JP3633200B2 - 四輪駆動車の駆動装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、エンジンの出力を前輪および後輪の車軸にそれぞれ伝達する四輪駆動車の駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの出力を前輪および後輪の車軸にそれぞれ伝達する四輪駆動車の駆動装置が従来より知られている。たとえば、図15に示す装置はその一例であり、トヨタ自動車株式会社サービス部より1990年8月31日に発行された「トヨタスターレット新型車解説書」に記載されたものと同様のものである。図15に示す駆動装置10は、トランスアクスル12およびトランスファ14を含んでいる。トランスアクスル12は、図示しない横置きエンジンに連結される入力軸16とその入力軸16と平行な出力軸18とを有する平行2軸式の手動変速装置20と、出力軸18の回転力の一部を左右の車軸22および24を介して左右の前輪へ伝達する前輪デファレンシャルギヤ装置26とをトランスアクスルケース28内に収容して図示しないエンジンブロックに連結される。上記トランスファ14は、横置きエンジンの出力を後輪に伝達するものであり、一端部が手動変速装置20の出力軸18に作動的に連結され且つ中間部の外周上にリングギヤ30が一体的に取り付けられた円筒状のリングギヤマウントケース32と、車両前方側の端部に上記リングギヤ30と噛み合うピニオンギヤ34が形成され且つ車両後方側の端部に図示しないプロペラシャフトとの連結部36が形成されたピニオンギヤ部材38と、上記リングギヤマウントケース32およびピニオンギヤ部材38を共に収容してそれらを中心軸まわりの回転可能に支持するとともに上記トランスアクスルケース28に連結されるトランスファケース40とを備え、上記リングギヤマウントケース32内を貫通して上記一方の車軸24が配置される。
【0003】
上記リングギヤマウントケース32の一方の端部44および他方の端部46は、それぞれころがり軸受48および50を介してトランスファケース40により回転可能に支持されており、一方の端部44内を貫通する車軸24の端部もそのころがり軸受48を介して支持されている。リングギヤマウントケース32の他方の端部46の内周面は、上記前輪デファレンシャルギヤ装置26のデファレンシャルケース52の右前輪側に一体的に設けられた円筒状部材54の外周面とスプライン嵌合されており、手動変速装置20の出力軸18の回転力が前輪デファレンシャルギヤ装置26、リングギヤマウントケース32、ピニオンギヤ部材38、図示しないプロペラシャフト、前輪および後輪の回転数の違いを許容するためのビスカスカップリング、左右の後輪の回転数の違いを許容するための後輪デファレンシャルギヤ等を介して後輪の車軸に伝達される。
【0004】
上記リングギヤマウントケース32とピニオンギヤ部材38とがトランスファケース40に組み付けられる際には、右側の車軸24が組み付けられておらず且つトランスファケースカバー56がトランスファケース40の車両前方側に形成された開口部58に取り付けられていない状態で、まず、ピニオンギヤ部材38が上記開口部58からトランスファケース40の内部に挿入されてころがり軸受60,62により支持される位置へ装着される。続いて、リングギヤマウントケース32が上記開口部56から上記トランスファケース40内へその他方の端部46側から挿入され、リングギヤ30がピニオンギヤ部材38のピニオンギヤ34と噛み合わされた状態で、上記ころがり軸受48および50を介してトランスファケース40により支持される位置に装着される。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、図15に示した上記従来のトランスファ14においては、リングギヤマウントケース32の一方の端部44に嵌め着けられる円環状のころがり軸受48を保持するトランスファケース40の支持剛性を損なわないために、トランスファケース40のころがり軸受48を保持する外周壁66がころがり軸受48の外周に設けられる必要があることから、その外周壁66の存在によってトランスファケース40の開口部58の大きさが制限されるので、リングギヤマウントケース32およびピニオンギヤ部材38をトランスファケース40の内部に組み付ける組付作業性が充分に得られない恐れがあった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、トランスファケースの内部にリングギヤマウントケースおよびピニオンギヤ部材を組み付ける際の組付作業性がよい四輪駆動車の駆動装置を提供するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) トランスアクスルに連結されたトランスファケースと、(b) そのトランスファケースの車両前方側に形成された開口部と、(c) 前記開口部を塞ぐトランスファケースカバーと、(d) 両端部が前記トランスファケース内に軸受を介して回転可能に支持された長手状の第1ギヤ部材と、(e) 前記第1ギヤ部材と噛み合わされた状態で前記トランスファケースに回転可能に支持された第2ギヤ部材とを含む四輪駆動車の駆動装置において、(f) 前記第1ギヤ部材の両端部を支持する前記軸受の一方が、前記開口部側から前記トランスファケースに固定されることにより該一方の軸受の外周を該トランスファケースとの間に挟持する固定部材によって、前記トランスファケースに取り付けられ、(g) その開口部の前記第1ギヤ部材の長手方向における端部であって前記一方の軸受側の端部が、その一方の軸受の外輪よりも外側に位置させられていることにある。
【0008】
【発明の効果】
上記第1ギヤ部材の両端部を支持する一対の軸受の一方が、上記トランスファケースの開口部を通してトランスファケースに固定される固定部材とトランスファケースとにより支持されて固定されることから、トランスファケースの上記一方の軸受を保持するための外周壁の一部を形成する必要がなくなって、開口部の前記第1ギヤ部材の長手方向における端部であって前記一方の軸受側の端部が、該一方の軸受の外輪よりも外側に位置させられるので、上記開口部を大きく開口させることができる。このことにより、上記第1ギヤ部材および第2ギヤ部材をトランスファケースの内部に上記開口部を通して挿入し、それら2つのギヤ部材を噛み合わせた状態でトランスファケース内に組み付ける組付作業性を向上させることができる。
【0009】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、上記第1ギヤ部材の他方の端部は、上記軸受を介して上記トランスファケースに支持される位置よりも先端側の外周面において、前記トランスアクスル内の差動装置に設けられ且つ原動機の出力軸と作動的に連結された円筒状部材の内周面とスプライン嵌合させられる。このようにすれば、上記第1ギヤ部材は、第1ギヤ部材の他方の端部の外周面において上記トランスアクスルの差動装置に設けられた円筒状部材とスプライン嵌合させられることによって原動機の出力軸と作動的に連結されることになり、上記他方の端部がその内周面において上記円筒状部材の外周面とスプライン嵌合させられる従来の場合に比して、上記第1ギヤ部材の他方の端部の外径をその肉厚分だけ小さくでき、延いてはそれに嵌め着けられる上記軸受の外径を小さくすることができるので、トランスファケースのその軸受を保持する部分の外形を小型化できる利点がある。
【0010】
また、上記のようにスプライン嵌合が構成される場合には、前記のように開口部が大きくされることに関連して第1ギヤ部材の他方の端部を長くすることができ、スプライン嵌合部を軸受よりもトランスアクスル側とすることができるので、上記他方の端部を支持する軸受の外径を一層小さくできる。そして、このことからその軸受の外周輪を嵌め入れるための環状壁の外径を小さくすることができる。この環状壁は第2ギヤ部材の組付時においてその軸端の歯車との間で組付時の干渉が生じ易い部分であるが、上記のように環状壁の外径が小さくなることにより、第2ギヤ部材の組付性が向上する。
【0011】
また、好適には、前記第1ギヤ部材は、その中心軸上に、左右1対の駆動輪の一方に接続され、その接続される側の端部において前記トランスファケースに回転可能に支持される車軸が貫通させられる円筒状の部材であり、その車軸は、上記第1ギヤ部材の前記一方の軸受を介してトランスファケースに支持される位置よりも、上記一方の駆動輪側の位置において車軸用軸受を介して上記トランスファケースに回転可能に支持される。このようにすれば、たとえば、上記車軸と上記第1ギヤ部材の一方の端部とが、同じ位置において共通の軸受を介してトランスファケースに支持される従来の場合に比して、上記車軸が上記トランスファケースに支持される位置を、その車軸に接続される駆動輪に近づけることができる。このことにより、上記トランスファケースに回転可能に支持された一方の車軸に作用する曲げ応力を抑制することができるので、上記一方の車軸の外径、延いては第1ギヤ部材の一方の端部の内径を小さくすることができ、上記トランスファケースの上記一方の軸受を保持する部分の外形を一層小型化できる利点がある。
【0012】
また、好適には、前記第2ギヤ部材は、一方の端部に上記第1ギヤ部材と噛み合わされるピニオンギヤを備え且つ他方の端部にプロペラシャフトとの連結部を備えて上記一方の端部側において上記トランスファケースに回転可能に支持されるとともに上記他方の端部が上記トランスファケースの外部に突出させられる長手状の部材であって、上記トランスファケースには、上記第2ギヤ部材の上記トランスファケースの外部に突出した部分を覆うエクステンションハウジングが取り付けられるようにされる。このようにすれば、上記第2ギヤ部材が上記開口部を通して上記トランスファケースの内部に挿入されて上記一方の端部側において回転可能に支持される作業を、上記エクステンションハウジングが上記トランスファケースに取り付けられていない状態で行なうことができるので、上記エクステンションハウジングに相当する部分が一体的に形成された前記トランスファケース40を含む前記駆動装置10に比して、上記第2ギヤ部材を上記トランスファケース内に組み付ける際の組付作業性を向上させることができる利点がある。
【0013】
また、好適には、前記駆動装置は、前輪と後輪との回転数の違いを許容する差動装置と、前輪と後輪との回転数の違いを制限する差動制限装置とのいずれか一方を、上記第1ギヤ部材の内部に含むものである。このようにすれば、上記トランスファの外形を大きくすることなく、上記差動装置と差動制限装置とのいずれか一方をトランスファの内部に備えることができるので、たとえば、上記差動装置をトランスファの外部に備える従来の駆動装置や、上記差動装置をトランスアクスルの内部に有するとともに上記差動制限装置をトランスファの外部に備える駆動装置に比して、駆動装置を全体として小型化できる利点がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本実施例の駆動装置100の図4に示すI−I視断面図であり、図2は上記駆動装置100のトランスファ104を拡大して示す図である。また、図3は、車両前方から見たトランスファケース134およびトランスファケースカバー136を示し、図4は、車両左側から見たトランスファケース134、トランスファケースカバー136およびエクステンションハウジング130を示すものである。また、図5は、図2におけるJ−J視断面図であり、軸受キャップ190およびトランスファケース134のみを示したものである。
【0015】
本実施例の駆動装置100は、図1に示すように、トランスアクスル102と、トランスファ104とを含んでおり、原動機たる横置きエンジンの出力を前輪および後輪の車軸にそれぞれ伝達するものである。
【0016】
上記トランスアクスル102は、上記横置きエンジンに図示しないクラッチを介して作動的に連結される入力軸106とその入力軸106と平行な出力軸108とを有する平行2軸式の手動変速装置110と、上記出力軸108の回転力の一部を左右の車軸112および114を介して左右の前輪へ伝達する差動装置たる前輪デファレンシャルギヤ装置116とをトランスアクスルケース118内に収容し、図2にも示すように、そのトランスアクスル118の組合せ面120において上記横置きエンジンのエンジンブロック122に連結される。
【0017】
上記トランスファ104は、上記横置きエンジンの出力を後輪に伝達するものであり、▲1▼トランスアクスルケース118の組合せ面126に密着させられる組合せ面128を備えて上記トランスアクスル102の車両右方側に接続されるとともに、車両後方側に車両前後方向に延びる貫通穴を有する長手状のエクステンションハウジング130が取り付けられ、且つ車両前方側へ開く開口部132を有するトランスファケース134と、▲2▼そのトランスファケース134の開口部132の周囲に形成された組合せ面138に密着させられることによりその開口部132を塞ぐトランスファケースカバー136と、▲3▼一方の端部140および他方の端部142においてころがり軸受144および146を介して上記トランスファケース134に回転可能に支持された概して円筒状のリングギヤマウントケース150と、このリングギヤマウントケース150の軸方向の中間部外周にボルトにより固定されたハイポイドギヤであるリングギヤ148とを含む第1ギヤ部材152と、▲4▼車両前方側の一方の端部に上記リングギヤ148と噛み合わされるハイポイドギヤであるピニオンギヤ154が形成されるとともに、車両後方側の他方の端部156が、図示しないプロペラシャフトと連結させられる継手部材158とスプライン嵌合させられた第2ギヤ部材160とを含むものである。
【0018】
上記第2ギヤ部材160は、車両前方側すなわちリングギヤ148側の端部の2箇所において2つのころがり軸受164および166を介して回転可能に支持されて上記トランスファケース134内に装着されるとともに、車両後方側の端部156が継手部材158およびすべり軸受168を介して上記エクステンションハウジング130に支持されている。なお、上記ころがり軸受144、146、164および166は、外輪とそれ以外の部分とが分離可能な円すいころ軸受である。
【0019】
前記右前輪の車軸114は、その右前輪側の端部172が車軸用軸受たるころがり軸受174を介して上記トランスファケース134に回転可能な状態で支持されるとともに、前記トランスアクスル102側の端部176が車軸用軸受たるころがり軸受178を介して前記前輪デファレンシャルギヤ装置116のデファレンシャルケース186(図1参照)の車両右側に一体的に設けられた円筒状部材188の内周面に相対回転可能に支持されている。
【0020】
上記リングギヤマウントケース150の他方の端部142は、前記ころがり軸受146が嵌め着けられている位置よりも先端側の外周面において、上記円筒状部材188の先端部の内周面とスプライン嵌合させられている。このスプライン嵌合により、前記横置きエンジンの出力が、上記前輪デファレンシャルギヤ装置116のデファレンシャルケース186、第1ギヤ部材152、第2ギヤ部材160、継手部材158、図示しないプロペラシャフト、前輪と後輪との回転数の違いを許容する差動装置としての図示しないビスカスカップリング、図示しない後輪デファレンシャルギヤ装置等を介して後輪にも伝達される。
【0021】
上記リングギヤマウントケース150の一方の端部140に嵌め着けられたころがり軸受144は、上記トランスファケース134に上記開口部132を通して車両前方側から取り付けられる固定部材すなわち軸受キャップ190とトランスファケース134との間に挟持されている。上記トランスファケース134にころがり軸受144に向かって形成された円環状の受面194と上記ころがり軸受144の外輪との間の受面194側にリング状のスペーサ196が、ころがり軸受144側にシム198がそれぞれ嵌め入れられている。上記リングギヤマウントケース150の他方の端部142に嵌め着けられたころがり軸受146は、上記トランスファケース134の前記トランスアクスル102側に設けられた段付穴200内に、リング状のシム202とともに嵌め入れられている。上記段付穴200が設けられることによって、上記トランスファケース134の内部に、上記ころがり軸受146の外周輪を囲む環状壁204が形成されている。上記スペーサ196、シム198、202の厚さを設定することにより、上記2つのころがり軸受144および146の予圧が適正に調整される。
【0022】
上記軸受キャップ190は、図5に示すように、前記組合せ面138と平行に上記トランスファケース134の内部に形成された取付面208に2本のボルト210によって取り付けられるとともに、上記ころがり軸受144の外周面と略同じ曲率の円筒状の内周面の一部を形成する凹曲面212が形成されたものである。上記トランスファケース134には、上記凹曲面212と対を成し、凹曲面212とともに上記ころがり軸受144の外周面と略同じ曲率の円筒の内周面を構成する凹曲面214が形成されている。これらの凹曲面212および214により構成される円筒の内周面によって、上記ころがり軸受144が上記軸受キャップ190が上記トランスファケース134に取り付けられることによりトランスファケース134に強固に固定される。
【0023】
上記スペーサ196は、図6の(a)正面図、(b)左側面図、(c)右側面図および(d)背面図に詳しく示すように、軸心を挟んで位置する2つの部位であって相背反する端面に径方向の切欠溝220および222が形成されるとともに、外周面の2箇所に位置決め用の突起224および226がそれぞれ形成されたものであり、図7にも示すように、上記突起224および226が、軸受キャップ190の取付面208側に形成された切欠230および232にそれぞれ嵌め入れられた状態で、上記軸受キャップ190の凹曲面212とトランスファケース134の凹曲面214との間に嵌め入れられている。上記スペーサ196およびシム198の外径は、上記ころがり軸受144の外径よりもわずかに小さくされており、ころがり軸受144が軸受キャップ190とトランスファケース134との間で挟まれて強固に固定されることがスペーサ196およびシム198によって妨げられることはない。上記切欠溝220は、図7のK−K視断面図である図8にも示すように、上記凹曲面214とトランスファケース134に形成された平坦部236(図2および図5参照)とにおいてそれぞれ開口する貫通穴238とスペーサ196の内周側の空間とが、切欠溝220を通って連通可能となる位置に形成されている。
【0024】
上記トランスファケース134の内部には、リングギヤ148とピニオンギヤ154との噛み合い部分、前記ころがり軸受142、144、164、166、前記すべり軸受168等を潤滑するための潤滑油が、車両静止状態におけるその潤滑油の油面の高さが、図5に二点鎖線で示した位置となるように封入されている。なお、上記潤滑油が上記トランスファケース134の外部に漏れ出ることを防止するため、図2に示すように、オイルシール242、244および246がトランスファケース134に取り付けられている。また、オイルシール248および249によって前記トランスアクスル102のトランスアクスルケース118内に封入される潤滑油と上記トランスファケース134内に封入される潤滑油とが混ざり合うことがないようにされている。上記トランスファケース134に封入される潤滑油が、ハイポイドギヤである上記リングギヤ148とピニオンギヤ154とを好適に潤滑する必要があるために粘性が比較的高いものとされているのに対して、トランスアクスルケース118に封入される潤滑油は比較的粘性が低いものが使用されるため、これら種類が異なる2種類の潤滑油が互いに混ざり合わないようにするためである。
【0025】
上記オイルシール242、244、246、248および249は、その摩擦部分に油膜を形成する必要があるため、上記ハイポイドギヤ等と同様に潤滑油が供給される必要がある。上記オイルシール242、244、246は、上記第1ギヤ部材152や第2ギヤ部材160が回転すれば、それらの全体に潤滑油が十分に行き渡りやすい位置に配設されている。また、オイルシール249は、上記トランスアクスルケース118内に封入される潤滑油が行き渡りやすい位置に配設されている。しかし、オイルシール248に潤滑油が十分に供給されるためには、前記リングギヤマウントケース150の内周面と前記車軸114の外周面との間の円筒状の薄い隙間により形成される経路を潤滑油が通る必要がある。
【0026】
そこで、上記リングギヤマウントケース150の他方の端部142側の内周面には、他方の端部142の先端側に向かうほど内径が大きくなるテーパ面252と潤滑面をオイルシール248へ向かって移動させるためのそのテーパ面252に形成された雌ねじ(ねじ溝が浅いため図示されない)とが設けられている。このテーパ面252および雌ねじによって、前記第1ギヤ部材152が高速で回転させられるほど、リングギヤマウントケース150と上記車軸114との間の隙間を通して、潤滑油が上記オイルシール248に容易に供給されるようになっている。本実施例の第1ギヤ部材152は、車両前進状態において図5に矢印で示した向きに回転するので、上記リングギヤマウントケース150の内周面に形成される雌ねじは左ねじである。
【0027】
上記トランスファケース134に封入される潤滑油は、車両前進状態では上記第1ギヤ部材152により図5の矢印の方向に掻き上げられ、その一部がリブ254に遮られてリブ254の下方に位置する上記平坦部236にも到達して、上記平坦部236に開口する前記貫通穴238、前記スペーサ196の切欠溝220、上記スペーサ196の内周側の空間等から成る経路を通って、上記リングギヤマウントケース150の内部に供給される(図2参照)。したがって、車両の前進走行により、上記リングギヤマウントケース150内には所定量の潤滑油が常時貯留される。つまり、車両前進状態が継続されるほど、上記リングギヤマウントケース150内に潤滑油が供給されるので、リングギヤマウントケース150と上記車軸114との間の隙間を通して、潤滑油が上記オイルシール248に十分に供給されるようになっている。
【0028】
前記トランスファケースカバー136には、図9に示すように、上記トランスファケース134の内部の空気圧を大気圧に保って、内部の温度が上昇した場合等において潤滑油が外部に漏れ出ることを防止するためにそのトランスファケースカバー136を垂直方向に貫通する大気開放穴256が設けられるとともに、図3に示すように、その大気開放穴256には空気の通過を許容するブリーザプラグ258が螺合されている。潤滑油は、上述のように上記第1ギヤ部材152等の回転にともなって掻き上げられるため、上記大気開放穴256が開口する位置にまで達して外部に漏れ出るおそれがある。このことを好適に防止するために、図9に示すように、上記トランスファケースカバー136の内側の面に、2つのリブ260、262が設けられている。上記リブ260は、上下方向に延びた状態で形成されており、前記軸受キャップ190に設けられたリブ264(図5および図7参照)とともに、掻き上げられた潤滑油が矢印Aで示した経路で下方に落ちるように機能するので、上記大気開放穴256の開口に潤滑油が到達することが好適に防止される。また、上記リブ260とリブ262との間には、隙間が設けられており、潤滑油が上記リブ260よりも上記大気開放穴256側に到達しても、図9に矢印Bで示した経路で、潤滑油が下方に落ちるようにされている。
【0029】
以上のように構成されたトランスファ104は、以下のように組み立てられる。先ず、図10の二点鎖線に示すように、シム266ところがり軸受164の外輪とが嵌め入れられたトランスファケース134に、そのころがり軸受164の外輪以外の部分が嵌め着けられた第2ギヤ部材160が、端部156側から開口部132を通して挿入される。続いて、ころがり軸受166が第2ギヤ部材160に端部156側から嵌め入れられた後に、締付部材268が第2ギヤ部材160に固定されることにより、図2に示したように第2ギヤ部材160が上記トランスファケース134に回転可能に装着される。続いて、図11の二点鎖線に示すように、前記シム202およびころがり軸受146の外輪がトランスファケース134に嵌め入れられた後に、そのころがり軸受146の外輪以外の部分と前記ころがり軸受144とが嵌め着けられ且つ上記リングギヤ148が取り付けられた上記リングギヤマウントケース150すなわち第1ギヤ部材152が、前記他方の端部142側から開口部132を通して挿入され、ピニオンギヤ154とリングギヤ148とが噛み合わされる。
【0030】
つぎに、トランスファケース134の受面194ところがり軸受144との間に、図2に示したように、スペーサ196およびシム198が嵌め入れられた状態で、軸受キャップ190によってころがり軸受144がトランスファケース134に離脱不能に固定され、その後にトランスファケースカバー136がトランスファケース134に取り付けられる。エクステンションハウジング130は、すべり軸受168およびオイルシール246が嵌め入れられ、第2ギヤ部材160がトランスファケース134に回転可能に装着された後にトランスファケース134に取り付けられ、続いて継手部材158が第2ギヤ部材160の端部156に嵌合させられる。
【0031】
以上のように組み立てられたトランスファ104は、たとえば図12(車両左側方視)に示すV型の横置きエンジン270の車両後方側に位置させられる。なお、図12においては、トランスアクスル102の図示は省略した。図12に示すように、本実施例のトランスファ104のトランスファケース134は、横置きエンジン270のエンジンブロック122とトランスアクスル102のトランスアクスルケース118とを接続する図2に示したボルト274に干渉しないようにするために、トランスアクスルケース118との接続部分に切欠276が設けられている。本実施例の駆動装置100が接続されるエンジンが、上記横置きエンジン270のようなV型の横置きエンジンや、車両の後方側にシリンダブロックが傾斜させられた状態で配置される横置き直列エンジンである場合は、他の形式のエンジンの場合に比して、上記ボルト274が上記トランスファケース134により接近する傾向にあるので、トランスファケース134に上記切欠276が設けられることが有効になる。
【0032】
このように、本実施例のトランスファ104においては、前記第1ギヤ部材152のリングギヤマウントケース150の一方の端部140を支持するころがり軸受144が、トランスファケース134の開口部132を通してトランスファケース134に固定される軸受キャップ190とトランスファケース134とにより支持されて固定されるので、トランスファケース134のころがり軸受144を保持するための外周壁の一部を形成する必要がなくなり、開口部132を大きく開口させることができる。このことにより、第1ギヤ部材152および第2ギヤ部材160をトランスファケース134の内部に開口部132を通して挿入し、リングギヤ148およびピニオンギヤ154を噛み合わせた状態でトランスファケース134内に組み付ける組付作業性を向上させることができる。
【0033】
また、上記第1ギヤ部材152を構成するリングギヤマウントケース150の他方の端部142は、上記ころがり軸受146を介して上記トランスファケース134に支持される位置よりも先端側の外周面において、前記トランスアクスル102内の前輪デファレンシャルギヤ装置116のデファレンシャルケース186に設けられ且つ横置きエンジンの出力軸と作動的に連結された円筒状部材188の内周面とスプライン嵌合させられているので、上記第1ギヤ部材152は、第1ギヤ部材152を構成するリングギヤマウントケース150の他方の端部142の他方の端部142の外周面において上記トランスアクスル102の前輪デファレンシャルギヤ装置116のデファレンシャルケース186に設けられた上記円筒状部材188とスプライン嵌合させられることによって横置きエンジンの出力軸と作動的に連結されることになり、たとえば、他方の端部46がその内周面において円筒状部材の外周面とスプライン嵌合させられる従来の駆動装置10に比して、上記第1ギヤ部材152を構成するリングギヤマウントケース150の他方の端部142の外径をその肉厚分だけ小さくでき、延いてはそれに嵌め着けられる上記ころがり軸受146の外径を小さくすることができるので、トランスファケース134のそのころがり軸受146を保持する部分の外形を小型化できる利点がある。
【0034】
また、上記のようにスプライン嵌合が構成される場合には、前記のように開口部132が大きくされることに関連して第1ギヤ部材152を構成するリングギヤマウントケース150の他方の端部142を長くすることができ、スプライン嵌合部をころがり軸受146よりもトランスアクスル102側とすることができるので、上記他方の端部142を支持するころがり軸受146外径を一層小さくできる。そして、このことからその軸受の外周輪を嵌め入れるための環状壁204の外径を小さくすることができる。この環状壁204は第2ギヤ部材160の組付時においてその軸端のピニオンギヤ154との間で組付時の干渉が生じ易い部分であるが、上記のように環状壁204の外径が小さくなることにより、第2ギヤ部材160の組付性が向上する。
【0035】
また、上記第1ギヤ部材152のリングギヤマウントケース150は、その中心軸上に、右前輪の車軸114に接続され、その接続される側の端部172においてトランスファケース134に回転可能に支持される車軸が貫通させられる円筒状の部材であり、その車軸114は、上記リングギヤマウントケース150の上記ころがり軸受144を介してトランスファケース134に支持される位置よりも、右前輪側の位置においてころがり軸受174を介して上記トランスファケース134に回転可能に支持されるので、たとえば車軸24とリングギヤマウントケース32の一方の端部44とが、同じ位置において共通のころがり軸受48を介してトランスファケース40に支持される従来の駆動装置10に比して、上記車軸114が上記トランスファケース134に支持される位置を、その車軸114に接続される右前輪に近づけることができる。このことにより、上記トランスファケース134に回転可能に支持された車軸114に作用する曲げ応力を抑制することができるので、上記車軸114の外径、延いてはリングギヤマウントケース150の一方の端部140の内径を小さくすることができ、上記トランスファケース134の上記ころがり軸受144を保持する部分の外形を一層小型化できる利点がある。
【0036】
また、本実施例のトランスファ104は、上述のように、ころがり軸受144および146を保持する部分の外形を共に小型化できるので、車両前方側の外形を小型化できることになり、図12に示したように、横置きエンジン270のエンジンブロックに接近させて配設することができるので、そのエンジンブロックに接続されるトランスアクスル102およびトランスファ104を含む駆動装置100を全体として小型化できる利点がある。
【0037】
また、本実施例の前記第2ギヤ部材160は、前記ピニオンギヤ154が設けられる一方の端部側において上記トランスファケース134に回転可能に支持されるとともに前記他方の端部156が上記トランスファケース134の外部に突出させられる長手状の部材であって、上記トランスファケース134には、上記第2ギヤ部材160の上記トランスファケース134の外部に突出した部分を覆うエクステンションハウジング130が取り付けられているので、上記第2ギヤ部材160が上記開口部132を通して上記トランスファケース134の内部に挿入されて上記ピニオンギヤ154が設けられた一方の端部側において回転可能に支持される作業を、上記エクステンションハウジング130が上記トランスファケース134に取り付けられていない状態で行なうことができるので、上記エクステンションハウジング130に相当する部分が一体的に形成された前記トランスファケース40を含む従来の駆動装置10に比して、上記第2ギヤ部材160を上記トランスファケース134内に組み付ける際の組付作業性を向上させることができる利点がある。
【0038】
つぎに、本発明の別の実施例を図面に基づいて説明する。
【0039】
前述の実施例のトランスファ104の車両前方側の外形をより小型化するために、図13に示すように、前記トランスファケース134の組合せ面290を車両左右方向から角度θだけ傾斜させるとともに、前記トランスファケースカバー136の、前記軸受キャップ190を覆う部分が、より軸受キャップ190側に位置するようにしてもよい。このようにすれば、トランスファケースカバー136の剛性、延いてはトランスファケース134による前記車軸114、リングギヤマウントケース134等の支持剛性を損なうことなく上記軸受キャップ190の車両前方側のエンジンブロック122とトランスファ104との間の空間をより広くすることができ、この空間内に排気管等の構成を配設する際の自由度を大きくすることができる。
【0040】
つぎに、本発明のさらに別の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、前述の実施例と共通する部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0041】
図14において、駆動装置300は、トランスアクスル302と、トランスファ304とを含んでおり、原動機たる横置きエンジンの出力を前輪および後輪の車軸にそれぞれ伝達するものである。
【0042】
上記トランスアクスル302は、前述の実施例のトランスアクスル102と同様に、図示しない手動変速装置、前輪デファレンシャルギヤ装置等を含んで、上記横置きエンジンに連結されるものであるが、さらに、その内部に前輪と後輪の回転数の違いを許容するための差動装置たるセンタデフ308を含むものである。
【0043】
上記トランスファ304は、上記横置きエンジンの出力を後輪に伝達するものであり、▲1▼トランスアクスルケース118の組合せ面126に密着させられた組合せ面128を備えて上記トランスアクスル302の車両右方側に接続され且つ車両後方側に前記エクステンションハウジング130が取り付けられるとともに車両前方側へ開く開口部132を有するトランスファケース310と、▲2▼前記トランスファケースカバー136と、▲3▼一方の端部314および他方の端部316において、それぞれころがり軸受318および320を介して上記トランスファケース310に回転可能に支持された概して円筒状のリングギヤマウントケース324と、このリングギヤマウントケース324の軸方向の中間部外周にボルトにより固定された前記リングギヤ148とを含む第1ギヤ部材326と、▲4▼前記第2ギヤ部材160とを含むものである。
【0044】
上記リングギヤマウントケース324の他方の端部316は、前記ころがり軸受320が嵌め着けられている位置よりも先端側の外周面において、前記センタデフ308のギヤ328と一体的に設けられた円筒状部材330の内周面とスプライン嵌合させられている。このスプライン嵌合により、前記横置きエンジンの出力は、上記センタデフ308、リングギヤマウントケース324とリングギヤ148とを含む第1ギヤ部材326、第2ギヤ部材160、前記継手部材158、図示しないプロペラシャフト、図示しない後輪デファレンシャルギヤ装置等を介して後輪に伝達される。
【0045】
上記リングギヤマウントケース324の内部には、上記センタデフ308によって許容される前輪と後輪との回転数の違いを制限し、たとえば前輪と後輪とのいずれか一方の車輪が空転した場合に、他方の車輪に駆動力が伝達されなくなることを好適に抑制する差動制限装置たるビスカスカップリング334が設けられている。ビスカスカップリング334は、上記リングギヤマウントケース324と、リングギヤマウントケース324の内周面の周方向に相対回転不能な状態で取り付けられた複数のアウタープレート336と、リングギヤマウントケース324の内部に中心軸が一致させられ且つ相対回転可能な状態で配設された円筒状部材338と、その円筒状部材338の外周面の周方向に相対回転不能な状態で且つ上記複数のアウタープレート336と交互に組み合わされた状態で取り付けられたインナープレート340とを含んでいる。上記リングギヤマウントケース324と上記円筒状部材338の外周面との間に形成される円筒状の空間は、2つのオイルシール342によって液密が保たれており、内部に高粘性のシリコンオイルが封入されることによって、上記複数のアウタープレート336とインナープレート340とが相対回転させられた場合にそれらの間でトルクが伝達される。
【0046】
上記円筒状部材338の内周面は、上記リングギヤマウントケース324と前記右前輪の車軸114との間に嵌入されるとともに前記トランスアクスル302側の端部344において前記前輪デファレンシャルギヤ装置のデファレンシャルケース346と作動的に接続された長手状の管状部材348の、前記トランスファ304側の端部350の外周面とスプライン嵌合させられている。このことから、前述のように前記センタデフ308によって許容される上記デファレンシャルケース346と上記リングギヤマウントケース324との回転数の違いが制限されるので、上記ビスカスカップリング334がセンタデフ308の差動制限装置として機能するのである。
【0047】
上記リングギヤマウントケース324の一方の端部314に嵌め着けられたころがり軸受318は、リング状のスペーサ356とともに、上記トランスファケース310に上記開口部132を通して車両前方側から取り付けられる固定部材たる軸受キャップ360と上記トランスファケース310に設けられた円環状の受面362との間に挟持されている。なお、上記ころがり軸受318と上記スペーサ356との間にはシム364が嵌装され、また、上記リングギヤマウントケース324の他方の端部316に嵌め着けられたころがり軸受320と上記トランスファケース310との間にはシム366が嵌装されており、それら2つのシム364、366や上記スペーサ356の厚さを調整することによって、上記2つのころがり軸受318、320の予圧が調整される。
【0048】
以上のように構成された上記トランスファ304は、図1、図2等に示した前述の実施例のトランスファ104と同様の手順で組み立てられる。
【0049】
このように、本実施例の駆動装置300のトランスファ304においては、第1ギヤ部材326を構成するリングギヤマウントケース324の一方の端部314を支持するころがり軸受318が、トランスファケース324の開口部132を通してトランスファケース310に固定される軸受キャップ360とトランスファケース310とにより支持されて固定されるので、トランスファケース310のころがり軸受318を保持するための外周壁の一部を形成する必要がなくなり、開口部132を大きく開口させることができる。このことにより、第1ギヤ部材326および第2ギヤ部材160をトランスファケース310の内部に開口部132を通して挿入し、リングギヤ148およびピニオンギヤ154を噛み合わせた状態でトランスファケース310内に組み付ける組付作業性を向上させることができる。
【0050】
また、上記第1ギヤ部材326を構成するリングギヤマウントケース324の他方の端部316は、前記ころがり軸受320を介して上記トランスファケース324に支持される位置よりも先端側の外周面において、前記トランスアクスル302内の前記センタデフ308を構成するギヤ328と一体的に設けられ且つ横置きエンジンの出力軸と作動的に連結された円筒状部材330の内周面とスプライン嵌合させられることによって、前記横置きエンジンの出力軸と作動的に連結されており、たとえば他方の端部46がその内周面において円筒状部材の外周面とスプライン嵌合させられる従来の駆動装置10に比して、上記リングギヤマウントケース324の他方の端部316の外径、延いてはそれに嵌め着けられる上記ころがり軸受320の外径を小さくすることができ、トランスファケース310のころがり軸受320を保持する部分の外形を小型化できるという利点がある。
【0051】
また、上記のようにスプライン嵌合が構成される場合には、前記のように開口部132が大きくされることに関連して第1ギヤ部材326を構成するリングギヤマウントケース324の他方の端部316を長くすることができ、スプライン嵌合部をころがり軸受320よりもトランスアクスル302側とすることができるので、上記他方の端部316を支持するころがり軸受320の外径を一層小さくできる。そして、このことからそのころがり軸受320の外周輪を嵌め入れるための環状壁204の外径を小さくすることができる。この環状壁204は第2ギヤ部材160の組付時においてその軸端のピニオンギヤ154との間で組付時の干渉が生じ易い部分であるが、上記のように環状壁204の外径が小さくなることにより、第2ギヤ部材160の組付性が向上する。
【0052】
また、上記第1ギヤ部材326は、前述の実施例と同様に、その中心軸上に、前記右前輪の車軸114に接続され、その接続される側の端部172においてトランスファケース310に回転可能に支持される車軸114が貫通させられる円筒状の部材であり、その車軸114は、上記リングギヤマウントケース324の上記ころがり軸受318を介してトランスファケース310に支持される位置よりも、右前輪側の位置においてころがり軸受174を介して上記トランスファケース310に回転可能に支持されるので、たとえば上記車軸24と第1ギヤ部材32の一方の端部44とが、同じ位置において共通のころがり軸受48を介してトランスファケース40に支持される従来の駆動装置10に比して、上記車軸114が上記トランスファケース310に支持される位置を、その車軸114に接続される右前輪に近づけることができる。このことにより、上記トランスファケース310に回転可能に支持された車軸114に作用する曲げ応力を抑制することができるので、上記車軸114の外径、延いてはリングギヤマウントケース324の一方の端部314の内径を小さくすることができ、上記トランスファケース310の上記ころがり軸受318を保持する部分の外形を一層小型化できる利点がある。
【0053】
本実施例のトランスファケース310は、上述のように、ころがり軸受318および320を保持する部分の外形を共に小型化できるので、前記トランスファ304の車両前方側の外形を小型化できることになり、前述の実施例の場合と同様に、エンジンブロックに接近させて配設することができるので、エンジンブロックに接続されるトランスアクスル302およびトランスファ304を含む駆動装置300を全体として小型化できる利点がある。
【0054】
また、前記第2ギヤ部材160は、一方の端部に上記第1ギヤ部材326のリングギヤ146と噛み合わされる前記ピニオンギヤ154を備え且つ他方の端部156にプロペラシャフトとの連結部158が作動的に連結されて上記ピニオンギヤ154側において上記トランスファケース310に回転可能に支持されるとともに上記他方の端部156が上記トランスファケース310の外部に突出させられる長手状の部材であって、上記トランスファケース310には、上記第2ギヤ部材160の上記トランスファケース310の外部に突出した部分を覆うエクステンションハウジング130が取り付けられているので、上記第2ギヤ部材160が上記開口部132を通して上記トランスファケース310の内部に挿入されて上記ピニオンギヤ154側において回転可能に支持される作業を、上記エクステンションハウジング130が上記トランスファケース310に取り付けられていない状態で行なうことができるので、たとえば上記エクステンションハウジング130に相当する部分が一体的に形成された前記トランスファケース40を含む従来の駆動装置10に比して、上記第2ギヤ部材160を上記トランスファケース310内に組み付ける際の組付作業性を向上させることができる利点がある。
【0055】
また、本実施例の駆動装置300は、前輪と後輪との回転数の違いを制限するビスカスカップリング334を、前記第1ギヤ部材326のリングギヤマウントケース324の内部において含んでおり、ビスカスカップリングを上記トランスファ304の外形を大きくすることなくトランスファ304に内蔵することができるので、たとえばビスカスカップリングをトランスファ14の外部に備える従来の駆動装置10に比して、駆動装置300を全体として小型化できる利点がある。また、本実施例の駆動装置300において、前述のように、上記ビスカスカップリング334は前輪と後輪との回転数の違いを制限する差動制限装置として機能するものであるが、たとえば上記従来の駆動装置10や前述の実施例の駆動装置100のように、駆動装置がトランスファの内部に差動装置を有しないものである場合は、ビスカスカップリングを差動制限装置としてトランスファ304に内蔵させる代わりに、差動装置として内蔵させるようにしてもよい。この場合には、ビスカスカップリングが差動制限装置としての機能も兼ねることになり、駆動装置の構成を簡略化できる。
【0056】
その他、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の発明の駆動装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の駆動装置のトランスファを拡大して示す図4のI−I視断面図である。
【図3】上記トランスファの車両前方視を示す図である。
【図4】上記トランスファの車両左側方視を示す図である。
【図5】図2のJ−J視断面図である。
【図6】図2に示したスペーサの形状を示す図である。
【図7】上記スペーサが上記トランスファのトランスファケースに取り付けられた状況を車両左側方視として示す図である。
【図8】図7のK−K視断面図である。
【図9】上記トランスファケースの開口部を塞ぐトランスファケースカバーの形状を示す図である。
【図10】上記トランスファが組み立てられる状況を示す図である。
【図11】上記トランスファが組み立てられる状況を示す図である。
【図12】上記トランスファと原動機たる横置きエンジンとの相対位置を車両左側方視として示す図である。
【図13】上記トランスファケースおよびトランスファケースカバーの別の実施例を示す断面図である。
【図14】本願の発明の別の実施例である駆動装置を示す断面図である。
【図15】従来の駆動装置の一例を示す断面図である。
【符合の説明】
100:駆動装置
102:トランスアクスル
104:トランスファ
132:開口部
134:トランスファケース
136:トランスファケースカバー
144、146:ころがり軸受(軸受)
152:第1ギヤ部材
160:第2ギヤ部材
190:軸受キャップ(固定部材)
Claims (1)
- トランスアクスルに連結されたトランスファケースと、
該トランスファケースの車両前方側に形成された開口部と、
前記開口部を塞ぐトランスファケースカバーと、
両端部が前記トランスファケース内に軸受を介して回転可能に支持された長手状の第1ギヤ部材と、
前記第1ギヤ部材と噛み合わされた状態で前記トランスファケースに回転可能に支持された第2ギヤ部材とを含む四輪駆動車の駆動装置において、
前記第1ギヤ部材の両端部を支持する前記軸受の一方が、前記開口部を通して前記トランスファケースに固定されることにより該一方の軸受の外輪を該トランスファケースとの間に挟持する固定部材によって、前記トランスファケースに取り付けられ、
該開口部の前記第1ギヤ部材の長手方向における端部であって前記一方の軸受側の端部が、該一方の軸受の外輪よりも外側に位置させられていることを特徴とする四輪駆動車の駆動装置。
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