JP3635101B2

JP3635101B2 - 変速機の歯車支持構造

Info

Publication number: JP3635101B2
Application number: JP02241594A
Authority: JP
Inventors: 旭望月
Original assignee: JATCO Ltd
Current assignee: JATCO Ltd
Priority date: 1994-02-21
Filing date: 1994-02-21
Publication date: 2005-04-06
Anticipated expiration: 2020-04-06
Also published as: JPH07229541A; DE19505278B4; DE19505278A1; US5649456A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、遊星歯車装置などの変速ユニットにより変速を行うようにした変速機においてトルク伝達を行う歯車の支持構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、変速機において駆動源からのトルクが入力される第１軸の外側に遊星歯車装置などを有した変速ユニットが設けられ、この変速ユニットで変速を行った後にトルクを伝達する第１軸出力ギヤが第１軸と同軸に設けられた構造のものが知られている。また、このような構造の変速機には、変速ユニットが第１軸のトルク入力側に設けられている一方で、トルク入力側とは反対側に第１軸出力ギヤが設けられた構造のものと、それとは逆に、第１軸のトルク入力側とは反対側に変速ユニットが設けられている一方で、トルク入力側に第１軸出力ギヤが設けられている構造のものとがある。
【０００３】
後者の構造としては、例えば、実開平２−４８６４９号公報に記載のものが知られている。この従来の変速機の歯車支持構造は、図４に示すように、図外のトルクコンバータからトルクが入力される第１軸（インプットシャフト）０１のトルク入力側とは反対側に遊星歯車を有した変速ユニット０２が設けられ、この変速ユニット０２のキャリヤと一体に結合された中空出力軸０３が前記第１軸０１のトルク入力側の外側に設けられ、この中空出力軸０３に第１軸出力ギヤ（カウンタドライブギヤ）０４が結合され、この第１軸出力ギヤ０４は、第２軸０５に結合された第２ギヤ（カウンタギヤ）０６と噛み合っている。そして、前記第１軸出力ギヤ０４は、その後端部を、ボールベアリング０７を介してトランスミッションケースから突出形成された中央支持円筒部０８の大径部内周壁面に軸支されている一方で、その前端部は、ボールベアリング０９を介してオイルポンプのポンプボディ０１０から突出させた支持部０１１に軸支されている。
【０００４】
このような構造では、第１軸出力ギヤ０４がトルク入力側に近付けて配置されるため、エンジン横置き構造に適用した場合、第１軸出力ギヤ０４とディファレンシャルとの距離が近付くことになり、前者の構造に比べて第２軸０５の軸長を短くでき、車両搭載性に優れるものであった。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の変速機の歯車支持構造にあっては、第１軸出力ギヤ０４をその外側から軸支する構造であったために、第１軸出力ギヤ０４と第２ギヤ０６との噛み合いを適正に保つには第１軸出力ギヤ０４の前後２箇所に軸受け０７，０９が必要である。よって、軸受け０７，０９を２箇所に取り付ける分だけ第１軸０１の軸長が長くなるとともに、組付作業工数が多くなるものでこの点の改善が望まれていた。
【０００６】
また、軸受け０７，０９の外側の支持をトランスミッションケースから突出させた中央支持円筒部０８とポンプボディから突出させた支持部０１１とで行う構造であるため、トランスミッションケースならびにポンプボディのいずれもが剛性上不利な構造となるし、しかも、２つの軸受け０７，０９を同心に配置させる必要が生じ、組付作業性ならびに組付精度が悪化するという問題点があった。
【０００７】
本発明は、上述の従来の問題点に着目してなされたもので、第１軸の軸方向寸法の短縮，組付作業性ならびに組付精度の向上を同時に達成することを目的としている。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、トランスミッションケースに形成したボスによる軸受けの支持を内周側から行うようにすることで上述の目的を達成することとした。
【０００９】
すなわち、本発明の変速機の歯車支持構造は、駆動源からトルクが入力される第１軸と、この第１軸に平行に配置されて第１軸からトルクが伝達される第２軸と、前記第１軸上でトルクの入力側に配置された摩擦締結要素と、前記第１軸上でトルクの入力側とは反対側の端部近傍に配置された変速ユニットと、この変速ユニットよりもトルク入力側に配置されて変速ユニットからの出力を第２軸へ伝達する第１軸出力ギヤと、この第１軸出力ギヤを支持する軸受けと、前記第２軸上に配置されて第１軸出力ギヤと噛み合ってトルクを伝達される第２ギヤと、がトランスミッションケースの内部に収納された変速機における前記軸受けによる歯車支持構造であって、前記摩擦締結要素と前記変速ユニットの間に前記トランスミッションケースの壁から突出して縦壁が形成され、該縦壁から前記変速ユニット側に突出し前記第１軸出力ギヤの同心内側に配設されるボスが形成され、このボスの外周に前記軸受けのインナレースが嵌合固定されている一方で、前記軸受けのアウタレースが第１軸出力ギヤの内周に嵌合固定され、前記第１出力ギヤを前記縦壁と前記変速ユニットの間に配置し、前記第１出力ギヤを前記変速ユニットと前記摩擦締結要素の間に配置している構造とした。
請求項２に記載の変速機の歯車支持構造は、前記変速ユニットは遊星歯車装置を有し、該遊星歯車装置に隣接させて前記第１出力ギヤを配置し、前記遊星歯車装置のリングギヤと前記第１出力ギヤを連結している構造とした。
【００１０】
【作用】
第１軸出力ギヤを支持するためにトランスミッションの壁から突出して縦壁が形成され、該縦壁から変速ユニット側に突出して形成したボスを、第１軸出力ギヤと同心に第１軸出力ギヤの内側に配設させて、軸受けにより第１軸出力ギヤを内側から支持する構造としたため、軸受けが第１軸出力ギヤと第２ギヤとの適正な噛み合いを邪魔することがなく、第１軸出力ギヤの前後に軸受けを設ける必要がなくなる。
【００１１】
【実施例】
本発明実施例を図面に基づいて説明する。
【００１２】
図１は、本発明実施例の歯車支持構造を有した自動変速機を示す断面図であって、この変速機は、トランスミッションケース１の内部に、図外のエンジンからトルクコンバータＴＣを介してトルクが入力される第１軸１０と、この第１軸１０上でトルクコンバータＴＣ側とは反対側に配置された遊星歯車装置（変速ユニット）２と、遊星歯車装置２からトルク伝達される第１軸出力ギヤ３と、前記第１軸１０と平行に配置されて一端側に外周に前記第１軸出力ギヤ３と噛み合っている第２ギヤ４を有した第２軸２０と、この第２軸２０の他端側に設けられた第２軸出力ギヤ５と、この第２軸出力ギヤ５からファイナルギヤ６を介してトルク伝達されるディファレンシャルギヤ７とが設けられた構造となっている。なお、図中８は、複数のクラッチを収容したクラッチパックである。
【００１３】
すなわち、図３の概略図に示すように、トルクコンバータＴＣから伝達されるトルクＴが、第１軸１０から遊星歯車装置２に入力されてこの遊星歯車装置２で変速された後、第１軸出力ギヤ３から第２ギヤ４を介して第２軸２０に伝達される構造となっている。
【００１４】
そして、図示のように、第１軸出力ギヤ３は、複列の第１ベアリング（軸受け）１１によってトランスミッションケース１に対して回転自在に支持されているとともに、第２軸２０は、両端に設けられた第２ベアリング１２，１２によりトランスミッションケース１に回転自在に支持されている。なお、各ベアリング１１，１２は、それぞれ、インナレース１１ａ，１２ａならびにアウタレース１１ｂ，１２ｂを有している。
【００１５】
次に、図１の要部拡大図である図２により第１軸出力ギヤ３の支持構造について詳述する。
【００１６】
前記トランスミッションケース１の中間部にはこのトランスミッションケース１と一体に縦壁１ａが軸直交方向に形成されているとともに、前記第１軸１０の外周に第１軸１０と同軸に配置されて前記縦壁１ａと一体にボス１ｂが形成されている。そして、このボス１ｂの外周に、第１ベアリング１１のインナレース１１ａが嵌合固定されている一方で、前記第１ベアリング１１のアウタレース１１ｂが、第１軸出力ギヤ３の内周に嵌合固定されている。なお、前記インナレース１１ａは、ボス１ｂにナット１３を締結させることで固定され、一方、前記アウタレース１１ｂは、スナップリング１４により固定されている。
【００１７】
本実施例では、第１軸出力ギヤ３の支持構造を上述のように、トランスミッションケース１の縦壁１ａから突出して形成したボス１ｂの外側に第１軸出力ギヤ３を配置させて、第１軸出力ギヤ３を内側から１個の第１ベアリング１１で支持するようにしたため、第１軸出力ギヤ３を支持するこの第１ベアリング１１が、第１軸出力ギヤ３と第２ギヤ４との適正な噛み合いを邪魔することがなく両ギヤ３，４と軸方向に重なる位置で支持することができる。したがって、第１軸１０の軸方向寸法を短くすることができ、これにより車両搭載性を向上することができる。しかも、第１軸出力ギヤ３を支持する軸受けがこの１箇所だけに設けた第１ベアリング１１のみで済むことで軸受けの数を削減させることができることから、コストダウンを図ることができるとともに、組付作業が減った分だけ作業性が向上し、さらに、軸受けの心出し作業も１回で済むことから、組付作業性ならびに組付精度を向上させることができるという効果が得られる。
【００１８】
以上、実施例について説明してきたが具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【００１９】
例えば、上記実施例では第１ベアリング１１は複列のものを１個用いたが単列のものを２個並べて設けても良く、要は軸受設置箇所が第１軸出力ギヤ内側とトランスミッションの壁から突出して形成したボス外側との間の１箇所であれば本発明に含まれる。
【００２０】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明の変速機の歯車支持構造にあっては、第１軸出力ギヤを支持するためにトランスミッションの壁から突出して縦壁が形成され、該縦壁から変速ユニット側に突出して形成したボスを、第１軸出力ギヤと同心に第１軸出力ギヤの内側に配設させて、軸受けにより第１軸出力ギヤを内側から支持する構造としたため、軸受けが第１軸出力ギヤと第２ギヤとの適正な噛み合いを邪魔することがなく、第１軸出力ギヤの前後に軸受けを設ける必要がなくなる。したがって、第１軸の軸方向寸法を短縮させることができ、これにより、車両搭載性を向上することができる。しかも、軸受け設置箇所を１箇所だけにできることから、組付作業が減った分だけ作業性が向上し、また、軸受けの心出し作業が１箇所で済むことから、組付作業性ならびに組付精度を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明実施例の歯車支持構造を適用した自動変速機の全体構造を示す断面図である。
【図２】実施例構造の要部を示す拡大断面図である。
【図３】前記自動変速機の駆動伝達構造を示す概略図である。
【図４】従来技術の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
１トランスミッションケース
１ａ縦壁
１ｂボス
２遊星歯車装置（変速ユニット）
３第１軸出力ギヤ
４第２ギヤ
１０第１軸
１１第１ベアリング（軸受）
１１ａインナレース
１１ｂアウタレース

Claims

駆動源からトルクが入力される第１軸と、
この第１軸に平行に配置されて第１軸からトルクが伝達される第２軸と、
前記第１軸上でトルクの入力側に配置された摩擦締結要素と、
前記第１軸上でトルクの入力側とは反対側の端部近傍に配置された変速ユニットと、
この変速ユニットよりもトルク入力側に配置されて変速ユニットからの出力を第２軸へ伝達する第１軸出力ギヤと、
この第１軸出力ギヤを支持する軸受けと、
前記第２軸上に配置されて第１軸出力ギヤと噛み合ってトルクを伝達される第２ギヤと、がトランスミッションケースの内部に収納された変速機における前記軸受けによる歯車支持構造であって、
前記摩擦締結要素と前記変速ユニットの間に、前記トランスミッションケースの壁から突出して縦壁が形成され、該縦壁から前記変速ユニット側に突出し前記第１軸出力ギヤの同心内側に配設されるボスが形成され、
このボスの外周に前記軸受けのインナレースが嵌合固定されている一方で、前記軸受けのアウタレースが第１軸出力ギヤの内周に嵌合固定され、前記第１出力ギヤを前記縦壁と前記変速ユニットの間に配置し、前記第１出力ギヤを前記変速ユニットと前記摩擦締結要素の間に配置していることを特徴とする変速機の歯車支持構造。
請求項１に記載の変速機の歯車支持構造において、
前記変速ユニットは遊星歯車装置を有し、該遊星歯車装置に隣接させて前記第１出力ギヤを配置し、前記遊星歯車装置のリングギヤと前記第１出力ギヤを連結したことを特徴とする変速機の歯車支持構造。