JP2021030850A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルシールとダンパ部材の設置位置を最適化することにより、動力伝達部材と出力部材の軸長が長くなることを防止でき、小型化を図ることができる車両用動力伝達装置を提供すること。【解決手段】トランスファ装置5において、出力部材64は、フランジ部66と、フランジ部66からトランスファピニオン軸56の軸方向に沿って延びる円筒部65とを有する。リング部材78は、円筒部65の外周部に位置してフランジ部66に圧入されており、オイルシール75は、切換機構ケース46とフランジ部66との間の開口を閉塞するように切換機構ケース46とリング部材78の間に設置されている。ダンパ部材68は、エンジン2の変動を吸収するようにハブ59と円筒部65との間に設置されており、ダンパ部材68は、出力部材64の軸方向でオイルシール75に重なっている。【選択図】図6

Description

本発明は、車両用動力伝達装置に関する。
駆動源から伝達される動力を前輪に伝達する二輪駆動と、前輪および後輪に伝達する四輪駆動とに切換えるトランスファが知られている(特許文献1参照)。
このトランスファは、エンジンから動力が伝達される動力伝達軸にスプライン嵌合されたインナハブと、インナハブの外周部にインナハブと同軸上に設けられ、外周面に動力伝達歯を有するアウターハブとを有するクラッチハブを備えている。
動力伝達軸と同軸上には、動力伝達歯を有するアウトプットギヤを有し、後輪に動力を伝達する動力出力軸が設けられている。
アウトプットギヤの動力伝達歯には二駆−四駆切換用のシフトスリーブが常時噛み合っており、四輪駆動時には二駆−四駆切換用のシフトスリーブがアウトプットギヤの動力伝達歯とアウターハブの動力伝達歯の両方に噛み合うことにより、動力伝達軸から動力出力軸に動力を伝達可能となっている。
インナハブとアウターハブの間には、インナハブとアウターハブを周方向に回転可能に結合する緩衝部材が介装されている。インナハブとアウターハブの間にエンジンのトルク変動等に起因する回転変動が発生すると、緩衝部材が弾性変形することにより、動力伝達軸の回転変動を吸収する。
実開昭60−23321号公報
このような従来のトランスファにあっては、動力伝達軸に緩衝部材を設置しているので、緩衝部材の分だけ動力伝達軸が軸方向に長くなる。さらに、動力伝達軸の軸方向にオイルシール等のトランスファ装置を構成する部品が設置されている場合には、オイルシール等の分だけ動力伝達軸が軸方向にさらに長くなる。このため、トランスファが大型化するおそれがある。
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、オイルシールとダンパ部材の設置位置を最適化することにより、動力伝達部材と出力部材の軸長が長くなることを防止でき、小型化を図ることができる車両用動力伝達装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、ケース部材と、前記ケース部材に回転自在に収容され、駆動源から動力が伝達される動力伝達部材と、前記動力伝達部材と同軸上に設けられ、前記動力伝達部材から動力が伝達される出力部材と、リング部材と、オイルシールと、ダンパ部材とを備えた車両用動力伝達装置であって、前記出力部材が、フランジ部と、前記フランジ部よりも小径に形成され、前記フランジ部から前記動力伝達部材の軸方向に沿って延びる円筒部とを有し、前記リング部材は、前記円筒部の外周部に位置して前記フランジ部に圧入されており、前記オイルシールは、前記ケース部材と前記フランジ部との間の開口を閉塞するように前記ケース部材と前記リング部材の間に設置されており、前記ダンパ部材は、前記駆動源の変動を吸収するように前記動力伝達部材と前記円筒部との間に設置されており、前記ダンパ部材が、前記出力部材の軸方向で前記オイルシールに重なることを特徴とする。
このように上記の本発明によれば、オイルシールとダンパ部材の設置位置を最適化することにより、動力伝達部材と出力部材の軸長が長くなることを防止でき、車両用動力伝達装置の小型化を図ることができる。
図1は、本発明の一実施例に係る車両用動力伝達装置を搭載した車両の平面図である。 図2は、本発明の一実施例に係る車両用動力伝達装置の分解斜視図である。 図3は、本発明の一実施例に係る車両用動力伝達装置の平面図である。 図4は、本発明の一実施例に係る車両用動力伝達装置の右側面図である。 図5は、図3のV−V方向矢視断面図である。 図6は、図4のVI−VI方向矢視断面図である。 図7は、本発明の一実施例に係る車両用動力伝達装置を構成するサークリップ、円筒部材、ドッグ、ダンパ部材および出力部材の分解斜視図である。 図8は、本発明の一実施例に係る車両用動力伝達装置の四輪駆動時の動力伝達経路を示す図である。 図9は、本発明の一実施例に係る車両用動力伝達装置を示す図であり、切換機構をトランスファ装置から取り外した状態を示す図である。 図10は、本発明の一実施例に係る車両用動力伝達装置を示す図であり、潤滑用のオイルの流れを示す図である。
本発明の一実施の形態例に係る車両用動力伝達装置は、ケース部材と、ケース部材に回転自在に収容され、駆動源から動力が伝達される動力伝達部材と、動力伝達部材と同軸上に設けられ、動力伝達部材から動力が伝達される出力部材と、リング部材と、オイルシールと、ダンパ部材とを備えた車両用動力伝達装置であって、出力部材が、フランジ部と、フランジ部よりも小径に形成され、フランジ部から動力伝達部材の軸方向に沿って延びる円筒部とを有し、リング部材は、円筒部の外周部に位置してフランジ部に圧入されており、オイルシールは、ケース部材とフランジ部との間の開口を閉塞するようにケース部材とリング部材の間に設置されており、ダンパ部材は、駆動源の変動を吸収するように動力伝達部材と円筒部との間に設置されており、ダンパ部材が、出力部材の軸方向でオイルシールに重なる。
これにより、本発明の一実施の形態に係る車両用動力伝達装置は、オイルシールとダンパ部材の設置位置を最適化することにより、の軸長が長くなることを防止でき、車両用動力伝達装置の小型化を図ることができる。
以下、本発明の一実施例に係る車両用動力伝達装置について、図面を用いて説明する。
図1から図10は、本発明の一実施例に係る車両用動力伝達装置を示す図である。図1から図10において、上下前後左右方向は、車両用動力伝達装置を備えた車両の進行する方向を前、後退する方向を後とした場合に、車両の幅方向が左右方向、車両の高さ方向が上下方向である。
まず、構成を説明する。
図1に示すように、車両1は、エンジン2と、動力伝達機構10と、左右の前輪8L、8Rと、左右の後輪9L、9Rとを含んで構成されている。本実施例の前輪8L、8Rは、本発明の主駆動輪を構成し、後輪9L、9Rは、本発明の副駆動輪を構成する。
車両1は、車両前部に配置したエンジン2から出力された動力によって左右の前輪8L、8Rおよび左右の後輪9L、9Rを駆動する。
エンジン2は、例えば、図示しないピストンが気筒を2往復する間に吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行う4サイクルエンジンであって、車両1の前後軸に対して横置き配置されている。
ピストンは、図示しないコネクティングロッドおよびクランク軸と連結されており、エンジン2の動力がクランク軸から動力伝達機構10のトランスミッション3に出力される。本実施例のエンジン2、本発明の駆動源を構成する。
動力伝達機構10は、トランスミッション3と、フロントディファレンシャル4と、車両用トランスファ装置(以下、トランスファ装置という)5と、左右のフロントドライブ軸6L、6Rと、左右のリヤドライブ軸7L、7Rと、プロペラ軸11と、リヤディファレンシャル12とを含んで構成されている。本実施例のトランスファ装置5は、本発明の車両用動力伝達装置を構成する。
トランスミッション3は、変速機構31と、インプット軸32と、カウンタ軸33と、ファイナルドライブギヤ34と、リバース軸35と、これらの構成要素を収容する変速機ケース36とを含んで構成されている。
変速機構31は、インプット軸32に設けられた複数の入力ギヤと、カウンタ軸33に設けられた入力ギヤに噛み合う複数のカウンタギヤと、リバース軸35に設けられたリバースギヤとによって構成されている。
インプット軸32、カウンタ軸33およびリバース軸35は、変速機ケース36に回転自在に支持されている。
変速機構31は、インプット軸32に入力されたエンジン2の動力を入力ギヤおよびカウンタギヤを介して変速し、カウンタ軸33のファイナルドライブギヤ34を介してフロントディファレンシャル4に出力する。
フロントディファレンシャル4は、ファイナルドライブギヤ34に噛み合うファイナルドリブンギヤ37と、外周部にファイナルドリブンギヤ37が取付けられ、ファイナルドリブンギヤ37と一体で回転するデフケース38を有する。
フロントディファレンシャル4は、デフケース38に固定されるピニオン軸40と、 ピニオン軸40に回転自在に支持される一対のピニオンギヤ39A、39Bと、ピニオンギヤ39A、39Bに噛み合い、ピニオンギヤ39A、39Bから伝達される動力を左右のフロントドライブ軸6L、6Rを介して前輪8L、8Rに分配する一対のサイドギヤ40A、40Bとを有する。
フロントドライブ軸6Lは、サイドギヤ40Aに連結されおり、サイドギヤ40Aと一体で回転する。サイドギヤ40Bにはインタミ軸41(図2参照)が連結されており、インタミ軸41は、サイドギヤ40Bと一体で回転する。
フロントドライブ軸6Rは、インタミ軸41に連結されており、フロントドライブ軸6Rは、インタミ軸41と一体で回転する。
図2から図4に示すように、トランスファ装置5は、トランスファケース45および切換機構ケース46を備えている。
切換機構ケース46は、ボルト47によってトランスファケース45に取付けられており、トランスファケース45は、ボルト48によって変速機ケース36に取付けられている。本実施例のトランスファケース45および切換機構ケース46は、本発明のケース部材を構成する。
図6に示すように、インタミ軸41は、トランスファケース45に挿通されて車幅方向に延びている。
トランスファケース45には中空形状のリダクションドライブ軸51が収容されており、リダクションドライブ軸51は、玉軸受52A、52Bを介してトランスファケース45に回転自在に支持されている。
リダクションドライブ軸51の内部にはインタミ軸41が挿通されており、インタミ軸41は、玉軸受52Cを介してトランスファケース45に回転自在に支持されている。
リダクションドライブ軸51の左端部にはデフケース38の外周部がスプライン嵌合される嵌合部51Aが設けられており、リダクションドライブ軸51は、デフケース38と一体で回転する。
リダクションドライブ軸51の軸方向の中央部にはリダクションドライブギヤ51Bが設けられており、リダクションドライブギヤ51Bは、リダクションドライブ軸51と一体で回転する。
トランスファケース45にはリダクションドリブン軸53とベベルギヤ54が収容されている。リダクションドリブン軸53は、円錐ころ軸受55A、55Bによってトランスファケース45に回転自在に支持されている。
リダクションドリブン軸53にはリダクションドリブンギヤ53Aが設けられており、リダクションドリブンギヤ53Aは、リダクションドリブン軸53と一体で回転する。
リダクションドリブンギヤ53Aは、リダクションドライブギヤ51Bに噛み合っており、リダクションドリブンギヤ53Aにはリダクションドライブギヤ51Bから動力が伝達される。
ベベルギヤ54は、リダクションドリブン軸53にスプライン嵌合されており、リダクションドリブン軸53と一体で回転する。
トランスファケース45にはトランスファピニオン軸56が収容されており、トランスファピニオン軸56は、スラスト玉軸受57を介してトランスファケース45に回転自在に支持されている。
トランスファピニオン軸56は、リダクションドリブン軸53の軸方向と直交しており、車両1の前後方向に延びている。トランスファピニオン軸56の前端部にトランスファピニオンギヤ56Aが設けられており、トランスファピニオンギヤ56Aは、ベベルギヤ54に噛み合っている。本実施例のトランスファピニオン軸56は、本発明の入力軸を構成する。
図5に示すように、スラスト玉軸受57に対してトランスファピニオンギヤ56Aと反対側にはドッグ58が設けられている。ドッグ58は、トランスファピニオン軸56の外周面にスプライン嵌合されており、トランスファピニオン軸56と一体で回転する。
ドッグ58の外周面には外周スプライン58aが形成されている。トランスファピニオン軸56の外周部にはハブ59が設けられている。ハブ59は、トランスファピニオン軸56の軸方向で前後方向の隙間を介してドッグ58に対向しており、ドッグ58と同軸上に設けられている。
図7に示すように、ハブ59は、円筒状の大径部59Aと、大径部よりも小径の円筒状の小径部59Bとを有する。小径部59Bの外周部には外周スプライン59aが形成されており、小径部59Bの内周部には内周スプライン59bが形成されている。
図6に示すように、ドッグ58とハブ59の外周部にはシフトスリーブ60(図2参照)が設けられている。シフトスリーブ60の内周面には内周スプライン60aが形成されており、内周スプライン60aは、ハブ59の外周スプライン59aと常時、噛み合っている。
図2に示すように、シフトスリーブ60は、シフトフォーク61に取付けられている。シフトフォーク61は、シフト軸62に取付けられており、シフト軸62は、軸方向に移動自在となるようにトランスファケース45に摺動自在に設けられている。
トランスファケース45の上部には電動アクチュエータ63が設けられている(図5参照)。電動アクチュエータ63は、例えば、電動モータから構成されている。電動アクチュエータ63は、先端部にピニオンギヤ63aを有するモータ軸63Aを備えている。シフト軸62の軸方向にはラック歯62aが形成されており(図8参照)、ラック歯62aにはピニオンギヤ63aが噛み合っている。
電動アクチュエータ63によってピニオンギヤ63aが回転されると、シフト軸62は、軸方向に進退自在となっており、シフトスリーブ60は、トランスファピニオン軸56の軸方向に移動自在となっている。
図5に示すように、トランスファピニオン軸56の外周部には中空形状の出力部材64が設けられている。図7に示すように、出力部材64は、小径の円筒部65と、円筒部65の後端から径方向外方に突出する筒状のフランジ部66とを有する。換言すれば、円筒部65は、フランジ部66から出力部材64の軸方向に向かってフランジ部66から離れる方向に延びている。
出力部材64の内周部、ドッグ58の内周部およびハブ59の内周部にはトランスファピニオン軸56が挿通されている。ここで、トランスファピニオン軸56、ドッグ58、ハブ59および出力部材64は、軸方向が平行となるように設置されている。
円筒部65の外周面には外周スプライン65aが形成されており、外周スプライン65aは、ハブ59の内周スプライン59bに嵌合している。
出力部材64とトランスファピニオン軸56の間には一対の玉軸受67A、67Bが設けられている。出力部材64は、玉軸受67A、67Bを介してトランスファピニオン軸56に回転自在に支持されており、トランスファピニオン軸56と相対回転する。本実施例の玉軸受67A、67Bは、本発明の軸受を構成する。
出力部材64の外周スプライン65aとハブ59の内周スプライン59bは、周方向に隙間が形成されており、ハブ59と出力部材64の相対回転は、外周スプライン65aとハブ59の内周スプライン59bの周方向の隙間によって第1の所定角度θ1に規制される。
ドッグ58、ハブ59、出力部材64は、切換機構ケース46に収容されており、シフト軸62は、トランスファケース45から切換機構ケース46に突出している。
図1に示すように、出力部材64にはプロペラ軸11の前端部が連結されており、プロペラ軸11は、出力部材64と一体で回転する。プロペラ軸11の途中にはビスカスカップリング81が設けられている。
プロペラ軸11の後端部にリヤディファレンシャル12が設けられており、リヤディファレンシャル12は、プロペラ軸11から伝達された動力をリヤドライブ軸7L、7Rを介して後輪9L、9Rに分配する。
電動アクチュエータ63によってシフトスリーブ60がトランスファピニオンギヤ56Aから離れる方向に移動されると、図6に示すように、シフトスリーブ60の内周スプライン60aは、ハブ59の外周スプライン59aのみに嵌合される。
このとき、ドッグ58からハブ59への動力の伝達が遮断され、エンジン2の動力は、プロペラ軸11に伝達されない。
具体的には、フロントディファレンシャル4によって分配される一方の動力は、フロントドライブ軸6Lから前輪8Lに伝達され、フロントディファレンシャル4によって分配される他方の動力は、インタミ軸41からフロントドライブ軸6Rを介して前輪8Rに伝達される。
また、デフケース38からリダクションドライブ軸51に伝達される動力は、リダクションドライブギヤ51Bからリダクションドリブンギヤ53A、リダクションドリブン軸53、ベベルギヤ54、トランスファピニオンギヤ56A、トランスファピニオン軸56を介してドッグ58に伝達される。
シフトスリーブ60の内周スプライン60aがハブ59の外周スプライン59aのみに嵌合された状態では、ドッグ58からハブ59への動力の伝達が遮断され、エンジン2の動力が、プロペラ軸11に伝達されない。この状態では、ハブ59から出力部材64を介してプロペラ軸11に動力が伝達されないので、車両1は、二輪駆動で走行する。
一方、電動アクチュエータ63によってシフトスリーブ60がトランスファピニオンギヤ56A側に移動されると、シフトスリーブ60の内周スプライン60aは、ドッグ58の外周スプライン58aおよびハブ59の外周スプライン59aに嵌合される(図5参照)。
このとき、エンジン2の動力が、ドッグ58からハブ59、出力部材64、プロペラ軸11、リヤディファレンシャル12、リヤドライブ軸7L、7Rを介して後輪9L、9Rに伝達される。これにより、車両1は、四輪駆動で走行する。
本実施例のドッグ58、ハブ59およびシフトスリーブ60は、二輪駆動と四輪駆動の切換えを行う切換機構を構成している。
図6において、ハブ59と出力部材64の間にはエンジン2の回転やトルクの変動を吸収するダンパ部材68が設置されている。本実施例のトランスファ装置5は、ドッグ58がエンジン2に連絡されており、ハブ59は、ダンパ部材68を介して後輪9L、9Rに連絡されている。換言すれば、ダンパ部材68は、ドッグ58よりもエンジン2の動力伝達経路上において下流側に設置されている。
図7に示すように、ダンパ部材68は、アウタリング68Aと、インナリング68Bと、アウタリング68Aとインナリング68Bの間に設けられ、アウタリング68Aとインナリング68Bに圧着されたゴム等の弾性体68Cとから構成されている。
インナリング68Bは、弾性体68Cの前端から前方に突出する環状突部68aを有し、環状突部68aの内周面には内周スプライン68sが形成されている。
図5に示すように、アウタリング68Aは、ハブ59の大径部59Aの内周面に圧入されており、ダンパ部材68は、ハブ59と一体で回転する。
ダンパ部材68の内周スプライン68sは、出力部材64の外周スプライン65aに嵌合されている。ダンパ部材68の内周スプライン68sと出力部材64の外周スプライン65aは、周方向に隙間が形成されている。
この隙間は、出力部材64の外周スプライン65aとハブ59の内周スプライン59bの周方向の隙間よりも小さく形成されている。
これにより、ダンパ部材68と出力部材64の相対回転は、出力部材64の外周スプライン65aとダンパ部材68のインナリング68Bの内周スプライン68sの周方向の隙間によって第1の所定角度θ1よりも小さい第2の所定角度θ2に規制される。
ダンパ部材68のインナリング68Bの内周面と出力部材64の円筒部65の間には微小な隙間が形成されており、オイルが通過可能となっている。
ハブ59と出力部材64との間であって、ハブ59と出力部材64の前端には、円筒部材69が、出力部材64と相対回転自在に設置されており、円筒部材69は、出力部材64に対してハブ59の偏心を防止している。円筒部材69は、トランスファピニオン軸56の軸方向でハブ59の内周スプライン59bと重なっている。
本実施例のドッグ58は、本発明の第1の動力伝達部材を構成し、ハブ59は、本発明の動力伝達部材および第2の動力伝達部材を構成する。ドッグ58の外周スプライン58aは、本発明の第1の外周スプラインを構成し、ハブ59の外周スプライン59aは、本発明の第2の外周スプラインを構成する。シフトスリーブ60の内周スプライン60aは、本発明の第1の内周スプラインを構成する。
トランスファピニオン軸56の軸方向の中央部にはナット70が締結されている。ナット70は、ドッグ58の後端部に当接しており、トランスファピニオンギヤ56Aは、スラスト玉軸受57のインナレース57Aの前端部に当接している。本実施例のナット70は、本発明の締結部材を構成する。
トランスファピニオン軸56は、ナット70とトランスファピニオンギヤ56Aがスラスト玉軸受57およびドッグ58を挟持することにより、軸方向に位置決めされてトランスファケース45に取付けられ、ドッグ58と一体で回転する。
トランスファピニオン軸56の軸方向中央部にトランスファピニオン軸56の外周面において周方向に延びる段部56aが形成されており、段部56aには玉軸受67Bのインナレース67cの前端部が当接している。
出力部材64の円筒部65とフランジ部66の連絡部には出力部材64の周方向に延びる段部64aが形成されており、段部64aは、ダンパ部材68の後端部とトランスファピニオン軸56の軸方向で重なる位置に設けられている。段部64aにはダンパ部材68の後端部が当接している。また、ハブ59とダンパ部材68とを相対回転させるために、ハブ59の大径部59Aと小径部59Bの連絡部とダンパ部材68との間に軸方向の隙間が形成されている。
出力部材64の円筒部65には出力部材64の内周面において周方向に延びる段部65bが形成されており、段部65bには玉軸受67Aのアウタレース67bの前端部(軸受の軸方向一端部)が当接している。出力部材64のフランジ部66の内周面にはサークリップ74が設けられており、サークリップ74は、玉軸受67Aのアウタレース67bの後端部(軸受の軸方向他端部)に当接している。本実施例の段部64aは、本発明の段部を構成する。
すなわち、玉軸受67Aは、アウタレース67bがトランスファピニオン軸56の軸方向で段部65bとサークリップ74に挟持されることにより、トランスファピニオン軸56の軸方向に位置決めされ、トランスファピニオン軸56の軸方向に移動不能となっている。
なお、出力部材64において、玉軸受67Aのアウタレース67bの後端部(軸受の軸方向他端部)に段部65bを形成し、玉軸受67Aのアウタレース67bの前端部(軸受の軸方向一端部)にサークリップ74を設けてもよい。
トランスファピニオン軸56の後端部にナット71が締結されている。ナット71と玉軸受67Aのインナレース67aの間にはスペーサ72が介装されており、玉軸受67Aのインナレース67aと玉軸受67Bのインナレース67cの間にはスペーサ73が介装されている。
玉軸受67Bのインナレース67cの前端部は、段部56aに当接しており、玉軸受67Bのインナレース67cの後端部は、スペーサ73に当接している。
このため、トランスファピニオン軸56の後端部にナット71が締結されると、トランスファピニオン軸56の軸方向において玉軸受67A、67Bがスペーサ72、73を介して段部56aとナット71に挟持される。
これにより、出力部材64がトランスファピニオン軸56の軸方向に位置決めされ、トランスファピニオン軸56の軸方向に移動不能となる。
ダンパ部材68のインナリング68Bの後端部は、出力部材64の段部64aに当接しており、ダンパ部材68のインナリング68Bの前端部は、ハブ59の大径部59Aと小径部59Bの連絡部に当接している。
出力部材64の前端部の外周面にはサークリップ77が設けられており、サークリップ77には円筒部材69の前端部が当接している。円筒部材69の後端部は、ハブ59の内周スプライン59bに当接している。本実施例のサークリップ77は、本発明のクリップ部材を構成する。
これにより、トランスファピニオン軸56の軸方向で円筒部材69とハブ59とダンパ部材68とがサークリップ77と段部64aとに挟持されることにより、ダンパ部材68は、出力部材64に対してトランスファピニオン軸56の軸方向に位置決めされてトランスファピニオン軸56の軸方向に移動不能となっている。
ハブ59の外周部にはリング部材78が設けられている。リング部材78は、出力部材64のフランジ部66の内周部に圧入されており、出力部材64と一体で回転する。
リング部材78の外周部にはオイルシール75が設けられており、オイルシール75は、トランスファピニオン軸56の軸方向、すなわち、出力部材64の軸方向でダンパ部材68に重なっている。換言すれば、オイルシール75は、トランスファピニオン軸56の軸方向と直交する方向でダンパ部材68と並んで設置されている。本実施例のオイルシール75は、本発明のオイルシールを構成する。
本実施例の玉軸受67Aは、トランスファピニオン軸56の軸方向で出力部材64のフランジ部66側に位置しており、玉軸受67Bは、円筒部65の突出方向先端部(前端部)側に位置している。本実施例の玉軸受67Aは、本発明の第1の軸受を構成し、玉軸受67Bは、本発明の第2の軸受を構成する。
オイルシール75は、トランスファピニオン軸56の軸方向で玉軸受67Aの後端部と玉軸受67Bの前端部の間に設置されており、トランスファピニオン軸56の軸方向で玉軸受67Aに重なっている。
具体的には、図5に示すように、オイルシール75は、玉軸受67Aの後端部と玉軸受67Bの前端部とをトランスファピニオン軸56の軸方向で結んだ範囲L内に設置されている。
オイルシール75の内周面は、リング部材78に密着しており、オイルシール75の外周面は、切換機構ケース46に密着している。このため、オイルシール75によって切換機構ケース46と出力部材64のフランジ部66との間の開口が閉塞され、切換機構ケース46の内部がオイルシール75によって密閉される。したがって、切換機構ケース46の内部からオイルが漏出することを防止できる。
オイルシール75の内径は、ハブ59、ダンパ部材68、円筒部材69およびリング部材78の外径よりも大径に形成されている。ダンパ部材68は、トランスファピニオン軸56の軸方向でオイルシール75、リング部材78およびハブ59の大径部59Aに重なっている。
スペーサ72の外周部にはオイルシール79が設けられている。オイルシール79の内周面は、スペーサ72に密着しており、オイルシール79の外周面は、出力部材64のフランジ部66に密着している。
これにより、切換機構ケース46の内部がオイルシール79によって密閉され、出力部材64とスペーサ72の間から切換機構ケース46の内部からオイルが漏出することを防止できる。
トランスファピニオン軸56の内部には潤滑用のオイルが流れるオイル通路56Bが形成されている。オイル通路56Bの前端部は開口しており、オイル通路56Bの後端部は、開口端から玉軸受67Aまで延びている。
トランスファピニオン軸56には放射孔56Cが形成されており、放射孔56Cは、オイル通路56Bから放射方向(径方向)に延び、延びる方向の端部が開口している。
以下、図10を用いて潤滑用のオイルの流れを示す。
図10にトランスファケース45に貯留されるオイルO1の油面と切換機構ケース46に貯留されるオイルO2の油面を示す。
図10のオイルO3で示すように、オイル通路56Bの開口端にはベベルギヤ54によって掻き上げられたオイルが導入され、オイル通路56Bを流れるオイルは、トランスファピニオン軸56の回転による遠心力によって放射孔56Cから外方に吐出される。
スペーサ73には貫通孔73aが形成されており、放射孔56Cから外方に吐出されるオイルは、スペーサ73の貫通孔73aを通って玉軸受67Aと玉軸受67Bの間の空間に導入される(オイルO4参照)。これにより、玉軸受67Aと玉軸受67Bがオイルによって潤滑される。
出力部材64の円筒部65には貫通孔65cが形成されており、玉軸受67Aと玉軸受67Bの間の空間に導入されるオイルは、貫通孔65cから吐出され、ダンパ部材68のインナリング68Bの内周スプライン68sと出力部材64の外周スプライン65aを潤滑する(オイルO5参照)。
出力部材64とフランジ部66とリング部材78の間の空間にはオイル溜まり76が形成されている。具体的には、リング部材78は、オイル溜まり76の外周部に設けられており、出力部材64とフランジ部66の空間を外方から囲むことで、オイル溜まり76内にオイルが一時的に貯留される。
内周スプライン68sと外周スプライン65aを潤滑したオイルは、出力部材64の円筒部65とダンパ部材68のインナリング68Bの間の隙間を通ってダンパ部材68と出力部材64のフランジ部66の間のオイル溜まり76に一時的に貯留される(オイルO6参照)。
一方、貫通孔65cから吐出されたオイルは、ハブ59の内周スプライン59bと出力部材64の外周スプライン65aを潤滑した後、出力部材64と円筒部材69の間の隙間を通過し、ドッグ58とハブ59の間の隙間を通って径方向外方に吐出される(オイルO7参照)
ドッグ58とハブ59の間の隙間から径方向外方に吐出されたオイルは、ドッグ58の外周スプライン58aおよびハブ59の外周スプライン59aとシフトスリーブ60の内周スプライン60aとを潤滑する。
次に、作用を説明する。
車両1の二輪駆動時にはシフトスリーブ60の内周スプライン60aがハブ59の外周スプライン59aのみに噛み合っている(図6参照)。
二輪駆動から四輪駆動に切換えるには、電動アクチュエータ63によってシフト軸62が軸方向前方に駆動するようにシフト軸62を駆動し、シフトスリーブ60を前側に移動させる。
ドッグ58とハブ59が同期されると、シフトスリーブ60の内周スプライン60aがドッグ58の外周スプライン58aに噛み合い、ドッグ58とハブ59がシフトスリーブ60を介して連結される。
このとき、エンジン2の動力がトランスミッション3およびフロントディファレンシャル4のデフケース38を介してリダクションドライブ軸51に伝達された後、リダクションドライブギヤ51B、リダクションドリブンギヤ53A、リダクションドリブン軸53、ベベルギヤ54、トランスファピニオン軸56、ドッグ58を介してハブ59に伝達される。
エンジン2の動力は、ハブ59から出力部材64、プロペラ軸11、リヤディファレンシャル12に伝達された後、リヤディファレンシャル12によってリヤドライブ軸7L、7Rに分配された後、後輪9L、9Rに伝達される。図8において、四輪駆動時のトランスファ装置5における動力伝達経路82、83を矢印で示す。
一方、ハブ59の内周スプライン59bと出力部材64の外周スプライン65aによってハブ59と出力部材64の相対回転を第1の所定角度θ1に規制し、出力部材64の外周スプライン65aとダンパ部材68のインナリング68Bの内周スプライン68sによって出力部材64とダンパ部材68の相対回転を第1の所定角度θ1よりも小さい第2の所定角度θ2に規制している。
これにより、四輪駆動時にエンジン2の回転変動やトルク変動がハブ59に入力され、ハブ59と出力部材64が相対回転した場合に、ダンパ部材68の弾性体68Cが弾性変形することにより、エンジン2の回転変動やトルク変動を吸収できる。
このとき、ハブ59からダンパ部材68を介して出力部材64に動力が伝達される。図8において、ダンパ部材68を通して動力が伝達される動力伝達経路83を破線の矢印で示す。
次に、本実施例のトランスファ装置5の効果を説明する。
本実施例のトランスファ装置5は、切換機構ケース46と、切換機構ケース46に回転自在に収容され、エンジン2から動力が伝達されるハブ59と、ハブ59と同軸上に設けられた出力部材64と、リング部材78と、オイルシール75と、ダンパ部材68とを備えている。
出力部材64は、フランジ部66と、フランジ部66よりも小径に形成され、フランジ部66からトランスファピニオン軸56の軸方向に沿って延びる円筒部65とを有する。
リング部材78は、円筒部65の外周部に位置してフランジ部66に圧入されており、オイルシール75は、切換機構ケース46とフランジ部66との間の開口を閉塞するように切換機構ケース46とリング部材78の間に設置されている。
ダンパ部材68は、エンジン2の変動を吸収するようにハブ59と円筒部65との間に設置されており、ダンパ部材68は、出力部材64の軸方向でオイルシール75に重なっている。
このように出力部材64のフランジ部66に圧入されたリング部材78によってトランスファピニオン軸56の軸方向でダンパ部材68とオイルシール75を重ねることができ、
オイルシール75とダンパ部材68の設置位置の最適化を図ることができる。
これにより、トランスファピニオン軸56の軸方向におけるオイルシール75の設置範囲にダンパ部材68を設置することができ、トランスファピニオン軸56、ハブ59および出力部材64等の軸長が長くなることを防止できる。この結果、トランスファ装置5の小型化を図ることができ、トランスファ装置5の車両1の搭載性を向上できる。
また、本実施例のトランスファ装置5によれば、切換機構ケース46は、エンジン2からハブ59に動力を伝達するトランスファピニオン軸56を収容している。
出力部材64のフランジ部66と円筒部65は、中空形状に形成されており、トランスファピニオン軸56は、出力部材64の内周部に設置され、玉軸受67A、67Bを介して出力部材64と相対回転自在となっている。
これにより、出力部材64とダンパ部材68とオイルシール75とをトランスファピニオン軸56の軸方向で重ねることができ、出力部材64の軸長を短くして、出力部材64をトランスファピニオン軸56に支持できる。
このため、トランスファ装置5のより一層の小型化を図ることができ、トランスファ装置5の車両1の搭載性をより効果的に向上できる。
また、本実施例のトランスファ装置5によれば、トランスファピニオン軸56の軸方向でフランジ部66側に位置する玉軸受67Aと、玉軸受67Aに対して円筒部65の突出方向の先端部側に位置する玉軸受67Bとを有し、オイルシール75は、トランスファピニオン軸56の軸方向で玉軸受67Aと重なっている。
出力部材64は、玉軸受67A、67Bに支持されており、玉軸受67Aの後端部と玉軸受67Bの前端部とをトランスファピニオン軸56の軸方向で結んだ範囲L内は、軸方向の偏心が最も少ない。このため、オイルシール75を出力部材64の偏心が最も少ない範囲に設置された玉軸受67Aとトランスファピニオン軸56の軸方向で重ねて設置することにより、オイルシール75が傾くことを防止できる。
このため、オイルシール75のシール性を向上できる上に、リング部材78が接触するオイルシール75の内周面が偏磨耗すること等を防止してオイルシール75の耐久性を向上できる。
また、本実施例のトランスファ装置5は、外周部に外周スプライン58aが形成され、トランスファピニオン軸56と一体で回転するドッグ58を有し、ハブ59は、外周部に外周スプライン59aが形成され、ドッグ58と同軸上に設けられている。
トランスファ装置5は、内周スプライン60aを有してドッグ58とハブ59の軸方向(トランスファピニオン軸56の軸方向)に移動自在に設けられたシフトスリーブ60を有する。
シフトスリーブ60は、二輪駆動時には内周スプライン60aが外周スプライン59aのみに嵌合することにより、ドッグ58から出力部材64への動力の伝達を遮断し、四輪駆動時には内周スプライン60aが外周スプライン58aと外周スプライン59aに嵌合することにより、ドッグ58からハブ59に動力を伝達する。
また、トランスファ装置5によれば、トランスファピニオン軸56の径方向でハブ59と出力部材64との間に、出力部材64と相対回転自在な円筒部材69が設置されており、出力部材64に対し、ハブ59が径方向に偏心することを防止する円筒部材69は、トランスファピニオン軸56の軸方向で外周スプライン59aと重なる位置に設置されている。
これに加えて、トランスファ装置5は、トランスファピニオン軸56の径方向でトランスファピニオン軸56と出力部材64の円筒部65の間に、トランスファピニオン軸56に締結され、トランスファピニオン軸56を切換機構ケース46に固定するナット70が設けられている。
ハブ59と出力部材64との間に出力部材64と相対回転自在な円筒部材69が設置されているので、回転中心であるトランスファピニオン軸56に相対回転自在に設けられた出力部材64に対し、ハブ59が径方向に偏心することを防止できる。これにより、ドッグ58の外周スプライン58aとハブ59の外周スプライン59aが径方向にずれることを防止できる。
このため、二輪駆動から四輪駆動への切換え時にシフトスリーブ60の内周スプライン60aをドッグ58の外周スプライン58aに円滑に噛み合わせることができる。このため、二輪駆動から四輪駆動への切換え性能が低下することを防止できる。
さらに、円筒部材69がトランスファピニオン軸56の軸方向でハブ59の外周スプライン59aと重なっているので、ドッグ58の外周スプライン58aとハブ59の外周スプライン59aが径方向にずれることをより効果的に防止できる。
これに加えて、ナット70と円筒部材69と外周スプライン59aとをトランスファピニオン軸56の軸方向で重ねているので、トランスファピニオン軸56、ハブ59および出力部材64等の軸長が長くなることをより効果的に防止でき、トランスファ装置5のより一層の小型化を図ることができる。
また、本実施例のトランスファ装置5によれば、出力部材64は、円筒部65とフランジ部66の連絡部に位置し、出力部材64の周方向に延びる段部64aと、円筒部65の突出方向の先端部に設けられたサークリップ77とを有する。
また、円筒部材69とハブ59とダンパ部材68とがトランスファピニオン軸56の軸方向で段部64aとサークリップ77に挟持されることにより、円筒部65の外周部に設置されており、オイルシール75の内径は、円筒部材69とハブ59とダンパ部材68の外径よりも大径に形成されている。
これにより、図9に示すように、切換機構ケース46に出力部材64、ハブ59およびダンパ部材68を組付けてユニット化した状態で、出力部材64、ハブ59およびダンパ部材68をオイルシール75の内周面を通してトランスファピニオン軸56やドッグ58に組付けることにより、トランスファ装置5の組付けを行うことができる。
このため、トランスファ装置5の組付け工数を低減して、トランスファ装置5の組付作業時間を短縮でき、トランスファ装置5の組付け作業の作業性を向上できる。
また、本実施例のトランスファ装置5によれば、トランスファピニオン軸56は、トランスファピニオン軸56の軸方向に延び、オイルが流れるオイル通路56Bと、オイル通路56Bからトランスファピニオン軸56の径方向に延び、オイル通路56Bを流れるオイルが吐出される放射孔56Cとを有する。
出力部材64の円筒部65には放射孔56Cからスペーサ73の貫通孔73aを通過したオイルが流れる貫通孔65cが形成されており、ダンパ部材68と出力部材64とリング部材78とによって貫通孔65cを流れたオイルが貯留されるオイル溜まり76が形成されている。
これにより、オイル溜まり76に貯留されたオイルによってダンパ部材68のインナリング68Bと出力部材64の嵌合面の潤滑性能、ハブ59の内周スプライン59bと出力部材64の外周スプライン65aの潤滑性能、円筒部材69と出力部材64の嵌合面の潤滑性能をそれぞれ向上できる。
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1...車両、2...エンジン(駆動源)、5...トランスファ装置(車両用動力伝達装置)、8L,8R...前輪(主駆動輪)、9L,9R...後輪(副駆動輪)、45...トランスファケース(ケース部材)、46...切換機構ケース(ケース部材)、56...トランスファピニオン軸(入力軸)、56B...オイル通路、56C...放射孔、58...ドッグ(第1の動力伝達部材)、58a...外周スプライン(第1の外周スプライン)、59...ハブ(動力伝達部材、第2の動力伝達部材)、59a...外周スプライン(第2の外周スプライン)、60...シフトスリーブ、60a...内周スプライン(第1の内周スプライン)、64...出力部材、64a...段部、65...円筒部、65c...貫通孔、66...フランジ部、67A...玉軸受(第1の軸受)、67B...玉軸受(第2の軸受)、68...ダンパ部材、69...円筒部材、70...ナット(締結部材)、75...オイルシール、77...サークリップ(クリップ部材)、78...リング部材

Claims (6)

  1. ケース部材と、
    前記ケース部材に回転自在に収容され、駆動源から動力が伝達される動力伝達部材と、前記動力伝達部材と同軸上に設けられ、前記動力伝達部材から動力が伝達される出力部材と、リング部材と、オイルシールと、ダンパ部材とを備えた車両用動力伝達装置であって、
    前記出力部材が、フランジ部と、前記フランジ部よりも小径に形成され、前記フランジ部から前記動力伝達部材の軸方向に沿って延びる円筒部とを有し、
    前記リング部材は、前記円筒部の外周部に位置して前記フランジ部に圧入されており、
    前記オイルシールは、前記ケース部材と前記フランジ部との間の開口を閉塞するように前記ケース部材と前記リング部材の間に設置されており、
    前記ダンパ部材は、前記駆動源の変動を吸収するように前記動力伝達部材と前記円筒部との間に設置されており、
    前記ダンパ部材が、前記出力部材の軸方向で前記オイルシールに重なることを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記ケース部材は、前記駆動源から前記動力伝達部材に動力を伝達する入力軸を収容しており、
    前記出力部材の前記フランジ部と前記円筒部は、中空形状に形成されており、
    前記入力軸は、前記出力部材の内周部に設置され、複数の軸受を介して前記出力部材と相対回転自在であることを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
  3. 前記複数の軸受は、前記入力軸の軸方向で前記フランジ部側に位置する第1の軸受と、前記第1の軸受に対して前記円筒部の突出方向の先端部側に位置する第2の軸受とを有し、
    前記オイルシールは、前記入力軸の軸方向で前記第1の軸受と重なることを特徴とする請求項2に記載の車両用動力伝達装置。
  4. 前記駆動源から主駆動輪に動力を伝達する二輪駆動と、前記駆動源から前記主駆動輪および副駆動輪に動力を伝達する四輪駆動に切換え可能な車両用動力伝達装置であって、
    前記動力伝達部材を第2の動力伝達部材とした場合に、外周部に第1の外周スプラインが形成され、前記入力軸と一体で回転する第1の動力伝達部材を有し、
    前記第2の動力伝達部材は、外周部に第2の外周スプラインが形成され、前記第1の動力伝達部材と同軸上に設けられており、
    第1の内周スプラインを有して前記第1の動力伝達部材と前記第2の動力伝達部材の軸方向に移動自在に設けられ、二輪駆動時には前記第1の内周スプラインが前記第2の外周スプラインのみに嵌合することにより、前記第1の動力伝達部材から前記出力部材への動力の伝達を遮断し、四輪駆動時には前記第1の内周スプラインが前記第1の外周スプラインと前記第2の外周スプラインに嵌合することにより、前記第1の動力伝達部材から前記第2の動力伝達部材に動力を伝達するシフトスリーブを有し、
    前記入力軸の径方向で前記第2の動力伝達部材と前記出力部材との間に、前記出力部材と相対回転自在な円筒部材が設置されており、
    前記円筒部材は、前記入力軸の軸方向で前記第2の外周スプラインと重なる位置に設置されており、
    前記入力軸の径方向で前記入力軸と前記出力部材の前記円筒部の間に、前記入力軸に締結され、前記入力軸を前記ケース部材に固定する締結部材が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用動力伝達装置。
  5. 前記出力部材は、前記円筒部と前記フランジ部の連絡部に位置し、前記出力部材の周方向に延びる段部と、前記円筒部の突出方向の先端部に設けられたクリップ部材とを有し、
    前記円筒部材と前記第2の動力伝達部材と前記ダンパ部材とが前記入力軸の軸方向で前記段部と前記クリップ部材に挟持されることにより、前記円筒部の外周部に設置されており、
    前記オイルシールの内径は、前記円筒部材と前記第2の動力伝達部材と前記ダンパ部材の外径よりも大径に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用動力伝達装置。
  6. 前記入力軸は、前記入力軸の軸方向に延び、オイルが流れるオイル通路と、前記オイル通路から前記入力軸の径方向に延び、前記オイル通路を流れるオイルが吐出される放射孔とを有し、
    前記出力部材の前記円筒部にオイルが流れる貫通孔が形成されており、
    前記ダンパ部材と前記出力部材と前記リング部材とによって前記貫通孔を流れたオイルが貯留されるオイル溜まりが形成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の車両用動力伝達装置。
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