成する平滑な透明の樹脂板の裏面に、金属顔料含有インクに含まれる片状の金属顔料の平滑面が印刷面に対し並行に配列するように印刷されることによって形成されるミラーインク層が積層された状態で、当該枠部の隆起形状に対応させた金型を用いた絞り加工を施すことによって形成されてもよい。
また、本発明による車両用計器板の製造方法は、車両に関する計器量を表示するための車両用計器板の製造方法であって、少なくとも計器量を表示するための領域の外周部分に対応する所定の範囲を立体形状の枠部となる領域として定め、平滑な透明の樹脂板の裏側の、枠部となる領域に対応する位置に金属調の光沢を有する光輝インク層を形成し、光輝インク層が積層された状態で樹脂板に対し、枠部となる領域を隆起または陥没させるための絞り加工を施すことを特徴とする。
また、車両用計器板の製造方法は、絞り加工として、枠部となる領域と少なくともその周囲部分とを含む領域に対応する凹型金型に対し、枠部となる領域にのみ対応する凸型金型と、枠部となる領域を除いた少なくとも枠部となる領域の周囲部分に対応する押さえ用金型とを分けて嵌合させるプレス方式を採用してもよい。
本発明によれば、部品点数を増大させることなく、かつ安価に、計器量を表示する領域の周囲を金属調の光沢を有する立体形状の枠で装飾した車両用計器板を提供することができる。
また、本発明によれば、金属調外観を有するメータ表示部外周枠を任意のデザインに合わせて容易に形成することが可能である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1(a)は、本発明による車両用計器板の一例を示す正面図である。また、図1(b)は、図1(a)に示す車両用計器板のA−A’断面図である。図1に示す車両用計器板は、車両の速度を表示するスピードメータ3−1、車両のエンジンの回転数を表示するタコメータ3−2、車両の燃料残量を表示する燃料計3−3とが一体となって構成されている車両用計器板の例である。以下、スピードメータ3−1、タコメータ3−2、燃料計3−3のように車両に関する計器量を表示する部分を総称してメータ表示部3という。なお、車両用計器板は、車両に関する一つの計器量を表示する計器板であってもよい。また、図1に示すように、メータ表示部3の他に、方向指示器4−1や警告標識4−2など各種シンボル表示部4が配置されていてもよい。
車両用計器板は、透明の樹脂板1から形成される。本車両用計器板は、背景領域であるベース部2と各メータ表示部3との境界に、視認側に向けて隆起するリング状の枠部5(具体的にはスピードメータ枠部5−1、タコメータ枠部5−2、燃料計枠部5−3)を備える。図2は、図1(b)に示す車両用計器板の断面図のうち、枠部5の一部分を含む領域(図1においてBで示す領域)を拡大して示したものである。図2に示すように、枠部5(図示においてタコメータ枠部5−2)は、透明樹脂版1の裏面(反視認側の面)に、少なくとも枠部5となる領域(絞り加工を施すことによって隆起する部分)にミラーインクを印刷することによって形成されるインク層15(以下、光輝インク層15という。)を積層した状態で隆起している。なお、枠部5は、具体的には、透明樹脂版1の裏面にミラーインクによる光輝インク層15が形成され、さらにその上に保護層16が形成された状態で絞り加工を施すことによって立体形状に形成される。ここで、ミラーインクとは、透明樹脂板の裏面から印刷することで鏡面のような光沢を視認させるインクをいう。なお、ミラーインクは、鏡面インクと呼ばれる場合もある。具体的には、金属顔料含有インクであって、例えば、金属顔料に燐片状の粉体を用い、成膜後、金属含量の平滑面が透明樹脂板に対し並行に配列することによって、金属町着膜相当の輝度を有するインクである。
なお、本例では、枠部5に対応する光輝インク層15以外に、ベース部2およびメータ表示部3における背景領域に対応するインク層12,13が、透明樹脂板1の表面(視認側)に光不透過性インク(例えば、黒色のインクやメタリックインク)を印刷することによって形成されている。以下、ベース部2に対応するインク層12をベース部インク層12といい、メータ表示部3における背景領域に対応するインク層13をメータ表示部インク層13という。ベース部インク層12およびメータ表示部インク層13は、裏面から照光させる必要のある領域(メータ表示部3における数値や目盛り、単位等の表示部、各種シンボル表示4に対応する領域)には印刷されない。また、視認側から見て枠部5となる領域(隆起する部分)に被らないように印刷される。
保護層16は、必要に応じて光輝インク層15を保護するために形成される。例えば、絞り加工を施す際に金型との接触によって光輝インク層15が剥がれないようにするために形成される。保護層16は、絞り加工時の加熱温度によって溶解しないだけの耐熱性を有し、かつ絞りによって塗膜に切れが発生しないだけの延展性を有していればよい。例えば、ポリカーボネート樹脂による樹脂塗料を印刷して形成すればよい。
次に、本車両用計器版の製造方法について説明する。図3は、本発明による車両用計器版の製造工程を示す説明図である。図3に示すように、本車両用計器版の製造方法は、印刷工程と、絞り加工工程とを含んで構成される。なお、図3(a)は印刷工程、図3(b)は絞り加工工程を示す模式的断面図である。
まず、図3(a)に示す印刷工程では、車両用計器版の元となる透明樹脂板1に対し、所定のインク層および保護層16が形成される。透明樹脂板1は、例えば、ポリカーボネート樹脂板である。ここでは、所定のインク層として、ベース部インク層12、メータ表示部インク層13、および光輝インク層15が形成される。なお、光輝インク層15は、透明樹脂版1の裏面の少なくとも枠部5となる領域(隆起する部分)にミラーインクを印刷することによって形成される。また、光輝インク層15以外のインク層は、視認側から見て枠部5となる領域(隆起する部分)に被らないように形成される。また、保護層16は、少なくとも光輝インク層15が形成されている領域を覆う領域に形成される。なお、全領域を覆うように形成されてもよい。
図4は、絞り加工をする前の車両用計器板において枠部5の一部分を含む領域(図1においてBで示す領域)の断面図である。図4に示すように、光輝インク層15は、枠部5となる領域(絞り加工を施すことによって隆起する部分)だけでなく、ベース部2およびメータ表示部3における背景領域と重なるラップ範囲6を含むように形成されることが好ましい。このような場合には、夜間照明時の光漏れや、印刷ずれ等による外観不具合をより確実に回避できるようになる。ラップ範囲6は、印刷のずれ幅や裏面から照光させる必要のある領域の位置を考慮した上で、光輝インク層15と他のインク層(ベース部インク層12およびメータ表示部インク層13)とが重なるだけの幅が確保されていればよい。例えば、ラップ範囲6として0.1mm〜0.7mm程度を印刷範囲にプラスすればよい。
なお、ベース部2およびメータ表示部3における背景領域に対応するインク層12,13は、透明樹脂板1の表面に限らず、透明樹脂板1の裏面に形成されていてもよい。例えば、図5に示すように、透明樹脂版1の裏面において、ベース部2となる領域やメータ表示部3における背景領域となる領域(従って、枠部5となる領域は除く)に所定のインクによるベース部インク層12およびメータ表示部インク層13を形成し、そのベース部インク層12およびメータ表示部インク層13にラップさせる(被せる)ように、枠部5に対応するミラーインクによる光輝インク層15を形成してもよい。
また、例えば、図6に示すように、透明樹脂版1の裏面において、枠部5となる領域にミラーインクによる光輝インク層15を形成し、その光輝インク層15にラップさせる(被せる)ように、ベース部2に対応するベース部インク層12およびメータ表示部3における背景領域に対応するメータ表示部インク層13を形成してもよい。なお、このような場合には、ラップ範囲6は枠部5となる領域上に形成されることになる。
次に、図3(b)に示す絞り加工工程では、印刷工程にて作製された所定インク層および保護層16が積層された透明樹脂板1(以下、単にワークという。)に対し、枠部5となる領域を所望の立体リング形状に変形させるための金型7を用いて加熱絞り加工を施すことによって、枠部5を形成する(隆起させる)。
なお、絞り加工工程は、具体的には、加熱工程と絞り工程とに分かれる。まず、加熱工程で、透明樹脂板1を軟化可能な温度に加熱する。なお、加熱温度は、透明樹脂板1の発泡を生じない温度かつインク層および保護層のインク溶解を生じない温度とする。加熱方法は、金型7に備え付けられた加熱手段(例えば、電熱ヒータ)を用い、金型7に透明樹脂板1を載せることで加熱してもよい。
次に、絞り工程では、加熱工程によって軟化状態となったワークに対し、金型7を用いて成形する。例えば、枠部5が形成される位置に対応して枠部5の隆起形状に合わせた凹部を有する凹型および枠部5の隆起形状に合わせた凸部を有する凸型による一対の金型7を用いて、ワークを両金型で挟み込むように加圧するプレス方式によって成形してもよい。また、例えば、凹型・凸型のいずれか一方の金型を用い、金型の上に配置したワークに対し真空空気または圧空空気を供給し、ワークを金型に密着するように押し当てる真空圧着方式または圧空圧着方式によって成形してもよい。なお、真空空気及び圧空空気を供給し、両方の圧力によってワークを金型に押し当てるようにしてもよい。絞り工程の結果、ワークを金型の形状に合わせて立体形状とすることが可能である。すなわち、ワークに対して所望の隆起形状を得ることが可能である。
図7は、枠部5の隆起形状例を示す説明図である。図7に示すように、枠部5の隆起形状は、図2に示すような台形形状に限らず、丸みを帯びた形状や、内側(メータ表示部3側)と外側(ベース部2側)とで傾斜角度が異なるような形状にすることも可能である。なお、隆起形状に限らず、全体的な形状についても所望の形状に合わせた金型を用意するだけで、メータ表示部3の周囲を装飾する様々な形状の枠部5を形成することができる。例えば、メータ表示部3として他の領域(ここでは、ベース部2)と外観的に区分けしたい形状(メータ表示部3の外周形状)に合わせて、楕円状や、半円状、扇状の枠部5を形成することも可能である。なお、枠部5は、リング状のように必ずしも繋がっていなくてもよく、メータ表示部3が他の領域と外観的に区分けされるのであれば、メータ表示部3の周囲の一部を除いて囲むように形成したり、またはメータ表示部3の周囲を部分的に囲むように形成してもよい。
なお、本工程の後、本車両計器板は、所定の形状に切り出され、図示しない指針が回転駆動されるように装着されることによって車両用計器として用いられるようになる。
このように、本実施の形態によれば、少なくとも枠部5となる領域に対応させて予め透明樹脂板1の裏面に光輝インク層15を積層させた状態で、その枠部5となる領域を所定形状に絞り加工することによって、金属調の光沢を有する立体形状の枠部5を備えた車両計器板を一体化成形によって作製することができる。従って、部品点数を増大させることなく、かつ安価に、計器量を表示する領域の周囲を金属調の光沢を有する立体形状の枠で装飾した車両用計器板を提供することができる。
なお、本実施の形態では、絞り加工の手法として、プレス方式、真空圧着方式、および圧空圧着方式を示したが、加熱温度によっては光輝インク層15の光沢に影響が見られる場合がある。例えば、あまりに高温(例えば、180℃以上)に設定すると、光輝インク層15において粒子の配列が乱れ、所望の光沢が得られない場合がある。図8に示す方法は、加熱温度を低く設定した場合であっても所望の絞りを得ることができる方法の一例である。具体的には、本方法は、ワークに掛かる温度が150℃以下になることを条件にしている。なお、0.5mmの板厚のポリカーボネート樹脂板によるワークに本方法を適用した結果、所望の光沢をもったままで、所望の立体形状の枠部5が得られている。なお、上記ワークには、保護層16として、ポリカーボネート樹脂による樹脂塗料を10μmの厚さで印刷している。
図8は、絞り加工方法の一実施例を示す説明図である。図8に示すように、本絞り加工方法はプレス方式を用いた絞り加工方法であって、ワークセット工程と、挟み込み・加熱工程と、絞り工程と、型開き工程とを含んで構成される。なお、図8(a)はワークセット工程、図8(b)は挟み込み・加熱工程、図8(c)は絞り工程、図8(d)は型開き工程を示す模式的断面図である。
ここで、本プレス方式で用いる金型について説明する。本例で用いるプレス方式では、枠部5の隆起形状に合わせた凹部を有する凹型金型71(枠部5だけでなく少なくとも枠部5の周囲部分を含む領域に対応する凹型の金型)に対し、枠部5となる領域(隆起部分)にのみ対応する凸型金型72と、枠部5となる領域を除いた少なくとも枠部5の周囲部分(本例においては、ワークを保持できるだけの領域を要する。)に対応するワーク押さえ板73とを分けて嵌合させる。
図9〜図12は、1つの枠部5を形成するために本プレス方式で用いる金型の例を示す説明図である。図9は、凹型金型71の例を示す上面図およびA−A’断面図である。また、図10は、図9に示す凹型金型71に対応する凸型金型72の例を示す上面図およびA−A’断面図である。また、図11は、図10に示す凸型金型72に対応するワーク押さえ板73の例を示す上面図および断面図である。また、図12は、これら凹型金型71、凸型金型72およびワーク押さえ板73を組み合わせた状態を示す断面図である。
図9に示すように、凹型金型71は、一般的な凹型の金型と同様に、少なくとも枠部5の周囲部分を含む領域に対応し枠部5の隆起形状に合わせた凹部を有する凹型の金型である。具体的には、枠部5だけでなくベース部2およびメータ表示部3において枠部5と接している部分を含む領域(ワークの全領域であってもよい)の形状に対応する凹型の金型である。なお、車両計器板が複数の枠部5を備える場合には、ワークにおいて各枠部5が配置される位置に各枠部5の隆起形状に合わせた凹部を有することになる。一方、図10に示すように、凸型金型72は、枠部5の隆起形状に合わせた凸部を有する凸型の金型であるが、枠部5となる領域にのみ対応する金型である。すなわち、枠部5の隆起形状に合わせた凸部のみからなる金型である。また、ワーク押さえ板73は、ワークを絞る際に凹型金型71と協働して枠部5の周囲部分を押さえるために用いられる。具体的には、ワーク押さえ板73は、図11に示すように、枠部5が形成される位置に対応づけて凸型金型72を通すための切り抜き部を有し、その切り抜き部から凸型金型72が押し出された状態において少なくとも枠部5の周囲部分に対応する金型の役割を果たすものである。なお、本プレス方式では、ワークを保持する役割を果たすものでもあるため、ワークを保持できるだけの領域を備えていることが必要である。
なお、図11に示すように、本例では、ワーク押さえ板73の裏側にコイルバネが取り付けられている。これは、初期状態(ワーク押さえ板73にワークを搭載しただけの無加圧状態)において、当該ワーク押さえ板73と凸型金型72の頂点部分とを同じ高さにするためであり、かつ下方向の圧力に伴って、凸型金型72が枠部5を隆起させる高さに達するまで押し出されるようにするためである。
図13は、凸型金型72とワーク押さえ板73との位置関係を示す説明図である。図13(a)は、初期状態における凸型金型72とワーク押さえ板73との位置関係を示している。また、図13(b)は、ワーク押さえ板73に加圧した際の最終的な凸型金型72とワーク押さえ板73との位置関係を示している。図13(a)に示すように、初期状態では、凸型金型72は、その頂点部分がワーク押さえ板73と同じ高さになるように配置される。そして、ワーク押さえ板73に対し、下方向の圧力が加わると、最終的に、凸型金型72の頂点部分がワーク押さえ板73の切り抜き部から枠部5を隆起させる高さに達するまで押し出される。なお、図12に示すように、実際は、ワーク押さえ板73に対する加圧は、凹型金型71が下に移動することによって行われる。従って、凹型金型71とワーク押さえ板73との間で枠部5の周囲部分を狭持した状態で、凸型金型72が押し出されることになる。
このような位置関係を満たすように、凹型金型71、凸型金型72およびワーク押さえ板73が配置されているプレス加工機を用い、まず、ワークセット工程(図8(a)に示す工程)では、ワークをワーク押さえ板73にセットする(搭載させる)。ここでは、ワーク押さえ板73の切り抜き部の位置に枠部5となる領域が重なるように搭載させる。また、ワークは表側を上にして搭載される。
次に、挟み込み・加熱工程(図8(b)に示す工程)では、凹型金型71を下降させ、凹型金型71とワーク押さえ板73とでワークを挟み込んだ状態にし、その状態でワークを加熱する。具体的には、ワーク押さえ板73の高さにワークの厚さを足した高さに到達するまで、凹型金型71を下降させればよい。凹型金型71および凸型金型72には図示しないヒータが直結されており、予め所定の温度に加熱されている。本例では、凹型金型71は105℃、凸型金型72は85℃に加熱されている。なお、これらの温度は、ワークに掛かる温度を150℃以下にすることを条件に設定した例であって、これらの温度に限定されない。ワーク押さえ板73と凸型金型72の頂点部分は初期状態において同じ高さ位置になるように配置されているため、凹型金型71をワークに接触する位置まで下降させ、凹型金型71と凸型金型72の両金型の熱でワークを加熱させる。なお、挟み込んだ状態は、ワークが軟化状態になるまで維持される。
次に、絞り工程(図8(c)に示す工程)では、更に凹型金型71を下降させ、凹型金型71の下降に伴ってワーク押さえ板73の切り抜き部から押し出される凸型金型72によって、ワークを徐々に絞っていく(変形させていく)。具体的には、押し出される凸型金型72の頂点部分が、ワーク押さえ板73の切り抜き部から枠部5を隆起させる高さに達するまで、凹型金型71を下降させればよい。本プレス方式では、凹型金型71の下降に伴い、コイルバネの荷重が強くなるので、より強い力で枠部5の周囲部分が狭持されるようになる。このことにより、例えば、メータ表示部3の目盛り表示がつられて絞られていくといったワークの絵柄の位置ずれを抑制しつつ、所定箇所(図8(b)において丸で囲んでいる部分)を絞ることが可能となる。
最後に、型開き工程(図8(d)に示す工程)では、所定の高さ位置まで下降させた凹型金型71を上昇させて、所望の立体形状が形成されたワークを取り出せばよい。
本プレス方式によれば、ワークに掛かる温度を低く(例えば、150℃以下)設定しても、ワークの絵柄の位置ずれを抑制しつつ所望の立体形状の枠部5を容易に得ることができる。従って、所望の光沢をもったまま、所望の立体形状の枠部5を得ることができる。また、ワーク押さえ板73にコイルバネを取り付けてコイルバネによる高さ制御を行えば、凹型金型71に対し一同に圧力を加えるだけでよく、金型形状に依存しない駆動制御が可能となるので、金属調外観を有するメータ表示部外周枠を任意のデザインに合わせて容易に形成することができる。
なお、本例では、凹型金型71を駆動側、凸型金型72を固定側とする場合を例に示したが、凸型金型72を駆動側、凹型金型71を固定側とすることも可能である。そのような場合には、凹型金型71を下降させる工程に替わり、凸型金型72およびコイルバネが取り付けられた床面ごとを上昇させればよい。
また、本例では、凹型金型71が上方、凸型金型72およびワーク押さえ板73が下方に位置するように配置される例を示したが、これらの上下関係は反転させてもよい。すなわち、凹型金型71が下方、凸型金型72およびワーク押さえ板73が上方に位置するように配置されてもよい。そのような場合には、ワークセット工程で、凹型金型71にワークを裏側を上にしてセットすればよい。また、挟み込み・加熱工程で、ワークが搭載された凹型金型71に対し、ワーク押さえ板73と凸型金型72とを初期状態における高さ関係を維持させたまま下降させればよい。そして、絞り工程では、凸型金型72がワーク押さえ板73の切り抜き部から枠部5の裏側を窪ませる深さに達するまで押し出せばよい。
また、本例では、メータ表示部3とベース部2とを外観的に区分けする枠部5として、視認側に向けて隆起させる例を示したが、枠部5は、図14に示すように、視認側から見て陥没するように(すなわち、反視認側に向けて隆起するように)形成することも可能である。なお、そのような場合には、絞り加工工程におけるワークの設置面を逆にすればよい。なお、印刷工程における所定のインク層および保護層16の形成方法は、隆起させる場合も陥没させる場合も同様である。すなわち、陥没させる場合であっても、光輝インク層15は、透明樹脂板1の裏面(反視認側の面)の少なくとも枠部5となる領域に形成される。また、光輝インク層15以外のインク層は、視認側から見て枠部5となる領域(陥没する部分)に被らないように形成される。また、保護層16は、必要に応じて少なくとも光輝インク層15が形成されている領域を覆う領域に形成される。
本発明は、車両用計器板に限らず、平滑な透明樹脂板から形成される立体成形品を金属調の光沢で装飾したい場合に、好適に適用可能である。
1 透明樹脂板
2 ベース部
3 メータ表示部
4 各種シンボル部
5 枠部
6 ラップ範囲
7 金型
12 ベース部インク層
13 メータ表示部インク層
15 光輝インク層
16 保護層
71 凹型金型
72 凸型金型
73 ワーク押さえ板
2 ベース部
3 メータ表示部
4 各種シンボル部
5 枠部
6 ラップ範囲
7 金型
12 ベース部インク層
13 メータ表示部インク層
15 光輝インク層
16 保護層
71 凹型金型
72 凸型金型
73 ワーク押さえ板
Claims (4)
- 平滑な透明の樹脂板から形成される車両に関する計器量を表示するための車両用計器板であって、
少なくとも計器量を表示するための領域の周囲に立体形状の枠部を備え、
前記枠部は、前記樹脂板の裏側の少なくとも当該枠部となる領域に対応する位置に金属調の光沢を有する光輝インク層が積層された状態で、前記樹脂板の当該枠部となる領域を隆起または陥没させることによって形成される
ことを特徴とする車両用計器板。 - 枠部は、当該車両用計器板を形成する平滑な透明の樹脂板の裏面に、金属顔料含有インクに含まれる片状の金属顔料の平滑面が印刷面に対し並行に配列するように印刷されることによって形成されるミラーインク層が積層された状態で、当該枠部の隆起形状に対応させた金型を用いた絞り加工を施すことによって形成される
請求項1に記載の車両用計器板。 - 車両に関する計器量を表示するための車両用計器板の製造方法であって、
少なくとも計器量を表示するための領域の外周部分に対応する所定の範囲を立体形状の枠部となる領域として定め、
平滑な透明の樹脂板の裏側の、前記枠部となる領域に対応する位置に金属調の光沢を有する光輝インク層を形成し、
前記光輝インク層が積層された状態で前記樹脂板に対し、前記枠部となる領域を隆起または陥没させるための絞り加工を施す
ことを特徴とする車両用計器板の製造方法。 - 絞り加工として、枠部となる領域と少なくともその周囲部分とを含む領域に対応する凹型金型に対し、枠部となる領域にのみ対応する凸型金型と、枠部となる領域を除いた少なくとも枠部となる領域の周囲部分に対応する押さえ用金型とを分けて嵌合させるプレス方式を採用する
ことを特徴とする車両用計器板の製造方法。
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JP2007136309A JP2007232739A (ja) | 2007-05-23 | 2007-05-23 | 車両用計器板および車両用計器板の製造方法 |
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