JP3631682B2 - 多層配線基板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、多層配線基板及び半導体素子収納用パッケージなどに適した多層配線基板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、電子機器は小型化が進んでいるが、近年携帯情報端末の発達や、コンピューターを持ち運んで操作するいわゆるモバイルコンピューティングの普及によってさらに小型、薄型且つ高精細の多層配線基板が求められる傾向にある。
【0003】
また、通信機器に代表されるように、高速動作が求められる電子機器が広く使用されるようになってきた。高速動作が求められるということは、高い周波数の信号に対し、正確なスイッチングが可能であるなど多種な要求を含んでいる。そのような電子機器に対応するため、高速な動作に適した多層プリント配線板が求められている。
【0004】
高速な動作を行うためには、配線の長さを短くし、電気信号の伝播に要する時間を短縮することが必要である。配線の長さを短縮するために、配線の幅を細くし、配線の間隙を小さくするという、小型、薄型且つ高精細の多層配線基板が求められる傾向にある。
【0005】
そのような高密度配線の要求に対応するため、ビルドアツプ法と呼ばれる製造方法が用いられている。ビルドアップ法の基本構造としては、JPCA規格では(1)ベース+ビルドアップ法、(2)全層ビルドアップ法の2種類に分類されている。
【0006】
(1)ベース+ビルドアップ法は、両面銅張ガラスエポキシ基板などの絶縁基板の表面に導体配線層やスルーホール導体などが形成されたコア基板の表面に感光性樹脂を塗布後、露光現象してバイアホールを形成した後、感光性絶縁層の表面全面に銅などのメッキ層を施し、その後、メッキ層に感光性レジストを塗布し、回路パターンを露光、現像した後、非レジスト形成部をエッチングして回路を形成した後、レジストを除去して導体配線層を作製するもので、この工程をを繰り返して多層化するものである。
【0007】
また、(2)全層ビルドアップの製造方法は、例えば特許2587593号の様に、絶縁層にレーザーなどでバイアホールを形成し、そのバイアホール内に導電性ペーストを充填することにより絶縁層の表面に形成された導体配線層を電気的に接続して配線層を形成し、このように作製した配線層を繰り返して形成して多層化するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(1)ベース+ビルドアップ法では、絶縁層として感光性エポキシ樹脂などが多用されるが、エポキシ樹脂はもともとガラス転移点が低い上に感光性としたことで吸水率が増加し、高温高湿放置で絶縁性が低下するなど信頼性が低下するという問題がある。また、コア基板表面には銅箔から形成された導体配線層の厚さ分の凹凸が存在しており、ビルドアップ法に使用する感光性樹脂は液状のため、コア基板表面の凹凸がビルドアップされた多層配線層表面にまで反映され、完成品の基板表面にも凹凸が形成され、フリップチップ等のシリコンチップ実装には不適であった。また、温度サイクル試験や高温高湿試験においてコア基板とビルドアップ層の絶縁層との界面で剥離が生じやすいものであった。
【0009】
上記問題に対して様々な解決策が提案されており、エレクトロニクス実装技術誌1998,1(Vol.14 No.1)には、ステンレス板にパターンめっき法で作製した回路パターンを積層プレスによりパターンを転写することによって平滑なビルドアップ基板を製造する方法が記載されている。しかし、コア基板とビルドアップ層の絶縁樹脂との化学的な結合を改善するには至っておらず、信頼性の点で問題があった。
【0010】
また、前記(2)全層ビルドアップ法では、バイア導体を、貫通孔内への導電性ペーストの充填によって形成するものの高温放置等の信頼性試験においてバイア導体が酸化し、電気抵抗が上昇するという問題がある。また、導体配線層を絶縁層の表面に埋設して表面の平坦化を図った多層配線基板も提案されているが、このような導体配線層が埋設された配線基板においても、導体配線層の埋設側側面と絶縁層中の有機樹脂との密着力が充分でなく、導体配線層と絶縁層との界面から水分が浸入しバイア導体が酸化して抵抗を増大させるという問題があった。
【0011】
本発明は、上記のような従来の多層配線基板における課題を解決することを目的とするものであり、具体的には、導体配線層と絶縁層との密着性を高め、導体配線層と絶縁層との界面からの水分の侵入を防止し、高湿度環境下でもバイア導体の抵抗変化のない信頼性の高い多層配線基板と、これを容易に製造することのできる製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の多層配線基板は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む絶縁層と、該絶縁層表面に埋設された導体配線層と、導体配線層間を接続するために貫通孔に金属粉末を含む導体成分を充填されたバイア導体とを具備する多層配線基板において、前記多層配線基板の少なくとも表面の導体配線層側面の表面粗さ(Ra)が0.2μm以上で、導体配線層の側面の絶縁層との界面のみに親水基と疎水基を含有する有機物が存在することを特徴とするものである。さらに詳細には、前記絶縁層の熱硬化性樹脂の吸水率が0.5%以下、前記導体配線層が金属箔をエッチングして得られたこと、前記絶縁層に埋設された導体配線層が逆台形で形成角(θ)が45°〜80°であることである。
【0013】
さらに、本発明の多層配線基板の製造方法によれば、(a)金属箔を接着剤を介して樹脂フィルムに接着させる工程と、(b)(a)によって作製された前記樹脂フィルムの金属箔表面に、鏡像の配線パターン状にレジストを塗布後、非レジスト部をエッチングによって除去して、断面が、形成角45°〜80°の台形型の導体配線層を形成する工程と、(c)(b)によって形成された前記導体配線層の台形型の側面を表面粗さ(Ra)を0.2μm以上に粗化する工程と、(d)(c)の粗化処理後の前記導体配線層の台形型の側面に、親水基と疎水基を含む有機物を塗布する工程と、(e)前記導体配線層上面のレジストを除去する工程と、(f)少なくとも熱硬化性樹脂を含有するBステージ状の絶縁層に、貫通孔を形成し、金属粉末を含む導体ペーストを充填してバイア導体を形成する工程と、(g)(a)〜(e)で作製した樹脂フィルム表面の導体配線層を(f)で作製した絶縁層表面のバイア導体形成箇所に積層加圧した後、樹脂フィルムを剥がして導体配線層を転写し、絶縁層表面に導体配線層を埋設した配線層を形成する工程と、(h)(a)〜(g)で作製した複数の配線層を積層し、圧力をかけながら一括で硬化する工程と、を含むことを特徴とするものである。また、前記樹脂フィルム表面に形成された導体配線層の断面が、形成角(θ)が45°〜80°の台形型であることが密着性を高める上で望ましい。
【0014】
本発明の多層配線基板によれば、導体配線層が絶縁層の表面と同一平面となるように埋設されているために、多層配線基板の表面の平滑性に優れる。また、本発明の多層配線基板は、埋設された導体配線層側面が表面粗さ(Ra)0.2μm以上に粗化されており、且つ、導体配線層側面と絶縁層との界面のみに親水基と疎水基を有する有機物が存在するため、有機樹脂を含む絶縁層と金属箔界面との密着力が強く、また絶縁層と導体配線層との隙間からの水分などの浸入がなく、バイア導体の抵抗の劣化が少ない。また、導体配線層のピール強度も高めることができ、基板の落下などに対しても部品欠落のない高信頼性の多層配線基板を得ることができる。
【0015】
また、本発明の製造方法によれば、上記の多層配線層における導体配線層間を接続するためのバイア導体をレーザー照射によって形成するために、感光性樹脂を使用する必要がなく、絶縁層材料としてガラス転移点が高く、吸水率の小さいなどの材料特性に優れた任意の有機樹脂の絶縁材料を選定できる。また、導体配線層の側面と絶縁層との界面のみに親水基と疎水基を有する有機物を塗布することによって有機樹脂を含む絶縁層と金属箔界面との密着力を高めることができる。しかも、絶縁層の形成と、導体配線層との形成を同時に平行して行うことができために製造工程の簡略化と短縮化を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の多層配線基板を製造方法とあわせて図面をもとに説明する。図1は、本発明における多層配線基板を説明するための概略図である。また、図2は本発明における多層配線基板の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【0017】
図2の(a)に示すように樹脂フィルム12の表面に接着剤を介して金属箔11を接着する。この時、金属箔11はこの後の配線の形成のしやすさ、電気抵抗等を考慮すると銅箔を用いるのが望ましい。そして、金属箔11表面にさらにフォトレジスト13を貼付する(b)。そして、フォトレジスト13を露光、現像することにより、導体配線部分にフォトレジスト14を残す(c)。フォトレジスト14はネガ型を用いる方が、その後の導体配線層15を粗化するときに処理が行いやすい。その後、金属箔11をエッチングすることにより導体配線層15を形成する(d)。この時、樹脂フィルム12表面に形成した導体配線層15の断面は台形型に形成することが重要であって、台形の形成角は(θ)は45°〜80°でこと、望ましくは50°〜75°が良い。これは、台形の形成角が45°以上とすることによって、多層配線基板を作製した時に導体配線層15のピール強度を高くすることができ、45°よりも小さいと導体配線層のピール強度が低くなるためである。また、台形の形成角が80°より大きいと導体配線層15側面の長さが短くなるため、絶縁層との界面に水分が浸入してバイア導体18への到達が早く、バイア導体18の酸化によって抵抗上昇も速くなるためである。
【0018】
導体配線層15の断面の台形の形成角(θ)を45°〜80°にするには金属箔11の種類によっても若干異なるが2〜50μm/minでエッチングするのが良い。
【0019】
次に、導体配線層15側面を表面粗さ(Ra)を0.2μm以上に粗化する。金属の種類によっても異なるが、蟻酸、NaClO2、NaOH、Na2PO4あるいはこれらの混合液等の酸性溶液を吹き付けたり、ディッピングするのが良く、特に蟻酸を吹き付けるのが表面粗さを細かく制御できる点で望ましい。導体配線層15側面の表面粗さ(Ra)が0.2μmよりも小さいと、絶縁基板中の樹脂との密着力が低くなるため、水分が侵入しやすくなり、また水分の侵入経路が短くなるために、導体配線層15と接続されるバイア導体18の抵抗が上昇したり、導体配線層15のピール強度が低下する。
【0020】
次に、粗化した導体配線層15の側面に、親水基と疎水基を有する有機物を塗布する。親水基と疎水基を有する有機物によれば、親水基としては、シラノール基、カルボキシル基、水酸基の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、疎水基としては、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基およびメルカプト基の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0021】
このような親水基と疎水基を有する有機物としては、親水基と疎水基を有するシラン系化合物が好適であって、特にN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランの群から選ばれる少なくとも1種のシランカップリング剤が好適に使用できる。
【0022】
また、親水基と疎水基を有する有機物は、250℃以上の沸点を有することが望ましい。これは、沸点が250℃よりも低いと、半田耐熱試験等で導体配線層15と絶縁層の界面に膨れが生じて導体配線層15と絶縁層との密着不良やバイア導体18の抵抗の増加を引き起こすおそれがあるためである。
【0023】
粗化後の導体配線層15側面に親水基と疎水基を有する有機物を塗布した後にレジスト14を除去する(e)。導体配線層15の上下面は、バイア導体18と金属−金属の接続をしているため、導体配線層15の上面には、親水基と疎水基を有する有機物は塗布しない方が、バイア導体18との接触抵抗が低くできる。
【0024】
一方、図2(f)に示すように、まず絶縁シート16を準備する。この絶縁シート16は、未硬化または半硬化の熱硬化性樹脂を含み、例えば熱硬化性樹脂と無機フィラーからなるものである。絶縁シート16を構成する熱硬化性樹脂は、吸水率が0.5%以下のものが良く、望ましくは0.3%以下が良い。熱硬化性樹脂の吸水率が0.5%より高いと水分の影響を受けてバイア導体18の抵抗が上昇する。具体的には、A−PPE(アリル化ポリフェニレンエーテル)、BTレジン(ビスマレイミドトリアジン)、ポリイミド樹脂、ポリアミドビスマレイミド等の樹脂が望ましい。また、絶縁シート16の無機フィラーは、SiO2、Al2O3、AlN等が好適であり、平均粒径が20μm以下、特に10μm以下、最適には7μm以下の略球形状の粉末が用いられる。また、多層配線基板の強度を持たせるためには繊維質の織布や不織布を含有することが望ましく、多層構造において少なくとも1層は繊維質のフィラーを含む絶縁シートを用いるのが良い。これらの無機質フィラーは、有機樹脂:無機質フィラーの体積比率で15:85〜95:5の比率範囲で混合される。
【0025】
次に、レーザー光を照射して絶縁シート16のバイアホール17加工を行う。バイアホール17の加工はCO2、YAGレーザー等が使用できる。その後、金、銀、銅、アルミニウム等から選ばれる少なくとも1種を含む金属粉末にバインダーを添加し、導電性ペーストを作製する。そして、バイアホール17に導電性ペーストを充填し、バイア導体18を形成する。導電性ペースト中のバインダーは不揮発で絶縁層中の熱硬化性樹脂と反応するものを用いるのが望ましい。また、導電性ペーストの充填方法として常圧の印刷機等も使用できるが、真空印刷機を用いる方がより充填率を上げることができる。
【0026】
その後、樹脂フィルム12上に作製した鏡像の導体配線層15をバイア導体18を形成した絶縁シート16に熱圧着により転写する。そして、この鏡像の導体配線層15のパターンを有する樹脂フィルム12をBステージ状の絶縁シート16の表面に積層して3kg/cm2以上の圧力を印加した後、樹脂フィルム12を剥離する(図1(i))ことにより、絶縁層の表面に導体配線層15を転写するとともに、導体配線層15を絶縁層の表面に埋設し、配線シート19を得ることができる。
【0027】
次に、上記(a)〜(j)と同様な方法によって作成された複数の配線シート19−1〜19−5を複数枚位置を合せて重ねて、一括硬化することにより図1に示すような絶縁層1、導体配線層2、バイア導体3を具備し、導体配線層2が絶縁層1の表面に埋設された表面平坦性に優れた多層配線基板を作製することができる。
【0028】
また、本発明の多層配線基板によれば、図1(b)に示すように、バイア導体3と接続する導体配線層2において、その導体配線層2の断面が、形成角(θ)が45°〜80°の逆台形型からなるもので、かかる形状に導体配線層2の絶縁層1への埋設性を高めることができるとともに、導体配線層2の絶縁層1への密着性を高めることができる。
【0029】
また、導体配線層2の逆台形型における側面の表面粗さ(Ra)が0.2μm以上であることによって導体配線層2の絶縁層1との接触面積が大きくなる結果、絶縁層1の表面における導体配線層2と絶縁層1との界面部分から水分が浸入した場合に、バイア導体3までに到達するまでの距離が長くなる。
【0030】
さらに、この導体配線層2の側面と絶縁層1との界面に、親水基および疎水基を有する有機物を存在せしめることによって水分のバイア導体3への侵入を阻止することができる。
【0031】
その結果、従来より発生していた導体配線層2と絶縁層1との界面を経由した水分の侵入を防止できるために、高湿度環境下においてもバイア導体の抵抗変化がなく、またフリップチップ実装にも適用可能な高信頼性の多層配線基板を得ることができる。
【0032】
また、製造方法においては、各層において導体配線層の加工、絶縁層の加工を並列に行うことができるため、また、多層化した絶縁樹脂を一括で硬化できるため、短いサイクルタイムで多層配線基板を作製することができる。
【0033】
【実施例】
(多層配線基板の作製)
絶縁層として以下の2種類を用意した。ガラス布にアリル化ポリフェニレンエーテル樹脂(A−PPE樹脂)系とBTレジン系のプリプレグを作製した。また、比較例としてエポキシ樹脂系のプリプレグを作製した。
【0034】
また、A−PPE樹脂とBTレジンを用い、さらに無機フィラーとして球状シリカを用い、これらをA−PPE樹脂またはBTレジン:無機フィラーが体積比で50:50となる組成物を用い、これをドクターブレード法によって厚さ40μmのBステージ状態の絶縁層を作製した。
【0035】
また、比較例として、エポキシ樹脂を用い、さらに無機フィラーとして球状シリカを用い、これらをエポキシ樹脂:無機フィラーが体積比で50:50となる組成を用い、上記と同じくドクターブレード法によって厚さ40μmのBステージ状態の絶縁層を作製した。
【0036】
この2種類の絶縁層にCO2レーザーで貫通孔を形成し、次いで銅の表面を銀でコーティングした粉末とバインダーを混合し、導電性ペーストを貫通孔に充填してバイア導体を形成した。
【0037】
一方、38μmのPETフィルムに12μmの厚さの電解銅箔を貼り合わせて転写用の銅箔付きフィルムを準備した。銅箔表面にドライフィルムレジストを貼付し、露光、炭酸ナトリウムによる現像、塩化第二鉄によるエッチングを行い台形の形成角45°〜80°の形成角を持つ配線を形成した。
【0038】
この後、10%の蟻酸により導体配線層側面を0.1〜0.8μmに粗化した後、適宜、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、またはN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランを塗布した。その後、水酸化ナトリウムによるレジストの剥離を行い、PETフィルム上に配線パターンを形成した。
【0039】
その後、PETフィルム上に形成したパターンを130℃、20kg/cm2で上記2種類の絶縁層に転写し、配線シートを作製した。
【0040】
ガラス布を含有する絶縁層から作製した配線シートを4層重ね合わせて導体配線層5層の多層配線基板を作製した。また、ガラス布から作製した絶縁層の上下にシリカフィラーを含有する絶縁層を各2層重ね合わせて導体配線層9層の多層配線基板も同時に作製した。その後、200℃、20kg/cm2ですべての絶縁層を一括で硬化した。
【0041】
(評価)
作製した多層配線基板において、導体配線層側面の表面粗さ(Ra)は粗化処理後に原子間力顕微鏡(AFM)により測定した。また、台形型の導体配線の形成角は断面をSEM観察することにより測定した。また、樹脂の吸水率は、50mm×50mm、厚さ1mmの硬化したシートを50℃、24時間乾燥し、その後、23℃の水中に浸し、その重量差により求めた。
【0042】
作製した多層配線基板は、150℃、1000時間の高温放置試験、130℃、85%RH、2.3atm、200時間のプレッシャーPCTクッカー試験を行った。
【0043】
上記試験の前後で800個のバイア導体を導体配線層で直列に接続したデイジーチェーンの抵抗変化が10%以内のものを良品、10%を越えるものを不良品としてN数20個の基板について試験した。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示すように、断面が形成角45°〜80°の逆台形型の導体配線層側面の表面粗さ(Ra)を0.2μm以上とし、導体配線層の側面と絶縁層との界面に親水基と疎水基を有する有機物を存在させることにより、高温放置試験やPCT試験においても抵抗上昇のない多層配線基板を作製することができた。また、本発明の多層配線基板は絶縁層の加工と導体配線層の加工を並列して行うことができ、絶縁層の熱硬化性樹脂を一括で硬化できるためサイクルタイムを大幅に短縮することができた。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、高湿度環境下においても水分侵入によるバイア導体の酸化とともに抵抗増大を防止することができ、導体配線層の信頼性向上を達成することができ、また、半導体素子のフリップチップ実装に適した多層配線基板を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、従来のビルドアップ法などに比較して絶縁層の加工と導体配線層の加工を並列して行え、絶縁層の樹脂を一括で硬化できるためサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板を説明するための(a)概略断面図と、(b)要部拡大断面図である。
【図2】本発明の多層配線基板の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【符号の説明】
1 絶縁層
2 導体配線層
3 バイア導体
11 金属箔
12 樹脂フィルム
13,14 レジスト
15 導体配線層
16 絶縁シート
17 バイアホール
18 バイア導体
19 配線シート
19−1〜19−5 配線シート
Claims (7)
- 少なくとも熱硬化性樹脂を含む絶縁層と、該絶縁層表面に埋設された導体配線層と、導体配線層間を接続するために貫通孔に金属粉末を含む導体成分を充填されたバイア導体とを具備する多層配線基板において、前記バイア導体と接続された導体配線層の断面が形成角(θ)が45°〜80°の逆台形型であるとともに、該逆台形形状の側面の表面粗さ(Ra)が0.2μm以上であり、かつ、導体配線層の側面の絶縁層との接触界面のみに親水基と疎水基を有する有機物が存在することを特徴とする多層配線基板。
- 前記絶縁層の熱硬化性樹脂の吸水率が0.5%以下であることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
- 前記導体配線層が金属箔を加工したものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多層配線基板。
- 前記疎水基および親水基を有する化合物がシラン系化合物からなる請求項1乃至請求項3のいずれか記載の多層配線基板。
- (a)金属箔を接着剤を介して樹脂フィルムに接着させる工程と、(b)(a)によって作製された前記樹脂フィルムの金属箔表面に、鏡像の配線パターン状にレジストを塗布後、非レジスト部をエッチングによって除去して、断面が、形成角45°〜80°の台形型の導体配線層を形成する工程と、(c)(b)によって形成された前記導体配線層の台形型の側面を表面粗さ(Ra)を0.2μm以上に粗化する工程と、(d)(c)の粗化処理後の前記導体配線層の台形型の側面に、親水基と疎水基を含む有機物を塗布する工程と、(e)前記導体配線層上面のレジストを除去する工程と、(f)少なくとも熱硬化性樹脂を含有するBステージ状の絶縁層に、貫通孔を形成し、金属粉末を含む導体ペーストを充填してバイア導体を形成する工程と、(g)(a)〜(e)で作製した樹脂フィルム表面の導体配線層を(f)で作製した絶縁層表面のバイア導体形成箇所に積層加圧した後、樹脂フィルムを剥がして導体配線層を転写し、絶縁層表面に導体配線層を埋設した配線層を形成する工程と、(h)(a)〜(g)で作製した複数の配線層を積層し、圧力をかけながら一括で硬化する工程と、を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
- 前記熱硬化性樹脂の吸水率が0.5%以下であることを特徴とする請求項5記載の多層配線基板の製造方法。
- 前記疎水基および親水基を有する化合物が、シラン系化合物からなる請求項5または請求項6記載の多層配線基板の製造方法。
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