JP5227043B2 - 動力出力装置および車両 - Google Patents
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Description
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
所定の回転要素に動力を出力可能な動力発生源と、
前記回転要素に接続され得る入力軸と、出力軸とを有し、前記入力軸に入力される動力を無段階に変速して前記出力軸に出力可能な無段変速装置と、
前記無段変速装置の前記出力軸に接続される第1の入力要素と、前記回転要素と連動して該回転要素とは逆方向に回転可能な第2の入力要素と、前記駆動軸に接続される出力要素とを含む遊星歯車機構と、
前記無段変速装置の前記入力軸に少なくとも動力を出力可能な電動機と、
前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、
前記回転要素と前記無段変速装置と前記遊星歯車機構とにより形成される動力の循環ループ内に設けられ、該循環ループにおける所定値以上の力の伝達を制限する動力伝達制限手段と、
を備えるものである。
駆動軸に連結された駆動輪を有する車両であって、
所定の回転要素に動力を出力可能な動力発生源と、
前記回転要素に接続され得る入力軸と、出力軸とを有し、前記入力軸に入力される動力を無段階に変速して前記出力軸に出力可能な無段変速装置と、
前記無段変速装置の前記出力軸に接続される第1の入力要素と、前記回転要素と連動して該回転要素とは逆方向に回転可能な第2の入力要素と、前記駆動軸に接続される出力要素とを含む遊星歯車機構と、
前記無段変速装置の前記入力軸に少なくとも動力を出力可能な電動機と、
前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、
前記回転要素と前記無段変速装置と前記遊星歯車機構とにより構成される動力の循環ループ内に設けられ、該循環ループにおける所定値以上の力の伝達を制限する動力伝達制限手段と、
を備えるものである。
Ts = ρ・Tc / (1+ρ) …(2)
Td = Ts /γ-Tr …(3)
Nd = γ・Ns …(5)
Nr = -Nd …(6)
Tc = Td・(1+ρ) / (ρ/γ-1) …(8)
Ts = Td・ρ / (ρ/γ-1) …(9)
Tr = Td / (ρ/γ-1) …(10)
ニュートラル状態のもとで運転者によりRポジションが設定されてアクセルペダル83が踏み込まれた場合、ハイブリッドECU70は、CVT40による変速比γが遊星歯車機構50のギヤ比ρよりも小さくなるように、すなわちCVT40によってセカンダリシャフト42および遊星歯車機構50のサンギヤ51がより増速されるようにCVTECU49に制御信号を与え、CVTECU49は、ハイブリッドECU70からの制御信号に従って油圧回路48を制御する。これにより、図5において二点鎖線で示すように、ドライブギヤ25の回転方向と同方向におけるサンギヤ51の回転速度Nsが高まり、遊星歯車機構50の出力要素であるキャリア54は、ドライブギヤ25の回転方向と同方向に回転することになるので、駆動軸としてのキャリア軸55を逆転させてハイブリッド自動車20を後進方向に走行させることが可能となる。そして、この際には、上記式(8)からわかるように、エンジン22およびモータMGの少なくとも何れかからドライブギヤ軸26に出力されるトルク(Td)が増幅されて駆動軸としてのキャリア軸55に出力されることになる。このように、実施例のハイブリッド自動車20では、その後進走行に際して、効率よくエンジン22を運転しながら駆動軸としてのキャリア軸55に大きなトルクを出力することが可能となる。従って、ハイブリッド自動車20では、後進走行時のエネルギ効率やトルク特性をより向上させることができる。また、後進走行モードのもとで、特に駆動軸としてのキャリア軸55の回転速度すなわち車速Vが低いときに、例えばエンジン22の出力が急変したり、何らかの要因により駆動軸としてのキャリア軸55に外部から力が加えられてしまったりしても、クラッチC1のトルクリミット機能によりCVT40や遊星歯車機構50の各要素に許容値を超える過大なトルクが作用するのを抑制することができる。
ニュートラル状態のもとで運転者によりDポジションが設定されてアクセルペダル83が踏み込まれた場合、ハイブリッドECU70は、CVT40による変速比γが遊星歯車機構50のギヤ比ρよりも大きくなるように、すなわちCVT40によってセカンダリシャフト42および遊星歯車機構50のサンギヤ51がより減速されるようにCVTECU49に制御信号を与え、CVTECU49は、ハイブリッドECU70からの制御信号に従って油圧回路48を制御する。これにより、図5において破線で示すように、ドライブギヤ25の回転方向と同方向におけるサンギヤ51の回転速度Nsが低下し、遊星歯車機構50の出力要素であるキャリア54は、ドライブギヤ25とは逆方向に回転することになるので、駆動軸としてのキャリア軸55を正転させてハイブリッド自動車20を前進方向に発進させることが可能となる。そして、この際には、上記式(8)からわかるように、エンジン22およびモータMGの少なくとも何れかからドライブギヤ軸26に出力されるトルク(Td)が増幅されて駆動軸としてのキャリア軸55に出力されることになる。このように、実施例のハイブリッド自動車20では、前進方向への発進に際して、効率よくエンジン22を運転しながら駆動軸としてのキャリア軸55に大きなトルクを出力することが可能となる。従って、実施例のハイブリッド自動車20では、発進時のエネルギ効率やトルク特性をより向上させることができる。そして、発進後には、変速比γがより大きくなるようにCVT40を制御することで、駆動軸としてのキャリア軸55に大きなトルクを出力しながら、図5において細い実線で示すようにハイブリッド自動車20を前進方向に加速させていくことができる。また、低速前進走行モードのもとで、特に駆動軸としてのキャリア軸55の回転速度すなわち車速Vが低いときに、例えばエンジン22の出力が急変したり、何らかの要因により駆動軸としてのキャリア軸55に外部から力が加えられてしまったりしても、クラッチC1のトルクリミット機能によりCVT40や遊星歯車機構50の各要素に許容値を超える過大なトルクが作用するのを抑制することができる。このような低速前進走行モードは、例えばCVT40による変速比γが所定値(例えば最大変速比)まで低下したことを含む第1の移行条件が成立するまで継続され、当該移行条件が成立すると、ハイブリッド自動車20の運転モードは、低速前進走行モードから中速移行モードへと移行する。
運転者によるアクセルペダル83の操作等に応じて上記移行条件が成立すると、ハイブリッドECU70は、ドライブギヤ軸26とCVT40のプライマリシャフト41との接続が解除されるようにクラッチC1のアクチュエータに制御信号を与える。こうして、ドライブギヤ軸26とCVT40のプライマリシャフト41との接続が解除されれば、プライマリシャフト41をドライブギヤ軸26とは独立に回転させることが可能となり、ハイブリッドECU70は、CVT40による変速比γが上記所定値に保たれると共にモータMGの回転速度Nm(回転速度Ni)が低下し、かつ要求トルクに基づくトルクが駆動軸としてのキャリア軸55に出力されるようにエンジン22の運転ポイントやモータMGのトルク指令、CVT40の目標変速比を設定する。また、エンジンECU24やモータECU30、CVTECU49は、それぞれハイブリッドECU70からの制御信号に従ってエンジン22やモータMG、CVT40を制御する。これにより、図6において破線で示すようにモータMGの減速に伴って、CVT40を介してモータMGに接続された遊星歯車機構50のサンギヤ51の回転速度Nsが低下していくことから、キャリア軸55の回転速度(車速V)を正転側(前進側)に増加させながら、同図において実線で示すようにモータMGを一旦停止させることによりCVT40のセカンダリシャフト42に接続された遊星歯車機構50のサンギヤ51の回転速度Nsを値0にすることができる。なお、かかる中速移行モードのもとでは、モータMGは、図6において下向きのトルクを出力することから発電を実行し、モータMGにより発電された電力は、バッテリ35の充電に供される。また、中速移行モードのもとでハイブリッド自動車20を減速させる場合、ハイブリッドECU70は、CVT40による変速比γが上記所定値に保たれると共にモータMGの回転速度Nm(回転速度Ni)が高まり(加速され)、かつ要求トルクに基づくトルクが駆動軸としてのキャリア軸55に出力されるようにエンジン22の運転ポイントやモータMGのトルク指令、CVT40の目標変速比を設定する。
上述の中速移行モードのもとでモータMGと遊星歯車機構50のサンギヤ51との回転が停止された際の走行状態や運転者の要求(例えばアクセル開度Accやその変動度合等)が第2の移行条件を満たしている場合、モータMGが停止されたままハイブリッドECU70によりブレーキB1がオンされてCVT40がロックされ、運転モードが中速移行モードから巡航移行モードへと移行する。すなわち、ブレーキB1により遊星歯車機構50のサンギヤ51を回転不能に固定すれば、図6において実線で示すように、CVT40を用いることなくエンジン22によりドライブギヤ軸26に出力されるトルクをドライブギヤ25および遊星歯車機構50を介して駆動軸としてのキャリア軸55に伝達することが可能となる。従って、巡航移行モードのもとでは、ハイブリッドECU70は、要求トルクに基づくトルクが駆動軸としてのキャリア軸55に出力されるようにエンジン22の運転ポイントを設定し、エンジンECU24は、ハイブリッドECU70からの制御信号に従ってエンジン22を制御する。これにより、巡航走行モードのもとでは、CVT40での損失を無くしながらエンジン22によりドライブギヤ軸26に出力される動力を比較的効率よく駆動軸としてのキャリア軸55に伝達することができるので、エネルギ効率をより向上させることが可能となる。
上述の中速移行モードのもとでモータMGが停止されると共に遊星歯車機構50のサンギヤ51の回転が停止された際に上記第2の移行条件とは異なる第3の移行条件が成立した場合や、巡航走行モードのもとで運転者により加速要求がなされたような場合、ハイブリッド自動車20の運転モードは、中速移行モードまたは巡航走行モードから高速走行モードへと移行する。ハイブリッド自動車20の運転モードを高速走行モードへと移行させる場合、ハイブリッドECU70は、ブレーキB1がオンされていれば遊星歯車機構50のサンギヤ51やCVT40のロックが解除されるようにブレーキB1のアクチュエータに制御信号を与え、ブレーキB1がオフされた状態で、モータMGが上述の低速前進走行モード等とは逆方向すなわち遊星歯車機構50のリングギヤ52やキャリア54と同方向に回転すると共に要求トルクに基づくトルクが駆動軸としてのキャリア軸55に出力されるようにエンジン22の運転ポイントやモータMGに対するトルク指令、CVT40の目標変速比を設定する。また、エンジンECU24やモータECU30、CVTECU49は、それぞれハイブリッドECU70からの制御信号に従ってエンジン22やモータMG、CVT40を制御する。すなわち、クラッチC1によりドライブギヤ軸26とCVT40のプライマリシャフト41との接続が解除されている状態では、モータMGによりプライマリシャフト41をドライブギヤ軸26とは逆方向に回転させることが可能であり、図7において実線で示すように、モータMGの回転速度Nm(回転速度Ni)をドライブギヤ25の回転方向とは逆方向すなわち遊星歯車機構50のリングギヤ52等と同方向に高くしていけば、CVT40のセカンダリシャフト42に接続された遊星歯車機構50のサンギヤ51をドライブギヤ25とは逆方向すなわちリングギヤ52やキャリア54と同方向に回転させると共にその回転速度Nsを高くしていくことができる。加えて、CVT40による変速比γをより小さくしていけば、図7において二点鎖線で示すように、遊星歯車機構50のサンギヤ51の回転速度Nsをドライブギヤ25とは逆方向により一層高くすることができる。そして、遊星歯車機構50のサンギヤ51のドライブギヤ25とは逆方向における回転速度Nsが高くなればなるほど、ドライブギヤ25と遊星歯車機構50の出力要素であるキャリア54すなわち駆動軸としてのキャリア軸55との間の変速比αをより小さく(増速比をより大きく)してキャリア軸55の正転側における回転速度すなわち車速Vをより高くすることが可能となる。
続いて、エンジン22を停止した状態で駆動軸としてのキャリア軸55にモータMGから動力を出力しながらハイブリッド自動車20を走行させるモータ走行モードについて説明する。
実施例のハイブリッド自動車20は、モータMGを備えるものであるから、走行中に運転者によりブレーキペダル85が踏み込まれたときには、モータMGの回生により運動エネルギを電気エネルギに変換することで駆動軸としてのキャリア軸55に制動力(制動トルク)を出力することができる。そして、運転者によりブレーキペダル85が踏み込まれたときにクラッチC1をオフしてドライブギヤ軸26とCVT40のプライマリシャフト41との接続を解除すれば、モータMGにより効率よくエネルギを回収することが可能となる。すなわち、運転者によりブレーキペダル85が踏み込まれたときにクラッチC1をオフすると共にCVT40を用いてモータMGの回転速度Nmを高く保つことで、通常であれば回生制動が実行し得なくなる程度にまでキャリア軸55の回転速度すなわち車速Vが低下した時点においてもモータMGによるエネルギ回収を続行し、それによりハイブリッド自動車20のエネルギ効率を向上させることが可能となる。
Claims (7)
- 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
所定の回転要素に動力を出力可能な動力発生源と、
前記回転要素に接続され得る入力軸と、出力軸とを有し、前記入力軸に入力される動力を無段階に変速して前記出力軸に出力可能な無段変速装置と、
前記無段変速装置の前記出力軸に接続されて該出力軸と同方向に回転可能な第1の入力要素と、前記回転要素と連動して該回転要素とは逆方向に回転可能な第2の入力要素と、前記駆動軸に接続される出力要素とを含む遊星歯車機構と、
前記無段変速装置の前記入力軸に少なくとも動力を出力可能な電動機と、
前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、
前記回転要素と前記無段変速装置と前記遊星歯車機構とにより形成される動力の循環ループ内に設けられ、該循環ループにおける所定値以上の力の伝達を制限する動力伝達制限手段と、
を備え、
前記動力伝達制限手段は、前記回転要素と前記無段変速装置の前記入力軸との接続および該接続の解除を実行すると共に、前記回転要素と前記入力軸との間における所定値以上の力の伝達を制限する接続断接手段であり、
前記接続断接手段により前記回転要素と前記無段変速装置の前記入力軸とが接続された状態では、前記駆動軸に要求される要求トルクに基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記動力発生源と前記電動機と前記無段変速装置とが制御されると共に、前記接続断接手段により前記回転要素と前記無段変速装置の前記入力軸との接続が解除された状態では、前記電動機が減速するか、または前記電動機が前記回転要素とは逆方向に回転すると共に要求トルクに基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記動力発生源と前記電動機と前記無段変速装置とが制御される、
動力出力装置。 - 請求項1に記載の動力出力装置において、
前記接続断接手段は、前記回転要素と前記入力軸との間で伝達されるトルクが所定値以上になると前記回転要素と前記入力軸とを互いに滑らせる動力出力装置。 - 請求項1または2に記載の動力出力装置において、
前記駆動軸は、前記遊星歯車機構の前記出力要素が前記回転要素とは逆方向に回転するときに正転する動力出力装置。 - 前記動力発生源は内燃機関である請求項1から3の何れか一項に記載の動力出力装置。
- 前記動力発生源は前記電動機とは異なる第2の電動機である請求項1から3の何れか一項に記載の動力出力装置。
- 前記動力発生源は、内燃機関と、前記電動機とは異なる第2の電動機とである請求項1から3の何れか一項に記載の動力出力装置。
- 駆動軸に連結された駆動輪を有する車両であって、
所定の回転要素に動力を出力可能な動力発生源と、
前記回転要素に接続され得る入力軸と、出力軸とを有し、前記入力軸に入力される動力を無段階に変速して前記出力軸に出力可能な無段変速装置と、
前記無段変速装置の前記出力軸に接続されて該出力軸と同方向に回転可能な第1の入力要素と、前記回転要素と連動して該回転要素とは逆方向に回転可能な第2の入力要素と、前記駆動軸に接続される出力要素とを含む遊星歯車機構と、
前記無段変速装置の前記入力軸に少なくとも動力を出力可能な電動機と、
前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、
前記回転要素と前記無段変速装置と前記遊星歯車機構とにより形成される動力の循環ループ内に設けられ、該循環ループにおける所定値以上の力の伝達を制限する動力伝達制限手段と、
を備え、
前記動力伝達制限手段は、前記回転要素と前記無段変速装置の前記入力軸との接続および該接続の解除を実行すると共に、前記回転要素と前記入力軸との間における所定値以上の力の伝達を制限する接続断接手段であり、
前記接続断接手段により前記回転要素と前記無段変速装置の前記入力軸とが接続された状態では、前記駆動軸に要求される要求トルクに基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記動力発生源と前記電動機と前記無段変速装置とが制御されると共に、前記接続断接手段により前記回転要素と前記無段変速装置の前記入力軸との接続が解除された状態では、前記電動機が減速するか、または前記電動機が前記回転要素とは逆方向に回転すると共に要求トルクに基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記動力発生源と前記電動機と前記無段変速装置とが制御される、
車両。
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