JP3632809B2 - 車両用灯火器構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用灯火器構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用灯火器としては、例えば、実開平7−14503号公報「自動車用テールランプ」が知られている。
上記技術は、ランプから照射された直接光と、反射鏡によって反射された反射光の両方を利用することにより、高輝度を得ることのできるテールランプに関するものであり、同公報の第2図に示される通り、車体2の後部に設けたテールランプ1に、このテールランプ1を覆うために車体2表面に合せて形成したアウターレンズ5と、このアウターレンズ5の内側に距離を隔てて設けたインナーレンズ10とを備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、車両の外観性を向上させたいという要望から、アウターレンズとインナーレンズとの組合わせにより、例えば、リヤコンビネーションランプのストップランプ及びターンシグナルランプ等のレンズ色を同系色にすることも考慮されるようになってきたが、有色で且つ異色のレンズの組合わせの場合には、インナーレンズから発せられる光によりアウターレンズの色むらが出やすいという課題があった。
一方、車両の使い勝手の向上のために、例えば、荷室の容積増大が望まれ、上記従来技術に示したアウターレンズ5とインナーレンズ10との距離を小さくする等の灯火器の小型化も必要となってきた。
そこで、本発明の目的は、発光むらを防止するとともに小型化を図った車両用灯火器構造を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1は、バルブの前面を色の異なる内側レンズと外側レンズとでカバーした灯火器において、内側レンズと外側レンズとを略同形状として近接させて設け、内側レンズの外側レンズ面に沿って曲げた角部に、その周囲の肉厚より薄肉にした一つの、光が通過する薄肉部を有する。
内側レンズの薄肉部を通過した光は薄い色の灯火光となり、レンズの他の部分から屈折して薄肉部から放たれる濃い色の灯火光とで正常な濃さの灯火光となり、レンズの角部の発光むらを防止することができる。
【0005】
また、内側レンズと外側レンズとのクリアランスを小さくすると、内側レンズを出た光が拡散しにくく、外側レンズでその光が集中し、発光むらが発生しやすくなる。
更に、内側レンズと外側レンズとのクリアランスを通常より大きくすると、バルブから内側レンズ及び外側レンズをほぼ直進して明るく見える部分の光のうち、内側レンズが光る部分と外側レンズが光る部分との面積差が生じて発光が二重となり発光むらとして見え、通常は、上記2つの発光むらの中庸を採ってきた。しかしながら、上記した構成を備えているため、クリアランスを小さくしても発光むらが生じにくくなり、従って、内側レンズと外側レンズとを近接させることで、発光むらを防止しつつ灯火器を小型化できる。
【0006】
請求項2は、バルブの前面を色の異なる内側レンズと外側レンズとでカバーした灯火器において、内側レンズと外側レンズとを略同形状として近接させて設け、内側レンズの外側レンズ面に対応して曲げた端部に、凹状の湾曲した反射面を有する。
内側レンズ内を進行した光は内側レンズの端部の凹状の湾曲した反射面で拡散し、内側レンズの端部は濃い色にならず、レンズの端部の発光むらを防止することができる。
【0007】
また、上記した構成を備えているため、クリアランスを小さくしても発光むらが生じにくくなり、従って、内側レンズと外側レンズとを近接させることで、発光むらを防止しつつ灯火器を小型化できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るスクータ型車両の側面図である。
スクータ型車両1(以下、「スクータ1」と記す。)は、クレードル型車体フレーム2と、この車体フレーム2のヘッドパイプ3に取付けたフロントフォーク4と、このフロントフォーク4に取付けた前輪5並びにフロントフェンダ6と、フロントフォーク4に連結したハンドル7と、車体フレーム2の各パイプで囲まれたクレードルスペース内に配置した燃料タンク8、ラジエータ用リザーブタンク9並びにラジエータ10とからなる。
【0009】
また、スクータ1は、クレードルスペースの後方に配置し前部に水冷エンジン11を備えたパワーユニット12と、このパワーユニット12の前部を車体フレーム2に取付けるためのリンク機構13と、パワーユニット12の後端部を車体フレーム2に懸架するためのリヤクッション14と、パワーユニット12の後部に取付けた後輪15と、車体フレーム2の後部上部に配置したシート16と、車体フレーム2を覆うボディカバー17とからなる。
【0010】
ボディカバー17は、ヘッドパイプ3の前部及び前輪5の上部を覆うフロントカバー21と、このフロントカバー21の後部を覆うインナカバー22と、運転者の足を載せる低床式足載板としての左右のステップフロア23(この図では手前側だけを示す。以下同じ。)と、これらステップフロア23の外縁から下方へ延ばした左右のフロアスカート24と、これらフロアスカート24の下縁間を覆うアンダーカバー25とからなる。
【0011】
また、ボディカバー17は、インナカバー22から後方へ延ばし車体フレーム2の長手中央を覆うセンターカバー26と、このセンターカバー26から後方へ延ばし車体フレーム2の後部両側面を覆うサイドカバー27と、これらサイドカバー27の外縁から下方へ延ばした左右のロアサイドカバー28と、これらロアサイドカバー28の後方で車体フレーム2の後端下部を覆うリヤセンターカバー29と、このリヤセンターカバー29の上方で車体フレーム2の後端上部を覆うリヤアッパカバー30とからなる。
【0012】
ハンドル7は、ハンドル7を覆うハンドルカバー33と、フロントカバー21の上方でハンドル7に固定した透明のウインドスクリーン34と、このウインドスクリーン34の前面下部に設けたカバー部材としてのスクリーンガーニッシュ35とを備える。
インナカバー22は両側部に、運転者の脚部前方を覆うレッグシールド22aを備える。
【0013】
図中、41はヘッドランプ、42はウインカー、43は給油用リッド、44は点火プラグ点検用リッド、45はメインスタンド、46はエアクリーナ装置であるエアクリーナ、47はリヤグリップ、49はリヤフェンダ、70はリヤコンビネーションランプである。
【0014】
図2は本発明に係る車体後部の灯火器取付構造を示す側面図であり、車体フレーム2後部の上部に上半部51と下半部52とからなる収納箱50を取付け、上半部51の後部壁に灯火器であるリヤコンビネーションランプ70を取付けた状態を示す。
【0015】
上半部51は、シート16を載せる前傾した上縁部53と、車体フレーム2より後方に延長するとともに下方へも延長した後部延長部54とを備える。
下半部52は、車体フレーム2より下方へ膨出した膨出部55と、上半部51の後部延長部54下端を塞ぐ板状部56とを備える。
【0016】
上記上半部51と下半部52の膨出部55とは、収納箱50の主収納部57を形成するものであり、この主収納部57にフルフェイスタイプのヘルメットのような大型のものを収納する。
上記上半部51の後部延長部54と下半部52の板状部56とは、収納箱50を車体フレーム2より後方へ延長するとともに下方へ膨出させた後部収納部58を形成するものであり、この後部収納部58に比較的小さなヘルメットや小物等を収納する。
【0017】
このように、収納箱50を、車体フレーム2より後方へ延長するとともに下方へ膨出させ、この収納箱50の後部外壁54aにリヤコンビネーションランプ70を取付けたことにより、車体フレーム2の全長を小さくすることができ、車体フレーム2の軽量化を図ることができ、車体フレーム2に収納箱50を介してリヤコンビネーションランプ70を取付けることで、車体フレーム2から伝わる振動を低減することができる。
【0018】
図3は本発明に係る車体後部の要部拡大側面図であり、車体フレーム2の後部にボルトB1…(…は複数個を示す。以下同様。)で門形ステー91を取付け、この門形ステー91の上部にボルトB2…でリヤ後面カバーであるリヤアッパカバー30をサイドカバー27(図1参照)及びリヤグリップ47と共締めし、このリヤアッパカバー30の下部をリヤコンビネーションランプ70の係止部70a(図4参照)に係止したことを示す。
【0019】
図4は本発明に係る車体の背面図であり、リヤアッパカバーについては門形ステーへの取付位置における断面のみを示した。
リヤコンビネーションランプ70は、背面視U字形状であり、このU字形状の内側にリヤアッパカバー30(図3参照)を取付け、このリヤアッパカバー30の係止部70aを備えるものであり、左右上部にリヤターンシグナルランプ71,72、下部に横長のストップランプを兼ねるテールランプ73を配置するものである。
【0020】
ここで、71a,72aはリヤターンシグナルランプ用バルブ、73a,73aはテールランプ兼ストップランプ用バルブ、74,74はリヤコンビネーションランプ30の下部に設けたリヤセンタカバー29(図1参照)の取付部、75は下方を照すライセンスランプである。
【0021】
このように、リヤコンビネーションランプ70のU字形状の内側にリヤアッパカバー30の係止部70aを備えたことにより、リヤコンビネーションランプ70にリヤアッパカバー30を取付けやすくなり、また、リヤコンビネーションランプ70とリヤアッパカバー30との外観合わせを容易に行うことができる。
【0022】
図5は本発明に係る車体後部へのリヤコンビネーションランプの取付関係を示す斜視図であり、収納箱50の上半部51は、リヤコンビネーションランプ70の取付位置として、後部外壁54aに中央平面部61、左平面部62、右平面部63、側部壁54b,54b(片側は省略)に左張出し部64,右張出し部65、後部外壁54の後方に支持部66,66を備える。
【0023】
中央平面部61は中央孔61aを、左平面部62は左上部孔62a及び左下部孔62bを、右平面部63は右上部孔63a及び右下部孔63bを、左張出し部64は左縦孔64a,右張出し部65は右縦孔65aを有する。
【0024】
また、リヤコンビネーションランプ70は、上半部51に取付けるために中央突出部76、左上突出部77、左下突出部78、右上突出部81、右下突出部82、左前部突出部83、右前部突出部84及び箱状の被支持部85,85(図3参照。片側は省略。)を備える。
【0025】
中央突出部76、左上突出部77、左下突出部78、右上突出部81、右下突出部82、左前部突出部83、右前部突出部84は、それぞれ取付孔76a,77a,78a,81a,82a,83a,84aを有する。
【0026】
上記収納箱50の上半部51にリヤコンビネーションランプ70を取付ける場合には、予め中央平面部61上部に開けた角孔61bにクリップナットNを嵌め、左平面部62及び右平面部63のそれぞれの裏面側からナット付きステーSのナット部を左上部孔62a及び左下部孔62b並びに右上部孔63a及び右下部孔63bに挿入し、中央孔61aに取付孔76a、左上部孔62aに取付孔77a、左下部孔62bに取付孔78a、右上部孔63aに取付孔81a、右下部孔63bに取付孔82a、左縦孔64aに取付孔83a、右縦孔65aに取付孔84aをそれぞれ合わせ、ビスで固定する。
【0027】
被支持部85,85(図3参照。片側は省略。)は、収納箱50の支持部66,66に係止するものである。
収納箱50の後部延長部54は、一種の構造物であるために剛性が十分であり、大型の重量のあるリヤコンビネーションランプを取付けることができる。
【0028】
図6は本発明に係るリヤコンビネーションランプの平面図であり、リヤアッパカバー30(図3参照)を係止するための係止部70aは、起立壁70b…と爪部70c…とを有し、起立壁70b…と爪部70c…との間にリヤアッパカバー30の後部を挿入するものである。
リヤコンビネーションランプ70のリヤターンシグナルランプ71,72は、後部から側部に回り込ませ、且つ車体後部の上部に配置したため、後方及び側方からの視認性がよい。
【0029】
図7は図4の7−7線断面図であり、リヤターンシグナルランプ71は、リフレクタ71bと一体成形した基台71cと、この基台71cに取付けたソケット71dと、このソケット71dに取付けたバルブ71aと、外側を覆う外側レンズであるアウタレンズ71eと、このアウタレンズ71eの内側に距離をわずかに隔てて配置した内側レンズであるインナレンズ71fとからなる。なお、71g,71g,71hはシール部材である。
アウタレンズ71eとインナレンズ71fとの最大距離(クリアランス)をL、インナレンズ71fの厚さをTとすると、0<L≦Tという関係がある。
【0030】
アウタレンズ71eは、リヤコンビネーションランプ70(図6参照)の一体感を得るために表面をテールランプ73(図6参照)用のレンズ73bの表面と滑らかに繋がるようにし、且つレンズ73bと同一の赤色系に着色したものである。
【0031】
インナレンズ71fは、緑色系に着色したものであり、灯火した時に、このインナレンズ71f及びアウタレンズ71eを通過した灯光の色を橙色(JIS D 5500による)にするものである。
リヤターンシグナルランプ72(図6参照)は、リヤターンシグナルランプ71と同一構成(但し、左右勝手違いである。)であり、説明は省略する。
【0032】
このように、リヤコンビネーションランプ70において、リヤターンシグナルランプ71,72のアウタレンズ71eとテールランプ73用のレンズ73bの色を赤色系に統一し、リヤターンシグナルランプ71,72に緑色系のインナレンズ71fを設けることで、非点灯時は全体を赤色系とし、リヤコンビネーションランプ70の外観に一体感を持たせ、外観性を向上させることができる。
【0033】
インナレンズ71fは、灯火に寄与する範囲内の折曲げ部である角部71jに薄肉部71kを有する。
薄肉部71kは、インナレンズ71fの角部71jの外面側を切欠くことで形成したものである。
また、インナーレンズ71fは、灯火に寄与する範囲内の端部71mに凹状の湾曲面71nを有する。
【0034】
以上に述べたインナレンズ71fの作用を次に説明する。
図8は本発明に係るインナレンズの角部の作用を示す要部拡大断面図である。 リヤターンシグナルランプ71(図7参照)のバルブ71a(図7参照)からインナレンズ71fの角部71jに到達した光Rは、薄肉部71k、空気層A及びアウタレンズ71eを通過する。アウタレンズ71eを通過後の灯光をR1とする。
この時、光Rが薄肉部71kを通過することで、緑色が周囲の正規の肉厚部分を通過した光よりも薄くなるため、アウタレンズ71eを通過後の灯光R1の色は、正規の橙色よりも薄い。
【0035】
また、リヤターンシグナルランプ71のバルブ71aからインナレンズ71fの上面部71pに到達した光Rは、インナレンズ71f内を繰返し反射して進み、角部71jで薄肉部71kを通り、空気層A及びアウタレンズ71eを通過する。アウタレンズ71eを通過後の灯光をR2とする。
【0036】
この時、光Rがインナレンズ71f内を繰返し反射して進むことで、光Rのインナレンズ71f内の進行経路が長くなり、緑色が次第に濃くなるため、アウタレンズ71eを通過後の灯光R2の色は、正規の橙色よりも濃い。
以上より、薄い橙色の灯光R1と濃い橙色の灯光R2とが一緒になることで、リヤターンシグナルランプ71,72の角部の灯光を正規の橙色の灯光とすることができ、周囲との濃さの違いがないので、発光むらが発生することがない。
【0037】
図9(a),(b)は本発明に係るインナレンズの端部の作用を示す要部拡大断面図であり、(a)は図7の端部、(b)は図7の端部の別の実施の形態を示す。
(a)において、リヤターンシグナルランプ71(図7参照)のバルブ71a(図7参照)からインナレンズ71fに到達した光R(最も上側)は、インナレンズ71f内で反射し、湾曲面71nに至り、この湾曲面71nで再び反射してインナレンズ71fを通過し、空気層A及びアウタレンズ71eを通過する。アウタレンズ71eを通過後の灯光をR3とする。
【0038】
また、同様に、別な光R,Rは、インナレンズ71f内で反射し、湾曲面71nに至り、この湾曲面71nで再び反射してインナレンズ71fを通過し、空気層A及びアウタレンズ71eを通過する。アウタレンズ71eを通過後の灯光をR4,R5とする。
【0039】
これらの灯光R3,R4,R5は、それぞれ異なる方向に進む光である。
従って、湾曲面71nを設けたことで、端部71mに集まった光を拡散させることができ、リヤターンシグナルランプ71,72(図6参照)のレンズ端部の発光むらを防止することができる。
【0040】
(b)において、インナーレンズ71fは、灯火に寄与する範囲内の端部71mに凸状の湾曲面71qを有する。
リヤターンシグナルランプ71(図7参照)のバルブ71a(図7参照)からインナレンズ71fに到達した光R(最も上側)は、インナレンズ71f内で反射し、湾曲面71qに至り、この湾曲面71qで再び反射してインナレンズ71fを通過し、空気層A及びアウタレンズ71eを通過する。アウタレンズ71eを通過後の灯光をR6とする。
【0041】
また、同様に、別な光R,Rは、インナレンズ71f内で反射し、湾曲面71qに至り、この湾曲面71qで再び反射してインナレンズ71fを通過し、空気層A及びアウタレンズ71eを通過する。アウタレンズ71eを通過後の灯光をR7,R8とする。
【0042】
これらの灯光R6,R7,R8は、それぞれ異なる方向に進む光である。
従って、湾曲面71qを設けたことで、端部71mに集まった光を拡散させることができ、リヤターンシグナルランプ71,72(図6参照)のレンズ端部の発光むらを防止することができる。
【0043】
また、上記したように、リヤターンシグナルランプ71,72は、図8に示した角部71jの薄肉部71k及び図9(a),(b)に示した端部71mの湾曲面71n,71qを備えているため、図7において、アウタレンズ71eとインナレンズ71fとの最大距離Lを小さくしても発光むらが生じにくく、従って、インナレンズ71fとアウタレンズ71eとを近接させることで、発光むらを防止しつつリヤターンシグナルランプ71,72を小型化できる。
【0044】
図10はリヤターンシグナルランプ用インナレンズの比較例を示す断面図であり、リヤターンシグナルランプ100は、リフレクタ101に一体成形したソケット102と、このソケット102に取付けたバルブ103と、上記リフレクタ101の外側に設けたレンズ取付部104,105と、これらレンズ取付部104,105に取付けた赤色系のアウタレンズ106及びこのアウタレンズ106の内側にわずかに距離を隔てて配置した緑色系のインナレンズ107とからなる。
インナレンズ107は、角部108及び端部109を有する。
【0045】
以上に述べたインナレンズ107の作用を次に説明する。
図11(a),(b)は図10の要部拡大断面図であり、(a)は図10のC部、(b)は図10のD部を拡大したものである。
(a)において、リヤターンシグナルランプ100(図10参照)のバルブ103(図10参照)から発せられた光Rは、インナレンズ107の角部108、空気層A及びアウタレンズ106を通過する。アウタレンズ106を通過後の灯光をR101とする。
【0046】
また、リヤターンシグナルランプ100のバルブ103からインナレンズ107の上面部111に到達した光Rは、インナレンズ107内を繰返し反射して進み、角部108でインナレンズ107から空気層Aに至り、アウタレンズ106を通過する。アウタレンズ106を通過後の灯光をR102とする。
【0047】
この時、光Rがインナレンズ107内を繰返し反射して進むことで、光Rのインナレンズ107内の進行経路が長くなり、緑色が次第に濃くなるため、アウタレンズ106を通過後の灯光R102の色は、正規の橙色よりも濃くなる。
従って、灯光R101と灯光R102とが一緒になることで、リヤターンシグナルランプ100の角部108の灯光が正規の橙色の灯光より緑色がかった橙色となり、周囲に対して発光むらとして見える。
【0048】
(b)において、リヤターンシグナルランプ100(図10参照)のバルブ103(図10参照)からインナレンズ107に到達した光R(最も上側)は、インナレンズ107内で反射し、平坦部112に至り、この平坦部112で再び反射してインナレンズ107を通過し、空気層A及びアウタレンズ106を通過する。アウタレンズ106を通過後の灯光をR103とする。
【0049】
また、同様に、別な光R,Rは、インナレンズ107内で反射し、平坦部112に至り、この平坦部112で再び反射してインナレンズ107を通過し、空気層A及びアウタレンズ106を通過する。アウタレンズ106を通過後の灯光をR104,R105とする。
【0050】
これらの灯光R103,R104,R105は、全て同じ方向に進む光である。
従って、平坦部112を設けたことで、端部109に集まった光が同じ方向に反射し、リヤターンシグナルランプ100の端部109の灯光が正規の灯光より緑色がかった橙色となり、周囲に対して発光むらとして見える。
【0051】
図10に示したアウタレンズ106とインナレンズ107との最大距離Lを小さくすると、インナレンズ107を出た光が拡散しにくく、アウタレンズ106でその光が集中し、発光むらが発生しやすくなる。
また、アウタレンズ106とインナレンズ107との最大距離Lを通常より大きくすると、バルブ103からインナレンズ107及びアウタレンズ106をほぼ直進して明るく見える部分の光のうち、インナレンズ107が光る部分とアウタレンズ106が光る部分との面積差が生じて発光が二重となり発光むらとして見え、通常は、上記2つの発光むらの中庸を採ってきた。
以上に示したように、図7に示した実施の形態は、リヤコンビネーションランプ70において、図10に示したレンズの角部及び端部に発生する発光むらを防止するために、実施したものである。
【0052】
尚、本発明では、図8に示したように、外面を切欠いて薄肉部71jを形成したが、これに限るものではなく、内面をアール状に切欠いて薄肉部を形成してもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の車両用灯火器構造は、内側レンズと外側レンズとを略同形状として近接させて設け、内側レンズの外側レンズ面に沿って曲げた角部に、その周囲の肉厚より薄肉にした一つの、光が通過する薄肉部を有するので、内側レンズの薄肉部を通過した光は薄い色の灯火光となり、レンズの他の部分から屈折して薄肉部から放たれる濃い色の灯火光とで正常な濃さの灯火光となり、レンズの角部の発光むらを防止することができる。
【0054】
また、上記した構成を備えているため、クリアランスを小さくしても発光むらが生じにくくなり、従って、内側レンズと外側レンズとを近接させることで、発光むらを防止しつつ灯火器を小型化できる。
【0055】
請求項2の車両用灯火器構造は、内側レンズと外側レンズとを略同形状として近接させて設け、内側レンズの外側レンズ面に対応して曲げた端部に、凹状の湾曲した反射面を有するので、内側レンズ内を進行した光は内側レンズの端部の凹状の湾曲した反射面で拡散し、内側レンズの端部は濃い色にならず、レンズの端部の発光むらを防止することができる。
【0056】
また、上記した構成を備えているため、クリアランスを小さくしても発光むらが生じにくくなり、従って、内側レンズと外側レンズとを近接させることで、発光むらを防止しつつ灯火器を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスクータ型車両の側面図
【図2】本発明に係る車体後部の灯火器取付構造を示す側面図
【図3】本発明に係る車体後部の要部拡大側面図
【図4】本発明に係る車体の背面図
【図5】本発明に係る車体後部へのリヤコンビネーションランプの取付関係を示す斜視図
【図6】本発明に係るリヤコンビネーションランプの平面図
【図7】図4の7−7線断面図
【図8】本発明に係るインナレンズの角部の作用を示す要部拡大断面図
【図9】本発明に係るインナレンズの端部の作用を示す要部拡大断面図
【図10】リヤターンシグナルランプ用インナレンズの比較例を示す断面図
【図11】図10の要部拡大断面図
【符号の説明】
1…車両(スクータ型車両)、70,71,72…灯火器(リヤコンビネーションランプ、リヤターンシグナルランプ、リヤターンシグナルランプ)、71a,72a…バルブ、71e…外側レンズ(アウタレンズ)、71f…内側レンズ(インナレンズ)、71j…角部、71k…薄肉部、71m…端部、71n…反射面(湾曲面)、A…空気層。
Claims (2)
- バルブの前面を色の異なる内側レンズと外側レンズとでカバーした灯火器において、
前記内側レンズと前記外側レンズとを略同形状として近接させて設け、
前記内側レンズの前記外側レンズ面に沿って曲げた角部は、その周囲の肉厚より薄肉にした一つの、光が通過する薄肉部を有することを特徴とする車両用灯火器構造。 - バルブの前面を色の異なる内側レンズと外側レンズとでカバーした灯火器において、
前記内側レンズと前記外側レンズとを略同形状として近接させて設け、
前記内側レンズの前記外側レンズ面に対応して曲げた端部は、凹状の湾曲した反射面を有することを特徴とする車両用灯火器構造。
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