JP3633473B2 - 無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比を連続的に変化させることの可能な無段変速機構と選択的に変速作用をおこなわせることのできる歯車変速機構とを有する変速機に、駆動機能および/またはエネルギー回生機能を有するモータ・ジェネレータなどの動作装置を併設したハイブリッド駆動機構の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用の変速機に用いられる無段変速機構として、従来、ベルト式のものやトラクション式(トロイダル式)のものなどが知られている。これらの無段変速機構は、変速比を連続的に変化させるために、トルクの伝達を、ベルトやパワーローラなどの伝動部材とプーリーやディスクなどの回転体との間の摩擦力や油膜のせん断力などによっておこなうように構成されている。そのため、伝達できるトルクが制約されたり、また変速比が大きい場合や反対に小さい場合に動力の伝達効率が低下し、さらには実用上設定可能な変速比が制限されるなどの問題がある。
【0003】
そこで従来、無段変速機構を単独で使用して変速機を構成せずに、遊星歯車機構などの歯車機構を併用して変速機を構成することがおこなわれている。その一例が特表平11−504415号公報に記載されている。この公報に記載された変速機の一例を簡単に説明すると、この変速機は、ベルト式の無段変速機構とシングルピニオン型遊星歯車機構とを備え、その遊星歯車機構における二つの回転要素をクラッチによって連結した状態で、無段変速機構を介してその遊星歯車機構にトルクを入力し、かつその遊星歯車機構から所定の出力部材にトルクを出力するいわゆる直結モードと、上記のクラッチを解放するとともに他のクラッチを係合させて遊星歯車機構における所定の回転要素にエンジンから直接トルクを伝達するとともに、無段変速機構を介して他の回転要素にトルクを入力し、遊星歯車機構の差動作用を利用して更に他の回転要素から出力部材にトルクを出力するいわゆる動力循環モードとが可能なように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した無段変速機構と遊星歯車機構とを有する変速機によれば、入力回転数を無段階に変更することができるので、内燃機関を動力源として用いる場合には、その内燃機関の回転数を最も効率の良い回転数に制御できるから、燃費を向上させることができる。また、入力部材から出力部材へのトルクの伝達態様すなわち変速モードを、無段変速機構の変速作用のみで変速をおこなうモードと、無段変速機構および遊星歯車機構との両方の変速作用で変速をおこなうモードとを設定できるので、変速比が大きい場合および変速比が小さい場合のいずれであっても、トルクの伝達効率が良好になり、この点でも燃費を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、このような燃費の向上効果は、内燃機関から出力する場合の効果に限られる。すなわち、車両が有する運動エネルギーは、減速時に熱エネルギーとして放出しているので、その点でのエネルギーの消費が削減されず、燃費の向上効果が不充分になっている。
【0006】
一方、エネルギー回生をおこない、かつその回生したエネルギーを走行のための動力に使用するように構成したハイブリッド車が従来知られている。これは、電動機と発電機とをトルクの伝達経路(パワートレーン)に連結し、あるいは電動機としての機能と発電機としての機能とを兼備したモータ・ジェネレータをトルク伝達経路に連結して構成されている。
【0007】
しかしながら、上述した無段変速機構を有する変速機とハイブリッド駆動機構とを併用した装置は、従来、知られていず、ましてや上述した無段変速機構と歯車変速機構とにより複数の変速モードを設定できるように構成した変速機をハイブリッド駆動機構として構成した装置は知られていない。特に、後者の複数の変速モードを設定できるように構成されている場合には、その変速モードの制御と駆動・回生の制御とを互いに適合させて実行する必要があるが、従来、この種の制御については充分には明らかにされていない。
【0008】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、無段変速機構を有するハイブリッド駆動機構でのトルク伝達態様の設定もしくは変更の制御と駆動・回生の制御とを好適に実行することのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】
この発明は、上記の目的を達成するために、無段変速機構と歯車変速機構とによって複数のトルク伝達態様を選択的に設定できるように構成され、かつその出力部材にモータ・ジェネレータなどの動作装置を連結したハイブリッド駆動機構を対象とし、前記トルク伝達態様を設定するための係合解放機構の制御と動作機構の制御とを協調しておこなうことにより、燃費を向上させるとともに、制御遅れを回避できるように構成したことを特徴とするものである。より具体的には、請求項1の発明は、入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比を連続的に変化させることのできる無段変速機構と、変速作用を選択的におこなわせることのできる歯車変速機構とが、動力源に連結された入力部材とトルクを外部に出力する出力部材との間に配置された無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置において、前記入力部材から前記無段変速機構と歯車変速機構とを介して出力部材に到る複数のトルク伝達態様を、係合・解放状態に応じて設定する係合解放機構と、前記出力部材に連結された駆動機能および/またはエネルギー回生機能を有する動作装置と、前記係合機構の係合・解放の制御と、前記動作装置の駆動もしくはエネルギー回生の制御とをおこなう制御手段と、減速状態からの加速要求を判断する加速判断手段と、その加速要求に応じて設定するべきトルク伝達態様および変速比を走行状態に基づいて判断するモード判断手段とを備え、前記制御手段が、実際の入力回転数が、前記設定するべきトルク伝達態様での前記変速比に応じた入力回転数にほぼ一致した場合に、前記設定するべきトルク伝達態様となるように前記係合解放機構の係合・解放状態を制御する係合制御手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0010】
したがって請求項1の発明では、係合解放機構が適宜に制御されることにより、動力源から入力部材に伝達されたトルクが、無段変速機構を介して出力部材に伝達され、あるいは無段変速機構および歯車変速機構を介して出力部材に伝達され、それぞれのトルクの伝達経路に応じたトルク伝達態様が設定される。また、前記動作装置から出力部材にトルクが伝達されて、その動作装置を動力源として走行し、あるいは出力部材からその動作装置にトルクが伝達されてエネルギーの回生がおこなわれる。そして、その係合解放装置の制御と、動作装置の駆動・回生の制御とが制御手段によっておこなわれる。その場合、これらの制御を関連させて実行できるので、無駄のないエネルギー回生をおこない、またエネルギー回生状態から駆動状態への切り換えと駆動状態でのトルク伝達態様の設定とを遅れなどを生じることなく適正に実行することが可能になる。また、減速状態で加速要求があると、設定するべきトルク伝達態様や変速比が、その加速要求に基づいて判断され、その変速比によって定まる入力回転数に、実際の入力回転数が一致した場合に、その設定するべきトルク伝達態様で係合させる係合解放装置の係合制御が実行される。そのため、加速要求後のトルク伝達態様や変速比の設定をショックなどを生じさせることなく円滑に実行することができる。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1における前記制御手段が、前記動作装置によってエネルギー回生をおこなう減速時に、前記係合解放機構を前記入力部材と出力部材との間でトルクの伝達が生じないように解放状態に制御する解放制御手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0012】
したがって請求項2の発明では、エネルギー回生時には、係合解放機構が解放させられるので、出力部材に外部から伝達されたトルクによって回転させられる部材の数が少なくなる。そのため、外部から出力部材に伝達されたトルクが効率よく動作装置に伝達され、その結果、エネルギーの回生効率が良好になる。
【0013】
さらに、請求項3の発明は、請求項1もしくは2の発明において、前記設定するべきトルク伝達態様で係合させられる係合解放機構を、前記モード判断手段がそのトルク伝達態様を判断したことに基づいて、係合直前の状態に設定するスタンバイ制御手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
【0014】
したがって請求項3の発明では、設定するべきトルク伝達態様が判断されると、そのトルク伝達態様を設定するために係合させられる係合解放機構が、係合直前の状態に設定される。そのため、他の所定の条件が満たされてその係合解放機構が係合させられる場合、既に係合直前の状態になっているので、係合の指示とほぼ同時に、すなわち特に遅れを生じることなく、その係合解放機構が係合して、所期のトルク伝達態様および変速比が設定される。
【0015】
さらにまた、請求項4の発明は、入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比を連続的に変化させることのできる無段変速機構と、変速作用を選択的におこなわせることのできる歯車変速機構とが、動力源に連結された入力部材とトルクを外部に出力する出力部材との間に配置された無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置において、前記入力部材から前記無段変速機構と歯車変速機構とを介して出力部材に到る複数のトルク伝達態様を、係合・解放状態に応じて設定する係合解放機構と、前記出力部材に連結された駆動機能および/またはエネルギー回生機能を有する動作装置と、前記係合機構の係合・解放の制御と、前記動作装置の駆動もしくはエネルギー回生の制御とをおこなう制御手段と、前記動作装置の出力トルクによる走行から前記動力源の出力トルクを含むトルクでの走行に移行することを判断する駆動変更判断手段と、前記動力源の出力トルクを含むトルクでの走行の際に設定するべきトルク伝達態様を走行状態に基づいて判断するモード判断手段とを備え、前記制御手段が、前記設定するべきトルク伝達態様で係合させられる係合解放機構を係合直前の状態に設定するスタンバイ制御手段と、実際の入力回転数が、前記設定するべきトルク伝達態様に応じた入力回転数にほぼ一致した場合に、前記係合直前の状態に設定されている係合解放装置の係合制御を実行する係合制御手段とを含むことを特徴とする制御装置である。
【0016】
したがって請求項4の発明では、係合解放機構が適宜に制御されることにより、それぞれのトルクの伝達経路に応じたトルク伝達態様が設定される。また、前記動作装置から出力部材にトルクが伝達されて、その動作装置を動力源として走行し、あるいは出力部材からその動作装置にトルクが伝達されてエネルギーの回生がおこなわれ、その係合解放装置の制御と、動作装置の駆動・回生の制御とが制御手段によっておこなわれるので、無駄のないエネルギー回生をおこない、またエネルギー回生状態から駆動状態への切り換えと駆動状態でのトルク伝達態様の設定とを遅れなどを生じることなく適正に実行できる。さらに前記動作装置が出力するトルクで走行している状態から走行状態が変化すると、前記動力源の出力トルクを利用して走行することが判断され、またそれと併せてトルク伝達態様を変更することが判断される。その場合、変更後のトルク伝達態様で係合させられる係合解放機構が、先ず、係合直前の状態すなわちスタンバイ状態に制御される。そして、実際の入力回転数が、変更後のトルク伝達態様での回転数に対応する回転数に達すると、スタンバイ状態の係合解放機構を係合させる制御が実行される。その時点では、前記係合解放機構が係合直前の状態になっているので、係合させるための制御に対して遅れを生じることなく係合状態となる。すなわち制御の遅れが回避され、ドライバビリティが良好になる。
【0017】
そして、請求項5の発明は、入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比を連続的に変化させることのできる無段変速機構と、変速作用を選択的におこなわせることのできる歯車変速機構とが、動力源に連結された入力部材とトルクを外部に出力する出力部材との間に配置された無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置において、前記入力部材から前記無段変速機構と歯車変速機構とを介して出力部材に到る複数のトルク伝達態様を、係合・解放状態に応じて設定する係合解放機構と、前記出力部材に連結された駆動機能および/またはエネルギー回生機能を有する動作装置と、前記係合機構の係合・解放の制御と、前記動作装置の駆動もしくはエネルギー回生の制御とをおこなう制御手段とを備え、前記制御手段が、前記動作装置によってエネルギー回生をおこなう減速時に、前記係合解放機構を前記入力部材と出力部材との間でトルクの伝達が生じないように解放状態に制御する解放制御手段を含むとともに、減速状態からの加速を予測する加速予測手段を更に備え、前記制御手段が、前記解放制御手段によって解放状態に設定されている前記係合解放機構を、前記加速予測手段で加速が予測された場合に、係合直前の状態に設定するスタンバイ制御手段を含むことを特徴とする制御装置である。
【0018】
したがって請求項5の発明では、減速状態から加速することが予測された場合、それまで解放状態に設定されていた係合解放機構が、係合直前の状態すなわちスタンバイ状態に制御される。そして、実際に加速要求があってそれに応じたトルク伝達態様を設定するために係合解放機構を係合させる場合、その係合解放機構が既に係合直前の状態になっているので、遅れを生じることなく所定のトルク伝達態様が設定される。
【0019】
またさらに、請求項6の発明は、入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比を連続的に変化させることのできる無段変速機構と、変速作用を選択的におこなわせることのできる歯車変速機構とが、動力源に連結された入力部材とトルクを外部に出力する出力部材との間に配置された無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置において、前記入力部材から前記無段変速機構と歯車変速機構とを介して出力部材に到る複数のトルク伝達態様を、係合・解放状態に応じて設定する係合解放機構と、前記出力部材に連結された駆動機能および/またはエネルギー回生機能を有する動作装置と、前記係合機構の係合・解放の制御と、前記動作装置の駆動もしくはエネルギー回生の制御とをおこなう制御手段とを備え、前記制御手段が、前記動作装置によってエネルギー回生をおこなう減速時に、前記係合解放機構を前記入力部材と出力部材との間でトルクの伝達が生じないように解放状態に制御する解放制御手段を含むとともに、前記解放制御手段が、前記係合解放機構を、係合直前の解放状態に制御するように構成されていることを特徴とする制御装置である。
【0020】
したがって請求項6の発明では、減速時に係合解放機構が解放状態に制御されるが、その解放状態は、係合直前の状態である。そのため、減速状態から加速状態(駆動状態)に切り替わった場合、いずれかのトルク伝達態様を設定するべくいずれかの係合解放機構の係合制御を実行すると、その係合解放機構が直ちに係合し、その結果、制御の遅れを生じることなく所定のトルク伝達態様を設定することができ、ひいてはドライバビリティが向上する。
【0023】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とするハイブリッド駆動機構の一例について説明すると、図6は無段変速機構としてベルト式の無段変速機構(CVT)1を使用し、かつ歯車変速機構としてシングルピニオン型の遊星歯車機構2を使用した例を示している。すなわち、動力源であるエンジン(内燃機関:E/G)3の出力軸と同一軸線上に入力軸(すなわち入力部材)4が配置され、その入力軸4とエンジン3とがダンパー5を介して連結されている。したがってエンジン3の出力軸と入力軸4とは、常時、共に回転するように構成されている。
【0024】
その入力軸4に無段変速機構1における一方の回転体である駆動プーリー6が取り付けられている。この駆動プーリー6は、固定シーブに対して可動シーブを軸線方向に移動させて両者の間隔すなわち溝幅を大小に変化させるように構成されている。なお、その可動シーブは、固定シーブに対してエンジン3とは反対側(すなわち図6での左側)に配置されている。それに伴って可動シーブを軸線方向に前後動させるためのアクチュエータ7が、可動シーブの背面側(図6での左側)に配置されている。
【0025】
また、無段変速機構1における他方の回転体である従動プーリー8が、上記の駆動プーリー6と平行に配置されている。この従動プーリー8は、上記の駆動プーリー6と同様の構成であって、固定シーブと可動シーブとを有し、その可動シーブをアクチュエータ9によって前後動させて溝幅を変更するように構成されている。なお、各プーリー6,8の溝幅は、一方が増大することに伴って他方が減少するように制御され、その際にそれぞれのプーリー6,8の軸線方向での中心位置が変化しないようにするために、従動プーリー8におけるアクチュエータ9は、駆動プーリー6におけるアクチュエータ7とは軸線方向で反対側すなわち図6での右側に配置されている。
【0026】
そして、これらのプーリー6,8に伝動部材であるベルト10が巻掛けられている。したがって、各プーリー6,8の溝幅を互いに反対方向に変化させることにより、これらのプーリー6,8に対するベルト10の巻掛け有効径が変化して入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比が連続的に変化するようになっている。また、従動プーリー8に対してトルクを入出力するために、その従動プーリー8に中間軸11が取り付けられている。
【0027】
つぎに、遊星歯車機構2について説明すると、図6に示す遊星歯車機構2は、外歯歯車であるサンギヤ12と、そのサンギヤ12に対して同心円上に配置された内歯歯車であるリングギヤ13と、これらのサンギヤ12とリングギヤ13とに噛合したピニオンギヤを自転および公転自在に保持したキャリヤ14とを回転要素とするものであって、上記の各プーリー6,8の中心軸線の間、すなわち入力軸4と中間軸11との間に配置されている。
【0028】
その遊星歯車機構2の中心軸線に沿って出力軸15が貫通して配置されている。その出力軸15の一方の端部が、ベルト10側に延びており、その端部と前記リングギヤ13とが、コネクティングドラムなどの適宜の連結部材によって一体的に連結されている。またそのリングギヤ13とサンギヤ12とを選択的に連結する直結クラッチCd が設けられている。すなわちこの直結クラッチCd は、遊星歯車機構2における2つの回転要素を連結して遊星歯車機構2の全体を一体化して回転させるためのものである。
【0029】
前記サンギヤ12を一体化させてある中空軸が出力軸15の外周側に回転自在に嵌合されている。その中空軸の一方の端部が、前記直結クラッチCd とは反対側に延びており、その中空軸の端部にその中空軸と前記中間軸11を連結するギヤ対17A,17Bが設けられている。なお、このギヤ対17A,17Bは、中間軸11から中空軸に向けては減速機構となるように構成されている。
【0030】
また、前記入力軸4の外周に駆動歯車18Aが回転自在に嵌合されており、この駆動歯車18Aと入力軸4とを選択的に連結するクラッチ(以下、仮に、Hi 側クラッチと記す)Ch が設けられている。この駆動歯車18Aに噛合した従動歯車18Bが、前記中空軸の外周側に回転自在に嵌合されている。これらのギヤ対18A,18Bは、駆動歯車18Aから従動歯車18Bに向けて増速機構となるように構成されている。すなわち、駆動歯車18Aが従動歯車18Bより大径に形成されている。より具体的には、前述したギヤ対17A,17Bのギヤ比をαとした場合、この駆動歯車18Aと従動歯車18Bとからなるギヤ対のギヤ比は、(γmin ×α)に設定されている。なお、γmin は無段変速機構1で設定される入出力回転数比の最小値である。したがって、無段変速機構1および第1のギヤ対17A,17Bを介してサンギヤ12にトルクを伝達し、かつ第2のギヤ対18A,18Bを介してキャリヤ14にトルクを伝達した場合には、サンギヤ12とキャリヤ14とが同速度で回転し、遊星歯車機構2の全体が一体となって回転する。これは、前述した直結クラッチCd を係合させている状態と同じである。
【0031】
そして、その従動歯車18Bが遊星歯車機構2におけるキャリヤ14に連結され、またその従動歯車18Bおよびキャリヤ14を選択的に固定する固定手段としてのブレーキ(以下、仮に、リバースブレーキと記す)Br が設けられている。このリバースブレーキBr は、図6に示す例では、摩擦式のブレーキすなわち湿式多板ブレーキが使用されている。なお、このリバースブレーキBr は摩擦式であればよく、したがってバンドブレーキであってもよい。また、駆動歯車18Aを固定することにより、キャリヤ14の回転を止めるように構成してもよい。
【0032】
さらに、前記出力軸15の他方の端部すなわちベルト10とは反対側に延びた端部には、出力ギヤ(すなわち出力部材)21が取り付けられており、この出力ギヤ21が例えばフロントディファレンシャル22のリングギヤ23に噛合し、フロントディファレンシャル22に対してトルクを出力するように構成されている。
【0033】
上記のエンジン3に始動装置が連結されており、これは、従来使用されているスタータモータ24によって構成されている。また、前記無段変速機構1の出力側、すなわち前記出力軸15に、駆動機能および/またはエネルギー回生機能を備えた動作装置が連結されており、これは、一例としてモータ・ジェネレータ(MG)25によって構成されている。なお、この動作装置として、発電機と電動機とを個別に、出力軸15に連結し、もしくは出力ギヤ21に連結してもよい。したがって図6に示すパワートレーンは、エンジン3を第1の動力源とし、モータ・ジェネレータ25を第2の動力源としたハイブリッド駆動機構として構成されている。
【0034】
なお、上記の直結クラッチCd およびHi 側クラッチCh ならびにリバースブレーキBr は、一例として油圧によって動作する構成のものが採用されており、したがって特には図示しないが、これらの係合解放機構を制御する油圧制御装置が設けられている。また、これらの係合解放機構の係合・解放状態を制御するとともに、無段変速機構1で設定する入出力回転数比γを制御し、さらにはエンジン3の始動・停止ならびにモータ・ジェネレータ25による駆動・回生の制御をおこなうための電子制御装置(ECU)26が設けられている。この電子制御装置26は、マイクロコンピュータを主体として構成されたものであって、車速やアクセル開度、油温、変速機の入出力回転数、前記各プーリー6,8の回転数などの検出信号が入力され、それらの入力信号および予め記憶しているデータならびにプログラムに従って、以下に説明する変速モードの切り換えや変速、あるいはエンジン1やモータ・ジェネレータ25の駆動もしくはエネルギー回生などの制御を実行するようになっている。
【0035】
上述した無段変速機構1および遊星歯車機構2を主体とする変速機を含むハイブリッド駆動機構では、複数のトルクの伝達態様を設定することができる。具体的には、無段変速機構1のみの変速作用で変速比を設定する変速モード(仮にダイレクトモードあるいはLモードという)と、無段変速機構1の変速作用と遊星歯車機構2の変速作用との両方で変速比を設定する変速モード(仮に動力循環モードあるいはHモードという)との2つのモードでの変速をおこない、入力軸4から出力軸15もしくは出力ギヤ21にトルクを伝達することができる。これらの変速モードについて、変速作用と併せて説明する。
【0036】
先ず、エンジン3を始動する場合、各クラッチCd ,Ch およびリバースブレーキBr を解放状態(すなわち非結合状態)としておく。エンジン3によって油圧ポンプ(図示せず)を駆動する構造の場合には、特に制御をおこなうことなくこれらの結合手段が解放状態になるが、蓄圧手段を有する場合や他の動力源で油圧ポンプを駆動するように構成されている場合には、これらの結合手段から排圧して解放状態とする。したがって、入力軸4と駆動歯車18Aとが遮断され、かつリバースブレーキBr が解放していることにより、キャリヤ14が反力要素および入力要素のいずれとしても機能せず、さらに直結クラッチCd が解放されて遊星歯車機構2が一体化されていないので、出力軸15にはトルクが現れない。すなわち、変速機をニュートラル状態にしてエンジン3の始動がおこなわれる。
【0037】
ついで前進方向への発進は、変速比を可及的に大きくする必要があるので、無段変速機構1における駆動プーリー6の溝幅を最大にしてベルト10を巻掛ける有効径を最小とし、かつ従動プーリー8の溝幅を最小にしてその有効径を最大にすることにより、その入出力回転数比の値を最も大きく(γmax )する。その状態で、直結クラッチCd を次第に係合させる。すなわち係合油圧を次第に増大させて、解放状態からスリップ状態を経て最終的には完全に係合させる。こうすることにより、そのトルク伝達容量が次第に増大するので、出力軸15に現れるトルクの変化が滑らかになり、車両がスムースに発進する。したがって直結クラッチCd が発進用係合機構となっている。
【0038】
その状態を遊星歯車機構2についての共線図で示せば、図7のとおりである。すなわち直結クラッチCd が係合することにより、遊星歯車機構2の全体が一体となって回転し、したがってエンジン(Eng)3から無段変速機構(CVT)1を介してサンギヤ12にトルクを伝達すると、出力要素であるリングギヤ13およびこれに連結されている出力軸15が入力要素であるサンギヤ12と同速度で同方向に回転するので、この場合の運転状態は直線Aで表される。
【0039】
この状態から無段変速機構1による入出力回転数比を小さくすれば、すなわち駆動プーリー6の溝幅を次第に小さくして有効径を増大させ、同時に従動プーリー8の溝幅を次第に大きくして有効径を減少させれば、遊星歯車機構2に対する入力回転数が相対的に次第に大きくなるとともに、遊星歯車機構2の全体が一体的に回転するので、エンジン3の回転数に対する出力軸15の回転数が、無段変速機構1での入出力回転数比の変化に応じて増大する。言い換えれば、車速の変化がない場合、エンジン回転数が、変速比の減少に応じて低下する。このような動作状態の変化は、図7において前記の直線Aを回転数の増大方向である上側に平行移動させることにより表される。そして、遊星歯車機構2をいわゆる直結状態に設定して無段変速機構1の入出力回転数比を最低値(最も高速側の値:γmin )とした状態は、図7の直線Bで表される。
【0040】
このように、直結クラッチCd を係合させ、かつHi 側クラッチCh を解放した状態がダイレクトモード(Lモード)であって、無段変速機構1の入出力回転数比の変化がそのまま変速機全体の変速比の変化として現れる。
【0041】
入出力回転数比を最小値γmin とした状態では、中間軸11と中空軸との間のギヤ対17A,17Bのギヤ比αに対して、駆動歯車18Aと従動歯車18Bとのギヤ比が(γmin ×α)であるから、駆動歯車18Aの回転数がエンジン3の回転数と一致している。したがっていずれの回転部材においても回転変動を生じさせることなく、Hi 側クラッチCh を係合させ、かつ直結クラッチCd を解放させることができる。このようにしてクラッチのいわゆるつかみ替えをおこない、キャリヤ14をエンジン3の回転数に応じた回転数とするとともに、無段変速機構1によってサンギヤ12の回転数を変化させることにより、いわゆるオーバードライブ状態を設定することができる。
【0042】
その状態を図7に直線Cで示してあり、キャリヤ14の回転数をエンジン3の回転数に応じた回転数に維持した状態で、無段変速機構1の入出力回転数比γを増大させてサンギヤ12の回転数を低下させると、それに従って、出力要素であるリングギヤ13およびこれに連結されている出力軸15の回転数が増大する。すなわち変速機の全体としての変速比が更に小さくなり、車速が変化しないとすれば、エンジン回転数が低下する。これは、動力循環(リサーキュレーション)の状態である。
【0043】
このように、直結クラッチCd を解放させ、かつHi 側クラッチCh を係合した状態が動力循環モード(Hモード)であって、無段変速機構1の入出力回転数比の変化方向とは反対方向に変速機全体の変速比が変化する。より具体的には、無段変速機構1の入出力回転数比を増大させることにより、無段変速機構1の単独で設定できる変速比より小さい変速比が設定される。
【0044】
なお、上述したように、無段変速機構1の入出力回転数比を最も小さい値γmin に設定した状態では、直結クラッチCd を解放しても、変速機の全体が一体回転する。この状態は、ダイレクトモード(Lモード)での最も高速側の状態であり、かつ動力循環モード(Hモード)での最も低速側の状態であり、各変速モードに共通の変速状態である。言い換えれば、入出力回転数比の最小値γmin が、一方の変速モードから他方の変速モードへの移行点(切替点)となっている。なお、この移行点(切替点)は、前述した各ギヤ対17a,17B,18A,18Bの各ギヤ比によって決定される。
【0045】
なお、各クラッチCd ,Ch を非結合状態(解放状態)とし、かつリバースブレーキBr を係合させることにより、後進走行することが可能になる。すなわち、遊星歯車機構2において、リバースブレーキBr を係合させることによりキャリヤ14が固定され、その状態で無段変速機構1を介してサンギヤ12にトルクが入力されるから、リングギヤ13が出力要素となってこれに連結されている出力軸15が、サンギヤ12とは反対方向に回転する。この状態を図7に直線Dで示してある。
【0046】
また、上述したダイレクトモード(Lモード)および動力循環モード(Hモード)ならびに後進状態を設定するための各係合解放機構の係合・解放状態をまとめて示すと、図8のとおりである。この図8において、レンジとは、手動操作によって選択される走行の形態であって、Rは後進走行のためのレンジ、Pは停車状態を維持するためのレンジ、Nはニュートラル状態を設定するためのレンジ、Dは前進走行のためのレンジをそれぞれ示す。さらに、図8において空欄は解放状態を示し、〇印は係合状態を示す。その係合状態での伝達トルク容量は、例えば油圧を電磁弁(図示せず)によって高低に調整することにより、任意に設定できるようになっている。
【0047】
上記の変速機で設定される速度比すなわち入力回転数Ni と出力回転数No との比(No /Ni :すなわち変速比の逆数)と無段変速機構1の入出力回転数比γとの関係を示せば、図9のとおりである。上記の変速機での変速は、アクセルペダルの踏み込み量であるアクセル開度の信号や、設定車速や前方車両との間隔などに基づいて設定するクルーズコントロールシステムからの信号などで表される要求駆動力を満たしつつ、エンジン3の回転数が燃費が最小となる最適運転点での回転数となるように、車速やアクセル開度などの走行状態に基づいて実行される。
【0048】
図9に示す切替点で入出力回転数比γが最小値γmin となり、Hモードではその入出力回転数比γが増大するのに伴って変速比が低下し、すなわちアップシフトされ、また反対にLモードでは入出力回転数比γが増大するのに伴って変速比が増大し、すなわちダウンシフトされる。また、減速時はエネルギーの回生を優先して実行するので、変速制御は特には必要がなく、これに対して減速状態から加速する場合、要求される駆動力を得るように変速比を設定するために、変速モードの選択および変速比の設定とがおこなわれる。すなわちこの発明に係る上記の制御装置は、以下の制御を実行するように構成されている。
【0049】
図1はその制御の一例を示すフローチャートであり、先ず、アクセル開度が全閉か否かが判断される(ステップS1)。これは、アクセルペダルに付設されているセンサー(それぞれ図示せず)の出力信号に基づいて判断することができる。加速する場合にはアクセルペダルが踏み込まれ、また減速する場合にはアクセルペダルが戻されるから、ステップS1では減速状態か否かを判断することになる。
【0050】
ステップS1で肯定的に判断された場合、すなわち減速状態であれば、車速が所定の車速範囲内か否かが判断される(ステップS2)。その車速範囲は、エネルギー回生を実行可能な車速として予め定めた車速であり、したがってこのステップS2で肯定的に判断された場合には、エネルギー回生を実行するために、変速機がニュートラル状態に制御される(ステップS3)。具体的には、その時点で係合していたクラッチCd (もしくはCh )が解放させられる。したがって入力軸4と出力軸15もしくは出力ギヤ21との間のトルク伝達が遮断される。その状態で、エンジン3が停止させられる(ステップS4)。一例として、エンジン3に対する燃料の供給が停止されてエンジン3が停止する。
【0051】
また、これと併せて、エネルギー回生が実行される(ステップS5)。さらにエネルギー回生が実行されていることを示すフラグFが“1”にセットされる(ステップS6)。前述したように、モータ・ジェネレータ25は出力軸15に連結されていて車両の有する走行慣性力によって回転させられるようになっているから、モータ・ジェネレータ25が連結されているインバータ(図示せず)を制御することにより、モータ・ジェネレータ25が発電機として作用し、その起電力がバッテリーなどの蓄電装置(図示せず)に蓄えられる。
【0052】
そして、モータ・ジェネレータ25を強制的に回転させるトルクが制動トルクとなり、いわゆるエンジンブレーキを効かせることができる。その場合、出力軸15とエンジン3との間のトルクの伝達が遮断されているので、エンジン3を連れ回すことがなく、したがって動力の損失を最小限に抑えて効率よくエネルギー回生をおこなうことができる。
【0053】
なお、車速が前記の所定範囲から外れていることによりステップS2で否定的に判断された場合には、エネルギー回生の制御が終了され(ステップS7)、かつフラグFがゼロリセットされる(ステップS8)。
【0054】
一方、アクセル開度が全閉ではないことによりステップS1で否定的に判断された場合、フラグFが“1”になっているか否かが判断される(ステップS9)。このフラグFが“1”になっていることによりステップS9で肯定的に判断されれば、その直前の状態が減速に伴うエネルギー回生状態であったことになるから、その時点の走行状態は、減速状態で加速要求が生じた状態である。したがってこの場合は、エネルギーの回生制御が終了させられる(ステップS10)。
【0055】
そして、変速モードが選択され、かつその変速モードに対応する入力回転数Ninが求められる(ステップS11)。すなわち、その時点の車速やアクセル開度などの走行状態に基づいて変速比が決定されるので、前述した図9から知られるように、変速モードおよび入出力回転数比γが求められる。また、変速比が求められれば、その時点の車速(出力回転数)と変速比とから、対応する入力回転数Ninが計算される。
【0056】
加速要求に伴って設定するべき変速モードが選択されたことに伴い、その変速モードを設定するために係合させられるクラッチCd (もしくはCh )がスタンバイ制御される(ステップS12)。このスタンバイ制御は、係合直前の状態に設定する制御であり、上記のクラッチCd ,Ch が例えば油圧式の多板クラッチである場合、その油圧サーボ機構におけるピストンと摩擦板との間、および摩擦板同士の間の隙間がほぼゼロになる程度まで油圧を高くする制御である。そのクラッチに個体差があったり、経時変化が生じている場合、上記のスタンバイ制御によって僅かながら係合してトルク容量を持つことがあるが、このスタンバイ制御は、加速要求があって初めて実行され、それまではクラッチが完全に解放させられるので、動力損失やクラッチの耐久性の低下などの不都合が抑制もしくは防止される。
【0057】
上記のスタンバイ制御と併せてエンジン3が始動される(ステップS13)。加速要求に応じた動力を得るためであり、前述したスタータモータ24によってエンジン3を強制的に回転させ、同時に燃料を供給することによりエンジン3が始動される。ついで、無段変速機構1の実際の入力回転数Ninすなわちエンジン回転数が、同期回転数にほぼ一致したか否かが判断される(ステップS14)。具体的には、前記のステップS11で計算された対応入力回転数(同期回転数)Ninから所定の値ΔNを減算した回転数以上になったか否かが判断される。なおここで、その所定値ΔNはゼロに近い小さい値であってもよく、あるいはゼロであってもよい。したがってステップS14では実際の入力回転数Ninが同期回転数に一致したことの判断も含む。
【0058】
このステップS14で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくリターンして、従前の制御を継続する。これに対して無段変速機構1の入力回転数Ninが同期回転数にまで上昇したことによりステップS14で肯定的に判断された場合には、スタンバイ状態に制御されているクラッチすなわちステップS11で選択された変速モードを設定するためのクラッチCd (もしくはCh )の係合指令が出力される(ステップS15)。また、エネルギー回生制御が終了させられたことによりフラグFがゼロリセットされる(ステップS16)。
【0059】
そのクラッチは、上述したように係合直前の状態に制御されているので、係合指令が出力されることにより、直ちに係合して所定のトルク容量を持ち始める。したがって制御遅れを生じることなく所定の変速モードおよび変速比が設定され、それに応じた駆動力が得られるので、ドライバビリティが良好になる。
【0060】
なお、既に加速状態となっていて更にアクセルペダルが踏み増しされた場合には、上記のステップS1およびステップS9のそれぞれで否定的に判断される。その場合、車速およびアクセル開度などの走行状態に基づいて変速比あるいは変速モードを設定する通常の制御(非全閉時制御)が実行される(ステップS17)。
【0061】
上記の図1に示す制御では、アクセルペダルが踏み込まれるなどの加速要求があった後にクラッチのスタンバイ制御をおこない、入力回転数Ninが同期回転数にほぼ一致した時点でそのクラッチの係合指示をおこなうように構成されているが、極低車速で走行している状態で加速要求があった場合、加速要求の直後に入力回転数が同期回転数に達してしまい、クラッチのスタンバイ制御を実行する時間的余裕がない場合がある。このような走行状態においては、加速もしくは加速要求を予測し、その予測の結果に基づいてスタンバイ制御をおこなうことが好ましい。図2はその制御例を示している。
【0062】
図2に示す例は、エネルギー回生の制御を実行するのに先立って、変速モードを設定するために係合させられる全てのクラッチについてスタンバイ制御を実行し、その後にいずれかの変速モードが設定された際には、それ以外の変速モードを設定するためのクラッチの解放制御を実行するように構成されている。他の制御は、図1に示す制御と同様であるから、以下の説明では、図1の制御例と異なる部分についてのみ説明する。
【0063】
図2において、車速が所定範囲内にあることによりステップS2で肯定的に判断された場合、ブレーキオンか否かが判断される(ステップS30)。これは、例えばブレーキスイッチ(図示せず)がオン状態となって信号を出力しているか否かによって判断することができる。
【0064】
制動もしくは減速のためのブレーキ操作と、加速のためのアクセル操作とは、通常、同じ足でおこなわれるから、ブレーキオンであれば、直ちに加速操作される可能性が低く、また反対にブレーキオフであれば、直ちにアクセルペダルが踏まれて加速操作される可能性がある。したがってこのステップS30は、減速状態からの加速の可能性を予測している判断ステップとなっている。
【0065】
ブレーキオンであることによりステップS30で肯定的に判断された場合には、直ちに加速要求が生じる可能性が低いので、各クラッチCd ,Ch が解放させられて変速機がニュートラル化される(ステップS3)。これに対してブレーキオフであることによりステップS30で否定的に判断された場合には、各クラッチCd ,Ch のスタンバイ制御が実行される(ステップS31)。すなわちLモードを設定するために係合する直結クラッチCd およびHモードを設定するために係合するHi 側クラッチCh の両方が係合直前の状態に制御される。このようにクラッチCd ,Ch を解放制御もしくはスタンバイ制御した後には、エンジン3が停止させられ(ステップS4)、以降、図1に示す例と同様に制御される。
【0066】
図2に示す制御例では、各クラッチCd ,Ch が加速の予測に基づいてスタンバイ制御されるので、減速状態から加速操作され、それに伴って変速モードが選択され、かつ対応入力回転数Ninが計算された場合(ステップS11)、直ちにエンジン3の始動制御が実行される。また、入力回転数Ninが同期回転数にほぼ一致して、選択された変速モードを達成するようにいずれかのクラッチCd (もしくはCh )の係合指示が出力された場合(ステップS15)、他のクラッチCh (もしくはCd )の解放制御が実行され(ステップS151)、かつフラグFがゼロリセットされる。これは、スタンバイ制御によってクラッチの滑りが生じていると、動力の損失やクラッチの耐久性が低下するおそれがあるので、そのような不都合を回避するためである。
【0067】
したがって図2に示すように構成されていれば、減速状態で加速操作され、それに応じた変速モードおよび変速比を設定する場合、その加速要求が検出された時点では、変速モードを設定するためのクラッチが、既に係合直前のスタンバイ状態に制御されているので、加速要求の直後に入力回転数Ninが同期回転数になったとしても、その変速モードを設定するためのクラッチが直ちに係合して所定のトルク容量を持ち、制御の遅れを生じることなく所期の変速モードおよび変速比を設定することができる。すなわち、加速操作に対して特に遅れを生じることなく加速力を得られるので、ドライバビリティが向上する。
【0068】
上述したクラッチのスタンバイ制御は、変速機が実質的なニュートラル状態に制御されることに伴って実行される制御である。一方、図6に示すハイブリッド駆動機構は、モータ・ジェネレータ25が出力軸15に連結されているので、このモータ・ジェネレータ25のみの出力トルクで走行する場合には、変速機がニュートラル状態に制御される。したがっていわゆるモータ走行からエンジン3によるエンジン走行に切り換える場合にも、ニュートラル状態から所定の変速モードへの切り換えが生じるので、上述したスタンバイ制御をこのような走行形態の変更の際にも実行することができる。図3はその例を示している。
【0069】
この図3は、前述した図1および図2における非全閉時制御の内容に相当するサブルーチンを示しており、前述したステップS9で否定的に判断された場合に実行される。先ず、車両の走行状態がモータ・ジェネレータ25を使用して走行するMG走行域にあるか否かが判断される(ステップS171)。モータ・ジェネレータ25を使用して走行するMG走行域と、エンジン3を使用して走行するE/G走行域およびエネルギー回生をおこなう回生域とは、例えばアクセル開度と車速との二次元マップとして予め定められており、その一例を図示すれば図4のとおりである。したがってステップS171では、その時点のアクセル開度と車速とに基づいて、車両の走行状態がMG走行域に入っているか否かが判断される。
【0070】
このステップS171で肯定的に判断されれば、モータ・ジェネレータ25を駆動し、その出力トルクによって走行することになる。したがってその場合、エンジン3を不必要に連れ回さないようにするために、変速機がニュートラル化される(ステップS172)。具体的には、前述したステップS3での制御と同様に、各クラッチCd ,Ch が解放状態に制御される。
【0071】
ついで、エンジン3の停止制御が実行され(ステップS173)、さらにモータ・ジェネレータ25が駆動されていわゆるMG走行がおこなわれる(ステップS174)。すなわちモータ・ジェネレータ25の出力トルクが出力軸15および出力ギヤ21を介してフロントディファレンシャル22に伝達され、ここから左右の駆動輪(図示せず)にトルクが伝達され、その結果、モータ・ジェネレータ25を動力源として車両が走行する。そして、このように制御がおこなわれていることを示すためにフラグFが“2”にセットされる(ステップS175)。
【0072】
これに対してステップS171で否定的に判断された場合、すなわち車両の走行状態がエンジン3によって走行する状態にある場合、フラグFが“2”にセットされているか否かが判断される(ステップS176)。このステップS176で肯定的に判断された場合、すなわちフラグFが“2”にセットされていれば、直前の状態が変速機をニュートラルとしてモータ・ジェネレータ25によって走行していた状態であったことになる。そこでこの場合は、図1に示すステップS11ないしステップS16の制御と同様の制御が実行される。
【0073】
すなわち車速やアクセル開度などの走行状態に基づいて設定するべき変速モードおよび変速比が選択されるとともに、その変速比に対応した入力回転数(同期回転数)Ninが計算される(ステップS177)。ついで、その設定するべき変速モードで係合させられるクラッチCd (もしくはCh )がスタンバイ制御され(ステップS178)、さらにエンジン3が始動させられる(ステップS179)。その後、入力回転数Ninが同期回転数にほぼ一致したか否かが判断され(ステップS180)、入力回転数が同期した時点で、スタンバイ制御されているクラッチCd (もしくはCh )を係合させる係合指令が出力され(ステップS181)、さらにフラグFがゼロリセットされる(ステップS182)。
【0074】
なお、ステップS176で否定的に判断された場合、すなわちフラグFが“2”にセットされていなければ、エンジン3を使用した走行を継続することになるので、非全閉・非MG走行制御が実行される(ステップS183)。
【0075】
したがってモータ・ジェネレータ25を使用して走行している状態で、例えばアクセルペダルが踏み込まれてエンジン3を使用する走行に移行する場合、変速機を所定の変速モードに設定するためのクラッチが、先ず、係合直前の状態にスタンバイ制御され、その後、入力回転数がその所定の変速モードでの回転数に同期した時点で係合指示されるので、その変速モードを設定するためのクラッチが係合指示とほぼ同時にトルク容量を持ち始め、その係合に遅れが生じない。そのため加速要求に対して特に遅れを生じることなく、その加速要求に応じた駆動力を得ることができるので、ドライバビリティが向上する。
【0076】
ここで、減速状態でアクセルペダルを踏み込むなどの加速操作がおこなわれた場合のアクセル開度、入力回転数Ninおよび出力回転数No 、モータ・ジェネレータ25の動作状態、各クラッチCd ,Ch の油圧、出力トルクTo の各変化を示せば、図5のタイムチャートのとおりである。
【0077】
図5において、前記直結クラッチCd を係合させたLモードで走行している状態での所定のt1 時点にアクセルペダルが戻されると、入力回転数Ninおよび出力軸トルクTo が低下し、アクセル開度が全閉になったt2 時点では、入力回転数Ninがゼロになり、また出力軸トルクTo が負トルクとなる。そして、エネルギー回生をおこなうために、直結クラッチCd が解放制御され、すなわちその油圧が低下させられ、同時にモータ・ジェネレータ25にこれを強制的に回転させる回生トルクが作用する。これが制動トルクとなるので、エンジンブレーキを効かせることができる。
【0078】
この間に車速が僅かずつ低下するので、出力回転数No が僅かずつ低下する。そして、t3 時点にアクセルペダルが踏み込まれてアクセル開度が増大し始めると、モータ・ジェネレータ25に電力が供給されてこれが電動機として機能し、その結果、出力軸トルクTo が次第に増大する。一方、加速要求があったことによってエンジン3が始動されるので、入力回転数Ninが増大し始める。その後のt4 時点にアクセル開度が所定の開度に達し、モータ・ジェネレータ25の出力トルクがそのアクセル開度に応じたトルクになる。すなわちエネルギー回生が終了し、モータ・ジェネレータ25が力行状態になる。したがって加速要求に応じて出力軸トルクが増大するので、加速応答性あるいはドライバビリティが良好になる。これと同時に、Hモードを設定するためのHi 側クラッチCh を係合直前の状態にするスタンバイ制御が開始され、その直後のt5 時点にエンジン3に着火されてその回転数が増大し始め、またHi 側クラッチCh をスタンバイ状態に維持する油圧に達し、その油圧が維持される。
【0079】
こうしている間にエンジン回転数すなわち入力回転数Ninが次第に増大し、入力回転数Ninが同期回転数にほぼ一致したことが検出されたt6 時点に、Hi 側クラッチCh の係合指示が出力される。その直後のt7 時点に入力回転数Ninが同期回転数に一致するとともに、Hi 側クラッチCh が完全に係合する。そして、それ以降は、エンジン3が動力源として使用されるので、モータ・ジェネレータ25の出力トルクがゼロに制御される。
【0080】
ここで上述した各具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、上記の各クラッチCd ,Ch がこの発明の係合解放機構に相当し、またモータ・ジェネレータ25がこの発明の動作装置に相当する。また図1および図2に示すステップS3、ステップS5、ステップS15、ステップS31、図3に示すステップS178、ステップS181の機能的手段が請求項1における制御手段に相当する。さらに請求項2に関して、ステップS3の機能的手段が解放制御手段に相当し、ステップS1およびステップS9の機能的手段が加速判断手段に相当する。さらにまた請求項3に関し、ステップS11の機能的手段がモード判断手段に相当し、ステップS15の機能的手段が係合制御手段に相当する。そして、請求項4に関し、ステップS12の機能的手段がスタンバイ制御手段に相当する。またさらに請求項5に関し、図3に示すステップS171の機能的手段が駆動変更判断手段に相当し、ステップS177の機能的手段がモード判断手段に相当し、ステップS178の機能的手段がスタンバイ制御手段に相当し、ステップS181の機能的手段が係合制御手段に相当する。そしてさらに請求項6に関し、ステップS30の機能的手段が加速予測手段に相当し、ステップS31の機能的手段がスタンバイ制御手段に相当する。そして、請求項7に関し、ステップS31の機能的手段が解放制御手段に相当する。
【0081】
なお、この発明は上述した各具体例に限定されない。例えば、モータ・ジェネレータで後進走行するように構成することもでき、その場合は、前述したリバースブレーキBr を設けなくてもよい。また、モータ・ジェネレータは、要は、出力軸との間でトルクを伝達できるようになっていればよいのであって、出力軸に直接連結されていなくてもよい。さらに、この発明では、動作装置でのエネルギー回生をおこなっている状態から加速要求に応じて設定する駆動状態は、その動作装置を動力源とする駆動状態であってもよく、必ずしも内燃機関を使用した駆動状態に限られない。
【0082】
そしてまた、加速の予測は、ブレーキのオン・オフ状態によらずに、他のデータもしくは情報に基づいて判断することとしてもよい。さらにまた、この発明で対象とするハイブリッド駆動機構は、上述した直結モードと動力循環モードとの二種類のトルク伝達態様を設定可能な機構に限られないのであって、動力循環を生じさせることなく歯車変速機構を介してトルクの一部を出力部材に伝達するトルク伝達態様を設定できる機構など、他の所定のトルク伝達態様を設定可能な機構を対象とすることができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、トルク伝達態様を設定するための係合解放機構の制御と、出力部材に連結されている動作装置による駆動・回生の制御とが、制御手段によって互いに関連させて実行されるので、無駄のないエネルギー回生をおこない、またエネルギー回生状態から駆動状態への切り換えと駆動状態でのトルク伝達態様の設定とを遅れなどを生じることなく適正に実行することが可能になる。また、減速状態で加速要求があると、設定するべきトルク伝達態様や変速比が、その加速要求に基づいて判断され、その変速比によって定まる入力回転数に、実際の入力回転数が一致した場合に、その設定するべきトルク伝達態様で係合させる係合解放装置の係合制御が実行されるため、加速要求後のトルク伝達態様や変速比の設定をショックなどを生じさせることなく円滑に実行することができる。
【0084】
また、請求項2の発明によれば、エネルギー回生時には、係合解放機構が解放させられるので、出力部材に外部から伝達されたトルクによって回転させられる部材の数が少なくなり、そのため、外部から出力部材に伝達されたトルクが効率よく動作装置に伝達されてエネルギーの回生効率を向上させることができる。
【0085】
さらに、請求項3の発明によれば、設定するべきトルク伝達態様が判断されると、そのトルク伝達態様を設定するために係合させられる係合解放機構が、係合直前の状態に設定され、そのため、他の所定の条件が満たされてその係合解放機構が係合させられる場合、既に係合直前の状態になっているので、係合の指示とほぼ同時に、すなわち特に遅れを生じることなく、その係合解放機構を係合させて所期のトルク伝達態様および変速比を設定することができる。
【0086】
さらにまた、請求項4の発明によれば、動作装置が出力するトルクで走行している状態から動力源の出力トルクを利用して走行する状態に変更させ、またそれと併せてトルク伝達態様を変更する場合、実際の入力回転数が、変更後のトルク伝達態様での回転数に対応する回転数に達して所定の係合解放機構を係合させる時点では、その係合解放機構が係合直前の状態に制御されているので、直ちに係合し、したがって制御の遅れが回避され、ドライバビリティが良好になる。
【0087】
そして、請求項5の発明によれば、減速状態から加速することが予測された場合、それまで解放状態に設定されていた係合解放機構が、係合直前の状態すなわちスタンバイ状態に制御されるので、実際に加速要求があってそれに応じたトルク伝達態様を設定するために係合解放機構を係合させる場合、遅れを生じることなく所定のトルク伝達態様を設定することができる。
【0088】
そしてまた、請求項6の発明によれば、減速時に係合解放機構が解放状態に制御されるが、その解放状態は、係合直前の状態であるため、減速状態から加速状態(駆動状態)に切り替わった場合、いずれかのトルク伝達態様を設定するべくいずれかの係合解放機構の係合制御を実行すると、その係合解放機構が直ちに係合し、その結果、制御の遅れを生じることなく所定のトルク伝達態様を設定することができ、ひいてはドライバビリティが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る制御装置による制御の一例を示すフローチャートである。
【図2】この発明に係る制御装置による制御の他の例を示すフローチャートである。
【図3】その非全閉時制御のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】エンジン走行域とモータ・ジェネレータ走行域とを定めているマップの一例を模式的に示す図である。
【図5】図1の制御を実行した場合のアクセル開度、入力回転数および出力回転数、モータ・ジェネレータの動作状態、各クラッチの油圧、出力トルクの各変化を示すタイムチャートである。
【図6】この発明で対象とするハイブリッド駆動機構の一例を模式的に示すスケルトン図である。
【図7】そのハイブリッド駆動機構に含まれる変速機の変速動作を説明するための共線図である。
【図8】その各クラッチおよびブレーキの係合・解放状態をまとめて示す図表である。
【図9】その変速機の入力回転数と出力回転数との速度比と無段変速機構の入出力回転数比との関係を示す線図である。
【符号の説明】
1…無段変速機構、 2…遊星歯車機構、 3…エンジン、 4…入力軸、
15…出力軸、 Cd …直結クラッチ、 Ch …Hi 側クラッチ、 21…出力ギヤ、 25…モータ・ジェネレータ、 26…電子制御装置。
Claims (6)
- 入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比を連続的に変化させることのできる無段変速機構と、変速作用を選択的におこなわせることのできる歯車変速機構とが、動力源に連結された入力部材とトルクを外部に出力する出力部材との間に配置された無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置において、
前記入力部材から前記無段変速機構と歯車変速機構とを介して出力部材に到る複数のトルク伝達態様を、係合・解放状態に応じて設定する係合解放機構と、
前記出力部材に連結された駆動機能および/またはエネルギー回生機能を有する動作装置と、
前記係合機構の係合・解放の制御と、前記動作装置の駆動もしくはエネルギー回生の制御とをおこなう制御手段と、
減速状態からの加速要求を判断する加速判断手段と、
その加速要求に応じて設定するべきトルク伝達態様および変速比を走行状態に基づいて判断するモード判断手段とを備え、
前記制御手段が、実際の入力回転数が、前記設定するべきトルク伝達態様での前記変速比に応じた入力回転数にほぼ一致した場合に、前記設定するべきトルク伝達態様となるように前記係合解放機構の係合・解放状態を制御する係合制御手段を含むことを特徴とする無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置。 - 前記制御手段が、前記動作装置によってエネルギー回生をおこなう減速時に、前記係合解放機構を前記入力部材と出力部材との間でトルクの伝達が生じないように解放状態に制御する解放制御手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置。
- 前記設定するべきトルク伝達態様で係合させられる係合解放機構を、前記モード判断手段がそのトルク伝達態様を判断したことに基づいて、係合直前の状態に設定するスタンバイ制御手段を更に備えていることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置。
- 入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比を連続的に変化させることのできる無段変速機構と、変速作用を選択的におこなわせることのできる歯車変速機構とが、動力源に連結された入力部材とトルクを外部に出力する出力部材との間に配置された無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置において、
前記入力部材から前記無段変速機構と歯車変速機構とを介して出力部材に到る複数のトルク伝達態様を、係合・解放状態に応じて設定する係合解放機構と、
前記出力部材に連結された駆動機能および/またはエネルギー回生機能を有する動作装置と、
前記係合機構の係合・解放の制御と、前記動作装置の駆動もしくはエネルギー回生の制御とをおこなう制御手段と、
前記動作装置の出力トルクによる走行から前記動力源の出力トルクを含むトルクでの走行に移行することを判断する駆動変更判断手段と、
前記動力源の出力トルクを含むトルクでの走行の際に設定するべきトルク伝達態様を走行状態に基づいて判断するモード判断手段とを備え、
前記制御手段が、前記設定するべきトルク伝達態様で係合させられる係合解放機構を係合直前の状態に設定するスタンバイ制御手段と、実際の入力回転数が、前記設定するべきトルク伝達態様に応じた入力回転数にほぼ一致した場合に、前記係合直前の状態に設定されている係合解放装置の係合制御を実行する係合制御手段とを含むことを特徴とする無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置。 - 入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比を連続的に変化させることのできる無段変速機構と、変速作用を選択的におこなわせることのできる歯車変速機構とが、動力源に連結された入力部材とトルクを外部に出力する出力部材との間に配置された無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置において、
前記入力部材から前記無段変速機構と歯車変速機構とを介して出力部材に到る複数のト ルク伝達態様を、係合・解放状態に応じて設定する係合解放機構と、
前記出力部材に連結された駆動機能および/またはエネルギー回生機能を有する動作装置と、
前記係合機構の係合・解放の制御と、前記動作装置の駆動もしくはエネルギー回生の制御とをおこなう制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記動作装置によってエネルギー回生をおこなう減速時に、前記係合解放機構を前記入力部材と出力部材との間でトルクの伝達が生じないように解放状態に制御する解放制御手段を含むとともに、
減速状態からの加速を予測する加速予測手段を更に備え、
前記制御手段が、前記解放制御手段によって解放状態に設定されている前記係合解放機構を、前記加速予測手段で加速が予測された場合に、係合直前の状態に設定するスタンバイ制御手段を含むことを特徴とする無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置。 - 入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比を連続的に変化させることのできる無段変速機構と、変速作用を選択的におこなわせることのできる歯車変速機構とが、動力源に連結された入力部材とトルクを外部に出力する出力部材との間に配置された無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置において、
前記入力部材から前記無段変速機構と歯車変速機構とを介して出力部材に到る複数のトルク伝達態様を、係合・解放状態に応じて設定する係合解放機構と、
前記出力部材に連結された駆動機能および/またはエネルギー回生機能を有する動作装置と、
前記係合機構の係合・解放の制御と、前記動作装置の駆動もしくはエネルギー回生の制御とをおこなう制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記動作装置によってエネルギー回生をおこなう減速時に、前記係合解放機構を前記入力部材と出力部材との間でトルクの伝達が生じないように解放状態に制御する解放制御手段を含むとともに、
前記解放制御手段が、前記係合解放機構を、係合直前の解放状態に制御するように構成されていることを特徴とする無段変速機構付きハイブリッド駆動機構の制御装置。
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