JP3633701B2 - 給紙装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層されたシートからシートを1枚ずつ分離したり、積層されたシートセットの束からシートセットを1セットずつに分離して給送する給紙装置に関し、特に、新聞販売店において一度丁合された新聞広告束を再度給紙して折り込む折込広告丁合機として好適の給紙装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
新聞広告用ちらしの丁合は、複数の種類のちらしを丁合機により丁合したものを1組とし、これらを1組ずつ新聞に組み込むことで実施されている。
【0003】
図6は、新聞広告用丁合機を示す斜視図である。図6に示すように、下板64の上部には2枚の側板65が地面に対して垂直となるように配置されており、側板65の上部には上板67が配置されている。この側板65の間の下側には、紙受けトレイ63が設けられており、紙受けトレイ63は、丁合装置により1組に丁合されて排出されたちらしを受け取る。紙受けトレイ63の上方には、折り紙用給紙装置61が設けられており、更に折り紙用給紙装置の上方には複数の給紙装置60(60a乃至60i)が設けられていると共に、この給紙装置60に向い合うように給紙装置60と同数の給紙装置68が設けられている。用紙を積載するために、折り紙用給紙装置61には、サブフレーム69を介して、給紙トレイ62が設置されている。同様に、給紙装置60(60a乃至60i)及び68には、夫々、給紙トレイ1(1a乃至1i)及び給紙トレイ5aが設置されている。折り紙用給紙装置61、給紙装置60及び給紙装置68には適宜の駆動装置が設けられているため、各トレイ上のシート(ちらし)を、矢印66にて示すように、装置内に送り込むようになっている。
【0004】
このように構成された丁合機において、折り紙用の給紙装置61の給紙トレイ62に折り紙用のちらし束を載置する。また、給紙装置60の各給紙トレイ1にちらし束を載置すると共に、給紙装置68の給紙トレイ5aにちらし束を載置する。次に、各給紙トレイ1上のちらし束からシートを1枚ずつ取り出す。取り出された各シートは、その先端を揃えつつ、矢印66の方向に給送される。各給紙トレイ1からシートが取り出されてからある一定の時間が経過した後に、折り紙用の給紙装置61の給紙トレイ62上のちらし束から、折り紙用シートを1枚ずつ取り出し、矢印66の方向に給送する。折り紙用シートに各シートを挟み込み、更に丁合機内で折りたたまれて、1組のシートセットが出来上がる。このように、丁合機内の各給紙装置が給紙トレイ上のちらし束からシートを1枚ずつ分離し、これらのシートを丁合することで、1組のシートセットが出来上がる。
【0005】
図7はシートセットを示す模式図である。図7に示すように、折り紙81にはシートセットの給送方向66に垂直な方向に折り辺87が形成されており、折り辺87を境界として、最上部の折り片85及び最下部の折り片84が形成されている。種々の大きさのシート82の各先端86が折り辺87に当接するように、折り紙81内に挿入され、シートセットが形成されている。
【0006】
次に、上述の新聞広告用丁合機に使用されている給紙装置について説明する。図9は従来のフリクションフィード方式の給紙装置を示す正面図である(実開平4−88439号公報)。図9に示すように、給紙トレイ1は、その先端部が下方に位置するように傾斜して配置され、支軸7aを軸として限定された範囲を揺動することができるようになっている。この給紙トレイ1の先端部近傍には、捌き装置31が配置されている。この捌き装置31はその上部に給紙板40が給紙トレイ1の延長上に位置するように配設されている。また、捌き装置31の上部には、シート送給方向(矢印方向)における給紙板40の下流側に、捌き板49が配置されている。この捌き装置31の内部には後述する捌き板ユニット45が設置されている。シート送給方向における捌き板49の下流側には、水平方向に延出するガイド板42が配設されており、このガイド板42の一端は給紙板40に接続され、ガイド板42の他端は下方に向けて湾曲成形されている。
【0007】
捌き板49の上方には、給紙ローラ2がその周面を捌き板49に接触するように配設されている。給紙ローラ2は給紙ローラ軸2aに支持されており、給紙ローラ2と給紙ローラ軸2aとの間には1方向クラッチ(図示せず)が介装されている。給紙ローラ2は、このクラッチ及び給紙ローラ軸2aを介して駆動装置(図示せず)により回転駆動されるようになっている。給紙ローラ軸2aは装置側板(図示せず)に支持されており、給紙ローラ軸2aは揺動ブラケット33を支持している。揺動ブラケット33のシート送給方向の上流側には、従動ローラ軸41aが配置されており、従動ローラ41は従動ローラ軸41aに支持されている。給紙ローラ軸2aと従動ローラ軸41aとは、タイミングベルト(図示せず)で架け渡されており、従動ローラ41は給紙ローラ2の回転に伴って従動回転するようになっている。また、従動ローラ41は、シート(ちらし)束を所定の給紙圧で押圧するようになっている。
【0008】
シート給送方向における給紙ローラ2の下流側には、1対の搬送ローラ9a及び9bが上下方向に対向して設けられており、前述のガイド板42が搬送ローラ9a及び9bの位置まで延出している。搬送ローラ9a及び9bの下流側には、センサ11が配設されており、破線で示す位置におけるシートの有無を検出できるようになっている。
【0009】
図10は捌き板ユニット45を示す斜視図である。図10に示すように、捌き板ユニット45は、架台46、第1の揺動板47及び第2の揺動板48等により構成されている。架台46は底板と2枚の側板46bとからなるコの字型の部材であり、底板が捌き装置31に固定されている。架台46の側板46bは軸46aを支持しており、この軸46aにより第1の揺動板47が揺動可能に支持されている。第1の揺動板47もコの字型の部材であり、第1の揺動板47は相互に平行して配置された2枚の側板47dとこの側板に挟まれた板47cとにより構成されている。板47cには、係合用の突起47bが設けられており、この突起47bにスライド板52が係合する。このスライド板52は、図10において矢印Aで示す方向に往復移動可能であり、スライド板52にはこの移動方向に対して傾斜した長穴52aが設けられている。この長穴52aに第1の揺動板47の突起47bが係合している。なお、このスライド板52の往復移動は、リンク機構(図示せず)を介して実施されるようになっている。
【0010】
また、側板47dは軸47aを支持しており、この軸47aにより第2の揺動板48が揺動可能に支持されている。第2の揺動板48には、その上面に捌き板49及び押さえ板50が配置されている。また、この第2の揺動板48の下方のうち、捌き板49の下方には、半球状の支持体51が設けられており、支持体51の下方には、傾斜板53が配設されている。この傾斜板53は図10において矢印Bで示す方向に往復移動可能であり、この移動方向に対して傾斜した傾斜面を有している。従って、捌き板49は、傾斜板53の移動に伴って上下に揺動移動する。この傾斜板53の往復移動は、リンク機構(図示せず)を介して実施されるようになっている。
【0011】
上述のスライド板52及び傾斜板53が往復移動することにより、捌き板49の角度及び捌き板49の給紙ローラ2に対する押圧力(捌き圧)を個別的に調整することができる。
【0012】
次に、このように構成された従来の給紙装置の動作について説明する。先ず、従動ローラ41を給紙トレイ1の上方に退避させ、給紙トレイ1上にシート束を載置する。そうすると、シート束は給紙トレイ1上を摺り落ちて、その先端が捌き板49に当接する。その後、揺動ブラケット33を揺動させて、従動ローラ41をシートに接触させる。
【0013】
次に、給紙ローラ2及び従動ローラ41が回転を開始すると、この給紙ローラ2に従動回転する従動ローラ41は所定の給紙圧でシート束を押圧して給紙ローラ2と共にシート束の最上位のシートを送り出す。このシートは給紙ローラ2と捌き板49との間を通過して搬送ローラ9a及び9b間に移動する。この場合に、下位のシートが最上位のシートに密着して、下位のシートが最上位のシートと共に捌き板49と給紙ローラ2との間に到達すると、給紙ローラ2とシートとの間の摩擦力及びシートと捌き板49との間の摩擦力はいずれもシート同士の摩擦力に比して大きいため、下位のシートには給紙ローラ2の搬送力が伝達されず、この下位のシートは捌き板49の位置で停止する。従って、搬送ローラ9a及び9b側には、シートが1枚ずつ供給される。
【0014】
次に、給紙ローラ2は、1枚に分離されたシートを搬送ローラ9a及び9bに向けて送り出す。そして、搬送ローラ9a及び9bの出口側のセンサ11がシートの先端を検知すると、駆動装置は給紙ローラ2の駆動を停止する。その後、シートは搬送ローラ9a及び9bにより送り出される。このとき、給紙ローラ2には駆動力はかかっていないが、この給紙ローラ2と給紙ローラ軸2aとの間には1方向クラッチが設けられているため、シートは給紙ローラ2と捌き板49との間を抵抗なく移動する。
【0015】
次いで、センサ11がシートの後端を検知すると、給紙ローラ2は回転を再開し、次のシートを給送する。このようにして、シート束からシートが1枚ずつ給送される。
【0016】
上述の丁合機において、丁合機の給紙装置60の数に比して、ちらし(シート)の種類が多い場合は、1回の丁合作業で全ての種類のちらしを丁合して、シートセットとすることができない。この場合は、丁合機の給紙装置60の数より、ちらしの種類が少なくなるように、第1種類のちらしと第2種類のちらしとに分け、作業を2段階に分ける。先ず、第1種類のちらしを各給紙トレイ1及び折り紙用の給紙トレイ62に載置した後、丁合機により丁合して第1シートセットを得る。次に、第2種類のちらしを同様に丁合して第2シートセットを得る。第2シートセットの中に、第1シートセットを組み込んで、最終シートセットを得る。
【0017】
図8は得られた最終シートセットを示す模式図である。図8に示すように、第2シートセット91の上部に第1シートセット92が組み込まれて、最終シートセット93が形成されている。このため、第2シートセット91の折り紙81aが、第2シートセット91の各シート及び第1シートセット92の折り紙81bを覆っており、折り紙81b内に第1シートセット92の各シートが配置されている。
【0018】
このシートセットの組み込みを、手作業で実施する場合は、多大な時間及び労力を必要とする。そこで、この組み込み作業を簡略化するために、給紙装置を使用してシートセットの組み込みを実施する。この場合は、第1シートセット92を給紙装置60aの給紙トレイ1a上に積層して載置する。また、他の給紙装置60b乃至60iの各給紙トレイ1b乃至1iにちらし束を載置すると共に、給紙装置68の給紙トレイ5aにちらし束を載置する。更に、折り紙用給紙装置61の給紙トレイ62に折り紙81aを載置する。但し、このちらし束のシート(ちらし)は、第1シートセット92に含まれるシート(ちらし)とは異なるものとする。給紙トレイ1b乃至1i及び給紙トレイ5aの各ちらし束からシートを1枚ずつ取り出し、また給紙装置60aから第1シートセット92を再給送し、更に折り紙用給紙トレイ62から折り紙81を給送して、この折り紙81aの中に、第1シートセット92及び各シートを組み込み、最終シートセット93とする。この場合に、例えば給紙トレイ1a上に、多数の第1シートセット92が積層されている場合であっても、複数の第1シートセット92が、同時に丁合機内に供給されることがないように、各第1シートセット92を分離しつつ、給送する必要がある。積層されたシートセットから、各シートセットを分離するために、第1及び第2シートセットの夫々についてシートセットの厚さを考慮しつつ、捌き板49の給紙ローラ2に対する捌き圧を調整し、給紙ローラ2と捌き板49との間をシートセットが通過できるようにし、第2シートセット91に第1シートセット92を組み込んで、最終シートセット93を得ている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術方法には、以下に示す問題点がある。即ち、丁合されて得られたシートセットは、サイズ、形状及び厚さ等が異なる種々のちらしを重ね、得られた束を1枚の折り畳まれたシートの中に挟み込んで形成されたものである。このようなシートセットを従来の給紙装置で再給送すると、シートセットが捌き板49と給紙ローラ2との間に到達した場合に、シートセットは捌き板49と給紙ローラ2との間の隙間を通過する際に、分離搬送されやすくなる。
【0020】
図11は、図9に示す給紙装置においてシートセット83が通過する様子を示す模式図である。図11に示すように、シートセット83には捌き板49及び給紙ローラ2に押圧され、若干の押圧力が付与されている。給紙ローラ2とシートセット83上面との間の摩擦力及び捌き板49とシートセット83下面との間の摩擦力は、いずれもシートセット83内のシート82同士の摩擦力に比して大きい。このため、シートセット83の最下部の折りシート片84は捌き板49の位置で停止するため、最上部の折りシート片85が最下部の折りシート片84に対して先行した状態で搬送される。そして、搬送ローラ9a及び9bにより、このシートセット83はくわえ込まれ、折り紙81には折り辺87aが別に1個形成されて、所謂、2重折りが発生するという問題点がある。また、最下部の折りシート片84が捌き板49に止まってしまった場合は、折り紙81の折りシート片85のみが給送され、折り紙が開いてしまい、シートセット83を給送することができないという問題点がある。
【0021】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、積層されたシートセットの束からシートセットを1セットずつ確実に分離して給送することができる給紙装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る給紙装置は、シート又はシート束を折り紙で束ねて1セットとしたシートセットからなる被給送物を給送する方向に回転しその周面にて前記被給送物を給送する給紙ローラと、この給紙ローラの下方に配置され前記給紙ローラの周面との間で前記被給送物を捌く捌き部材と、この捌き部材の前記被給送物の給送方向下流側で前記給紙ローラと共に前記被給送物を挟みつつ前記被給送物を給送する方向に回転する給送ローラと、前記捌き部材と前記給送ローラとに係合し前記捌き部材が上昇下降するのに伴って前記給送ローラを上昇下降させる係合部材とを有することを特徴とする。
【0023】
前記給送ローラの周速度は前記給紙ローラの周速度と同一であることが好ましい。
【0024】
本発明に係る給紙装置は、更に前記捌き部材の捌き面の一部を覆う滑り部材を有し、この滑り部材の上面が前記給送物と接するものであってもよい。
【0025】
前記捌き部材の捌き面と前記給紙ローラとの間の隙間は前記給送ローラと前記給紙ローラとの間の隙間に比して大きくすることができる。また、前記給紙ローラは前記捌き部材及び前記給送ローラに接していてもよい。
【0026】
前記給送ローラを前記給紙ローラの方向に付勢する弾性体を有することが好ましい。
【0028】
この場合に、前記係合部材は、前記捌き部材を支持しカム部が形成された第1支持部材と、前記給送ローラを支持し突起が形成された第2支持部材と、前記第1支持部材に設けられ前記第2支持部材を支持する軸とを有するものとすることができる。
【0029】
前記給紙ローラはその軸方向に複数個に分割されていることが好ましい。
【0030】
前記給紙ローラのシート給送方向上流側には、その軸方向が前記給紙ローラの軸方向と平行である補助給紙ローラが設けられ、この補助給紙ローラはその軸方向に分割されていることが好ましい。
【0031】
本発明に係る給紙装置においては、給紙ローラと捌き部材とにより、シート又はシートセット(以下、シート又はシートセットを被給送物という)を1部ずつに分離し、次に分離された被給送物を給送ローラと給紙ローラとにより挟み込んで給送する。そうすると、被給送物がシートセットであってもシートセットの先端が捌き部材を通過した後、この先端は給送ローラに接し、給紙ローラと給送ローラとにより押圧される。これにより、給紙ローラとシートセット上面とが接触すると共に、給送ローラとシートセット下面とが接触し、給紙ローラ及び給送ローラの回転がシートセットを前進させ、シートセットが搬送される。給送ローラが被給送物が給送方向に給送されるように回転しているため、給紙ローラによりシートセットの上面のみが給送されてシートセットの下面が取り残されることがない。このため、シートセットは一体のまま搬送される。なお、シートセットではなく、シートを搬送する場合は、分離されたシートはシートセットのような構造を有しないので、いうまでもなく、良好に搬送される。
【0032】
給紙ローラの周速度及び給送ローラの周速度は、夫々、シートセットの上面及び下面の状態を考慮して、シートセットが一体的に給送されるように設定すればよい。シートセット下面の状態とシートセットの上面の状態とは、通常、略同一であり、この場合は、給紙ローラの周速度と給送ローラの周速度とは同一に設定すればよい。これにより、シートセット下面とシートセット上面とは、同一速度で搬送され、シートセットの上面又は下面のいずれかの面が先行することなく、シートセットは、一体のまま、搬送される。
【0033】
捌き部材は給紙ローラの周面のように被給送物の給送方向に移動することがないため、捌き部材とシートセット下面との摩擦が大きい場合は、シートセットの下面が捌き部材に取り残され、シートセットを一体のまま給送することが困難となる場合がある。この摩擦を低減するために、捌き部材の捌き面の一部を滑り部材で覆ってもよい。
【0034】
シートセットを送給する場合は、シートセットの厚さを考慮して、捌き部材の捌き面と給紙ローラとの間に隙間を設けると共に、給送ローラと給紙ローラとの間に隙間を設けることができる。この場合は、捌き部材の捌き面と給紙ローラとの間の隙間は給送ローラと給紙ローラとの間の隙間に比して大きくなるように設定することが好ましい。また、給紙ローラと捌き面との間の隙間は、シートセットの厚さと略同一が又は若干大きめに設定することが好ましい。給送ローラと給紙ローラとの間の隙間は、前述のように、捌き面と給紙ローラとの間の隙間に比して小さい。即ち、給送ローラと給紙ローラとの間の隙間は、シートセットの厚さに比して小さいため、給紙ローラと給送ローラとの間のシートセットは給紙ローラ及び給送ローラに押圧されて、搬送圧が付与される。これにより、給紙ローラと捌き面との間をシートセットが通過しやすくなると共に、通過後のシートセットが給紙ローラと給送ローラとによりくわえ込まれやすくなる。
【0035】
被給送物がシートである場合は、シートはシートセットに比して極めて薄く、上述のような隙間は特に必要ではないため、給紙ローラは捌き部材及び給送ローラに接していることが好ましい。
【0036】
弾性体により給送ローラを給紙ローラに付勢した場合は、給送ローラと給紙ローラとの隙間を適切なものに保持することができ、給送ローラと給紙ローラとの間の被給送物に適切な搬送圧をかけることができる。
【0037】
また、捌き部材が上昇下降するのに伴って給送ローラを上昇下降させる係合部材を配置してもよい。通常、折り紙の中に挟み込まれているちらしの種類及び数の相違により、シートセットの厚さは異なる。このシートセットを給送する場合は、シートセットの厚さに応じて、給紙ローラと捌き面との間の隙間及び給紙ローラと給送ローラとの間の隙間を調整することが必要である。特に、上述のように、捌き部材の捌き面と給紙ローラとの間の隙間を給送ローラと給紙ローラとの間の隙間に比して大きくなるように設定する場合は、捌き部材の捌き面と給紙ローラとの間の隙間が小さくなると、これに連動して給紙ローラと給送ローラとの間の隙間が小さくなることが好ましい。このように連動させるために、捌き部材の上昇下降に伴って給送ローラを上昇下降させる係合部材を配置することが好ましい。また、上述のように、シートを給送する場合は、給紙ローラは捌き部材及び給送ローラに接していることが好ましい。この係合部材を配置すると、捌き部材を給紙ローラに接触させた場合に、給送ローラが給紙ローラに接触する。これにより、シートセット用の給紙装置を容易にシート用の給紙装置に変更することができる。また、シート用の給紙装置をシートセット用の給紙装置にすることができる。
【0038】
このような、係合部材として、例えば、以下のようなものを挙げることができる。第1支持部材には軸が設けられており、この軸に第2支持部材が支持されている。前述の弾性体の付勢力により、第1支持部材のカム部には第2支持部材の突起が当接している。第1支持部材を揺動させると、捌き部材が上昇すると共に、第1支持部材のカム部が移動する。弾性体の付勢力により、第2支持部材は軸を中心にしてこの移動に追従し、第2支持部材の突起が第1支持部材のカム部に当接するまで、第2支持部材は移動する。この第2支持部材の移動により、給送ローラが給紙ローラの方向に上昇する。
【0039】
本発明における給紙装置の給紙ローラは、その軸方向に複数個に分割されたものであってもよい。給紙ローラを分割した場合は、シートセット上面に加え、シートセット内のシートに対しても搬送力が付与される。また、給紙ローラのシート給送方向上流側に、給紙ローラの軸と平行となるように、補助給紙ローラを設けてもよい。この場合も、補助給紙ローラを分割し、複数とすることにより、シートセット上面に加え、シートセット内のシートに対しても補助給紙ローラの搬送力が与えられる。このように、給紙ローラ及び/又は補助給紙ローラを分割し、複数とすることにより、シートセットの上面及び下面並びにシートセット内のシートは一体となって搬送され、捌き部材にシートセットが搬送される。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施形態に係る給紙装置を示す正面図であり、図2はその平面図である。図1及び2において、図9及び10と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。図1に示すように、給紙トレイ1は支軸7aに係合しており、給紙トレイ1は支軸7aを軸として限定された範囲を揺動することができるようになっている。この給紙トレイ1の先端部近傍には、ベース8が設けられており、シートセットの給送方向に対してベース8の下流側には、1対の搬送ローラ9a及び9bが上下方向に対向して設けられている。搬送ローラ9a及び9bは、夫々、搬送ローラ軸9d及び9cに支持されている。ベース8の給紙トレイ1側の側部及び上部には、搬送ガイド板6が配設され、この搬送ガイド板6は搬送ローラ9a及び9bまで延出している。搬送ガイド板6には、切り欠き6aが形成されている。切り欠き6a内には、再給送用捌きユニット15が設けられており、再給送捌きユニット15は後述するように捌き板21及び給送ローラ39等より構成されている。また、搬送ローラ9a及び9bのシートセット給送方向の下流側には、センサ11が配設されており、破線で示す位置におけるシートセットの有無を検出できるようになっている。
【0041】
図2に示すように、ベース8は一対の装置側板10に固定されており、ベース8の上方には、給紙ブラケット4が配置されている。給紙ブラケット4のシートセット給送方向の上流側には、シートセットの給送方向に垂直となるように給紙ローラ軸12が配置されている。給紙ブラケット4は、給紙ローラ軸12に揺動可能に支持されている。給紙ローラ軸12の一端には、タイミングプーリ12aが設けられており、タイミングプーリ12aはベルト37を介してタイミングプーリ35bに連結されている。タイミングプーリ35bはタイミングプーリ12aに従動するようになっている。タイミングプーリ35bは、後述するように、ベース8内に設けられている。給紙ローラ軸12の一端は、タイミングプーリ12aの外側で装置側板10に支持されている。
【0042】
給紙ローラ軸12上で給紙ブラケット4とタイミングプーリ12aとの間には、タイミングプーリ12a側に給紙ローラ2aが配置されると共に、給紙ブラケット4側に給紙ローラ2bが配置されている。給紙ローラ軸12上で、給紙ローラ軸12の他端側には、給紙ローラ2cが配置されており、給紙ローラ軸12の他端は軸受72cを介して、装置側板10に支持されている。給紙ローラ軸12には後述する搬送ローラ軸から駆動力が伝達されることにより、各給紙ローラ2(2a,2b,2c)は給紙ローラ軸12を中心軸として回転するようになっている。各給紙ローラ2と給紙ローラ軸12との間には1方向クラッチ(図示せず)が設けられている。
【0043】
給紙ローラ2bのシートセット給送方向の下流側には、給紙ローラ軸12と平行になるように搬送ローラ軸9cが設けられており、搬送ローラ軸9cは装置側板10に支持されている。搬送ローラ軸9cの略中央部には1組の搬送ローラ9aが搬送ローラ軸9cに固定されている。搬送ローラ軸9cの給紙ローラ2a側の一端には、電磁クラッチ(図示せず)を介してギア73bが設けられていると共に、給紙ローラ軸12の給紙ローラ2a側の一端には電磁クラッチ(図示せず)を介してギア73aが設けられている。ギア73aとギア73bとは噛合している。適宜の駆動装置(図示せず)により駆動力がギア73bに伝達されるようになっており、搬送ローラ軸9cの電磁クラッチが励磁されると、搬送ローラ軸9cが回転して搬送ローラ9aが回転するようになっている。また、ギア73bの回転によりギア73aが回転し、この回転により給紙ローラ軸12が回転して給紙ローラ2が回転するようになっている。給紙ローラ2のシートセット給送方向上流側には、給紙ローラ軸12に平行となるように補助給紙ローラ軸13が給紙ブラケット4に回転可能に支持されている。補助給紙ローラ軸12上で、給紙ローラ2(2a、2b、2c)のシートセット給送方向の上流側には、夫々、給紙ローラ2と同形状の補助給紙ローラ3(3a、3b、3c)が配置されている。給紙ローラ軸12と補助給紙ローラ軸13とはタイミングベルト(図示せず)で連結されており、補助給紙ローラ3は給紙ローラ2に従動回転するようになっている。各補助給紙ローラ3と補助給紙ローラ軸13との間には、1方向クラッチ(図示せず)が配置されている。
【0044】
図3は給紙ローラ及びその下方部分を拡大して示す正面図であり、図4は搬送ガイド板6を取り除いた場合のベース8内部を拡大して示す平面図である。図3に示すように、再給送用捌きユニット15は、架台16、揺動板17、滑り板18及びローラ支持板19等により構成されている。架台16の底板16bはベース8に固定されており、底板16bのシートセット給送方向に平行な側面には、底板16bに垂直となるように、2枚の側板16aが取り付けられている。即ち、架台16は底板16bと側板16とからなるコの字上の部材であり、コの字の解放部が上方を向いている。側板16aの上部には軸24が取り付けられている。架台16の上方には滑り板18が配置されている。滑り板18の側部には2枚の側板18aが設けられており、側板18aには貫通孔が設けられている。この貫通孔に前述の軸24が貫通しており、この軸24を支点として滑り板18が揺動するようになっている。滑り板18のすぐ下方には、揺動板17が配置されている。揺動板17には滑り板18に略平行な天板17aが設けられており、この天板17aのシートセット給送方向に平行な側部に、側板17bが天板17aに垂直となるように設けられている。側板17bのシートセット給送方向上流側の先端部には、貫通孔が設けられている。この貫通孔に前述の軸24が貫通しており、この軸24を支点として揺動板17が揺動するようになっている。また、側板17bのシートセット給送方向下流側の先端部には、傾斜カム17cが形成されている。天板17aのシートセット給送方向下流側の端部上面には、捌き台20が配置されており、捌き台20の上面に捌き板21が固定されている。捌き板21の上面のうち、シートセット給送方向上流側の上面は前述の滑り板18の下面に接している。一方、シート給送方向下流側の上面を捌き面21aというとすると、捌き面21aは給紙ローラ2に向かい合っている。滑り板18のシートセット給送方向下流側の先端部が、図9に示す従来の滑り板のものに比して、シートセット給送方向下流側に延出しているため、捌き板21の捌き面21aのシートセット給送方向の面積は、従来の捌き板49の捌き面の面積に比して、約1/3となっている。揺動板17の側板17bには、シートの進行方向下流側の下端部近傍に連結軸27が配置され、軸受28を介して、連結軸27が回転自在に支持されている。また、軸受28によりローラ支持板19が揺動可能に支持されている。
【0045】
ローラ支持板19の底板19aには、シートセット給送方向に平行な側面に2枚の側板19bが設けられており、この側板19bのシートセット給送方向の下流側の端部近傍において、給送ローラ軸29が側板19bに回転自在に支持されており、給送ローラ軸29は連結棒27に平行に配置されている。この給送ローラ軸29に、一方向クラッチ30(図4に示す)を介して、給送ローラ39が支持されている。給送ローラ39は給紙ローラ2bと略同じ幅である。ローラ支持板19の側板19bには、係合用の突起19cが設けられており、この突起19cは、前述の側板17bの傾斜カム17cに係合する。また、揺動板17の天板17aとローラ支持板19の底板19aとの間には、ローラ支持板19を常に図3中の矢印Aにて示す方向に付勢するために、バネ32が架けられている。
【0046】
前述の揺動板17の天板17aの略中央下面には、支持体23が設けられており、支持体23の先端部23aは半球状となっている。支持体23の下方には、傾斜板25が配置されており、傾斜板25はベース8上に載置されている。傾斜板25の傾斜面は、シートセット給送方向に垂直な方向に勾配が設けられており、支持体23の先端部はこの傾斜面に接している。傾斜板25をこの勾配方向、即ち図4中の矢印Bにて示す方向に往復移動させることが可能であり、支持体23は、この傾斜面に接触しているため、傾斜板25の移動に伴って上下に移動する。これにより、揺動板17の捌き板21は、上昇下降する。この傾斜板25の移動は、リンク機構(図示せず)を介して実施されるようになっている。傾斜板25が移動することにより、捌き板21の給紙ローラ2に対する押圧力又は捌き面21aと給紙ローラ2bとの間の隙間Jを調整することができる。これにより、捌き圧を調整することができる。
【0047】
前述のように、揺動板17の傾斜カム17cとローラ支持板19の底板19aとの間にバネ32が架けられており、ローラ支持板19は図3中の矢印A方向に付勢され、このバネ32の付勢力により、揺動板17の傾斜カム17cとローラ支持板19の突起19cとは係合(当接)している。この場合に、図3に示す捌き面21aと給紙ローラ2bとの間の隙間Jが給送ローラ39と給紙ローラ2bとの隙間Kに比して大きくなるように、傾斜カム17cの形状を予め形成しておく。隙間Jは隙間Kに比して大きければ、特に制限されないが、例えば、隙間Jは隙間Kに比して約2倍となるように設定すればよい。
【0048】
なお、捌き圧を調整するために、傾斜板25を移動し、捌き面21aと給紙ローラ2bとの間の隙間Jを調整すると、バネ32の付勢力により突起19cは揺動板17の傾斜カム17cに接触しているため、揺動板17が上昇し、傾斜カム17cが上昇して、突起19cが傾斜カム17cに当接(接触)するまで、バネ32はその付勢力によりローラ支持板19を持ち上げる。これにより、給送ローラ39が上昇する。同様に、揺動板17が下降して傾斜カム17cが下降すると、突起19cは傾斜カム17cに当接(接触)しているため、突起19cは押し下げられる。即ち、捌き板21が上昇下降すると、給送ローラ39がこれに追従して上昇下降する。
【0049】
図4に示すように、給送ローラ39は、一方向クラッチを介して、給送ローラ軸29に回転自在に支持されており、給送ローラ39の給送ローラ軸29の一端には、ギア29aが固定されている。また、給送ローラ軸29のシートセット給送方向上流側には、連結軸27が配置されている。連結軸27にはギア27aが固定されており、ギア27aはギア29aに噛み合っている。更に、連結軸27の一端にはタイミングプーリ27bが固定されている。このタイミングプーリ27bにはベルト36を介してタイミングプーリ35aが連結されている。タイミングプーリ35aは、シートセット給送方向に対して、架台16の軸24と略同位置に配置されており、タイミングプーリ35aは伝達軸35の軸24側の一端に固定されている。軸24と伝達軸35とは略同軸である。伝達軸35は支持板34に回転可能に支持されており、支持板34はベース8に固定されている。伝達軸35の他端には、タイミングプーリ35bが固定されている。図2に示すように、給紙ローラ軸12には、タイミングプーリ12aが固定されており、タイミングプーリ12aとこのタイミングプーリ35bとの間にベルト37が掛け渡されている。このため、給紙ローラ軸12がギア73bを介して適宜の駆動装置(図示せず)により駆動力が付与されて回転すると、タイミングプーリ12a、ベルト37、タイミングプーリ35b、伝達軸35、タイミングプーリ35a、ベルト36、タイミングプーリ27b、連結軸27、ギア27a、ギア29a、給送ローラ軸29及び1方向クラッチ30を介して、駆動力が給送ローラ39に伝達され、給送ローラ39は、図3中の矢印にて示すように、給紙ローラ2と略同一周速度で回転する。
【0050】
なお、前述のように、揺動板17の上面には、シートセットの給送方向に対して捌き台20の上流側に滑り板18が設けられており、この滑り板18は、図4に示すように、幅広であり、その幅は給紙ローラ2の幅よりも大きくなっている。この滑り板18は、前述のように、軸24を中心として揺動可能に支持されている。
【0051】
次に、このように構成された本実施例の給紙装置の動作について説明する。先ず、図1に示す補助給紙ローラ3を給紙トレイ1の上方に退避され、給紙トレイ1上に一度丁合されたシートセットを積層載置する。次に、傾斜板25を移動させ、揺動板を昇降移動させることにより、捌き板21を昇降移動させ、図3に示す隙間Jを調整して、捌き板21の給紙ローラ2に対する捌き圧を調整する。この隙間Jは、シートセットが給紙ローラ2と捌き板21との間を通過できるように、シートセットの厚さと略同一の大きさに設定する。
【0052】
次に、搬送ローラ軸9cの電磁クラッチを励磁して、適宜の駆動装置により、搬送ローラ9a及び9bを回転させると共に、給紙ローラ軸12の電磁クラッチを励磁して、ギア73b及びギア73aを介して、給紙ローラ軸12を回転させて給紙ローラ2を回転させる。また、タイミングベルト(図示せず)を介して、給紙ローラ軸12の回転力を補助給紙ローラ軸13に伝達し、補助給紙ローラ3を従動回転させる。更に、給紙ローラ軸12の駆動力を給紙ローラ軸29に伝達して、給送ローラ39を回転させる。補助給紙ローラ3が回転して慣性力が生じることにより、給紙ブラケット4が揺動し、補助給紙ローラ3は最上位のシートセットに接触する。そうすると、最上位のシートセットに図2に示す3個の給紙ローラ2(2a、2b、2c)及び3個の補助給紙ローラ3(3a、3b、3c)の駆動力が伝達され、シートセットは給紙ローラ2と捌き面21aとの隙間Jに給送される。本実施例においては給紙ローラ2及び補助給紙ローラ3が適当な間隔を設けて、夫々、3個ずつ設けられているため、図7に示す最上部の折りシート片85に加え、この折り紙81に折り込まれたシート82に対しても搬送力が与えられるので、最上部の折りシート片85のみが先行して搬送されることがない。
【0053】
このように、折り紙81とシート82とが一体となったまま、シートセットは給紙ローラ2と捌き面21aとの隙間Jを通過する。この場合に、最下部の折りシート片84と捌き面21aとの間の摩擦抵抗により、ブレーキがかかり、最下部の折りシート片84の搬送力が低下する。このため、最上部の折りシート片85は最下部の折りシート片84に比して先行して搬送されやすくなる。この傾向は、給紙ローラ2と捌き面21aとの隙間から、次段の搬送手段までの距離が長い場合に、顕著となる。また、折り紙81と捌き面21aとの接触時間が長い場合、即ち、捌き板21がシートセット給送方向に対して長い場合に、この傾向が顕著となる。そこで、本実施例においては、図3に示すように、滑り板18のシートセット給送方向下流側先端部を、従来の滑り板に比してシートセット給送方向下流側に延出させたことにより、捌き面21aのシートセット給送方向に対する面積を、従来の捌き板の約1/3にしてある。
【0054】
また、捌き板21のシートセット給送方向下流側に、捌き板21に連続して給送ローラ39を設けたことにより、シートセットのシート先端部86が給紙ローラ2と捌き板21との隙間を通過した場合に、直ぐに給紙ローラ2bと給送ローラ39との隙間にシートセットがくわえ込まれる。この場合に、給紙ローラ2bと給送ローラ39との間には隙間Kが設けられているため、シートセットのシート先端部86は、スムーズに給紙ローラ2bと給送ローラ39との間に挟み込まれる。給送ローラ39はバネ32により付勢されており、また給紙ローラ2bと給送ローラ39との隙間Kは、給紙ローラ2bと捌き面21aとの隙間Jに比して小さく、J>Kとなっており、隙間Kはシートセットの厚さよりも小さくなっている。このため、シートセットにより、給送ローラ39は、連結軸27を中心として、給紙ローラ2と捌き面21aとの間の隙間Jを大きくする方向に揺動する。また、ローラ支持板19はバネ32により、給紙ローラ2の方向に付勢されるため、給送ローラ39は給紙ローラ2の方向に付勢され、給紙ローラ2bと給送ローラ39との間のシートセットは搬送圧を受ける。
【0055】
更に、給紙ローラ軸12から伝達された駆動力により、給送ローラ39は回転しているため、給送ローラ39は給紙ローラ2と同一周速で回転している。最下部の折りシート片84と捌き板21との間には摩擦抵抗があるものの、給送ローラ39及び給紙ローラ2によるシートセットの折り辺に対する搬送力がこの摩擦抵抗を上回る。このため、最下部の折りシート片84は、最上部の折りシート片85と同一速度で、給送ローラ39と給紙ローラ2bとの間を通過することができ、最上部の折りシート片85が最下部の折りシート片84に対して先行して搬送されることがない。これにより、シートセットは、折り紙81に2重折りが発生することが防止されつつ、搬送ローラ9a及び9bに向けて送出される。
【0056】
なお、上位のシートセットに密着して、下位のシートセットが捌き面21aと給紙ローラ2bとの隙間Jに到達した場合、即ち、重送された場合は、隙間Jとシートセットの厚さとは略同一又は若干大きめであるため、2つのシートセットが隙間Jの間を通過することはない。このため、下位のシートセットは捌き板21の位置で停止し、上位のシートセットが搬送ローラ9a及び9bを通過した後に、このシートセットは搬送される。従って、給送ローラ39には、シートセットが1セットずつ供給される。
【0057】
次に、給紙ローラ2及び給送ローラ39は、シートセットを搬送ローラ9a及び9bに向けて送り出す。搬送ローラ9a及び9bの出口側には、センサ11が設けられており、このセンサ11が、シートセットの先端を検知すると、給紙ローラ軸12に設けられた電磁クラッチ(図示せず)及び搬送ローラ軸9cに設けられた電磁クラッチ(図示せず)が、共に消磁される。これにより、給紙ローラ軸12及び搬送ローラ軸9cに、駆動装置の駆動力が伝達されなくなり、給紙ローラ2、給送ローラ39並びに搬送ローラ9a及び9bの回転が停止する。その後、搬送ローラ軸9cに設けられた電磁クラッチ(図示せず)が再び励磁され、シートセットは搬送ローラ9a及び9bにより送り出される。この場合に、給紙ローラ2及び給送ローラ39には駆動力がかかっていないが、給紙ローラ2と給紙ローラ軸12との間及び給送ローラ39と給送ローラ軸29との間には、夫々、1方向クラッチが設けられているため、搬送ローラ9a及び9bの搬送力により、シートセットは隙間J及び隙間K内を抵抗なく移動する。次いで、センサ11がシートセットの後端を検知すると、給紙ローラ2は回転を再開し、次のシートセットを給送する。このようにして、積層されたシートセットから、シートセットが1セットずつ給送される。
【0058】
本実施例における給紙装置においては、給紙ローラ2及び補助給紙ローラ3を、夫々3個ずつ設けたため、シートセット表面の折り紙81に加え、折り紙81内のシートに対しても搬送力が伝達されるので、最上部の折りシート片85のみが先行して搬送されることを防止することができる。
【0059】
また、滑り板18のシートセット給送方向下流側の先端部をシートセット給送方向側に延出させ、捌き板21の捌き面21aの面積を従来の約1/3としたため、捌き板21と最下部の折りシート片84との摩擦が低減されるので、最上部の折りシート片85が先行して搬送されることを防止することができる。
【0060】
捌き板21のシートセットの給送方向下流側に連続して給送ローラ39を設けたことにより、シートセットのシート先端部86が給紙ローラ2と捌き面21aとの隙間Jを通過すると同時に、給紙ローラ2と給送ローラ39との隙間Kにくわえ込ませることができる。
【0061】
給紙ローラ2と給送ローラ39との間の隙間Kが形成されているため、シートセットのシート先端部は、給紙ローラ2と捌き面21aとの隙間Kを通過後、スムーズに給紙ローラ2と給送ローラ39との間に入り込むことができる。この隙間Kは、給紙ローラ2bと捌き面21aとの間の隙間Jに比して小さいため、給紙ローラ2と給送ローラ39との間のシートセットは、バネの付勢力により給送ローラ2から搬送圧を受ける。また、給紙ローラ2及び給送ローラ39にはいずれも給紙ローラ軸12から駆動力が伝達されるので、給紙ローラ2と給送ローラ39とは同一の周速で回転する。これにより、給送ローラ2と捌き面21aとの間のシートセットの摩擦抵抗が解消され、最下部の折りシート片84を最上部の折りシート片85と同一速度で搬送することができる。
【0062】
以上より、最上部の折りシート片85が最下部の折りシート片84に比して、先行して搬送されることがなく、折り紙81及びシート82が一体のまま、搬送ローラ9a及び9bに送出されるので、折り紙81に2重折りが発生することを防止することができると共に、最上部の折りシート85のみが給送されることを防止することができる。
【0063】
本実施例における給紙装置を、例えば、図6に示す丁合装置の給紙装置60aとして丁合装置内に配置し、給紙装置60aに第1シートセットを載置することができる。この場合に、給紙装置60b乃至60iの各給紙トレイ1b乃至1i及び給紙装置68の給紙トレイ5aにちらし束を載置すると共に、折り紙用給紙装置61の給紙トレイ62に折り紙81を載置する。但し、このちらし束のシート(ちらし)は、第1及び第2シートセットに含まれるシート(ちらし)とは異なるものとする。各給紙トレイ1b乃至1i及び5aのちらし束からシートを1枚ずつ取り出し、各シート同士の先端が揃うように各シートを給送し、また折り紙用給紙トレイ62から折り紙を給送し、更に給紙装置60a及び60bから、夫々、第1シートセットを給送して、折り紙の中に第1シートセット及び各シートを組み込んで1組として丁合し、最終シートセットとする。この他にも、本実施例における給紙装置を、図6に示す丁合装置の給紙装置60a及び60bとして丁合装置内に配置し、給紙装置60aに第1シートセットを載置すると共に、給紙装置60bに第2シートセットを載置し、第1シートセットと第2シートセットとを折り紙の中に組み込んで最終シートセットを得ることができる。
【0064】
また、本実施例における給紙装置は通常のシート用給紙装置として使用することができる。図5に示すように、揺動板17を上昇させることにより捌き板21を給紙ローラ2に接触させ、捌き圧を高くすることができる。この場合は、揺動板17の上昇に伴って傾斜カム17cも上昇する。そうすると、バネ32の付勢力により、突起19cが傾斜カム17cに当接するまで、ローラ支持板19が上昇する。この上昇により、ローラ支持板19は給送ローラ軸29を介して給送ローラ39を支持しているため、給送ローラ39が上昇する。最初、給紙ローラ2と捌き面21aとの間には隙間Jが形成されており、また給紙ローラ2と給送ローラ39との間には隙間Kが形成されているが、この上昇により、隙間J及び隙間Kが徐々に小さくなる。隙間Kと隙間Jとの間には、常にJ>Kという関係が存在するため、捌き面21aが給紙ローラ2に接触する前に、給送ローラ39は給紙ローラ2に接触する。更に、揺動板17を上昇させると、捌き面21aは給紙ローラ2bに接触し、図3に示す揺動板17の傾斜カム17cはローラ支持板19の突起19cから離隔する。この場合においても、バネ32の引力により、給送ローラ39は給紙ローラ2bを押圧する。このように、捌き板21と給紙ローラ2とを接触させると共に、給送ローラ39と給紙ローラ2bとを接触させ、捌き板21と給紙ローラ2とによる捌き圧及び給送ローラ39と給紙ローラ2とによる搬送圧を高くした後、給紙を開始する。シートは給紙ローラ2bと捌き板21と通過することによって、1枚のシートに分離される。分離されたシートは給紙ローラ2bと給送ローラ39とのニップ部(接触部)に送給された後、給紙ローラ2bと給送ローラ39とによりくわえ込まれて、搬送ローラ9a及び9bへ送られる。これにより、シート又は2つ折りシート等から形成されたちらし束から、シートが1枚ずつに分離され、1枚のシートを給送することができる。
【0065】
一度丁合されたシートセットを給送する場合は、再び捌き圧を低下させ、揺動板17の傾斜カム17cをローラ支持板19の突起19cに係合させ、揺動板17と給送ローラ39とを連動させる。次に、図3に示すように、揺動板17を下降させ、揺動板17と給紙ローラ2との隙間Jを適切なものに設定すると、揺動板17の下降によって、給送ローラ39も下降するため、給紙ローラ2と給送ローラ39との隙間Kが適切なものとなる。このように隙間J及びKを適切な値に設定し直すことにより、再びシートセットを給送することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、捌き部材の被給送物の給送方向下流側に給紙ローラの周速度と同一の周速度で回転する給送ローラを設けたので、シートセットを一体のまま給送することができる。
【0067】
また、捌き部材が上昇下降するのに伴って給送ローラを上昇下降させる係合部材を配置した場合は、1枚のシート及びシートセットのいずれについても分離給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る給紙装置を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例に係る給紙装置を示す平面図である。
【図3】給紙ローラ及びその下方部分を拡大して示す正面図である。
【図4】搬送ガイド板を取り除いた場合のベース内部を拡大して示す平面図である。
【図5】本発明の実施例に係る給紙装置を示す正面図である。
【図6】新聞広告用丁合機を示す斜視図である。
【図7】シートセットを示す模式図である。
【図8】最終シートセットを示す模式図である。
【図9】従来のフリクションフィード方式の給紙装置を示す正面図である。
【図10】捌きユニットを示す斜視図である。
【図11】シートセットが通過する様子を示す模式図である。
【符号の説明】
1,5a,62;給紙トレイ
2,2a,2b,2c;給紙ローラ
3,3a,3b,3c;補助給紙ローラ
4;給紙ブラケット
6;搬送ガイド板
6a;切り欠き
7a;支軸
8;ベース
9a,9b;搬送ローラ
9c,9d;搬送ローラ軸
10;装置側板
11;センサ
12;給紙ローラ軸
12a;タイミングプーリ
13;補助給紙ローラ軸
14;軸
15;再送給捌きユニット
16,46;架台
16a,17b,18a,19b,65;側板
16b,19a;底板
17;揺動板
17a;天板
17c;傾斜カム
18;滑り板
19;ローラ支持板
19c,47b;突起
20;捌き台
21;捌き板
21a;捌き面
23;支持体
23a;先端部
24,46a,47a;軸
25;傾斜板
27;連結軸
27a,29a,73a,73b;ギア
27b,35a,35b;タイミングプーリ
28,72c;軸受
29;給送ローラ軸
30;一方向クラッチ
31;捌き装置
32;バネ
33;支持板
34;伝達軸
36,37;ベルト
40;給紙板
41;従動ローラ
42;ガイド板
45;捌き板ユニット
47;第1の揺動板
48;第2の揺動板
49;捌き板
50;押さえ板
51;支持体
52;スライド板
52a;長穴
53;傾斜板
60,68;給紙装置
61;折り紙用給紙装置
63;紙受けトレイ
64;下板
66;矢印
67;上板
69;ガイド部材
81,81a,81b;折り紙
82;シート
83;シートセット
84;最下部の折り片
85;最上部の折り片
86;先端
87,87a;折り辺
91;第2シートセット
92;第1シートセット
93;最終シートセット
Claims (5)
- シート又はシート束を折り紙で束ねて1セットとしたシートセットからなる被給送物を給送する方向に回転しその周面にて前記被給送物を給送する給紙ローラと、この給紙ローラの下方に配置され前記給紙ローラの周面との間で前記被給送物を捌く捌き部材と、この捌き部材の前記被給送物の給送方向下流側で前記給紙ローラと共に前記被給送物を挟みつつ前記被給送物を給送する方向に回転する給送ローラと、前記捌き部材と前記給送ローラとに係合し前記捌き部材が上昇下降するのに伴って前記給送ローラを上昇下降させる係合部材とを有することを特徴とする給紙装置。
- 前記給送ローラの周速度は前記給紙ローラの周速度と同一であることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
- 前記捌き部材の捌き面と前記給紙ローラとの間の隙間は前記給送ローラと前記給紙ローラとの間の隙間に比して大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の給紙装置。
- 前記給送ローラを前記給紙ローラの方向に付勢する弾性体を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の給紙装置。
- 前記係合部材は、前記捌き部材を支持しカム部が形成された第1支持部材と、前記給送ローラを支持し突起が形成された第2支持部材と、前記第1支持部材に設けられ前記第2支持部材を支持する軸とを有し、前記突起が前記カム部に当接していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の給紙装置。
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