JP2002213593A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

無段変速機の制御装置

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JP2002213593A JP2001012292A JP2001012292A JP2002213593A JP 2002213593 A JP2002213593 A JP 2002213593A JP 2001012292 A JP2001012292 A JP 2001012292A JP 2001012292 A JP2001012292 A JP 2001012292A JP 2002213593 A JP2002213593 A JP 2002213593A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の状況に応じて変速モードもしくはその
切り換えを禁止あるいは許可することにより動力性能や
ドライバビリティあるいは乗り心地などを良好にする制
御装置を提供する。 【解決手段】 無段変速機構と歯車変速機構とを含み、
かつ入出力回転数比が増大することに伴って変速比が増
大する第一の変速モードと入出力回転数比が増大するこ
とに伴って変速比が低下する第二の変速モードとを選択
的に設定できる無段変速機の制御装置であって、所定の
変速比を設定することを制限することが要求される変速
比制限条件の成立を判断する変速比制限条件成立判断手
段(ステップS1〜S6)と、その変速比制限条件が成
立した場合に、変速モードのうち制限するべき変速比が
含まれる変速モードの設定を禁止する変速モード禁止手
段(ステップS7)とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、変速比を連続的
に変化させることのできる無段変速機の制御装置に関
し、特に変速比と変速モードとを変更できるように構成
された無段変速機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用の変速機に用いられる無段変速機
構として、従来、ベルト式のものやトラクション式(ト
ロイダル式)のものなどが知られている。これらの無段
変速機構は、変速比を連続的に変化させるために、トル
クの伝達を、ベルトやパワーローラなどの伝動部材とプ
ーリーやディスクなどの回転体との間の摩擦力や油膜の
せん断力などによっておこなうように構成されている。
そのため、伝達できるトルクが制約されたり、また変速
比が大きい場合や反対に小さい場合に動力の伝達効率が
低下し、さらには実用上設定可能な変速比が制限される
などの問題がある。
【0003】そこで従来、無段変速機構を単独で使用し
て変速機を構成せずに、遊星歯車機構などの歯車機構を
併用して変速機を構成することがおこなわれている。そ
の一例が特表平11−504415号公報に記載されて
いる。この公報に記載された変速機の一例を簡単に説明
すると、無段変速機構の駆動プーリーがエンジンに連結
されるとともに、従動プーリーが遊星歯車機構のサンギ
ヤに連結されている。そのサンギヤと同心円上に配置さ
れているリングギヤが出力軸に連結され、さらにサンギ
ヤとリングギヤとに噛合しているピニオンギヤを保持し
たキャリヤが、歯車機構およびクラッチを介して入力軸
に連結されている。また、その遊星歯車機構の全体を一
体化して回転させるために遊星歯車機構における所定の
二つの回転要素を選択的に連結するいわゆる一体化クラ
ッチが設けられている。
【0004】したがって遊星歯車機構の全体を一体化し
た場合には、エンジンの出力トルクが無段変速機構を介
して遊星歯車機構および出力軸に伝達され、その結果、
無段変速機構で設定した変速比が、変速機の全体として
の変速比になる。これに対して、無段変速機構の出力ト
ルクをサンギヤに伝達する一方、入力軸から前記歯車機
構を介してキャリヤにトルクを伝達すると、無段変速機
構で設定される変速比が大きくなるのに従ってサンギヤ
の回転数がキャリヤの回転数より小さくなるので、出力
回転数であるリングギヤの回転数がキャリヤの回転数よ
り増大する。
【0005】このように、上記の公報に記載された変速
機では、無段変速機構における変速比が増大することに
応じて変速機の全体としての変速比が増大する変速の形
態(変速モード)と、無段変速機構における変速比が増
大することに応じて変速機の全体としての変速比が低下
する変速の形態(変速モード)とを設定することができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】変速比を連続的に変化
させることのできる無段変速機の利点は、内燃機関を動
力源とする車両の変速機として使用した場合に、内燃機
関の回転数を任意に設定して燃費の向上を図ることがで
きる点にある。しかしながら、変速機を搭載した車両に
対する要求は、燃費が良いことだけではないのであっ
て、動力性能やドライバビリティあるいは乗り心地など
が良好であることも要求される。そのため、無段変速機
で設定する変速比は、燃費以外の要請から設定する場合
もあり、そのような制御は、例えば高車速側の変速比
(小さい変速比)を禁止することにより実行することが
ある。
【0007】上記の公報に記載された従来の無段変速機
においてこのような変速比の制限制御を実行する場合、
変速比を実質的に変更するのは無段変速機構による入出
力回転数比であるから、無段変速機構における入出力回
転数比を制限することになる。しかしながら、上記の無
段変速機構と遊星歯車機構とを含む変速機では、二種類
の変速モードが可能であることにより、特定の入出力回
転数比に対して二つの変速比が可能である。そのため、
制限する変速比によっては、制限されたことによる変速
比の限界値が、一方の変速モードに僅かに入っていて、
設定可能な変速比が制限されているにもかかわらず、走
行中に変速比の変更と変速モードの切り換えとを繰り返
しおこなわなければならない事態が生じ、その結果、変
速制御が複雑になったり、あるいは変速比が制限されて
通常とは異なる駆動状態となることに加えて、変速に伴
うショックが悪化するなどの可能性があった。
【0008】この発明は、上記の技術的課題に着目して
なされたものであり、変速モードの変更可能な無段変速
機における変速の制限を、動力性能やドライバビリティ
などを損なうことなく実行することのできる制御装置を
提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】この発明
は、上記の目的を達成するために、所定の条件の成立に
応じて、変速比の制限に替えて特定の変速モードを禁止
し、また変速モードの変更を伴って変速比がステップ的
に変化する変速を禁止するように構成したことを特徴と
するものである。より具体的には、請求項1の発明は、
入力回転数と出力回転数との比率である入出力回転数比
を連続的に変化させることのできる無段変速機構と歯車
変速機構とを含み、かつ前記入出力回転数比が増大する
ことに伴って変速比が増大する第一の変速モードと前記
入出力回転数比が増大することに伴って変速比が低下す
る第二の変速モードとを選択的に設定できる無段変速機
の制御装置において、所定の変速比を設定することを制
限することが要求される変速比制限条件の成立を判断す
る変速比制限条件成立判断手段と、その変速比制限条件
が成立したことが前記変速比制限条件成立判断手段によ
って判断された場合に、前記変速モードのうち制限する
べき変速比が含まれる変速モードの設定を禁止する変速
モード禁止手段とを備えていることを特徴とする制御装
置である。
【0010】したがって請求項1の発明では、無段変速
機構の入出力回転数比が増大することによって変速比が
増大する第一の変速モードと、その入出力回転数比が増
大することによって変速比が低下する第二の変速モード
とが選択的に設定される。その変速比は、基本的には、
例えば無段変速機が搭載されている車両の出力要求量や
車速などの走行状態に基づいて決定される。また、その
変速比は、所定の変速比制限条件が成立することにより
制限される。その場合、制限された変速比を設定するい
ずれかの変速モード自体が禁止される。その結果、上記
のように変速比が制限される状況では、いずれかの変速
モード内での変速比の変更制御よりも複雑な制御である
変速モードの切り換え制御が発生しないので、動力性能
やドライバビリティの悪化を防止することができる。
【0011】また、請求項2の発明は、入力回転数と出
力回転数との比率である入出力回転数比を連続的に変化
させることのできる無段変速機構と歯車変速機構とを含
み、かつ前記入出力回転数比が増大することに伴って変
速比が増大する第一の変速モードと前記入出力回転数比
が増大することに伴って変速比が低下する第二の変速モ
ードとを選択的に設定できる無段変速機の制御装置にお
いて、前記各変速モードに共通する変速比もしくは該変
速比に近似する変速比を経由する緩衝変速制御を介する
ことなく一方の変速モードで設定される変速比から他方
の変速モードで設定される変速比に変速する飛び変速を
制限する飛び変速制限条件の成立を判断する飛び変速制
限条件成立判断手段と、前記飛び変速制限条件成立判断
手段による判断結果に応じて前記飛び変速を許可もしく
は禁止する許可・禁止手段とを備えていることを特徴と
する制御装置である。
【0012】したがって請求項2の発明では、第一の変
速モードと第二の変速モードとが可能であるから、変速
モードを切り換えると変速比がステップ的に変化する。
このような変速の仕方が飛び変速である。これに対して
各変速モードに共通する変速比が存在し、その共通する
変速比が設定されている状態で変速モードを切り換えて
も変速比が変化しない。この共通する変速比もしくはこ
れに近似する変速比を経由させて実行する変速制御が緩
衝変速制御である。請求項2の発明では、上記の飛び変
速を制限する条件が成立しているか否かが判断される。
そして、その条件が成立している場合には、飛び変速が
禁止されて緩衝変速制御を介した変速が実行され、また
反対に前記条件が成立していない場合には、飛び変速が
許可される。その結果、変速比をステップ的に変化させ
る変速制御が抑制され、ドライバビリティなどの悪化が
防止もしくは抑制される。また、許可された場合には、
動力性能が要求に応じたものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を具体例に基づい
て説明する。先ず、この発明で対象とする車両における
駆動系統(パワートレーン)の一例について図2を参照
して説明する。ここに示す例では、内燃機関(エンジ
ン)1の出力側に連結された変速機2が、ベルト式の無
段変速機構3と歯車変速機構としてのシングルピニオン
型遊星歯車機構4とを主体として構成されている。ここ
で、エンジン1は、要は、燃料を燃焼して動力を出力す
る動力装置であって、ガソリンエンジンやディーゼルエ
ンジン、天然ガスエンジンなどを採用することができ、
またモータあるいはモータ・ジェネレータと併用された
ものであってもよい。また、このエンジン1は、スロッ
トル開度などの負荷を電気的に制御できるように構成さ
れており、その一例として電子スロットルバルブを備え
たエンジン1が使用されている。
【0014】そのエンジン1の出力軸と同一軸線上に入
力軸(すなわち入力部材)5が配置され、その入力軸5
とエンジン1とがダンパー6を介して連結されている。
すなわちエンジン1の出力軸と入力軸5とは、常時、共
に回転するように構成されている。
【0015】その入力軸5に無段変速機構3における一
方の回転体である駆動プーリー7が取り付けられてい
る。この駆動プーリー7は、固定シーブに対して可動シ
ーブを軸線方向に移動させて両者の間隔すなわち溝幅を
大小に変化させるように構成されている。なお、その可
動シーブは、固定シーブに対してエンジン1とは反対側
(すなわち図2での左側)に配置されている。それに伴
って可動シーブを軸線方向に前後動させるためのアクチ
ュエータ8が、可動シーブの背面側(図2での左側)に
配置されている。
【0016】また、無段変速機構3における他方の回転
体である従動プーリー9が、上記の駆動プーリー7と平
行に配置されている。この従動プーリー9は、上記の駆
動プーリー7と同様の構成であって、固定シーブと可動
シーブとを有し、その可動シーブをアクチュエータ10
によって前後動させて溝幅を変更するように構成されて
いる。なお、各プーリー7,9の溝幅は、一方が増大す
ることに伴って他方が減少するように制御され、その際
にそれぞれのプーリー7,9の軸線方向での中心位置が
変化しないようにするために、従動プーリー9における
アクチュエータ10は、駆動プーリー7におけるアクチ
ュエータ8とは軸線方向で反対側すなわち図2での右側
に配置されている。
【0017】そして、これらのプーリー7,9に伝動部
材であるベルト11が巻掛けられている。したがって、
各プーリー7,9の溝幅を互いに反対方向に変化させる
ことにより、これらのプーリー7,9に対するベルト1
1の巻掛け有効径が変化して入力回転数と出力回転数と
の比率である入出力回転数比γが連続的に変化するよう
になっている。また、従動プーリー9に対してトルクを
入出力するために、その従動プーリー9に中間軸12が
取り付けられている。
【0018】つぎに、遊星歯車機構4について説明する
と、図2に示す遊星歯車機構4は、外歯歯車であるサン
ギヤ13と、そのサンギヤ13に対して同心円上に配置
された内歯歯車であるリングギヤ14と、これらのサン
ギヤ13とリングギヤ14とに噛合したピニオンギヤを
自転および公転自在に保持したキャリヤ15とを回転要
素とするものであって、上記の各プーリー7,9の中心
軸線の間、すなわち入力軸5と中間軸12との間に配置
されている。
【0019】その遊星歯車機構4の中心軸線に沿って出
力軸16が貫通して配置されている。その出力軸16の
一方の端部が、ベルト11側に延びており、その端部と
前記リングギヤ14とが、コネクティングドラムなどの
適宜の連結部材によって一体的に連結されている。また
そのリングギヤ14とサンギヤ13とを選択的に連結す
る直結クラッチCd が設けられている。すなわちこの直
結クラッチCd は、遊星歯車機構4における2つの回転
要素を連結して遊星歯車機構4の全体を一体化して回転
させるためのものである。
【0020】前記サンギヤ13を一体化させてある中空
軸が出力軸16の外周側に回転自在に嵌合されている。
その中空軸の一方の端部が、前記直結クラッチCd とは
反対側に延びており、その中空軸の端部にその中空軸と
前記中間軸12を連結するギヤ対17A,17Bが設け
られている。なお、このギヤ対17A,17Bは、中間
軸12から中空軸に向けては減速機構となるように構成
されている。
【0021】また、前記入力軸5の外周に駆動歯車18
Aが回転自在に嵌合されており、この駆動歯車18Aと
入力軸5とを選択的に連結するクラッチCh が設けられ
ている。この駆動歯車18Aに噛合した従動歯車18B
が、前記中空軸の外周側に回転自在に嵌合されている。
これらのギヤ対18A,18Bは、駆動歯車18Aから
従動歯車18Bに向けて増速機構となるように構成され
ている。すなわち、駆動歯車18Aが従動歯車18Bよ
り大径に形成されている。より具体的には、前述したギ
ヤ対17A,17Bのギヤ比をαとした場合、この駆動
歯車18Aと従動歯車18Bとからなるギヤ対のギヤ比
は、(γmin ×α)に設定されている。なお、γmin は
無段変速機構3で設定される入出力回転数比γの最小値
である。
【0022】したがって、無段変速機構3および第1の
ギヤ対17A,17Bを介してサンギヤ13にトルクを
伝達し、かつ第2のギヤ対18A,18Bを介してキャ
リヤ15にトルクを伝達した場合には、サンギヤ13と
キャリヤ15とが同速度で回転し、遊星歯車機構4の全
体が一体となって回転する。これは、前述した直結クラ
ッチCd を係合させている状態と同じである。
【0023】そして、その従動歯車18Bが遊星歯車機
構4におけるキャリヤ15に連結され、またその従動歯
車18Bおよびキャリヤ15を選択的に固定する固定手
段としてのブレーキBr が設けられている。このブレー
キBr は、図2に示す例では、摩擦式のブレーキすなわ
ち湿式多板ブレーキが使用されている。なお、このブレ
ーキBr は摩擦式であればよく、したがってバンドブレ
ーキであってもよい。また、このブレーキBr は、要
は、キャリヤ15の回転を選択的に止めることができれ
ばよいので、クラッチCh もしくは駆動ギヤ18Aを固
定するように、入力軸5と同一軸線上に配置してもよ
い。
【0024】さらに、前記出力軸16の他方の端部すな
わちベルト11とは反対側に延びた端部には、出力ギヤ
(すなわち出力部材)19が取り付けられており、この
出力ギヤ19が例えばフロントディファレンシャル20
のリングギヤ21に噛合し、フロントディファレンシャ
ル20に対してトルクを出力するように構成されてい
る。
【0025】なお、上記の直結クラッチCd およびクラ
ッチCh ならびにブレーキBr は、一例として油圧によ
って動作する構成のものが採用されており、したがって
特には図示しないが、これらの係合解放機構を制御する
油圧制御装置が設けられている。また、これらの係合解
放機構の係合・解放状態を制御するとともに、無段変速
機構3で設定する入出力回転数比γを制御するための電
子制御装置(T−ECU)22が設けられている。この
電子制御装置22は、マイクロコンピュータを主体とし
て構成されたものであって、制御データとして各種の検
出信号が入力され、それらの入力信号および予め記憶し
ているデータならびにプログラムに従って、以下に説明
する変速モードの切り換えや変速制御を実行するように
なっている。
【0026】ここで、電子制御装置22に入力されてい
る制御データの例を挙げると、図3に示すように、エン
ジン水温(E/G水温)、キックダウンスイッチ(KD
SW)の信号、シフトレバー(図示せず)によって選
択した変速レンジを示す信号(レバー信号)、マニュア
ル操作で変速比もしくは変速段を選択もしくは制限する
スイッチからの信号(例えばステアマチック信号)、車
速、無段変速機構3の油温(CVT油温)、その他の信
号が電子制御装置22に入力されている。なお、キック
ダウンスイッチとは、図示しないアクセルペダルを最大
限近くまで踏み込んだ場合にオン動作させられるスイッ
チであって、このキックダウンスイッチがオン動作する
ことによる出力信号によって、要求出力量の大きいこと
を判断することができる。
【0027】また、変速レンジとは、後進段を設定する
リバース(R)レンジ、出力軸トルクを発生させないパ
ーキング(P)レンジおよびニュートラル(N)レン
ジ、前進走行するためのドライブ(D)レンジ、エンジ
ンブレーキを効かせるブレーキ(B)レンジである。さ
らに、前記その他の信号には、アクセル開度、スロット
ル開度、変速機2の入出力回転数、前記各プーリー7,
9の回転数などの検出信号が含まれる。さらに、後述す
るエンジン電子制御装置からエンジントルク制御の可否
信号が入力される。
【0028】また、動力源の出力すなわち上記のエンジ
ン1の負荷を電気的に制御するための電子制御装置(E
−ECU)23が設けられている。このエンジン用の電
子制御装置23は、上記の変速機用電子制御装置22と
同様にマイクロコンピュータを主体として構成されたも
のであって、この電子制御装置23は、例えば、アクセ
ル開度などで表される出力要求量と車速などの走行状態
とを含む制御データに基づいて目標トルクを求め、出力
トルクがその目標トルクとなるようにエンジン1の負荷
を設定する制御である。そして、上記の各電子制御装置
22,23は相互にデータ通信可能に接続されている。
【0029】上述した無段変速機構3および遊星歯車機
構4を有する変速機2では、無段変速機構3のみの変速
作用で変速比を設定する変速モード、すなわち無段変速
機構3における入出力回転数比γの増大・減少に応じて
変速機2の変速比が増大・減少する変速モード(仮にダ
イレクトモードあるいはLモードという)と、無段変速
機構3の変速作用と遊星歯車機構4の変速作用との両方
で変速比を設定する変速モード、すなわち無段変速機構
3における入出力回転数比γが増大・減少すると、それ
とは反対に変速機2の変速比が変化する変速モード(仮
に動力循環モードあるいはHモードという)との2つの
変速モードでの変速をおこなうことができる。これらの
変速モードについて、上記の変速機2の変速作用と併せ
て説明する。
【0030】先ず、エンジン1を始動する場合、各クラ
ッチCd ,Ch およびブレーキBrを解放状態(すなわ
ち非係合状態)としておく。エンジン1によって油圧ポ
ンプ(図示せず)を駆動する構造の場合には、特に制御
をおこなうことなくこれらの係合手段が解放状態になる
が、蓄圧手段を有する場合や他の動力源で油圧ポンプを
駆動するように構成されている場合には、これらの係合
手段から排圧して解放状態とする。したがって、入力軸
5と駆動歯車18Aとが遮断され、かつブレーキBr が
解放していることにより、キャリヤ15が反力要素およ
び入力要素のいずれとしても機能せず、さらに直結クラ
ッチCd が解放されて遊星歯車機構4が一体化されてい
ないので、出力軸16にはトルクが現れない。すなわ
ち、変速機をニュートラル状態にしてエンジン1の始動
がおこなわれる。
【0031】ついで前進方向への発進は、変速比を可及
的に大きくする必要があるので、無段変速機構3におけ
る駆動プーリー7の溝幅を最大にしてベルト11を巻掛
ける有効径を最小とし、かつ従動プーリー9の溝幅を最
小にしてその有効径を最大にすることにより、その入出
力回転数比γの値を最も大きく(γmax )する。その状
態で、直結クラッチCd を次第に係合させる。すなわち
係合油圧を次第に増大させて、解放状態からスリップ状
態を経て最終的には完全に係合させる。こうすることに
より、そのトルク伝達容量が次第に増大するので、出力
軸16に現れるトルクの変化が滑らかになり、車両がス
ムースに発進する。
【0032】その状態を遊星歯車機構4についての共線
図で示せば、図4のとおりである。すなわち直結クラッ
チCd が係合することにより、遊星歯車機構4の全体が
一体となって回転し、したがってエンジン(Eng)1
から無段変速機構(CVT)3を介してサンギヤ13に
トルクを伝達すると、出力要素であるリングギヤ14お
よびこれに連結されている出力軸16が入力要素である
サンギヤ13と同速度で同方向に回転する。したがって
この場合の運転状態は直線Aで表される。
【0033】この状態から無段変速機構3による入出力
回転数比γを小さくすれば、すなわち駆動プーリー7の
溝幅を次第に小さくして有効径を増大させ、それに伴っ
て従動プーリー9の溝幅を次第に大きくして有効径を減
少させれば、遊星歯車機構4に対する入力回転数が相対
的に次第に大きくなるとともに、遊星歯車機構4の全体
が一体的に回転するので、エンジン1の回転数に対する
出力軸Cd の回転数が、無段変速機構3での入出力回転
数比γの変化に応じて増大する。言い換えれば、車速の
変化がない場合、エンジン回転数が、変速比の減少に応
じて低下する。このような動作状態の変化は、図4にお
いて前記の直線Aを回転数の増大方向である上側に平行
移動させることにより表される。そして、遊星歯車機構
4をいわゆる直結状態に設定して無段変速機構3の入出
力回転数比γを最小値(最も高速側の値:γmin )とし
た状態は、図4の直線Bで表される。
【0034】このように、直結クラッチCd を係合さ
せ、かつクラッチCh を解放した状態がダイレクトモー
ド(Lモード)であって、無段変速機構3の入出力回転
数比γの変化がそのまま変速機2の全体としての変速比
の変化として現れる。
【0035】入出力回転数比γを最小値γmin とした状
態では、中間軸12と中空軸との間のギヤ対17A,1
7Bのギヤ比αに対して、駆動歯車18Aと従動歯車1
8Bとのギヤ比が(γmin ×α)であるから、駆動歯車
18Aの回転数がエンジン1の回転数と一致している。
したがっていずれの回転部材においても回転変動を生じ
させることなく、また出力軸トルクを変化させることな
く、クラッチCh を係合させ、かつ直結クラッチCd を
解放させることができる。この最小の入出力回転数比γ
min によって設定される変速比が、各変速モードに共通
する変速比であり、その変速比が設定されている状態で
変速モードを切り換えても変速比が変化しないので、出
力軸トルクが変化することはない。
【0036】このようにしてクラッチのいわゆるつかみ
替えをおこない、キャリヤ15をエンジン1の回転数に
応じた回転数とするとともに、無段変速機構3によって
サンギヤ13の回転数を変化させることにより、いわゆ
るオーバードライブ状態を設定することができる。ここ
でオーバードライブ状態とは、無段変速機構3の単独で
設定できる変速比より小さい変速比が設定される状態で
ある。
【0037】その状態を図4に直線Cで示してあり、キ
ャリヤ15の回転数をエンジン1の回転数に応じた回転
数に維持した状態で、無段変速機構3の入出力回転数比
γを増大させてサンギヤ13の回転数を低下させると、
それに従って、出力要素であるリングギヤ14およびこ
れに連結されている出力軸16の回転数が増大する。す
なわち変速機の全体としての変速比が更に小さくなり、
車速が変化しないとすれば、エンジン回転数が低下す
る。これは、動力循環(リサーキュレーション)の状態
である。
【0038】このように、直結クラッチCd を解放さ
せ、かつクラッチCh を係合した状態が動力循環モード
(Hモード)であって、無段変速機構3の入出力回転数
比γの変化方向とは反対方向に変速機2の全体としての
変速比が変化する。より具体的には、無段変速機構3の
入出力回転数比γを増大させることにより、無段変速機
構3の単独で設定できる変速比より小さい変速比が設定
される。
【0039】なお、上述したように、無段変速機構3の
入出力回転数比γを最も小さい値γmin に設定した状態
では、直結クラッチCd を解放しても、変速機2の全体
が一体回転する。この状態は、ダイレクトモード(Lモ
ード)での最も高速側の状態であり、かつ動力循環モー
ド(Hモード)での最も低速側の状態であり、各変速モ
ードに共通の変速状態である。言い換えれば、入出力回
転数比の最小値γminが、一方の変速モードから他方の
変速モードへの移行点(切替点)となっている。なお、
この移行点(切替点)は、前述した各ギヤ対17A,1
7B,18A,18Bの各ギヤ比によって決定される。
【0040】また、各クラッチCd ,Ch を非係合状態
(解放状態)とし、かつブレーキBr を係合させること
により、後進走行することが可能になる。すなわち、遊
星歯車機構4において、ブレーキBr を係合させること
によりキャリヤ15が固定され、その状態で無段変速機
構3を介してサンギヤ13にトルクが入力されるから、
リングギヤ14が出力要素となってこれに連結されてい
る出力軸16が、サンギヤ13とは反対方向に回転す
る。この状態を図4に直線Dで示してある。
【0041】上述したダイレクトモード(Lモード)お
よび動力循環モード(Hモード)ならびに後進状態を設
定するための各係合解放機構の係合・解放状態をまとめ
て示すと、図5のとおりである。この図5において、レ
ンジとは、手動操作によって選択される走行の形態であ
って、Rは後進走行のためのレンジ、Pは停車状態を維
持するためのレンジ、Nはニュートラル状態を設定する
ためのレンジ、Dは前進走行のためのレンジ、Bはエン
ジンブレーキを効かせるレンジをそれぞれ示す。さら
に、図5において空欄は解放状態を示し、〇印は係合状
態を示す。その係合状態での伝達トルク容量は、例えば
油圧を電磁弁(図示せず)によって高低に調整すること
により、任意に設定できるようになっている。
【0042】上記の変速機2で設定される速度比すなわ
ち入力回転数Ni と出力回転数Noとの比(No /Ni
:すなわち変速比の逆数)と無段変速機構3の入出力
回転数比γとの関係を示せば、図6のとおりである。上
記の変速機2での変速は、アクセルペダルの踏み込み量
であるアクセル開度の信号や、設定車速や前方車両との
間隔などに基づいて設定するクルーズコントロールシス
テムからの信号などで現される出力要求量を満たしつ
つ、エンジン1の回転数が燃費が最小となる最適運転点
での回転数となるように、車速やアクセル開度などの走
行状態に基づいて実行される。
【0043】その変速の形態としては、図6にG1 線で
示すように各変速モードの中での変速、G2 線で示すよ
うに切替点を越える変速、変更の前後での前記入出力回
転数比の値が最小値γmin に近似する変速、図6にG3
線で示すように切替点を越える変速、変更の前後のいず
れかで入出力回転数比γの値が最小値γmin に近似した
値となる変速、図6にG4 線で示すように切替点を越え
る変速であって変更の前後の入出力回転数比の値が共に
その最小値γmin から大きく外れる変速がある。
【0044】これらの変速の形態のうち、G1 線で示す
形態の変速は、変速モードの切り換えを伴わない変速す
なわちクラッチCd ,Ch の係合・解放状態の切り換え
を伴わない変速であり、無段変速機構3の入出力回転数
比γのみを変更することによって実行される。したがっ
て変速比は連続的に変化し、変速比がステップ的に変化
する余地はない。これに対して他の変速の形態において
現在の変速比から目標とする変速比に直接変更するとす
れば、クラッチCd ,Ch の係合・解放状態を切り換え
て変速モードを切り換える変速となり、変速比がステッ
プ的に変化し、この発明における飛び変速となる。
【0045】上述した変速モードの切り換え可能な変速
機2における飛び変速は、各クラッチCd ,Ch の係合
・解放状態を同時に変更することにより実行するが、そ
の場合、両方のクラッチCd ,Ch が過渡的に共に解放
した状態になると、パワーオン時にはエンジン回転数が
上昇するいわゆる吹き上りが生じ、減速時にはエンジン
ブレーキが効かなくなる。また反対に両方のクラッチC
d ,Ch が共に係合すると、いわゆるロック状態となっ
てショックが発生する。このような事態を未然に回避す
るためには、各クラッチCd ,Ch の係合および解放の
タイミングを正確に制御する必要があり、そのため困難
な制御が要求される。
【0046】一方、前述した切替点では、変速モードの
切り換えすなわち各クラッチCd ,Ch の係合・解放状
態を切り換えても出力軸トルクが変化しないので、ショ
ックやエンジン1の吹き上がりを生じることなく変速モ
ードを切り換えることができる。したがって変速モード
の切り換えを伴う変速の場合、この切替点で設定される
変速比もしくはこれに近似した変速比を経由して変速を
おこなうことが好ましい。このような変速制御がこの発
明における緩衝変速制御である。しかしながら、この緩
衝変速制御では、無段変速機構3の入出力回転数比γを
切替点に変更する制御、および変速モードの切り換え制
御、目標とする変速比を設定する入出力回転数比γへの
変更の各制御をおこなう必要があるので、変速の遅れが
生じる可能性がある。
【0047】そこでこの発明に係る制御装置は、変速モ
ードの切り換えや飛び変速を可及的に少なくして動力性
能やドライバビリティあるいは燃費などが悪化しないよ
うに、下記の制御を実行する。図1はその制御例を示す
フローチャートであって、先ず、変速比を制限する条件
が成立しているか否かが判断される。上記の変速機2に
おける変速比は、基本的には、アクセル開度で代表され
る出力要求量と車速とに基づいて、エンジン1の回転数
が燃費の最少となる回転数となるように制御される。し
かしながら、車両に要求される運転状態は、過渡的な要
求を含めて、常時燃費が最適となることに限られないの
であり、その場合には、上記のいわゆる基本制御に対し
て変速比を制限する変速制御が実行される。
【0048】その変速比制限条件の例として、エンジン
水温(E/G水温)が判断基準である予め定めた所定値
以下か否かが判断される(ステップS1)。エンジン1
の暖機が完了していない状態では、燃焼効率が悪く、ま
た排ガスの性状も悪いので、暖機を促進する必要があ
り、またその状態では変速機2の油温が低くて変速制御
が所期通りに実行できないなどの理由により、エンジン
回転数を高くして暖機を促進する必要がある。このよう
な事情でエンジン水温が低い場合には、エンジン回転数
を高くするべく変速比が相対的に大きい値に維持され、
高車速側の変速比(相対的に小さい変速比)が制限され
る。なお、エンジン水温に替えて変速機2の油温やエン
ジン1の油温を判定することとしてもよい。
【0049】また、他の条件としてステアマチック信号
が1段以上低速側の変速段を指示する状態(−1段以
下)となっているか否かが判断される(ステップS
2)。マニュアル操作で変速段もしくは変速比を指示す
る装置として、連続している変速比を複数の段階に区分
し、マニュアル操作で高車速側の変速段を禁止し、それ
より低車速側の変速比を走行状態に基づいて自動的に設
定する装置が知られている。この種の装置では、マニュ
アル操作によって高速側の変速段を1段ずつ制限(禁
止)することができ、ステップS2ではそのような高速
側の変速段の制限(禁止)操作がおこなわれているか否
かが判断される。
【0050】さらに、変速比の制限条件として、エンジ
ンブレーキレンジ(エンブレレンジ:Bレンジ)が選択
されているか否かが判断される(ステップS3)。前述
したように変速比は、出力要求量や車速などに基づいて
設定され、したがって高車速ほど変速比が小さくなる
が、変速比が小さければ、エンジンなどの動力源を強制
的に回転させることに要する力を制動力として作用させ
るエンジンブレーキ力が小さくなる。エンジンブレーキ
レンジは、これに対して、マニュアル操作によって高車
速側の変速比を禁止することにより、高車速状態であっ
ても変速比を相対的に大きい変速比に制限するレンジで
あり、こうすることによりエンジンブレーキ力を増大さ
せて制動性が向上する。
【0051】またさらに、変速比の制限条件として、登
坂路に差し掛かっているか否かが判断される(ステップ
S4)。登坂路を判断する方法は、従来、種々知られて
おり、例えばアクセル開度もしくはスロットル開度に対
して加速度が相対的に小さいことによって判断すること
ができる。登坂路を走行している場合、相対的にアクセ
ル開度が大きくなるので、エンジン回転数を高くするた
めに大きい変速比が設定されるが、エンジン回転数を高
くすることによって車速が増大すると、エンジン回転数
を燃費が最少となる回転数に抑制するように変速比が小
さくなる。そうすると、車両の駆動力が低下するため
に、アクセルペダルが踏み込まれ、再度、変速比が増大
させられる。このように、出力要求量と車速となどに基
づいて変速比を制御すると、ダウンシフトとアップシフ
トとが交互に発生し、動力性能やドライバビリティが損
なわれることがあり、そこで高車速側の変速比を制限
し、相対的に大きい変速比を維持することにより、駆動
力を確保すると同時に頻繁な変速を防止することがおこ
なわれる。
【0052】そしてまた、降坂路か否か(ステップS
5)および降坂路でアクセルペダルが戻されてアクセル
開度がゼロになっているか否か(アクセルオフか否か)
が判断される(ステップS6)。降坂路の判定の方法
は、従来、種々知られており、例えば前述した登坂路の
判定の方法と同様に、アクセル開度もしくはスロットル
開度と加速度とに基づいて判断することができる。降坂
路でアクセルペダルが踏み込まれていない場合は、上述
したエンジンブレーキを効かせることが好ましく、した
がって高車速側の変速比が制限される。
【0053】上記のステップS1ないしステップS4の
いずれかで肯定的に判断され、もしくはステップS5お
よびステップS6で肯定的に判断された場合には、禁止
される変速比すなわち高車速側の変速比を設定するため
のHモードが禁止される(ステップS7)。具体的に
は、DレンジもしくはBレンジが選択されている状態
で、直結クラッチCd が係合状態に維持され、かつクラ
ッチCh が解放状態に維持される。その結果、変速比
は、無段変速機構3の入出力回転数比γを最小値γmin
にして設定される変速比より大きい変速比に制限され
る。
【0054】そのため、エンジン水温が低い場合には、
エンジン回転数が高くなって暖機が促進され、またステ
アマチックで変速比を制限している場合には、大きい駆
動力を得ることができ、また減速時には大きいエンジン
ブレーキ力を発生させることができ、さらに登坂時には
必要十分な駆動力をすることができると同時に頻繁な変
速を回避できる。そして、制動を要する降坂路の走行時
にはエンジンブレーキ力を確保することができる。
【0055】このようにこの発明の制御装置では、変速
比を制限する条件が成立することに伴って変速モードが
制限されるので、実効性なく変速モードを切り換えるこ
とがなくなる。そのため、前述した飛び変速が生じない
ので、ショックが悪化することがなく、また前述したい
わゆる緩衝変速制御をおこなう必要がないので、変速の
応答遅れが生じるなどの不都合を未然に回避することが
できる。
【0056】一方、上述したステップS1ないしステッ
プS6のいずれにおいても否定的に判断された場合に
は、Hモードが許可される(ステップS8)。すなわち
変速比を制限する条件が成立していないことにより通常
の変速制御が実行される。その状態でキックダウンスイ
ッチがオンか否かが判断される(ステップS9)。この
キックダウンスイッチは、アクセルペダルをほぼ最大限
まで踏み込んだ場合、すなわち出力要求量がほぼ最大限
の場合にオン動作して信号を出力するスイッチであるか
ら、このキックダウンスイッチがオンであれば、駆動力
を急速に増大させることが要求されていることになり、
また反対にオフであれば、そのような要求がないことに
なる。
【0057】そこでステップS9で否定的に判断された
場合には、飛び変速が禁止される(ステップS10)。
言い換えれば、駆動力を急速に増大させる必要がないの
で、変速モードの切り換えを伴う変速の場合、前述した
緩衝変速制御を伴って変速が実行される。例えばHモー
ドで設定されている変速比からLモードで設定する変速
比に変速する場合、先ず、無段変速機構3の入出力回転
数比γが切替点である最小値γmin に向けて変化させら
れ、その切替点もしくはその近傍でクラッチCh が解放
されるとともに、直結クラッチCd が係合させられ、さ
らにその後、目標とする変速比を達成するように入出力
回転数比γが変化させられる。したがって変速比のステ
ップ的な変化が生じないので、変速ショックが悪化する
ことがなく、ドライバビリティあるいは乗り心地が良好
になる。
【0058】これに対してステップS9で肯定的に判断
された場合には、飛び変速制限条件が成立しているか否
かが判断される。その飛び変速制限条件の一例は、エン
ジントルク(E/Gトルク)が制御できない状態であ
り、ステップS11ではそのエンジントルクが制御可能
か否かが判断される。
【0059】ここにおけるエンジントルクの制御とは、
クラッチCd ,Ch に掛かるトルクを低下させ、あるい
はクラッチCd ,Ch で吸収するエネルギを低下させる
ために、変速の際に一時的にエンジントルクを低下させ
る制御を含み、一例として点火時期の遅角制御によって
エンジントルクを低下させる制御である。この制御は、
例えば排ガス浄化触媒の負荷が過剰であることや、エン
ジン水温が低いこと、バッテリー端子電圧が低いこと、
遅角制御の頻度が高いことなどにより制限されることが
あり、したがってステップS11ではそのような制限条
件が成立しているか否かが判断される。
【0060】また、飛び変速制限条件の他の例は、無段
変速機構3の油温が判断基準である所定値より低いこと
である。飛び変速は、変速モードの切り換えすなわち各
クラッチCd ,Ch の係合・解放状態を切り換える制御
を伴って変速比を変化させる変速の形態であり、両方の
クラッチCd ,Ch の係合・解放状態を適正に制御する
必要があるので、作動油の粘性に影響する油温がある程
度高いことが要求される。したがってステップS12で
は無段変速機構3の油温(CVT油温)が所定値以上か
否かが判断される。
【0061】これらステップS11もしくはステップS
12で否定的に判断された場合、すなわち飛び変速の制
限条件が成立している場合には、ステップS10に進ん
で飛び変速が禁止される。その結果、クラッチCd ,C
h の制御が適正に実行できない状態での変速モードの切
り換えが禁止されるので、変速ショックが悪化したり、
あるいはクラッチCd ,Ch の耐久性が低下したりする
ことを未然に防止することができる。
【0062】これに対して、ステップS11およびステ
ップS12で肯定的に判断された場合には、飛び変速が
許可される(ステップS13)。すなわち前述した緩衝
変速制御を伴わずに、一方の変速モードで設定されてい
る変速比から他方の変速モードで設定される変速比に、
変速比を直接変更させる制御が実行される。その結果、
駆動力が急速かつ大きく変化し、キックダウンスイッチ
がオンであることにより表されている出力要求を満た
し、動力性能あるいはドライバビリティを良好なものと
することができる。
【0063】ここで上記の具体例とこの発明との関係を
簡単に説明すると、図1に示すステップS1ないしステ
ップS6の機能的手段が、請求項1における変速比制限
条件成立判断手段に相当し、またステップS7の機能的
手段が、請求項1における変速モード禁止手段に相当す
る。さらに、ステップS11およびステップS12の機
能的手段が、請求項2における飛び変速制限条件成立判
断手段に相当し、ステップS10およびステップS13
の機能的手段が、請求項2における許可・禁止手段に相
当する。
【0064】なお、上記の具体例では、変速比制限条件
として図1のステップS1ないしステップS6に示す条
件を挙げたが、この発明は上記の具体例に限定されない
のであって、この発明における変速比制限条件は、それ
らの条件のいずれか一つもしくは複数であってもよく、
あるいは更に他の条件を付加してもよい。また、この発
明における飛び変速制限条件についても同様であって、
図1のステップS11およびステップS12のいずれか
もしくはこれらに更に他の条件を追加した条件を変速制
限条件としてもよい。
【0065】さらに、上記の具体例では、LモードとH
モードとの二つの変速モードの可能な変速機を対象とす
る例について説明したが、この発明は上記の具体例に限
定されないのであり、3つ以上の変速モードが可能な変
速機を対象とする制御装置にも適用することができる。
また、この発明で対象とする変速機は、要は、無段変速
機と歯車変速機構とにより複数の変速モードを設定でき
る変速機であればよく、図2に示した構成の変速機に限
定されない。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、所定の変速比制限条件が成立すると、その制限
された変速比を設定する変速モード自体が禁止されるの
で、変速モードの切り換えが生じなくなり、その結果、
変速比が制限される状況では、いずれかの変速モード内
での変速比の変更制御よりも複雑な制御である変速モー
ドの切り換え制御がおこなわれないので、動力性能やド
ライバビリティの悪化を防止することができる。
【0067】また、請求項2の発明によれば、飛び変速
を制限する条件が成立しているか否かが判断され、その
条件が成立している場合には、飛び変速が禁止されて緩
衝変速制御を介した変速が実行され、また反対に前記条
件が成立していない場合には、飛び変速が許可されるの
で、変速比をステップ的に変化させる変速制御が抑制さ
れ、動力性能の維持とドライバビリティあるいは乗り心
地の維持との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る制御装置による制御の一例を
示すフローチャートである。
【図2】 この発明で対象とする車両の駆動系統の一例
を模式的に示すスケルトン図である。
【図3】 変速機用電子制御装置に入力される制御デー
タの例を示すブロック図である。
【図4】 その変速機での変速動作を説明するための共
線図である。
【図5】 その各クラッチおよびブレーキの係合・解放
状態をまとめて示す図表である。
【図6】 変速機の入力回転数と出力回転数との速度比
と無段変速機構の入出力回転数比との関係を示す線図で
ある。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…変速機、 3…無段変速機構、
4…遊星歯車機構、Cd …直結クラッチ、 Ch …クラ
ッチ、 22,23…電子制御装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:44 F16H 59:44 59:72 59:72 63:06 63:06 Fターム(参考) 3J552 MA07 MA29 NB01 NB04 PA19 PA20 PA32 RA28 SA34 SB12 TB13 VA48Z VA62Z VB01Z VC03Z VC07Z VD02Z VD03Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力回転数と出力回転数との比率である
    入出力回転数比を連続的に変化させることのできる無段
    変速機構と歯車変速機構とを含み、かつ前記入出力回転
    数比が増大することに伴って変速比が増大する第一の変
    速モードと前記入出力回転数比が増大することに伴って
    変速比が低下する第二の変速モードとを選択的に設定で
    きる無段変速機の制御装置において、 所定の変速比を設定することを制限することが要求され
    る変速比制限条件の成立を判断する変速比制限条件成立
    判断手段と、 その変速比制限条件が成立したことが前記変速比制限条
    件成立判断手段によって判断された場合に、前記変速モ
    ードのうち制限するべき変速比が含まれる変速モードの
    設定を禁止する変速モード禁止手段とを備えていること
    を特徴とする無段変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 入力回転数と出力回転数との比率である
    入出力回転数比を連続的に変化させることのできる無段
    変速機構と歯車変速機構とを含み、かつ前記入出力回転
    数比が増大することに伴って変速比が増大する第一の変
    速モードと前記入出力回転数比が増大することに伴って
    変速比が低下する第二の変速モードとを選択的に設定で
    きる無段変速機の制御装置において、 前記各変速モードに共通する変速比もしくは該変速比に
    近似する変速比を経由する緩衝変速制御を介することな
    く一方の変速モードで設定される変速比から他方の変速
    モードで設定される変速比に変速する飛び変速を制限す
    る飛び変速制限条件の成立を判断する飛び変速制限条件
    成立判断手段と、 前記飛び変速制限条件成立判断手段による判断結果に応
    じて前記飛び変速を許可もしくは禁止する許可・禁止手
    段とを備えていることを特徴とする無段変速機の制御装
    置。
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