JP3567865B2 - 表示盤および表示盤の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用計器の文字盤その他の表示盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、実開昭60−159319号公報にて車両用計器の文字盤が提案されている。この文字盤は、リング状の目盛部を中央部から隆起させて形成されている。ここで、目盛り部と中央部の境界部分は、断面テーパ状の壁部で形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような文字盤を絞り加工で形成すると、目盛り部とテーパ状の壁部との境界が壁部側へずれてしまうことが多い。従って、文字盤を正面から見たとき、テーパ状の壁部に中央部の色と目盛り部の色との両方の色が見えてしまい、視認性がよくない。
【0004】
本発明は、上記点に鑑み、表示盤本体を絞り加工して構成した場合に、第1の着色層が形成された第1の着色部分または第2の着色層が形成された第2の着色部分に、表示盤の正面から見て、方の色が見えてしまうことを抑制することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、板形状の表示盤本体(500)の板面上に、互いに異なる色で隣接して形成された第1および第2の着色層(A、B、C、D)を備え、表示盤本体(500)は、第1の着色層(A、C)が形成された第1の着色部分(50a、51c)と第2の着色層(B、D)が形成された第2の着色部分(51a、51b)とが第2の着色部分(51a、51b)に対して略垂直となる壁部(51e、51f、51g)で連結され、壁部(51e、51f、51g)上に第1の着色層(A、C)と第2の着色層(B、D)との境界(AB、BC、CD)が位置するように絞り加工されたものであることを特徴としている。
【0006】
これにより、第1の着色層(A、C)と第2の着色層(B、D)との境界(AB、BC、CD)が壁部(51e、51f、51g)上に位置しているので、絞り加工によってその境界がずれたとしても、表示盤の正面からはほとんど見えない壁部(51e、51f、51g)上でずれるようにできる。よって、第1および第2の着色層(A、B、C、D)による両方の色がえてしまうことを抑制できる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明では、板形状の表示盤本体(500)の板面上に、互いに異なる色の第1および第2の着色層(A、B、C、D)を隣接して形成し、その後、第1の着色層(A、C)が形成された第1の着色部分(50a、51c)と第2の着色層(B、D)が形成された第2の着色部分(51a、51b)とが第2の着色部分(51a、51b)に対して略垂直となる壁部(51e、51f、51g)で連結され、壁部(51e、51f、51g)上に第1の着色層(A、C)と第2の着色層(B、D)との境界(AB、BC、CD)が位置するように、表示盤本体(500)を絞り加工することを特徴としている。
【0008】
これにより、請求項1に記載の発明と同様に、第1の着色層(A、C)と第2の着色層(B、D)との境界がずれたとしても、表示盤の正面からはほとんど見えない壁部(51e、51f、51g)上でずれるようにできるので、両方の色がえてしまうことを抑制できる。
【0009】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の表示盤を車両用計器の文字盤に適用した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は車両用計器を車室内側から見た正面図であり、この計器は、当該車両の車室内に設けた図示しないインストルメントパネルのうち運転席の前方に位置する部分に配設されている。
【0012】
この計器には、車速計10、車両のエンジンの回転数を表示するタコメータ20、車両のエンジン冷却水の水温を表示する水温計30、および車両の燃料残量を表示する燃料計40が備えられている。そして、車速計10、タコメータ20、水温計30、及び燃料計40は後述の駆動装置11により各指針12、22、32、42が回転駆動されるようになっている。
【0013】
また、図1に示すごとく、当該計器は、表示盤としての計器板50を備えており、この計器板50には、各指針12、22、32、42により指し示されて車両の情報を表示する略円弧状の文字盤51、52、53、54が備えられている。これらの文字盤51〜54は全て同様の構造である。
【0014】
図2は車速計10の部分を示す図1のA−A断面図であり、当該計器は、計器板50、その裏面側に配置される導光板60、その裏面側に配置されるプリント基板等の回路基板70、回路基板70の表面側(計器板50側)に実装された複数の光源71、回路基板70の裏面側に備えられた車速計10等の各駆動装置11(図2では車速計10の駆動装置11のみを示す。)を収容するケーシング80を備えている。
【0015】
計器板50は、例えば樹脂製シート等の板形状の計器板本体(表示盤本体)500に絞り加工を施すことで、見返し板55と一体に形成されている。見返し板55は計器板50の外周部から車室内側に環状に立ち上がっている。なお、見返し板55の車室内側外周端部55aにて、ケーシング80の車室内側環状開口端部81とフロントパネル90の外周端部91との間に挟持されている。このフロントパネル90は樹脂やガラスからなり、ケーシング80の車室内側環状開口部80aを覆うブラックフェースとしての役割を果たすものである。
【0016】
また、図2に示すように、文字盤51は、文字51sが表示された略円弧状の中央部51aから、リング状の隆起部51bを隆起させて形成している。図3は、文字盤51を示す部分拡大正面図であり、隆起部51bは、中央部51aに対して平行に延びて文字盤51の外周を装飾するものである。また、中央部51aの外周と隆起部51bの内周とは断面テーパ状の目盛り部51cにより連結されており、目盛り部51cは目盛り51sが表示されたリング形状である。また、隆起部51bの外周と計器板50のうち文字盤51の外側部分50aとは隆起部51bに対して略垂直に延びる壁部51eが形成されている。
【0017】
図4は、計器板50および見返し板55を示す断面図であり、図4のP部、Q部の拡大図である図5、図6に示すように、目盛り部51cのうち中央部51a、隆起部51bとの境界部分には、隆起部51bに対して略垂直に延びる垂直壁部51f、51gがそれぞれに形成されている。
【0018】
ところで、計器板50を正面から見たときに、計器板50のうち文字盤51の外側部分50aおよび目盛り部51cに相当する部分は灰色で見えるように着色されており、隆起部51bおよび中央部51aに相当する部分は黒色で見えるように着色されている。具体的には、計器板本体500の表側の面(車室内側の面)のうち、図4の矢印A、Cに示す範囲には第1の着色層である不透光性の灰色インクA、Cが印刷或いはホットスタンプの処理により形成され、図4の矢印B、Dに示す範囲には第2の着色層である不透光性の黒色インクB、Dが印刷或いはホットスタンプの処理により形成されている。
【0019】
なお、各文字盤51〜54の文字や目盛りその他の透光部分51sに対応する部分には、黒色および灰色のインクは形成されていない。従って、光源71から導光板60に導かれて計器板50の裏面側から入射する光は、文字盤51〜54の透光部分51sに対応する部分を透光するようになっている。
【0020】
次に、上述の計器板50の成型方法を説明する。
【0021】
本実施形態では圧空成形により計器板50を絞り加工するものであり、はじめに、計器板本体500の板面上のうち絞り加工後の図4の矢印A、B、C、Dに相当する部分に、灰色インクA、Cと黒色インクB、Dとを隣接して印刷する。なお、計器板本体500は、透明で耐熱性に優れた材質が好ましく、本実施形態では例えば板厚0.5mm程度のポリカーボネートの樹脂製シートを採用している。なおまた、本実施形態では灰色インクAと黒色インクBとは接触しており、この接触部分を灰色インクAと黒色インクBとの境界AB、BC、CDとする。
【0022】
次に、図7に示すように、印刷された樹脂製シート500の4隅を固定ネジNの端面で固定し、樹脂製シート500の上方側(図7の上方側)に金型600を配置する。図8は金型600の断面図であり、この金型600の端面は、計器板50の隆起部51bの形状に対応したリング状の凹凸形状に形成されている。符号601、602、603、604、605、606に示す金型600の端面は、それぞれ文字盤51の中央部51a、目盛り部51c、隆起部51b、壁部51e、計器板50のうち文字盤51の外側部分50a、見返し板55の形状に対応した形状である。
【0023】
そして、図示しない加熱手段により樹脂製シート500を暖め、金型600の端面601〜606に密着させるように樹脂製シート500の下方側から圧力空気を吹き付ける。このとき、樹脂製シート500は、灰色インクA、Cと黒色インクB、Dとの境界を基準にして、樹脂製シート500のうち灰色インクA、Cに対応する灰色部分(第1の着色部分)が、樹脂製シート500のうち黒色インクB、Dに対応する黒色部分(第2の着色部分)に対して略垂直になるように加工される。
【0024】
すなわち、前述のように、壁部51eおよび目盛り部51cの垂直壁部51f、51gは隆起部51bおよび中央部51aに対して略垂直になるように加工される。また、樹脂製シート500が金型600の端面601〜606に沿って伸びることにより、図4に示す灰色インクAと黒色インクBとの境界ABは、壁部51e上に位置することとなり、図5、図6に示す灰色インクCと黒色インクB、Dとの境界BC、CDは、それぞれ目盛り部51cに形成された垂直壁部51f、51g上に位置することとなる。
【0025】
ところで、隆起部51bに対して略垂直に加工された壁部51eおよび垂直壁部51f、51gは、車室内側から計器を正面に見たときにほとんど見ることができない。ここで、上述のように、灰色インクAと黒色インクBとの境界AB、BC、CDは、計器の正面からはほとんど見ることができない壁部51eおよび垂直壁部51f、51g上に位置している。
【0026】
これにより、灰色インクAと黒色インクBとの境界AB、BC、CDが絞り加工によりずれた場合であっても、この境界AB、BC、CDが位置する壁部51eおよび垂直壁部51f、51gは計器の正面からはほとんど見ることができないので、計器を正面から見たときに、計器板50のうち文字盤51の外側部分50aおよび目盛り部51cに相当する部分は灰色のみで見えることを確実にでき、隆起部51bおよび中央部51aに相当する部分は黒色のみで見えることを確実にでき、視認性を向上できる。
【0027】
(第2実施形態)
第1実施形態では、樹脂製シート500の下方側から圧力空気を吹き付ける圧空成形により絞り加工していたいが、樹脂製シート500の上方側から空気を吸い込む真空成形を行ってもよく、また、上記吹き付けと吸い込みの両方を組み合わせる真空圧空成形により絞り加工するようにしてもよい。
【0028】
また、第1実施形態では、樹脂製シート500を固定ネジNで固定しているが、図9に示すように、樹脂製シート500を凹凸形状の固定部材510で挟み込んで固定するようにしてもよいし、表面抵抗の大きい面(例えばサンドペーパーの表面のような面)を有する抵抗部材520で樹脂製シート500を挟み込んで固定するようにしてもよい。これにより、樹脂製シート500の固定をより一層確実にでき、灰色インクAと黒色インクBとの境界AB、BC、CDが所望の位置からずれることを抑制できる。
【0029】
また、第1実施形態では、1つの金型600を用いて絞り加工していたが、図10に示すように、金型600を複数(本実施形態では5つ)の入れ子型610、620、630、640、650から構成してもよい。この場合、金型端面600aに樹脂製シート500を押し当てた後、押し当てながら、4つの入れ子型620、630、640、650を圧空圧力により、または機械的に図9の矢印方向に移動させる。その後、樹脂製シート500を押し当てながら2つの入れ子型630、640をさらに図9の矢印方向に移動させる。これにより、各入れ子型610〜650の端面600aに樹脂製シート500を密着させたまま、所望の形状に樹脂製シート500を変形させることができるので、灰色インクAと黒色インクBとの境界AB、BC、CDが所望の位置からずれることを抑制できる。また、互いに隣接する入れ子型610〜650の間に隙間を設けて、この隙間を圧空成形時の空気抜きに利用するようにしてもよい。
【0030】
(第3実施形態)第1実施形態では、目盛り部51cを断面テーパ状とし、計器の正面から見て全周にわたって同じ幅で見えるように形成したものを示したが、本実施形態では、図11に示すように、目盛り部51cが中央部51aに対して平行に延び、第1実施形態の隆起部51bに相当する部分51bが断面テーパ状に形成されており、図11(a)に示すように、面テーパ状の部分51bの幅が計器の正面から見て連続的に変化して見えるように形成している。すなわち、図11(b)に示すB−B断面における断面テーパ状の部分51bの長さL1と、図11(c)に示すC−C面における断面テーパ状の部分51bの長さL2とが異なるように形成している。これにより、断面テーパ状の部分51bおよび目盛り部51cの立体感を際立たせることができる。
【0032】
(第4実施形態)
第1実施形態では、中央部51aと目盛り部51cとの間に形成された垂直壁部51gは、中央部51aの表面側に位置しているが、図12に示すように、中央部51aの裏面側に位置するようにしてもよい。これにより、計器板50全体の剛性を高めることができ、中央部51aや隆起部51bを均一な平面に保つ度合を向上させてフラット感を向上できる。
【0033】
(第5実施形態)
本実施形態では、図13に示すように、壁部51eまたは垂直壁部51f、51gの裏面側から表面側に向かって、照明手段700により照明光を導入して中央部51aを照明するようにしている。
【0034】
(他の実施形態)
第1実施形態では、灰色インクAと黒色インクBとは接触しており、この接触部分を灰色インクAと黒色インクBとの境界AB、BC、CDとしていたが、灰色インクAと黒色インクBとの間に着色されていない微少隙間部分を設け、この隙間部分を灰色インクAと黒色インクBとの境界AB、BC、CDとしてもよく、また、灰色インクAと黒色インクBとの間を、灰色インクAまたは黒色インクBの薄い色になるように着色し、この薄い色の部分を灰色インクAと黒色インクBとの境界AB、BC、CDとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す計器の正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の部分拡大正面図である。
【図4】図2の計器板を示す断面図である。
【図5】図4のP部拡大図である。
【図6】図4のQ部拡大図である。
【図7】第1実施形態に係る計器板本体を圧空成形する状態を示す模式図である。
【図8】第1実施形態に係る計器板を成形する金型の断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る計器板本体を圧空成形する状態を示す模式図である。
【図10】第2実施形態に係る計器板を成形する金型の模式図である。
【図11】(a)は、本発明の第3実施形態を示す計器の部分拡大正面図であり、(b)はB−B断面図であり、(c)はC−C断面図である。
【図12】本発明の第4実施形態を示す計器板の部分断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態を示す計器板の部分断面図である。
【符号の説明】
50…計器板、51…文字盤、51a…中央部、51b…隆起部、
51c…目盛り部、51e…壁部、51f、51g…垂直壁部、
500…計器板本体、A、C…灰色インク(第1の着色層)、
B、D…黒色インク(第2の着色層)、
AB、BC、CD…黒色インクと灰色インクとの境界。

Claims (2)

  1. 板形状の表示盤本体(500)と、前記表示盤本体(500)の板面上に、互いに異なる色で隣接して形成された第1および第2の着色層(A、B、C、D)とを備え、
    前記表示盤本体(500)は、前記第1の着色層(A、C)が形成された第1の着色部分(50a、51c)と前記第2の着色層(B、D)が形成された第2の着色部分(51a、51b)とが前記第2の着色部分(51a、51b)に対して略垂直となる壁部(51e、51f、51g)で連結され、前記壁部(51e、51f、51g)上に前記第1の着色層(A、C)と前記第2の着色層(B、D)との境界(AB、BC、CD)が位置するように絞り加工されたものであることを特徴とする表示盤。
  2. 板形状の表示盤本体(500)の板面上に、互いに異なる色の第1および第2の着色層(A、B、C、D)を隣接して形成し、
    その後、前記第1の着色層(A、C)が形成された第1の着色部分(50a、51c)と前記第2の着色層(B、D)が形成された第2の着色部分(51a、51b)とが前記第2の着色部分(51a、51b)に対して略垂直となる壁部(51e、51f、51g)で連結され、前記壁部(51e、51f、51g)上に前記第1の着色層(A、C)と前記第2の着色層(B、D)との境界(AB、BC、CD)が位置するように、前記表示盤本体(500)を絞り加工することを特徴とする表示盤の製造方法。
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