JP3631545B2 - 可逆性記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子液晶としてのネマチック液晶材料を用いた記録のメモリー性を有する可逆性記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶材料を用いた情報の形成、記憶及び消去が可能な可逆性記録媒体の可逆性記録方法としては、高分子液晶を用いたものが提案されている。例えば、
(1)強誘電性液晶を用いた高分子液晶に、ゲスト物質としてアゾベンゼンを添加した記録媒体を用いて、予め電界を印加し、記録時に逆電界をかけ更に光を照射する可逆性記録媒体の可逆性記録方法、
(2)スメクチック相をもつ高分子液晶と一般的な低分子液晶であるネマチック液晶とを組み合わせて用いて、記録及び消去のために電源として2種類の周波数の交流を使用する可逆性記録媒体の可逆性記録方法、
(3)光応答性化合物(フォトクロミック材料)をドープした高分子液晶と低分子液晶とを組み合わせて用い、記録方法として紫外線と可視光の2種の光源を使用する可逆性記録媒体の可逆性記録方法、
(4)液晶材料としてのメソンゲンモノマーと非メソンゲンモノマーを側鎖に有する高分子液晶を用いて、冷却速度(徐冷及び急冷)をコントロールすることによる可逆性記録媒体の可逆性記録方法、
等がある。しかしながら、これらはいずれも液晶機能を有する高分子材料を新規に合成する必要がある。すなわち、上記高分子液晶は低分子液晶を重合体もしくは重合性モノマーと反応せしめて形成させる必要があるため、使用することのできる液晶材料が限定され、しかもその製造も複雑であるという問題を有するものであった。また、記録の感度が劣るために低分子液晶と組み合わせる必要があったり、可逆特性上ゲスト物質の添加が必要とされる等の液晶層の組成、配合が複雑になるという構成上の問題点があり、更に、記録方法も複雑なシステムが必要とされるという問題を有するものであった。
【0003】
一方、高分子中に低分子液晶材料が分散された高分子分散型液晶では、電圧の印加により透明(あるいは白濁)状態となり、電圧の印加を除去すると白濁(あるいは透明)状態に戻ってしまい、メモリー性が得られず安定した情報記録画像を形成することができないという問題を有するものであった。また、低分子液晶としてスメクチック相を常温で有する特殊な液晶材料を用いて、記録方法として冷却時に電界を印加することにより記録し、印加しないことにより消去するというシステムを採用することによりメモリー性のある可逆性記録が得られることが報告されている。しかし、この方法ではスメクチック液晶の如き特殊な液晶材料を用いる必要があり、しかも単なる電圧の印加・除去および加熱による簡単な操作で可逆性記録ができない問題点を有する。
よって、低分子液晶として一般的なネマチック液晶を用いて良好なメモリー性を有する可逆記録特性を有する記録媒体は未だ得られていないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術による高分子液晶やスメクチック液晶等の低分子液晶の有する上記の如き問題点を解決するものである。すなわち、低分子液晶として一般的なネマチック液晶を用いた、安価で大面積化が容易な高分子分散型液晶を使用し、電界の印加と加熱による簡単な方法でメモリー性のある記録及び消去を可能とした可逆性記録媒体の可逆性記録方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の可逆性記録方法は、導電性基体の片面に、少なくともネマチック液晶材料と重合性モノマーもしくはそのオリゴマーとを含有する調光層用材料を介在させ、該重合性モノマーもしくはそのオリゴマーを重合せしめてなる高分子分散型液晶からなる調光層を設けた可逆性記録媒体において、該重合性モノマーもしくはそのオリゴマーが少くとも単官能または2官能のアクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体を含む可逆性記録媒体の該調光層全面に電圧を印加して透明状態にした後、画像状に熱ヘッドやレーザー光で加熱し、しかる後、冷却することにより白濁画像を得ることを特徴とする可逆性記録方法である。
本発明の請求項2の可逆性記録方法は、2枚の導電性基体の間に、少なくともネマチック液晶材料と重合性モノマーもしくはそのオリゴマーとを含有する調光層用材料を介在させ、該重合性モノマーもしくはそのオリゴマーを重合せしめてなる高分子分散型液晶からなる調光層を設けた可逆性記録媒体において、該重合性モノマーもしくはそのオリゴマーが少くとも単官能または2官能のアクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体を含む可逆性記録媒体の該調光層全面に電圧を印加して透明状態にした後、画像状に熱ヘッドやレーザー光で加熱し、しかる後、冷却することにより白濁画像を得ることを特徴とする可逆性記録方法である。
【0006】
又、請求項3〜6は、上記請求項1もしくは2において、重合性モノマーもしくはそのオリゴマーが下記1)〜4)に示す基を持つものとした可逆性記録媒体の可逆性記録方法である。
1)−(R1 ・O)n −基
(但しR1 :アルキレン基;n:1以上の正の整数)
2)−R2 ・OH−基
(但しR2 :アルキレン基またはCn H2n−1基,n:1以上の正の整数)
3)−CH2 CH(OH)CH2 O−基
4)−CH2 CH(OH)CH2 O−(R3 )n −OCH2 CH(OH)CH2 −基
(但しR3 ;アルキレン基,n:1以上の正の整数)
−基(R3 :アルキレン基,n:1以上の正の整数を表わす。)
【0007】
本発明において使用される導電性基体は、例えばガラスやポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチックフィルムのような透明な支持体上に、インジウム錫酸化物、酸化錫、酸化亜鉛等の透光性を有する導電性微細粒子を主体とした電極層を設けたものが挙げられる。なお、電極層は塗工、真空蒸着、スパッタリング、化学的気相成長(CVD)あるいはイオンプレーティング等の各種方法を適宜用いて形成される。また、導電性基体間に調光層を形成する場合、片側の透光性が不要の時はかかる片側の基体としては、アルミニウム、銅、ニッケル、真ちゅう等の金属またはアルミニウムのような金属を表面に蒸着あるいは金属箔を表面に接着して電極層が形成されているポリエステル等のプラスチックフィルム、紙、合成紙、不織布等のシート状の物も用いることができる。
【0008】
本発明に使用されるネマチック液晶材料としては、一般的にネマチック相を有する液晶は全て使用することが可能であり、重合条件や記録特性の観点からネマチック等方相転移点(以下「NI点」と称す)、重合性化合物との溶解性、屈折率、屈折率の異方性(Δn)、誘電率の異方性(Δε)等を考慮して適宜選択することができる。また、数種類の液晶材料を配合することも可能である。
本発明においては、特にネマチック液晶材料のNI点は特に限定されるものではないが、NI点が40℃以上のものが好ましく使用される。NI点が40℃より低くなると、常温時にメモリー状態を安定して保持することが難しくなる。また、高温側については良好な可逆特性を達成する上での問題はないが、製造時の温度条件等が厳しくなったり制約されること、記録・消去温度が高くなる事から記録装置が大がかりになる等の問題があり、200℃以下が好ましい。
【0009】
該ネマチック液晶材料としては、例えばシッフ系、アゾキシ系、シアノビフェニル系、シアノフェニルエステル系、安息香酸フェニルエステル系、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル系、シアノフェニルシクロヘキサン、2−(p−シアノフェニル)−5−置換ピリミジン系、2−(p−アルコキシフェニル)−5−アルキルピリミジン系、フェニルジオキサン系、トラン系、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル系等を挙げることができる。
具体的には、p−メトキシベンジリデン−p′−n−ブチルアニリン(MBBA)、p−エトキシベンジリデン−p′−n−ブチルアニリン(EBBA)、p−メトキシ−p′−ブチルアゾキシベンゼン、p−シアノフェニル−p′−ブチルベンゾエート、p−シアノフェニル−トランス−p′−ペンチルシクロヘキシル−カーボキシレート、p−ペンチル−p′−シアノビフェニル、トランス−p−ペンチル−p′−シアノフェニル−シクロヘキサン(PCH)、p−(トランス−p−ペンチルシクロヘキシル)−p′−トランス−p−プロピルシクロヘキシルビフェニル、5−n−ペンチル−2−(p−シアノフェニル)−ピリミジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
次に本発明で使用される調光層用の重合性モノマーもしくはそのオリゴマーとして少くとも含有される単官能あるいは2官能モノマーの(メタ)アクリレート誘導体は、下記の構造式をもつ置換基を少なくとも一つは有している事が好ましい。
1)−(R1 ・O)n −基(R1 :アルキレン基,n:1以上の正の整数を表わす。)
2)−R2 ・OH−基(R2 :アルキレン基または、Cn H2n−1基,n:1以上の正の整数を表わす。)
3)−CH2 CH(OH)CH2 O−基
4)−CH2 CH(OH)CH2 O−(R3 )n −OCH2 CH(OH)CH2 −基(R3 :アルキレン基,n:1以上の正の整数を表わす。)
【0011】
上記重合性モノマーとしては、具体的には以下に記すものがあげられる。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
【0022】
【化11】
【0023】
【化12】
【0024】
【化13】
【0025】
【化14】
【0026】
【化15】
【0027】
【化16】
【0028】
【化17】
【0029】
【化18】
【0030】
【化19】
【0031】
【化20】
【0032】
【化21】
【0033】
【化22】
【0034】
【化23】
【0035】
【化24】
【0036】
【化25】
【0037】
【化26】
【0038】
等があげられる。
これらの重合性モノマーは、適宜選択し、単独又は2種以上用いることができる。また前記の重合性モノマーに他のアクリル系、メタクリル系、スチレン系、ビニル系、エポキシ系、ウレタン系等の各種重合性モノマーもしくはオリゴマーを適宜選択して前記重合性モノマーと共に使用することができる。
この場合、その他の重合性モノマーもしくはそのオリゴマーの全モノマー中での配合量は50重量%以下であることが好ましい。50重量%を越えて多いと、画像の白濁、透明のコントラストが得られにくい。
【0039】
また、上記の如き重合性モノマーもしくはそのオリゴマーを良好に重合させるために、必要に応じて重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製 商品名ダロキュア1173)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製 商品名イルガキュア184)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製 商品名ダロキュア1116)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製 商品名イルガキュア651)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(チバ・ガイギー社製 商品名イルガキュア907)、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製 商品名カヤキュアDETXとp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製 商品名カヤキュアEPA)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワードプレキンソツプ社製 商品名カンタキュアーITX)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物等が挙げられる。
【0040】
本発明において用いられる調光層用材料は、少なくとも上記の如きネマチック液晶材料と重合性モノマーとを含有し、必要に応じて重合開始剤、その他添加剤を均一に溶解したものである。かかる調光層用材料における組成は、ネマチック液晶材料の含有量が40〜95重量%、好ましくは45〜90重量%である。ここで含有量が40重量%未満又は95重量%を越えると、良好な可逆特性が得られなくなるおそれがある。また、重合性モノマーの含有量は、5〜60重量%が好ましく、特に良好な記録感度及び画像の白濁性を得るためには10〜55重量%がより適当である。この場合60重量%を越えて多くなると十分な白濁性を得ることができず十分な画像のコントラストが得られないおそれがあり、逆に5重量%未満であると記録画像における透明性が得られず前記同様にコントラストが得られないおそれがある。また、重合開始剤は重合性モノマーに対して0.1〜20重量%の範囲にあることが望ましい。
なお、その他の添加剤としては酸化防止剤、染料、色素、光安定剤等が挙げられる。
【0041】
本発明におけるネマチック液晶を用いた可逆性記録媒体の製造方法は次のような方法で行なうことができる。
まず、請求項1の可逆性記録媒体の製造方法は、電極層を有する導電性基体の電極層上に、ネマチック液晶材料、重合性モノマー、必要に応じて重合開始剤等を含有する調光層材料の均一塗液を、例えばスピンコーター、バーコーター、ロールコーター等の塗工機により塗布し、この調光層塗液をある一定の温度に保持しながら、紫外線等の活性光線を照射して、前記重合性モノマーを重合させることによって、透明性高分子物質とネマチック液晶材料を含有する高分子分散型液晶の調光層が形成されて可逆性記録媒体が得られる。
次に、該調光層全面に電圧を印加して透明状態にした後、画像状に熱ヘッドやレーザー光で加熱し、しかる後、冷却することにより白濁画像を得ることで、可逆性記録媒体の可逆記録ができる。
【0042】
本発明の請求項2の可逆性記録媒体の製造方法は、導電性基体の電極層上に、例えばスピンコーター、バーコーター、ロールコーター等の塗工機を使用して、ネマチック液晶材料、重合性モノマー、必要に応じて重合開始剤等を含有する調光層用塗液を塗布するか、あるいは予かじめ導電性基体上に間隔保持用スペーサーを散布し、そこに調光層材料を流し込むか、または間隔保持用スペーサーを含有した調光層材料を導電性基体上に流し込み、その調光層材料上にもう1枚の導電性基体をその電極層が調光層材料側となるように載置した後に前記調光層材料を一定の温度に保ちながら、紫外線等の活性光線で重合させる事により、透明性高分子物質とネマチック液晶材料を含有する高分子分散型液晶の調光層が2枚の導電性基体の間に形成されて、可逆性記録媒体が得られる。
次に、該調光層全面に電圧を印加して透明状態にした後、画像状に熱ヘッドやレーザー光で加熱し、しかる後、冷却することにより白濁画像を得ることで、可逆性記録媒体の可逆記録ができる。
なお、前記のスペーサーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、アルミナ、ガラスファイバー、ガラスビーズ、シリカ、ポリマービーズが用いられる。
【0043】
また、前記請求項1の可逆性記録媒体のように、導電性基体が片側だけの場合は、上記の2枚の導電性基体を使用する請求項2の記録媒体において、重合後に2枚の導電性基体の一方を剥離することでも得ることができる。
また、調光層材料の均一塗液を作製するために調光層材料に溶剤を添加し、調光層を形成後、熱等により溶剤を除去し、その後所定の温度で活性光線を照射して重合を行なうことにより可逆性記録媒体を作製することも可能である。
尚、重合性モノマーを重合する方法としては、上記の如き紫外線照射による方法に限定されることなく、一般に行なわれている可視光線、電子線等の放射線の照射や熱による方法も可能である。
【0044】
上記の如き製造方法によって得られる可逆性記録媒体は、以下に述べるような方法によって情報を記録および消去することができる。作製される記録媒体の調光層の初期状態(製造後、常温放置した状態)は通常は白濁状態であるが、液晶の種類、調光層の材料組成の選択により透明状態とすることも可能である。ここでは初期が白濁状態の可逆性記録媒体について説明する。初期状態にある調光層つまり高分子分散型液晶は、この両側にある導電性基体の電極層に電圧を印加すると透明状態になり、本発明による可逆性記録媒体はこの電圧を除去しても透明状態が維持され、情報が記録される。この透明状態は液晶のNI点以上に高分子分散型液晶を加熱、冷却することにより簡単に初期の白濁状態に戻る。印加する電圧は、交流電圧が液晶の劣化等の問題が少なくて良好であるが、直流電圧でも、またこれらを併用することもできる。上記のように2枚の導電性基体に挟持されている場合は、その間に電圧を印加すればよいが、片面のみの場合では、電圧を印加する装置サイドに電極層をもつ、例えば、導電性ロール、導電性ブラシ、電極ヘッド、コロナ放電器等を用いて調光層と電極層との間に電圧を印加すればよい。
【0045】
情報記録は、例えば支持体上に導電性金属を蒸着、印刷等の手段でパターン状に形成された電極層を有する導電性基体を使用して行なえば、電圧が印加された電極層の部分と電圧が印加されなかった電極層の部分で、透明・白濁のコントラストを得ることにより、記録がなされる。また、電極層にアルミニウムの如く色を持つ電極層を用いると、白色と銀色の如く、白と多種の色を持つコントラストを得ることができる。更に、本発明による可逆性記録媒体の透明性を有する導電層あるいは透明性を有する導電性基体の下に光吸収層や着色層を設けると、白色と黒色又は各種の色調によるコントラストを得ることができる。また、導電層をパターン状に形成しなくても情報記録を行なうことができる。例えば、調光層の全面に電圧を印加して透明状態にした後、画像状に熱ヘッドやレーザー光等で、液晶のNI点以上に調光層を加熱し、その後冷却すれば白濁した画像が得られ、白濁・透明のコントラストが得られる。尚、電圧の印加と加熱は同時に行なっても構わないが、電圧を印加・除去しその後熱によって情報を記録する方がより簡単である。
【0046】
消去方法は前述の電圧による情報記録では、熱ヘッド、熱板、熱ロールあるいはレーザー光線等の光で調光層を液晶のNI点以上の温度に加熱すれば初期の白濁状態が得られる。
また、逆に熱による白濁状態の情報記録では、調光層全面に電圧を印加することにより全面の透明状態が得られる。
本発明における可逆性記録媒体は、上記のような方法で記録及び消去を繰り返し行うことができるものである。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施例及び比較例を用いて説明する。
実施例1
下記の組成よりなる調光層用材料を、混合機を用いて5分間攪拌して、均一な調光層用材料を作成した。
[調光層用材料]
・シアノビフェニル系ネマチック液晶(メルク社製 商品名BL001) 67.0重量%
・化1に示すアクリルモノマー 32.0重量%
・重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)(メルク社製 商品名ダロキュア1173) 0.9重量%
・球状スペーサー剤(ガラスビーズ;粒径10μm) 0.1重量%
上記の調光層用材料を、インジウム錫酸化物の電極層を有するガラスからなる2枚の導電性基体の電極層間に介在させた後、60℃のホットプレート上に5〜10分間放置し、調光層用材料の温度を60℃に保持した後、5mW/cm2 の紫外線を500秒間上から照射し、前記モノマーを重合して、高分子分散型液晶を作成し、本発明で用いる可逆性記録媒体を得た。
【0048】
実施例2
実施例1において、アクリルモノマーを化5に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明で用いる可逆性記録媒体を得た。
【0049】
実施例3
実施例1において、調光層用材料の組成を下記のように変更し、ホットプレートの温度を25℃に変更した以外は実施例1と同様にして本発明で用いる可逆性記録媒体を得た。
[調光層用材料]
・ネマチック液晶(メルク社製 商品名BL001) 50.0重量%
・アクリルモノマー(化17) 49.0重量%
・重合開始剤(メルク社製 商品名ダロキュア1173) 0.9重量%
・球状スペーサー剤(粒径10μm) 0.1重量%
【0050】
実施例4
実施例3において、アクリルモノマーを化21に変更した以外は実施例3と同様にして本発明で用いる可逆性記録材料を得た。
【0051】
実施例5
実施例1において、アクリルモノマーを化22に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明で用いる可逆性記録媒体を得た。
【0052】
実施例6
実施例1において、アクリルモノマーを化23に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明で用いる可逆性記録媒体を得た。
【0053】
実施例7
実施例1において、アクリルモノマーを化25に変更した以外は実施例1と同様にして本発明で用いる可逆性記録媒体を得た。
【0054】
実施例8
下記の組成よりなる調光層材料を混合材を用いて、5分間攪拌して、均一な調光層用材料液を作成した。
[調光層用材料]
・ネマチック液晶(メルク社製 商品名BL001) 67.0重量%
・アクリルモノマー(化2) 32.0重量%
・重合開始剤(メルク社製 商品名ダロキュア1173) 1.0重量%
上記の調光層用材料を、インジウム錫酸化物の電極層を有するガラス基板からなる導電性基体上に、ロールコータにより厚さ10μmに塗布した後、60℃のホットプレート上に5〜10分間放置し、調光層用材料の塗液を60℃に保持した後、5mW/cm2 の紫外線を500秒間上から照射し、前記モノマーを重合して高分子分散型液晶を作成し、本発明で用いる可逆性記録媒体を得た。
【0055】
実施例9
実施例8において、アクリルモノマーを化24に変更した以外は、実施例8と同様にして、本発明で用いる可逆性記録媒体を得た。
【0056】
比較例1
実施例1において、調光層用材料の組成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較用の記録媒体を得た。
[調光層用材料]
・ネマチック液晶(メルク社製 商品名BL001) 80.0重量%
・アクリルモノマー(下記化27) 19.0重量%
・重合開始剤(メルク社製 商品名ダロキュア1173) 0.9重量%
・球状スペーサー剤(粒径10μm) 0.1重量%
【0057】
【化27】
【0058】
比較例2
実施例3において、アクリルモノマーを下記化28に記載した化合物に変更し、ホットプレートの温度を60℃に変更した以外は、実施例3と同様にして、比較用の記録媒体を得ようとしたが、液晶とアクリルモノマーが相溶しなかった。
【0059】
【化28】
【0060】
比較例3
実施例1において、アクリルモノマーを下記化29に記載した化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして比較用の記録媒体を得た。
【0061】
【化29】
【0062】
比較例4
実施例1において、アクリルモノマーを下記化30に記載した化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較用の記録媒体を得ようとしたが、紫外線照射後の放冷において、高分子分散型液晶が白濁しなかった。
【0063】
【化30】
【0064】
比較例5
実施例1において、アクリルモノマーを下記化31に記載した化合物に変更した以外は実施例1と同様にして比較用の記録媒体を得た。
【0065】
【化31】
【0066】
比較例6
比較例2において、アクリルモノマーを下記化32の化合物に変更した以外は、比較例2と同様にして、比較用の記録媒体を得ようとしたが、紫外線照射後の放冷において、高分子分散型液晶が白濁しなかった。
【0067】
【化32】
【0068】
上記実施例1〜9及び比較例1〜6で得られた可逆性記録媒体について、スペクトロフォトメーター(Pharmacia社製 商品名PharmaciaLKB・Novaspec)を用いて、初期透過度(T0 )を測定した後、100V,40Hzの交流電圧を30秒間印加した直後の透過度(T100 )及び電圧の印加を除去してから60秒後の安定した透明状態での透過度(T60)、更に安定した透明状態にある高分子分散型液晶をNI点以上に加熱後、室温まで冷却した時の透過度(TD )を測定した。
なお、透過度の測定波長は600nmとした。透過度の評価結果は表1に示すとおりである。
【0069】
【表1】
【0070】
表1から明らかなように、本発明で示した重合性モノマーを用いたものにあっては、透明な記録(メモリー)状態における透明度T60と、白濁状態の初期透過度T0 及び加熱・冷却後の透過度TD との間にかなりの差があり、白濁・透明の良好なコントラストが得られた。しかし、比較例のように、本発明で用いられる重合性モノマーを用いないと、ほとんどT60の値は初期のT0 と大差がない値となり、良好なコントラストを有する記録画像が得られないか、あるいは得られた高分子分散型液晶からなる調光層が初期状態で白濁せずに透明のままであったり、または液晶と重合性モノマーとが相溶せずに調光層が得られた。
【0071】
また、透明状態にある本発明で用いられる記録媒体を液晶のNI点以上に加熱・放冷した時の透過度TD は、ほぼ初期透過度T0 の値に戻ることから、良好な消去特性を有していることが認められた。一方、比較例の記録媒体は透過度T60が初期透過度T0 に近い値を示していたのでTD の測定は実施しなかった。なお、本発明による可逆性記録媒体は前記の透過度の測定を繰り返し行なっても良好な再現性が得られ、繰り返し耐久性も優れているものであった。また、透明な記録状態で1ヶ月以上常温に放置しておいても安定に維持されるものであった。
【0072】
【発明の効果】
本発明は高分子分散型液晶を作成する際に、ある特定の重合性モノマーを使用することにより、従来良好な可逆性記録を得ることができなかった一般的な液晶材料であるネマチック液晶を使用することができるものである。
そしてこのような重合性モノマーにより得られる記録媒体は、電圧を印加することにより良好な記録状態が得られ、電圧を除去した後も、電圧印加時の状態を良好に保持することができると共に、その状態は加熱することにより、容易に消去ができるようになっているので、製造コストも安価であり、かつ大面積化が可能であり、更に、記録及び消去方法が簡単であるとの顕著な効果を奏するものである。
Claims (6)
- 導電性基体の片面に、少なくともネマチック液晶材料と重合性モノマーもしくはそのオリゴマーとを含有する調光層用材料を介在させ、該重合性モノマーもしくはそのオリゴマーを重合せしめてなる高分子分散型液晶からなる調光層を設けた可逆性記録媒体において、該重合性モノマーもしくはそのオリゴマーが少くとも単官能または2官能のアクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体を含む可逆性記録媒体の,該調光層全面に電圧を印加して透明状態にした後、画像状に熱ヘッドやレーザー光で加熱し、しかる後、冷却することにより白濁画像を得ることを特徴とする可逆性記録方法。
- 2枚の導電性基体間に、少なくともネマチック液晶材料と重合性モノマーもしくはそのオリゴマーとを含有する調光層用材料を介在させ、該重合性モノマーもしくはそのオリゴマーを重合せしめてなる高分子分散型液晶からなる調光層を設けた可逆性記録媒体において、該重合性モノマーもしくはそのオリゴマーが少くとも単官能または2官能のアクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体を含む可逆性記録媒体の,該調光層全面に電圧を印加して透明状態にした後、画像状に熱ヘッドやレーザー光で加熱し、しかる後、冷却することにより白濁画像を得ることを特徴とする可逆性記録方法。。
- 重合性モノマーもしくはそのオリゴマーが少なくとも−(R1 ・O)n −基(但しR1 :アルキレン基,n:1以上の正の整数)を有する請求項1もしくは請求項2に記載の可逆性記録方法。
- 重合性モノマーもしくはそのオリゴマーが少なくとも−R2 ・OH−基(但しR2 :アルキレン基もしくはCn H2n−1基,n:1以上の正の整数)を有する請求項1もしくは請求項2に記載の可逆性記録方法。
- 重合性モノマーもしくはそのオリゴマーが少なくとも−CH2 CH(OH)CH2 O−基を有する請求項1もしくは請求項2に記載の可逆性記録方法。
- 重合性モノマーもしくはそのオリゴマーが少なくとも−CH2 CH(OH)CH2 O−(R3 )n −OCH2 CH(OH)CH2 −基(但しR3 :アルキレン基,n:1以上の正の整数)を有する請求項1もしくは請求項2記載の可逆性記録方法。
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